JP6075693B2 - 射出成形機の計量工程の制御方法 - Google Patents

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本発明は、射出成形機の計量工程の制御方法に関する。
インラインスクリュ式の射出成形機の射出装置においては、射出装置の材料供給部から供給される、樹脂ペレット等の樹脂材料を、加熱シリンダの内周面とスクリュの外周面との間に形成される樹脂流路において連続的に可塑化(溶融)させ、加熱シリンダの先端内部の貯留部と呼称される空間に、1回の射出充填工程に必要な量の可塑化状態の樹脂材料を貯留させる計量工程が行われる。
もう少し詳細に説明すると、材料供給部から供給される樹脂材料は、スクリュの外周面に連続して形成されるフライトの回転により、樹脂流路を貯留部へと流動される間に、加熱シリンダの外周面に配置された加熱手段より、加熱シリンダを介して間接的に付与される熱エネルギーと、フライトの回転力により、直接的に付与される、せん断熱エネルギーとの2つの加熱作用により、ペレット等の粒状から、可塑化状態(溶融状態)へと連続的に変換される。その結果、可塑化状態の樹脂材料が貯留部に連続して貯留される。
そして、計量工程が進行し、貯留部に貯留される樹脂量が増大するのに伴い、スクリュはその回転動作を維持しつつ、貯留部の樹脂の圧力を受けて後退する。この計量工程におけるスクリュの後退動作には、スクリュに所定の後退抵抗(背圧)を付与させることで、樹脂に付与させる、せん断熱エネルギーの量を制御できるという利点がある。しかしながら、このスクリュの後退動作により、材料供給部とスクリュ先端部とのスクリュ長手方向の距離が短縮されるため、樹脂に、可塑化のための熱エネルギーを付与させる、材料供給部から貯留部までの樹脂流路の流動長(以下:可塑化流動長)も、計量工程における貯留部への樹脂の貯留開始から貯留完了(計量工程完了)まで、連続して短縮されるという欠点がある。これにより、樹脂流路において樹脂に付与される、加熱手段による熱エネルギー及びスクリュのフライトの回転によるせん断熱エネルギーの加熱作用が共に減少する。
貯留部の樹脂は、加熱手段により保温されるものの、スクリュのフライトの回転によるせん断熱エネルギーは付与されない。そのため、この可塑化流動長の短縮により、計量工程において貯留部へ最初に貯留される樹脂から、貯留完了直前に貯留される樹脂までの、貯留部の長手方向の温度分布に不均一(可塑化流動長の短縮に比例して樹脂温度が低下)が生じるという問題がある。このような、計量工程における貯留部の樹脂の温度分布の不均一を解消するために、様々な計量工程の制御方法が考案されている。
特許文献1には、射出側工程がスクリュ後退時の可塑化計量工程(計量工程)とスクリュ前進時の射出工程とからなる射出成形機からなり、前記射出成形機はそのバレル(加熱シリンダ)外周面にそれぞれバレルの温度検出手段を有する複数のバレル加熱ゾーンを備え、これにより前記各加熱ゾーンが前記温度検出手段を介してそれぞれ加熱制御される射出成形機のバレル温度制御方法において、射出成形機に成形サイクルに連動するシーケンス制御手段を設け、これにより前記各加熱ゾーンを前記温度検出手段を介する加熱制御とは別に、更に前記シーケンス制御手段を介して前記射出側工程中の特定の時間帯に加熱制御する射出成形機のバレル温度制御方法が開示されている。
具体的には、射出工程の所定時間経過後から始まり、後続の可塑化計量工程の所定時間経過後、すなわち、可塑化計量工程の終了までに、時間的余裕を持って、加熱制御が終了するように設定される、シーケンス手段による追加補償的な加熱制御により、可塑化計量工程の進行に伴う、加熱効果低減及び応答時間の遅れに起因する溶融樹脂温度の低下(温度差)が補償的に補充されるので、射出溶融樹脂温度の温度分布が均一化され、成形品質が安定するとしている(特許文献1段落〔0014〕、図2他)。
特許文献2には、貯留部の軸方向(長手方向)を複数の領域に分け、その領域毎に材料温度検出用熱電対を配置させ、これら材料温度検出用熱電対により得られた、貯留部の各領域の溶融材料(樹脂)の温度に基づき、加熱シリンダの温度(加熱・冷却手段)、スクリュ回転速度及びスクリュに作用する背圧の3つのパラメータを制御する射出成形機の可塑化制御方法が開示されている。これら3つのパラメータを最適に制御することで、加熱シリンダ内(貯留部)の溶融材料(樹脂)の温度を均一に維持することができるとしている(特許文献2段落〔0013〕、第2実施例他)。
特開平07−186227号公報 特開平06−320586号公報
ここで、樹脂流路において、フライトの回転力により樹脂に直接的に付与される、せん断熱エネルギーとは異なり、バレル(加熱シリンダ)の外周面に配置される加熱手段よりバレルを介して樹脂に間接的に付与される熱エネルギーは、まず、バレル自体を加熱し、その温度を上昇させる。そして、加熱されたバレルと直接接触している樹脂が、接触熱伝達のみで加熱される。しかしながら、バレル等を構成する金属素材に対して、熱伝導率の低い樹脂の加熱には、バレル以上の加熱時間を要する。また、同時に、加熱された樹脂は、該樹脂と接触している、加熱手段を備えないスクリュにより抜熱されるため、樹脂流路の樹脂の温度を、加熱手段の設定温度近傍まで上昇させるためには、バレルやスクリュ等を含む、射出装置系全体の、加熱手段の設定温度近傍までの温度上昇を必要とする。すなわち、この2点により、通常、1分以内の短い成形サイクルタイム内において、加熱手段の設定温度を上昇させる制御により、樹脂流路の樹脂の温度をその設定温度の近傍まで上昇・追従させるリアルタイムフィードバック制御の実施は非常に困難である。
従って、シーケンス手段による追加補償的な加熱制御においても、加熱ゾーン(加熱手段)毎に加熱制御される、特許文献1の射出成形機のバレル温度制御方法においては、成形サイクル内の、射出工程の所定時間経過後から始まり、後続の可塑化計量工程(計量工程)の所定時間経過後までの間に、可塑化計量工程の進行に伴う、加熱効果低減及び応答時間の遅れに起因する溶融樹脂温度の低下(温度差)を補償的に補充することは非常に困難であるという問題がある。
また、特許文献1の射出成形機のバレル温度制御方法の、シーケンス手段による追加補償的な加熱制御においては、その加熱制御が行われるタイミング及び期間と、可塑化計量工程(計量工程)の進行に伴う、加熱効果低減及び応答時間の遅れに起因する溶融樹脂温度の低下(温度差)を補償的に補充することについては記載されているものの、後者については、具体的な溶融樹脂温度の低下(温度差)の補償的な補充方法や、バレルの実測温度等に基づく、補償的な補充方法が適切に行われたかどうかの確認方法、また、適切に行われていない場合の修正方法については一切記載がなく、実際の成形現場における特許文献1のバレル温度制御方法の実施にはリスクが伴う。
一方、特許文献2の可塑化制御方法においては、貯留部の各領域の溶融材料(樹脂)の温度を計測するために、加熱シリンダ内部に、熱電対等の温度計測手段もしくは温度計測手段の温度計測部を配置させる必要がある。可塑化状態(溶融状態)とは言え、所定の粘性と流動抵抗とを有する高温の樹脂が、スクリュにより旋回力及び背圧を付与された状態で連続して流動するような環境下に晒されるこれら温度計測手段や温度計測部の配置は、加熱シリンダ先端部の構造を複雑にする。また、このような過酷な環境下では、これら温度計測手段や温度計測部には、頻繁に溶損、破損等が発生する虞があり、データ取りの短期間の試験成形はともかく、実成形における長期間の安定した温度測定は現実的に困難であるという問題がある。
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、計量工程の進行に伴う貯留部の樹脂温度の低下(温度差)を、その成形サイクルにおいて、リアルタイムフィードバック制御で補償的に補充することができる、射出成形機の計量工程の制御方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための、本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法は、
射出成形機の計量工程において、
スクリュの後退位置に対応する貯留部の樹脂温度Bと、
前記スクリュの後退位置に対応する前記スクリュの回転トルクCと、
を、予め求めておき、
計量工程において、前記貯留部の前記樹脂温度Bを所定範囲B’に維持させるように、前記スクリュの回転数及び前記スクリュの背圧の少なくとも一方を制御して、前記スクリュの回転トルクCを所定範囲C’に維持させる。
すなわち、スクリュの後退位置に対応する、貯留部のスクリュ先端側の樹脂温度Bと、スクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルクCと、を、予め、試験成形や計算により求めることから始まる。これらデータに基づき、スクリュの後退位置に対応する樹脂温度Bの代替値として、スクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルクC(実測値)を、スクリュの回転数(回転速度)やスクリュの背圧で直接制御することにより、樹脂温度Bを間接的に制御して、樹脂温度Bの低下(温度差)を、その成形サイクルにおいて、リアルタイムフィードバック制御で補償的に補充することができる。これにより、計量工程の進行に伴う、貯留部の樹脂温度の低下(温度差)を補償し、貯留部の樹脂温度を目標とする設定範囲内に維持することができる。その結果、貯留部の樹脂の温度の温度分布の不均一を抑制することができる。
具体的には、予め求めたデータから、所定のスクリュ後退位置における樹脂温度Bとスクリュの回転トルクCとの関係を知ることができる。また、加熱シリンダの外周面に配置される加熱手段による熱エネルギーと異なり、スクリュ(フライト)の回転力やスクリュの背圧によるせん断熱エネルギーは、樹脂に直接的に付与される。そして、スクリュの回転トルクC(実測値)は、スクリュの回転数やスクリュの背圧により直接的に制御することが容易で、且つ、スクリュの回転トルクC(実測値)は、これらスクリュの回転数やスクリュの背圧の制御に対する応答が速い。このような前提において、実成形において、スクリュの後退位置に対応する樹脂温度Bの代替値として、スクリュの回転トルクを制御対象とすることにより、樹脂温度Bを間接的に制御して、樹脂温度Bの低下(温度差)を、その成形サイクルにおいて、リアルタイムフィードバック制御で補償的に補充することができる。特許文献1の射出成形機のバレル温度制御方法のように、樹脂温度Bの温度制御に対して、応答遅れの大きな加熱手段の設定温度を制御対象とする必要はない。
また、本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法は、前記貯留部の樹脂温度Bが、前記所定範囲B’の下限値Bと一致するスクリュ後退位置Xに対して、
前記スクリュ後退位置Xにおけるスクリュの回転トルクCを前記所定範囲C’の下限値とし、
前記スクリュ後退位置Xにおける前記貯留部の樹脂温度Bが、前記所定範囲B’の上限値B’となる、前記スクリュ後退位置Xにおけるスクリュの回転トルクC’を前記所定範囲C’の上限値とすることが好ましい。
貯留部の樹脂温度Bの制御目標範囲である所定範囲B’を、スクリュの回転トルクCの制御目標範囲である所定範囲C’と、共通のスクリュ後退位置Xにより、このように関連付けることにより、スクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルクCの制御が、スクリュの後退位置に対応する貯留部の樹脂温度Bの制御の代替制御となり得る。
また、本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法は、前記スクリュの回転トルクCが前記所定範囲C’から、予め設定した所定時間内に、少なくとも2回逸脱する状態において、
前記スクリュの回転数及びスクリュの背圧の少なくとも一方を制御して、前記スクリュの回転トルクCを前記所定範囲C’に維持させても良い。
このように、スクリュの回転トルクC(実測値)が所定範囲C’から逸脱する回数が、予め設定した所定時間内に、予め設定した複数回に達した時点で、スクリュの回転トルクCの制御を開始させることにより、実際には、ランダムな振れ幅で変動しながら、スクリュの後退位置に対応してその値が変化するスクリュの回転トルクCの、外乱等による突発的且つ瞬間的な変動値に基づくスクリュの回転トルクCの制御を防止して、ハンチング等の発生しない安定した制御を行うことができる。
一方、本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法におけるスクリュの回転トルクCの制御は、前記スクリュの背圧を一定にした場合の、前記スクリュの回転数の変化に対応する前記スクリュの回転トルクの変化の関係C1と、
前記スクリュの回転数を一定にした場合の、前記スクリュの背圧の変化に対応する前記スクリュの回転トルクの変化の関係C2と、
を、予め、試験成形、又は、計算により求め、
前記関係C1及び前記関係C2の少なくとも一方から決定された、前記スクリュの回転数及び前記スクリュの背圧の少なくとも一方に対するスクリュ回転トルク補正係数に基づき、
前記スクリュの回転トルクCを前記所定範囲C’に維持させるように、
前記スクリュの回転数及び前記スクリュの背圧の少なくとも一方を制御することが好ましい。
このような、関係C1及び関係C2から、スクリュの回転トルクの所定の変動値に対して、スクリュの回転数やスクリュの背圧をどの程度変動させれば、スクリュの回転トルクの変動値を基の値の近傍、あるいは任意の値の近傍に制御できるかを、スクリュ回転トルク補正係数として求めることができる。そして、スクリュの回転数や背圧を、これらスクリュ回転トルク補正係数に基づき制御することにより、スクリュの回転トルクCの制御性を向上させることができる。
更に、本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法においては、前記計量工程の完了までに、前記スクリュの回転トルクCを前記所定範囲C’に維持させることができない場合に、異常警報の発信及び計量工程の停止の少なくとも一方の処置を自動にて行うことが好ましい。
インラインスクリュ式射出成形機においては、射出装置のスクリュが、加熱シリンダ内で回転及び前進・後退可能に配置される。このスクリュは加熱シリンダ内で、長手方向に材料供給部側のみ支持される、片持ち支持形態が一般的である。そのため、計量工程において、先に説明したような樹脂材料供給不備(樹脂切れや樹脂詰り等)に起因する可塑化不良が発生すると、樹脂温度を変動させるだけでなく、スクリュの回転動作をその先端部で偏心させたり、スクリュの長手方向に直交する方向に振動させたりして、加熱シリンダ内周面とスクリュのフライト外縁部との金属接触を発生させる。
このような金属接触は、加熱シリンダやフライトを破損させたり、スクリュの回転・前進・後退の駆動系を破損させたり、発生した金属片が成形品へ混入したりする、様々なトラブルの要因となるため、可能な限り回避すべき状況である。このような状況の発生は、計量工程における計量時間やスクリュの回転トルク等を監視し、それらが所定範囲を超えることにより判断させる制御が一般的であるが、発生を正確に判断できる監視項目や、それら監視項目の許容範囲(基準値)を設定することが非常に困難である。例えば、安全を鑑み、その許容範囲を広く設定すると、そのような状況に至っていないにもかかわらず、異常警報の発信や、成形サイクルの中止を何度も発生させることになり、そのような状況に確実に至っていることを判断させるために、その許容範囲を狭くすると、そのような状況に至っているにもかかわらず、成形サイクルを継続させて、射出装置の破損や成形品への金属片の混入を招いてしまう。
これに対して、本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法においては、樹脂切れや樹脂詰りによる可塑化不良が発生していないことが確認されている状態で、予め求めたスクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルクCと比較して、スクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルクを監視することにより、このような金属接触が生じる可能性が高い、樹脂材料供給不備に起因する可塑化不良状況の発生を正確に判断させ、その成形サイクル内で、異常警報の発信や計量工程の停止等の適切な処置を自動で行わせれば、オペレーターの監視の負担を軽減させると共に、加熱シリンダ内周面とフライト外縁部との金属接触が発生するような状況を回避することができる。
本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法は、
射出成形機の計量工程において、
スクリュの後退位置に対応する貯留部の樹脂温度Bと、
前記スクリュの後退位置に対応する前記スクリュの回転トルクCと、
を、予め求めておき、
計量工程において、前記貯留部の前記樹脂温度Bを所定範囲B’に維持させるように、前記スクリュの回転数及び前記スクリュの背圧の少なくとも一方を制御して、前記スクリュの回転トルクCを所定範囲C’に維持させるため、計量工程の進行に伴う貯留部の樹脂温度の低下(温度差)を、その成形サイクルにおいて、リアルタイムフィードバック制御で補償的に補充することができる。
また、加熱シリンダの内周面とフライト外縁部との金属接触が生じる可能性が高い、樹脂材料供給不備に起因する可塑化不良状況の発生を正確に判断させ、異常警報の発信や計量工程の停止を、その成形サイクル内において自動で行わせることができ、このような金属接触による、射出装置の大きな破損や成形品への金属片の混入を防止することができる。
射出成形機の一般的な構成を示す概略図である。 予め求める、計量工程におけるスクリュの後退位置に対応する樹脂温度B及びスクリュの回転トルクCを示す概念図である。 計量工程において、スクリュの後退位置に対応する樹脂温度Bを所定範囲B’に維持させる制御と、スクリュの後退位置に対応する回転トルクCを所定範囲C’に維持させる制御との関係を示す概念図である。 計量工程において、スクリュの後退位置に対応する回転トルクCを所定範囲C’に維持させるための、スクリュの回転数に係るスクリュ回転トルク補正係数と、スクリュの背圧に係るスクリュ回転トルク補正係数とを求めるための概念図である。 計量工程において、スクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルクCが所定範囲C’を下回る状態、及び、スクリュの回転トルクCが所定範囲C’を下回る状態の双方を示す概念図である。 計量工程において、スクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルクCの実測値を示す概念図である。
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1乃至図4を参照しながら、本発明の実施例1に係る、射出成形機の計量工程の制御方法を説明する。図1は、射出成形機の一般的な構成を示す概略図である。図2は、予め求める、計量工程におけるスクリュの後退位置に対応する樹脂温度B及びスクリュの回転トルクCを示す概念図である。図2(a)がスクリュの後退位置に対応する樹脂温度B、図2(b)がスクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルクCを示す。図3は、計量工程において、スクリュの後退位置に対応する樹脂温度Bを所定範囲B’に維持させる制御と、スクリュの後退位置に対応する回転トルクCを所定範囲C’に維持させる制御との関係を示す概念図である。図4は、計量工程において、スクリュの後退位置に対応する回転トルクCを所定範囲C’に維持させるための、スクリュの回転数に係るスクリュ回転トルク補正係数と、スクリュの背圧に係るスクリュ回転トルク補正係数とを求めるための概念図である。図4(a)がスクリュの回転数に係るスクリュ回転トルク補正係数を求める場合、図4(b)がスクリュの背圧に係るスクリュ回転トルク補正係数を求める場合を示す。
本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法は、射出成形機側に特別な構成は不要であり、一般的な射出成形機を使用して実施することができる。よって、最初に、図1を参照しながら、一般的な射出成形機1の基本構成について説明する。
射出成形機1は、ベッド2に固定された固定盤3と、固定盤3に対して図示しない型締手段により、ベッド2上で型開閉方向に移動可能に設けられた可動盤5と、固定盤3側に設けられた射出装置20と、を備えている。
固定盤3には、正面側(可動盤5と対向する側)の面に固定金型30が取り付けられると共に、その背面側から正面側に亘って射出装置20を固定金型30に向けて進退させるための貫通穴3aが形成されている。固定盤3の四隅からは図示しないタイバーが突出して設けられ、このタイバーは可動盤5を貫通している。また、図示しないタイバーに案内され、図示しない型締手段によって、固定盤3に対して進退自在に設けられている可動盤5には、固定盤3と対向する面に可動金型50が取り付けられている。
固定金型30及び可動金型50は、型締めにより組み合わされて、その内部に金型キャビティ40を形成させる。固定金型30内には、金型キャビティ40に連通するゲート30aが配置され、射出装置20を型開閉方向に前進(図1の左側)させると、射出装置20の加熱シリンダ21の先端(図1の左側)に設けられた射出ノズル21aが、ゲート30aの固定盤3側のノズル接続孔30bにドッキングする。このようにして、加熱シリンダ21内で可塑化(溶融)された樹脂材料を、ゲート30aを介して、金型キャビティ40内に射出充填させることができる。図1は、射出ノズル21aをノズル接続孔30bにドッキングさせた状態を示している。
射出装置20は、その外周面に電気ヒータ等の加熱手段(図示せず)を配置させ、一方の端部に射出ノズル21aを、他方の端部に材料供給ホッパ等の材料供給部21bを備える加熱シリンダ21と、その加熱シリンダ21内に、その長手軸中心に回転可能に、且つ、該軸方向に移動可能に配置されるスクリュ22とで構成される。また、スクリュ22の外周面には、加熱シリンダ21の内周面とスクリュ22の外周面との間に形成される樹脂流路において、スクリュ22を回転させることにより、材料供給部21bから供給された樹脂ペレット等の樹脂材料を射出ノズル21a側に流動させる、螺旋状の鍔部、フライト22aが連続して形成される。説明を簡単にするために、加熱シリンダ21の射出ノズル21a側を射出装置20の”前方”、材料供給部21b側を”後方”とし、スクリュ22や樹脂材料等のそれぞれの方向への移動を”前進”及び”後退”とする。
尚、図1に示す射出成形機1においては、スクリュ22を回転させる駆動源をサーボモータ22b及びギアの組み合わせとし、スクリュ22を前進・後退させる駆動源をサーボモータ22c及びボールねじの組み合わせとしたが、油圧モータや油圧シリンダを駆動源とする射出装置であっても良く、本発明に係る、射出成形機の射出充填工程の制御方法の実施において、これら射出装置の駆動源の差異は、駆動源としての機械的差異を除き、発明の効果に差異は生じない。
また、計量工程の後には、サーボモータ22cによりスクリュ22を前進させて、加熱シリンダ21の前方の射出ノズル21aから、ゲート30aを介して、貯留部に貯留された樹脂を金型キャビティ40内に射出充填させる射出充填工程が行われる。本発明は、射出成形機の計量工程の制御方法であり、本発明の実施に際し、射出充填工程において、射出成形機の特殊な構成や制御方法は必要とせず、公知の射出充填工程が行われれば良いため、射出充填工程の説明については省略する。
次に、図2乃至図4を参照しながら、本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法を説明する。
まず、射出成形機1で成形する成形品、使用する樹脂材料や金型が決まった後、図2に示すようなデータを試験成形や計算により求める。
図2(a)は、スクリュ22の後退位置(横軸)に対応する、貯留部のスクリュ22先端側の樹脂温度B(実測値)と樹脂温度(設定値)を示す。樹脂温度の設定値とは、貯留部に貯留される樹脂の、射出成形に最適な樹脂温度であって、言い換えれば、貯留部の樹脂の制御目標温度である。ここで、実成形において、加熱シリンダ21内の貯留部(射出ノズル21a近傍)に、熱電対等の温度検出手段を加熱シリンダ21の長手方向に複数配置させて、貯留部の樹脂の温度分布を直接測定することは、加熱シリンダ21の先端部構造の複雑化や温度検出手段の故障や、これらに起因する成形不良が発生したりする虞がある。
そのため、図示はしていないが、射出ノズル21aが配置される、加熱シリンダ21の先端部であるシリンダヘッドと、加熱シリンダ21間にスペーサを配置させ、そのスペーサに複数の温度検出手段を配置させて試験成形を行い、計測されるスクリュ22の後退位置に対応する樹脂温度を求めても良いし、計測される樹脂温度と机上の計算等で求めた樹脂温度とを比較することにより、より詳細な貯留部の樹脂温度B(温度分布)を想定しても良い。当然、実成形は、このスペーサを外した状態で行う。
ここで、図2(a)に示す所定範囲B’は、樹脂温度(設定値)を基準に、樹脂温度(設定値)制御の応答性等を鑑みて設定されるべき、成形品が品質を満たすことができる樹脂温度(設定値)の許容範囲である。そして、所定範囲B’の下限値Bと樹脂温度B(実測値)との交点に相当するスクリュ22の後退位置をX、樹脂温度(設定値)の所定範囲B’の上限値をB’とする。
先に説明したように、インラインスクリュ式射出成形機の計量工程においては、スクリュ22の後退位置に対応して、すなわち、可塑化流動長の短縮に比例して樹脂温度が低下する。そのため、図2(a)に示すように、計量工程において、貯留部へ初期の段階(スクリュ22の後退位置Xまで)で貯留される樹脂の樹脂温度は所定範囲B’内であるが、このスクリュ22の後退位置X以降に貯留される樹脂はすべて所定範囲B’以下の樹脂温度となる。
次に、図2(b)は、スクリュ22の後退位置(横軸)に対応するスクリュ22の回転トルクC(実測値)を示す。スクリュ22の回転トルクCは、電動射出成形機の場合、スクリュ22を回転させる可塑化用のサーボモータ(図1で言えばサーボモータ22b)の回転トルクや電流値から計測することができる。油圧射出成形機の場合、スクリュ22を回転させる可塑化用の油圧モータの作動油圧力から計測することができる。
スクリュ22の回転トルクCも、図2(b)に示すように、樹脂流路の可塑化流動が最も長く、樹脂流路中の樹脂量が最も多い計量工程開始時が最も高く、可塑化流動長の短縮に比例して、樹脂流路の可塑化流動が最も短く、樹脂流路中の樹脂量が最も少ない計量工程完了直前が最も低くなる。ここで、スクリュ22の後退位置Xに対応するスクリュ22の回転トルクCをCとする。この回転トルクCは、樹脂温度(設定値)の所定範囲B’の下限値Bをスクリュ22の回転トルクCで代替するための下限値となる。また、図2(a)の、スクリュ22の後退位置Xにおいて、樹脂温度Bが、樹脂温度(設定値)の所定範囲B’の上限値B’となるスクリュ22の回転トルクC’を求めておく。この回転トルクC’は、樹脂温度(設定値)の所定範囲B’の上限値B’をスクリュ22の回転トルクCで代替するための上限値となる。そして、このスクリュ22の回転トルクCの下限値Cから上限値C’までの範囲が、スクリュ22の後退位置によらず、スクリュ22の回転トルクCが制御されるべき所定範囲C’となる。
このように、共通するスクリュ22の後退位置に基づく、樹脂温度Bとスクリュ22の回転トルクCとの関連付けにより、成形品が品質を満たすことができる樹脂温度(設定値)の許容範囲である所定範囲B’とスクリュ22の回転トルクCが制御されるべき所定範囲C’とを関連付けることが可能となる。
次に、図3及び図4を参照しながら、スクリュ22の後退位置に対応する樹脂温度Bの代替値として、スクリュ22の回転トルクCを制御対象とすることにより、樹脂温度Bを間接的に制御して、樹脂温度Bの低下(温度差)を、その成形サイクルにおいて、リアルタイムフィードバック制御で補償的に補充する、本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法を説明する。
本発明に係る、射出成形機の計量工程の制御方法は、予め、図2に示すようなデータを求めることが前提となる。そして、実成形を開始すると、計量工程において、スクリュ22の後退位置に対応するスクリュ22の回転トルクC(実測値)をモニターする。ここで、図2(a)及び図2(b)のデータから、樹脂温度B(実測値)が、樹脂の制御目標温度の許容範囲である所定範囲B’の下限値である樹脂温度Bまで下降するタイミングが、スクリュ22の後退位置Xであり、且つ、スクリュ22の後退位置Xに対応するスクリュ22の回転トルクCがCであることが分かっている。そのため、図3下方に示すように、スクリュ22がその後退位置Xに到達するか、スクリュ22の回転トルクCがCに到達するか、いずれか早い方のタイミングで、スクリュ22の回転数(回転速度)やスクリュ22の背圧を増大させて、スクリュ22の回転トルクCを増大させ、所定範囲C’に維持されるように制御する。すなわち、このスクリュ22の回転トルクCを制御して、スクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に維持させる制御が、図3の上方に示すように、樹脂温度Bを間接的に制御して所定範囲B’に維持させる制御、言い換えれば、樹脂温度Bの低下(温度差)を、その成形サイクルにおいて、リアルタイムフィードバック制御で補償的に補充する制御となる。
ここで、計量工程において、スクリュ22の回転数(回転速度)やスクリュに付与させる背圧を増加させれば、スクリュ22の回転トルクC(実測値)が増大することは明白である。しかしながら、実成形の前に、図4に示すようなデータを試験成形や計算により求めることにより、スクリュ22の回転トルクCの所定の変動値に対して、スクリュ22の回転数やスクリュ22の背圧をどの程度変動させれば、スクリュ22の回転トルクCの変動値を基の値の近傍、あるいは任意の値の近傍に制御できるかを、スクリュ回転トルク補正係数α(アルファ)として求めることができる。
具体的には、実成形と同じ成形条件において、図4(a)に示すような、スクリュ22の背圧Pを一定にした場合の、スクリュ22の回転数Rの変化に対するスクリュ22の回転トルクCの変化の関係C1を求める。説明を簡単にするために、この関係C1を単純な線形関係として図示している。この関係C1において、スクリュ22の回転数RがRの場合のスクリュ22の回転トルクCがC、スクリュ22の回転数Rを増大させてR’に到達した場合のスクリュ22の回転トルクCがC’に増大したとすると、スクリュ22の回転トルクCをCからC’までΔ(デルタ)Cだけ増大させる場合、スクリュ22の回転数RをRからR’までΔrpmだけ増大させる必要があることがわかる。
すなわち、これを数式で表すと、C’=(ΔC/Δrpm)×R’となる。このΔC/Δrpmを、スクリュ22の回転数Rに係るスクリュ回転トルク補正係数をαとすると、スクリュ22の回転トルクCをC’まで増大させるスクリュ22の回転数R’は、目標とするスクリュ22の回転トルクC’を使って、R’=1/α×C’で求めることができる。
同様にして、図4(b)に示すような、スクリュ22の回転数Rを一定にした場合の、スクリュ22の背圧Pの変化に対するスクリュ22の回転トルクCの変化の関係C2を求める。この関係C2より、C’=(ΔC/ΔP)×P’となる。このΔC/ΔPを、スクリュ22の背圧Pに係るスクリュ回転トルク補正係数をαとすると、スクリュ22の回転トルクCをC’まで増大させるスクリュ22の背圧P’は、目標とするスクリュ22の回転トルクC’を使って、P’=1/α×C’で求めることができる。
そして、スクリュ22の回転数Rやスクリュ22の背圧Pを、これらスクリュ回転トルク補正係数αに基づき制御することにより、スクリュ22の現状の回転トルクCを目標とする回転トルクC’に制御するための、スクリュ22の回転数Rやスクリュ22の背圧Pの制御量を明確にすることができ、スクリュ22の回転トルクCの制御性を向上させることができる。
一方、実際に求めた関係C1や関係C2が図4のような単純な線形関係でなく、もっと複雑な関係であったとしても、関係に近似する二次関数や三次関数としてスクリュ回転トルク補正係数を求めたり、線形関係に近似できるように、スクリュ22の後退位置で異なるスクリュ回転トルク補正係数を求めたりすることで、スクリュ回転トルク補正係数に基づくスクリュ22の回転トルクCの制御は可能である。
このように、スクリュ22の回転トルクCは、スクリュ22の回転数Rでも、スクリュ22の背圧Pでも、これら両方を使用しても制御が可能である。本実施例1においては、スクリュ22の回転数Rの増減により、スクリュ22の回転トルクCを制御するものとするが、その場合には、関係C1から求めたスクリュ回転トルク補正係数αを採用すれば良い。また、スクリュ22の背圧Pの増減により、スクリュ22の回転トルクCを制御する場合は、関係C2から求めたスクリュ回転トルク補正係数αを採用すれば良い。更に、スクリュ22の回転数R及びスクリュ22の背圧Pの両方を増減させてスクリュ22の回転トルクCを制御しても良く、これら制御対象であるスクリュ22の回転数R及び背圧Pの選択・組み合わせは適宜なされれば良い。
図3の説明に戻る。スクリュ22の後退位置Xにおいて、スクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に維持させる制御を行った後、図3下方に示すように、スクリュ22の回転トルクC(実測値)は、スクリュの後退位置に対応して再び下降していく。そのため、再び、スクリュ22の後退位置Yにおいて、スクリュ22の回転トルクCが、スクリュ22の回転トルクCの所定範囲C’の下限値Cに到達したとする。
この場合も、スクリュ22の後退位置Xにおけるスクリュ22の回転トルクCの制御と同様の制御を行う。このように、スクリュ22の回転トルクCが、スクリュ22の回転トルクCの所定範囲C’の下限値Cに到達する度に、スクリュ22の回転トルクCを制御して、スクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に維持させる制御を行うことにより、図3の上方に示すように、樹脂温度Bを間接的に制御して所定範囲B’に維持させる制御、言い換えれば、樹脂温度Bの低下(温度差)を、その成形サイクルにおいて、リアルタイムフィードバック制御で補償的に補充する制御を行うことができる。
また、図示はしていないが、スクリュ22の回転トルクCが、スクリュ22の回転トルクCの所定範囲C’の下限値Cに到達した際に行った上記制御により、スクリュ22の回転トルクC(実測値)が、スクリュ22の回転トルクCの所定範囲C’の上限値C’を超えた場合は、スクリュ22の回転数(回転速度)やスクリュ22の背圧を低下させて、スクリュ22の回転トルクCを減少させ、所定範囲C’に維持されるように制御すれば良い。このように、スクリュ22の回転トルクCを減少させる制御を行う場合も、スクリュ回転トルク補正係数に基づく制御を行うことが好ましい。
次に、図5及び図6を参照しながら、本発明の実施例2に係る、射出成形機の計量工程の制御方法を説明する。図5は、スクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルクCが所定範囲C’を下回る状態、及び、スクリュの回転トルクCが所定範囲C’を上回る状態の双方を示す。図6は、計量工程において、スクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルクCの実測値を示す概念図である。
実施例2に係る、射出成形機の計量工程の制御方法が、実施例1に係る、計量工程の制御方法と異なる点は、一回の計量工程の完了までに、スクリュ22の後退位置に対応するスクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に維持させることができない点である。
まず、スクリュ22の後退位置Xに対応するスクリュ22の回転トルクCが所定範囲C’を下回ったままの場合を説明する。スクリュ22の後退位置Xに対応するスクリュ22の回転トルクCがC’となり、所定範囲C’の下限値Cを下回ったということは、材料供給部21bでの材料供給量の不足、あるいは、樹脂流路中の材料供給部(FZ)及び材料圧縮部(CZ)における樹脂材料の過溶融化による樹脂材料の送り不良(空回り)状態が発生し、全樹脂流路中の樹脂量や樹脂容積が低下する樹脂切れ状態となり、スクリュ22の回転に対して抵抗となる樹脂量の減少により、スクリュ22の回転トルクCが低下すると考えられる。
このような場合、スクリュ22の回転トルクCの低下に伴い、樹脂へ負荷されるせん断力も低下するため、樹脂温度Bは低下する。そのため、スクリュ22の回転数R(回転速度)やスクリュ22の背圧Pを上昇させて、スクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に復帰させる制御を行う。この制御においても、スクリュ22の回転数Rやスクリュ22の背圧Pを、先に説明した、スクリュ回転トルク補正係数に基づき制御することが好ましい。
次に、スクリュ22の後退位置Xに対応するスクリュ22の回転トルクCが所定範囲C’を上回ったままの場合を説明する。スクリュ22の後退位置Xに対応するスクリュ22の回転トルクCがC’となり、所定範囲C’の上限値C’を上回ったということは、材料供給部21bでの材料供給量の過多、あるいは、樹脂流路中の材料供給部(FZ)及び材料圧縮部(CZ)における樹脂材料の溶融不足による樹脂材料の送り不良状態が発生し、全樹脂流路中の樹脂量や樹脂容積が増大する樹脂詰り状態となり、スクリュ22の回転に対して抵抗となる樹脂量の増大により、スクリュ22の回転トルクCが増大すると考えられる。
このような場合、スクリュ22の回転トルクCの上昇に伴い、樹脂へ負荷されるせん断力も上昇するため、樹脂温度Bは上昇する。そのため、スクリュ22の回転数R(回転速度)やスクリュ22の背圧Pを低下させて、スクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に復帰させる制御を行う。この制御においても、スクリュ22の回転数Rやスクリュ22の背圧Pを、先に説明した、スクリュ回転トルク補正係数αに基づき制御することが好ましい。
このように、本発明の係る、射出成形機の計量工程の制御方法は、樹脂温度Bを間接的に制御して、樹脂温度Bの低下(温度差)を、その成形サイクルにおいて、リアルタイムフィードバック制御で補償的に補充するだけでなく、スクリュ22の後退位置に対応するスクリュ22の回転トルクCを監視・制御することにより、樹脂材料供給不備(樹脂切れや樹脂詰り等)に起因する可塑化不良により、樹脂温度が大きく変動している状態の計量工程の制御への対応をも可能にするものである。
一方、本発明の係る、射出成形機の計量工程の制御方法においては、図3の下方に示す、スクリュ22の回転トルクCを制御して、スクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に維持させる制御が、図3の上方に示す、樹脂温度Bを間接的に制御して所定範囲B’に維持させる制御となる。この制御は、実際には、図6に示すように、ランダムな振れ幅で変動しながら、スクリュ22の後退位置に対応してその値が変化するスクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に維持させる制御である。そのため、スクリュ22の回転トルクCは、C’L1、C’L2、C’L3及びC’U1のような、外乱等による突発的且つ瞬間的な変動値(以下:突発変動値)が生じることは回避できず、このような突発変動値が所定範囲C’を外れてしまう場合がある。実際には、このような突発変動値に対応して樹脂温度Bが変動しないことは言うまでもない。
しかしながら、このような突発変動値に基づいて、スクリュ22の回転トルクCを制御して、スクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に維持させる制御を行えば、図2に示すような、共通するスクリュ22の後退位置に基づく、樹脂温度Bとスクリュ22の回転トルクCとの関連付けから乖離した制御が行われることになるため、樹脂温度Bを間接的に制御して所定範囲B’に維持させることができなくなったり、ハンチング等が発生する不安定な制御になったりする可能性がある。
このような状況を鑑みれば、スクリュ22の回転トルクC(実測値)が所定範囲C’から逸脱する回数が、予め設定した所定時間内に、予め設定した複数回に達した時点で、スクリュ22の回転トルクCの制御を開始させることにより、外乱等による突発的且つ瞬間的な変動値に基づくスクリュの回転トルクCの制御を防止して、ハンチング等の発生しない安定した制御を行うことができる。また、スクリュ22の回転トルクC(実測値)が、予め設定した所定時間内に所定範囲C’から逸脱する回数ではなく、予め設定した所定時間における、スクリュ22の平均回転トルクを用いて、スクリュ22の回転トルクC(実測値)を図6に示す2点鎖線のような滑らかな変化に近似させて制御しても良い。
ここで、樹脂材料供給不備(樹脂切れや樹脂詰り等)に起因する可塑化不良により、樹脂温度が大きく変動している状態が発生したとしても、それが一時的であって、スクリュ22の回転数R(回転速度)やスクリュ22の背圧Pを低下させて、スクリュ22の後退位置に対応するスクリュの回転トルクCを所定範囲C’に復帰させることができれば、計量工程を継続させることができる。
しかしながら、本実施例2のように、樹脂材料供給不備(樹脂切れや樹脂詰り等)に起因する可塑化不良が一時的なものでなく、その計量工程の完了までに、スクリュ22の後退位置に対応するスクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に復帰させることができない場合、発生した樹脂材料供給不備(樹脂切れや樹脂詰り等)やこれに起因する可塑化不良が深刻な可能性が高い。このような状況で成形サイクルを継続させれば、先に説明したような、加熱シリンダ内周面とフライト外縁部との金属接触が生じる、あるいは、既に生じている可能性が高い。
そこで、このように、その計量工程の完了までに、スクリュ22の後退位置に対応するスクリュ22の回転トルクCを所定範囲C’に復帰させることができない場合に、その成形サイクル内で、異常警報の発信や計量工程の停止等の適切な処置を自動で行わせれば、オペレーターの監視の負担を軽減させると共に、加熱シリンダ内周面とフライト外縁部との金属接触が発生するような状況を回避することができる。
また、このような異常事態の回避においても、先に説明したように、スクリュ22の回転トルクC(実測値)が所定範囲C’から逸脱する回数が、予め設定した所定時間内に、予め設定した複数回に達した時点で、スクリュ22の回転トルクCの制御を開始させる、あるいは、予め設定した所定時間における、スクリュ22の平均回転トルクを用いて、スクリュ22の回転トルクC(実測値)を図6に示す2点鎖線のような滑らかな変化に近似させて、スクリュ22の回転トルクCを制御することが、異常事態の回避を的確に行わせる観点からも好ましいことは言うまでもない。
本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく色々な方法で実施できる。例えば、実施例1及び実施例2において、スクリュ22の後退位置に対するスクリュ22の回転トルクを、スクリュ22の後退位置に対する樹脂温度Bの代替制御対象としたが、スクリュ22の回転トルクの代わりに、スクリュ22の回転振動変位、回転振動速度、回転振動加速度及び振動周波数やスクリュ22の回転加速度も代替制御対象とすることも可能である。
A スクリュの後退位置に対応するスクリュの後退速度
A’ 所定範囲(スクリュの後退速度)
B スクリュの後退位置に対応する貯留部の樹脂温度
B’ 所定範囲(貯留部の樹脂)
所定範囲(貯留部の樹脂)B’の下限値
B’所定範囲(貯留部の樹脂)B’の上限値
C スクリュの後退位置に対応するスクリュの回転トルク
C’ 所定範囲(スクリュの回転トルク)
所定範囲(スクリュの回転トルク)C’の下限値
C’所定範囲(スクリュの回転トルク)C’の上限値
C1 スクリュの回転数の変化に対応するスクリュの回転トルクの変化の関係
C2 スクリュの背圧の変化に対応するスクリュの回転トルクの変化の関係
P スクリュの背圧
R スクリュの回転数
αスクリュ22の回転数に係るスクリュ回転トルク補正係数
αスクリュ22の背圧に係るスクリュ回転トルク補正係数

Claims (5)

  1. 射出成形機の計量工程において、
    スクリュの後退位置に対応する貯留部の樹脂温度Bと、
    前記スクリュの後退位置に対応する前記スクリュの回転トルクCと、
    を、予め求めておき、
    計量工程において、前記貯留部の前記樹脂温度Bを所定範囲B’に維持させるように、前記スクリュの回転数及び前記スクリュの背圧の少なくとも一方を制御して、前記スクリュの回転トルクCを所定範囲C’に維持させる射出成形機の計量工程の制御方法。
  2. 前記貯留部の樹脂温度Bが、前記所定範囲B’の下限値Bと一致するスクリュ後退位置Xに対して、
    前記スクリュ後退位置Xにおけるスクリュの回転トルクCを前記所定範囲C’の下限値とし、
    前記スクリュ後退位置Xにおける前記貯留部の樹脂温度Bが、前記所定範囲B’の上限値B’となる、前記スクリュ後退位置Xにおけるスクリュの回転トルクC’を前記所定範囲C’の上限値とする請求項1に記載の射出成形機の計量工程の制御方法。
  3. 前記スクリュの回転トルクCが前記所定範囲C’から、予め設定した所定時間内に、少なくとも2回逸脱する状態において、
    前記スクリュの回転数及びスクリュの背圧の少なくとも一方を制御して、前記スクリュの回転トルクCを前記所定範囲C’に維持させる請求項1及び請求項2のいずれか1項に記載の射出成形機の計量工程の制御方法。
  4. 前記スクリュの背圧を一定にした場合の、前記スクリュの回転数の変化に対応する前記スクリュの回転トルクの変化の関係C1と、
    前記スクリュの回転数を一定にした場合の、前記スクリュの背圧の変化に対応する前記スクリュの回転トルクの変化の関係C2と、
    を、予め、試験成形、又は、計算により求め、
    前記関係C1及び前記関係C2の少なくとも一方から決定された、前記スクリュの回転数及び前記スクリュの背圧の少なくとも一方に対するスクリュ回転トルク補正係数に基づき、
    前記スクリュの回転トルクCを前記所定範囲C’に維持させるように、
    前記スクリュの回転数及び前記スクリュの背圧の少なくとも一方を制御する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の射出成形機の計量工程の制御方法。
  5. 前記計量工程の完了までに、前記スクリュの回転トルクCを前記所定範囲C’に維持させることができない場合に、異常警報の発信及び計量工程の停止の少なくとも一方の処置を自動にて行う、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の射出成形機の計量工程の制御方法。
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