JP2023059073A - 射出成形方法 - Google Patents

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Yuichiro Arima
昭男 岡本
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Abstract

【課題】射出工程から保圧工程の切換時に発生したスプリングバック現象を簡単に改善できる射出成形方法を提供することを目的とする。【解決手段】速度制御で射出工程を行い、圧力制御で保圧工程を行う試し打ち成形で、速度制御から圧力制御への切換位置VPと、圧力制御の保圧完了位置SEと、圧力制御の保圧時間HTを求め、切換位置VPと保圧完了位置SEと差を保圧移動量HLとし、保圧移動量HLと保持時間HTから、冷却固化収縮を補うスクリュ15の保圧速度VHを算出して射出制御部40に設定し、試し打ち成形に続く量産成形は、保圧速度VHに基づいて保圧工程を速度制御とする。【選択図】図3

Description

本発明は、射出工程でスクリュの前進動作を制御して、射出シリンダ内に貯蔵した溶融樹脂を、金型キャビティ内に射出充填し、射出充填した溶融樹脂の冷却固化収縮量を補う新たな溶融樹脂の補充を、保圧工程で射出シリンダから前記金型キャビティに向けて行う射出成形方法に関するものである。
樹脂材料の可塑化と貯蔵と射出を同時に行うインライン式射出成形機を用いた射出成形は、射出シリンダ内に樹脂材料を供給し、該樹脂材料は、螺旋状のフライトを有するスクリュの回転運動によるせん断発熱と、射出シリンダに設けたヒータ等の熱量によって可塑化され、スクリュ先端の射出シリンダ内に溶融状態の計量樹脂として貯蔵される。計量樹脂の貯蔵に伴いスクリュは後退動作し、所定の後退位置でスクリュの回転運動を停止してスクリュ位置が保持される。このスクリュの後退動作に抵抗力を負荷して、貯蔵される計量樹脂の溶融混錬性を調整する(背圧制御という)。ここまでを計量工程という。スクリュを前進動作させて、計量樹脂を金型キャビティ内に射出充填する射出工程と、溶融状態の計量樹脂の冷却固化収縮を補う保圧充填の保圧工程と、溶融状態の計量樹脂を金型キャビティ内で冷却固化させる冷却工程を経て、型開して金型キャビティから射出成形品として取り出す。
また、樹脂材料の可塑化と、貯蔵及び射出が異なるプリプラ式射出成形機を用いた射出成形においても、計量工程で計量樹脂を貯蔵し、射出工程で金型キャビティ内に計量樹脂を射出充填し、その後、保圧工程と冷却工程に進む。いずれの場合においても、射出工程においては、スクリュの前進速度を制御して射出充填する速度制御が採用され、保圧工程においては、スクリュの前進推力を制御して保圧充填する圧力制御が、常識的に広く採用されている。
ここで、射出工程において、金型キャビティ内を流動する樹脂の流動圧力は、樹脂圧力換算で100MPa以上の高圧となることがある。例えば、溶融粘度の高い樹脂材料や、充填距離が長く薄肉形状の金型キャビティ形状等の成形条件によっては、さらに高圧となることが報告されている。そのため、射出工程の速度制御を確実なものとするために、流動圧力よりも高めの射出圧力が射出装置に設定される。これに対して、保圧工程の保圧充填に必要な流動圧力は、冷却固化収縮を補う程度の比較的低めの樹脂圧力でよい。過大な樹脂圧力を負荷して保圧充填を行うと、残留応力による製品の変形等の成形不良を誘発するとされている。そのため、射出装置に設定される保圧工程の射出圧力は、射出工程の半分以下が好ましいとされている。
この射出圧力の差によって、射出工程から保圧工程の切換時に(保圧切換という)、スクリュが大きく後退することがある(スプリングバック現象という)。このスプリングバック現象により、金型キャビティ内に射出充填した樹脂が射出装置側に逆流する、あるいは、金型キャビティ内の樹脂の流動が停止または逆流する等の樹脂流動の乱れが生じる。この樹脂流動の乱れによって、射出充填量(製品重量)の変動、フローマークや転写不良等の製品外観不良、ボイドや異物混入等の製品内部不良、製品ショート不良等、多くの成形不良の原因となる。そのため、保圧切換時のスプリングバック現象を発生させない提案が多くされている。
例えば、特許文献1に示すような、射出工程で金型キャビティ内に樹脂が満杯となる手前でスクリュの前進動作を停止させ、樹脂の圧縮性を利用して金型キャビティ内に樹脂を充満させた後に、保圧工程に移行する制御方法が提案されている。また、特許文献2に示すような、充填工程と保圧工程を射出速度制御とし、圧力実効値が圧力上限値に接近すると射出速度を減速させ、圧力実測値が圧力上限値を超えないようにする射出制御方法が提案されている。また、特許文献3に示すような、保圧制御系に射出速度のマイナフィードバックを設け、射出速度系の速度フィードバックと共用し、射出工程と保圧工程の間に切換工程を設け、射出工程から切換工程および切換工程から保圧工程の切換条件を圧力で設定し、切換工程中に制御ゲインを調整する制御方法が提案されている。
特開2008-74114号公報 特開平2-43021号公報 特開平3-243320号公報
ここで、特許文献1に示すように、圧力制御で保圧工程を行うとしているので、保圧工程の射出圧力の設定値によっては、スプリングバック現象が生じることもあると書かれている。樹脂の圧縮性を利用して、金型キャビティ内に樹脂が充満されているとしても、スプリングバック現象の程度によっては、射出装置への樹脂の逆流や、金型キャビティ内の樹脂の圧力変動が生じることが考えられる。また、連続成形中の樹脂あるいは金型の温度変動や、樹脂に含まれる添加剤の変動等によって、樹脂の圧縮性の状態も変動し、金型キャビティ内への樹脂の充満の程度も変動する。このスプリングバック現象と圧縮性の変動によって、樹脂流動の乱れに起因する成形不良を確実に改善できるものではない。
また、特許文献2に示すように、充填工程も保圧工程も同様に、圧力実効値が圧力上限値に達するまでは射出速度制御であり、圧力実効値が圧力上限値に接近すると射出圧力制御を行うと書かれている。その結果、圧力実効値が圧力上限値に接近した後は、圧力実効値が圧力上限値を超えないように、射出速度は減速すると書かれている。この現象を、射出速度制御における射出圧力の頭打ちといい、射出速度制御は制御されていない状態となる。そうなると、充填工程中も保圧工程中も、射出速度は制御されていない状態を含み、射出速度の安定は期待できない。その結果、樹脂流動の乱れによる成形不良を改善するものではない。
また、特許文献3に示すように、各工程の切換時に射出圧力の連続性が確保できるとされている。これにより、スプリングバック現象は改善されるものと考えられる。なお、各工程の切換は、樹脂の充填に伴う上昇する射出圧力を基準として行われるとされている。しかしながら、例えば、連続成形中の計量樹脂あるいは金型の温度変化や、樹脂に含まれる添加剤の変動等によって、射出圧力は大きく変動する。そのため、各工程の切換のタイミングが変動し、樹脂流動の状態が変動して、樹脂流動の乱れと同様あるいは異なる別の成形不良が発生することが考えられる。
そこで本発明は、射出工程から保圧工程の切換時に発生したスプリングバック現象を簡単に改善できる射出成形方法を提供することを目的とする。
本発明の射出成形方法は、
射出工程でスクリュの前進動作を制御して、射出シリンダ内に貯蔵した溶融樹脂を、金型キャビティ内に射出充填し、射出充填した前記溶融樹脂の冷却固化収縮を補う新たな溶融樹脂の補充を、保圧工程で前記射出シリンダから前記金型キャビティに向けて行う射出成形方法において、
前記スクリュの速度制御と圧力制御を行う射出制御部を備え、
前記速度制御で射出工程を行い、前記圧力制御で保圧工程を行う試し打ち成形で、前記速度制御から前記圧力制御への切換位置と、前記圧力制御の保圧完了位置と、前記圧力制御の保圧時間を求め、前記切換位置と前記保圧完了位置と差を保圧移動量とし、前記保圧移動量と前記保持時間から、前記冷却固化収縮を補う前記スクリュの保圧速度を算出して前記射出制御部に設定し、
試し打ち成形に続く量産成形は、前記保圧速度に基づいて前記保圧工程を速度制御とする、ことを特徴とする。
本発明の射出成形方法において、
前記射出工程および保圧工程中の射出圧力を計測する圧力計測手段を備え、前記圧力計測手段で計測される最大の射出圧力計測値よりも、高い射出圧力設定値を前記射出制御部に設定する、ことが好ましい。
本発明によれば、射出工程から保圧工程の切換時に発生したスプリングバック現象を簡単に改善できる射出成形方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る射出成形機の概念図である。 本発明の実施形態に係る射出成形方法の設定手順を示す図である。 図3の設定手順に基づいた射出充填工程を示す図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが、各請求項に係る発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の尺度や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
(射出成形機)
先ず、本発明の実施形態に係る射出成形機について、図1を用いて説明する。なお、以下の説明で示す射出成形機として、樹脂材料の可塑化と貯蔵と射出を同時に行うインライン式射出成形機をベースとしたが、これに限定されるものではなく、樹脂材料の可塑化と、貯蔵及び射出が異なるプリプラ式射出成形機であっても良い。また、横型射出成形機をベースとしたが、竪型射出成形機であっても良く、樹脂材料を可塑化して貯蔵し金型キャビティ内に射出充填する射出成形機であれば、本発明の実施形態に係る射出成形機として扱うことができる。
図1に示す射出成形機100は、射出装置10と、射出成形金型20と、射出駆動部30と、射出制御部40と、を備える。
射出装置10は、円筒状の射出シリンダ11と、射出シリンダ11内に配置されるスクリュ15と、を備える。射出シリンダ11と先端のノズル14にはヒータ12が複数配置され、図示しない温度調整装置によって所定の温度パターンに加熱制御される。また、ノズル14は、図示しない駆動装置によって、射出成形金型20との接続および離間が操作される。射出制御部40は、射出駆動部30を操作して、スクリュ15の回転動作と前後進動作を制御する。ここで、スクリュ15の動作に関して、射出成形金型20に近い方向を前方F、前方Fへの動作を前進動作、射出成形金型20から離れる方向を後方B、後方Bへの動作を後退動作と定義する。
スクリュ15は、後方Bから前方Fに向かって螺旋状のフライト16を備える。スクリュ15の回転方向に対して、射出シリンダ11の後方Bの材料ホッパ13から供給した樹脂材料を前方Fへ回転輸送できるように、フライト16の螺旋状の向きと角度を設定する。なお、図1に示すように、フライト16は一定の間隔で一定の角度で1条の配置としたが、これに限定されることなく、例えば、間隔や角度を可変してもよく、複数条の配列としても良い。あるいは、スクリュ15の一部の範囲のみフライト16を複数条の配列としても良い。
また、スクリュ15は、後方Bから前方Fに向かって直径を段階的に大きくした円錐形状とする。つまり、スクリュ15と射出シリンダ10との隙間の容積が、後方Bから前方Fに向かって段階的に小さくなるように設定する。これにより、材料ホッパ13から供給された樹脂材料は、フライト16の回転動作により前方輸送され、容積の縮小によりせん断発熱が発生し、ヒータ12からの熱量の相乗効果により、溶融樹脂が生成される(可塑化という)。生成された溶融樹脂は、スクリュ15の先端部に配置される逆流防止リング17内の流路とスクリュヘッド18を通過して、射出シリンダ10の前方F側の先端部に計量樹脂として貯蔵される。計量樹脂の増加に伴い、スクリュ15は後方B側に後退し、所定の後退位置でスクリュ15の回転動作を停止し、その停止位置を保持する。このスクリュ15の後退動作に制限をかけて(計量背圧という)、計量樹脂の溶融混錬性を調整する(背圧制御という)。ここまでを計量工程という。射出工程はスクリュ15を前進させて、射出成形金型20に向けて計量樹脂を射出充填する。この射出工程では、逆流防止リング17内の流路は閉鎖されている。
射出成形金型20は、固定金型21と可動金型22が図示しない型締装置に支持され、固定金型21と可動金型22の型締により金型キャビティ24が形成される。射出装置10に貯蔵された計量樹脂は、ノズル14内を通過して、ゲートを含む樹脂流路23を経由して、金型キャビティ24内に射出充填される。射出充填された溶融樹脂が冷却され、金型キャビティ24から取り出したものが射出成形品となる。また、ノズル14の先端部には射出成形の動作に応じて開閉が操作される開閉装置19を備え、ノズル14からの計量樹脂の漏出防止等に用いる。なお、射出成形金型20の樹脂流路23に、開閉装置を設けても良い。
ここで、射出成形に用いる樹脂材料として、例えば、自動車内装部品においては、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等の熱可塑性樹脂に、黒や赤や青等の着色剤を添加して部品の色調を調整することが一般的である。また、熱可塑性樹脂に対して柔軟性を与える可塑剤、結晶性樹脂に対して結晶化度を制御する核剤や透明化剤、燃焼を抑制する難燃剤、静電気の帯電を抑制する帯電防止剤、流動性や離型性を改善する滑剤、紫外線による劣化を抑制する対候剤や紫外線劣化防止剤、ガラス繊維や炭素繊維等の強化剤等の各種の添加剤が適宜選択さる。また、ポリプロピレン(PP)樹脂やポリエチレン(PE)樹脂等の汎用樹脂、ポリアミド(PA)樹脂やポリカーボネイト(PC)樹脂等のエンジニアリング樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂等の超エンジニアリング樹脂等の熱可塑性樹脂が適宜選択される。熱可塑性樹脂と添加剤を合わせて樹脂材料という。なお、熱可塑性樹脂の代わりに、例えば、フェノール(PF)樹脂やメラニン(MF)樹脂等の熱硬化性樹脂を用いても良い。
(設定手順)
次に、本発明の実施形態に係る射出成形方法の設定手順について、図2を用いて説明する。図2は、図1に示す領域Aを拡大したものであり、設定手順の説明に関係ないものは割愛している。計量工程を終え、射出シリンダ11の前方Fに所定量の計量樹脂PLが貯蔵されている状態から、速度制御で射出工程を行い、圧力制御で保圧工程を行う試し打ち成形を開始する。
先ず、図2(a)に示すように、試し打ち成形において、射出制御部40は、予め設定された射出速度パターンに基づいて射出駆動部30を操作して、スクリュ15の前進動作を速度制御して射出工程を開始する(速度制御による射出工程)。この時、開閉装置19は開放状態であり、計量樹脂PLは樹脂流路23を通って金型キャビティ24内に流入する。また、計量工程では流路が開放となっていた逆流防止リング17は、スクリュ15に押圧され、流路は閉鎖状態となっている。
次に、図2(b)に示すように、スクリュ15の位置が予め設定された速度制御から圧力制御への切換位置VPに到達するまでは、速度制御の射出工程を継続する。なお、切換位置VPは、金型キャビティ24が計量樹脂PLで完全に充満される手前の適当なスクリュ15の位置として、射出制御部40に設定される。つまり、射出工程で計量樹脂PLの過充填となって、金型キャビティ24の合わせ面(金型PL面という)から、溶融樹脂が漏出する成形不良(樹脂バリ)を確実に防止するためである。なお、適当なスクリュ15の位置としたのは、後述する射出充填工程の速度制御の射出成形方法により確実に補正できることから、ここでは樹脂バリ防止を優先とした。
試し打ち成形において、スクリュ15の位置が切換位置VPに到達すると、速度制御の射出工程から圧力制御の保圧工程に切り替える。すると、図2(c)に示すように、射出工程と保圧工程の射出圧力差から、スクリュ15が大きく後退するスプリングバック現象が生じ、樹脂流動の乱れに起因する成形不良が発生する。スプリングバック現象の後退位置SBが後方Bに移動するほど、樹脂流動の乱は大きくなる。
次に、図2(d)に示すように、射出制御部40は、予め設定された射出圧力設定値に基づいて射出駆動部30を操作し、スクリュ15の前進動作を圧力制御して保圧工程を行う(圧力制御による保圧工程)。金型キャビティ24内に射出充填した溶融状態の計量樹脂PLの、冷却固化収縮を補う新たな溶融樹脂の補充を、射出装置10から金型キャビティ24に向けて行う(保圧充填という)。この保圧充填により、スクリュ15は再び前進動作となり、後退位置SBから切換位置VPを通過して保圧完了位置SEまで前進する。つまり、冷却固化収縮を補うのに必要な射出圧力を設定した圧力制御であるので、金型キャビティ24内の計量樹脂PLの冷却固化収縮の程度に合わせた、スクリュ15の前進速度とスクリュの前進停止位置が自然に決まる。この時のスクリュ15の前進停止位置を、保圧完了位置SEとして射出制御部40に設定する。なお、スクリュ15の位置計測は、位置センサや、スクリュ15の前後進用の電動サーボモータの回転量を検知するエンコーダ等の公知の手段を用いる。
また、保圧工程のスクリュ15の前進速度のうち、切換位置VPから保圧完了位置SEの範囲の前進速度を保圧速度VHとする。また、切換位置VPから保圧完了位置SEまでの移動時間を保圧時間HTとし、切換位置VPから保圧完了位置SEまでのスクリュ15の移動量を保圧移動量HLとし、それぞれを射出制御部40に設定する。射出制御部40は、保圧移動量HLと保圧時間HTから保圧速度VHを算出する(VH=HL/HT)。なお、スクリュ15の移動速度を射出速度として表示する表示器等を備えた射出成形機においては、この表示器の数値を保圧速度VHとしても良い。また、後退位置SBから切換位置VPまでのスクリュ15の移動は、スプリングバック現象によって逆流した計量樹脂PLを金型キャビティ24内に戻す動作であるので、冷却固化収縮を補う保圧充填とは異なる。また、スプリングバック現象により逆流防止リング17とスクリュ15の当接が離れ、逆流防止リング17の流路が開放状態となり、射出シリンダ11内の計量樹脂PLが、スクリュ15側に漏出する。後述する射出充填工程の速度制御の射出成形方法により、スプリングバック現象が無くなることから、この漏出は不具合現象から削除できる。
(射出成形方法)
試し打ち成形に続く量産成形の射出成形方法は、射出制御部40で算出した保圧速度HVに基づいて、保圧工程を速度制御で行う。つまり、試し打ち成形は、利便性を考慮して、射出成形の分野で広く採用され使い慣れた速度制御による射出工程と圧力制御による保圧工程の成形パターンとし、試し打ち成形で算出した設定項目を用いて、射出工程から保圧工程の全ての範囲を速度制御とした射出充填工程とする。これにより、スプリングバック現象を簡単に確実に改善することができる。特に、射出成形の現場において、効率の良い改善手段として発揮することができる。図3を用いて詳細に説明する。
射出充填工程の速度制御の射出成形方法の一例を図3に示す。図3の横軸はスクリュ15の位置を示し、スクリュ15の前進動作(横軸の右側から左側に向かう動作)により、計量樹脂PLが金型キャビティ24内に射出充填される。縦軸は射出速度と射出圧力を示す。図中の実線は射出充填工程の射出速度設定パターンIVSを示し、太い破線は射出圧力設定値IPSを示し、細い破線は射出圧力計測値IPKを示す。射出圧力計測値IPKは、射出装置10に設けた圧力計測手段で計測した計測値を用いる。圧力計測手段としては、例えば、スクリュ15の後方Bの端末に圧力センサを取付けて、射出充填工程中にスクリュ15が受ける樹脂圧力を、圧力センサで計測して射出圧力計測値IPKとする。これ以外の圧力計測手段として、例えば、射出駆動部30が油圧シリンダ等の油圧駆動装置であれば、油圧シリンダに供給される油圧から射出圧力計測値IPKを算出しても良く、射出駆動部30が電動サーボモータ等の電動駆動装置であれば、電動サーボモータの出力トルクから算出しても良い。あるいは、射出シリンダ11の前方F側またはノズル14に圧力センサを組み込んで、樹脂圧力を直接的に計測して射出圧力計測値IPKとしても良い。
射出開始(計量完了位置)から射出完了(保圧完了位置SE)までは、射出制御部40に設定した射出速度設定パターンIVSに基づいて、射出駆動部30を操作して、速度制御によるスクリュ15の前進動作を行い、計量樹脂PLを金型キャビティ24内に射出充填する。つまり、射出開始から保圧完了位置SEまでを射出充填工程とし、制御形態を変えることなく速度制御のみで計量樹脂の射出充填を行うことを特徴とする。射出開始から切換位置VPまでは、従来技術の射出工程に相当し、切換位置VPから保圧完了位置SEまでは、従来技術の保圧工程に相当する。そして、切換位置VPから保圧完了位置SEまでは、試し打ち成形で算出した保圧速度VHとする。なお、射出開始から切換位置VPまでは、例えば、図3に示すように、試し打ち成形で用いた多段の射出速度設定(V1~V4)を流用することが好ましい。
また、射出充填工程の射出速度設定パターンIVSの速度制御において、射出圧力の頭打ち、と言われる不具合現象をさけるために、射出圧力計測値IPKよりも高い射出圧力設定値IPSを射出制御部40に設定することを特徴とする。射出圧力設定値IPSは、射出速度制御下において、許容される射出圧力の最大補償値である。射出圧力の頭打ちとは、射出圧力計測値IPKが射出圧力設定値IPSに近接した状態や、射出圧力計測値IPKが射出圧力設定値IPSを超過した状態で、速度制御を継続させると、スクリュ15の前進動作に必要な推力が足りず、スクリュ15の実質の前進速度が勝手に減速され、制御不能状態となり、射出速度設定パターンIVSから大きく外れてしまう。こうなると、従来技術で示した射出成形の不具合と同じであり、樹脂流動の乱れによる成形不良となる。つまり、射出充填工程においては、速度制御の確実な実行が望ましい。
(効果)
このように、射出開始から保圧完了までを1つの射出充填工程とし、射出圧力の頭打ち等による速度制御の乱れを回避し、連続した速度制御による金型キャビティへの計量樹脂の射出充填を行うとした。これにより、従来の射出工程から保圧工程への切換時のスプリングバック現象は全く発生せず、射出充填量(製品重量)の変動、フローマークや転写不良等の製品外観不良、ボイドや異物混入等の製品内部不良、製品ショート不良等の樹脂流動の乱れに起因する成形不良は無くなり、高品質な射出成形の安定生産を可能とする。
また、射出成形の分野で広く採用されている、速度制御による射出工程と圧力制御による保圧制御の射出成形パターンで試し打ち成形を行い、この試し打ち成形から、連続した速度制御による射出充填工程を導く手法により、仮に、射出成形の現場でスプリングバック現象が発生し、射出成形の品質が変動していたとしても、簡単に、確実に改善することができる。
さらに、連続した速度制御による射出充填工程により、例えば、計量樹脂あるいは射出成形金型の温度変化や、樹脂材料あるいは添加剤の変動によって生じる樹脂流動性の変化に対しても、影響を受けることなく安定した射出成形を継続することができる。また、樹脂流動長の安定化による製品形状や重量の安定性を得る。特に、多数個取り射出成形において、多数の金型キャビティに対しても樹脂流動長の安定化を得ることができ、それぞれの製品重量の安定化の効果を発揮する。スプリングバック現象による、スクリュの後退と復帰に要する無駄な時間が削減でき、成形サイクル短縮の効果も確認されている。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に記載された範囲には限定されない。上記の実施形態には多様な変更または改良を加えることが可能である。
100 射出成形機
10 射出装置
11 射出シリンダ
12 ヒータ
13 材料ホッパ
14 ノズル
15 スクリュ
16 フライト
17 逆流防止リング
18 スクリュヘッド
19 開閉装置
20 射出成形金型
21 固定金型
22 可動金型
23 樹脂流路
30 射出駆動部
40 射出制御部
F 前方
B 後方
A 領域
PL 計量樹脂
VP 切換位置
SB 後退位置
SE 保圧完了位置
VH 保圧速度
HT 保圧時間
HL 保圧移動量
IVS 射出速度設定パターン
IPS 射出圧力設定値
IPK 射出圧力計測値

Claims (2)

  1. 射出工程でスクリュの前進動作を制御して、射出シリンダ内に貯蔵した溶融樹脂を、金型キャビティ内に射出充填し、射出充填した前記溶融樹脂の冷却固化収縮を補う新たな溶融樹脂の補充を、保圧工程で前記射出シリンダから前記金型キャビティに向けて行う射出成形方法において、
    前記スクリュの速度制御と圧力制御を行う射出制御部を備え、
    前記速度制御で射出工程を行い、前記圧力制御で保圧工程を行う試し打ち成形で、前記速度制御から前記圧力制御への切換位置と、前記圧力制御の保圧完了位置と、前記圧力制御の保圧時間を求め、前記切換位置と前記保圧完了位置と差を保圧移動量とし、前記保圧移動量と前記保持時間から、前記冷却固化収縮を補う前記スクリュの保圧速度を算出して前記射出制御部に設定し、
    試し打ち成形に続く量産成形は、前記保圧速度に基づいて前記保圧工程を速度制御とする、ことを特徴とする射出成形方法。
  2. 前記射出工程および保圧工程中の射出圧力を計測する圧力計測手段を備え、前記圧力計測手段で計測される最大の射出圧力計測値よりも、高い射出圧力設定値を前記射出制御部に設定する、請求項1記載の射出成形方法。
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