JP2022181752A - 射出成形機の逆流防止装置 - Google Patents

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Yuichiro Arima
昭男 岡本
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Abstract

【課題】スクリュ内での溶融樹脂の逆流防止と、射出工程の溶融樹脂の流路閉鎖の応答性を高める、射出成形機の逆流防止装置を提供すること。【解決手段】逆流防止装置20は、射出シリンダ11内のスクリュ13の先端に配置され、リアシート21と、スクリュヘッド25と、リアシート21とスクリュヘッド25の間を摺動自在に配置されるチェックリング23と、を備え、チェックリング23の外周面に、摩擦係数の高い表面処理層を設ける。【選択図】図2

Description

本発明は、射出シリンダ内のスクリュの先端に配置され、溶融樹脂が通過する流路の開閉を行う射出成形機の逆流防止装置に関する。
樹脂材料を用いた射出成形機による射出成形は、以下の手順で行われる。先ず、材料供給装置を用いて射出シリンダ内に樹脂材料を供給する。この樹脂材料は、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等の熱可塑性樹脂を用いる。また、可塑剤や難燃剤あるいは強化剤等の各種の添加剤が必要に応じて樹脂材料に添加される。以下、添加される添加剤と合わせて樹脂材料という。
供給された樹脂材料は、螺旋状のフライトを設けたスクリュの回転運動によるせん断発熱と、射出シリンダに設けたヒータ等の熱量によって、可塑化され溶融樹脂となってスクリュ先端の射出シリンダ内に貯蔵される(計量工程)。次いで、スクリュを前進動作させて、射出シリンダ内に貯蔵される溶融樹脂を金型キャビティ内へ射出充填する(射出工程)。溶融樹脂の冷却固化に伴う固化収縮を補う保圧充填(保圧工程)と、金型キャビティ内で冷却保持(冷却工程)を経て、型開して金型キャビティから成形品を取り出す。この一連の成形動作を必要な成形品の個数を得るまで繰り返す。
ここで、スクリュの先端には、溶融樹脂が通過する流路を開閉する逆流防止装置が設けられている。この逆流防止装置は、計量工程において流路が開放され、スクリュで可塑化された溶融樹脂をスクリュ前方へ輸送され溶融樹脂が貯蔵される。また、射出工程において流路が閉鎖され、貯蔵された溶融樹脂を適量に射出充填することができる。この逆流防止装置の流路の開閉の応答性が良くないと、以下の問題が生じることがある。例えば、計量工程においては、溶融樹脂の前方輸送が阻害され、計量時間が長くなることによる生産性の低下となる。また、スクリュ内で溶融樹脂が滞留し、溶融樹脂の熱劣化による樹脂焼け不良や、樹脂材料から添加剤の再分離や凝集による樹脂不良等の成形不良となる。また、例えば、射出工程においては、スクリュ後方への溶融樹脂の漏出が生じ、射出充填する溶融樹脂量の変動による様々な成形不良(製品重量の変動、製品寸法の変動、製品変形、面ハリ不良、転写不良等)が発生する。溶融樹脂の漏出がさらに大きくなると、製品の品質許容範囲からの乖離や製品ショート等の重大な成形不良となる。
また、樹脂使用量の削減を兼ねた製品軽量化による薄肉射出成形、生産性改善のための多数個取り射出成形、複数部品の一体化による大物樹脂成形、あるいは、高強度化や耐熱性付与を目的としたガラス繊維や炭素繊維等の強化剤を大量に含む強化樹脂射出成形等の特殊な射出成形が増加傾向にある。これにより、射出充填時の射出圧力は高圧化し、また射出速度も高速化となっていく。そのため、特に射出工程において、逆流防止機構の流路の閉鎖の応答遅れが問題視されるようになってきた。流路の閉鎖の遅れは、溶融樹脂の大きな漏出となり重大な成形不良を招き安定生産ができなくなる。そこで、射出工程において、流路閉鎖の応答性の高い逆流防止装置が強く望まれる。一般的に、リング状の逆流防止リング(チェックリング)を備え、逆流防止リングの前後進動作により溶融樹脂の流路の開閉を行う逆流防止装置が広く採用されている。そこで、この逆流防止リングの動作の応答性を高める手段として、多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1に示すような、逆流防止リングの素材にアルミニウム合金等の比重の軽い軽金属を用いることが提案されている。これにより、射出工程時の溶融樹脂の流動を受けて、逆流防止リングの閉鎖の応答性が高くなるとされている。
また、特許文献2に示すような、逆流防止リング内の流路の容積を変化させ容積の大きい領域を設けることが提案されている。これにより、流路内の容積の大きい領域で溶融樹脂の逆流を滞留させて、逆流防止リングの閉鎖の応答性が高くなるとされている。
さらに、特許文献3に示すような、スクリュ先端部の凹部に傾斜面を設け、逆流防止リングの凸状の爪部と凹部を勘合させ、スクリュ回転と連動して逆流防止リングを回転させることが提案されている。計量工程と逆方向にスクリュを逆回転させることで、逆流防止リングを積極的に動かして閉鎖の応答性を高めることができるとされている。
特開平4-71816号公報 特開2001-315175号公報 特開2008-120013号公報
先ず、逆流防止リングの開閉動作に関して簡単に説明する。計量工程時は、スクリュの回転動作により輸送される溶融樹脂の流動を受けて、逆流防止リングは溶融樹脂の流動と共に前方側に移動して流路が開放される。また、射出工程時は、スクリュ前方側の溶融樹脂の樹脂圧を受けて、逆流防止リングが後方移動して流路が閉鎖されると言われている。
そこで、射出シリンダの内部が観察できる可視化装置を用いて、逆流防止リングの挙動について観察した。その結果、射出工程時は、逆流防止リングは後方に動くことなく、停止した逆流防止リングに前進動作するスクリュが当接することで流路が閉鎖されることが確認された。また、スクリュの前進動作に伴って、逆流防止リングも若干ではあるが前進方向に動き、流路の閉鎖が遅れることも確認できた。これは、スクリュの前進動作によって流路内の溶融樹脂が押圧され、この溶融樹脂の押圧により逆流防止リングも押圧されて前進動作するものと推測される。
ここで、特許文献1に示す手段は、比重の軽い軽金属製の逆流防止リングであるので、スクリュ前進動作に伴う溶融樹脂の押圧の影響を受けやすい。その結果、射出工程時は、逆流防止リングが容易に動き、流路の閉鎖も遅れることになる。
また、特許文献2に示す手段は、逆流防止リング内の流路面積が複雑に変化し、さらに容積の大きく溶融樹脂が滞留しやすい領域を含む。その結果、射出工程時は、溶融樹脂の押圧の影響を受けて逆流防止リングは動き、流路の閉鎖の遅れとなる。
これに対して、特許文献3に示す手段は、スクリュの逆回転により逆流防止リングを積極的に動かして強制的に流路を閉鎖するので、溶融樹脂の押圧の影響を受けることがない。しかしながら、スクリュの逆回転によりスクリュ内の溶融樹脂は大きく逆流し、スクリュ内は溶融樹脂の飢餓状態が生じる。この飢餓状態は、溶融樹脂の圧力低下となり、溶融樹脂から揮発性ガスが発散される。その結果、次ショットにおいては、この揮発性ガスが混在した溶融樹脂を射出充填することになり、ガス巻き込みやガス模様等の成形不良となる。また、スクリュ内での過度な溶融樹脂の逆流は、未溶融樹脂が存在するスクリュの輸送領域で、未溶融樹脂と溶融樹脂が混ざることになる。このスクリュの輸送領域に溶融樹脂が混在すると、そのスクリュの性質上、樹脂を前方へ輸送することができなくなり、スクリュ内で樹脂が詰まった状態となって、成形を中断してスクリュの開放清掃等の大きなトラブルを誘発する原因となる。
そこで本発明は、スクリュ内での溶融樹脂の逆流防止と、射出工程の溶融樹脂の流路閉鎖の応答性を高める、射出成形機の逆流防止装置を提供することを目的とする。
本発明の射出成形機の逆流防止装置は、射出シリンダ内のスクリュの先端に配置され、溶融樹脂が通過する流路の開閉を行う射出成形機の逆流防止装置において、
逆流防止装置は、リアシートと、スクリュヘッドと、リアシートとスクリュヘッドの間を摺動自在に配置されるチェックリングと、を備え、
チェックリングの外周面に、摩擦係数の高い表面処理層を設ける、ことを特徴とする。
本発明によれば、スクリュ内での溶融樹脂の逆流防止と、射出工程の溶融樹脂の流路閉鎖の応答性を高める、射出成形機の逆流防止装置を提供することができる。
本発明に係る射出成形機の概念図である。 本発明に係る逆流防止装置の詳細図である。 図2の逆流防止装置の動作を示す図である。 従来の逆流防止装置の動作を示す図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが、各請求項に係る発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の尺度や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
[射出成形機]
先ず、本実施形態に係る射出成形機について、図1を用いて説明する。図1は射出成形機の概念図を示す。なお、以下の説明では、本実施形態に係る射出成形機として、横型のインライン式射出成形機をベースとしたが、これに限定されるものではない。
図1に示す射出成形機100は、射出装置10と、射出駆動部30と、射出制御部40と、射出成形金型50と、を備える。
射出成形金型50は、固定金型51と可動金型53が図示しない型締装置に支持され、可動金型53と固定金型51を型締して金型キャビティ55が形成される。
射出装置10は、円筒状の射出シリンダ11と、射出シリンダ11内に配置されたスクリュ13と、スクリュ13の先端に配置される逆流防止装置20と、を備える。射出装置10により、金型キャビティ55に向けて溶融樹脂を射出充填することで樹脂成形品が射出成形される。
射出シリンダ11は、外周面に複数のヒータ16が所定の間隔で配置され、図示しない温度調節装置によりヒータ16を温度制御して、射出シリンダ11を所定の温度に管理する。このヒータ16による温度管理は、後述する計量工程において、供給された樹脂材料の予熱と、可塑化時の樹脂材料への熱量付与と、可塑化された溶融樹脂の温度管理に利用される。射出シリンダ11と金型キャビティ55は、シリンダヘッド18とノズル19と、図示しないランナ回路を介して接続される。また、射出シリンダ11には、金型キャビティ55と反対の位置に材料ホッパ17を備え、図示しない材料供給装置等により樹脂材料を材料ホッパ17から射出シリンダ11内に供給する。
ここで、樹脂材料は、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等の汎用樹脂、ポリアミド(PA)樹脂やポリカーボネイト(PC)樹脂等のエンジニアリング樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の超エンジニアリング樹脂等の熱可塑性樹脂が、製品の用途に応じて使い分けられる。また、製品の色調を調整する着色剤、樹脂材料に柔軟性を与える可塑剤、結晶性樹脂に対して結晶化度を制御する核剤や透明化剤、燃焼を抑制する難燃剤、静電気の帯電を抑制する帯電防止剤、樹脂材料の流動性や離型性を改善する滑剤、紫外線による劣化を抑制する対候剤や紫外線劣化防止剤、ガラス繊維や炭素繊維等の強化剤等の各種の添加剤が、必要に応じて樹脂材料に添加される。樹脂材料と添加剤が別々に射出シリンダ11内に供給されても良く、樹脂材料と添加剤が予め混錬されペレット状に加工された状態で供給しても良い。また、液晶シリコン樹脂や液晶ゴム樹脂等の射出成形できる熱硬化性樹脂を樹脂材料としても良い。以下、樹脂材料と添加剤を合わせて樹脂材料という。
スクリュ13は、射出シリンダ11内に配置され、射出駆動部30と連結し、射出駆動部30により回転動作と前後進動作を射出シリンダ11内で行う。ここで、スクリュ13の動作に関して、金型キャビティ55に近い方向を前方F、前方Fへの動作を前進動作、金型キャビティ55から離れる方向を後方B、後方Bの動作を後退動作と定義する。また、スクリュ13には、後方Bから前方Fに向かって螺旋状のフライト15を備えている。射出駆動部30によるスクリュ13の回転動作の回転方向に対して、材料ホッパ17から供給した樹脂材料を前方Fへ回転輸送できるように、フライト15の螺旋状の向きを設定する。なお、図1に示すように、フライト15は一定の間隔で一定の角度で1条の配置としたが、これに限定されることなく、例えば、間隔や角度を可変してもよく、複数条の配列としても良い。あるいは、スクリュ13の一部の範囲のみフライト15を複数条の配列としても良い。
また、スクリュ13は、円柱形状であるが、後方Bから前方Fに向かって円柱の直径が段階的に大きくなるように設定されている。つまり、スクリュ13と射出シリンダ11との隙間の容積が、後方Bから前方Fに向かって段階的に小さくなるように設定する。これにより、材料ホッパ17から供給された樹脂材料は、スクリュ13とフライト15の回転動作により前方輸送され、容積の縮小により圧縮作用とせん断作用によるせん断発熱が樹脂材料に作用し、ヒータ16からの熱量付与の相乗効果により、樹脂材料は段階的に溶融化し、スクリュ13の前方Fに向かって溶融樹脂が生成され、スクリュ13の前方Fに溶融樹脂が貯蔵される。なお、スクリュ13の段階的な容積の減少は、後方Bから順に、輸送ゾーン、圧縮ゾーン、溶融ゾーン、と呼ばれる。また、樹脂材料の溶融化を可塑化といい、溶融樹脂の貯蔵を計量工程といい、スクリュ13を前進動作させて金型キャビティ55内に貯蔵した溶融樹脂の射出充填を射出工程という。
[逆流防止装置]
次に、本発明に係る射出成形機の逆流防止装置について、図2を用いて説明する。図2は、逆流防止装置20の詳細図を示す。
図2に示す逆流防止装置20は、射出シリンダ11内のスクリュ13の先端に配置され、前方Fに向かって順に、リアシート21と、チェックリング23と、スクリュヘッド25と、を備える。スクリュヘッド25は、図示しないネジ部によりスクリュ13と一体に結合される。リアシート21は、スクリュヘッド25とスクリュ13に挟まれるように、スクリュ13の先端にスクリュヘッド25と一体に固定される。
チェックリング23は、リアシート21とスクリュヘッド25の凸部25Dとの間のスクリュヘッド25の軸部25Zを、前方Fと後方Bに摺動可能に配置されるリング形状である。チェックリング23の内周面23Nとスクリュヘッド25の軸部25Zの外周面との間に、溶融樹脂が通過する流路23Rが形成される。チェックリング23とリアシート21の当接によって流路23Rが閉鎖され、チェックリング23とリアシート21の離間によって流路23Rが開放される。また、チェックリング23の外周面23Gと射出シリンダ11の内周面11Uは、チェックリング23の摺動を阻害しない程度の隙間が設けられている。この隙間は、スクリュ13の回転動作や前後進動作において、チェックリング23と射出シリンダ11とが強接触してカジリ損傷を防止する役割と、スクリュ13の前進動作時に溶融樹脂が隙間から後方B側に漏出させない役割を担う。使用する樹脂材料や射出成形機の大きさ等から適宜設定される。
なお、図2に示すチェックリング23は、スクリュ13の回転と連動して回転しない非回転式としたが、これに限定されることなく、例えば、スクリュヘッド25とチェックリング23を連結する爪構造等によってスクリュ13の回転と連動して回転する回転式としても良い。
ここで、本発明に係る逆流防止装置20において、チェックリング23の外周面23Gに、摩擦係数の高い表面処理層を設けることを特徴とする。
摩擦係数の高い表面処理層としては、以下に示すものを用いることができる。
例えば、外周面23Gの表面粗さを調整して微細な凹凸を設け、射出シリンダ11の内周面11Uの機械加工時に生じた微細な凹凸との噛み合わせの程度を大きくすることで、摩擦係数を高めることができる。具体的には、外周面23Gの機械加工時の仕上げレベルを下げる、外周面23Gに微細なクロス模様を追加する、外周面23Gに微小鋼球やガラス粉末等の放射材を吹き付けるショットブラスト処理等の手段を適宜用いる。
また、溶射や肉盛等の異材質積層成形技術を利用して、外周面23Gの摩擦係数を高めることができる。例えば、金属材料やセラミック等の溶射材料をアーク溶射法やレーザ溶射法により、外周面23Gの表面に溶射材料を皮膜処理する。溶射材料の粒子の大きさや粒径分布及び溶射条件の調整等により、摩耗係数を細かく調整できるとされている。さらに、溶射材料の種類によっては、外周面23Gの表面硬度を高めることができ、チェックリング23の摩耗寿命を高める付帯効果も期待できる。
次に、図2に示す逆流防止装置20の挙動について、図3を用いて説明する。図3は、射出シリンダ11の内部が観察できる可視化装置を用いて、逆流防止装置20の挙動を観察した様子を模擬的に表現したものであって、図3(a)は計量工程時の挙動を示し、図3(b)は射出工程開始時の挙動を示す。
図3に用いた逆流防止装置20のチェックリング23は、外径100mm、鋼材はSKD61熱処理材に窒化処理を施工し、表面粗さRa0.2の研磨仕上げ機械加工後に、粒径が0.5mm程度のアルミナ粉末を用いたショットブラストの表面処理を外周面23Gに施工して、摩擦係数を高く調整した表面処理層を設けた。
なお、比較として、機械加工だけの従来技術のチェックリング23Dを用いて、図3と同条件で逆流防止装置20Dの挙動を観察した様子を図4に示す。
先ず、図3(a)に示すように、計量工程においては、可塑化された溶融樹脂はスクリュ13の回転動作により前方Fに回転輸送され、リアシート21を乗り越えて、さらに前方Fへ輸送される。この溶融樹脂の輸送の流動を受けて、チェックリング23は前方F側に移動し、溶融樹脂の流路が開放される。なお、チェックリング23の移動は、スクリュヘッド25の凸部25Dで制限される。溶融樹脂は、先ずチェックリング23とリアシート21の隙間21R内に流入し、流路23R内を前方F側に流動して、スクリュヘッド25に設けた出口流路25Rから前方F側に溶融樹脂が流出し、スクリュヘッド25の前方F側の射出シリンダ11内に溶融樹脂が貯蔵される。スクリュ13の回転動作の継続により、溶融樹脂の回転輸送は継続され、溶融樹脂の貯蔵量が次第に増加していく。溶融樹脂の貯蔵量の増加に伴い、スクリュ13は回転動作しながら後退動作する。このスクリュ13の後退動作時の抵抗力の制御を背圧制御という。溶融樹脂の貯蔵量が所定量に到達後は、スクリュ13の回転動作を停止させて計量工程を終える。
計量工程中は、流路23R内の溶融樹脂の流動によって、チェックリング23はバランスが保たれ、チェックリング23の外周面23Gと射出シリンダ11の内周面11Uは適度な隙間が維持される。しかしながら、計量工程を終えると、流路23R内の溶融樹脂の流動は停止するので、チェックリング23は自重により落下し、チェックリング23の外周面23Gと射出シリンダ11の内周面11Uとは接触した状態となる。射出工程は、この状態で開始される。
また、図4(a)に示すように、従来技術のチェックリング23Dを用い逆流防止装置20Dも、計量工程においては、図3(a)と同じ挙動を示すことが確認された。
次に、図3(b)に示すように、スクリュ13の前進動作により射出工程が開始する。この時、チェックリング23は、計量工程を終えた位置に停止しており、停止しているチェックリング23に向かってスクリュ13は前進動作し、リアシート21とチェックリング23が当接して(X1=0)、隙間21Rは無くなり流路が閉鎖される。その後は、チェックリング23とリアシート21は当接を保持したままスクリュ13は前進動作を継続し、金型キャビティ55内へ溶融樹脂の射出充填が行われる。
これに対して、従来技術のチェックリング23Dを用いた射出工程は、図4(b)に示すような挙動が確認された。スクリュ13の前進動作に伴い、隙間21R内の溶融樹脂が押圧され、溶融樹脂の押圧によってチェックリング23Dが前方F側に移動した。その結果、チェックリング23Dとリアシート21とは当接しない状態となり(X2>0)、隙間21Rは残ったまま流路は閉鎖されず開放されたままである。さらに、スクリュ13が前進動作すると、流路が開放されているために、スクリュヘッド25の前方の溶融樹脂及び流路23R内の溶融樹脂が後方B側に逆流し、隙間21R内の溶融樹脂の圧力は上昇する。この圧力上昇により、チェックリング23はさらに前方F側に押されて流路の閉鎖がさらに遅れる。さらに、スクリュ13の前進動作が継続すると、スクリュヘッド25の前方F側の溶融樹脂の圧力が急激に上昇し、チェックリング23の前方F側への移動が停止し、リアシート21とチェックリング23とが当接して流路が遅れて閉鎖する。この流路の閉鎖の遅れの間に、かなりの量の溶融樹脂が後方B側に漏出し、重大な成形不良を引き起こすことになる。
図3(b)の説明に戻る。逆流防止装置20のチェックリング23の外周面23Gは、摩擦係数の高い表面処理層を設けている。計量工程を終え射出工程の開始時は、チェックリング23の外周面23Gと射出シリンダ11の内周面11Uとは接触した状態である。つまり、スクリュ13の前進動作に伴う溶融樹脂の押圧を受けても、高い摩擦係数により、チェックリング23は動くことなくその場に停止している。その結果、射出工程開始時は、チェックリング23とリアシート21は直ぐに当接し、流路は直ぐに閉鎖する。
このように、チェックリング23の外周面23Gに、摩擦係数の高い表面処理層を設けることにより、射出工程開始時は流路閉鎖の応答性を高め、流路閉鎖の遅れに起因する成形不良は皆無となる。また、スクリュ13を逆回転させるなどの手段は不要であるので、スクリュ13内の溶融樹脂の逆流は全く発生せず、溶融樹脂の逆流による成形不良や機械トラブルは皆無となる。なお、計量工程時は、スクリュ13の回転動作による溶融樹脂の流動を受けて、チェックリング23はバランスと保ち、チェックリング23の外周面23Gと射出シリンダ11の内周面11Uとは適度な隙間で離れている状態である。これにより、摩擦係数の影響を受けずにチェックリング23は容易に動き、流路開放の応答性も高く、流路開放の遅れに起因する成形不良は大きく改善できる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に記載された範囲には限定されない。上記の実施形態には多様な変更または改良を加えることが可能である。
例えば、チェックリングの内周面に、ダイヤモンドペースト等の緻密な研磨剤を用いて鏡面仕上げを行う。あるいは、真空蒸着やスパッタリング等の物理蒸着法(PVD)を用いて窒化クロム(CrN)等の緻密な硬質皮膜層をチェックリングの内周面に形成し、さらに鏡面仕上げを行うとしても良い。これらの表面処理は、チェックリングの内周面の濡れ性を改善する。その結果、溶融樹脂との接着性が低下し、射出工程開始時に押圧された溶融樹脂の影響を低減することができ、チェックリングの外周面の摩擦係数の高い表面処理層との相乗効果により、流路閉鎖の応答性をさらに高めることが期待できる。
10 射出装置
11 射出シリンダ
11U 内周面
13 スクリュ
15 フライト
16 ヒータ
17 材料ホッパ
18 シリンダヘッド
19 ノズル
20 逆流防止装置
21 リアシート
21R 隙間
23 チェックリング
23G 外周面
23N 内周面
23R 流路
25 スクリュヘッド
25Z 軸部
25R 出口流路
25D 凸部
30 射出駆動部
40 射出制御部
50 射出成形金型
51 固定金型
53 可動金型
55 金型キャビティ
100 射出成形機

Claims (1)

  1. 射出シリンダ内のスクリュの先端に配置され、溶融樹脂が通過する流路の開閉を行う射出成形機の逆流防止装置において、
    前記逆流防止装置は、リアシートと、スクリュヘッドと、前記リアシートと前記スクリュヘッドの間を摺動自在に配置されるチェックリングと、を備え、
    前記チェックリングの外周面に、摩擦係数の高い表面処理層を設ける、ことを特徴とする射出成形機の逆流防止装置。
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