JP2002283355A - 樹脂成形金型 - Google Patents

樹脂成形金型

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JP2002283355A
JP2002283355A JP2001092884A JP2001092884A JP2002283355A JP 2002283355 A JP2002283355 A JP 2002283355A JP 2001092884 A JP2001092884 A JP 2001092884A JP 2001092884 A JP2001092884 A JP 2001092884A JP 2002283355 A JP2002283355 A JP 2002283355A
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mold
temperature control
cavity
temperature
resin
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Takeshi Nishizawa
健 西澤
Kenji Kasai
賢治 葛西
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Toray Industries Inc
Toray Plastics Precision Co Ltd
Original Assignee
Toray Industries Inc
Toyo Plastics Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂成形において、成形品精度の向上と成形サ
イクル短縮によるコストダウンを共に実現するために、
金型キャビティ部近傍を均一に効率的に温度制御し、か
つキャビティ内の溶融樹脂を急速に冷却できる簡単な構
造の樹脂成形金型を提供する。 【解決手段】金型全体温調部が、熱媒体によるキャビテ
ィ近傍温調部と、その熱媒体の保有熱が金型分割面方向
に伝導し、金型全体に拡散しないための金型全体温調部
とから構成されており、キャビティ近傍温調部が固定側
金型と可動側金型の少なくとも一方の放電プラズマ焼結
法により加工された入れ駒に形成されている樹脂成形金
型。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形および圧
縮成形等に用いられる樹脂成形金型、特に好適には15
0℃以上に昇温して使用する樹脂成形金型であって、キ
ャビティ部近傍を精度良く温度制御し、溶融樹脂を急速
に冷却するための金型温調構造を有する樹脂成形金型に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電製品やOA機器、自動車部品、
レンズに代表される光学製品等あらゆる製品にプラスチ
ック(樹脂)成形品が使用されるに伴い、成形品精度向
上や成形サイクル短縮によるコストダウンの要求が年々
大きくなっている。これらの要求を満足するため、樹脂
成形金型には様々な技術が取り入れられている。
【0003】樹脂成形法の一つである射出成形の金型に
おける従来技術としては、特開平7−329068号公
報に開示されているように、金型キャビティ部表面に熱
容量の小さい薄膜電気抵抗体を形成し、キャビティ部表
面のみを急速に加熱冷却する方法が知られている。この
方法では、最小限の成形サイクル延長で、「ひけ」や
「ウエルド」など成形品表面不良の解消や、転写性の向
上つまり成形品精度向上が図れる。しかしながら、イオ
ンプレーティングやスパッタリング等によるTiNなど
の薄膜電気抵抗体形成や、通電部等を付加することによ
る金型構造の複雑化、それに伴う部品交換等のメンテナ
ンス費増大により金型費用が高くなるため、成形品のコ
ストダウンは実現できない。したがって、このような薄
膜電気抵抗体を利用した金型は、成形品精度要求が非常
に高い場合にしか利用されていないのが現実である。
【0004】また別の技術としては、特開2000−1
35727号公報に開示されているように、金型キャビ
ティ部近傍に加熱媒体を配置し、その媒体の熱が金型全
体に伝導しないよう熱伝導方向を制御する断熱層を配置
し、金型全体は別の加熱媒体でキャビティ部近傍よりも
低い温度に制御することで、キャビティ部近傍を速やか
に加熱冷却し、成形サイクルを短縮する方法が知られて
いる。この方法は、成形品精度の向上だけでなく、簡単
な金型構造で実現できるため金型費用も比較的安価とな
る。しかしながら、成形品の形状が複雑になり、コアピ
ンやアンダーカット部のためのスライドコアが増える
と、突き出し機構との位置干渉や機械加工の制約によ
り、キャビティ表面温度が均一となる理想的な加熱媒体
の配置が極めて困難になる。そのために、キャビティ表
面温度の均一レベルを下げる、もしくはキャビティ表面
から加熱媒体を遠ざける結果となる。キャビティ表面温
度の均一レベルを下げることは、成形品の表面品位を悪
くすることや、冷却時間差に起因する成形品の形状変化
を導く。また、キャビティ表面から加熱媒体を遠ざける
と、成形品取り出しの型開き時にキャビティ表面が周囲
環境により冷却されるため、成形サイクル中のキャビテ
ィ表面温度変動が大きくなり、精度の高いキャビティ表
面温度制御が難しくので、容易に溶融樹脂冷却時間を短
くすることができない。したがって、複雑な成形品形状
の場合は、成形品精度の向上と成形サイクル短縮による
コストダウンの両方を同時に図れないのが現実である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術の問題点の解消を目的に、金型キャビティ部近傍
を均一に効率的に温度制御し、キャビティ内の溶融樹脂
を急速に冷却できる簡単な金型構造を有する樹脂成形金
型を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の樹脂成形金型は、固定側金型と可動側金型
により形成されるキャビティ部と、キャビティ部への溶
融樹脂流路と、キャビティ部に流入した溶融樹脂を冷却
固化する金型温調部と、冷却固化した樹脂を固定側金型
と可動側金型の型開き後に離型するための突き出し機構
を備えた樹脂成形金型において、金型温調部が熱媒体に
よるキャビティ近傍温調部と、その熱媒体の保有熱が金
型分割面方向に伝導し、金型全体に拡散しないための金
型全体温調部とから構成されており、かつキャビティ近
傍温調部の熱媒体流路が固定側金型と可動側金型の少な
くとも一方の入れ駒に形成され、該入れ駒が放電プラズ
マ焼結法により加工された入れ駒であることを特徴とす
るものである。
【0007】また、上記樹脂成形金型において、入れ駒
は、溶融樹脂温度以上の焼き戻し温度で熱処理された金
属であることが好ましい。
【0008】また、上記樹脂成形金型において、キャビ
ティ近傍温調部の熱媒体は、150℃以上の温度に昇温
可能な温調油であることが好ましい。
【0009】また、上記樹脂成形金型において、金型全
体温調部が熱媒体の循環による温調機構を有し、かつキ
ャビティ近傍温調部と独立温度制御可能であることが好
ましい。
【0010】あるいは、上記樹脂成形金型において、金
型全体温調部が発熱体による温調機構を有し、かつキャ
ビティ近傍温調部と独立温度制御されているものでも良
い。
【0011】さらには、上記樹脂成形金型において、前
記金型全体温調部が断熱層による温調機構を有するもの
でも良い。
【0012】なお、金型分割面において、固定側金型と
可動側金型が嵌め合い構造を成し、キャビティ部を形成
する固定側金型の表面と可動側金型の表面の少なくとも
一方が凹部の内面であることが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を
参照しながら説明する。なお実施形態の説明は、樹脂成
形法の一つである射出成形の金型に関して行なうが、圧
縮成形などの樹脂成形金型に関しても基本的に同じ構造
である。図1、図4、図5は本発明の温調構造をもつ樹
脂成形金型の断面図、図2は図1の樹脂成形金型が開い
た状態の断面図、図3は金型全体温調部が断熱層である
金型断面図、図6はキャビティ近傍温調部の配置図、図
7は放電プラズマ焼結法の基本構成図である。
【0014】図1に示すように、本発明における射出成
形金型は、固定側金型1と可動側金型2により形成させ
るキャビティ部3と、キャビティ部3への溶融樹脂流路
4と、キャビティ部3に流入した溶融樹脂を冷却固化す
る金型温調部6と、冷却固化した樹脂を固定側金型1と
可動側金型2の型開き後に離型するための突き出し機構
5を備えている。
【0015】金型温調部6は、熱媒体によるキャビティ
近傍温調部61と、その熱媒体の保有熱が金型分割面
(PL)方向に伝導し、金型全体に拡散しないための金
型全体温調部62とから構成される。
【0016】キャビティ近傍温調部61の熱媒体として
は、外部温調装置により温度制御された水や油、エチレ
ングリコールなどの熱媒体を用いることができる。成形
作業や金型メンテナンス作業の容易性を考慮すると水を
使用することが好ましい。しかしながら、実際には、キ
ャビティ部3の設定温度により熱媒体の使い分けが必要
である。例えば、キャビティ部3の設定温度が90℃未
満の場合は通常の温調水、90℃以上150℃未満の場
合は外部装置により圧縮された加圧温調水、150℃以
上の場合は150℃以上に昇温可能な温調油を基準に使
用熱媒体を決定することが推奨される。なお、油には合
成系や鉱物系などの種類が存在するるが、熱媒体として
用いる場合は、熱劣化の少ない合成系の油を使用するこ
とが望ましい。
【0017】一般に、キャビティ部1の設定温度が90
℃以上になると、温調設備の費用と成形作業の容易性と
から判断し、金型全体をカートリッジヒータのみにより
温度制御して射出成形する場合が多い。しかしながら、
カートリッジヒータのみでは、キャビティ部3に流入し
た溶融樹脂の熱を金型外部へ移動させる熱媒体がないた
め、溶融樹脂の冷却時間が長くなる。つまり成形サイク
ルの時間短縮化を図ることができない。したがって、本
発明の樹脂成形金型のキャビティ近傍温調部61には、
溶融樹脂と積極的に熱交換を行なうため、上記に示した
ような温度制御された熱媒体の使用が必要となる。
【0018】次に、キャビティ近傍温調部61の配置に
関して、樹脂成形品の精度要求が高い場合には、キャビ
ティ部3表面の温度分布を均一にすることが必須とな
る。a)例えば、キャビティ近傍温調部配管径φがdの
場合、図6に示すように、キャビティ部3表面からの距
離3d、ピッチ5dの配置を基準とし、配管断面が矩形
の場合は相当円管直径で同様の配置を行なう、b)キャ
ビティ部3表面の温度が最も高いところから熱媒体を流
入する、c)キャビティ部3表面の温度分布均一性を向
上するには、配管ピッチを狭くして本数を増やすことが
好ましい。しかしながら、樹脂成形品の形状が複雑にな
り、コアピンやアンダーカット部のためのスライドコア
が増えると、突き出し機構5との位置干渉や機械加工の
制約により、キャビティ部3表面に対して、図6に示す
位置関係の熱媒体配置が極めて困難になる。この場合、
固定側金型1の固定側型板11と可動側金型2の固定側
型板21の少なくとも一方に固定側入れ駒10と可動側
入れ駒20をはめ込み、その固定側入れ駒10と可動側
入れ駒20に熱媒体の配管を加工することが好ましい。
なお、キャビティ近傍温調部61を有するこれらの固定
側入れ駒10と可動側入れ駒20は、放電プラズマ焼結
(Spark Plasma Sintering:以
下SPS)法により加工することが望ましい。
【0019】SPS法とは、図7に基本構成を示したと
おり、真空チャンバー74内のパンチ72とグラファイ
ト型73で形成した空間に存在する焼結する粉末70
に、加圧制御装置76で調整した荷重を与え、電極71
に接続した外部電源75によるパルス状の直流大電流を
通電する。その際に、焼結する粉末70の圧縮粒子間で
発生する放電プラズマのエネルギーにより焼結する粉末
70を急激に昇温し、焼結する加工法である。SPS法
は、もともと焼結する粉末70の焼結方法であるが、固
体Aと固体Bの間に両固体材料の粉末を分散比を調整し
ながら配置すれば、固体Aと固体Bの接合も可能であ
る。また最近では、パルス電流値やパルス電圧値、接合
のための荷重、真空度などプロセスパラメータを最適化
すれば、グラファイト型73や分散比を調整した粉末を
用いることなく固体Aと固体Bを接合することも可能で
あり、接合する2つの固体が同材料の場合には、単体の
引張強度と同程度の引張強度を有する接合体を造ること
も可能になっている。
【0020】上述したSPS法により複数部材を接合し
固定側入れ駒10と可動側入れ駒20を製作すると、接
合前の各部材にキャビティ近傍温調部61の熱媒体の配
管の一部を加工することで、通常の機械加工では実現不
可能な配管経路を有する固定側入れ駒10と可動側入れ
駒20を製作することができる。このため、突き出し機
構5との位置干渉を最小限に抑えて、キャビティ近傍温
調部61をキャビティ部3の近傍に配置することができ
る。つまり、キャビティ部3表面の温度分布を均一に保
ち、かつ溶融樹脂の急速冷却を行なうことができる。
【0021】なお、SPS法により製作した固定側入れ
駒10と可動側入れ駒20は、溶融樹脂温度以上の焼き
戻し温度で熱処理することが好ましい。接合前の各部材
を溶融樹脂温度以上の焼き戻し温度で熱処理し、SPS
法により接合して固定側入れ駒10と可動側入れ駒20
を製作しても良い。
【0022】一般に、入れ駒の材質にはプリハードン鋼
や焼き入れ焼き戻し鋼が使用されるが、焼き戻し温度を
溶融樹脂温度以上にすることで、溶融樹脂からの圧力と
熱による損傷を抑え、固定側入れ駒10と可動側入れ駒
20の設計加工寸法を、金型設定寿命になるまで維持す
ることができる。但し、焼き戻し温度と表面硬度とは密
接な関係があり、焼き戻し温度の変化に表面硬度が敏感
に変化する金属もあるので、材料選定に際しては金属の
特性を確認する必要がある。
【0023】金型全体温調部62は、その主機能がキャ
ビティ近傍温調部61の熱媒体保有熱を金型分割面(P
L)方向に伝導し、金型全体に拡散させないことを意図
するものであるから、図1に示したように、固定側金型
1の固定側型板11と可動側金型2の可動側型板21の
キャビティ部3から離れたところに、キャビティ部3と
キャビティ近傍温調部61を囲むように配置すれば良
い。一般に可動側金型2には受け板22を設ける場合が
多いが、そのときには、熱媒体保有熱を金型分割面(P
L)方向に伝導をより効率的に行なうために、図示した
ように受け板22にも金型全体温調部62を配置するこ
とが好ましい。
【0024】本発明において、金型全体温調部62に
は、キャビティ近傍温調部61と同様に、外部温調装置
により温度制御された熱媒体を用いることができる。金
型全体温調部62の熱媒体温度をキャビティ近傍温調部
61と独立制御し、意図的に、金型全体に温度勾配をつ
くることにより、キャビティ近傍温調部61の熱媒体保
有熱の伝導方向を制限し、常に金型分割面(PL)側に
熱伝導し易い状態を保つことができる。なお、金型全体
温調部62の熱媒体についても、水や油、エチレングリ
コールなどを用いることができるが、金型温度に応じて
最適なものを使用することが好ましい。
【0025】金型全体温調部62の機能により、キャビ
ティ近傍温調部61はキャビティ部3の極近傍、つまり
熱容量の小さい部分のみを温度制御すれば良く、短時間
でキャビティ部3の表面温度が変更できる。また、図2
に示すように、冷却固化した樹脂を離型する際に固定側
金型1と可動側金型2が型開きすると、金型は周囲空気
の対流熱伝達により分割面PL部から急速に冷却され
る。型開き時の冷却影響は金型温度が高いほど大きく、
設定温度と実際のキャビティ部3表面温度の差を大きく
する原因の一つとなる。しかし本発明の金型では、型開
き時にキャビティ近傍温調部61の熱媒体保有熱を分割
面PL部に急速に供給できるので、一般の金型に比べ
て、設定温度と実際のキャビティ部3表面温度の差を小
さくすることが可能である。このことは、キャビティ部
3表面温度制御の安定化を意味し、成形品の精度安定に
も繋がる。
【0026】また、キャビティ近傍温調部61の熱媒体
保有熱の熱伝導方向が規制できれば良いため、金型全体
温調部62には、発熱体による温調機構を設けることが
できる。具体的にはカートリッジヒータを用いることが
できる。金型温度が高くなると、設備費や作業性から、
熱媒体よりもカートリッジヒータを使用する方が利点の
ある場合も多い。
【0027】あるいは、金型全体温調部62には、断熱
層による温調機構を設けることができる。断熱層として
は、セラミックスやフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂の
他に空気を用いることもできる。空気の場合、金型強度
を設計時に十分に考慮しなければならないが、金型に空
隙を設けるだけで実現できるため非常に便利である。
【0028】上述した温調構造を有する樹脂成形金型を
用いると、樹脂成形品の精度向上と溶融樹脂の急速冷却
を同時に図ることができる。なお、成形部品の形状や精
度が重要な寸法は部品の要求機能により決定されるた
め、図1や図2に示すようにキャビティ部3表面の全て
が金型分割面(PL)に対して凹部の内面になっている
よりも、図4に示すように、金型分割面(PL)におい
て、固定側金型1と可動側金型2が嵌め合い構造を成
し、キャビティ部3の寸法精度要求の厳しい部分が、固
定側金型1と可動側金型2のどちらか一方の凹部内面の
底を形成し、他方が凸部になっている方が好ましい場合
もある。その際には、図5に示すように、凸部の外側に
おいて固定側金型1と可動側金型2が嵌め合い箇所をも
う一つ作ることが望ましい。キャビティ部3表面を全て
凹部の内面することで、型開き時のキャビティ部3表面
近くの空気流れを小さくし、対流熱伝達による冷却影響
を小さくすることができる。金型分割面(PL)におけ
る嵌合構造により、成形サイクル中のキャビティ部3表
面の温度変動を小さくすることができる。
【0029】本発明の樹脂成形金型は、アクリルニトリ
ル・ブタジエン・スチレン(ABS)共重合体、ポリア
ミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(P
E)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリア
セタール(POM)、ポリプロピレン(PP)、ポリス
チレン(PS)、ポリアミドイミド(PAI)などの各
種樹脂、およびガラス繊維や炭素繊維の強化繊維を混合
した各種樹脂の成形に用いることができる。なお、金型
設定温度が高くなるほど本発明の効果が現れるため、上
記樹脂の中でも特に、成形金型の設定温度が200℃以
上であるポリアミドイミド樹脂の成形に本発明の樹脂成
形金型に好ましく用いられる。
【0030】また、本発明の樹脂成形金型は、射出成形
をはじめ、圧縮成形、ブロー成形、トランスファー成形
などの樹脂成形方法に適用できるため、上記樹脂の成形
方法を限定することはない。
【0031】
【実施例】以下、本発明の樹脂成形金型の実施例につい
て具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限
定されるものではない。
【0032】ポリアミドイミド樹脂:東レ(株)製「T
I−5013」の機械部品の射出成形に使用する金型と
して、モールドベースは双葉電子工業(株)の3プレー
トタイプ・Dシリーズ「MDCDA253540406
0YWBのH240」を使用し、材質はS55Cを採用
した。固定側金型1の固定側型板11と可動側金型2の
可動側型板21の両方に、各々固定側入れ駒10と可動
側入れ駒20をはめ込む構造とした。
【0033】固定側入れ駒10と可動側入れ駒20は、
幅4mm×深さ3mmの矩形溝を加工したプレートを含
む計4枚のプレートをSPS法により接合した後、射出
成形機でのポリアミドイミド樹脂の溶融温度が320℃
以上になることを考慮して、焼き戻し温度500℃以上
(表面硬度HRC58〜60)で熱処理し製作した。プ
レート材質には、焼き入れ焼き戻し鋼である大同特殊鋼
(株)「DC53」を採用した。なお、矩形溝をキャビ
ティ近傍温調部61の熱媒体流路として使用するため、
相当円管直径をもとにキャビティ部3表面からの距離と
溝ピッチを求め、接合後にその配置が実現するようにプ
レート寸法を設計した。
【0034】また、各入れ駒には、テーパネジR1/4
を2カ所加工してステンレス管を接続し、外部温調装置
との直接接続を可能とした。熱媒体には合成系の油であ
る総研化学(株)製「NEO SK1400」を使用
し、外部温調装置には、レグロプラス社製温度調整装置
「301DG」を採用した。この装置は、内部タンクに
設けたヒータと温度センサにより、最高温度約350℃
まで油温度をコントロールできる。
【0035】さらに、固定側入れ駒10と可動側入れ駒
20は、長さ10mm、角度15°のテーパ合わせと
し、キャビティ部3の大部分が可動側入れ駒20の凹部
底面、つまり可動側金型2側に配置される形状とした。
【0036】金型全体温調部62には、長さ350m
m、径φ9.5mmのサイズを有する220V、500
Wのカートリッジヒータを8本用いた。カートリッジヒ
ータは、固定側型板11、ランナーストリッパプレー
ト、可動側型板21、受け板22に各々2カ所加工した
φ9.6貫通穴に成形機操作側−反操作側方向に挿入し
た。なお、K熱電対を固定側金型1と可動側金型2に取
り付け、その温度測定値をもとにカートリッジヒータの
ON/OFFを行ない、金型全体の温度制御を実施し
た。
【0037】上記金型を型締力75tのトグル式射出成
形機:住友重機(株)製「SG75SM4」に搭載し、
ポリアミドイミド樹脂の機械部品を射出成形した。 a)まず、固定側金型1と可動側金型2が閉じて形成さ
れたキャビティ部3に、射出成形機により、溶融された
ポリアミドイミド樹脂が樹脂流路4を流れて充填され
る。 b)充填が完了した溶融樹脂は、キャビティ部3表面と
接しており、溶融樹脂の近傍にあるキャビティ近傍温調
部61の温調油と熱交換することで急速に冷却される。 c)時間経過ともに冷却が進み、溶融樹脂が十分に冷却
固化してから可動側金型2を移動させ、金型分割面(P
L)で金型を開く。 d)その後、突き出し機構5が作動し、キャビティ部3
の形状に冷却固化した樹脂、つまりポリアミドイミド樹
脂の射出成形品が取り出される。 以下、a)からd)を1サイクルとして繰り返すに従
い、射出成形品を得ることができる。
【0038】なおd)の動作中は、固定側金型1と可動
側金型2が開いているため、キャビティ部3表面は周囲
空気流れによる対流熱伝達により冷却されるが、金型全
体温調部62がつくる金型内温度勾配により、キャビテ
ィ近傍温調部61の温調油の保有熱がキャビティ部3表
面方向に伝導する。このため、キャビティ部3表面温度
の低下は通常の金型に比べて小さくなり、1サイクルを
通じてキャビティ部3表面温度の変化を小さくできた。
【0039】成形条件の最適化検討を行なうことで、カ
ートリッジヒータのみの温調構造を有した従来金型での
成形に比べて、成形サイクルが約2割短縮し、成形品寸
法バラツキも減少することができた。
【0040】
【発明の効果】本発明の樹脂成形金型によれば、簡単な
金型温調構造により、キャビティ部近傍を均一に効率的
に温度制御し、キャビティ内の溶融樹脂を急速に冷却す
ることができる。したがって、成形品精度の向上と安定
化による品位向上と同時に、成形サイクル短縮による成
形品コストダウンを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の樹脂成形金型の実施形態を例
示する金型断面図1である。
【図2】図2は、図1の樹脂成形金型が開いた状態の断
面図である。
【図3】図3は、本発明の樹脂成形金型全体温調部が断
熱層である金型断面図である。
【図4】図4は、本発明の他の樹脂成形金型の実施形態
を例示する金型断面図2である。
【図5】図5は、本発明の他の樹脂成形金型の実施形態
を例示する金型断面図3である。
【図6】図6は、キャビティ近傍温調部の配置図であ
る。
【図7】図7は、SPS法の基本構成図である。
【符号の説明】
1 ・・・ 固定側金型 10 ・・・ 固定側入れ駒 11 ・・・ 固定側型板 2 ・・・ 可動側金型 20 ・・・ 可動側入れ駒 21 ・・・ 可動側型板 22 ・・・ 受け板 3 ・・・ キャビティ部 4 ・・・ 溶融樹脂流路 5 ・・・ 突き出し機構 6 ・・・ 金型温調部 61 ・・・ キャビティ近傍温調部 62 ・・・ 金型全体温調部 70 ・・・ 焼結する粉末 71 ・・・ 電極 72 ・・・ パンチ 73 ・・・ グラファイト型 74 ・・・ 真空チャンバー 75 ・・・ 外部電源 76 ・・・ 加圧制御装置 d ・・・ キャビティ近傍温調部配管径
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 葛西 賢治 静岡県駿東郡清水町柿田757東洋プラスチ ック精工株式会社三島工場内 Fターム(参考) 4F202 AA40 CA11 CB01 CK41 CK54 CN01 CN05 CN22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固定側金型と可動側金型により形成され
    るキャビティ部と、該キャビティ部への溶融樹脂流路
    と、該キャビティ部に流入した溶融樹脂を冷却固化する
    金型温調部と、冷却固化した樹脂を該固定側金型と該可
    動側金型の型開き後に離型するための突き出し機構を備
    えた樹脂成形金型において、該金型温調部が熱媒体によ
    るキャビティ近傍温調部と、該熱媒体の保有熱が金型分
    割面方向に伝導し、金型全体に拡散しないための金型全
    体温調部とから構成されており、かつキャビティ近傍温
    調部の熱媒体流路が固定側金型と可動側金型の少なくと
    も一方の入れ駒に形成され、該入れ駒が放電プラズマ焼
    結法により加工された入れ駒であることを特徴とする樹
    脂成形金型。
  2. 【請求項2】 入れ駒が、溶融樹脂温度以上の焼き戻し
    温度で熱処理された金属であることを特徴とする請求項
    1記載の樹脂成形金型。
  3. 【請求項3】 キャビティ近傍温調部の熱媒体が、15
    0℃以上の温度に昇温可能な温調油であることを特徴と
    する請求項1または2記載の樹脂成形金型。
  4. 【請求項4】 金型全体温調部が熱媒体の循環による温
    調機構を有し、かつキャビティ近傍温調部と独立温度制
    御可能であることを特徴とする請求項1から請求項3の
    いずれかに記載の樹脂成形金型。
  5. 【請求項5】 金型全体温調部が発熱体による温調機構
    を有し、かつキャビティ近傍温調部と独立温度制御可能
    であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれ
    かに記載の樹脂成形金型。
  6. 【請求項6】 金型全体温調部が断熱層による温調機構
    を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいず
    れかに記載の樹脂成形金型。
  7. 【請求項7】 金型分割面において、固定側金型と可動
    側金型が嵌め合い構造を成し、キャビティ部を形成する
    該固定側金型の表面と該可動側金型の表面の少なくとも
    一方が凹部の内面であることを特徴とする請求項1から
    請求項6のいずれかに記載の樹脂成形金型。
  8. 【請求項8】 ポリアミドイミド樹脂の射出成形に使用
    する請求項1から請求項7のいずれかに記載の樹脂成形
    金型。
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