JP3135416B2 - 射出成形機の製品良否判別方法及び装置 - Google Patents

射出成形機の製品良否判別方法及び装置

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JP3135416B2 JP05110072A JP11007293A JP3135416B2 JP 3135416 B2 JP3135416 B2 JP 3135416B2 JP 05110072 A JP05110072 A JP 05110072A JP 11007293 A JP11007293 A JP 11007293A JP 3135416 B2 JP3135416 B2 JP 3135416B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形機の製品良否
判別方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】良品成形時における計量混練り工程の処
理で実背圧やスクリュー回転数の実測値をスクリューの
移動位置に対応してサンプリングすることにより多数の
サンプリングデータを特性曲線として制御装置に記憶さ
せておき、以降の射出成形作業における計量混練り工程
の処理で前記と同様にしてサンプリング動作を行って実
背圧やスクリュー回転数を検出し、この検出値の各々が
前記特性曲線に対して各軸の方向、即ち、圧力や回転数
およびスクリュー位置に対して設定された所定の許容バ
ンドの範囲に入っているか否かにより計量異常の有無を
判別するようにした射出成形機の制御装置が公知である
(株式会社工業調査会発行日本ビニル工業会編「プラス
チック成形加工とコンピュータ」初版第95頁〜第98
頁参照)。
【0003】また、スクリュー回転数や背圧を樹脂の種
別や成形金型の特性等に応じて設定し、スクリューを設
定回転数で回転させる一方、スクリューの軸方向に作用
する反力、即ち、実背圧を検出して、該実背圧が設定背
圧となるようにスクリューを射出移動する駆動源の出力
(実質的には樹脂圧力に対抗するスクリューの保持力を
意味する)を調整するようにした計量混練り工程の制御
方式が公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、実際には、ス
クリュー回転数を設定回転数に保持して検出背圧が設定
背圧となるように射出移動用の駆動源の出力を調整した
としても樹脂の可塑化状態が一定となる保証はない。例
えば、射出シリンダの加熱状態が不十分であって樹脂が
十分に可塑化していないとしても、スクリューを回転さ
せる駆動源が強力なものであればスクリューを設定回転
数で支障なく回転させることが出来、また、設定背圧に
対応する反力でスクリューの軸方向に駆動力を与えなが
らシリンダ内に蓄積される樹脂の体積の増加に応じてス
クリューを後退させてゆけば検出される背圧を設定背圧
に等しくすることができるが、これを以て樹脂の可塑化
状態が適切であるということは出来ない。
【0005】従って、スクリュー回転数や実背圧のみを
検出して計量異常の有無を適確に判別することは困難で
ある。本発明の目的の一部は、このような従来技術の欠
点を解消し、より確実に計量異常の有無を検出すること
のできる射出成形機の製品良否判別方法及び装置を提供
することにある。
【0006】また、スクリュー回転数や実背圧(他の変
量要素であっても同じことだが)のばらつきが計量に与
える影響は計量混練り工程におけるスクリュー位置や経
過時間に無関係なものではない。例えば、樹脂ペレット
の巻き込みを開始した計量混練り工程開始直後の段階で
はスクリュー回転数や実背圧の検出値にばらつきが生じ
るのはやむをえないことで、この段階で多少のばらつき
があったとしても、計量が完了するまでには樹脂の可塑
化状態が均一化して安定するといった可能性が十分にあ
る。また、これとは逆に計量完了間際の段階でスクリュ
ー回転数や実背圧の検出値に大きなばらつきがあれば樹
脂の可塑化状態が不均一であるといった可能性が高く、
射出成形作業に与える悪影響が心配される。
【0007】しかし、良品成形時のサンプリングデータ
による特性曲線に対して許容バンドを設定してスクリュ
ー回転数や実背圧のばらつきを検出するようにした従来
の判別方法では全体の特性曲線に対して一定の許容バン
ドを設定するようにしているので、計量の進捗情況に応
じて検出値のばらつきに重みを持たせるといったことが
出来ず、計量異常の有無を適確に検出することが困難と
なる場合がある。しかも、良品成形時のサンプリングデ
ータを特性曲線として保存するために莫大なメモリ容量
が必要となる欠点があり、また、スクリュー回転数や実
背圧のばらつきを検出するためには計量混練り工程でサ
ンプリング処理を実行する度に良品成形時のサンプリン
グ値を読み出して比較のための演算処理を行う必要があ
るため、制御装置に与える負担も大きくなる。
【0008】そこで、前記目的に加え、本発明の更に別
の目的は、計量の進捗情況に応じた判別基準により計量
異常の有無をより適確に検出できるようにし、しかも、
制御装置のメモリや制御手段に与える負担をも軽減でき
る射出成形機の製品良否判別方法及び装置を提供するこ
とにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、設定手段によ
りスクリュー位置または計量混練り工程開始後のスクリ
ュー移動距離又は計量混練り工程開始後の経過時間によ
る判別対象区間及び該判別対象区間におけるスクリュー
回転用モータに加わる負荷またはスクリュー後退速度ま
たは背圧の許容範囲を設定し、記憶手段に記憶してお
き、検出手段によって、計量混練り工程においてスクリ
ュー回転用モータに加わる負荷またはスクリュー後退速
度または背圧を前記判別対象区間中検出し、判別手段に
より検出駆動トルクまたはスクリュー後退速度または背
圧が前記許容範囲から外れるたことが検出されると計量
異常の発生として検知することにより、確実に計量異常
の有無を検出できるようにし、しかも、制御装置のメモ
リや制御手段に与える負担を軽減した。
【0010】また、スクリュー位置または計量混練り工
程開始後の経過時間によって判別対象区間を複数設定
し、各判別対象区間における検出変量の許容範囲を夫々
設定しておき、計量混練り工程において変化するスクリ
ュー回転用モータの駆動トルクやスクリュー後退速度等
の変量を前記判別対象区間内で所定周期毎に検出し、該
検出変量が当該判別対象区間の許容範囲を外れると計量
異常の発生として検知することを特徴とする構成によ
り、計量の進捗情況に応じた判別基準によって計量異常
の有無を適確に検出できるようにし、かつ、制御装置の
メモリや制御手段に与える負担を軽減した。
【0011】更に、変量を選択するための手段を設け、
実背圧,スクリュー回転用モータの駆動トルク,スクリ
ュー後退速度のいずれか1つを良否判別のための変量と
して選択する構成により、樹脂の種別や成形金型の特性
等に応じ、良否判別に最も相応しい変量を選択して判別
動作を行えるようにした。
【0012】また、予め射出成形機の計量混練り条件と
して設定された背圧およびスクリュー回転数の切替え点
を含まないように判別対象区間を設定することにより、
設定値の変更に基く変量検出値の変動が判別対象区間内
で生じないようにし、各判別区間に対する許容範囲の値
を判別基準に応じて厳密に設定できるようにした。
【0013】
【作用】スクリュー回転数や実背圧等の変量の検出値の
ばらつきが計量に与える影響を考慮し、スクリュー位置
または計量混練り工程開始後の経過時間によって区間を
特定することにより予め判別対象区間を設定しておく。
計量混練り工程ではスクリュー回転用モータの駆動トル
クやスクリュー後退速度等の変量を前記判別対象区間内
で所定周期毎に検出し、検出変量の値が前記許容範囲を
外れた場合に計量異常の発生として検知する。
【0014】また、検出値のばらつきが計量に与える影
響如何によっては、スクリュー位置または計量混練り工
程開始後の経過時間によって判別対象区間を複数設定し
て各判別対象区間毎に検出変量の許容範囲を設定してお
き、各判別対象区間で検出される変量の値がその判別対
象区間に対して設定された許容範囲を外れたときに計量
異常の発生として検知する。
【0015】更に、変量を選択するための手段により、
実背圧,スクリュー回転用モータの駆動トルク,スクリ
ュー後退速度の内から、計量の良否に与える影響が大き
な変量を判別対象として選択することにより、より適確
な良否判別を行う。
【0016】また、予め射出成形機の計量混練り条件と
して設定された背圧およびスクリュー回転数の切替え点
を含まないように判別対象区間を設定することにより、
相異なる設定値を目標として制御される変量の検出値に
対し同じ許容範囲で良否判別を行うといった不都合をな
くし、常に適確な判別基準で良否判別を行う。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明の製品良否判別方法を適用した一実
施例の射出成形機の要部を示すブロック図で、符号1は
射出成形機の射出シリンダ、符号2はスクリューであ
る。スクリュー2は、駆動源の軸回転を射出軸方向の直
線運動に変換するための駆動変換機5を介して射出用サ
ーボモータM1により射出軸方向に駆動され、また、歯
車機構3を介してスクリュー回転用サーボモータM2に
より計量回転されるようになっている。スクリュー2の
基部には圧力検出器4が設けられ、スクリュー2の軸方
向に作用する樹脂圧力、即ち、射出保圧工程における射
出保圧圧力や計量混練り工程におけるスクリュー背圧が
検出される。射出用サーボモータM1にはスクリュー2
の位置や移動速度を検出するためのパルスコーダP1が
配備され、また、スクリュー回転用サーボモータM2に
はスクリュー2の回転速度を検出するための速度検出器
P2が配備されている。
【0018】射出成形機の製品良否判別装置を兼ねる制
御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサである
CNC用CPU25,プログラマブルマシンコントロー
ラ用のマイクロプロセッサであるPMC用CPU18,
サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU
20および射出保圧圧力やスクリュー背圧のサンプリン
グ処理を行うための圧力モニタ用CPU17を有し、バ
ス22を介して相互の入出力を選択することにより各マ
イクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになって
いる。
【0019】PMC用CPU18には射出成形機のシー
ケンス動作を制御するシーケンスプログラムや製品の良
否判別を行うための制御プログラム等を記憶したROM
13および演算データの一時記憶等に用いられるRAM
14が接続されている。一方、CNC用CPU25には
射出成形機を全体的に制御するプログラム等を記憶した
ROM27および演算データの一時記憶等に用いられる
RAM28が接続されている。
【0020】また、サーボCPU20および圧力モニタ
用CPU17の各々には、サーボ制御専用の制御プログ
ラムを格納したROM21やデータの一時記憶に用いら
れるRAM19、および、成形データのサンプリング処
理等に関する制御プログラムを格納したROM11やデ
ータの一時記憶に用いられるRAM12が接続されてい
る。更に、サーボCPU20には、該CPU20からの
指令に基いて型締め用,エジェクタ用(図示せず)およ
び射出用,スクリュー回転用等の各軸のサーボモータを
駆動するサーボアンプ15が接続され、射出用サーボモ
ータM1に配備したパルスコーダP1およびスクリュー
回転用サーボモータM2に配備したパルスコーダP2か
らの出力の各々がサーボCPU20に帰還され、パルス
コーダP1からのフィードバックパルスに基いてサーボ
CPU20により算出されたスクリュー2の現在位置
や、速度検出器P2で検出されるスクリュー2の回転速
度が、メモリ19の現在位置記憶レジスタおよび現在速
度記憶レジスタの各々に記憶される。
【0021】不揮発性メモリ24は射出成形作業に関す
る成形条件(射出保圧条件,計量混練り条件等)と各種
設定値,パラメータ,マクロ変数および良否判別のため
の設定データ等を記憶する成形データ保存用のメモリで
ある。
【0022】図2は良否判別のための設定データを記憶
するために不揮発性メモリ24に設けられたファイル手
段の構成を示す概念図であり、本実施例では、計量混練
り工程開始後の経過時間またはスクリュー位置のいずれ
か一方を判別対象区間の設定基準として選択して経過時
間またはスクリュー位置を指定することにより良否判別
の対象となる区間を複数設定できるようになっており、
また、判別対象となる変量としては、スクリュー回転用
サーボモータM2の駆動トルク,スクリュー2の後退速
度、または、実背圧の内からいずれか1つを選択できる
ようになっている。
【0023】オペレータは予めディスプレイ付手動デー
タ入力装置29のファンクションキーやテンキー等を用
いて判別対象区間の設定個数nを入力し、PMC用CP
U18の処理により図2に示されるようなファイル手段
にn段の記憶領域を確保させ、ディスプレイ付手動デー
タ入力装置29のディスプレイ画面に表示される入力促
進のガイダンスメッセージに従って、計量混練り工程開
始後の経過時間またはスクリュー位置のいずれか一方を
判別対象区間の設定基準として選択し、また、スクリュ
ー回転用サーボモータM2の駆動トルク,スクリュー2
の後退速度、または、実背圧の内いずれか1つを判別対
象となる変量として選択し、ファンクションキー等の操
作によってその選択結果を入力する。
【0024】判別対象区間の設定基準としてスクリュー
位置が選択された場合にはPMC用CPU18の処理に
より不揮発性メモリ24の判別区間設定次元記憶レジス
タfに0がセットされ、経過時間が選択された場合には
該レジスタfに1がセットされる。また、判別対象とな
る変量としてスクリュー回転用サーボモータM2の駆動
トルクが選択された場合にはPMC用CPU18の処理
により不揮発性メモリ24の判別データ種別記憶レジス
タgに0がセットされ、同様に、スクリュー2の後退速
度が選択された場合にはレジスタgに1がセットされ、
実背圧が選択された場合にはレジスタgに2がセットさ
れる。
【0025】そして、このような選択入力操作が行われ
ると、ディスプレイ付手動データ入力装置29のディス
プレイ画面には図2に示されるような設定データ表示欄
が表示されるので、オペレータはこの設定画面を参照し
て各判別対象区間i=1〜nの開始位置または開始時間
Ai、および、終了位置または終了時間Biに対応する
スクリュー位置または経過時間をテンキーにより入力す
ると共に、各判別対象区間iに対して設定すべきスクリ
ュー回転用サーボモータM2の駆動トルク,スクリュー
2の後退速度、または、実背圧の許容範囲としての上限
値Ciと下限値Diをテンキーにより入力して、不揮発
性メモリ24のファイル手段に記憶させる(但し、A1
<B1≦A2<B2≦・・・・≦Ai<Bi≦・・・≦
An<Bn)。
【0026】更に、本実施例においては、後述の計量異
常検出処理とは別に選択的に実施されるデータ収集モー
ドの処理において、圧力モニタ用CPU17が射出保圧
工程および計量混練り工程毎にサンプリング処理を繰り
返し実行し、所定のサンプリング周期毎に、圧力検出器
4およびA/D変換器16を介し、スクリュー2に作用
する射出保圧圧力またはスクリュー背圧を検出すると共
に、メモリ19の現在位置記憶レジスタからスクリュー
2の現在位置を読み込んで前周期のサンプリング時にお
けるスクリュー位置と今周期のサンプリング時における
スクリュー位置とに基いて現在の射出速度またはスクリ
ュー後退速度を求める。また、射出保圧圧力またはスク
リュー背圧の現在値,スクリュー2の現在位置,射出速
度またはスクリュー後退速度の現在値、更に、計量混練
り工程においては、スクリュー回転用サーボモータM2
の駆動電流に対応する駆動トルクをもサンプリング周期
に対応させて、一射出保圧工程および計量混練り工程毎
RAM12に更新記憶するようになっている。また、必
要に応じ、このサンプリングデータを不揮発性メモリ2
4に転送して不揮発記憶させることも可能である。
【0027】従って、オペレータは、条件出し完了後の
良品成形時においてデータ収集モードの処理を実行さ
せ、その時のサンプリングデータを予め不揮発性メモリ
24に格納しておき、判別対象区間の個数nや各判別対
象区間iの開始位置または開始時間Aiおよび終了位置
または終了時間Bi、並びに、各判別対象区間に対して
設定すべき上限値Ciや下限値Diを設定するに際し、
不揮発性メモリ24のサンプリングデータに基いて計量
開始後の経過時間またはスクリュー位置を基準としてス
クリュー回転用サーボモータM2の駆動トルクやスクリ
ュー後退速度もしくは背圧の変化を示す図3のようなグ
ラフをディスプレイ付手動データ入力装置29のディス
プレイ画面に表示させ、このグラフ表示を参照しながら
判別対象区間の個数nや各判別対象区間iの開始位置ま
たは開始時間Aiおよび終了位置または終了時間Bi、
並びに、各判別対象区間に対して設定すべき上限値Ci
や下限値Diを設定することも可能である。
【0028】また、スクリュー回転数や設定背圧値等を
変化させて計量段数を複数設定したような場合には、計
量の切替点に対応するスクリュー位置や時間を前記グラ
フに重ねて表示させ、各判別対象区間iがこの切替点を
跨がないように開始点Ai,終了点Biを設定すること
が望ましい。それは、計量の切替点では目標となる設定
値が変化するため、その近傍ではスクリュー回転用サー
ボモータM2の駆動トルクやスクリュー後退速度および
背圧が大きく変動する場合があり、この区間に対して共
通する適切な上限値や下限値を設定することが難しいか
らであり、また、その変動を許容するような上限値や下
限値を設定してしまうと不良検出のための判別処理に支
障を来たす恐れがあるからでもある。また、判別対象区
間i=1〜nの設定入力操作が完了した時点で、不揮発
性メモリ24に設定されている計量混練り条件から計量
の切替点に関するデータを順次読み、いずれかの切替点
が判別対象区間の領域内に含まれているか否かをPMC
用CPU18により自動判別させ、計量の切替点が判別
対象区間の領域内に含まれている場合にはディスプレイ
画面に警告メッセージを表示させるようにしてもよい。
【0029】インターフェイス23は射出成形機の各部
に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を受信
したり射出成形機の周辺機器等に各種の指令を伝達した
りするための入出力インターフェイスである。
【0030】そして、CNC用CPU25がROM27
の制御プログラムに基いて各軸のサーボモータに対して
パルス分配を行い、サーボCPU20は各軸に対してパ
ルス分配された移動指令とパルスコーダP1,速度検出
器P2等の検出器で検出された位置のフィードバック信
号および速度のフィードバック信号に基いて、従来と同
様に位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ルー
プ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサー
ボ処理を実行する。
【0031】ディスプレイ付手動データ入力装置29は
CRT表示回路26を介してバス22に接続され、モニ
タ表示画面や機能メニューの選択および各種データの入
力操作等が行えるようになっており、数値データ入力用
のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けら
れている。
【0032】図4〜図6はPMC用CPU18により計
量混練り工程のシーケンス制御と共にデータ収集モード
の処理とは別に選択的に実施される計量異常検出処理の
概略を示すフローチャートであり、以下、前述の図2お
よびこれらのフローチャートを参照して本実施例におけ
る成形品の良否判別について説明する。
【0033】CNC用CPU25からの保圧完了信号を
受けて計量混練り工程のシーケンス制御を開始したPM
C用CPU18は、まず、CNC用CPU25に計量開
始指令を出力し、不揮発性メモリ24の計量混練り条件
に基くスクリュー回転用サーボモータM2の計量回転を
開始させ(ステップS1)、計量混練り工程開始後の経
過時間を計測する経過時間計測タイマT1をスタートさ
せると共に(ステップS2)、計量異常の発生を記憶す
る不良検出フラグFおよびアドレス検索指標iの値を共
に0に初期化する(ステップS3,ステップS4)。
【0034】次いで、PMC用CPU18は、アドレス
検索指標iの値をインクリメントしてインターバルタイ
マ作動フラグtの値を0に初期化し(ステップS5,ス
テップS6)、不良検出フラグFがセットされているか
否かを判別する(ステップS7)。この段階では不良検
出フラグFが初期化されているのでステップS7の判別
結果は真となる。次いで、PMC用CPU18は不揮発
性メモリ24の判別区間設定次元記憶レジスタfの値を
検出し、その値が0であるか1であるか、即ち、判別対
象区間の設定基準としてスクリュー位置が選択されてい
るか経過時間が選択されているかを判別する(ステップ
S8)。前述したように、レジスタfに0がセットされ
ていれば判別対象区間の設定基準としてスクリュー位置
が選択されていることを意味し、また、1がセットされ
ていれば経過時間が選択されていることを意味する。
【0035】そこで、ステップS8の判別結果が偽とな
って経過時間が選択されていることが確認された場合、
PMC用CPU18はアドレス検索指標iの値に基いて
不揮発性メモリ24のファイル手段(図2参照)から判
別対象区間iに対して設定された判別開始経過時間Ai
のデータを読み込み、経過時間計測タイマT1の現在
値、即ち、スクリュー計量回転開始後の経過時間が判別
開始経過時間Aiに達しているか否かを判別するが、タ
イマT1の現在値がAiに達していなければ、この処理
を繰り返し実行し、経過時間計測タイマT1の現在値が
判別開始経過時間Aiに達するまで待機する(ステップ
S9)。そして、経過時間計測タイマT1の現在値が判
別開始経過時間Aiに達すると、PMC用CPU18は
アドレス検索指標iの値に基いて不揮発性メモリ24の
ファイル手段(図2参照)から判別対象区間iに対して
設定された判別終了経過時間Biのデータを読み込み、
経過時間計測タイマT1の現在値が判別終了経過時間B
iに達しているか否かを判別する(ステップS10)。
【0036】タイマT1の現在値が判別終了経過時間B
iに達していなければ、次いで、PMC用CPU18は
不揮発性メモリ24の判別データ種別記憶レジスタgの
値を検出し、その値が1であるか否か、即ち、判別対象
となる変量のデータとしてスクリュー後退速度が選択さ
れているか否かを判別することとなる(ステップS1
3)。前述したように、判別対象となる変量としてスク
リュー回転用サーボモータM2の駆動トルクが選択され
ている場合には判別データ種別記憶レジスタgの値が
0、また、スクリュー2の後退速度が選択されている場
合には該レジスタgの値が1であり、実背圧が選択され
ている場合にはレジスタgの値が2である。
【0037】そこで、ステップS13の判別結果が真と
なり、判別対象となる変量のデータとしてスクリュー後
退速度が選択されていることが確認された場合には、P
MC用CPU18は、インターバルタイマ作動フラグt
がリセット状態を維持しているか否か、つまり、スクリ
ュー後退速度の算出に必要とされる所定の微少時間を計
時するインターバルタイマT2の作動が開始されている
か否かを判別する(ステップS14)。そして、タイマ
T2が作動していなければ、PMC用CPU18はメモ
リ19の現在位置記憶レジスタからスクリュー2の現在
位置を読み込み、その値SnをタイマT2の作動開始時
のスクリュー位置としてスクリュー位置記憶レジスタS
0に記憶すると共に(ステップS15)、インターバル
タイマT2の作動を開始させ(ステップS16)、イン
ターバルタイマ作動フラグtをセットして(ステップS
17)、再びステップS7の処理へと移行する。
【0038】インターバルタイマ作動フラグtがセット
される結果、PMC用CPU18は、以下、経過時間計
測タイマT1の現在値が判別終了経過時間Biに達した
ことがステップS10の判別処理で検出されるか、また
は、インターバルタイマT2による所定時間の計時が終
了したことがステップS20の判別処理で検出されるま
での間、ステップS7〜ステップS10,ステップS1
3,ステップS14,ステップS20からなるループ状
の処理を繰り返し実行することとなる。
【0039】そして、インターバルタイマT2による所
定時間の計時が終了し、ステップS20の判別処理でこ
れが検出されると(インターバルタイマT2の計時設定
時間は判別対象区間の設定基準となる経過時間の刻み巾
Ai〜Biに比べて十分に短い)、PMC用CPU18
は、メモリ19の現在位置記憶レジスタからスクリュー
現在位置Snを読み込み、この値からスクリュー位置記
憶レジスタS0の値を減じ、その値を更にタイマT2の
作動時間で除してスクリュー後退速度の現在値Rを求め
(ステップS21)、スクリュー後退速度の現在値Rが
判別対象区間iに対してファイル手段(図2参照)に設
定されたスクリュー後退速度の上限値Ciと下限値Di
との間にあるか否かを判別する(ステップS22)。こ
のときスクリュー後退速度の現在値Rがスクリュー後退
速度の上限値Ciと下限値Diの範囲内になければPM
C用CPU18は不良検出フラグFをセットして計量異
常の発生を記憶するが(ステップS23)、現在値Rが
上限値Ciと下限値Diの範囲内にあればステップS2
3の処理は非実行とされる。次いで、PMC用CPU1
8はインターバルタイマ作動フラグtをリセットし(ス
テップS24)、再びステップS7の処理へと移行す
る。
【0040】ステップS7の処理へと移行したPMC用
CPU18は不良検出フラグFがセットされているか否
か、即ち、当該計量混練り工程において既に計量の異常
が検出されているか否かを判別するが、この段階で計量
異常の記憶がなくフラグFがリセット状態を維持してい
れば、以下、PMC用CPU18は、インターバルタイ
マT2の作動完了毎に実行されるステップS22の判別
処理でスクリュー後退速度Rに関する計量異常が検出さ
れて不良検出フラグFがセットされ、このことがステッ
プS7の判別処理で検出されるか、または、経過時間計
測タイマT1の現在値が判別終了経過時間Biに達した
ことがステップS10の判別処理で検出されるまでの
間、所定時間T2毎にスクリュー現在位置Snをスクリ
ュー位置記憶レジスタS0に更新記憶してインターバル
タイマT2を作動させ(ステップS14〜ステップS1
7)、また、所定時間T2が経過してインターバルタイ
マT2の作動が終了する毎にその時点でのスクリュー現
在位置SnとタイマT2の作動開始時点におけるスクリ
ュー位置S0およびインターバルタイマT2の作動時間
とに基いてスクリュー後退速度の現在値Rを算出し、そ
の値が当該判別対象区間iに対して設定されたスクリュ
ー後退速度の上限値Ciと下限値Diとの間にあるか否
かを判別することとなる(ステップS20〜ステップS
24)。
【0041】そして、このような処理を繰り返し実行す
る間にも計量の異常が検出されず、不良検出フラグFの
リセット状態が維持されれば、PMC用CPU18は、
経過時間計測タイマT1の現在値が判別終了経過時間B
iに達した時点でステップS10の判別処理によりこれ
を検出し、ステップS25の処理へと移行することとな
る。
【0042】なお、経過時間計測タイマT1の現在値を
検出するステップS10の判別処理とインターバルタイ
マT2の作動完了の有無を検出するステップS20の判
別処理とは繰り返し直列的に実行されているので、例え
インターバルタイマT2が作動中であっても経過時間計
測タイマT1の現在値が判別終了経過時間Biに達しさ
えすれば、PMC用CPU18は、前述したステップS
13以降の処理を全てキャンセルし、ステップS25の
処理へと強制的に移行する。従って、判別終了経過時間
Biを僅かでも超過する区間は計量異常検出の実行対象
外として自動的にリジェクトされ、計量異常の検出は、
飽くまで、予め設定された判別対象区間内に限って行わ
れることとなる。
【0043】次いで、ステップS25の処理へと移行し
たPMC用CPU18はアドレス検索指標iの現在値が
判別対象区間の設定個数nの値に達しているか否かを判
別するが、指標iの現在値が判別対象区間の設定個数n
の値に達していなければ再びステップS5の処理へと移
行してアドレス検索指標iの値をインクリメントし、ス
テップS6の処理でインターバルタイマ作動フラグtを
リセットした後、指標iの現在値に基き再び次の判別対
象区間iに対して前記と同様の処理を繰り返し実行する
こととなる。この処理は、ステップS7の判別結果が偽
となって当該計量混練り工程における計量異常の発生が
検出されるまでの間、もしくは、ステップS25の判別
結果が偽となってi=1〜nの全ての判別対象区間に計
量異常のないことが確認されるまでの間、繰り返し実行
される。
【0044】そして、ステップS7の判別結果が偽とな
って当該計量混練り工程における計量異常の発生が確認
された場合にはPMC用CPU18は以降の判別対象区
間に対する前述の処理を非実行としてステップS26の
処理へと移行し、また、計量異常の発生が確認されない
場合にはi=1〜nの全ての判別対象区間に対して前述
の処理を実行した後にステップS26の処理へと移行す
る。
【0045】ステップS26の処理に移行したPMC用
CPU18は不揮発性メモリ24に計量混練り条件とし
て設定されたスクリューバック位置Seにスクリュー現
在位置Snが到達するまで待機し、CNC用CPU25
に計量完了信号を出力してスクリュー回転用サーボモー
タM2の計量回転を停止させる(ステップS27)。
【0046】次いで、PMC用CPU18は、不良検出
フラグFがセットされているか否かを判別し(ステップ
S28)、該フラグFがセットされていれば当該計量混
練り工程においてスクリュー後退速度に関する計量異常
が発生したものと見做して異常発生のアラーム信号を出
力し(ステップS29)、ディスプレイ付手動データ入
力装置29のディスプレイ画面に異常発生のメッセージ
等を表示する。また、不良検出フラグFがセットされて
いなければステップS29のアラーム出力処理は非実行
とされる。
【0047】そして、計量混練り工程のシーケンス制御
および計量異常の検出に関する処理を終了したPMC用
CPU18は、以下、次工程に関するシーケンス制御を
従来と同様にして実行することとなる。
【0048】以上、判別対象区間の設定基準として計量
混練り工程開始後の経過時間が選択され(レジスタfの
値が1)、かつ、判別対象となる変量のデータとしてス
クリュー後退速度が選択されている場合を例にとって説
明したが(レジスタgの値が1)、判別対象区間の設定
基準としてスクリュー位置が選択された場合(レジスタ
fの値が0)、および、判別対象となる変量のデータと
してスクリュー回転用サーボモータM2の駆動トルクも
しくは実背圧が選択された場合も(レジスタgの値が0
または2)、全体の処理の流れは前述の説明とほぼ同様
である。但し、判別対象区間の設定基準としてスクリュ
ー位置が選択された場合には計量移動により後退するス
クリュー2の現在位置Snを読み込んで各判別対象区間
i毎の判別開始スクリュー位置Aiや判別終了スクリュ
ー位置Bi(図2参照)と比較する必要があるので、レ
ジスタf=0の値に基き、前述のステップS9,ステッ
プS10の処理に代えて、ステップS11,ステップS
12の処理が、現在位置が設定判別対象区間内にあるか
否かの判別処理として行われる。また、判別対象となる
変量のデータとしてスクリュー回転用サーボモータM2
の駆動トルクまたは実背圧が選択された場合にはレジス
タg=0またはg=2の値に基きサーボCPU20また
は圧力モニタ用CPU17からサーボモータM2の駆動
電流の現在値K0またはスクリュー背圧の現在値K2を
読み込み、これらの値を各判別対象区間i毎の上限値C
iや下限値Diと比較して異常発生の有無が検出される
ようになる(以上、ステップS18,ステップS19の
処理)。判別対象区間の設定基準として2種の変数が選
択でき、また、その各々に対して判別対象となる3種の
変量を任意に選択することができるので、全体としての
組み合わせは全部で6種となる。
【0049】図4〜図6のフローチャートは主に計量異
常の検出に直接関与する処理について示すものであるた
め、経過時間またはスクリュー位置により計量段数を複
数設定して各段毎にスクリュー回転数や設定背圧値等を
変化させる場合の処理については特に記載していない
が、計量切替えのための経過時間やスクリュー位置の検
出に関する処理はステップS9,ステップS11,ステ
ップS26の処理と略並列して図中の丸印で示される位
置で実行され、経過時間の現在値T1やスクリュー位置
Snが計量各段の切替え時間または切替え位置に達した
時点でスクリュー回転速度の変更指令や背圧制御のため
の射出用サーボモータM1のトルク設定指令等が自動的
に出力されるようになっている。
【0050】以上、一実施例として不揮発性メモリ24
のファイル手段にディスプレイ付手動データ入力装置2
9を介して各判別対象区間iの上限値Ciおよび下限値
Diを手動入力するようにしたものについて説明した
が、各判別対象区間iの開始点Aiと終了点Biのみを
予めファイル手段に設定してデータ収集モードの処理を
実行させ、その時のサーボモータM2の駆動トルク,ス
クリュー後退速度,背圧のサンプリングデータを開始点
Aiと終了点Biの各区間で平均して判別対象となる変
量データの基準値を求めさせ、この基準値に所定の許容
値を加算および減算して各区間iの上限値Ciおよび下
限値Diを求めることにより、その値をPMC用CPU
18の処理により前記ファイル手段の対応位置に自動的
に書き込ませるようにしても良い。また、ファイル手段
には上限値Ciおよび下限値Diを記憶せず、基準値お
よび許容巾のみを記憶させるようにし、ステップS18
およびステップS22に示されるような判別処理を行う
段階で各区間に対応する基準値と現在値との偏差(絶対
値)を求め、この偏差が各区間に対して予め設定された
許容巾の範囲内にあるか否かによって計量異常の有無を
検出するようにしても良い。
【0051】また、判別対象となる変量の種別を複数選
択して判別対象とし、選択された判別対象の各々に対し
て上限値と下限値を設定し、選択された全ての判別対象
の変量がこれに対応する上限値と下限値との間にある場
合にのみ計量異常なしとして判定するようにしてもよ
い。この場合、ファイル手段には上限値と下限値を設定
する欄を各判別対象区間iに対応して変量の種別数だけ
設け、判別対象となる変量毎の上限値と下限値を判別対
象毎に設定できるようにする。例えば、Cia,Dia
の欄を設けてスクリュー回転用サーボモータM2の駆動
トルクの上限値および下限値とし、Cib,Dibの欄
を設けてスクリュー2の後退速度の上限値および下限値
とし、更に、Cic,Dicの欄を設けてスクリュー背
圧の上限値および下限値とする。
【0052】また、判別対象となる変量の種別をこれに
対応する数値の設定状態により択一的に記憶する判別デ
ータ種別記憶レジスタgに代え、選択された判別対象の
種別を個別に記憶するための選択状態確認フラグg0,
g1,g2を設ける。スクリュー回転用サーボモータM
2の駆動トルクが判別対象として選択されていればg0
=1(選択されていなければg0=0)、スクリュー2
の後退速度が判別対象として選択されていればg1=1
(選択されていなければg1=0)、また、背圧が判別
対象として選択されていればg2=1(選択されていな
ければg2=0)である。
【0053】そして、実際の良否判別に関する処理にお
いては図4〜図6に示されるような計量異常検出処理の
うちステップS1〜ステップS12およびステップS2
5〜ステップS29までの処理を前記実施例と同様にし
て行う。そして、前記実施例におけるステップS13〜
ステップS24の処理に代えて以下の処理を実施し、前
記実施例と同様にしてステップS7の処理に移行するよ
うにする。
【0054】まず、フラグg0に1がセットされている
か否かを判別し、フラグg0に1がセットされている場
合に限り、駆動電流の現在値K0を読み込んで、この値
がCiaとDiaとの間にあるか否かを判別し、範囲内
にない場合にはフラグFをセットする(範囲内にある場
合はセットしない)。
【0055】次いで、フラグg0に1がセットされてい
るか否かに関わりなく、フラグg1に1がセットされて
いるか否かを判別し、フラグg1に1がセットされてい
る場合に限り、インターバルタイマ作動フラグtおよび
インターバルタイマT2の状態に応じて前記実施例にお
けるステップS14〜ステップS17、または、ステッ
プS14とステップS20、もしくは、ステップS14
とステップS20〜ステップS24の処理を実施する。
但し、前記実施例のステップS22で読み込まれるのは
Ci,Diであるが、この実施例ではCibとDibを
読み込んで比較を行うようにする。
【0056】更に、フラグg0およびフラグg1に1が
セットされているか否かに関わりなく、フラグg2に1
がセットされているか否かを判別し、フラグg2に1が
セットされている場合に限り、背圧の現在値K2を読み
込んで、この値がCicとDicとの間にあるか否かを
判別し、範囲内にない場合にはフラグFをセットする
(範囲内にある場合はセットしない)。
【0057】このようにして、スクリュー回転用サーボ
モータM2の駆動トルク,スクリュー2の後退速度,ス
クリュー背圧の全て、もしくは、その任意の組み合わせ
に対して並列的に判定処理を行うことにより計量異常の
有無をより確実に検出することができる。
【0058】
【発明の効果】本発明による射出成形機の製品良否判別
方法及び装置は、スクリュー回転数を設定値に保持すべ
く樹脂の可塑化状態や粘性抵抗の変化に応じて変動する
スクリュー回転用モータに加わる負荷、または、樹脂の
可塑化状態や樹脂ペレットの巻き込み状態の変化に応じ
て変動するスクリュー後退速度の検出値によって計量異
常の有無を検出するようにしたので、スクリュー回転数
や実背圧のみで計量異常の有無を検出する従来の判別方
法に比べ、より確実に計量異常の有無を検出することが
できる。
【0059】また、良否判別に関わる処理を実施すべき
判別対象区間をスクリュー位置または計量混練り工程開
始後の経過時間で特定して設定するようにしているの
で、スクリュー回転用モータの駆動トルクやスクリュー
後退速度および実背圧の変動が計量に悪影響を与え易い
区間に対してのみ計量異常検出のための判別処理を行わ
せることができる。更に、検出値のばらつきが計量に与
える影響如何によっては判別対象区間を計量の進捗情況
に応じて複数設定すると共に各判別対象区間毎に検出変
量の許容範囲を設定し、各判別対象区間で検出される変
量の値がその判別対象区間の許容範囲を外れたときに計
量異常の発生として検知することができ、しかも、検出
対象となる変量の種別は樹脂の種別や成形金型の特性に
応じて任意に選択できるので、より適確に計量異常の発
生を判別することができる。
【0060】そして、判別基準となる許容範囲は判別対
象区間それ自体に対応して設定されるので、従来のよう
に多数のサンプリングデータの全てを特性曲線として制
御装置に記憶する必要がなく、メモリの記憶容量が節約
される。また、良否判別の段階で良品成形時のサンプリ
ングデータに一々アクセスする必要もないので、判別処
理に必要とされる制御装置の負担も軽減される。
【0061】予め射出成形機の計量混練り条件として設
定された背圧およびスクリュー回転数の切替え点を含ま
ないように判別対象区間を設定することが可能であるか
ら、相異なる設定値を目標として制御される変量の検出
値に対し同じ許容範囲で良否判別が行われるといった不
都合はなく、良品成形時のサンプリングデータを用いる
ことなく適確に計量異常の有無を検出することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を適用した一実施例の射出成形機
およびその制御装置の要部を示すブロック図である。
【図2】同実施例の制御装置に設けられたファイル手段
の構成を示す概念図である。
【図3】良品成形時のサンプリンデータによるグラフの
表示例を示す図である。
【図4】同実施例の制御装置による計量異常検出処理の
概略を示すフローチャートである。
【図5】計量異常検出処理の概略を示すフローチャート
の続きである。
【図6】計量異常検出処理の概略を示すフローチャート
の続きである。
【符号の説明】
1 射出シリンダ 2 スクリュー 4 圧力検出器 10 制御装置 18 PMC用CPU 20 サーボCPU 22 バス 24 不揮発性メモリ 29 ディスプレイ付手動データ入力装置 M1 射出用サーボモータ M2 スクリュー回転用サーボモータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平賀 薫 山梨県南都留郡忍野村忍草字古馬場3580 番地 ファナック株式会社 内 (56)参考文献 特開 平1−188316(JP,A) 特開 昭62−13314(JP,A) 特開 昭61−248717(JP,A) 特開 昭62−77171(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/46 - 45/54 B29C 45/76 - 45/84

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スクリュー位置または計量混練り工程開
    始後のスクリュー移動距離又は計量混練り工程開始後の
    経過時間によって判別対象区間を設定し、該判別対象区
    間におけるスクリュー回転用モータに加わる負荷の許容
    範囲を設定しておき、計量混練り工程においてスクリュ
    ー回転用モータに加わる負荷を前記判別対象区間検出
    し、該検出負荷が前記許容範囲を外れると計量異常の発
    生として検知するようにした射出成形機の製品良否判別
    方法。
  2. 【請求項2】 スクリュー位置または計量混練り工程開
    始後のスクリュー移動距離又は計量混練り工程開始後の
    経過時間によって判別対象区間を設定し、該判別対象区
    間におけるスクリュー後退速度の許容範囲を設定してお
    き、計量混練り工程においてスクリュ後退速度を前記判
    別対象区間検出し、該検出後退速度が前記許容範囲を
    外れると計量異常の発生として検知するようにした射出
    成形機の製品良否判別方法。
  3. 【請求項3】 スクリュー位置または計量混練り工程開
    始後のスクリュー移動距離又は計量混練り工程開始後の
    経過時間によって判別対象区間を複数設定し、各判別対
    象区間における検出変量の許容範囲を夫々設定してお
    き、計量混練り工程において変化する変量を前記判別対
    象区間検出し、該検出変量が当該判別対象区間の許容
    範囲を外れると計量異常の発生として検知するようにし
    た射出成形機の製品良否判別方法。
  4. 【請求項4】 前記変量が実背圧,スクリュー回転用モ
    ータに加わる負荷,スクリュー後退速度のいずれかであ
    る請求項3記載の射出成形機の製品良否判別方法。
  5. 【請求項5】 変量を選択するための手段を設け、実背
    圧,スクリュー回転用モータに加わる負荷,スクリュー
    後退速度の少なくとも1つ以上を良否判別のための変量
    として選択するようにした請求項4記載の射出成形機の
    製品良否判別方法。
  6. 【請求項6】 前記判別対象区間は予め射出成形機の計
    量混練り条件として設定された背圧およびスクリュー回
    転数の切替え点を含まないように設定する請求項3,請
    求項4もしくは請求項5記載の射出成形機の製品良否判
    別方法。
  7. 【請求項7】 スクリュー回転用モータの駆動トルクを
    前記スクリューの回転用モータに加わる負荷とした請求
    項1,請求項4または請求項5記載の射出成形機の製品
    良否判別方法。
  8. 【請求項8】 前記判別対象区間の代わりに判別対象点
    を設定する請求項1乃至7の内1項記載の射出成形機の
    製品良否判別方法。
  9. 【請求項9】 スクリュー位置または計量混練り工程開
    始後のスクリュー移動距離又は計量混練り工程開始後の
    経過時間による判別対象区間及び該判別対象区間におけ
    るスクリュー回転用モータに加わる負荷の許容範囲を設
    定する設定手段と、該設定手段で設定された判別対象区
    間及び許容範囲を記憶する記憶手段と、計量混練り工程
    においてスクリュー回転用モータに加わる負荷を前記判
    別対象区間中検出する負荷検出手段と、検出負荷が前記
    許容範囲を外れると計量異常の発生として検知する判別
    手段とを有する射出成形機の製品良否判別装置。
  10. 【請求項10】 スクリュー位置または計量混練り工程
    開始後のスクリュー移動距離又は計量混練り工程開始後
    の経過時間による判別対象区間及び該判別対象区間にお
    けるスクリュー後退速度の許容範囲を設定する設定手段
    と、該設定手段で設定された判別対象区間及び許容範囲
    を記憶する記憶手段と、計量混練り工程においてスクリ
    ュ後退速度を前記判別対象区間中検出するスクリュー後
    退速度検出手段と、検出後退速度が前記許容範囲を外れ
    ると計量異常の発生として検知する判別手段とを有する
    射出成形機の製品良否判別装置。
  11. 【請求項11】 スクリュー位置または計量混練り工程
    開始後のスクリュー移動距離又は計量混練り工程開始後
    の経過時間による複数の判別対象区間及び各判別対象区
    間における検出変量の許容範囲を夫々設定する設定手段
    と、計量混練り工程において変化する変量を前記判別対
    象区間中検出する検出手段と、検出変量が当該判別対象
    区間の許容範囲を外れると計量異常の発生として検知す
    る判別手段とを有する射出成形機の製品良否判別装置。
  12. 【請求項12】 前記変量が実背圧,スクリュー回転用
    モータに加わる負荷,スクリュー後退速度のいずれかで
    ある請求項11記載の射出成形機の製品良否判別装置。
  13. 【請求項13】 変量を選択するための手段を設け、実
    背圧,スクリュー回 転用モータに加わる負荷,スクリュ
    ー後退速度の少なくとも1つ以上を良否判別のための変
    量として選択するようにした請求項12記載の射出成形
    機の製品良否判別装置。
  14. 【請求項14】 前記設定手段は、前記判別対象区間の
    代わりに判別対象点を設定する請求項9乃至13の内1
    項記載の射出成形機の製品良否判別装置。
  15. 【請求項15】 スクリュー回転用モータの駆動トルク
    を前記スクリューの回転用モータに加わる負荷とした請
    求項9,請求項12または請求項13記載の射出成形機
    の製品良否判別装置。
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