JP2005238519A - 射出装置及び射出成形方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性樹脂等の成形材料の射出成形を行うにあたり、可塑化された成形材料の粘度を正確に測定すると共に、その測定結果に基づいて成形材料の可塑化条件や射出条件を制御し、好適な条件での射出成形を行うことができる射出装置を提供する。
【解決手段】射出シリンダ1と、この射出シリンダ1に接続された計測用シリンダ2と、この計測用シリンダ2に接続された可塑化装置3とを具備する。前記可塑化装置3は、成形材料を加熱して可塑化する加熱手段と、可塑化した成形材料を計測用シリンダ2に供給する供給手段を備える。前記計測用シリンダ2は、複数の圧力センサ25a,25bと、計測用プランジャ22と、計測用プランジャ22の移動量を測定する測定手段とを備える。前記射出シリンダ1は、計測用シリンダ2から供給された成形材料を射出する射出手段を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂等の射出成形を行う場合に利用される射出装置及びこの射出装置を用いた射出成形方法に関するものである。
従来、熱可塑性樹脂等の射出成形においては、成形品の良・不良の判定や成形条件の制御の方法として、金型内に設置された圧力センサで樹脂の金型内圧力を測定し、これが予め設定された範囲内に収まるか否かを判別することが行われていた。
しかし、このような手法では、成形材料の溶融粘度の変化に対応できず、充填圧力が成形材料のバラツキにより変化した場合、判別が不能になるという欠点があった。
また、射出シリンダのノズル部分に圧力センサを設けることで、成形材料の射出時の圧損を測定し、これにより成形材料の粘度を測定することも提案されている(特許文献1参照)。この場合は、成形材料の粘度に基づいて成形品の良・不良の判定や成形条件の制御を行うことができるが、圧力センサを設ける分だけノズル部分の寸法を長くしなければならず、このため射出時に成形材料が必要以上の剪断を受けて発熱することで成形条件幅が小さくなるという不具合も生じるものであった。また、射出時の成形材料の流速は非常に速いために圧力センサによる測定値は誤差が大きくなり、また射出時の圧力を測定するため高い圧力がかかるために高精度の圧力センサを用いると破損のおそれがあり、このため正確な測定は困難であった。更に、射出時の粘度測定を行うため、成形材料の粘度を測定しても、その測定結果をその成形材料の成形条件の制御に利用することはできず、次回以降の成形時にフィードバックして利用できるだけであった。
また、プリプラ式の射出成形機においては、射出シリンダへ溶融した成形樹脂を供給する際に、射出シリンダのプランジャにかけられる圧力とこの射出シリンダの移動速度とによって、成形材料の粘度を測定し、その測定結果に基づいてプランジャの動作を制御することも提案されている(特許文献2参照)。しかし、粘度測定に用いるプランジャと射出時に用いるプランジャとが同一であるので、射出シリンダのプランジャにかけられる圧力を測定するための圧力センサには、やはり射出時に高い圧力がかけられることとなり、このため高精度の圧力センサを用いると破損のおそれがあり、正確な測定は困難であった。
特開平5−329864号公報 特公昭64−5823号公報
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、熱可塑性樹脂等の成形材料の射出成形を行うにあたり、可塑化された成形材料の粘度を正確に測定すると共に、その測定結果に基づいて成形材料の可塑化条件や射出条件を制御し、好適な条件での射出成形を行うことができる射出装置及びこの射出装置を用いた射出成形方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る射出装置は、射出シリンダ1と、この射出シリンダ1に接続された計測用シリンダ2と、この計測用シリンダ2に接続された可塑化装置3とを具備し、前記可塑化装置3は、成形材料を加熱して可塑化する加熱手段と、可塑化した成形材料を計測用シリンダ2に供給する供給手段を備え、前記計測用シリンダ2は、複数の圧力センサ25a,25bと、計測用プランジャ22と、計測用プランジャ22の移動量を測定する測定手段とを備え、前記射出シリンダ1は、計測用シリンダ2から供給された成形材料を射出する射出手段を備えることを特徴とするものである。このように構成される射出装置にて射出成形を行うようにすると、成形材料を可塑化装置3にて可塑化した後、計測用シリンダ2に供給する際に、上記圧力センサ25a,25bと測定手段との検知結果に基づいて、可塑化した成形材料の粘度を導出することができ、この導出された粘度の値に基づいて、可塑化装置3における可塑化条件や、射出シリンダ1における射出条件を好適な条件に制御することが可能である。しかも、計測用シリンダ2に設けられた圧力センサ25a,25bには、射出時の圧力がかけられることがなく、このため高精度の圧力センサ25a,25bを用いて圧力の測定を正確に行うことができ、ひいては粘度の測定を正確に行うことができる。
上記計測用シリンダ2には、成形材料の温度を測定する温度センサ27と、加熱手段とを備えさせることが好ましく、この場合は、温度センサ27の検知結果に基づいて加熱手段を制御して計測用シリンダ2における成形材料の温度を一定に保持することができ、温度条件を一定にした状態で成形材料の粘度測定を行うことができるものであり、これにより粘度測定をより正確に行うことができる。
また、上記計測用シリンダ2は、計測用プランジャ22から成形材料にかけられる圧力を検知する背圧測定センサ26を備えるようにすることも好ましい。この場合は、背圧測定センサ26の検知結果に基づき、この背圧を一定に維持した状態で成形材料の粘度測定を行うことができるものであり、これにより粘度測定をより正確に行うことができる。
本発明に係る射出成形方法は、上記のような射出装置を用い、可塑化装置3に成形材料を供給して可塑化すると共にこの成形材料を計測用シリンダ2へ供給し、この可塑化装置3から計測用シリンダ2への供給過程において上記圧力センサ25a,25bにて成形材料の圧力を検知すると共に、測定手段にて計測用プランジャ22の移動量を検知し、この検知結果から成形材料の粘度を導出し、前記粘度の値に基づいて、計測用シリンダ2から射出シリンダ1へ供給された成形材料の射出条件を制御することを特徴とするものである。これにより、成形材料の粘度の値に基づいて、射出シリンダ1における射出条件を好適な条件に制御することが可能である。しかも、計測用シリンダ2に設けられた圧力センサ25a,25bには、射出時の圧力がかけられることがなく、このため高精度の圧力センサ25a,25bを用いて圧力の測定を正確に行うことができ、ひいては粘度の測定を正確に行うことができる。
また、上記計測用シリンダ2が、成形材料の温度を測定する温度センサ27と、加熱手段とを備えるものであり、この温度センサ27にて計測された成形材料の温度に基づいて、加熱手段による加熱量を変更することにより、計測用シリンダ2内の成形材料の温度が所定の値となるように制御することも好ましい。この場合、成形材料の温度条件を一定に維持した状態で粘度の測定を行うことができ、粘度の測定をより正確に行うことができる。
また、上記計測用シリンダ2が、成形材料から計測用プランジャ22にかけられる圧力を検知する背圧測定センサ26を備えるものであり、この背圧測定センサ26にて検知される圧力が所定の値となるように前記計測用プランジャ22から成形材料へかける圧力を制御することも好ましい。この場合、成形材料にかけられる背圧を一定に維持した状態で粘度の測定を行うことができ、粘度の測定をより正確に行うことができる。
また、射出シリンダ1を、成形圧力を検知する型内圧力センサ41を備えた成形金型4に接続し、計測用シリンダ2における成形材料の粘度の測定結果に基づいて、成形金型4における好適な成形圧力範囲を導出し、成形圧力が前記好適な成形圧力範囲に収まるように射出シリンダ1を制御することも好ましい、この場合、粘度に応じた好適な成形圧力にて射出成形を行うことができる。
また、上記のような射出装置を用い、可塑化された成形材料が可塑化装置3から計測用シリンダ2へ供給されている際に上記圧力センサ25a,25bにて検知された成形材料の圧力と、計測用プランジャ22の移動量とから成形材料の粘度を導出し、前記粘度の値に基づいて、可塑化装置3における可塑化条件を制御することもできる。
本発明によれば、成形材料を可塑化装置3にて可塑化した後、計測用シリンダ2に供給する際に、上記圧力センサ25a,25bと測定手段との検知結果に基づいて、可塑化した成形材料の粘度を導出することができ、この導出された粘度の値に基づいて、可塑化装置3における可塑化条件や、射出シリンダ1における射出条件を好適な条件に制御することが可能であり、しかも、計測用シリンダ2に設けられた圧力センサ25a,25bには、射出時の圧力がかけられることがなく、このため高精度の圧力センサ25a,25bを用いて圧力の測定を正確に行うことができ、ひいては粘度の測定を正確に行うことができるものである。
図1に、本発明に係る射出装置の一例を示す。図示のものでは、成形用金型4の内部に接続された射出シリンダ1と、射出シリンダ1に接続された計測用シリンダ2と、計測用シリンダ2に接続された可塑化装置3とで、射出装置が構成されている。
射出シリンダ1は、可塑化された成形材料を成形金型4へ射出する機能を有する。図示の例では、筒状のシリンダ筒11の内部に射出プランジャ12を駆動自在に設けられており、またシリンダ筒11の先端が成形用金型4内のキャビティ42に連通接続されるようになっている。射出プランジャ12は、前進速度(射出速度)又は射出プランジャ12からシリンダ筒11の内部の成形材料にかけられる背圧(射出圧力)を適宜調整して前進駆動することが可能となるように形成され、そのための油圧系、モータ等の駆動手段23が設けられる。
計測用シリンダ2は、可塑化された成形材料の粘度を導出するための測定を行う機能と、この可塑化された成形材料を射出シリンダ1へ供給する機能とを有するものであり、図示の例では、シリンダ筒21の内部に計測用プランジャ22が駆動自在に設けられており、またシリンダ筒21の先端が、上記射出シリンダ1のシリンダ筒11の側面に接続されることにより、射出シリンダ1のシリンダ筒11と計測用シリンダ2のシリンダ筒21とが連通接続されている。この計測用シリンダ2のシリンダ筒21内には、計測用プランジャ22の駆動方向に沿って複数個(少なくとも二個)の圧力センサ25a,25bが配設されている。また計測用プランジャ22の前進後退時の移動量を測定する測定手段として、エンコーダ等のような測定装置24も設けられており、計測用プランジャ22の移動量とそれに要した時間によって、計測用プランジャ22の移動速度が導出されるようになっている。
ここで、上記射出プランジャ12は、先端側へ前進させた状態では、その先端が射出シリンダ1のシリンダ筒11と計測用シリンダ2のシリンダ筒21との連通部位よりも先端側に配置され、これにより、射出シリンダ1の周面によってシリンダ筒11,21同士の連通が閉塞されるように形成されている。また、計測用プランジャ22は、先端側へ前進させた状態ではその先端面によってシリンダ筒11,21同士の連通が閉塞されるように形成されている。
可塑化装置3は、成形材料を可塑化して計測用シリンダ2へ供給する機能を有する。図示の可塑化装置3は、スクリューフィーダ式に形成されており、加熱手段としてヒータ33を備えるシリンダ筒31の内部に、供給手段としてスクリュー32が回転駆動自在に設けられている。この可塑化装置3のシリンダ筒31の先端が、計測用シリンダ2のシリンダ筒21の先端付近、少なくとも圧力センサ25a,25bよりも先端側に接続されることにより、可塑化装置3のシリンダ筒31と計測用シリンダ2のシリンダ筒21とが連通接続されている。また、図示はしていないが、可塑化装置3のシリンダ筒31と計測用シリンダ2のシリンダ筒21との連通部位には、両者の連通状態を開閉するシャッターが設けられている。
このような射出装置により熱可塑性樹脂等のような成形材料を射出成形する場合には、まず射出シリンダ1の射出プランジャ12の先端が、射出シリンダ1のシリンダ筒11と計測用シリンダ2のシリンダ筒21との連通部位よりも先端側に配置されるようにすることで、この二つのシリンダ筒11,21の連通を閉塞し、また計測用プランジャ22はその先端を圧力センサ25a,25bよりも先端側に前進させた状態とする。
この状態で、可塑化装置3のシリンダ筒31の内部にペレット状の成形材料を供給し、シャッターを開いた状態でヒータ33にてシリンダ筒31を加熱すると共にスクリュー32を回転駆動させる。成形材料はシリンダ筒31にて加熱されると共にスクリュー32から剪断力が加えられることによって可塑化され、更にスクリュー32の回転により計測用シリンダ2のシリンダ筒21内に供給される。
計測用シリンダ2においては、可塑化された成形材料が供給されるに従って計測用プランジャ22が押圧されて後退する。この成形材料の供給過程においては、計測用シリンダ2のシリンダ筒21に設けられた少なくとも二つの圧力センサ25a,25bによる検知結果からシリンダ筒21内における成形材料の圧損(ΔP)が導出され、また計測用プランジャ22の移動量を計量する測定装置24による検知結果からシリンダ筒21内における成形材料の流速(Q)が導出される。この成形材料の圧損(ΔP)と流速(Q)とから、成形材料の粘度(η)を導出することができる。粘度(η)を導出するための式の一例は、次の通りである。
η=τ・πR3/Q
τ=ΔP・R/(2ΔL)
η:粘度(Pa・s)
τ:剪断応力(Pa)
R:シリンダ筒内半径(cm)
Q:流速(cm3/s)
ΔL:二つの圧力センサ25a,25b間の距離(cm)
ΔP:二つの圧力センサ25a,25bにて測定された圧力の差(Pa)。
尚、上記式において、圧損(ΔP)と流速(Q)以外は装置構成に依存する定数であるから、粘度を表す指標としてΔP/Qの値を用い、この値に基づいて射出条件や可塑化条件を制御しても良く、必ずしも粘度の値そのものを導出する必要はない。また圧損(ΔP)の値を一定に制御することが可能であれば、流速(Q)、すなわち計測用プランジャ22の移動速度のみを、粘度を表す指標として用いても良い。
計測用シリンダ2に成形材料が供給されると、上記シャッターを閉じて計測用シリンダ2のシリンダ筒21と可塑化装置3のシリンダ筒31との連通を閉ざすと共に、射出プランジャ12を後退させて計測用シリンダ2のシリンダ筒21と射出シリンダ1のシリンダ筒11の連通を開き、この状態で計測用プランジャ22を前進させて成形材料を射出シリンダ1のシリンダ筒11内へ供給する。このとき計測用プランジャ22が前進することで、この計測用プランジャ22の先端面により、計測用シリンダ2のシリンダ筒21と射出シリンダ1のシリンダ筒11の連通が閉ざされる。
次に、射出プランジャ12を前進させることで、シリンダ筒11内の成形材料を金型4内へ射出し、金型4内で成形品を成形するものである。
上記の射出成形の過程においては、粘度測定のための圧力センサ25a,25bを計測用シリンダ2のシリンダ筒21内に配設しているものであり、このため、圧力センサ25a,25bには成形材料の射出時における高い射出圧力が直接かかることがなく、破損のおそれが少ないと共に、高感度の圧力センサ25a,25bを用いることができ、圧力の測定精度、ひいては粘度の測定精度が向上するものである。
また、計測用シリンダ2のシリンダ筒21にこのシリンダ筒21内の成形材料の温度を検知する温度センサ27を設けると共に、このシリンダ筒21にヒータ28を設け、温度センサ27の検知結果に基づき成形材料の温度が一定になるようにヒータ28による加熱量を制御することが好ましい。この場合、計測用シリンダ2内の成形材料の温度を一定に保持することで、この成形材料の粘度測定時の温度条件を一定に保ち、これにより粘度の測定精度を向上することができる。
また、計測用プランジャ22から成形材料へかけられる圧力(背圧)を検知する背圧測定センサ26を設け、可塑化装置3から計測用シリンダ2へ成形材料が供給されている過程において、前記背圧測定センサ26による検知結果に基づいて計測用プランジャ22の駆動機構を制御することにより、計測用プランジャ22から成形材料にかけられる背圧を一定に維持することも好ましい。この場合、成形材料の粘度測定時の背圧を一定に保ち、これにより粘度の測定精度を向上することができる。
また、計測用シリンダ2における成形材料の密度を一定に保持することで、粘度の測定精度を向上することもできる。
また、粘度の導出のために圧力センサ25a,25bにて成形材料の圧力を検知するにあたっては、成形材料を計測用シリンダ2へ供給していく過程において、図2(a)に示すように圧力センサ25a,25bにて検知される圧力(P1,P2)に変動が生じ、その差である圧損(ΔP)の値も一定の値とはならないことがある。この場合は圧力センサ25a,25bにて検知される所定期間内の変動した圧力(P1,P2)の平均値(図2(b)に点線で示す)を導出し、その値に基づいて圧損(ΔP)の値を導出して、これにより粘度を導出することが好ましい。すなわち、成形材料を可塑化装置3から計測用シリンダ2へ供給する場合に、成形材料中に組成の不均一が生じている場合があり、例えば比重の高い成形材料のペレットが後から供給されるようになったりする場合があるが、このような場合には、圧力センサ25a,25bの検知結果を平均した値を圧力の測定値とし、その値に基づいて射出条件を制御することができるものである。
そして、本発明では、上記のような射出成形の過程において、導出された成形材料の粘度に基づき、射出シリンダ1における成形材料の射出条件と、可塑化装置3における成形材料可塑化条件のうち、少なくとも一方を制御するものである。
まず、粘度の測定結果に基づく射出条件の制御の例について説明する。
粘度の測定結果に基づく射出条件の制御の方式は、必要とされる成形品の性質等に応じて種々の態様を採り得る。また射出条件を、速度制御(射出速度の制御)するか、圧力制御(射出圧力の制御)するかによっても、条件制御の方式が異なるものとなる。
例えば金型4内における成形圧力を一定に保ちたい場合に、成形材料の粘度が高くなると射出時の圧損が大きくなって、金型4内における成形圧力が所望の値よりも低くなり、また逆に成形材料の粘度が低くなると金型4内における成形材料が所望の値よりも大きくなる場合がある。そこで、例えば成形材料の粘度の基準値と、この粘度の基準値に対応する射出プランジャ12の前進速度(射出速度)(又は射出プランジャ12から成形材料にかけられる背圧(射出圧力))の基準値とを設定しておき、実測される成形材料の粘度が基準値を上回った場合に、その実測値と基準値との差に応じて、射出速度(又は射出圧力)を基準値よりも増大させ、また実測される成形材料の粘度が基準値を下回った場合に、その実測値と基準値との差に応じて、射出速度(又は射出圧力)を基準値よりも低減させることで、金型4内における成形圧力を一定に保つように制御することができる。
また、このような制御を行う場合は、粘度が高くなって成形材料が射出されにくくなった場合に射出速度(又は射出圧力)を増大し、また粘度が低くなって成形材料が過剰に射出されやすくなった場合に射出速度(又は射出圧力)を低減することで、所望量の成形材料を金型4内に射出するようにし、製品重量を一定に保つこともできる。
例えば、射出条件を射出速度にて制御している場合において、粘度の基準値が100MPa・s、成形圧力が300MPaと設定されている場合に、粘度の実測値が110MPa・sとなったとき、射出速度を所定量(例えば10%)増大させることで、成形圧力を一定に維持するものであり、また、射出条件を射出圧力にて制御している場合において、粘度の基準値が100MPa・s、成形品の重量が5gと設定されている場合に、粘度の実測値が90MPa・sとなったとき、射出圧力を所定量(例えば10%)低減させることによって、製品重量を一定に維持するものである。
計測用シリンダ2における可塑化された成形材料の粘度の実測値に応じて射出条件を制御するにあたっては、例えば成形材料の粘度と、その粘度に対する好適な射出条件の関係を、予め導出しておき、この粘度−射出条件の関係に基づいて、粘度の実測値から射出条件を導き、その射出条件にて成形材料を射出成形することができる。
粘度−射出条件の関係は、実験データに基づいて導出することができる。この場合、例えば上記のように成形金型4における成形圧力が一定となるようにしたり、製品重量が一定となるように粘度−射出条件の関係を導出することができる。また、成形材料の粘度が低い場合に射出速度が速いとヤケやジェッティング現象等を引き起こして成形不良が生じる場合があり、また粘度が高い場合に充填速度が遅いと成形材料が成形金型4内に完全に充填される前に冷却固化してしまって未充填が生じる等の成形不良が生じる場合があるため、これらの成形不良が生じないようにすることも考慮して粘度−射出条件の関係を導出しておくことが好ましい。
成形材料の射出条件は、射出圧力で制御したり、射出速度で制御したりすることができる。例えば図3(a)は、射出条件を射出速度で制御する場合における、可塑化された成形材料の粘度と、その粘度に対応する好適な射出速度との関係の一例を示すものであり、この関係に基づいて、粘度の実測値(例えば25Pa・s)に対応する射出速度(例えば300m/s)を導出し、この射出速度にて射出プランジャ12を駆動させて射出成形を行うようにするものである。また図3(b)は、射出条件を射出圧力で制御する場合における、可塑化された成形材料の粘度と、その粘度に対応する好適な射出圧力との関係の一例を示すものであり、この関係に基づいて、粘度の実測値(例えば25Pa・s)に対応する射出圧力(例えば300MPa)を導出し、この射出圧力にて射出プランジャ12を駆動させて射出成形を行うことができる。このように粘度−射出速度の関係や、粘度−射出圧力の関係を予め導出しておき、この関係に基づいて射出条件を制御することができる。
また、可塑化された成形材料の粘度に対応する、成形金型4における成形圧力の好適範囲の関係を予め導出しておき、この粘度−成形圧力の関係に基づいて、射出条件を制御することもできる。この場合は、成形金型4に成形圧力を測定する型内圧力センサ41を設け、この型内圧力センサ41の検知結果に基づいて制御を行う。
上記の粘度−成形圧力の関係も、実験データに基づいて予め導出しておくことができる。図4(a)は、可塑化された成形材料の粘度に対する、成形圧力の好適範囲の関係の一例を示すものであり、実線は成形圧力の最も好適な値を、その上下の二つの点線はそれぞれ好適な成形圧力の上限値と下限値とを示す。この関係に基づき、粘度の実測値(例えば25Pa・s)に対応する成形圧力の最好適値(例えば350MPa)、好適範囲の上限値(例えば475MPa)、好適範囲の下限値(例えば425MPa)がそれぞれ導出される。
図4(b)は、上記のような粘度−成形圧力の関係に基づいて射出条件を制御した場合の、成形金型4内の圧力の経時変化の一例を示す。このような制御を行う場合には、例えば、まず射出プランジャ12を射出速度で制御することにより成形材料を成形金型4に射出していく。成形金型4内に成形材料が充填されると、型内圧力センサ41にて検知される成形金型4内の圧力が上昇する。この圧力が上記の成形圧力の好適範囲を超えた場合に、射出プランジャ12を射出圧力による制御に切り替え、成形圧力が好適範囲に収まるようになるまで射出圧力を低減する。このとき、好ましくは成形圧力が最好適値となるようにする。以後は、成形圧力が好適範囲を超える場合には射出圧力を低減し、成形圧力が好適範囲を下回る場合には射出圧力を増大させるように制御して、成形圧力が好適範囲内に収まるようにするものである。そして成形後、型開きすることで、型内圧力センサ41にて検知される圧力が急激に低減する。このようにすると、特に成形金型4における成形材料の過充填を防止することができ、これにより成形品の反り発生を抑制することができる。
このように成形材料の粘度に基づく射出条件の制御を行うと、射出条件の変更をフィードフォワード制御にて行うことができ、成形材料の粘度の変化に適時追随して射出条件を変更して常に好適な条件での射出成形を行うことができるものである。
次に、可塑化された成形材料の粘度の測定結果に基づき、可塑化条件を制御する場合には、例えば、成形材料の粘度の測定結果に基づいて、可塑化装置3におけるスクリュー32の回転速度や、ヒータ33の加熱量等を制御することができる。例えば、可塑化された成形材料の粘度に基準値を設定しておき、実測された粘度が前記基準値を下回る場合にはスクリュー32の回転速度を増大させて成形材料に加えられる剪断力を増大させたり、ヒータ33による加熱量を増大させたりして、成形材料の粘度を増大させ、基準値に近づけるようにすることができる。また逆に実測された粘度が基準値を上回る場合には、スクリュー32の回転速度を低減させて成形材料に加えられる剪断力を低減したり、ヒータ33による加熱量を低減させたりして、成形材料の粘度を低減させ、基準値に近づけるようにすることができる。
このように粘度の測定値に基づいて可塑化条件を制御すると、成形材料の粘度を一定に維持することで、成形条件を一定に保ち、安定した射出成形を行うようにすることが可能となる。
以上のような成形材料の粘度の実測値に基づく射出条件や可塑化条件の制御は、自動制御にて行うことができる。すなわち、例えば上記の圧力センサ25a,25b、測定装置24、温度センサ27、背圧測定センサ26、型内圧力センサ41等による検知信号が入力されると共に、この入力信号に基づいて射出シリンダ1、計測用シリンダ2、可塑化装置3の動作を自動制御する制御部5を設けることができる。
本発明の実施の形態の一例を示す概略の断面図である。 (a)は圧力センサの検知結果の経時変化の一例を示すグラフ、(b)は(a)における所定期間内の圧力センサの検知結果を平均化した値を示すグラフである。 (a)は測定された成形材料の粘度の値と、好適な射出速度との関係の一例を示すグラフ、(b)は測定された成形材料の粘度の値と、好適な射出圧力との関係の一例を示すグラフである。 (a)は測定された成形材料の粘度の値と、好適な成形圧力の範囲との関係の一例を示すグラフ、(b)は成形圧力が好適な範囲となるように射出条件を制御する場合における、型内圧力センサの検知結果の経時変化の一例を示すグラフである。
符号の説明
1 射出シリンダ
2 計測用シリンダ
22 計測用プランジャ
25a,25b 圧力センサ
26 背圧測定センサ
27 温度センサ
3 可塑化装置
4 成形金型
41 型内圧力センサ

Claims (8)

  1. 射出シリンダと、この射出シリンダに接続された計測用シリンダと、この計測用シリンダに接続された可塑化装置とを具備し、前記可塑化装置は、成形材料を加熱して可塑化する加熱手段と、可塑化した成形材料を計測用シリンダに供給する供給手段を備え、前記計測用シリンダは、複数の圧力センサと、計測用プランジャと、計測用プランジャの移動量を測定する測定手段とを備え、前記射出シリンダは、計測用シリンダから供給された成形材料を射出する射出手段を備えることを特徴とする射出装置。
  2. 上記計測用シリンダが、成形材料の温度を測定する温度センサと、加熱手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の射出装置。
  3. 上記計測用シリンダが、計測用プランジャから成形材料にかけられる圧力を検知する背圧測定センサを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の射出装置。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の射出装置を用い、可塑化装置に成形材料を供給して可塑化すると共にこの成形材料を計測用シリンダへ供給し、この可塑化装置から計測用シリンダへの供給過程において上記圧力センサにて成形材料の圧力を検知すると共に、測定手段にて計測用プランジャの移動量を検知し、この検知結果から成形材料の粘度を導出し、前記粘度の値に基づいて、計測用シリンダから射出シリンダへ供給された成形材料の射出条件を制御することを特徴とする射出成形方法。
  5. 上記計測用シリンダが、成形材料の温度を測定する温度センサと、加熱手段とを備えるものであり、この温度センサにて計測された成形材料の温度に基づいて、加熱手段による加熱量を変更することにより、計測用シリンダ内の成形材料の温度が所定の値となるように制御することを特徴とする請求項4に記載の射出成形方法。
  6. 上記計測用シリンダが、成形材料から計測用プランジャにかけられる圧力を検知する背圧測定センサを備えるものであり、この背圧測定センサにて検知される圧力が所定の値となるように前記計測用プランジャから成形材料へかける圧力を制御することを特徴とする請求項4又は5に記載の射出成形方法。
  7. 射出シリンダを、成形圧力を検知する型内圧力センサを備えた成形金型に接続し、計測用シリンダにおける成形材料の粘度の測定結果に基づいて、成形金型における好適な成形圧力範囲を導出し、成形圧力が前記好適な成形圧力範囲に収まるように射出シリンダを制御することを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の射出成形方法。
  8. 請求項1から3のいずれかに記載の射出装置を用い、可塑化された成形材料が可塑化装置から計測用シリンダへ供給されている際に上記圧力センサにて検知された成形材料の圧力と、計測用プランジャの移動量とから成形材料の粘度を導出し、前記粘度の値に基づいて、可塑化装置における可塑化条件を制御することを特徴とする射出成形方法。
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