JP2004130775A - 射出成形装置およびそれに用いる構成部材ならびに表面処理方法 - Google Patents

射出成形装置およびそれに用いる構成部材ならびに表面処理方法 Download PDF

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Yusuke Hirai
平井 雄介
Tomoyuki Miyamoto
宮本 智之
Satoru Yamamoto
山本 悟
Kouichirou Akari
赤理 孝一郎
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Maxell High Tech Ltd
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Kobe Steel Ltd
Maxell High Tech Ltd
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Abstract

【課題】耐用寿命が長く、しかも成形性の良好な射出成形装置を提供する。
【解決手段】樹脂流路を形成する基材41の少なくとも樹脂と接する面が、フッ素含有DLCからなる保護膜43で覆われていることを特徴とする。
【選択図】   図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種射出成形装置およびそれに用いる例えばニードル、成形金型、スプルー、マニホールド、加熱シリンダー、スクリュー、ノズルなどの構成部材に係り、特に成形用樹脂との剥離性、あるいは成形用樹脂の流動性に優れた保護膜を有する射出成形装置およびそれに用いる構成部材ならびに表面処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融樹脂をキャビティ内に射出するノズル本体の内側にはニードルが配置されており、圧送されて来た溶融樹脂はノズル本体とニードルの間に形成された狭い隙間を通ってノズル本体の先端部からキャビティ内に射出される。そして保圧後にニードルを若干動かしてゲートシールし、その後に樹脂成形品を射出成形装置から取り出す仕組みになっている。
【0003】
なお、成形用金型に関しては、例えば下記のような特許文献1を挙げることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平1−234214号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが前記ニードルやノズル本体は通常鋼材で製作されており、成形用樹脂との剥離性が良くない。そのためこのニードルでゲートシールしたとき、成形品のゲートシール部に気泡状の突出部、バリ、剥がれなどが生じ易い。また、成形用樹脂との剥離性が悪いため、成形が終わったときニードルの周面やノズル本体の内面に樹脂が付着し、次に射出成形した際にその付着した樹脂が焼けて変色し、その焼け滓がニードルやノズル本体から剥がれてキャビティ内に押し流され、成形品に混入することがある。このようなことから製品価値が低下したり、甚だしいときには成形不良となり生産歩留りが下がるなどの欠点を有している。
【0006】
また成形金型表面上での成形用樹脂の流動性が必ずしも良好ではないから、分子量の比較的小さい樹脂が用いられ、そのために成形品の機械的強度が十分でないことがある。さらに樹脂の流れを良くするめに成形温度(ヒータ温度)を高くする必要があり、そのために消費電力が嵩むなどの欠点を有していた。
【0007】
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を解消し、成形性が良好で、しかも耐用寿命が長い射出成形装置およびそれに用いる各種構成部材ならびに表面処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明の第1の手段は、射出成形装置において樹脂流路を形成する基材の成形用樹脂と接する面の一部または全部が、フッ素含有ダイヤモンド状カーボン(以下、フッ素含有DLCという)からなる保護膜で覆われていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、前記基材と保護膜の間に、周期律表4a族(Ti、Zr、Hf)、4b族(Si、Ge、Sn、Pb)、5a族(V、Nb、Ta)、6a族(Cr、Mo、W)のうちの少なくとも1種の元素を主成分とする下地層が形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の第3の手段は、射出成形装置に用いる構成部材であって、成形用樹脂と接する面の一部または全部が、フッ素含有ダイヤモンド状カーボンからなる保護膜で覆われていることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の第4の手段は前記第3の手段において、前記構成部材が成形金型であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第5の手段は前記第3の手段において、前記構成部材がニードル、スプルー、マニホールド、加熱筒、スクリュー、ノズルのうちの少なくとも1つの部材であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の第6の手段は前記第3ないし第5の手段において、前記構成部材の基材と保護膜の間に、周期律表4a族、4b族、5a族、6a族のうちの少なくとも1種の元素を主成分とする下地層が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第7の手段は前記第6の手段において、前記下地層の主成分の元素が、Cr、W、Ti、Siのグループから選択された少なくとも1種の元素であることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第8の手段は前記第6または第7の手段において、前記下地層と保護膜の間に下地層を構成する元素と保護膜を構成する元素の混合領域層が形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第9の手段は前記第6の手段において、前記下地層と保護膜の間に、ダイヤモンド状カーボンからなる中間膜が形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第10の手段は前記第9の手段において、前記下地層と前記中間膜との間に、下地層を構成する元素と中間膜を構成する元素の混合領域層が形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第11の手段は、周期律表4a族、4b族、5a族、6a族のうちの少なくとも1種の元素を主成分とする下地層用ターゲットと、炭素からなる保護膜用ターゲットと、前記下地層用ターゲットならびに保護膜用ターゲットに対向して配置された射出成形装置用構成部材の基材とを、不活性ガス中に配置して、
前記下地層用ターゲットに所定のスパッタ電力を印加してスパッタリングを行なって基材上に下地層を形成し、その下地層の膜厚が所定の厚さになったとき、下地層用ターゲットに対するスパッタ電力を徐々に下げながら、保護膜用ターゲットに対するスパッタ電力を徐々に上げ、保護膜用ターゲットに対するスパッタ電力が所定の値に達すると、下地層用ターゲットに対するスパッタ電力の供給を停止して、フッ素含有ガスを不活性ガスに混合して所定時間スパッタリングを行なって、下地層上にフッ素含有ダイヤモンド状カーボンからなる保護膜を形成することにより、下地層と保護膜の間に下地層を構成する元素と保護膜を構成する元素の混合領域が形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第12の手段は、周期律表4a族、4b族、5a族、6a族のうちの少なくとも1種の元素を主成分とする下地層用ターゲットと、炭素からなる中間膜・保護膜用ターゲットと、前記下地層用ターゲットならびに中間膜・保護膜用ターゲットに対向して配置された射出成形装置用構成部材の基材とを、不活性ガス中に配置して、前記下地層用ターゲットに所定のスパッタ電力を印加してスパッタリングを行なって基材上に下地層を形成し、その下地層の膜厚が所定の厚さになったとき、下地層用ターゲットに対するスパッタ電力を徐々に下げながら、中間膜・保護膜用ターゲットに対するスパッタ電力を徐々に上げ、中間膜・保護膜用ターゲットに対するスパッタ電力が所定の値に達すると、下地層用ターゲットに対するスパッタ電力の供給を停止して、所定時間スパッタリングを行なって、下地層上にダイヤモンド状カーボンからなる中間膜を形成することにより、下地層と中間膜の間に下地層を構成する元素と中間膜を構成する元素の混合領域が形成され、次に前記不活性ガスにフッ素含有ガスを混合して所定時間スパッタリングを行なって、前記中間膜の上にフッ素含有ダイヤモンド状カーボンからなる保護膜を形成することを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第13の手段は前記第11の手段または第12の手段において、前記下地層の主成分の元素が、Cr、W、Ti、Siのグループから選択された少なくとも1種の元素であることを特徴とするものである。
【0021】
なお、本発明における「主成分」とは、構成する元素の含有率が50重量%を超える場合をいい、100重量%の場合も含むものとする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図とともに説明する。図1は、第1実施形態に係る射出成形装置の射出部を説明するための図である。
【0023】
図中の1は例えばABS樹脂などの溶融樹脂2をマニホールド3に供給するスプルー、4はマニホールド3の先端部に取り付けた複数のノズル本体(図1では1つのノズル本体4しか描いていない)、5はノズル本体4内に移動可能に配置されて樹脂をゲートシールするニードル、6はニードル5をノズル本体4の中心位置に保持するニードルガイドブッシュ、7はニードル5を駆動するためのピストンを内蔵したシリンダー、8は成形金型で、固定側金型8aと可動側金型8bから構成されている。
【0024】
スプルー1から供給された溶融樹脂2はマニホールド3により各金型8方向に分岐され、ノズル本体4とニードル5の間の狭い隙間を通り、ノズル本体4の先端部から成形金型8(キャビティ)内に射出され、保圧後にニードル5によりゲートシールされて樹脂成形品を得る。この射出成形装置ではスプルー1、マニホールド3、ノズル本体4、ニードル5、ニードルガイドブッシュ6、成形金型8などの構成部材が成形用の溶融樹脂2と接触することになる。
【0025】
図2は、第2実施形態に係るスクリューを使用した射出成形装置の射出部を説明するための図である。
【0026】
図中の11は加熱筒、12は加熱筒11の外側に巻装されたバンドヒータ、13は加熱筒11内に配置されて回転するとともに軸方向に移動するスクリュー、14はスクリュー13の先端部側に設けられてスクリュー13の軸方向に移動可能なチェックリング、15はスクリュー13の先端部に設けられたチェックヘッド、16は加熱筒11の先端部に設けられた加熱筒ヘッド、17は加熱筒ヘッド16に取り付けられたオープンノズルである。
【0027】
ホッパー(図示せず)から加熱筒11の後端部18に投入された樹脂ペレットはスクリュー13の回転により加熱筒11内を先端側に移動しながら、加熱筒11(バンドヒータ12)からの熱で可塑化、混練される。そして十分に溶融した樹脂は、スクリュー13の軸方向への瞬間的な移動により、スクリュー13とチェックリング14の隙間、チェックヘッド15と加熱筒ヘッド16の隙間を通り、オープンノズル17から金型(図示せず)内に射出される。この射出成形装置では加熱筒11、スクリュー13、チェックリング14、チェックヘッド15、オープンノズル17などの構成部材が溶融樹脂と接触することになる。
【0028】
図3は、第3実施形態に係る射出成形装置の成形部を説明するための図である。図中の21は固定側金型22を取り付けた固定ダイプレート、23は金型取付板24を介して可動側金型25を取り付けた可動ダイプレートである。可動ダイプレート23は型締装置(図示せず)で前後(図中では左右)に駆動され、可動側金型25を固定側金型22に密着した型締位置と可動側金型25を固定側金型22から離間した型開き位置を取り得るようになっている。
【0029】
可動側金型25を固定側金型22に密着した状態で両金型22,25によりキャビティ26が形成され、キャビティ26はゲート、ランナーおよびスプルー27を介して樹脂注入口28と連通し、樹脂注入口28にはノズル29が押しつけられる。ノズル29から射出された溶融樹脂30はスプルー27を通ってキャビティ26内に充填され、保圧、冷却される。その後に型開きされ、エジェクトピン31を前進移動することにより、成形品を可動側金型25から突き出して取り出す。この成形部では、固定側金型22、可動側金型25あるいは必要に応じて中子(図示せず)、ノズル29などの構成部材が溶融樹脂30と接触することになる。
【0030】
図4は、第4実施形態に係る射出成形装置の成形部を説明するための図である。図中の32はデジタルバーサタイルディスク(DVD)の記録情報に対応する微細な凹凸面を内面に形成したニッケル材からなるスタンパ、33は固定側金型、34は可動側金型、35はスタンパ外周ホルダである。これらの成形金型を組み合わせて閉じることにより、成形品(本実施形態の場合はDVD用基板)を成形するキャビティ36が形成される。
【0031】
キャビティ36は、固定側金型33に取り付けられたゲート部材37、および可動側金型34に上下動可能に取り付けられたゲートカット部材38で形成されたランナー39およびスプルー40と連通している。溶融状態になったポリカーボネートなどの成形用樹脂は、スプルー40ならびにランナー39を経由してキャビティ36内に射出、充填される。
【0032】
この樹脂が冷却、固化した後にゲートカット部材38が上方に移動して、成形された成形品の中央部にあたるゲートカット部で切断し、その後に可動側金型34を移動して金型が開き、スタンパ32の微細凹凸面が転写されたDVD用基板が取り出される。なお、図中43は図10で詳述する保護膜であり、44は図11で詳述する中間膜である。
【0033】
前記実施形態で述べたスプルー1、マニホールド3、ノズル本体4、ニードル5、ニードルガイドブッシュ6、成形金型8、加熱筒11、スクリュー13、チェックリング14、チェックヘッド15、オープンノズル17、固定側金型22、可動側金型25、中子(図示せず)、ノズル29、固定側金型33、可動側金型34、スタンパ外周ホルダ35などの射出成形装置の構成部材は、例えばHPM1,2,17,31,38,50、PSL、SUS420,440、SLD、HAP、SKD11,61、STAVAX、NAK55,80,101など鋼材が基材として適宜選択される。
【0034】
本発明においては、前記射出成形装置の構成部材の少なくとも1つに本発明による保護膜が形成されている。なお、前記基材の成形用樹脂と接触する面全てに保護膜を形成する必要はなく、一部であってもよい。
【0035】
図5は、その基材の少なくとも成形用樹脂と接触する箇所に保護膜を形成した状態を示す一部拡大断面図である。同図に示すように基材41上に下地層42を介して保護膜43が形成される。基材41は前述のSKDなどの鋼材からなり、その上に周期律表4a族(Ti、Zr、Hf)、4b族(Si、Ge、Sn、Pb)、5a族(V、Nb、Ta)、6a族(Cr、Mo、W)のうちの少なくとも1種の元素、そのうちでも特にCr、W、Ti、Siのグループから選択された少なくとも1種の元素を主成分とする下地層42が形成され、その下地層42の上にフッ素含有DLCからなる保護膜43が形成される。
【0036】
図5では下地層42が1層となっているが、必要に応じて2層以上の複数層にすることもでき、例えば鋼材(Fe)からなる基材上にCrからなる第1の下地層を形成し、その上にWからなる第2の下地層を形成して、さらにその上にフッ素含有DLCからなる保護膜を形成することもできる。
【0037】
保護膜中の炭素に対するフッ素の比率(F/C)が0.25以上であれば成形用樹脂に対する剥離性ならびに成形用樹脂の流動性が良好で、この比率(F/C)が増加するにつれて剥離性、流動性が向上する。しかし、比率(F/C)が増加と共に保護膜の硬度が下がる傾向があるので、比率(F/C)は0.3〜0.9の範囲が好ましい。
【0038】
この比率(F/C)は、後述するスパッタリング時のCF 、C F などのフッ素含有ガスの濃度により制御できる。また、保護膜に靭性を付与するために水素を含有させることもでき、この場合はCF 、C F などのフッ素含有ガスとCH 、C などの炭化水素系ガスの混合ガスを使用し、この混合比率により、保護膜中の水素含有率が制御でき、水素の含有量が多くなるに従い保護膜の靭性は向上するが、その比率(H/C)は、0.05〜0.4の範囲が好ましい。
【0039】
下地層42、保護膜43ならびに後述の中間膜の成膜には、スパッタリングやイオンプレーティングなどの物理的蒸着法(PVD)あるいは化学的蒸着法(CVD)が好適に用いられる。
【0040】
図6は、下地層42と保護膜43を連続的に形成するスパッタリング装置の概略構成図である。
【0041】
同図に示すようにチャンバー51の中央部にワークテーブル52が設けられ、ワークテーブル52上には支持テーブル53が複数取付けられている。図7は、支持テーブル53上での構成部材65の支持状態を示す拡大斜視図である。同図に示すように支持テーブル53の中央部に支柱66が立設され、支柱66の頭部に天板67が固定されて、その天板67の周囲に例えばニードル5(図1参照)などからなる射出成形装置の構成部材65が多数吊り下げられている。図7ではニードル5のように比較的細長い構成部材65を天板67に吊り下げた例を示しているが、構成部材65が比較的大きい場合は、それを支持テーブル53上に個々に取り付けてもよい。ワークテーブル52と支持テーブル53はモータとその動力伝達機構(共に図示せず)により所定の方向に定速回転され、その支持テーブル53の支持されている構成部材65も支持テーブル53の回転に伴って回転する。
【0042】
ワークテーブル52の外周に沿って板状の下地層用ターゲット54と保護膜用ターゲット55を搭載したスパッタ蒸発源56がほぼ等間隔にそれぞれ設置されている。本実施形態の場合は下地層42の厚さは保護膜43に比べて薄いため、下地層用ターゲット54は1個、保護膜用ターゲット55は3個配置されている。下地層が2層の場合は、例えば第1の下地層用ターゲットを1個、第2の下地層用ターゲットを1個、保護膜用ターゲット55を2個配置すればよい。下地層用ターゲット54はCr、W、Ti、Siのグループから選択された少なくとも1種の金属板からなり、保護膜用ターゲット55はグラファイト板からなる。
【0043】
またチャンバー51内にはガス配管62が設置されて、チャンバー51内の真空度は10 〜10−1Paの範囲に保たれ、放電用不活性ガスとしてアルゴン(Ar)ガスが、フッ素含有ガスとして4フッ化メタン(CF )、6フッ化エタン(C F )などが用いられる。スパッタ蒸発源56には後述のようなタイミングでスパッタ電源(図示せず)よりスパッタ電力が印加される。このスパッタ電力の印加によりアルゴンのプラズマ64を全体的に形成しながら、下地層42と保護膜43が連続的に成膜される。
【0044】
図8は、ターゲット54,55に対するスパッタ電力の印加状態を説明するための図である。同図に示すように、最初、下地層用ターゲット54に500Wの電圧を印加し(実線)、保護膜用ターゲット55の方はオフ(0W)の状態にある(破線)。このスパッタ電力の印加によりプラズマが発生して、アルゴンイオンが下地層用ターゲット54に衝突してターゲット材料を弾き飛ばし、そのスパッタされた粒子が構成部材65の基材41に堆積して下地層42を形成する。構成部材65は自ら回転しながら下地層用ターゲット54の前を何回も通過するから、下地層42は全体的にムラなく形成される。下地層42がほぼ所定の厚さに堆積されるまで、スパッタ電力は一定に保持されている。
【0045】
その後に下地層用ターゲット54に対するスパッタ電力を除々に下げながら、保護膜用ターゲット55に対するスパッタ電力を除々に上げ、保護膜用ターゲット55に対する電力が1000Wに到達した時点で、下地層用ターゲット54に対する電力は0Wになり、その後この状態が一定時間維持されるように制御されている。
【0046】
そしてアルゴンイオンの衝突で弾き飛ばされたカーボン粒子が下地層42の上に堆積してDLC膜が形成されるが、この際このカーボン粒子の堆積時にArガスにフッ素含有ガスを混合することでフッ素も一緒に巻き込まれ、フッ素含有DLCからなる保護膜43が形成される。このときも構成部材65は自ら回転しながら各保護膜用ターゲット55の前を何回も通過するから、保護膜43は全体的にムラなく形成される。
【0047】
下地層42の形成から保護膜43の形成に切り替える際、前述のように下地層用ターゲット54に対するスパッタ電力を除々に下げながら、保護膜用ターゲット55に対するスパッタ電力を除々に上げる操作を行なっている。これにより下地層42と保護膜43の組成が連続的に変化して濃度勾配を有し、結局、下地層42の基材41側はそれを構成する金属の含有率がほぼ100%で、保護膜43側に行くに従って金属の含有率が除々に減少してフッ素含有DLCの含有率が増え、下地層42と保護膜43の中間部分では金属成分とフッ素含有DLCの含有率が約半々となり、保護膜43側になると金属成分の含有率がさらに減少し、保護膜43の表面近くではフッ素含有DLCの含有率がほぼ100%となる。従って下地層42と保護膜43の境界を明確に確認することができない(そのため図5では、下地層42と保護膜43の境界部付近を点線で示した)。
【0048】
下地層42の膜厚は0.1μm〜2μm、好ましくは0.1μm〜1μm、保護膜43の膜厚は0.1μm〜5μm、好ましくは0.5μm〜3μmで、余り薄い膜厚にすると良好な剥離性、流動性を発揮することが困難となり、一方、厚過ぎると保護膜43自体が基材41側から剥離し易くなり、その機能が損なわれるので、上記範囲の膜厚が推奨される。
【0049】
例えば孔や凹部、凸部などを有する構成部材65の場合、それとターゲット54,55との間に格子状のコリメータ電極を配置するコリメータスパッタリング法を使用すれば、構成部材65の孔や凹部、凸部の面に対して垂直な成分のスパッタリング粒子を選択的に付着することができて好ましい。
【0050】
図9は、前記下地層42,保護膜43ならびに後述する中間膜を形成するのに好適なアンバランス・マグネトロン・スパッタリング法の原理を説明するための図である。
【0051】
図に示すように、下地層用ターゲット54ならびに保護膜用ターゲット55のほぼ中央部と対向する位置に弱磁場を形成する内側磁極56を配置し、ターゲット54,55の外周部と対向する位置に強磁場を形成する外側磁極57を配置して、アンバランスな磁場を形成する。
【0052】
そしてプラズマ64を形成しつつ、強力な外側磁極57により発生する磁力線58の一部が構成部材65付近まで達する。この磁力線58に沿ってスパッタリング時に発生したプラズマイオン(例えばアルゴンイオン)と電子が、通常のスパッタリングに比較してより多く構成部材65の表面に到達し、そのために緻密で平面が平滑な下地層42,保護膜43,中間膜を形成することができる。
【0053】
図10は、本発明の変形例に係る基材上に保護膜を形成した状態を示す一部拡大断面図である。同図に示すようにSKDなどの鋼材からなる基材41上に、Crを主成分とする下地層42が形成され、その上に炭素および水素を主成分とするDLCからなる中間膜44が形成される。
【0054】
その際、下地層用ターゲットに対するスパッタ電力を徐々に下げながら、DLC膜を形成するためのグラファイト板(中間膜・保護膜用ターゲット)に対するスパッタ電力を徐々に上げるため、下地層42と中間膜44の境界部にCrとDLCの濃度勾配を有する混合領域層45が形成される。そして中間膜44の形成途中からフッ素含有ガスを供給して、中間膜44の上にフッ素含有DLCからなる保護膜43を形成する。
【0055】
本実施形態における膜厚は、下地層42が約0.1μm、混合領域層45が約0.2μm、中間膜44が約0.7μm、保護膜43が約0.5μmである。中間膜44を形成しないでフッ素含有DLCからなる保護膜43を直接下地層42の上に形成したり、あるいは保護膜43の下に中間膜44を設けても中間膜44の方が保護膜43よりも薄い場合、膜全体としては柔らかくなる傾向がある。
【0056】
そのため本実施形態のように、下地層42と保護膜43の間に中間膜44を設け、しかも中間膜44の膜厚を保護膜43の膜厚よりも厚くすると、中間膜44が保護膜43の補強の役割を果たし、耐久性の強い膜となる。
【0057】
図4に示した射出成形装置の場合、固定側金型33のキャビティ36と対向する表面には成形用樹脂が流れて接したりするため、図10に示すように表面に保護膜43を形成する必要がある。
【0058】
一方、可動側金型34の表面はスタンパ32で覆われて成形用樹脂とは接しないで、その代わりスタンパ32と接する構造になっている。そのため可動側金型34の表面は図11に示すように、基材41に上に下地層42、混合領域層45、中間膜44が形成されており、保護膜43は設けられていない。基材41の表面にDLCからなる中間膜44を設けることにより、優れた耐磨耗性と低摩擦性により、スタンパ32との摺接による可動側金型34の磨耗を防止することができる。この場合、成形用樹脂と接するスタンパ32の表面にもフッ素含有DLC保護膜43を適宜形成してもよい。
【0059】
可動側金型34の外表面にフッ素含有DLCからなる保護膜43を設けることも可能であるが、保護膜43よりも中間膜44の方が機械的強度が強いため、可動側金型34の外表面は中間膜44の方が良い。
【0060】
図12と図13は、図1の成形装置を用いてABS樹脂からなるカートリッジケースにおけるゲートシール部の状態を示す拡大平面図である。そして図12は図5に示すようにSKDからなる基材41上にWからなる下地層42を形成し、その上にフッ素含有DLCからなる保護膜43を全体的に形成したニードル5(図1参照)を使用してゲートシールしたもの、図13はSKDからなり表面に保護膜43が形成されていない従来のニードルを使用してゲートシールしたものの拡大平面図である。
【0061】
従来のニードルを使用した場合、樹脂との剥離性が良くないため、図13に示すように成形品のシールドゲート部に気泡状の突出部ができたり、バリが発生し、そのためにゲート部の凹凸が目立ち、外観上好ましくない。
【0062】
これに対してフッ素含有DLCからなる保護膜43を形成したニードルを使用すると、樹脂との剥離性が良いため、図12に示すように成形品のシールドゲート部に気泡状の突出部はほとんど見当たらず、ほぼフラットな綺麗なゲート部となり、図13に示す従来のものとは外観上格段の差がある。
【0063】
射出成形装置の構成部材のうち特にニードルは、ノズル本体との間の隙間が狭く、溶融樹脂を圧送する際にかなりの高圧がかかり、樹脂温度も高く、成形が終わると残存している樹脂が付着し易く、またニードルガイドブッシュ6(図1参照)と摺接するため、ニードルの表面にフッ素含有ダイヤモンド状カーボンの保護膜43を形成することは、前記ニードルガイドブッシュ6との摺動特性が良好となるので効果的である。
【0064】
図14と図15は、剥離性の試験方法を説明するための図である。図14に示すように、鏡面加工したSUS材(HPM38)からなるテストピース71の表面に各仕様のDLC膜72を形成し、各種樹脂粉末を内径3mmのアルミニウム管73に充填する。そしてアルミニウム管73の下端開口部が前記DLC膜72と接するように前記テストピース71の上に立て、ホットプレートで250℃まで加熱して、アルミニウム管73をテストピース71に接合する。
【0065】
次に図14に示すように、アルミニウム管73が水平になるようにしてテストピース71を基台74上にセットし、プッシュプルゲージ75の押圧部76を25mm/minの一定速度で降下させ、アルミニウム管73に剪断方向の応力を掛けていく。そしてアルミニウム管73がテストピース71から剥離した時の押圧強度を剥離強度として評価する。各試験における試料個数は5個である。
【0066】
図16と図17はその剥離強度試験の結果を示す図で、図16は前記アルミニウム管73に充填する樹脂としてABS樹脂を、図17はポリスチロール樹脂を、それぞれ用いた場合を示す。また各図ともXはテストピース71上に何も形成しないでSUSの鏡面上に直接樹脂によりアルミニウム管73を接合したもの、Yはテストピース71上にDLC膜を形成したもの、Zはテストピース71上に本発明のフッ素含有DLC膜を形成したものの試験結果である。
【0067】
これらの図から明らかなように、本発明のフッ素含有DLC膜を形成したもの(Z)は、他のもの(X,Y)に比較して剥離強度が低く、すなわち樹脂に対する剥離性が良好であり、しかも剥離強度のバラツキが他のもの(X,Y)に比較して少ないことが分かる。
【0068】
図18は、金型内における樹脂の流動性試験に用いる可動側金型の平面図である。同図に示すように、試験用可動側金型81の表面に斜線で示したようにスパイラル溝82が形成されており、スパイラル溝82の深さは0.5mm、幅は10mmである。スパイラル溝82の途中には合計で12本のイジェクトピン83,84が間隔をおいて配置されている。
【0069】
一方、試験用固定側金型にはスパイラル溝82は形成されておらず、前記可動側金型81のスパイラル溝82に対向する表面が平坦になっている。この固定側金型の中心部で前記イジェクトピン83と対応する位置に樹脂注入孔が設けられ、この注入孔より樹脂がスパイラル溝82に送給されるようになっている。
【0070】
この試験用の可動側金型と固定側金型とを接合して型締めし、成形温度320℃、射出速度200mm/s、射出圧力200MPaの条件でポリカーボネート(R1700)を樹脂注入孔83から注入した際、樹脂がスパイラル溝82の中央部からスパイラル溝82を伝わってどこまで流出したかを試験し、その結果を図19に示す。
【0071】
図19において横軸は金型内で樹脂が流出した長さを流動量として現し、縦軸は度数(個)を現している。図中の白抜き棒グラフは可動側金型ならびに固定側金型とも鏡面加工したSUS材(HPM38)のままもの、黒い棒グラフは可動側金型ならびに固定側金型とも鏡面加工したSUS材(HPM38)の上に本発明のフッ素含有DLC保護膜を形成したものを示す。なお、各金型で25ショット行ない、それの度数分布を示している。
【0072】
この図から明らかなように、金型表面にフッ素含有DLC保護膜を形成した本発明のものは、スパイラル溝82の深さが0.5mmという極めて浅い場合でも、金型内での樹脂の流動性が極めて良好で、薄肉成形に十分対応可能であることが分かる。
【0073】
射出成形装置を構成する部材のうち特に成形金型は、成形用樹脂の流動性が良く、しかも成形用樹脂との離型性が良いことから、下記のような特長を有している。
【0074】
〇分子量の高い成形用樹脂を使用することが可能で、成形品の機械的性質を高めることができる、
〇成形温度を下げることが可能で、加熱用電力の削減が図れる、
〇成形金型に抜きテーパが不要になるか、テーパ角度を小さくできる、
〇イジェクトピンの数を減らせる、
〇タクト(成形サイクル時間)を短くできる、
〇薄肉の成形が可能となる、
〇複雑な形状の成形が可能となる、
〇成形金型の耐蝕性が向上する、
〇成形条件のマージンに余裕ができて、成形サイクルに安定性がある、
〇成形金型に傷が付き難いから、金型の取扱性が良好となる、
〇従来の成形金型は成形用樹脂との離型性を保つために金型の面粗度を低くせざるを得なかったが、金型の面粗度を高めて金型表面を鏡面にすることが可能となる、
〇形成品をイジェクトするときに無理な力が掛からないため、反りなどの変形が少ない、
などの特長を有している。
【0075】
成形樹脂材料が塩化ビニル樹脂の場合は塩素ガスが、難燃性樹脂の場合は塩素や臭素などのハロゲン化合物やリン化合物が、ABS樹脂の場合は加硫剤が、ポリアセタール樹脂の場合はギ酸やホルマリンが、低発泡樹脂の場合はアンモニアや一酸化炭素などの腐食性ガスが発生する可能性が高い。
【0076】
ところで本発明のフッ素含有DLCからなる保護膜は耐蝕性に優れているため、成形装置の構成部材が前記腐食性ガスにより侵食されることを阻止でき、成形装置の耐用寿命を延長し、常に安定した成形サイクルが維持できる。
【0077】
【発明の効果】
本発明は前述のような構成になっており、樹脂と接する面をフッ素含有DLCからなる保護膜で覆うことにより、樹脂との剥離性が良くなり、成形品の表面で気泡状の突出部、バリ、剥がれなどの発生、ならびに樹脂の焼き付きが無くなる。また樹脂の流れが良好となり、そのために成形性の改善が図れ、薄肉成形や精密成形が可能となる。
【0078】
またフッ素含有DLCからなる保護膜は耐蝕性に優れ、成形時などに発生する腐食性ガスにより構成部材が侵食されることがなくなり、成形装置の耐用寿命を延長し、常に安定した成形サイクルが維持できる。
【0079】
さらに基材と保護膜の間に下地層や中間膜を設ければ、基材と保護膜の接合性が良好になり、前述のような保護膜の効果が長期間有効に発揮できる。
【0080】
さらにまた下地層と保護膜の間に下地層を構成する元素と保護膜を構成する元素の混合領域が形成されて、下地層と保護膜の間に明確な界面が存在しないようにすると、下地層と保護膜が連続的に一体化され、結局、基材と保護膜の接合性がさらに強まり、保護膜の効果が長期間有効に発揮できるなどの特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る射出成形装置の射出部を説明するための図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る射出成形装置の射出部を説明するための図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る射出成形装置の成形部を説明するための図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る射出成形装置の成形部を説明するための図である。
【図5】本発明の基材上に保護膜を形成した状態を示す一部拡大断面図である。
【図6】スパッタリング装置の概略構成図である。
【図7】支持テーブル上での構成部材の支持状態を示す拡大斜視図である。
【図8】ターゲットに対するスパッタ電力の印加状態を説明するための図である。
【図9】アンバランス・マグネトロン・スパッタリング法の原理を説明するための図である。
【図10】本発明の変形例に係る基材上に保護膜を形成した状態を示す一部拡大断面図である。
【図11】図4に示す可動側金型の表面状態を示す一部拡大断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係るニードルを使用した場合のゲートシール部の状態を示す拡大平面図である。
【図13】従来のニードルを使用した場合のゲートシール部の状態を示す拡大平面図である。
【図14】剥離性の試験方法を説明するための図である。
【図15】剥離性の試験方法を説明するための図である。
【図16】ABS樹脂を使用した場合の剥離性の試験結果を示す特性図である。
【図17】ポリスチロール樹脂を使用した場合の剥離性の試験結果を示す特性図である。
【図18】金型内における樹脂の流動性を試験するために用いる試験用可動側金型の平面図である。
【図19】流動性の試験の結果を示す特性図である。
【符号の説明】
1:スプルー、2:溶融樹脂、3:マニホールド、4:ノズル本体、5:ニードル、6:ニードルガイドブッシュ、7:シリンダー、8:成形金型、8a:固定側金型、8b:可動側金型、11:加熱筒、12:バンドヒータ、13:スクリュー、14:チエックリング、15:チエックヘッド、16:加熱筒ヘッド、17:オープンノズル、21:固定ダイプレート、22:固定側金型、23:可動ダイプレート、24:金型取付板、25:可動側金型、26:キャビティ、27:スプール、28:樹脂注入口、29:ノズル、30:溶融樹脂、31:エジェクトピン、32:スタンパ、33:固定側金型、34:可動側金型、35:スタンパ外周ホルダー、36:キャビティ、37:ゲート部材、38:ゲートカット部材、39:ランナー、40:スプルー、41:基材、42:下地層、43:保護膜、44:中間膜、45:混合領域層、51:チャンバー、52:ワークテーブル、53:支持テーブル、54:下地層用ターゲット、55:保護膜用ターゲット、56:内側磁極、57:外側磁極、58:磁力線、62:ガス配管、64:プラズマ、65:構成部品、66:支柱、67:天板。

Claims (13)

  1. 樹脂流路を形成する基材の成形用樹脂と接する面の少なくとも一部が、フッ素含有ダイヤモンド状カーボンからなる保護膜で覆われていることを特徴とする射出成形装置。
  2. 請求項1記載において、前記基材と保護膜の間に、周期律表4a族、4b族、5a族、6a族のうちの少なくとも1種の元素を主成分とする下地層が形成されていることを特徴とする射出成形装置。
  3. 射出成形装置に用いる構成部材であって成形用樹脂と接する面の少なくとも一部が、フッ素含有ダイヤモンド状カーボンからなる保護膜で覆われていることを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材。
  4. 請求項3記載において、前記構成部材が成形金型であることを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材。
  5. 請求項3記載において、前記構成部材がニードル、スプルー、マニホールド、加熱筒、スクリュー、ノズルのうちの少なくとも1つの部材であることを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材。
  6. 請求項3ないし5のいずれか1項記載において、前記構成部材の基材と保護膜の間に、周期律表4a族、4b族、5a族、6a族のうちの少なくとも1種の元素を主成分とする下地層が形成されていることを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材。
  7. 請求項6記載において、前記下地層の主成分の元素が、Cr、W、Ti、Siのグループから選択された少なくとも1種の元素であることを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材。
  8. 請求項6または7記載において、前記下地層と保護膜の間に下地層を構成する元素と保護膜を構成する元素の混合領域層が形成されていることを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材。
  9. 請求項6記載において、前記下地層と保護膜の間に、ダイヤモンド状カーボンからなる中間膜が形成されていることを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材。
  10. 請求項9記載において、前記下地層と前記中間膜との間に、下地層を構成する元素と中間膜を構成する元素の混合領域層が形成されていることを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材。
  11. 周期律表4a族、4b族、5a族、6a族のうちの少なくとも1種の元素を主成分とする下地層用ターゲットと、炭素からなる保護膜用ターゲットと、前記下地層用ターゲットならびに保護膜用ターゲットに対向して配置された射出成形装置用構成部材の基材とを、不活性ガス中に配置して、
    前記下地層用ターゲットに所定のスパッタ電力を印加してスパッタリングを行なって基材上に下地層を形成し、
    その下地層の膜厚が所定の厚さになったとき、下地層用ターゲットに対するスパッタ電力を徐々に下げながら、保護膜用ターゲットに対するスパッタ電力を徐々に上げ、
    保護膜用ターゲットに対するスパッタ電力が所定の値に達すると、下地層用ターゲットに対するスパッタ電力の供給を停止して、フッ素含有ガスを不活性ガスに混合して所定時間スパッタリングを行なって、下地層上にフッ素含有ダイヤモンド状カーボンからなる保護膜を形成することにより、
    下地層と保護膜の間に下地層を構成する元素と保護膜を構成する元素の混合領域が形成されていることを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材の表面処理方法。
  12. 周期律表4a族、4b族、5a族、6a族のうちの少なくとも1種の元素を主成分とする下地層用ターゲットと、炭素からなる中間膜・保護膜用ターゲットと、前記下地層用ターゲットならびに中間膜・保護膜用ターゲットに対向して配置された射出成形装置用構成部材の基材とを、不活性ガス中に配置して、
    前記下地層用ターゲットに所定のスパッタ電力を印加してスパッタリングを行なって基材上に下地層を形成し、
    その下地層の膜厚が所定の厚さになったとき、下地層用ターゲットに対するスパッタ電力を徐々に下げながら、中間膜・保護膜用ターゲットに対するスパッタ電力を徐々に上げ、
    中間膜・保護膜用ターゲットに対するスパッタ電力が所定の値に達すると、下地層用ターゲットに対するスパッタ電力の供給を停止して、所定時間スパッタリングを行なって、下地層上にダイヤモンド状カーボンからなる中間膜を形成することにより、下地層と中間膜の間に下地層を構成する元素と中間膜を構成する元素の混合領域が形成され、
    次に前記不活性ガスにフッ素含有ガスを混合して所定時間スパッタリングを行なって、前記中間膜の上にフッ素含有ダイヤモンド状カーボンからなる保護膜を形成することを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材の表面処理方法。
  13. 請求項11または12記載において、前記下地層の主成分の元素が、Cr、W、Ti、Siのグループから選択された少なくとも1種の元素であることを特徴とする射出成形装置に用いる構成部材の表面処理方法。
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