JP3556236B2 - 射出成形機のモニタ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、射出成形機のモニタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出保圧工程において変化する変量、例えば、スクリュー位置,射出保圧圧力,射出速度等の値を所定周期毎に検出し、これら変量の推移を時間またはスクリュー位置に対応させてディスプレイ画面上にグラフ表示するようにした射出成形機のモニタ装置が特開平2−147315号等として既に公知であり、また、直前の1射出保圧工程で検出された最大射出圧力,最小クッション量,射出保圧切替位置もしくは射出保圧切替圧力等の値を他の変量と独立させて単独で数値表示するようにしたモニタ装置も知られている。
【0003】
前記従来技術では、スクリュー位置,射出保圧圧力,射出速度等の変化に関する定性的な特性や、最大射出圧力,最小クッション量,射出保圧切替位置もしくは射出保圧切替圧力等の要所々々における数値データしか得ることができない。そこで、このようにして得られた比較的少ない定量的データから基準圧力波形を再現するための手段として、スプライン曲線を生成する演算処理を用いて基準圧力波形を再現する方式も提案されているが、このような近似処理で得られるデータが良品成形時の基準圧力波形と一致するといった保証は必ずしもなく、また、成形品によっては最大射出圧力,最小クッション量,射出保圧切替位置等の他にも成形品の出来不出来に大きな影響を与える条件があるので、常に適確な条件設定を行うということは困難であった。さらに、最近では、良品成形時における射出保圧圧力の変化特性等を正確に再現して適確な射出成形作業を行わせるべく、良品成形時の基準圧力波形のデータを射出成形機に設定してフィードバック制御を行うようにした射出成形機が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術の不都合を解消し、必要とされる部位におけるスクリュー位置,射出保圧圧力,射出速度等のサンプリング情報をより詳細に取り出すことができ、射出保圧工程に関する成形条件の設定をより適確に行うことのできる射出成形機のモニタ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による射出成形機のモニタ装置は、射出保圧工程において変化する変量を所定周期毎に検出して記憶するサンプリング手段と、該サンプリング手段により取得された前記変量の推移をディスプレイ画面にグラフ表示するグラフ表示手段とを備えた射出成形機のモニタ装置において、前記変量には、少なくともスクリュー位置又は射出保圧圧力を含み、最小クッション量、射出保圧切替位置、最大射出圧力、射出保圧切替圧力等の項目を選択する手段と、選択項目に対応するグラフ上の対応位置を検索する対応位置検索手段と、該対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置にカーソルを表示する表示制御手段とを備えるものである。
【0006】
また、前記グラフ表示手段はスクリュー位置に対応して他の変量の推移をグラフ表示するようにした。
【0007】
さらに、前記変量に射出速度を含み、射出速度もグラフ表示するようにした。
【0008】
また、前記表示制御手段は、前記対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置に対応する前記変量の値を表示する手段を備えるようにした。
【0009】
【作用】
サンプリング手段は、射出保圧工程において変化する各種の変量の値を所定周期毎に検出すると共に、これらの変量をサンプリングの経過時間と対応させて記憶する。また、グラフ表示手段は、サンプリング手段により取得された変量の推移をサンプリングの経過時間もしくは一変量であるスクリュー位置の変化に対応させてディスプレイ画面上にグラフ表示する。
【0010】
最小クッション量、射出保圧切替位置、最大射出圧力、射出保圧切替圧力等の項目を選択すると、対応位置検索手段が選択項目に対応するグラフ上の対応位置を検索し、表示制御手段は、該対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置にカーソルを表示する。
【0011】
表示制御手段は、前記対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置に対応する前記変量の値をディスプレイ画面上に可視表示する。
【0012】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図3は一実施例の射出成形機の要部を示すブロック図で、符号1は射出成形機の射出シリンダ、符号2はスクリューである。スクリュー2は、プッシャープレート8のボールナット部に螺合したリードネジ5やリードネジ5と一体のプーリ6に巻回された動力伝達ベルト7等を介して射出用サーボモータM1により射出軸方向に駆動され、スクリュー2の基部とプッシャープレート8との間に介装された圧力検出器4によりスクリュー2の軸方向に作用する樹脂圧力が検出されるようになっている。また、射出用サーボモータM1には、スクリュー2の現在位置を検出するパルスコーダP1が装着されている。
【0013】
射出成形機のモニタ装置を兼ねる制御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNC用CPU25,プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMC用CPU18,サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU20および射出保圧圧力等のサンプリング処理を行うための圧力モニタ用CPU17を有し、バス22を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0014】
PMC用CPU18には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM14および演算データの一時記憶等に用いられるRAM15が接続されている。一方、CNC用CPU25には射出成形機を全体的に制御するプログラム等を記憶したROM26および演算データの一時記憶等に用いられるRAM27が接続されている。また、サーボCPU20および圧力モニタ用CPU17の各々には、サーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM21やデータの一時記憶に用いられるRAM19、および、成形データのサンプリング処理等に関する制御プログラムを格納したROM12やデータの一時記憶に用いられるRAM13が接続されている。更に、サーボCPU20には、該CPU20からの指令に基いて型締め用,スクリュー回転用,エジェクタ用(図示せず)および射出用等の各軸のサーボモータを駆動するサーボアンプ16が接続され、射出用サーボモータM1に配備したパルスコーダP1からの出力はサーボCPU20に帰還されて、サーボCPU20によりパルスコーダP1からのフィードバックパルスに基いて算出されたスクリュー2の現在位置がメモリ20の現在位置記憶レジスタに記憶される。
【0015】
不揮発性メモリ24は射出成形作業に関する成形条件と各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリである。
【0016】
圧力モニタ用CPU17は射出保圧工程毎にサンプリング処理を繰り返し実行し、所定のサンプリング周期毎に圧力検出器4からA/D変換器11を介してスクリュー2に作用する射出保圧圧力を検出すると共に、メモリ19の現在位置記憶レジスタからスクリュー2の現在位置を読み、更に、前周期のサンプリング時におけるスクリュー位置と今周期のサンプリング時におけるスクリュー位置とに基いて現在の射出速度を求め、射出保圧圧力の現在値,スクリュー2の現在位置,射出速度の現在値の各変量をサンプリング周期に対応させて1射出保圧工程毎RAM13に更新記憶するようになっている。
【0017】
サンプリング手段の一部を構成するRAM13は、射出保圧圧力,スクリュー位置,射出速度の現在値をサンプリング周期に同期して時系列で書き込むための現在値記憶ファイルと、直前の1射出保圧工程で検出されたサンプリングデータを保存するためのサンプリングデータ保存ファイルとを有し(共に図2を参照)、一射出保圧工程の完了毎に今までデータを書き込んできた現在値記憶ファイルに対しサンプリングデータ保存ファイルの指標を付し、その時まで、サンプリングデータ保存ファイルの指標が付されたファイルの指標を現在値記憶ファイルの指標に変更し、次の射出保圧工程のサンプリングデータをこの現在値記憶ファイルの指標が付されたファイルに書き込むようにする。すなわち、射出保圧工程毎、サンプリングデータは2つのファイルに交互に書き込まれることになる。
【0018】
インターフェイス23は射出成形機の各部に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を受信したり射出成形機の周辺機器等に各種の指令を伝達したりするための入出力インターフェイスである。
【0019】
そして、CNC用CPU25がROM26の制御プログラムに基づいて各軸のサーボモータに対してパルス分配を行い、サーボCPU20は各軸に対してパルス分配された移動指令とパルスコーダP1等の検出器で検出された位置のフィードバック信号および速度のフィードバック信号に基づいて、従来と同様に位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサーボ処理を実行する。また、射出保圧工程を圧力フィードバック制御モードにしたときには、不揮発性メモリ24の設定メモリ部に成形条件として記憶された基準圧力波形に基いてCNC用CPU25が各処理周期毎に圧力指令を出力し、サーボCPU20の側では圧力検出器4で検出される射出保圧圧力が指令樹脂圧力に一致するように圧力フィードバック制御を行う。
【0020】
グラフ表示手段および位置指定手段の一部を構成するディスプレイ付手動データ入力装置29は、表示制御手段の一部を構成するCRT表示回路28を介してバス22に接続され、モニタ表示画面や機能メニューの選択および各種データの入力操作等が行えるようになっており、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けられている。
【0021】
図4〜図6は手動データ入力装置29のファンクションキー操作によりモニタ表示の機能メニューが選択された状態でPMC用CPU18によって実施されるモニタ表示処理の概略を示すフローチャート、また、図7〜図15はモニタ表示処理における主要な処理を詳説するためのフローチャートであり、以下、これらのフローチャートを参照して本実施例におけるモニタ装置の処理動作について説明する。なお、モニタ表示の機能メニューが選択された段階では、条件出しまたは製品を成形するための連続成形作業が既に開始されているものとする。
【0022】
モニタ表示の機能メニューに関するオペレータの選択操作を検出したPMC用CPU18は、まず、手動データ入力装置29におけるファンクションキーの機能割付けを変更し、各ファンクションキーの用途に対応するガイダンスメッセージをディスプレイ画面の表示領域Dに表示し(図1参照)、ガイダンスメッセージ等を除く全画面の表示を一旦クリアしてから、グラフ表示の基準となる横軸の種別を規定する軸選択状態記憶フラグFがセットされているか否かを判別する(ステップS1)。そして、フラグFがセットされていなければ、サンプリングの経過時間を横軸に、また、射出保圧圧力,射出速度,スクリュー位置を縦軸に取ったグラフの表示枠をディスプレイ画面の表示領域Aに表示する一方(ステップS2,図1の例)、フラグFがセットされていれば、スクリュー位置を横軸に、また、射出保圧圧力,射出速度を縦軸に取った表示枠を表示領域Aに表示する(ステップS3)。
【0023】
次いで、PMC用CPU18はオペレータにより他の機能メニューに関する選択操作が行われているか否か、即ち、ファンクションキーF1(以下、画面切替キーという)の操作に対応して出力されるモニタ終了指令が入力されているか否かを判別するが(ステップS4)、他の選択操作が行われていなければ、更に、最大射出圧力の検索領域を規制するファンクションキーF13(以下、規制キーという)が操作されているか否かを判別する(ステップS5)。この規制キーは、項目選択による位置指定操作によって最大射出圧力を検索する際に、その検索領域を射出工程にのみ限定するか、または、射出工程および保圧工程の全体を検索対象とするかを決めるためのキーであり、該規制キーが操作される度に規制状態記憶フラグFsの値がセット状態からリセット状態に、または、リセット状態からセット状態に反転され(ステップS6)、ディスプレイ画面における表示領域Cのガイダンス表示が“規制中”または無表示の状態に変化する(ステップS7)。
【0024】
次いで、CPU18は、ファンクションキーF2(以下、検索開始キーという)が操作されているか否かを判別し(ステップS8)、検索開始キーが操作されていなければ、更に、ファンクションキーF4(以下、横軸切替キーという)が操作されているか否かを判別する(ステップS10)。横軸切替キーが操作された場合、CPU18は、軸選択状態記憶フラグFを反転し(ステップS11)、該フラグFの状態に応じて再び前記と同様の処理を繰り返し実行し、グラフの表示枠を再表示する(ステップS1〜ステップS3)。
【0025】
また、横軸切替キーが操作されていなければ、以下、他の機能メニューに関する選択操作が行われるか、規制キーが操作されるか、または、検索開始キーが操作されるまでの間、CPU18は、ステップS4,ステップS5,ステップS8,ステップS10の判別処理とステップS12に示す通常処理を繰り返し実行する。
【0026】
ステップS12に示す通常処理は各種変量の検出およびグラフ表示に関する従来と同様の処理である。すなわち、圧力モニタ用CPU17は処理ループ毎にサンプリング処理を繰り返し実行して射出保圧圧力の現在値,スクリュー2の現在位置,射出速度の現在値の各変量をサンプリング周期に対応させて1射出保圧工程分だけRAM13の現在値記憶ファイルに書込んでいる。また、1つ前の射出保圧工程のデータはデータ保存ファイルの指標が付されたファイルに記憶されている。PMC用CPU18はサンプリングデータ保存ファイルのデータを読み、軸選択状態記憶フラグFのリセットまたはセット状態に対応してサンプリングの経過時間もしくはスクリュー現在位置を横軸とし、射出保圧圧力の現在値,スクリュー位置の現在値(スクリュー位置を横軸に選択した場合には横軸と一致),射出速度の現在値を各軸の値に対応させてディスプレイ画面上に順次プロットしグラフ表示を実施する。グラフ表示の方法に関しては、前回以前の射出保圧工程で作成されたグラフの表示状態をそのまま保持して新たな射出保圧工程のグラフを重ね書きする場合と、一射出保圧工程の完了毎にグラフの表示を消去して当該一射出保圧工程のグラフのみを表示する場合とがあるが、これらの処理に関しては射出成形機の高速モニタ装置に関する通常機能として既に公知であるから特に説明しない。
【0027】
なお、ステップS4,ステップS5,ステップS8,ステップS10,ステップS12からなるループ処理を繰り返し実行する間にも規制キーおよび横軸切替キーの操作は可能であり、グラフの表示中に横軸切替キーが操作された場合には、ガイダンスメッセージ等を除く全画面の表示、即ち、グラフの表示が一旦クリアされ、軸選択状態記憶フラグFの状態に対応して新たなグラフ表示が開始される。
【0028】
そして、このようなモニタ表示が繰り返し実行される間に、グラフから数値データを取得する必要が生じた場合、例えば、条件出しにより確定した成形条件の詳細な数値データを抽出して保存したり、また、条件出し完了後の連続運転時において射出成形機の動作状態をチェックしたりするような場合には、オペレータは、まず、検索開始キーを操作してPMC用CPU18に検索モードの処理を開始させることとなる。
【0029】
ステップS8の判別処理により検索開始キーの操作を検出したCPU18は、現時点でRAM13のサンプリングデータ保存ファイルに保存され、かつ表示されている一射出保圧工程分のサンプリングデータの値をそのまま保持し、表示を固定する(ステップS9)。
【0030】
そして、検索モードの処理を開始したCPU17は、カーソル位置を移動させて位置指定を行うことによりグラフ上の任意位置を指定するためのファンクションキーF14,F15(以下、カーソル右移動キー,カーソル左移動キーという)、最大射出圧力を項目で指定してグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF5(以下、ピーク圧キーという)、最小クッション量を項目で指定してグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF6(以下、クッションキーという)、射出保圧切替位置を項目で指定してグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF7(以下、VP位置キーという)、射出保圧切替圧力を項目で指定してグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF8(以下、VP圧力キーという)、任意のスクリュー位置を数値入力することによりグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF9(以下、位置キーという)、任意の射出速度を数値入力することによりグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF10(以下、速度キーという)、任意の射出保圧圧力を数値入力することによりグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF11(以下、圧力キーという)、または、数値データの抽出に関する検索モードの処理を一旦終了させて通常のサンプリングおよびグラフ表示のモードに復帰するためのファンクションキーF3(以下、検索終了キーという)の内いずれかのキーが操作されるまでの間、ステップS13〜ステップS22の判別処理を繰り返し実行し、オペレータによるキー操作を待機する。
【0031】
まず、グラフ上の任意位置をカーソルで指定して位置指定操作を行うためのカーソル右移動キーが操作された場合、ステップS13の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、グラフ表示の基準となる横軸に沿ってカーソルを右方向に移動させ、カーソル現在位置に対応する変量データを数値表示するために、図7に示すSUB Aの処理を実行する(ステップS23)。
【0032】
SUB Aの処理に移行したCPU17は、まず、アドレス検索指標iの値をインクリメントし(ステップA1)、該指標iの値がサンプリングデータ保存ファイルにおける記憶済みレコードの最終アドレスnを越えているか否かを判別し(ステップA2)、指標iの値がnの値を越えていれば該指標iにnの値を再設定する一方(ステップA3)、iの値がnの値を越えていなければ該指標iの値は変えない。
【0033】
なお、指標iの初期値は0であるが、既にSUB A〜SUB Jの処理が1回以上実行されていれば、直前に実行された処理でアドレス検索指標iに設定されていた値がステップA1における指標iの初期値となる。また、最終アドレスnはサンプリングデータ保存ファイルに記憶された1射出保圧工程分のサンプリングデータの最終アドレスを示す変数であって(図2参照)、その大小は該1射出保圧工程の所要時間、即ち、サンプリングの実行回数によって左右される。なお、最終アドレスnの値は、現在値記憶ファイルのデータをサンプリングデータ保存ファイルに転送する際にRAM13に自動的に書き込まれる。
【0034】
次いで、CPU17は、軸選択状態記憶フラグFの値を判別する(ステップA4)。そして、グラフ表示の基準となる横軸としてサンプリングの経過時間が選択されていれば、該横軸上のi・tの位置(但し、tはサンプリング周期)にカーソルを移動表示し(ステップA5)、また、横軸としてスクリュー位置が選択されていれば、該横軸上のSiの位置、即ち、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに記憶されたスクリュー位置Siの位置にカーソルを移動表示する(ステップA6)。なお、横軸としてスクリュー位置が選択されていた場合、スクリュー2に関する機械原点が射出シリンダ1の先端に定められているので、指標iの値をインクリメントする毎にサンプリングデータ保存ファイルにおけるSiの値は減少するが(経過時間と共にスクリューが前進するため)、スクリュー位置を基準とするグラフでは横軸の左端点がスクリューバック位置、即ち、射出開始位置として規定されるので、iの値をインクリメントする毎にカーソルはやはりグラフ上で左から右に移動する。
【0035】
カーソルを移動させたCPU17は、アドレス検索指標iの現在値に基づき、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに対応する各変量データ、即ち、射出開始後の経過時間i・t,射出保圧圧力Pi,スクリュー位置Si,射出速度Viの各値をディスプレイ画面の数値データ表示領域Bに表示し(ステップA7)、再びステップS13の処理へと移行してステップS13〜ステップS22の判別処理によりオペレータのキー操作を待機する。よって、オペレータがこのままカーソル右移動キーを操作し続ければ、カーソルは横軸に沿って左から右へと連続的に移動し、また、数値データ表示領域Bにはカーソル現在位置に対応する各変量の値が逐次更新表示されることになる。ステップA3の処理でiの値をnに再設定するようにした場合には、i・nの位置までカーソルが移動した段階でカーソルの右移動が停止するが、ステップA3の処理でiの値を0に初期化するようにすれば、i・nの位置まで移動したカーソルは経過時間0の位置に再び自動復帰し、そのまま右方向に移動するようになる。
【0036】
オペレータはグラフを見ながら所望位置にカーソルを移動させた後、カーソル右移動キーの操作をやめてカーソルの移動を停止させ、カーソル現在位置に対応する各種変量データの値を数値データ表示領域Bから読み取る。また、数値データ表示領域Bに表示される経過時間i・t,射出保圧圧力Pi,スクリュー位置Si,射出速度Viのいずれかを変量データ検索の鍵とし、所望する値、例えば、変量データを抽出したいスクリュー位置等が表示された段階で、これに対応する他の変量データの値を読み取るようにしてもよい。つまり、経過時間,射出保圧圧力,スクリュー位置,射出速度の内いずれか一つの変量が既知であれば、カーソル移動キーの操作だけでも、これに対応する他の変量の全てを容易に検索することができる。
【0037】
一方、カーソル左移動キーが操作された場合には、CPU17はステップS14の判別処理でこの操作を検出し、図8に示すSUB Bの処理でカーソルを左方向に移動させ、カーソル現在位置に対応する各種変量データの値を数値データ表示領域Bに表示するための処理を実行する(ステップS24)。カーソルを左に移動させるためのSUB Bの処理は、アドレス検索指標iの値をディクリメントする点(ステップB1)、および、該指標iの最小値を0に制限する点(ステップB2〜ステップB3)を除いてSUB Aの処理と同一であるから、詳細な説明は省略する。
【0038】
また、グラフ上の位置を指定するものとして、最大射出圧力を項目で指定するピーク圧キーが操作された場合、ステップS15の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、最大射出圧力を検索し、これに対応する各種変量データを数値表示するために図9に示すSUB Cの処理を実行する(ステップS25)。
【0039】
SUB Cの処理に移行したCPU17は、まず、アドレス検索指標iおよびアドレス記憶レジスタkの値を0に初期化し(ステップC1)、サンプリングデータ保存ファイルの第1アドレスに記憶された射出圧力の値P1を最大射出圧力記憶レジスタPmax.に初期値として設定し(ステップC2)、アドレス検索指標iの値がサンプリングデータ保存ファイルにおける記憶済みレコードの最終アドレスnの値に達しているか否かを判別する(ステップC3)。指標iの値がnの値に達していなければ、CPU17は、指標iの値をインクリメントし(ステップC4)、規制状態記憶フラグFsがセットされているか否かを判別する(ステップC5)。既に説明したように、規制状態記憶フラグFsは、最大射出圧力の検索領域を射出工程にのみ限定するか、または、射出工程および保圧工程の全体を検索対象とするかを決めるためのフラグである。
【0040】
そこで、最大射出圧力の検索領域を射出工程にのみ限定する場合、CPU17は、まず、射出工程から保圧工程への移行条件が射出圧力で設定されているかスクリュー位置で設定されているかを判別する(ステップC6)。射出工程から保圧工程への移行条件が射出圧力で設定されている場合、実射出圧力が射出保圧切替圧力の設定値に達した時点で射出工程が自動的に終了するので、射出工程における最大射出圧力は射出保圧切替圧力の設定値(既知の値)と同値になり、検索領域を射出工程に限定して最大射出圧力を検索することには意味がなくなる。よって、この場合、CPU17は規制状態記憶フラグFsの状態には関わりなく、規制が設定されていない場合と同様、射出工程および保圧工程の全体を検索対象として最大射出圧力を検索する。
【0041】
また、最大射出圧力の検索領域が射出工程にのみ限定されており、かつ、射出工程から保圧工程への移行条件がスクリュー位置で設定されている場合には、CPU17は、指標iの値に基づいてサンプリングデータ保存ファイルのアドレスiからスクリュー位置Siの値を読み込み(ステップC7)、スクリュー位置Siの値が不揮発性メモリ24に成形条件として設定された射出保圧切替位置Svpよりも大きいか否か、つまり、スクリュー位置Siが射出工程として規定されたスクリュー位置の範囲に含まれているか否かを判別する(ステップC8)。そして、スクリュー位置Siが射出工程に属するものであれば、CPU17は、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiから射出圧力Piの値を読み込み(ステップC9)、該圧力Piの値が最大射出圧力記憶レジスタPmax.の現在値よりも大きいか否かを判別し(ステップC10)、PiがPmax.よりも大きければ、最大射出圧力記憶レジスタPmax.にPiの値を更新設定して指標iの現在値をアドレス記憶レジスタkに保存し(ステップC11〜ステップC12)、また、射出圧力PiがPmax.の値を越えていなければ、レジスタPmax.およびkの値をそのまま保持する。
【0042】
以下、CPU17は、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiから読み込まれたスクリュー位置Siの値が射出保圧切替位置Svpを下回るまで(最大射出圧力の検索領域が射出工程にのみ限定されており、かつ、射出工程から保圧工程への移行条件がスクリュー位置で設定されている場合)、もしくは、指標iの値が最終アドレスnの値に達するまで(最大射出圧力の検索領域が限定されていない場合、および、射出工程から保圧工程への移行条件が射出圧力で設定されている場合)の間、前記と同様の処理を繰り返し実行し、サンプリングデータ保存ファイル中で最大の射出圧力を記憶したアドレスの値iを検出し、このアドレスの値をアドレス記憶レジスタkに保存する。
【0043】
次いで、CPU17はアドレス検索指標iにアドレス記憶レジスタkの値を更新設定し(ステップC13)、ステップA4〜ステップA7に示す処理と同等の処理により、横軸としてサンプリングの経過時間が選択されている場合には該横軸上のi・tの位置にカーソルを移動表示し、また、横軸としてスクリュー位置が選択されている場合には、該横軸上のSiの位置にカーソルを移動表示して、最大射出圧力に対応するグラフ上の位置を示し、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに対応する各変量データ、即ち、最大射出圧力に対応する射出開始後の経過時間i・t,最大射出圧力Pi,この時のスクリュー位置Si,射出速度Viの各値をディスプレイ画面の数値データ表示領域Bに表示する(ステップC14〜ステップC17)。そして、CPU17は再びステップS13の処理へと移行してステップS13〜ステップS22の判別処理によりオペレータのキー操作を待機する。なお、この状態でカーソル左移動キーまたはカーソル右移動キーを操作すれば、カーソルは最大射出圧力に対応するグラフ上の位置を初期位置として左右に移動するので、必要に応じ、最大射出圧力の近傍における各種変量データの値を知ることができる。
【0044】
また、グラフ上の位置を指定するものとして最小クッション量を項目で指定するクッションキーが操作された場合、ステップS16の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、最小クッション量を検索し、これに対応する各種変量データを数値表示するために図10に示すSUB Dの処理を実行する(ステップS26)。最小クッション量に対応するグラフ上の位置およびこれに対応する各種変量データを数値表示するためのSUB Dの処理は、検索領域が限定されない点、検索対象の種別が異なる点、および、サンプリングデータ保存ファイルからの検索対象が最小値となる点を除き前述のSUB Cの処理と同様であるから、詳細な説明は省略する。また、前記と同様にカーソル左移動キーまたはカーソル右移動キーを操作することにより最小クッション量の近傍における各種変量データの値を知ることができる。
【0045】
また、グラフ上の位置を指定するものとして射出保圧切替位置を項目で指定するVP位置キーが操作された場合、ステップS17の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、射出保圧切替位置にカーソルを表示し、これに対応する各種変量データを数値表示するために図11に示すSUB Eの処理を実行する(ステップS27)。
【0046】
SUB Eの処理に移行したCPU17は、まず、射出工程から保圧工程への移行条件が射出圧力で設定されているかスクリュー位置で設定されているかを判別する(ステップE1)。射出圧力が設定されている場合には後述するステップ28のSUB Fの処理を行う。また、射出工程から保圧工程への移行条件がスクリュー位置で設定されていれば、CPU17は、アドレス検索指標iの値を0に初期化した後(ステップE2)、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに記憶されたスクリュー位置Siの値を読み込み(ステップE3)、スクリュー位置Siの値が不揮発性メモリ24に成形条件として設定された射出保圧切替位置Svpよりも大きいか否かを判別する(ステップE4)。スクリュー位置Siが射出保圧切替位置Svpよりも大きければ、CPU17は、アドレス検索指標iの値が記憶済みレコードの最終アドレスnの値に達しているか否かを判別し(ステップE5)、達していなければ、アドレス検索指標iの値を順次インクリメントし(ステップE6)、以下、スクリュー位置Siの値が射出保圧切替位置Svpよりも小さくなるアドレスiの値が検出されるか、もしくは、指標iの値が最終アドレスnに達するまでの間、前記と同様の処理を繰り返し実行する。
【0047】
そして、指標iの値が最終アドレスnに達する前にスクリュー位置Siの値が射出保圧切替位置Svpよりも小さくなるアドレスiの値が検出された場合、即ち、ステップE4の判別結果が偽となった場合には、CPU17は、ステップA4〜ステップA7に示す処理と同等の処理により、横軸としてサンプリングの経過時間が選択されている場合には横軸上のi・tの位置にカーソルを移動表示し、また、横軸としてスクリュー位置が選択されている場合には横軸上のSiの位置にカーソルを移動表示して、射出保圧切替位置Svp(=Si)に対応するグラフ上の位置を示し、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに対応する各変量データ、即ち、射出保圧切替位置Svpに対応する射出開始後の経過時間i・t,この時の射出圧力Pi,射出保圧切替位置Si,射出速度Viの各値をディスプレイ画面の数値データ表示領域Bに表示する(ステップE8〜ステップE11)。
【0048】
また、指標iの値が最終アドレスnに達してもスクリュー位置Siの値が射出保圧切替位置Svpよりも小さくなるアドレスiの値が検出されない場合、即ち、ステップE5の判別結果が偽となった場合には、CPU17は、サンプリングデータ保存ファイルに記憶された射出保圧工程では計量異常等の障害によりスクリュー2が射出保圧切替位置Svpにまで前進していないものと判断し、“射出保圧切替位置までスクリューが前進していません”等の異常メッセージを表示する(ステップE7)。そして、CPU17は再びステップS13の処理へと移行してステップS13〜ステップS22の判別処理によりオペレータのキー操作を待機することとなる。この時、カーソル左移動キーまたはカーソル右移動キーを操作すれば、前記と同様、射出保圧切替位置の近傍における各種変量データの値を知ることができる。
【0049】
また、グラフ上の位置を指定するものとして射出保圧切替圧力を項目で指定するVP圧力キーが操作された場合、ステップS18の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、射出保圧切替位置にカーソルを表示し、これに対応する各種変量データを数値表示するために図12に示すSUB Fの処理を実行する(ステップS28)。SUB Fの処理は、射出工程から保圧工程への移行条件がスクリュー位置で設定されている場合には前述のSUB Eの処理を実行させ、射出圧力で設定されている場合にはステップF2〜F11の処理を実行して射出保圧切替圧力に対応する各種の変量データを数値表示するものであるが、比較対象および検索対象の種別が異なる点を除けば前述のSUB Eの処理と同様であるから、詳細な説明は省略する。カーソル左移動キーまたはカーソル右移動キーを続けて操作すれば、前記と同様、射出保圧切替圧力の近傍における各種変量データの値を知ることができる。
【0050】
また、グラフ上の位置を指定するものとして、任意のスクリュー位置を数値入力する位置キーが操作されると、ステップS19の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、オペレータがテンキーを操作して数値を入力するまで待機し(ステップS29)、数値入力の完了操作を検出して図13に示すSUB Gの処理を実行する(ステップS30)。
【0051】
SUB Gの処理に移行したCPU17は、レジスタRに入力数値を記憶し(ステップG1)、以下、前述のSUB EおよびSUB Fに示されるような処理と同様の処理を実行して、サンプリングデータ保存ファイルに記憶されたスクリュー位置Siが入力値Rを初めて下回る時点のアドレスiの値を検出し、入力されたスクリュー位置R(=Si)に対応するグラフ上の位置を示し、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに対応する各変量データ、即ち、スクリュー位置Rに対応する射出開始後の経過時間i・t,この時の射出圧力Pi,射出速度Viの各値をディスプレイ画面の数値データ表示領域Bに表示する。また、スクリュー位置Siが入力値Rを下回るアドレスiの値がサンプリングデータ保存ファイルから検出できない場合には、前記と同様、“入力された位置までスクリューが前進していません”等の異常メッセージを表示する。なお、カーソル左移動キーまたはカーソル右移動キーを続けて操作すれば、前記と同様、入力値Rの近傍における各種変量データの値を知ることができる。
【0052】
また、グラフ上の位置を指定するものとして、任意の射出速度を数値入力する速度キーが操作されると、ステップS20の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、オペレータがテンキーを操作して数値を入力するまで待機し(ステップS31)、数値入力の完了操作を検出して図14に示すSUB Hの処理を実行する(ステップS32)。
【0053】
SUB Hの処理に移行したCPU17は、レジスタRに入力数値を記憶し(ステップH1)、アドレス検索指標iを0に初期化する(ステップH2)。次いで、CPU17は、アドレス検索指標iの値が記憶済みレコードの最終アドレスnの値に達しているか否かを判別し(ステップH3)、達していなければ、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiおよびi+1に記憶された射出速度ViとVi+1とを読み込み(ステップH4)、入力値RがViとVi+1との間にあるか否か、即ち、iのサンプリング時点とi+1のサンプリング時点との間に入力値Rに対応する射出速度が存在するか否かを判別する(ステップH5)。そして、入力値RがViとVi+1との間になければ、CPU17は、指標iの値をインクリメントし(ステップH6)、再びステップH3の処理へと移行して、以下、入力値RがViとVi+1との間となるアドレスiの値が検出されるか、もしくは、アドレス検索指標iの値が最終アドレスnに達するまでの間、前記と同様の処理を繰り返し実行する。
【0054】
入力値RがViとVi+1との間となるアドレスiの値が検出された場合、即ち、ステップH5の判別結果が真となった場合には、CPU17は、ステップA4〜ステップA7に示す処理と同等の処理により、横軸としてサンプリングの経過時間が選択されている場合には横軸上のi・tの位置にカーソルを表示し、また、横軸としてスクリュー位置が選択されている場合には横軸上のSiの位置にカーソルを表示して、今回の処理で検出された射出速度Rに対応するグラフ上の位置を示し、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに対応する各変量データ、即ち、射出速度Rに対応する射出開始後の経過時間i・t,この時の射出圧力Pi,スクリュー位置Siの各値をディスプレイ画面の数値データ表示領域Bに表示する(ステップH7〜ステップH10)。
【0055】
次いで、CPU17はオペレータによる検索終了キーもしくはファンクションキーF12(以下、次候補キーという)の操作を待つ待機状態に入る(ステップH11〜ステップH12)。なお、検索終了キーは、前述したように、検索モードの処理を終了させて通常のサンプリングおよびグラフ表示のモードに復帰するためのファンクションキーであるが、SUB Hのルーチン内ではその機能が再定義され、次候補の検索を終了させるための検索終了キーとして作用する。
【0056】
ここで、オペレータが次候補キーを操作すると、CPU17はディスプレイ画面における表示領域Cに“次候補実行中”のメッセージを表示し(ステップH13)、ステップH6の処理へと移行してアドレス検索指標iの値をインクリメントする。CPU17は、以下、入力値RがViとVi+1との間となるアドレスiの値が再び検出されるか、もしくは、アドレス検索指標iの値が最終アドレスnに達するまでの間、前記と同様の処理を繰り返し実行する。そして、入力値RがViとVi+1との間となるアドレスiの値が再び検出された場合には、前記と同様にステップH7〜ステップH10の処理を実行し、新たに検出されたアドレスiの値に基づいて入力値Rに対応する位置にカーソルを移動させ、各変量データの値を数値表示し、再び、次候補キーもしくは次候補検索終了のための検索終了キーの操作を待つ待機状態に入る。従って、同一の射出保圧工程において射出速度がRとなるサンプリング周期が多数存在する場合であっても、オペレータはスクリュー位置または経過時間毎に、その全てを検出することが可能である。
【0057】
次候補キーの操作により、射出速度がレジスタRに記憶する入力値となる全てのサンプリングデータの検索および表示処理が終了してアドレス検索指標iの値が最終アドレスnに達した場合、もしくは、入力値Rに対応する射出速度を有するサンプリングデータが記憶されておらず最初の検索処理でアドレス検索指標iの値が最終アドレスnまで自動的にインクリメントされた場合には、CPU17は、ディスプレイ画面における表示領域Cに“該当なし”のメッセージを表示して(ステップH14)、再び、次候補検索終了のための検索終了キーもしくは次候補キーの操作を待つ待機状態に入る。そして、次候補検索終了のためにオペレータが検索終了キーを操作すると、CPU17はステップH11の判別処理でこの操作を検出し、“次候補実行中”や“該当なし”のメッセージを消去して(ステップH15)、再びステップS13の処理へと移行し、ステップS13〜ステップS22の判別処理によりオペレータのキー操作を待機する。なお、ステップH14の後にアドレスiを「0」にセットし循環して検索するようにしてもよい。
【0058】
また、グラフ上の位置を指定するものとして任意の射出圧力を数値入力する圧力キーが操作されると、ステップS21の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、オペレータがテンキーを操作して数値を入力するまで待機し(ステップS33)、数値入力の完了操作を検出して図15に示すSUB Jの処理を実行する(ステップS34)。射出圧力を数値入力することによりグラフ上の位置を指定してこれに対応する各種変量データを数値表示するためのSUB Jの処理は、検索対象の種別が相違する点を除き前述のSUB Hの処理と同様であるから、詳細な説明は省略する。前記と同様、SUB Hのルーチン内において次候補キーを操作することにより、オペレータは、射出圧力が入力値Rとなるスクリュー位置毎または経過時間毎に、各種の変量データの全てを検出することが可能である。
【0059】
そして、カーソルによる位置指定や項目による位置指定または任意の数値データ入力による位置指定操作によりディスプレイ画面上のグラフから所望する数値データを抽出したオペレータが検索終了キーを操作して検索モードの終了を宣言すると、CPU17はステップS22の判別処理でこの操作を検出し、検索の方法を選択するためのキー操作を待つ待機状態を抜けて再びステップS4の判別処理へと移行し、以下、画面切替キーの操作によりモニタ処理が中止されるか、または、再び検索開始キーが操作されて検索モードの開始が宣言されるまでの間、既に説明したステップS12の処理により、サンプリングおよびグラフ表示に関する処理を従来と同様にして繰り返し実行する。
【0060】
なお、上述の実施例では各サンプリング時iに対応する射出速度Viの値をサンプリングの段階で求めるようにしているが、サンプリングの段階ではViの値を求めず、また、記憶もせず(よって、現在値記憶ファイルにおける射出速度Viの項は不要である)、変量データを抽出すべき射出保圧工程が確定して検索処理のモードが開始された段階、即ち、ステップS9の処理において、サンプリングデータ保存ファイルからスクリュー位置Siの値を順次読み込み、Vi=(Si −Si−1 )/t,Vi=(Si+1 −Si )/t,Vi=(Si+1 −Si−1 )/(2・t)等の演算処理により各サンプリング時点iに対応する射出速度Viの値を求め、サンプリングデータ保存ファイルに書き込むようにしてもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明のモニタ装置によれば、項目を入力することによりグラフ上の位置を求めて自動的にカーソルをその位置に表示するため、最大射出圧力、最小クッション量等のように未知の変量に対応する各種変量データのグラフ上の位置を簡単に確認することができる。さらに、この選択された変量の数値データを簡単に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施例のモニタ装置のディスプレイ画面の表示例を示す図である。
【図2】同実施例のモニタ装置におけるファイル手段の構成を概念的に示す図である。
【図3】同実施例のモニタ装置および該モニタ装置を取り付けた射出成形機の要部を示すブロック図である。
【図4】同実施例のモニタ装置によるモニタ表示処理の概略を示すフローチャートである。
【図5】モニタ表示処理の概略を示すフローチャートの続きである。
【図6】モニタ表示処理の概略を示すフローチャートの続きである。
【図7】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図8】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図9】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図10】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図11】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図12】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図13】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図14】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図15】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 射出シリンダ
2 スクリュー
4 圧力検出器
11 A/D変換器
12 ROM
13 RAM
22 バス
24 不揮発性メモリ
28 CRT表示回路
29 ディスプレイ付手動データ入力装置
【産業上の利用分野】
本発明は、射出成形機のモニタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出保圧工程において変化する変量、例えば、スクリュー位置,射出保圧圧力,射出速度等の値を所定周期毎に検出し、これら変量の推移を時間またはスクリュー位置に対応させてディスプレイ画面上にグラフ表示するようにした射出成形機のモニタ装置が特開平2−147315号等として既に公知であり、また、直前の1射出保圧工程で検出された最大射出圧力,最小クッション量,射出保圧切替位置もしくは射出保圧切替圧力等の値を他の変量と独立させて単独で数値表示するようにしたモニタ装置も知られている。
【0003】
前記従来技術では、スクリュー位置,射出保圧圧力,射出速度等の変化に関する定性的な特性や、最大射出圧力,最小クッション量,射出保圧切替位置もしくは射出保圧切替圧力等の要所々々における数値データしか得ることができない。そこで、このようにして得られた比較的少ない定量的データから基準圧力波形を再現するための手段として、スプライン曲線を生成する演算処理を用いて基準圧力波形を再現する方式も提案されているが、このような近似処理で得られるデータが良品成形時の基準圧力波形と一致するといった保証は必ずしもなく、また、成形品によっては最大射出圧力,最小クッション量,射出保圧切替位置等の他にも成形品の出来不出来に大きな影響を与える条件があるので、常に適確な条件設定を行うということは困難であった。さらに、最近では、良品成形時における射出保圧圧力の変化特性等を正確に再現して適確な射出成形作業を行わせるべく、良品成形時の基準圧力波形のデータを射出成形機に設定してフィードバック制御を行うようにした射出成形機が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術の不都合を解消し、必要とされる部位におけるスクリュー位置,射出保圧圧力,射出速度等のサンプリング情報をより詳細に取り出すことができ、射出保圧工程に関する成形条件の設定をより適確に行うことのできる射出成形機のモニタ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による射出成形機のモニタ装置は、射出保圧工程において変化する変量を所定周期毎に検出して記憶するサンプリング手段と、該サンプリング手段により取得された前記変量の推移をディスプレイ画面にグラフ表示するグラフ表示手段とを備えた射出成形機のモニタ装置において、前記変量には、少なくともスクリュー位置又は射出保圧圧力を含み、最小クッション量、射出保圧切替位置、最大射出圧力、射出保圧切替圧力等の項目を選択する手段と、選択項目に対応するグラフ上の対応位置を検索する対応位置検索手段と、該対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置にカーソルを表示する表示制御手段とを備えるものである。
【0006】
また、前記グラフ表示手段はスクリュー位置に対応して他の変量の推移をグラフ表示するようにした。
【0007】
さらに、前記変量に射出速度を含み、射出速度もグラフ表示するようにした。
【0008】
また、前記表示制御手段は、前記対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置に対応する前記変量の値を表示する手段を備えるようにした。
【0009】
【作用】
サンプリング手段は、射出保圧工程において変化する各種の変量の値を所定周期毎に検出すると共に、これらの変量をサンプリングの経過時間と対応させて記憶する。また、グラフ表示手段は、サンプリング手段により取得された変量の推移をサンプリングの経過時間もしくは一変量であるスクリュー位置の変化に対応させてディスプレイ画面上にグラフ表示する。
【0010】
最小クッション量、射出保圧切替位置、最大射出圧力、射出保圧切替圧力等の項目を選択すると、対応位置検索手段が選択項目に対応するグラフ上の対応位置を検索し、表示制御手段は、該対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置にカーソルを表示する。
【0011】
表示制御手段は、前記対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置に対応する前記変量の値をディスプレイ画面上に可視表示する。
【0012】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図3は一実施例の射出成形機の要部を示すブロック図で、符号1は射出成形機の射出シリンダ、符号2はスクリューである。スクリュー2は、プッシャープレート8のボールナット部に螺合したリードネジ5やリードネジ5と一体のプーリ6に巻回された動力伝達ベルト7等を介して射出用サーボモータM1により射出軸方向に駆動され、スクリュー2の基部とプッシャープレート8との間に介装された圧力検出器4によりスクリュー2の軸方向に作用する樹脂圧力が検出されるようになっている。また、射出用サーボモータM1には、スクリュー2の現在位置を検出するパルスコーダP1が装着されている。
【0013】
射出成形機のモニタ装置を兼ねる制御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNC用CPU25,プログラマブルマシンコントローラ用のマイクロプロセッサであるPMC用CPU18,サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU20および射出保圧圧力等のサンプリング処理を行うための圧力モニタ用CPU17を有し、バス22を介して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0014】
PMC用CPU18には射出成形機のシーケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶したROM14および演算データの一時記憶等に用いられるRAM15が接続されている。一方、CNC用CPU25には射出成形機を全体的に制御するプログラム等を記憶したROM26および演算データの一時記憶等に用いられるRAM27が接続されている。また、サーボCPU20および圧力モニタ用CPU17の各々には、サーボ制御専用の制御プログラムを格納したROM21やデータの一時記憶に用いられるRAM19、および、成形データのサンプリング処理等に関する制御プログラムを格納したROM12やデータの一時記憶に用いられるRAM13が接続されている。更に、サーボCPU20には、該CPU20からの指令に基いて型締め用,スクリュー回転用,エジェクタ用(図示せず)および射出用等の各軸のサーボモータを駆動するサーボアンプ16が接続され、射出用サーボモータM1に配備したパルスコーダP1からの出力はサーボCPU20に帰還されて、サーボCPU20によりパルスコーダP1からのフィードバックパルスに基いて算出されたスクリュー2の現在位置がメモリ20の現在位置記憶レジスタに記憶される。
【0015】
不揮発性メモリ24は射出成形作業に関する成形条件と各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する成形データ保存用のメモリである。
【0016】
圧力モニタ用CPU17は射出保圧工程毎にサンプリング処理を繰り返し実行し、所定のサンプリング周期毎に圧力検出器4からA/D変換器11を介してスクリュー2に作用する射出保圧圧力を検出すると共に、メモリ19の現在位置記憶レジスタからスクリュー2の現在位置を読み、更に、前周期のサンプリング時におけるスクリュー位置と今周期のサンプリング時におけるスクリュー位置とに基いて現在の射出速度を求め、射出保圧圧力の現在値,スクリュー2の現在位置,射出速度の現在値の各変量をサンプリング周期に対応させて1射出保圧工程毎RAM13に更新記憶するようになっている。
【0017】
サンプリング手段の一部を構成するRAM13は、射出保圧圧力,スクリュー位置,射出速度の現在値をサンプリング周期に同期して時系列で書き込むための現在値記憶ファイルと、直前の1射出保圧工程で検出されたサンプリングデータを保存するためのサンプリングデータ保存ファイルとを有し(共に図2を参照)、一射出保圧工程の完了毎に今までデータを書き込んできた現在値記憶ファイルに対しサンプリングデータ保存ファイルの指標を付し、その時まで、サンプリングデータ保存ファイルの指標が付されたファイルの指標を現在値記憶ファイルの指標に変更し、次の射出保圧工程のサンプリングデータをこの現在値記憶ファイルの指標が付されたファイルに書き込むようにする。すなわち、射出保圧工程毎、サンプリングデータは2つのファイルに交互に書き込まれることになる。
【0018】
インターフェイス23は射出成形機の各部に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を受信したり射出成形機の周辺機器等に各種の指令を伝達したりするための入出力インターフェイスである。
【0019】
そして、CNC用CPU25がROM26の制御プログラムに基づいて各軸のサーボモータに対してパルス分配を行い、サーボCPU20は各軸に対してパルス分配された移動指令とパルスコーダP1等の検出器で検出された位置のフィードバック信号および速度のフィードバック信号に基づいて、従来と同様に位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサーボ処理を実行する。また、射出保圧工程を圧力フィードバック制御モードにしたときには、不揮発性メモリ24の設定メモリ部に成形条件として記憶された基準圧力波形に基いてCNC用CPU25が各処理周期毎に圧力指令を出力し、サーボCPU20の側では圧力検出器4で検出される射出保圧圧力が指令樹脂圧力に一致するように圧力フィードバック制御を行う。
【0020】
グラフ表示手段および位置指定手段の一部を構成するディスプレイ付手動データ入力装置29は、表示制御手段の一部を構成するCRT表示回路28を介してバス22に接続され、モニタ表示画面や機能メニューの選択および各種データの入力操作等が行えるようになっており、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けられている。
【0021】
図4〜図6は手動データ入力装置29のファンクションキー操作によりモニタ表示の機能メニューが選択された状態でPMC用CPU18によって実施されるモニタ表示処理の概略を示すフローチャート、また、図7〜図15はモニタ表示処理における主要な処理を詳説するためのフローチャートであり、以下、これらのフローチャートを参照して本実施例におけるモニタ装置の処理動作について説明する。なお、モニタ表示の機能メニューが選択された段階では、条件出しまたは製品を成形するための連続成形作業が既に開始されているものとする。
【0022】
モニタ表示の機能メニューに関するオペレータの選択操作を検出したPMC用CPU18は、まず、手動データ入力装置29におけるファンクションキーの機能割付けを変更し、各ファンクションキーの用途に対応するガイダンスメッセージをディスプレイ画面の表示領域Dに表示し(図1参照)、ガイダンスメッセージ等を除く全画面の表示を一旦クリアしてから、グラフ表示の基準となる横軸の種別を規定する軸選択状態記憶フラグFがセットされているか否かを判別する(ステップS1)。そして、フラグFがセットされていなければ、サンプリングの経過時間を横軸に、また、射出保圧圧力,射出速度,スクリュー位置を縦軸に取ったグラフの表示枠をディスプレイ画面の表示領域Aに表示する一方(ステップS2,図1の例)、フラグFがセットされていれば、スクリュー位置を横軸に、また、射出保圧圧力,射出速度を縦軸に取った表示枠を表示領域Aに表示する(ステップS3)。
【0023】
次いで、PMC用CPU18はオペレータにより他の機能メニューに関する選択操作が行われているか否か、即ち、ファンクションキーF1(以下、画面切替キーという)の操作に対応して出力されるモニタ終了指令が入力されているか否かを判別するが(ステップS4)、他の選択操作が行われていなければ、更に、最大射出圧力の検索領域を規制するファンクションキーF13(以下、規制キーという)が操作されているか否かを判別する(ステップS5)。この規制キーは、項目選択による位置指定操作によって最大射出圧力を検索する際に、その検索領域を射出工程にのみ限定するか、または、射出工程および保圧工程の全体を検索対象とするかを決めるためのキーであり、該規制キーが操作される度に規制状態記憶フラグFsの値がセット状態からリセット状態に、または、リセット状態からセット状態に反転され(ステップS6)、ディスプレイ画面における表示領域Cのガイダンス表示が“規制中”または無表示の状態に変化する(ステップS7)。
【0024】
次いで、CPU18は、ファンクションキーF2(以下、検索開始キーという)が操作されているか否かを判別し(ステップS8)、検索開始キーが操作されていなければ、更に、ファンクションキーF4(以下、横軸切替キーという)が操作されているか否かを判別する(ステップS10)。横軸切替キーが操作された場合、CPU18は、軸選択状態記憶フラグFを反転し(ステップS11)、該フラグFの状態に応じて再び前記と同様の処理を繰り返し実行し、グラフの表示枠を再表示する(ステップS1〜ステップS3)。
【0025】
また、横軸切替キーが操作されていなければ、以下、他の機能メニューに関する選択操作が行われるか、規制キーが操作されるか、または、検索開始キーが操作されるまでの間、CPU18は、ステップS4,ステップS5,ステップS8,ステップS10の判別処理とステップS12に示す通常処理を繰り返し実行する。
【0026】
ステップS12に示す通常処理は各種変量の検出およびグラフ表示に関する従来と同様の処理である。すなわち、圧力モニタ用CPU17は処理ループ毎にサンプリング処理を繰り返し実行して射出保圧圧力の現在値,スクリュー2の現在位置,射出速度の現在値の各変量をサンプリング周期に対応させて1射出保圧工程分だけRAM13の現在値記憶ファイルに書込んでいる。また、1つ前の射出保圧工程のデータはデータ保存ファイルの指標が付されたファイルに記憶されている。PMC用CPU18はサンプリングデータ保存ファイルのデータを読み、軸選択状態記憶フラグFのリセットまたはセット状態に対応してサンプリングの経過時間もしくはスクリュー現在位置を横軸とし、射出保圧圧力の現在値,スクリュー位置の現在値(スクリュー位置を横軸に選択した場合には横軸と一致),射出速度の現在値を各軸の値に対応させてディスプレイ画面上に順次プロットしグラフ表示を実施する。グラフ表示の方法に関しては、前回以前の射出保圧工程で作成されたグラフの表示状態をそのまま保持して新たな射出保圧工程のグラフを重ね書きする場合と、一射出保圧工程の完了毎にグラフの表示を消去して当該一射出保圧工程のグラフのみを表示する場合とがあるが、これらの処理に関しては射出成形機の高速モニタ装置に関する通常機能として既に公知であるから特に説明しない。
【0027】
なお、ステップS4,ステップS5,ステップS8,ステップS10,ステップS12からなるループ処理を繰り返し実行する間にも規制キーおよび横軸切替キーの操作は可能であり、グラフの表示中に横軸切替キーが操作された場合には、ガイダンスメッセージ等を除く全画面の表示、即ち、グラフの表示が一旦クリアされ、軸選択状態記憶フラグFの状態に対応して新たなグラフ表示が開始される。
【0028】
そして、このようなモニタ表示が繰り返し実行される間に、グラフから数値データを取得する必要が生じた場合、例えば、条件出しにより確定した成形条件の詳細な数値データを抽出して保存したり、また、条件出し完了後の連続運転時において射出成形機の動作状態をチェックしたりするような場合には、オペレータは、まず、検索開始キーを操作してPMC用CPU18に検索モードの処理を開始させることとなる。
【0029】
ステップS8の判別処理により検索開始キーの操作を検出したCPU18は、現時点でRAM13のサンプリングデータ保存ファイルに保存され、かつ表示されている一射出保圧工程分のサンプリングデータの値をそのまま保持し、表示を固定する(ステップS9)。
【0030】
そして、検索モードの処理を開始したCPU17は、カーソル位置を移動させて位置指定を行うことによりグラフ上の任意位置を指定するためのファンクションキーF14,F15(以下、カーソル右移動キー,カーソル左移動キーという)、最大射出圧力を項目で指定してグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF5(以下、ピーク圧キーという)、最小クッション量を項目で指定してグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF6(以下、クッションキーという)、射出保圧切替位置を項目で指定してグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF7(以下、VP位置キーという)、射出保圧切替圧力を項目で指定してグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF8(以下、VP圧力キーという)、任意のスクリュー位置を数値入力することによりグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF9(以下、位置キーという)、任意の射出速度を数値入力することによりグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF10(以下、速度キーという)、任意の射出保圧圧力を数値入力することによりグラフ上の位置を指定するためのファンクションキーF11(以下、圧力キーという)、または、数値データの抽出に関する検索モードの処理を一旦終了させて通常のサンプリングおよびグラフ表示のモードに復帰するためのファンクションキーF3(以下、検索終了キーという)の内いずれかのキーが操作されるまでの間、ステップS13〜ステップS22の判別処理を繰り返し実行し、オペレータによるキー操作を待機する。
【0031】
まず、グラフ上の任意位置をカーソルで指定して位置指定操作を行うためのカーソル右移動キーが操作された場合、ステップS13の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、グラフ表示の基準となる横軸に沿ってカーソルを右方向に移動させ、カーソル現在位置に対応する変量データを数値表示するために、図7に示すSUB Aの処理を実行する(ステップS23)。
【0032】
SUB Aの処理に移行したCPU17は、まず、アドレス検索指標iの値をインクリメントし(ステップA1)、該指標iの値がサンプリングデータ保存ファイルにおける記憶済みレコードの最終アドレスnを越えているか否かを判別し(ステップA2)、指標iの値がnの値を越えていれば該指標iにnの値を再設定する一方(ステップA3)、iの値がnの値を越えていなければ該指標iの値は変えない。
【0033】
なお、指標iの初期値は0であるが、既にSUB A〜SUB Jの処理が1回以上実行されていれば、直前に実行された処理でアドレス検索指標iに設定されていた値がステップA1における指標iの初期値となる。また、最終アドレスnはサンプリングデータ保存ファイルに記憶された1射出保圧工程分のサンプリングデータの最終アドレスを示す変数であって(図2参照)、その大小は該1射出保圧工程の所要時間、即ち、サンプリングの実行回数によって左右される。なお、最終アドレスnの値は、現在値記憶ファイルのデータをサンプリングデータ保存ファイルに転送する際にRAM13に自動的に書き込まれる。
【0034】
次いで、CPU17は、軸選択状態記憶フラグFの値を判別する(ステップA4)。そして、グラフ表示の基準となる横軸としてサンプリングの経過時間が選択されていれば、該横軸上のi・tの位置(但し、tはサンプリング周期)にカーソルを移動表示し(ステップA5)、また、横軸としてスクリュー位置が選択されていれば、該横軸上のSiの位置、即ち、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに記憶されたスクリュー位置Siの位置にカーソルを移動表示する(ステップA6)。なお、横軸としてスクリュー位置が選択されていた場合、スクリュー2に関する機械原点が射出シリンダ1の先端に定められているので、指標iの値をインクリメントする毎にサンプリングデータ保存ファイルにおけるSiの値は減少するが(経過時間と共にスクリューが前進するため)、スクリュー位置を基準とするグラフでは横軸の左端点がスクリューバック位置、即ち、射出開始位置として規定されるので、iの値をインクリメントする毎にカーソルはやはりグラフ上で左から右に移動する。
【0035】
カーソルを移動させたCPU17は、アドレス検索指標iの現在値に基づき、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに対応する各変量データ、即ち、射出開始後の経過時間i・t,射出保圧圧力Pi,スクリュー位置Si,射出速度Viの各値をディスプレイ画面の数値データ表示領域Bに表示し(ステップA7)、再びステップS13の処理へと移行してステップS13〜ステップS22の判別処理によりオペレータのキー操作を待機する。よって、オペレータがこのままカーソル右移動キーを操作し続ければ、カーソルは横軸に沿って左から右へと連続的に移動し、また、数値データ表示領域Bにはカーソル現在位置に対応する各変量の値が逐次更新表示されることになる。ステップA3の処理でiの値をnに再設定するようにした場合には、i・nの位置までカーソルが移動した段階でカーソルの右移動が停止するが、ステップA3の処理でiの値を0に初期化するようにすれば、i・nの位置まで移動したカーソルは経過時間0の位置に再び自動復帰し、そのまま右方向に移動するようになる。
【0036】
オペレータはグラフを見ながら所望位置にカーソルを移動させた後、カーソル右移動キーの操作をやめてカーソルの移動を停止させ、カーソル現在位置に対応する各種変量データの値を数値データ表示領域Bから読み取る。また、数値データ表示領域Bに表示される経過時間i・t,射出保圧圧力Pi,スクリュー位置Si,射出速度Viのいずれかを変量データ検索の鍵とし、所望する値、例えば、変量データを抽出したいスクリュー位置等が表示された段階で、これに対応する他の変量データの値を読み取るようにしてもよい。つまり、経過時間,射出保圧圧力,スクリュー位置,射出速度の内いずれか一つの変量が既知であれば、カーソル移動キーの操作だけでも、これに対応する他の変量の全てを容易に検索することができる。
【0037】
一方、カーソル左移動キーが操作された場合には、CPU17はステップS14の判別処理でこの操作を検出し、図8に示すSUB Bの処理でカーソルを左方向に移動させ、カーソル現在位置に対応する各種変量データの値を数値データ表示領域Bに表示するための処理を実行する(ステップS24)。カーソルを左に移動させるためのSUB Bの処理は、アドレス検索指標iの値をディクリメントする点(ステップB1)、および、該指標iの最小値を0に制限する点(ステップB2〜ステップB3)を除いてSUB Aの処理と同一であるから、詳細な説明は省略する。
【0038】
また、グラフ上の位置を指定するものとして、最大射出圧力を項目で指定するピーク圧キーが操作された場合、ステップS15の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、最大射出圧力を検索し、これに対応する各種変量データを数値表示するために図9に示すSUB Cの処理を実行する(ステップS25)。
【0039】
SUB Cの処理に移行したCPU17は、まず、アドレス検索指標iおよびアドレス記憶レジスタkの値を0に初期化し(ステップC1)、サンプリングデータ保存ファイルの第1アドレスに記憶された射出圧力の値P1を最大射出圧力記憶レジスタPmax.に初期値として設定し(ステップC2)、アドレス検索指標iの値がサンプリングデータ保存ファイルにおける記憶済みレコードの最終アドレスnの値に達しているか否かを判別する(ステップC3)。指標iの値がnの値に達していなければ、CPU17は、指標iの値をインクリメントし(ステップC4)、規制状態記憶フラグFsがセットされているか否かを判別する(ステップC5)。既に説明したように、規制状態記憶フラグFsは、最大射出圧力の検索領域を射出工程にのみ限定するか、または、射出工程および保圧工程の全体を検索対象とするかを決めるためのフラグである。
【0040】
そこで、最大射出圧力の検索領域を射出工程にのみ限定する場合、CPU17は、まず、射出工程から保圧工程への移行条件が射出圧力で設定されているかスクリュー位置で設定されているかを判別する(ステップC6)。射出工程から保圧工程への移行条件が射出圧力で設定されている場合、実射出圧力が射出保圧切替圧力の設定値に達した時点で射出工程が自動的に終了するので、射出工程における最大射出圧力は射出保圧切替圧力の設定値(既知の値)と同値になり、検索領域を射出工程に限定して最大射出圧力を検索することには意味がなくなる。よって、この場合、CPU17は規制状態記憶フラグFsの状態には関わりなく、規制が設定されていない場合と同様、射出工程および保圧工程の全体を検索対象として最大射出圧力を検索する。
【0041】
また、最大射出圧力の検索領域が射出工程にのみ限定されており、かつ、射出工程から保圧工程への移行条件がスクリュー位置で設定されている場合には、CPU17は、指標iの値に基づいてサンプリングデータ保存ファイルのアドレスiからスクリュー位置Siの値を読み込み(ステップC7)、スクリュー位置Siの値が不揮発性メモリ24に成形条件として設定された射出保圧切替位置Svpよりも大きいか否か、つまり、スクリュー位置Siが射出工程として規定されたスクリュー位置の範囲に含まれているか否かを判別する(ステップC8)。そして、スクリュー位置Siが射出工程に属するものであれば、CPU17は、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiから射出圧力Piの値を読み込み(ステップC9)、該圧力Piの値が最大射出圧力記憶レジスタPmax.の現在値よりも大きいか否かを判別し(ステップC10)、PiがPmax.よりも大きければ、最大射出圧力記憶レジスタPmax.にPiの値を更新設定して指標iの現在値をアドレス記憶レジスタkに保存し(ステップC11〜ステップC12)、また、射出圧力PiがPmax.の値を越えていなければ、レジスタPmax.およびkの値をそのまま保持する。
【0042】
以下、CPU17は、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiから読み込まれたスクリュー位置Siの値が射出保圧切替位置Svpを下回るまで(最大射出圧力の検索領域が射出工程にのみ限定されており、かつ、射出工程から保圧工程への移行条件がスクリュー位置で設定されている場合)、もしくは、指標iの値が最終アドレスnの値に達するまで(最大射出圧力の検索領域が限定されていない場合、および、射出工程から保圧工程への移行条件が射出圧力で設定されている場合)の間、前記と同様の処理を繰り返し実行し、サンプリングデータ保存ファイル中で最大の射出圧力を記憶したアドレスの値iを検出し、このアドレスの値をアドレス記憶レジスタkに保存する。
【0043】
次いで、CPU17はアドレス検索指標iにアドレス記憶レジスタkの値を更新設定し(ステップC13)、ステップA4〜ステップA7に示す処理と同等の処理により、横軸としてサンプリングの経過時間が選択されている場合には該横軸上のi・tの位置にカーソルを移動表示し、また、横軸としてスクリュー位置が選択されている場合には、該横軸上のSiの位置にカーソルを移動表示して、最大射出圧力に対応するグラフ上の位置を示し、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに対応する各変量データ、即ち、最大射出圧力に対応する射出開始後の経過時間i・t,最大射出圧力Pi,この時のスクリュー位置Si,射出速度Viの各値をディスプレイ画面の数値データ表示領域Bに表示する(ステップC14〜ステップC17)。そして、CPU17は再びステップS13の処理へと移行してステップS13〜ステップS22の判別処理によりオペレータのキー操作を待機する。なお、この状態でカーソル左移動キーまたはカーソル右移動キーを操作すれば、カーソルは最大射出圧力に対応するグラフ上の位置を初期位置として左右に移動するので、必要に応じ、最大射出圧力の近傍における各種変量データの値を知ることができる。
【0044】
また、グラフ上の位置を指定するものとして最小クッション量を項目で指定するクッションキーが操作された場合、ステップS16の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、最小クッション量を検索し、これに対応する各種変量データを数値表示するために図10に示すSUB Dの処理を実行する(ステップS26)。最小クッション量に対応するグラフ上の位置およびこれに対応する各種変量データを数値表示するためのSUB Dの処理は、検索領域が限定されない点、検索対象の種別が異なる点、および、サンプリングデータ保存ファイルからの検索対象が最小値となる点を除き前述のSUB Cの処理と同様であるから、詳細な説明は省略する。また、前記と同様にカーソル左移動キーまたはカーソル右移動キーを操作することにより最小クッション量の近傍における各種変量データの値を知ることができる。
【0045】
また、グラフ上の位置を指定するものとして射出保圧切替位置を項目で指定するVP位置キーが操作された場合、ステップS17の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、射出保圧切替位置にカーソルを表示し、これに対応する各種変量データを数値表示するために図11に示すSUB Eの処理を実行する(ステップS27)。
【0046】
SUB Eの処理に移行したCPU17は、まず、射出工程から保圧工程への移行条件が射出圧力で設定されているかスクリュー位置で設定されているかを判別する(ステップE1)。射出圧力が設定されている場合には後述するステップ28のSUB Fの処理を行う。また、射出工程から保圧工程への移行条件がスクリュー位置で設定されていれば、CPU17は、アドレス検索指標iの値を0に初期化した後(ステップE2)、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに記憶されたスクリュー位置Siの値を読み込み(ステップE3)、スクリュー位置Siの値が不揮発性メモリ24に成形条件として設定された射出保圧切替位置Svpよりも大きいか否かを判別する(ステップE4)。スクリュー位置Siが射出保圧切替位置Svpよりも大きければ、CPU17は、アドレス検索指標iの値が記憶済みレコードの最終アドレスnの値に達しているか否かを判別し(ステップE5)、達していなければ、アドレス検索指標iの値を順次インクリメントし(ステップE6)、以下、スクリュー位置Siの値が射出保圧切替位置Svpよりも小さくなるアドレスiの値が検出されるか、もしくは、指標iの値が最終アドレスnに達するまでの間、前記と同様の処理を繰り返し実行する。
【0047】
そして、指標iの値が最終アドレスnに達する前にスクリュー位置Siの値が射出保圧切替位置Svpよりも小さくなるアドレスiの値が検出された場合、即ち、ステップE4の判別結果が偽となった場合には、CPU17は、ステップA4〜ステップA7に示す処理と同等の処理により、横軸としてサンプリングの経過時間が選択されている場合には横軸上のi・tの位置にカーソルを移動表示し、また、横軸としてスクリュー位置が選択されている場合には横軸上のSiの位置にカーソルを移動表示して、射出保圧切替位置Svp(=Si)に対応するグラフ上の位置を示し、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに対応する各変量データ、即ち、射出保圧切替位置Svpに対応する射出開始後の経過時間i・t,この時の射出圧力Pi,射出保圧切替位置Si,射出速度Viの各値をディスプレイ画面の数値データ表示領域Bに表示する(ステップE8〜ステップE11)。
【0048】
また、指標iの値が最終アドレスnに達してもスクリュー位置Siの値が射出保圧切替位置Svpよりも小さくなるアドレスiの値が検出されない場合、即ち、ステップE5の判別結果が偽となった場合には、CPU17は、サンプリングデータ保存ファイルに記憶された射出保圧工程では計量異常等の障害によりスクリュー2が射出保圧切替位置Svpにまで前進していないものと判断し、“射出保圧切替位置までスクリューが前進していません”等の異常メッセージを表示する(ステップE7)。そして、CPU17は再びステップS13の処理へと移行してステップS13〜ステップS22の判別処理によりオペレータのキー操作を待機することとなる。この時、カーソル左移動キーまたはカーソル右移動キーを操作すれば、前記と同様、射出保圧切替位置の近傍における各種変量データの値を知ることができる。
【0049】
また、グラフ上の位置を指定するものとして射出保圧切替圧力を項目で指定するVP圧力キーが操作された場合、ステップS18の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、射出保圧切替位置にカーソルを表示し、これに対応する各種変量データを数値表示するために図12に示すSUB Fの処理を実行する(ステップS28)。SUB Fの処理は、射出工程から保圧工程への移行条件がスクリュー位置で設定されている場合には前述のSUB Eの処理を実行させ、射出圧力で設定されている場合にはステップF2〜F11の処理を実行して射出保圧切替圧力に対応する各種の変量データを数値表示するものであるが、比較対象および検索対象の種別が異なる点を除けば前述のSUB Eの処理と同様であるから、詳細な説明は省略する。カーソル左移動キーまたはカーソル右移動キーを続けて操作すれば、前記と同様、射出保圧切替圧力の近傍における各種変量データの値を知ることができる。
【0050】
また、グラフ上の位置を指定するものとして、任意のスクリュー位置を数値入力する位置キーが操作されると、ステップS19の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、オペレータがテンキーを操作して数値を入力するまで待機し(ステップS29)、数値入力の完了操作を検出して図13に示すSUB Gの処理を実行する(ステップS30)。
【0051】
SUB Gの処理に移行したCPU17は、レジスタRに入力数値を記憶し(ステップG1)、以下、前述のSUB EおよびSUB Fに示されるような処理と同様の処理を実行して、サンプリングデータ保存ファイルに記憶されたスクリュー位置Siが入力値Rを初めて下回る時点のアドレスiの値を検出し、入力されたスクリュー位置R(=Si)に対応するグラフ上の位置を示し、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに対応する各変量データ、即ち、スクリュー位置Rに対応する射出開始後の経過時間i・t,この時の射出圧力Pi,射出速度Viの各値をディスプレイ画面の数値データ表示領域Bに表示する。また、スクリュー位置Siが入力値Rを下回るアドレスiの値がサンプリングデータ保存ファイルから検出できない場合には、前記と同様、“入力された位置までスクリューが前進していません”等の異常メッセージを表示する。なお、カーソル左移動キーまたはカーソル右移動キーを続けて操作すれば、前記と同様、入力値Rの近傍における各種変量データの値を知ることができる。
【0052】
また、グラフ上の位置を指定するものとして、任意の射出速度を数値入力する速度キーが操作されると、ステップS20の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、オペレータがテンキーを操作して数値を入力するまで待機し(ステップS31)、数値入力の完了操作を検出して図14に示すSUB Hの処理を実行する(ステップS32)。
【0053】
SUB Hの処理に移行したCPU17は、レジスタRに入力数値を記憶し(ステップH1)、アドレス検索指標iを0に初期化する(ステップH2)。次いで、CPU17は、アドレス検索指標iの値が記憶済みレコードの最終アドレスnの値に達しているか否かを判別し(ステップH3)、達していなければ、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiおよびi+1に記憶された射出速度ViとVi+1とを読み込み(ステップH4)、入力値RがViとVi+1との間にあるか否か、即ち、iのサンプリング時点とi+1のサンプリング時点との間に入力値Rに対応する射出速度が存在するか否かを判別する(ステップH5)。そして、入力値RがViとVi+1との間になければ、CPU17は、指標iの値をインクリメントし(ステップH6)、再びステップH3の処理へと移行して、以下、入力値RがViとVi+1との間となるアドレスiの値が検出されるか、もしくは、アドレス検索指標iの値が最終アドレスnに達するまでの間、前記と同様の処理を繰り返し実行する。
【0054】
入力値RがViとVi+1との間となるアドレスiの値が検出された場合、即ち、ステップH5の判別結果が真となった場合には、CPU17は、ステップA4〜ステップA7に示す処理と同等の処理により、横軸としてサンプリングの経過時間が選択されている場合には横軸上のi・tの位置にカーソルを表示し、また、横軸としてスクリュー位置が選択されている場合には横軸上のSiの位置にカーソルを表示して、今回の処理で検出された射出速度Rに対応するグラフ上の位置を示し、サンプリングデータ保存ファイルのアドレスiに対応する各変量データ、即ち、射出速度Rに対応する射出開始後の経過時間i・t,この時の射出圧力Pi,スクリュー位置Siの各値をディスプレイ画面の数値データ表示領域Bに表示する(ステップH7〜ステップH10)。
【0055】
次いで、CPU17はオペレータによる検索終了キーもしくはファンクションキーF12(以下、次候補キーという)の操作を待つ待機状態に入る(ステップH11〜ステップH12)。なお、検索終了キーは、前述したように、検索モードの処理を終了させて通常のサンプリングおよびグラフ表示のモードに復帰するためのファンクションキーであるが、SUB Hのルーチン内ではその機能が再定義され、次候補の検索を終了させるための検索終了キーとして作用する。
【0056】
ここで、オペレータが次候補キーを操作すると、CPU17はディスプレイ画面における表示領域Cに“次候補実行中”のメッセージを表示し(ステップH13)、ステップH6の処理へと移行してアドレス検索指標iの値をインクリメントする。CPU17は、以下、入力値RがViとVi+1との間となるアドレスiの値が再び検出されるか、もしくは、アドレス検索指標iの値が最終アドレスnに達するまでの間、前記と同様の処理を繰り返し実行する。そして、入力値RがViとVi+1との間となるアドレスiの値が再び検出された場合には、前記と同様にステップH7〜ステップH10の処理を実行し、新たに検出されたアドレスiの値に基づいて入力値Rに対応する位置にカーソルを移動させ、各変量データの値を数値表示し、再び、次候補キーもしくは次候補検索終了のための検索終了キーの操作を待つ待機状態に入る。従って、同一の射出保圧工程において射出速度がRとなるサンプリング周期が多数存在する場合であっても、オペレータはスクリュー位置または経過時間毎に、その全てを検出することが可能である。
【0057】
次候補キーの操作により、射出速度がレジスタRに記憶する入力値となる全てのサンプリングデータの検索および表示処理が終了してアドレス検索指標iの値が最終アドレスnに達した場合、もしくは、入力値Rに対応する射出速度を有するサンプリングデータが記憶されておらず最初の検索処理でアドレス検索指標iの値が最終アドレスnまで自動的にインクリメントされた場合には、CPU17は、ディスプレイ画面における表示領域Cに“該当なし”のメッセージを表示して(ステップH14)、再び、次候補検索終了のための検索終了キーもしくは次候補キーの操作を待つ待機状態に入る。そして、次候補検索終了のためにオペレータが検索終了キーを操作すると、CPU17はステップH11の判別処理でこの操作を検出し、“次候補実行中”や“該当なし”のメッセージを消去して(ステップH15)、再びステップS13の処理へと移行し、ステップS13〜ステップS22の判別処理によりオペレータのキー操作を待機する。なお、ステップH14の後にアドレスiを「0」にセットし循環して検索するようにしてもよい。
【0058】
また、グラフ上の位置を指定するものとして任意の射出圧力を数値入力する圧力キーが操作されると、ステップS21の判別処理でこの操作を検出したCPU17は、オペレータがテンキーを操作して数値を入力するまで待機し(ステップS33)、数値入力の完了操作を検出して図15に示すSUB Jの処理を実行する(ステップS34)。射出圧力を数値入力することによりグラフ上の位置を指定してこれに対応する各種変量データを数値表示するためのSUB Jの処理は、検索対象の種別が相違する点を除き前述のSUB Hの処理と同様であるから、詳細な説明は省略する。前記と同様、SUB Hのルーチン内において次候補キーを操作することにより、オペレータは、射出圧力が入力値Rとなるスクリュー位置毎または経過時間毎に、各種の変量データの全てを検出することが可能である。
【0059】
そして、カーソルによる位置指定や項目による位置指定または任意の数値データ入力による位置指定操作によりディスプレイ画面上のグラフから所望する数値データを抽出したオペレータが検索終了キーを操作して検索モードの終了を宣言すると、CPU17はステップS22の判別処理でこの操作を検出し、検索の方法を選択するためのキー操作を待つ待機状態を抜けて再びステップS4の判別処理へと移行し、以下、画面切替キーの操作によりモニタ処理が中止されるか、または、再び検索開始キーが操作されて検索モードの開始が宣言されるまでの間、既に説明したステップS12の処理により、サンプリングおよびグラフ表示に関する処理を従来と同様にして繰り返し実行する。
【0060】
なお、上述の実施例では各サンプリング時iに対応する射出速度Viの値をサンプリングの段階で求めるようにしているが、サンプリングの段階ではViの値を求めず、また、記憶もせず(よって、現在値記憶ファイルにおける射出速度Viの項は不要である)、変量データを抽出すべき射出保圧工程が確定して検索処理のモードが開始された段階、即ち、ステップS9の処理において、サンプリングデータ保存ファイルからスクリュー位置Siの値を順次読み込み、Vi=(Si −Si−1 )/t,Vi=(Si+1 −Si )/t,Vi=(Si+1 −Si−1 )/(2・t)等の演算処理により各サンプリング時点iに対応する射出速度Viの値を求め、サンプリングデータ保存ファイルに書き込むようにしてもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明のモニタ装置によれば、項目を入力することによりグラフ上の位置を求めて自動的にカーソルをその位置に表示するため、最大射出圧力、最小クッション量等のように未知の変量に対応する各種変量データのグラフ上の位置を簡単に確認することができる。さらに、この選択された変量の数値データを簡単に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における一実施例のモニタ装置のディスプレイ画面の表示例を示す図である。
【図2】同実施例のモニタ装置におけるファイル手段の構成を概念的に示す図である。
【図3】同実施例のモニタ装置および該モニタ装置を取り付けた射出成形機の要部を示すブロック図である。
【図4】同実施例のモニタ装置によるモニタ表示処理の概略を示すフローチャートである。
【図5】モニタ表示処理の概略を示すフローチャートの続きである。
【図6】モニタ表示処理の概略を示すフローチャートの続きである。
【図7】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図8】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図9】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図10】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図11】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図12】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図13】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図14】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【図15】モニタ表示処理の一部を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 射出シリンダ
2 スクリュー
4 圧力検出器
11 A/D変換器
12 ROM
13 RAM
22 バス
24 不揮発性メモリ
28 CRT表示回路
29 ディスプレイ付手動データ入力装置
Claims (5)
- 射出保圧工程において変化する少なくともスクリュー位置を含む変量を所定周期毎に検出して記憶するサンプリング手段と、該サンプリング手段により取得された前記変量の推移をディスプレイ画面にグラフ表示するグラフ表示手段とを備えた射出成形機のモニタ装置において、最小クッション量又は/及び射出保圧切替位置の項目を選択する手段と、選択項目に対応するグラフ上の対応位置を検索する対応位置検索手段と、該対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置にカーソルを表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする射出成形機のモニタ装置。
- 射出保圧工程において変化する少なくとも射出保圧圧力を含む変量を所定周期毎に検出して記憶するサンプリング手段と、該サンプリング手段により取得された前記変量の推移をディスプレイ画面にグラフ表示するグラフ表示手段とを備えた射出成形機のモニタ装置において、最大射出圧力又は/及び射出保圧切替圧力の項目を選択する手段と、選択項目に対応するグラフ上の対応位置を検索する対応位置検索手段と、該対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置にカーソルを表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする射出成形機のモニタ装置。
- 前記変量はスクリュー位置を含み、前記グラフ表示手段はスクリュー位置に対応して他の変量の推移をグラフ表示する請求項2に記載の射出成形機のモニタ装置。
- 前記変量に射出速度を含む請求項1乃至3項の内いずれか1項に記載の射出成形機のモニタ装置。
- 前記表示制御手段は、前記対応位置検索手段により特定されたグラフ上の位置に対応する前記変量の値を表示する手段をも有することを特徴とする請求項1乃至4項の内いずれか1項に記載の射出成形機のモニタ装置。
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