JP3444698B2 - ポリアセタール樹脂から成る成形品、及びポリアセタール樹脂から成る成形品の射出成形方法 - Google Patents

ポリアセタール樹脂から成る成形品、及びポリアセタール樹脂から成る成形品の射出成形方法

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JP3444698B2
JP3444698B2 JP15251895A JP15251895A JP3444698B2 JP 3444698 B2 JP3444698 B2 JP 3444698B2 JP 15251895 A JP15251895 A JP 15251895A JP 15251895 A JP15251895 A JP 15251895A JP 3444698 B2 JP3444698 B2 JP 3444698B2
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cavity
injection molding
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久志 田原
敏明 泉田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリアセタール樹脂か
ら成る成形品の射出成形方法に関し、更に詳しくは、例
えば歯車、ギア、カム等といった表面に凹凸形状を有す
るポリアセタール樹脂から成る成形品の成形に適した射
出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、結晶性樹脂は、結晶化すること
により、密度や融点が高くなり、硬度や弾性率等が大き
くなる。また、結晶性樹脂は、水分や染料、可塑化剤高
分子等が結晶組織へ入り込み難いといった特徴を有して
おり、耐薬品性にも優れている。結晶性樹脂の中でも、
特にポリアセタール樹脂は、耐薬品性、力学特性、熱的
特性に加え、摺動特性、耐摩擦摩耗特性が非常に優れて
いるため、歯車、軸受け、カム等の機構部品に多く使わ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】通常、ポリアセタール
樹脂の射出成形においては、金型温度がポリアセタール
樹脂の荷重撓み温度以下の10〜50゜Cの範囲で設定
されることが多い。然るに、このような金型温度条件で
は、溶融樹脂を金型に設けられたキャビティ内に射出し
た直後に、キャビティの金型面でポリアセタール樹脂は
急激に冷却される。その結果、ポリアセタール樹脂から
成る成形品の表面に、スキン層と呼ばれる非晶質層ある
いは結晶化度の低い微細な結晶層が形成される。このよ
うな状態の成形品は、短期的な使用あるいは使用条件が
厳しくない部品に対して適用可能である。しかしなが
ら、スキン層の存在によって、成形品の耐摩擦摩耗特性
といった長期耐久性が低下したり、摺動特性が劣化する
といった問題がある。また、平板形状の成形品よりも表
面に凹凸形状を有する成形品の方が結晶化の状態が悪
い。従って、歯車等の多くの凹凸部分を表面に有する成
形品ほど、得られた成形品の特性が劣化し易いという大
きい問題がある。
【0004】例えば140゜C程度に金型温度を上げて
ポリアセタール樹脂から成る成形品の成形を試みた場
合、ポリアセタール樹脂の融点は165゜C、荷重撓み
温度が110゜Cであるために、キャビティ内に射出さ
れたポリアセタール樹脂の冷却が進行せず、あるいは
又、成形品を金型から取り出した後に成形品に後変形が
発生するという問題が生じる。一方、ポリアセタール樹
脂の荷重撓み温度以下の温度である80゜C前後に金型
温度を設定した場合、キャビティの金型面の凹凸形状
が、キャビティ内に射出されたポリアセタール樹脂に転
写され難く(即ち、転写性が悪く)、得られた成形品の
外観特性の低下及び寸法精度の低下、成形品の機能上の
性能低下といった問題が発生する。一方で、転写性向上
のために金型温度を上げると、成形サイクル時間が延長
するという問題が生じる。そのため、現状では、成形品
の表面に形成すべき凹凸形状を単純化したり、成形品に
対して要求される耐久性能を落として対応している。
【0005】従って、本発明の目的は、耐摩擦摩耗特性
や摺動特性の劣化が生じ難く、転写性に優れたポリアセ
タールから成る成形品を提供することにある。更に、本
発明の目的は、耐摩擦摩耗特性や摺動特性の劣化が生じ
難く、成形品に後変形が生じ難く、転写性に優れ、短い
成形サイクルでポリアセタール樹脂から成る成形品を成
形し得る射出成形方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明のポリアセタール樹脂から成る成形品の射出
成形方法は、溶融したポリアセタール樹脂を、150゜
C乃至210゜Cに加熱した金型のキャビティ内に射出
し、該キャビティ内を溶融したポリアセタール樹脂で充
填した後、金型を冷却して、金型温度がポリアセタール
樹脂の荷重撓み温度以下まで達した後、成形品を金型か
ら取り出すことを特徴とする。
【0007】金型温度が150゜C未満では、金型温度
が高くなるに従い、成形品の表面に形成されるスキン層
は薄くなるものの、スキン層の形成を抑制することは困
難である。一方、金型温度が210゜Cを越えると、キ
ャビティ内でポリアセタール樹脂が分解するといった問
題が生じる。金型の冷却速度は、0.8乃至5deg/
秒とすることが好ましい。
【0008】金型の加熱は、ボイラーにて生成させた高
圧蒸気を金型内に通すことによって行うことができ、金
型の冷却は、水あるいはチラーで冷却した冷却水を金型
内に通すことで行うことができる。あるいは又、金型内
に加熱あるいは冷却されたシリコンオイルを通すことに
よって、金型の加熱あるい冷却を行うこともできる。こ
れらの媒体は、所定の温度に保持された状態で金型近傍
まで配管を通じて送られ、ソレノイドバルブを介してマ
ニホールド部で合流し、金型への接続配管を通って金型
内の孔内を流れた後、系外へ排出される。媒体の流量調
整及び媒体の選択、更には金型温度の制御は、ソレノイ
ドバルブの開閉によって行うことができる。
【0009】ポリアセタール樹脂の荷重撓み温度は、A
STM D648(18.6kg/cm2荷重)に規定
された測定方法によって測定することができる。尚、金
型温度がポリアセタール樹脂の荷重撓み温度以下まで達
する前に、成形品を金型から取り出した場合、成形品に
後変形が生じる虞がある。
【0010】金型は、炭素鋼等の一般の鋼材から製作す
ることもできるが、金型温度の昇降及び安定化を図るた
めに熱伝導率に優れた金属材から作製することが好まし
い。かかる金属材として、具体的には、銅、アルミニウ
ム、ニッケル、ベリリウム銅を挙げることができる。キ
ャビティの金型面の表面硬度を保持させるために、キャ
ビティの金型面に厚さ0.01mm乃至0.2mm程度
のリン−ニッケル層を無電解メッキ等によって形成する
ことが好ましい。
【0011】本発明の射出成形方法においては、金型の
冷却の際、キャビティ内のポリアセタール樹脂を加圧圧
縮する態様を含めることができる。具体的には、固定金
型と可動金型から成る金型において、型締め時、キャビ
ティの厚さが成形品の厚さよりもやや厚くなるように可
動金型を配置し、ポリアセタール樹脂のキャビティ内へ
の射出完了後、直ちにキャビティの厚さが所望の成形品
の厚さと同じとなるように、可動金型を固定金型に向か
って移動させる。これによって、キャビティ内に射出さ
れた溶融ポリアセタール樹脂に圧力を加え続ける。その
結果、キャビティ内のポリアセタール樹脂の収縮を抑制
することができ、寸法精度の優れた成形品を得ることが
できる。この場合、キャビティ内に射出されたポリアセ
タール樹脂が金型のパーティング面から漏出しないよう
に、金型の構造を印籠構造とすることが望ましい。
【0012】各種の歯車、ギア、ラック、ピニオン、カ
ム等といった表面に凹凸形状を有するポリアセタール樹
脂から成る成形品を成形するためには、キャビティの金
型面に、成形品に凹凸部を形成するための凸凹部を設け
るが、この場合、キャビティの金型面に設けられた凸凹
部によって形成された成形品の凸部の底辺の長さ(L)
と凸部の高さ(H)の関係が、0.1≦L/H≦10、
より好ましくは、0.2≦L/H≦5の関係を満たすこ
とが好ましい。
【0013】本発明の射出成形方法を採用し、しかも、
成形品において、凸部の底辺の長さ(幅)(L)と凸部
の高さ(H)の関係が0.1≦L/H≦10、より好ま
しくは0.2≦L/H≦5を満足するように、キャビテ
ィの金型面に凸凹部を設けることによって、溶融したポ
リアセタール樹脂からの結晶の生成・成長が良好とな
り、しかも、優れた転写性を得ることができる。L/H
が0.1未満の場合、転写性が不足し、またキャビティ
内に射出された溶融樹脂の流動先端部である凸部の先端
部において結晶成長が不十分になるといった問題が生じ
る。また、凹凸部を有する成形品においては、通常、L
/Hが10以下である。尚、一般的には、凸部の高さ
(H)が10mmを越える場合、溶融樹脂の流動性が低
下し、転写性が悪くなる虞がある。ここで、凸部の底辺
の長さ(L)とは、成形品の表面に形成された凹凸部の
断面形状が台形や三角形の場合、台形や三角形の底辺の
長さを指し、凸部の高さ(H)とは、台形や三角形の高
さを指す。成形品が、例えば歯車やギアから成る場合、
凸部の底辺の長さ(L)とは、歯底円に沿った歯厚を指
し、凸部の高さ(H)とは、歯先円の半径と歯底円の半
径との差を指す。
【0014】また、金型には、キャビティを形成するた
めの入れ子が組み込まれ、この入れ子と金型との間に断
熱プレートが配設されていることが、金型の溶融樹脂と
接触する部分であるキャビティの金型面の昇温及び冷却
の際の熱効率を良くするために、更には、選択的に入れ
子のみを昇温したり冷却したりする上で、好ましい。断
熱プレートは、射出成形の温度及び圧力に耐え得る断熱
性に優れた材料であれば如何なる材料から作製すること
もでき、かかる材料として、例えばエポキシ樹脂を挙げ
ることができる。
【0015】本発明におけるポリアセタール樹脂は、分
子主鎖がメチレン基と酸素によって構成れたポリエーテ
ル構造からなる結晶性の熱可塑性樹脂であり、現在市販
されているホモポリマータイプ又はコポリマータイプの
どちらであってもよく、更には、これらに各種の安定
剤、添加剤等が添加されていてもよい。
【0016】本発明のポリアセタール樹脂から成る成形
品として、各種の歯車、ギア、ラック、ピニオン、カム
を例示することができる。成形品が、例えば歯車やギア
から成る場合、凹凸部の断面形状としては、例えばイン
ボリュート曲線やトロコイド曲線を有する形状を例示す
ることができる。
【0017】
【作用】本発明のポリアセタール樹脂から成る成形品の
射出成形方法においては、金型温度及び成形品の金型か
らの取り出し温度を規定することによって、溶融したポ
リアセタール樹脂からの結晶の生成・成長が良好とな
り、成形品の表面層を高度に結晶化することができ、成
形品の耐摩擦摩耗特性といった長期耐久性が向上し、優
れた摺動特性を得ることができる。しかも、成形品の後
変形の発生を抑制することができるので、短い成形サイ
クル時間を達成することが可能となり、成形品の製造コ
ストの低減を図ることが可能となる。
【0018】通常の、ポリアセタール樹脂の荷重撓み温
度以下の金型温度で成形された凹凸部を有する成形品
は、平板状の成形品に比べて凹凸部における結晶化度が
低く、更には、キャビティの金型面に設けられた凹凸部
を綺麗に成形品に転写することができないといった問題
がある。例えば歯車から成形品が成る場合で説明すれ
ば、結晶化度が低い場合、歯車の摩耗が著しく、長期信
頼性に欠ける。また、転写性が不足するために、動力の
伝達能力が設計値よりも劣り、歯車に要求される特性を
満足できない場合が多い。然るに、本発明の射出成形方
法においては、結晶が生成しそして成長し易い金型温度
で溶融ポリアセタール樹脂の射出を行うので、成形品の
転写性の向上及び表面の高結晶化を図ることができ、耐
久性に優れ且つ設計値とほぼ等しい特性を有する成形品
を得ることができる。
【0019】更には、本発明のポリアセタール樹脂から
成る成形品の射出成形方法においては、ポリアセタール
樹脂の射出条件の際の金型温度はポリアセタール樹脂の
融点付近あるいは融点以上であるために、キャビティ内
に射出されたポリアセタール樹脂の流動性が向上する。
その結果、射出圧力及び射出速度を低く設定できること
になり、成形品のバリの発生及びオーバーパックを防止
することができ、しかも、成形品の残留歪みの低減が可
能となる。
【0020】また、本発明のポリアセタール樹脂から成
る成形品の射出成形方法においては、キャビティの金型
面の凸凹部の形状が、従来の成形方法では転写不良が発
生したり結晶が未生成となるような形状であっても、溶
融したポリアセタール樹脂からの結晶の生成・成長が良
好となり、しかも、優れた転写性を得ることができる。
その結果、成形品の耐摩擦摩耗特性といった長期耐久性
が向上し、優れた摺動特性を得ることができる。また、
得られた成形品に、優れた外観特性、高い寸法精度を付
与することができる。
【0021】
【実施例】以下、図面を参照して、実施例に基づき本発
明の詳細を説明する。
【0022】図1の(A)に、ポリアセタール樹脂から
成る成形品の射出成形方法に適した金型の模式的な断面
図を示す。尚、この金型は、成形品の摩擦磨耗特性の評
価用試料を作製するためのものである。この金型は、固
定金型部10と可動金型部20から構成されている。金
型に設けられたキャビティ30の大きさを、150mm
×100mmとし、キャビティ30の厚さを2mmとし
た。固定金型部10及び可動金型部20には、切削加工
によって凹部が設けられており、かかる凹部に入れ子1
2,22が配設されている。入れ子12,22は、熱伝
導率に優れた銅から作製されている。入れ子12,22
と固定金型部10及び可動金型部20との間には、ガラ
ス繊維含浸エポキシ樹脂から成る断熱プレート16,2
6が配設されている。入れ子12,22のキャビティを
構成する面には、厚さ0.05mmのリン−ニッケルの
無電解メッキ層(図示せず)が形成されている。金型は
印籠構造となっており、キャビティ30内に射出された
溶融ポリアセタール樹脂を例えば3mm圧縮することが
可能な構造である。
【0023】キャビティの一方の金型面30A(より具
体的には、入れ子22のキャビティを構成する面)に
は、成形品に凹凸部を形成するための凸凹部が設けられ
ている。成形品の凸部の底辺の長さ(L)が0.1m
m、凸部の高さ(H)が0.3mmとなるように、キャ
ビティの金型面30Aに凸凹部を設けた。この場合、L
/Hの値は0.33である。具体的には、図1の(B)
にキャビティの金型面30Aを拡大した一部断面図を示
すように、キャビティの金型面30Aには凸部34と凹
部32が設けられており、凹部32の断面形状は三角形
である。凹部32の開口部分の幅(w)が成形品の凸部
の底辺の長さ(L=0.1mm)に相当し、凹部32の
深さ(d)が成形品の凸部の高さ(H=0.3mm)に
相当する。キャビティの他の金型面は平坦である。
【0024】射出成形機として、射出圧縮機能を有する
縦型の成形機[アイダエンジニアリング株式会社製、商
品名:MAX100]を用いた。また、ポリアセタール
樹脂として、三菱エンジニアリングプラスチックス株式
会社製、商品名:ユピタールF20−03(融点:16
5゜C、荷重撓み温度:110゜C)を用いた。金型を
昇温させる装置として、小型電気ボイラー[日本電熱株
式会社製、商品名:EB20]を用い、かかる小型電気
ボイラーにて発生させた蒸気を加熱媒体として用いた。
また、冷却媒体として、25゜Cの水を用いた。これら
の媒体は、所定の温度に保持された状態で金型近傍まで
配管を通じて送られ、ソレノイドバルブを介してマニホ
ールド部で合流し、金型への接続配管を通って金型内の
孔部14,24内を流れた後、系外へ排出される。媒体
の流量調整、媒体の選択、金型温度の制御は、ソレノイ
ドバルブの開閉によって行うことができる。
【0025】成形品の性能評価を、スラスト式摺動試験
による摩擦摩耗特性の評価にて行った。この評価におい
ては、鈴木式試験機及び試験方法を採用した。試験にお
いては、図1に示した金型を用いて成形された平板状の
成形品試料、及びリング状の成形品試料を鈴木式試験機
にセットし、平板状の成形品試料の平滑面(入れ子12
によって形成される面)と、リング状の成形品試料の下
部端面とを接触させて摩擦摩耗特性を評価した。尚、鈴
木式試験機の概要を図2に示す。
【0026】鈴木式試験機においては、平板上の成形品
試料をリング状に外形加工し、得られた成形品試料40
を試料ホルダー42に接着する。そして、試料ホルダー
46に取り付けられたリング状の成形品試料44に所定
の面圧の荷重を加え、リング状の成形品試料44と接触
した平板状の成形品試料40を所定の線速度でモータ
(図示せず)によって回転させる。尚、リング状の成形
品試料44と接触する平板状の成形品試料40の部分
は、入れ子12によって形成される面とする。
【0027】そして、所定の測定時間が経過した後の動
摩擦係数(μ)を、以下の式から求める。 μ=(f・r)/(N・R) ここで、fは、平板状の成形品試料40に取り付けられ
たロードセル48にて測定された摩擦力であり、rは回
転軸50の中心からロードセル48までの距離であり、
Nは荷重であり、Rはリング状の成形品試料44の半径
である。尚、荷重は、(面圧)×(摺動面積)から求め
ることができる。動摩擦係数の測定を、以下の条件で行
い、動摩擦係数を算出した。 面圧 :3kgf/cm2 線速度 :10cm/秒 測定時間:20時間
【0028】また、限界PV値(面圧と線速度の積)の
測定を、以下の条件で行い、限界PV値を算出した。 面圧 :1分毎に1kgf/cm2増加させる。 線速度:10cm/秒
【0029】ここで、限界PV値とは、面圧及び線速度
の積であって、線速度を一定に保ち面圧を増加させてい
くと摩擦熱によって試料片が溶融するが、そのときの面
圧及び線速度の積である。限界PV値も鈴木式試験機を
使用して測定することができる。
【0030】更には、偏光顕微鏡(倍率:150倍)を
用いて、成形品表面近傍における結晶状態及び転写性の
観察を行った。
【0031】(実施例1)図1に示した金型を完全に閉
じ、キャビティ30の厚さを2mmに設定した。そし
て、上記のポリアセタール樹脂を、射出成形装置のシリ
ンダー(図示せず)内で樹脂温度200゜Cにて、予
め、可塑化、溶融した。また、初期の金型温度を180
゜Cに設定した。次いで、溶融したポリアセタール樹脂
をシリンダーから樹脂射出部であるゲート部18を介し
てキャビティ30内に射出した。キャビティ30を完全
に充填する量のポリアセタール樹脂を射出した後、直ち
に、ソレノイドバルブを切り替え、金型内の孔部14,
24内に水を流し、金型の冷却を行った。金型温度が5
0゜Cになるまで40秒間、冷却を行った後、成形品を
金型から取り出した。
【0032】(実施例2)キャビティ30の厚さが5m
mとなるように可動金型部20をセットしておき、実施
例1と同じポリアセタール樹脂を、射出成形装置のシリ
ンダー内で樹脂温度200゜Cにて、予め、可塑化、溶
融した。また、初期の金型温度を170゜Cに設定し
た。そして、溶融したポリアセタール樹脂を、キャビテ
ィ30内に射出した。所定量の溶融ポリアセタール樹脂
を射出した後、キャビティ30の厚さが2mmとなるよ
うに、可動金型部20を移動させ、面圧力200kgf
/cm2にて圧縮成形を行った。これと同時に、ソレノ
イドバルブを切り替え、金型内の孔部14,24内に水
を流し、金型の冷却を行った。金型温度が50゜Cにな
るまで60秒間、冷却を行った後、成形品を金型から取
り出した。
【0033】(比較例1)金型を完全に閉じ、実施例1
と同じポリアセタール樹脂を、樹脂温度200゜C、初
期の金型温度80゜Cとして、キャビティ30内に射出
した。所定量の溶融ポリアセタール樹脂を射出した後、
40秒間冷却を行った後、成形品を金型から取り出し
た。成形品の金型からの取り出し直前の金型温度は80
゜Cであった。
【0034】(比較例2)キャビティ30の厚さが5m
mとなるように可動金型部20をセットしておき、実施
例1と同じポリアセタール樹脂を、樹脂温度200゜
C、初期の金型温度80゜Cとして、キャビティ30内
に射出した。所定量の溶融ポリアセタール樹脂を射出し
た後、キャビティ30の厚さが2mmとなるように、可
動金型部20を移動させ、面圧力200kgf/cm2
にて圧縮成形を行った。所定量の溶融ポリアセタール樹
脂を射出した後、40秒間冷却を行った後、成形品を金
型から取り出した。成形品の金型からの取り出し直前の
金型温度は80゜Cであった。
【0035】一方、図示しない金型を用いて、内径20
mm、外径25.6mm、高さ15mmのリング状の成
形品試料44を成形した。ポリアセタール樹脂として、
実施例と同様に、三菱エンジニアリングプラスチックス
株式会社製、商品名:ユピタール F20−03を用い
た。また、初期の金型温度を80゜C、樹脂温度を19
0゜Cとして、射出成形を行った。尚、リング状の成形
品試料44の金型からの取り出し直前の金型温度を80
゜Cとした。
【0036】下記の表1に摩擦摩耗特性試験の結果を示
す。
【0037】
【表1】
【0038】図3の(A)及び(B)に、実施例1の成
形品の結晶状態及び成形品の表面状態を撮影した写真を
掲げる。また、図4の(A)及び(B)に、比較例1の
成形品の結晶状態及び成形品の表面状態を撮影した写真
を掲げる。尚、図3の(A)及び図4の(A)は、凹凸
が形成された成形品の表面近傍の断面写真であり、図3
の(B)及び図4の(B)は、反対側の平滑な表面近傍
の断面写真である。図4の写真において、表面の白い部
分は非晶質層である。
【0039】表1に示した摩擦摩耗特性試験の結果か
ら、実施例の成形品は比較例と比較して、低い動摩擦係
数を有し、高い限界PV値を有することが判る。また、
図3及び図4に示した写真から、実施例の成形品は、比
較例と比較して、結晶化の状態転写性に優れていること
が判る。
【0040】
【発明の効果】本発明により、成形品の表面層を高度に
結晶化することができるので、耐摩擦摩耗特性や摺動特
性の劣化が生じ難く、転写性に優れたポリアセタールか
ら成る成形品を提供することができる。また、得られた
成形品に、優れた外観特性、高い寸法精度を付与するこ
とができる。また、設計値とほぼ等しい特性を有する成
形品を提供することができる。
【0041】更には、本発明により、耐摩擦摩耗特性や
摺動特性の劣化が生じ難く、成形品に後変形が生じ難
く、転写性に優れ、短い成形サイクルでポリアセタール
樹脂から成る成形品を成形し得る射出成形方法を提供す
ることができる。これによって、成形品の製造コストの
低減を図ることが可能となる。また、成形品のバリの発
生及びオーバーパックを防止することができ、しかも、
成形品の残留歪みの低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例にて使用した金型の模式的な断面図であ
る。
【図2】摩擦摩耗特性の評価に使用した鈴木式試験機の
概要を示す図である。
【図3】実施例1の成形品の結晶状態及び成形品の表面
状態を撮影した写真である。
【図4】比較例1の成形品の結晶状態及び成形品の表面
状態を撮影した写真である。
【符号の説明】
10 固定金型部 12,22 入れ子 14,24 孔部 16,26 断熱プレート 18 ゲート部 20 可動金型部 30 キャビティ 30A キャビティの一方の金型面 32 凹部 34 凸部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 15:00 B29L 15:00 (72)発明者 松本 晋 神奈川県平塚市東八幡5丁目6番2号 三菱エンジニアリングプラスチックス株 式会社 技術センター内 (56)参考文献 特開 昭61−95907(JP,A) 特開 平5−286004(JP,A) 特開 平5−138678(JP,A) 特開 平7−112460(JP,A) 特開 平7−137073(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/26 B29C 45/37 B29C 45/56 B29C 45/73 B29D 15/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】キャビティを形成するための入れ子が組み
    込まれ、該入れ子と金型との間には断熱プレートが配設
    されており、該入れ子のキャビティを構成する面には成
    形品に凹凸部を形成するための凸凹部が設けられている
    金型を用いた、ポリアセタール樹脂から成り、表面に凹
    凸部が形成された成形品の射出成形方法であって、 溶融したポリアセタール樹脂を、150゜C乃至210
    ゜Cに加熱したキャビティ内に射出し、該キャビティ
    内を溶融したポリアセタール樹脂で充填した後、金型を
    冷却して、金型温度がポリアセタール樹脂の荷重撓み温
    度以下まで達した後、成形品を金型から取り出すことを
    特徴とする射出成形方法。
  2. 【請求項2】金型の冷却の際、キャビティ内のポリアセ
    タール樹脂を加圧圧縮することを特徴とする請求項1に
    記載の射出成形方法。
  3. 【請求項3】 前記入れ子のキャビティを構成する面に設
    けられた凸凹部によって形成された成形品の凸部の底辺
    の長さ(L)と凸部の高さ(H)の関係が、0.1≦L
    /H≦10の関係を満たすことを特徴とする請求項1又
    は請求項2に記載の射出成形方法。
  4. 【請求項4】 断熱プレートはエポキシ樹脂から成ること
    を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記
    載の射出成形方法。
  5. 【請求項5】金型の冷却速度を0.8乃至5deg/秒
    とすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれ
    か1項に記載の射出成形方法。
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