JP6143361B2 - 射出成形用金型 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融状態の熱可塑性樹脂(以下、樹脂とも言う)が充填されるキャビティを形成する射出成形用金型に関する。
射出成形は、加熱溶融した樹脂を射出成形用金型(以下、金型とも言う)の内部に形成されたキャビティに射出充填し、冷却固化した後に金型を開き、成形品を取り出すようにした樹脂の成形方法である。
従来、射出成形用金型として、図1(b)に示すように、キャビティ1内で成形される製品の形状に応じた表面を有する金属製の基材2と、基材2の表面に設けられた内部断熱層3と、内部断熱層3の表面に設けられた金属層4とを備え、金属層4がキャビティ1に臨む一重断熱金型J1が知られている(特許文献1、2参照)。この一重断熱金型J1においては、キャビティ1に臨む金属層4が内部断熱層3によって基材2から断熱されており、金属層4の熱容量が基材2から熱的に遮断された限定的なものとなっている。よって、溶融樹脂がキャビティ1内に射出された際、その樹脂の熱によって金属層4が速やかに昇温され、キャビティ1内における樹脂の流動性が向上する。
また、別の射出成形用金型として、図1(c)に示すように、金属製の基材2と、基材2の表面に設けられた表面断熱層5とを備え、表面断熱層5がキャビティ1に臨む表面断熱金型J2が知られている(特許文献3、4参照)。この表面断熱金型J2によれば、キャビティ1内の射出された溶融樹脂に対して、基材2が表面断熱層5によって断熱された状態となっている。よって、溶融樹脂がキャビティ1内に射出されると、その樹脂の熱によって金型J2の表面温度(表面断熱層5の温度)が瞬時に昇温し、キャビティ1内における樹脂の流動性が向上する。
特開2000−25046号公報 特開平10−225962号公報 特開平9−207179号公報 特開平11−58475号公報
上述した一重断熱金型J1、表面断熱金型J2の問題点を図2を用いて説明する。図2は、一重断熱金型J1、表面断熱金型J2を用い、薄肉(例えば0.35mm)のPC(ポリカーボネート樹脂)を射出成形する際の経過時間と金型表面温度とのグラフを示す。図中、一点鎖線は一重断熱金型J1のグラフ、破線は表面断熱金型J2のグラフを示す。
(一重断熱金型J1について)
図2に一点鎖線で示すように、一重断熱金型J1においては、製品の厚さが薄い場合(例えば0.35mm)、金型J1の表面温度(金属層4の表面温度)が樹脂のガラス転移温度に達せず、優れた流動性と転写性が維持できない。この点を詳述すると、図1(b)に示す一重断熱金型J1の金属層4は、内部断熱層3によって基材2から断熱されているものの、その体積に応じた一定の熱容量を有するため、キャビティ1内に注入された溶融樹脂によって金属層4がその熱容量が飽和するまで加熱された後でなければ、金属層4の温度を更に上昇させることができない。このため、製品の厚さが薄いと(例えば0.35mm)、それに応じてキャビティ1内に注入された溶融樹脂の熱容量も小さくなるため、その溶融樹脂の熱容量の殆どは金属層4をその熱容量飽和まで加熱するために費やされてしまい、金属層4の温度をガラス転移温度まで上昇させることができず、キャビティ1内の樹脂の流動性が低下し、金型内圧の上昇、転写性の悪化、ショートショット等の不具合を生じる。
(表面断熱金型J2について)
図2に破線で示すように、表面断熱金型J2においては、金型J2の表面温度(表面断熱層5の表面温度)は、瞬間的に樹脂のガラス転移温度以上に上昇するものの、その後、急激にガラス転移温度以下まで温度が低下するため、キャビティ1内の隅々まで樹脂を行き渡らせることができず、ショートショット等の不具合が生じる。この点を詳述すると、図1(c)に示す表面断熱金型J2は、基材2の表面が表面断熱層5で覆われているため、キャビティ1内に注入された溶融樹脂によって表面断熱層5の温度が瞬時に上昇するものの、その後、キャビティ1内の溶融樹脂の熱が表面断熱層5を介して基材2に吸熱され、基材2の熱容量は上述した一重断熱金型J1の金属層4の熱容量よりも遙かに大きいことから、表面断熱層5の表面温度(金型J2の表面温度)が急激に低下する。この結果、金型表面温度を必要温度以上に保持する時間が短くなり、金型の保圧時間の間、樹脂の流動性を保持できず、樹脂をキャビティ1の隅々まで行き渡らせることが困難となって、ショートショット等の不具合が生じてしまう。
以上の事情を考慮して創案された本発明の目的は、キャビティ内に溶融樹脂を注入した直後、瞬時に金型表面のピーク温度を高めることができ、且つ、金型表面を必要温度以上に保持する時間を長くできる射出成形用金型を提供することにある。
上述の目的を達成すべく創案された本発明によれば、 溶融した熱可塑性樹脂が充填されるキャビティを形成する射出成形用金型であって、前記キャビティ内で成形される製品の形状に応じた表面を有する金属製の基材と、該基材の表面に設けられた熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を主とする接着剤の機能を備えた内部断熱層と、
該内部断熱層の表面に設けられた金属層と、
該金属層の表面に設けられた前記内部断熱層よりも耐熱温度の高いポリイミド、ポリアミドイミド、パラキシレンポリマー又はセラミック系の断熱性を備えた外部断熱層とを備え、
該外部断熱層が前記キャビティに臨んでおり、
前記金属層が、前記内部断熱層によって前記基材から断熱されていると共に、前記外部断熱層によって前記キャビティ内に射出された溶融樹脂に対して断熱される射出成形用金型が提供される。
本発明に係る射出成形用金型は、金属層の表面に、キャビティ内で成形される製品に凹凸を付与するための加飾部が形成されていてもよい。
本発明に係る射出成形用金型は、外部断熱層が、金属層よりも薄く形成されていてもよい。
本発明に係る射出成形用金型によれば、金属層が、内部断熱層によって基材から断熱されていると共に、外部断熱層によってキャビティ内に射出された溶融樹脂に対して断熱されている。
このため、キャビティ内に溶融樹脂を注入すると、その溶融樹脂の熱が金属層に伝わる前に、外部断熱層の表面(金型表面)が瞬時に昇温し、金型表面のピーク温度を高めることができる。その後、溶融樹脂の熱は、外部断熱層を介して金属層に伝わる。この際、金属層は、内部断熱層によって基材から断熱されていて金属層の熱容量が基材から熱的に遮断された限定的なものとなっているので、溶融樹脂によって容易にその熱容量一杯まで加熱されて蓄熱することになり、溶融樹脂の熱エネルギーを一時的に極短時間ストレージする。金属層にストレージされた熱エネルギーは、最終的には、内部断熱層を介して基材に伝達される。
以上述べたように、本発明に係る射出成形用金型によれば、キャビティ内に溶融樹脂を注入した直後、瞬時に金型表面のピーク温度を高めることができ、且つ、金型表面を必要温度以上に保持する時間を長くできる。よって、製品の表面の金型(キャビティ内面)への転写性が向上し、且つ、樹脂をキャビティの隅々まで行き渡らせることができるのでショートショット等の不具合を抑制できる。
(a)は本発明の一実施形態に係る射出成形用金型(二重断熱金型)の断面図、(b)は従来の一重断熱金型の断面図、(c)は従来の表面断熱金型の断面図である。 図1に示す二重断熱金型、一重断熱金型、表面断熱金型を用い、薄肉(0.35mm)のPC(ポリカーボネート樹脂)を射出成形する際の経過時間と金型表面温度とのグラフである。 図1に示す二重断熱金型、一重断熱金型、表面断熱金型を用い、全ての型温を一定(110℃)として、厚肉(2.0mm)のPCを射出成形する際の経過時間と金型表面温度とのグラフである。 図1に示す二重断熱金型、一重断熱金型を用い、二重断熱金型の型温(90℃)を一重断熱金型の型温(110℃)よりも下げて、厚肉のPCを射出成形する際の経過時間と金型表面温度とのグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(射出成形用金型Hの概要)
図1(a)に本発明の一実施形態に係る射出成形用金型Hの概要を示す。本実施形態に係る射出成形用金型Hは、溶融した熱可塑性樹脂が充填されるキャビティ1を形成するものであり、キャビティ1内で成形される製品の形状に応じた表面の形状を有する金属製の基材2と、基材2の表面に設けられた内部断熱層3と、内部断熱層3の表面に設けられた金属層4と、金属層4の表面に設けられた外部断熱層6とを備え、外部断熱層6がキャビティ1に臨まされている。なお、図1(a)の上方の金型HUは、キャビティ1内で成形される製品の裏面(製品の隠れ面)に該当するため、本発明の金型Hの構造が適用されていないが、製品の表面に該当すれば本発明の金型Hと同様の構造を適用してもよい。
(熱可塑性樹脂)
キャビティ1内に注入される熱可塑性樹脂は、融点まで加熱されることで柔らかくなり、目的の形に形成できる樹脂である。具体的には、非晶性樹脂のポリエーテルサルフォン(PES)、ポリカーボネート(PC)、アクリル(PMMA)、ABS等のエンジニアリングプラスチックの他、結晶性樹脂のPEEK、PPS、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が用いられる。
(基材2)
基材2の表面は、キャビティ1内で成形される製品の基本的な形状に応じて形成されており、これにより製品の基本的な形状が成形される。なお、製品の表面に細かな凹凸(シボ、文様等)を設ける場合には、基材2の表面ではなく、後述のように金属層4の表面にシボや文様等に応じた加飾部を凹凸形成し、この加飾部によって製品の表面にシボや文様を転写成形する。基材2の材質には、プリハードン鋼、炭素鋼、アルミ等が用いられる。
(内部断熱層3)
基材2の表面には、内部断熱層3がコーティングされている。内部断熱層3は、キャビティ1内に注入された溶融樹脂の熱エネルギーが基材2に伝達することを抑制するものである。内部断熱層3は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を有し、層厚が100μm〜1mm程度であり、基材2と金属層4とを接合する接着剤を兼ねている。熱硬化性樹脂には、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラニン樹脂(MF)、ポリウレタン(PUR)等が用いられ、熱可塑性樹脂には、PEEK、PPS、ポリエーテルサルフォン(PES)等が用いられる。なお、内部断熱層3は、圧縮強度を高めるため、セラミック粉末等が混合されていてもよい。
(金属層4)
内部断熱層3の表面には、金属層4がコーティングされている。金属層4は、内部断熱層3によって基材2から断熱されており、金属層4の熱容量は、基材2から熱的に遮断された限定的なものとなっている。このため、金属層4は、キャビティ1内に注入された溶融樹脂から熱エネルギーを受けた際、容易にその熱容量一杯まで加熱されて温度上昇することになり、溶融樹脂の熱エネルギーを一時的に極短時間(0.5秒〜1秒程度)ストレージする。その後、金属層4の熱が内部断熱層3に伝わるため、金属層4は、キャビティ1内に注入された溶融樹脂の熱から内部断熱層3を保護する機能も発揮する。金属層4は、強度や比熱を考慮して、プリハードン鋼、ステンレス、アルミ、銅、ニッケル、炭素鋼等が用いられ、層厚は200μm〜1mm程度となっている。
また、キャビティ1内で成形される製品の表面に細かな凹凸(シボ、文様等)を設ける場合には、金属層4の表面にシボや文様等に応じた加飾部を凹凸形成し、この加飾部によって製品の表面にシボや文様を転写成形する。なお、金属層4の表面には外部断熱層6がコーティングされるが、外部断熱層6の層厚は金属層4よりも薄く(5μm〜200μm未満)、転写は十分可能である。
(外部断熱層6)
金属層4の表面には、外部断熱層6がコーティングされている。外部断熱層6は、キャビティ1内に注入された溶融樹脂の熱エネルギーが金属層4に伝達することを抑制する機能を発揮する。外部断熱層6は、キャビティ1内に注入された溶融樹脂が直接接触するため、内部断熱層3(熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂)よりも耐熱性の高いものが用いられ、具体的にはポリイミド、ポリアミドイミド、パラキシレンポリマー又はセラミック系の断熱材が用いられる。また、外部断熱層6は、離形性を向上させる機能も有し、離形性を高めるためにフッ素やシリコーンを混合してもよい。
(作用・効果:PC薄肉成形)
図2に、本実施形態に係る射出成形用金型H(二重断熱金型)、従来の一重断熱金型J1、従来の表面断熱金型J2によって形成されたキャビティ1内に、夫々、溶融樹脂(PC)を注入し、薄肉(肉厚0.35mm)の製品を射出成形する際の経過時間と金型表面温度との関係を示す。図2中、実線が本発明(二重断熱金型H)、一点鎖線が従来1(一重断熱金型J1)、破線が従来2(表面断熱金型J2)のグラフである。一点鎖線の一重断熱金型J1、破線の表面断熱金型J2については、「発明が解決しようとする課題」の欄で述べたので説明を省略する。
実線で示す本実施形態に係る射出成形用金型H(二重断熱金型)によれば、図1(a)に示すように、金属層4が、内部断熱層3によって基材2から断熱されていると共に、外部断熱層6によってキャビティ1内に射出された溶融樹脂に対して断熱される。このため、図2の領域aで示すように、キャビティ1内に溶融樹脂を注入した直後、その溶融樹脂の熱が金属層4に伝わる前に、外部断熱層6の表面(金型表面)が瞬時に昇温し、金型表面のピーク温度をガラス転移温度(約150℃)以上に高めることができる。この結果、一点鎖線で示す一重断熱金型J1よりも金型表面のピーク温度を高めることができる。
その後、二重断熱金型Hでは、溶融樹脂の熱が外部断熱層6を介して金属層4に伝わって吸熱され、金型表面の温度が低下する(図2の領域b参照)。この際、金属層4は内部断熱層3によって基材2から断熱されていて金属層4の熱容量が基材2から熱的に遮断された限定的なものとなっているので、金属層4は溶融樹脂によって容易にその熱容量一杯近くまで加熱されて蓄熱することになり、溶融樹脂の熱エネルギーを一時的に極短時間(0.5秒〜1秒程度)ストレージする(図2の領域c参照)。この結果、金型表面がガラス転移温度以上となる時間を、破線で示す表面断熱金型J2よりも長くでき、キャビティ1内の樹脂の流動性を射出成形における保圧時間まで確保することが可能となる。その後、金属層4にストレージされた熱エネルギーは、内部断熱層3を介して基材2に伝達され、金型表面の温度が低下する(図2の領域d参照)。
以上述べたように、本実施形態の二重断熱金型Hによれば、図2の領域aに示すように、キャビティ1内に溶融樹脂を注入した直後に瞬時に金型表面の温度がガラス転移温度以上に上昇し、一点鎖線で示す一重断熱金型J1よりも高くなり、且つ、図2の領域b、cに示すように、金型表面がガラス転移温度以上となる時間を、破線で示す表面断熱金型J2よりも長くでき、射出成形における保圧時間まで長くできる。この結果、製品の表面の仕上がり・品質(光沢等)が向上して所謂ピアノブラックが得られ、且つ、キャビティ1内の隅々まで溶融樹脂を確実に行き渡らせることができ、ショートショット等の不具合を回避できる。
また、図1(a)に示す内部断熱層3が、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を有し、基材2と金属層4とを接合する接着剤を兼ねているので、接着剤を用いることなく基材2と金属層4とを接合できる。また、金属層4の表面に、キャビティ1内で成形される製品に細かな凹凸を付与するための加飾部を形成することで、製品にシボや文様を付与できる。金属層4の表面には外部断熱層6がコーティングされているものの、外部断熱層6は金属層4よりも薄く形成されているので、外部断熱層6による加飾性の悪化が抑制される。また、外部断熱層6が、内部断熱層3よりも耐熱性の高いポリイミド系等の断熱材を有しているので、キャビティ1内の溶融樹脂に直接接触しても熱損傷が抑制される。また、外部断熱層6及び金属層4は、内部断熱層3に対する熱的な保護部材にもなるため、内部断熱層3の熱的劣化(例えば接着力の低下等)を抑制できる。
(PC圧肉成形:型温一定)
図3は、本実施形態に係る二重断熱金型H、従来の一重断熱金型J1、従来の表面断熱金型J2を用い、全ての金型温度(型温)を一定(110℃)として、厚肉(2.0mm)のPCを射出成形する際の経過時間と金型表面温度とのグラフである。図3にて、領域a、領域b、領域c、領域dは、図2と同様の領域であるため、説明を省略する。
図3に示すように、製品を厚肉(2.0mm)とした場合、キャビティ1内に注入された溶融樹脂の熱容量が薄肉(0.35mm)よりも大きく、その溶融樹脂の熱容量が一点鎖線で示す一重断熱金型J1の金属層4の熱容量を上回るため、一点鎖線で示す一重断熱金型J1でも金型表面の温度がガラス転移温度以上に上昇すると共に、ガラス転移温度以上となる時間も必要時間確保でき、金型として必要とされる条件を満たす(図2と図3の一点鎖線を対比)。一方、図3にて破線で示す表面断熱金型J2は、金型表面のピーク温度は十分であるが、キャビティ1内の溶融樹脂の熱エネルギーが瞬時に基材2に奪われるため、キャビティ1内の隅々まで樹脂を行き渡らせる製品部充填時間の間、ガラス転移温度を維持することが困難となる。
図3に実線で示す本実施形態に係る二重断熱金型Hも、勿論、ピーク温度が十分高く、且つ、ガラス転移温度以上となる時間も必要時間確保でき、金型として成立するが、図2に示す薄肉成形時と比べるとキャビティ1内の溶融樹脂の熱容量が過大となるため、金型の温度の低下が遅くなって、型開き時刻が遅くなり、サイクルタイムが長くなってしまう。そこで、本発明者等は、二重断熱金型Hの型温を一重断熱金型J1の型温よりも低下させることで、型開き時刻を早め、サイクルタイムを短縮化することを案出した。この点を以下に説明する。
(PC圧肉成形:型温低下)
図4は、本実施形態に係る二重断熱金型H、従来の一重断熱金型J1を用い、二重断熱金型Hの型温(90℃)を一重断熱金型J1の型温(110℃)よりも下げて、厚肉のPCを射出成形する際の経過時間と金型表面温度とのグラフである。なお、図3にて破線で示す表面断熱金型J2は、上述のように型温(110℃)においてもガラス転移温度以上のキープ時間が短すぎるので比較対象から除外した。図4にて、領域a、領域b、領域c、領域dは、図2と同様の領域であるため、説明を省略する。
図4に示すように、二重断熱金型Hの場合、型温を下げても(90℃)、ガラス転移温度以上のキープ時間を、型温が高い(110℃)一重断熱金型J1と同等の時間を確保できる。従って、製品の品質は、型温が高い(110℃)の一重断熱金型J1と同等となる。すなわち、一重断熱金型J1の場合、PC2mm厚の製品を成形する場合、金型温度を110℃程度まで上げる必要があるが、二重断熱金型Hの場合、金型温度は90℃でも同等の効果が得られる。このように、二重断熱金型Hでは、一重断熱金型J2と比べて、型温を下げているので、冷却時間を短縮でき、型開き時刻が早まり、サイクルタイムを短くできる。加えて、金型温度を下げられれば、コストダウンとなると共に、環境にも優しい金型となる。
以上、添付図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した各実施形態に限定されないことは勿論であり、特許請求の範囲に記載された範疇における各種の変更例又は修正例についても、本発明の技術的範囲に属することは言うまでもない。
本発明は、溶融した熱可塑性樹脂が充填されるキャビティを形成する射出成形用金型に利用できる。
1 キャビティ
2 基材
3 内部断熱層
4 金属層
6 外部断熱層
H 射出成形用金型(二重断熱金型)

Claims (3)

  1. 溶融した熱可塑性樹脂が充填されるキャビティを形成する射出成形用金型であって、前記キャビティ内で成形される製品の形状に応じた表面を有する金属製の基材と、該基材の表面に設けられた熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を主とする接着剤の機能を備えた内部断熱層と、
    該内部断熱層の表面に設けられた金属層と、
    該金属層の表面に設けられた前記内部断熱層よりも耐熱温度の高いポリイミド、ポリアミドイミド、パラキシレンポリマー又はセラミック系の断熱性を備えた外部断熱層とを備え、
    該外部断熱層が前記キャビティに臨んでおり、
    前記金属層が、前記内部断熱層によって前記基材から断熱されていると共に、前記外部断熱層によって前記キャビティ内に射出された溶融樹脂に対して断熱される、ことを特徴とする射出成形用金型。
  2. 前記金属層の表面に、前記キャビティ内で成形される製品に凹凸を付与するための加飾部が形成された、ことを特徴とする請求項1に記載の射出成形用金型。
  3. 前記外部断熱層が、前記金属層よりも薄い、ことを特徴とする請求項1または2に記載の射出成形用金型。
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