JP2785085B2 - 射出成形機の射出異常検出方法及び装置 - Google Patents

射出成形機の射出異常検出方法及び装置

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JP2785085B2 JP4024240A JP2424092A JP2785085B2 JP 2785085 B2 JP2785085 B2 JP 2785085B2 JP 4024240 A JP4024240 A JP 4024240A JP 2424092 A JP2424092 A JP 2424092A JP 2785085 B2 JP2785085 B2 JP 2785085B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形機の射出異常
検出方法、特に、基準圧力波形に基いて射出保圧工程を
圧力で優先制御する射出成形機の射出異常検出方法及び
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来型の射出成形機では、射出保圧工程
を射出工程と保圧工程とに分け、射出工程では速度優先
の制御で、また、保圧工程では圧力優先の制御でスクリ
ューを移動させるのが一般的であり、射出動作の異常は
射出工程での圧力変動等を検出することによって行われ
ていたが、実際の射出成形作業では、射出速度に比べて
射出圧力の適不適が成形品の良否に影響を与えることが
多い。これは、射出速度に多少の変動が生じた場合であ
っても、金型内部に完全に樹脂が充填され、かつ、金型
内部の樹脂に適切な圧力が加えられていれば適切な成形
品を得ることができる一方、射出保圧時の圧力が不用意
に変動するとヒケやバリ等の異常が生じ易いためであ
り、成形品の種類によっては射出保圧の全工程に渡って
圧力優先の制御を行うことが望ましい場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本出願人はこのような
状況を考慮し、射出保圧の全工程に亘って圧力の優先制
御を行うようにした電動式射出成形機を特開昭62−2
18118号公報や特開平3−58821号公報等で既
に提案している。特開平3−58821号公報等で提案
した電動式射出成形機は、CRT/MDI等のデータ入
力装置を介して基準圧力波形(射出開始後の経過時間と
射出保圧圧力との関係を示す波形)を制御装置に設定
し、射出開始後の射出保圧圧力の変化が基準圧力波形と
一致するように実際の射出保圧圧力をフィードバック制
御するものであり、常に、基準圧力波形に沿って射出保
圧圧力が変化するため、安定した成形作業を繰り返し実
行することができる。しかし、圧力の優先制御を行うよ
うにした射出成形機では、計量に多少のバラ付きがあっ
たりスクリュー先端に取り付けられた逆流防止弁に多少
の漏れが生じたような場合、または、射出ノズルに詰ま
りが生じたような場合であっても、樹脂が金型内に充填
されている限りにおいては射出保圧圧力のフィードバッ
ク制御が可能となり、射出工程での圧力変動によって異
常を検出する従来の異常検出方法では前述の如き計量異
常や樹脂の逆流および射出ノズルの詰まり等を適確に検
出できなくなることがある。また、射出工程を速度の優
先制御で行う場合には、射出工程から保圧工程へ移行す
るときのスクリュー位置や圧力等を検出して射出異常の
有無を判定する異常検出方法も提案されているが、射出
保圧の全工程を圧力の優先制御で行う場合には射出工程
と保圧工程との厳密な区別がなく、このような異常検出
方法を容易に適用することはできない。
【0004】そこで、本発明の目的はこのような問題を
解決し、圧力優先で射出保圧工程の制御を行う場合であ
っても、計量異常や樹脂の逆流および射出ノズルの詰ま
り等の異常を適確に検出することのできる射出成形機の
異常検出方法及び装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、射出保圧工程
を基準圧力波形と一致するように圧力制御する射出成形
機において、予め設定された射出開始後の特定時点に対
応して予めスクリュー移動速度の許容範囲を記憶手段に
設定しておき、射出保圧工程時、スクリュー移動速度を
検出する検出手段で前記特定時点でのスクリュー移動速
度を検出し、検出値が対応する前記設定許容範囲内か判
別手段で判別し、範囲内でないときには射出異常のアラ
ームを出力するようにする。または、基準となるスクリ
ュー移動速度と許容誤差範囲を特定時点に対して記憶手
段に設定しておき、特定時点でのスクリュー移動速度検
出値と基準スクリュー移動速度との差を求め、該差が設
定許容誤差範囲内か判別手段で判別して、範囲外である
射出異常のアラームを出力するようにする。好ましく
は、前記特定時点を射出開始後の所定周期毎のサンプリ
ング時とする。
【0006】さらに、成形条件を調整し、良成形品が得
られる成形時におけるスクリュー移動速度を射出開始時
点より所定の検出周期毎に検出し、該検出スクリュー移
動速度に基づいて各検出周期毎のスクリュー移動速度の
許容範囲を記憶手段に時系列で記憶しておくと共に、各
射出保圧工程の射出開始毎、前記所定の検出周期でスク
リュー移動速度を検出し、該検出スクリュー移動速度が
前記記憶手段に記憶された対応する検出周期のスクリュ
ー移動速度許容範囲にあるか否か検出し、設定許容範囲
を越えると射出異常のアラームを出力するようにする。
もしくは、良成形品が得られる成形時におけるスクリュ
ー移動速度を射出開始時点より所定の検出周期毎に検出
して記憶手段に時系列で基準スクリュー移動速度として
記憶しておくと共に、各射出保圧工程の射出開始毎、前
記所定の検出周期でスクリュー移動速度を検出し、該検
出周期に対応して前記記憶手段に記憶された基準スクリ
ュー移動速度と該検出周期のスクリュー移動速度との差
を求め、該差が設定許容誤差範囲を越えると射出異常の
アラームを出力するようにする。
【0007】また、スクリュー位置を検出する位置検出
手段を設け、良成形品が得られる成形時における射出保
圧工程時のスクリュー移動速度をスクリュー位置と共に
検出し、該検出スクリュー移動速度を基準速度とし、各
スクリュー位置に対してスクリュー移動速度の許容範囲
を設定するか、若しくは前記基準スクリュー移動速度と
この基準速度に対する許容誤差範囲を記憶手段に記憶し
ておき、各射出保圧工程の射出開始毎、前記記憶された
スクリュー位置になる毎に、その時検出されるスクリュ
ー移動速度が前記記憶手段に記憶された対応するスクリ
ュー移動速度許容範囲にあるか否か若しくは、検出スク
リュー速度と基準スクリュー移動速度の差が許容誤差範
囲にあるかを検出し、設定許容範囲若しくは設定許容誤
差範囲を越えると射出異常のアラームを出力するように
する。
【0008】
【作用】良成形品が得られる成形時におけるスクリュー
移動速度を射出開始時点から所定の検出周期毎に検出し
て記憶手段に時系列で記憶することにより、良成形品が
得られる成形時における各特定時点のスクリュー移動速
度、もしくは許容スクリュー移動速度範囲を予め設定記
憶しておく。連続成形時における各射出工程では、射出
の開始時点から前記の検出周期で各特定時点に対応する
スクリュー移動速度を検出し、この検出スクリュー移動
速度が検出周期に対応して前記記憶手段に記憶されたス
クリュー移動速度の許容範囲を越えたとき、若しくは、
設定スクリュー移動速度と当該検出周期のスクリュー移
動速度との差が設定許容誤差範囲を越えた場合に射出異
常のアラームを出力する。また、スクリュー位置に対し
てスクリュー移動速度の許容範囲、若しくは基準スクリ
ュー移動速度に対する許容誤差範囲を設定した場合に
は、連続成形時における各射出工程では、設定スクリュ
ー位置に達する毎に、スクリュー移動速度が設定許容範
囲内か否か、若しくは、基準スクリュー移動速度に対し
て設定許容誤差範囲にあるかによって、射出異常を検出
する。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明の一実施例の電動式射出成形機の要
部を示すブロック図で、符号1は射出シリンダ、符号2
はスクリューであり、スクリュー2の先端にはリング状
の逆流防止弁3が取り付けられている。逆流防止弁3
は、スクリュー2の計量回転に伴って該スクリュー2の
基部側から射出シリンダ1の先端側に送出される溶融樹
脂の通過を許容する一方、一旦射出シリンダ1の先端側
に貯溜された溶融樹脂の逆流を阻止するように構成され
ているが、長年の使用によって磨耗や欠損が生じている
と、スクリュー2の先端部に強力な樹脂圧が作用する射
出保圧工程等で磨耗部や欠損部を介して溶融樹脂が逆流
するようなこともある。スクリュー2は、プッシャープ
レート8のボールナット部に螺合したリードネジ5やリ
ードネジ5と一体のプーリ6に巻回された動力伝達ベル
ト7等を介して射出用サーボモータM1により射出軸方
向に駆動される。スクリュー2の基部とプッシャープレ
ート8との間に介装された圧力検出器4は、スクリュー
2の軸方向に作用する樹脂圧力を射出圧力や保圧圧力ま
たは背圧等として検出するようになっている。また、射
出用サーボモータM1には、スクリュー2の現在位置を
検出するパルスコーダP1が装着されている。なお、符
号11は射出成形金型である。
【0010】射出成形機の制御装置100は、数値制御
およびサーボ制御用のマイクロプロセッサ等を備えたN
C用制御部107と、プログラマブルマシンコントロー
ラ用のマイクロプロセッサ等を備えたシーケンス制御部
104、および、樹脂に加わる圧力の測定及び後述する
射出異常検出処理等の処理を行うためのマイクロプロセ
ッサを備えた計測用制御部105を有し、バス111を
介して相互の入出力を選択することにより各制御部間で
の情報伝達が行えるようになっている。また、シーケン
ス制御部104には、射出成形機のシーケンス動作を制
御するシーケンスプログラム等を記憶したROMや演算
データの一時記憶等に利用されるRAM等によって構成
されるメモリ108と、射出成形機の各部に配備したリ
ミットスイッチや操作盤からの信号を受信したり射出成
形機の周辺機器等に各種の指令を伝達したりするための
入出力インターフェイス101が接続される。一方、N
C用制御部107には、射出成形機を全体的に制御する
プログラム等を記憶したNC用ROMや射出成形機の各
種動作を指令するNCプログラム及び各種設定値,パラ
メータ,マクロ変数等を記憶する不揮発性のメモリ及び
演算データの一時記憶等に利用されるRAM等によって
構成されるメモリ110と、各軸のサーボ制御用マイク
ロプロセッサからの指令に基いて型締め用,スクリュー
回転用,エジェクタ用および射出用等の各軸のサーボモ
ータを駆動するサーボアンプが接続されいる(図1では
射出用サーボモータM1のサーボアンプ103のみを表
示)。
【0011】なお、NC用制御部107及びシーケンス
制御部104の各プロセッサが利用する各種データ(例
えばスクリュー位置や各種フラグ等のデータ)は前記メ
モリ110,108に共に記憶するようになっている。
NC用制御部107のプロセッサがメモリ110に書き
込むデータはシーケンス制御部104のプロセッサが所
定周期毎メモリ110からこれらのデータを読取り10
8に格納し、逆にシーケンス制御部104がメモリ10
8に書き込むデータはNC用制御部107のプロセッサ
が所定周期毎メモリ108からこれらのデータを読取り
110に格納するようになっている。
【0012】射出用サーボモータM1に配備したパルス
コーダP1からの出力はNC用制御部107に帰還さ
れ、パルスコーダP1からのフィードバックパルスに基
いて算出されたスクリュー2の現在位置がメモリ110
に記憶される。NC用制御部107の数値制御用マイク
ロプロセッサはNCプログラムに基づいて、各軸のサー
ボモータに対してパルス分配を行い、サーボ制御用マイ
クロプロセッサは各軸に対してパルス分配された移動指
令と、検出器(例えばパルスコーダP1)で検出された
位置のフィードバック信号及び速度フィードバック信号
に基づいて、従来と同様に位置ループ制御,速度ループ
制御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行う。即
ち、ディジタルサーボ処理を実行するものである。な
お、射出保圧工程を圧力フィードバック制御モードにし
たときには数値制御用マイクロプロセッサは各処理周期
毎に圧力指令を出力し、サーボ制御用マイクロプロセッ
サは圧力検出器4で検出された樹脂圧力がこの指令圧力
に一致するように制御する。
【0013】圧力検出器4はA/D変換器102を介し
て計測用制御部105に接続され、圧力検出器4からの
検出出力が射出保圧圧力もしくは背圧等として計測用制
御部105に入力される。また、計測用制御部105に
接続されたROM106には、「異常検出処理」(詳細
は後述)を実施するための制御プログラムが予め書き込
まれている。この実施例におけるRAM109は不揮発
性のRAMであり、良成形品成形時の射出保圧工程にお
ける特定時点で検出されたスクリュー移動速度を特定時
点と対応させて時系列で記憶するテーブル状のファイル
手段(図5参照,詳細は後述)が設けられている。
【0014】117はCRT/MDIインターフェイス
114を介してバス111に接続されたCRT表示装置
付手動データ入力装置(以下、CRT/MDIという)
であり、CRT表示画面上に各種設定画面や作業メニュ
ーを表示したり、各種操作キー(ソフトキーやテンキー
等)を操作することにより様々な設定データの入力や設
定画面の選択ができるようになっている。CRT/MD
I117を介して入力された成形条件等の設定値はメモ
リ110の不揮発性メモリ部に設けられた設定メモリ部
に記憶される。
【0015】112はホストコンピュータを接続するた
めのシリアルインターフェイスであり、セルコントロー
ラとしてのホストコンピュータ115との間で各種情報
の入出力を行う。ホストコンピュータ115には、作業
場内に併設された射出成形機毎の制御装置が多数接続さ
れており、ホストコンピュータ115と各射出成形機の
制御装置100との間で、成形条件や作業スケジュール
およびショット数データ等の入出力が行われるようにな
っている。また、113はデータのハードコピーを出力
するプリンタやプロッタ116を接続するためのインタ
ーフェイスである。
【0016】以上のような構成において、メモリ110
の不揮発性メモリ部に記憶されたNCプログラムや設定
メモリ部に記憶された各種成形条件、および、メモリ1
08に格納されたシーケンスプログラム等により、シー
ケンス制御部104がシーケンス制御を行いながら、N
C用制御部107の数値制御マイクロプロセッサが射出
成形機各軸のサーボモータにパルス分配し、サーボ制御
用マイクロプロセッサがディジタルサーボ制御を行って
射出成形機を駆動制御するものである。
【0017】ここで、本実施例の射出成形機による射出
保圧工程の圧力制御について簡単に説明する。まず、射
出保圧工程の圧力制御の目標値となる圧力波形を設定す
る必要があるが、この圧力波形の設定方法には、各種の
設定方法があり、例えば、特開平3−58821号公報
に示されているように、射出圧力設定モードにして射出
開始からの時間の関数として圧力波形を設定しメモリ1
10に射出開始からの時間の関数として所定処理周期毎
の圧力を記憶する方法、さらには、本願出願人が特願平
3−15959号で提案した、良品を成形したときに検
出した実際の圧力波形を目標値としての圧力波形として
設定する方法、さらに、類似する金型に対して設定され
る圧力波形を修正して目標圧力波形を設定する方法、ま
た、従来と同様に、成形条件出しを終了するまでは、射
出工程では射出速度優先の制御を行う一方、保圧工程で
は圧力の優先制御を行い、成形条件を決定しその時、得
られた実際の圧力波形を設定する方法等がある。この最
後の方法に付いて簡単に述べると、成形条件設定モード
にして、射出速度優先モードにして、設定メモリ部に射
出各段の射出速度及びその切換位置,射出/保圧切替え
位置(または圧力)および保圧各段の保圧圧力と保圧時
間を設定し、速度優先モードで試射を行う。射出工程で
は射出各段の設定射出速度に基いて位置および速度ルー
プの処理を実行して速度優先で射出制御を行い、スクリ
ュー2の現在位置が射出/保圧切替え設定位置に到達し
た段階(または圧力検出器4で検出される樹脂圧力が設
定切替え圧力に達した段階)でタイマによる計時を開始
すると共に、タイマの計測時間が設定保圧時間に達する
毎に保圧各段の設定保圧圧力を読出し、圧力検出器4で
検出される現在圧力と現保圧段における設定保圧圧力と
を所定周期毎に比較して、その圧力偏差をトルク指令電
圧として直接サーボアンプ103に出力することにより
圧力優先の保圧フィードバック制御を行うようにしてい
る。オペレータは、この条件出しの段階で、射出各段の
射出速度や射出/保圧切替え位置および保圧各段の保圧
圧力や保圧時間をCRT/MDI117の操作で任意に
変更して設定メモリ部のデータに修正を加え、最適の成
形条件を得るようにする。
【0018】また、NC用制御部107が条件出しの射
出保圧制御を行う間、計測用制御部105のマイクロプ
ロセッサは、圧力検出器4で検出される現在圧力とスク
リュー2の現在速度とを対応させて射出開始と同時に所
定周期でサンプリングするサンプリング処理を実行して
おり、この処理でサンプリングされる検出圧力と検出速
度は、条件出しにおける射出保圧工程が実施される毎に
RAM109に時系列で更新記憶される。
【0019】また、シーケンス制御部104のマイクロ
プロセッサは、上記サンプリング周期と同期して図2に
示す処理を実行してしている。図2は条件出し作業中に
おける射出速度検出処理のフローチャートであり、射出
開始指令で設定される射出フラグF1がメモリ108に
セットされているか否か、即ち、現時点において射出保
圧工程が実行されているか否かを判別するが(ステップ
S1)、射出フラグF1がセットされていなければ、デ
ータ検索指標iの値を「0」に初期化して(ステップS
9)、射出の開始を待機することとなる。ステップS1
の判別処理で射出の開始が検出されると、CPUは、デ
ータ検索指標iの値を「1」インクリメントして(ステ
ップS2)、メモリ108からスクリュー2の現在位置
Xを読込んだ後(ステップS3)、指標iの現在値が
「1」であるか否か、即ち、当該処理周期が射出開始直
後のものであるか否かを判別する(ステップS4)。指
標iの値が「1」であって射出開始直後の処理周期であ
れば、CPUは、設定メモリ部に成形条件として記憶さ
れている計量完了位置、即ち、射出開始位置となるスク
リュー位置の値を読込んで通過位置記憶レジスタRxに
一時記憶する(ステップS5)。一方、指標iが「1」
以外の値であって当該処理が既に1回以上実行されてい
る場合には、ステップS5の処理を非実行とし、通過位
置記憶レジスタRxの値をそのまま保持する。
【0020】次いで、CPUは、通過位置記憶レジスタ
Rxの値からスクリュー2の現在位置Xを減じた値を処
理周期tで除してスクリュー2の現在移動速度Vを算出
し(ステップS6)、該速度をメモリ108内のRAM
に記憶する(ステップS7)。次に、スクリュー2の現
在位置Xを通過位置記憶レジスタRxに一時記憶し(ス
テップS8)、当該処理周期の処理を終了する。即ち、
射出開始直後におけるスクリュー2の現在移動速度Vは
射出開始位置から現在位置Xまでの移動変位をこの処理
の処理周期tで除した値として求められ、また、以降の
時点におけるスクリュー2の移動速度Vは前回の処理周
期における移動位置Rxから現在位置Xまでの移動変位
を移動所用時間tで除した値として求められることとな
る。スクリュー2の位置を示す座標系は図1に示すよう
にスクリュー2の最前進位置を原点とし、計量時の移動
方向を正方向として規定しているので、通常は移動速度
Vが正の値となるが、保圧工程で印加する圧力を弱めた
ような場合はスクリュー2が後退する場合もあるので、
移動速度が負となることもある。
【0021】そして、条件出しの操作で最適の成形条件
を設定したオペレータがCRT/MDI117の圧力波
形設定キーを操作すると、NC用制御部107のマイク
ロプロセッサは現時点でRAM109に記憶されている
サンプリングデータ、即ち、良成形品が得られた時の圧
力波形データを設定メモリ部に基準圧力波形として記憶
させて、圧力波形の設定が終了する。
【0022】他の圧力波形設定方法においても同様で、
CRT画面上に圧力波形を描画させ、この描画がされた
圧力波形に対して射出開始から所定周期毎サンプリング
して圧力波形データをメモリ110の設定メモリ部に設
定し、射出圧力制御モードで試射を行い、上記圧力波形
を修正設定し、また他の条件をも調整して、良成形品が
得られたときの設定圧力波形データを最終的な目標圧力
波形とするか、良成形品が得られたときに検出され、R
AM109に記憶されている実際の圧力波形データを設
定メモリに記憶させてこのデータを目標圧力波形データ
とする。さらにこの時の速度データも前述したようにし
て求める。
【0023】こうして圧力波形データを設定した後、本
発明においては、各サンプリング時における速度の上下
の許容幅を設定しRAM109のファイル手段(図5参
照)に記憶させる。この設定は、メモリ108に記憶さ
れた速度データをCRT画面に表示させ、この速度デー
タを基準速度として、各周期の許容速度の上限下限を設
定する。図5のフアイル手段は、良成形品が得られた時
の射出保圧工程で所定周期毎に対応する基準速度V0
(i)の各々に対して上下の許容幅を設定し、各特定時
点におけるスクリュー移動速度V(i)の下限許容値V
min.(i) と上限許容値Vmax.(i) を記憶したファイルで
ある。
【0024】そこで、射出成形機を射出圧力制御モード
にして連続射出成形作業を開始させると、型締工程、計
量工程等は従来と同様に実行され、射出保圧工程になる
と、NC制御部107の数値制御用のマイクロプロセッ
サは設定メモリ部に基準圧力波形として記憶された圧力
データから射出開始からの時間に対応する周期の圧力デ
ータを読取り、該圧力データを指令圧力として射出用サ
ーボモータを制御するディジタルサーボ回路に出力す
る。
【0025】射出用サーボモータのディジタルサーボ回
路のマイクロプロセッサはこの圧力指令を読み取ると共
に、圧力検出器4で検出され樹脂に加わる実際の樹脂圧
力をA/D変換器102,計測制御部105のマイクロ
プロセッサを介して読み取り、指令圧力と検出した実際
の圧力の偏差に基づいてサーボモータへの移動指令を算
出し、この移動指令に基づいてサーボアンプ103を介
して射出用サーボモータM1を駆動する。以下この処理
を所定周期毎実施し、樹脂に加わる圧力が設定圧力波形
データと一致するように、射出保圧の全工程において圧
力優先のフィードバック制御を行うものである。
【0026】一方、計測用制御部105のマイクロプロ
セッサ(以下、単にCPUという)は、連続射出成形作
業が行われる間に前述のサンプリング処理と同じ処理周
期で「異常検出処理」を繰り返し実行する。図3はこの
「異常検出処理」の概略を示すフローチャートである。
「異常検出処理」を開始したCPUは、まず、シーケン
ス制御部104からの射出開始指令で設定される射出フ
ラグF1がメモリ110にセットされているか否か、即
ち、現時点において射出保圧工程が実行されているか否
かを判別するが(ステップA1)、射出フラグF1がセ
ットされていなければ、データ検索指標iの値を「0」
に初期化して(ステップA9)、射出の開始を待機する
こととなる。
【0027】そして、所定周期毎の「異常検出処理」に
おけるステップA1の判別処理で射出の開始が検出され
ると、CPUは、データ検索指標iの値を「1」インク
リメントして(ステップA2)、メモリ110からスク
リュー2の現在位置Xを読込んだ後(ステップA3)、
指標iの現在値が「1」であるか否か、即ち、当該処理
周期が射出開始直後のものであるか否かを判別する(ス
テップA4)。指標iの値が「1」であって射出開始直
後の処理周期であれば、CPUは、設定メモリ部に成形
条件として記憶されている計量完了位置、即ち、射出開
始位置となるスクリュー位置の値を読込んで通過位置記
憶レジスタRxに一時記憶する(ステップA5)。一
方、指標iが「1」以外の値であって「異常検出処理」
が既に1回以上実行されている場合には、ステップA5
の処理を非実行とし、通過位置記憶レジスタRxの値を
そのまま保持する。次いで、CPUは、通過位置記憶レ
ジスタRxの値からスクリュー2の現在位置Xを減じた
値を処理周期tで除してスクリュー2の現在移動速度V
を算出し(ステップA6)、スクリュー2の現在位置X
を通過位置記憶レジスタRxに一時記憶する(ステップ
A7)。
【0028】次いで、CPUは、データ検索指標iの値
に基いて当該処理周期に対応する特定時点の下限速度V
min.(i) と上限速度Vmax.(i) を図5のファイル手段か
ら読込み、スクリュー2の現在移動速度Vが下限速度V
min.(i) と上限速度Vmax.(i) の間にあるか否かを判別
する(ステップA8)。そして、スクリュー2の現在移
動速度Vが下限速度Vmin.(i) と上限速度Vmax.(i) と
の間にあれば、この時点では射出ノズルの詰まりや溶融
樹脂の逆流等が生じていないものと見做し、当該処理周
期における「異常検出処理」を終了するが、スクリュー
2の現在移動速度Vが下限速度Vmin.(i) を下回った場
合および上限速度Vmax.(i) を上回った場合には、射出
ノズルの詰まりもしくは溶融樹脂の逆流や洩れ等が生じ
たものと見做して、指標iの現在値と共に射出異常発生
のアラームをシーケンス制御部104に出力する(ステ
ップA10)。
【0029】そして、射出異常発生のアラームを受信し
たシーケンス制御部104は、指標iの値に処理周期t
を乗じ、射出開始時点を基準とする異常発生時刻をCR
T/MDI117の表示画面に表示する。なお、アラー
ムを検出した後、成形品不良信号を出力し、この時成形
された成形品を不良成形品として振り分けるようにして
も良く、また、射出成形動作を非常停止させるようにし
ても良い。この実施例では、CPUからのアラームによ
り、射出異常発生の有無とその時刻のみを検出するよう
にしているが、アラーム信号の種別を複数個設け、例え
ば、スクリュー2の現在移動速度Vが下限速度Vmin.
(i) を下回った場合には「ノズル詰まりの可能性有
り」、また、上限速度Vmax.(i) を上回った場合には
「逆流防止弁の欠損または樹脂漏れの可能性有り」等の
警告メッセージを表示させるようにすることも可能であ
る。更に、指標iの値に変えてスクリュー現在位置Xを
シーケンス制御部104に出力し、射出異常発生時のス
クリュー位置を表示させても良い。射出ノズルの詰まり
等の異常が生じてスクリュー2の射出動作が阻害された
場合であっても射出速度を優先制御する射出成形機のよ
うにサーボモータの位置偏差の増大によって過大な射出
力が発生することはなく、単に、設定された射出保圧圧
力を保持してスクリュー2の移動速度が減衰するだけで
あるから、射出成形機や射出成形金型の構成要素に損傷
を与えることはない。
【0030】ステップA8またはステップA10の処理
を終了したCPUは再びステップA1の処理に復帰し、
射出保圧工程の処理が完了して射出フラグF1がリセッ
トされるまでの間、前述の「異常検出処理」を繰り返し
実行し、サンプリング周期の各特定時点に対応する「異
常検出処理」の処理周期毎、スクリュー2の現在移動速
度Vが下限速度Vmin.(i) と上限速度Vmax.(i) の間に
あるか否かにより、現時点におけるスクリュー移動速度
Vが良品成形時の特定時点の基準速度と略一致している
か否かを判別し(図7参照)、判別結果をシーケンス制
御部104に出力する。そして、1射出保圧工程が完了
して射出フラグF1がリセットされると、CPUは、デ
ータ検索指標iの値を再び初期値「0」にリセットし
(ステップA9)、次の射出保圧工程の開始を待機す
る。
【0031】前述の実施例では射出開始後の経過時間を
基準として射出保圧工程の特定時点を多数個設定する例
(所定周期毎の時点)について説明したが、射出開始後
のスクリュー位置を基準にして多数の特定時点を設定す
るようにしても良い。この場合には、スクリュー位置に
対して射出速度の上限と下限を設定することになり、前
述した条件出しの射出成形作業において速度データを得
るときにスクリュー位置も記憶するようにする。即ち、
図2にステップS7で速度データを記憶すると共にこの
時のスクリュー位置X記憶するようにする。そして、条
件出しの操作で最適の成形条件を設定したオペレータが
CRT/MDI117の圧力波形設定キーを操作する
と、NC用制御部107のマイクロプロセッサは現時点
でRAM109に記憶されているサンプリングデータ、
即ち、良成形品が得られた時の圧力波形データを設定メ
モリ部に基準圧力波形として記憶すると共に、メモリ1
08に記憶された検出速度及びスクリュー位置のサンプ
リングデータをCRT画面に表示させてこのデータに対
して速度の上限値下限値を設定し、RAM109のファ
イル手段(図6参照)に記憶させる。図6のファイル手
段は、良成形品が得られた時の射出保圧工程で所定周期
毎に検出されたスクリュー移動速度V0(i)の各々に
対して上下の許容幅を設定し、各特定時点におけるスク
リュー移動速度V(i)の下限許容値Vmin.(i) と上限
許容値Vmax.(i) を記憶したファイルであるが、特定時
点となるスクリュー現在位置Xsiが記憶されている点
が図5と異なる。
【0032】図4は、射出開始後のスクリュー位置を基
準にして特定時点を設定した場合において連続射出成形
作業中に計測用制御部105のマイクロプロセッサ(C
PU)が前述のサンプリング処理よりも短い処理周期
t′で繰り返し実行する「異常検出処理」の概略を示す
フローチャートである。「異常検出処理」を開始したC
PUは、まず、シーケンス制御部104からの射出開始
指令で設定される射出フラグF1がメモリ110にセッ
トされているか否か、即ち、現時点において射出保圧工
程が実行されているか否かを判別するが(ステップB
1)、射出フラグF1がセットされていなければ、デー
タ検索指標iおよびフラグF2,F3の値を共に「0」
に初期化して(ステップB9)、射出の開始を待機する
こととなる。
【0033】そして、所定周期毎の「異常検出処理」に
おけるステップB1の判別処理で射出の開始が検出され
ると、CPUは、特定時点到達フラグF2がリセットさ
れているか否かを判別するが(ステップB2)、射出開
始直後の現段階ではフラグF2がリセット状態にあるか
ら、次いで、データ検索指標iの値を「1」インクリメ
ントし(ステップB3)、図6のファイル手段から第i
番目の特定時点として設定されたスクリュー位置Xsi
とスクリュー移動速度の下限許容値Vmin.(i)および上
限許容値Vmax.(i) を読込んで一時記憶した後(ステッ
プB4)、スクリュー2の現在位置Xを読込んで一時記
憶する(ステップB5)。次いで、CPUは、処理周期
検出フラグF3がリセットされているか否か、即ち、今
回の処理周期が射出開始直後のものであるか否かを判別
し(ステップB6)、フラグF3がリセット状態にあっ
て射出開始直後の段階であれば、射出開始位置となる計
量完了位置の値を読込んで通過位置記憶レジスタRxに
一時記憶し、特定時点到達フラグF2および処理周期検
出フラグF3をセットする一方(ステップB7,ステッ
プB8)、フラグF3が既にセットされていればステッ
プB7およびステップB8の処理を非実行として、通過
位置記憶レジスタRxの値をそのまま保持する。
【0034】次いで、CPUは、通過位置記憶レジスタ
Rxの値からスクリュー2の現在位置Xを減じた値を処
理周期t′で除してスクリュー2の現在移動速度Vを算
出し(ステップB10)、スクリュー2の現在位置Xを
通過位置記憶レジスタRxに一時記憶した後(ステップ
B11)、スクリュー2の現在位置Xがデータ検索指標
iの値に対応する特定時点のスクリュー位置Xsiに達
しているか否かを判別するが(ステップB12)、スク
リュー2の現在位置が特定時点のスクリュー位置Xsi
に達していなければ特定時点到達フラグF2をセットし
て(ステップB16)、この周期の「異常検出処理」を
終了する。
【0035】特定時点到達フラグF2および処理周期検
出フラグF3がセットされる結果、次周期以降の「異常
検出処理」ではステップB3,B4およびステップB
7,B8の処理が非実行とされ、CPUは所定周期毎の
処理でスクリュー2の現在位置Xの検出と現在移動速度
Vの算出、および、特定時点となるスクリュー位置Xs
iへのスクリュー2の到達確認に関する処理(ステップ
B12)のみを繰り返し実行することとなる。
【0036】そして、ステップB12の判別処理でスク
リュー2の現在位置Xがデータ検索指標iの値に対応す
る特定時点のスクリュー位置Xsiに達したことが検出
されると、CPUはスクリュー2の現在移動速度Vが当
該処理周期に対応する特定時点の下限速度Vmin.(i) と
上限速度Vmax.(i) との間にあるか否かを判別し(ステ
ップB13)、スクリュー2の現在移動速度Vが下限速
度Vmin.(i) と上限速度Vmax.(i) の間にあれば、この
時点では射出ノズルの詰まりや溶融樹脂の逆流等が生じ
ていないものと見做し、特定時点到達フラグF2をリセ
ットして(ステップB15)、当該処理周期における
「異常検出処理」を終了する。また、スクリュー2の現
在移動速度Vが下限速度Vmin.(i) を下回った場合およ
び上限速度Vmax.(i) を上回った場合には、射出ノズル
の詰まりもしくは溶融樹脂の逆流や洩れ等が生じたもの
と見做し、スクリュー現在位置Xsi(Xでも良い)の
データと共に射出異常発生のアラームをシーケンス制御
部104に出力した後(ステップB14)、特定時点到
達フラグF2をリセットして(ステップB15)、当該
処理周期における「異常検出処理」を終了することとな
る。
【0037】そして、射出異常発生のアラームを受信し
たシーケンス制御部104は、スクリュー現在位置Xs
iを異常発生位置としてCRT/MDI117の表示画
面に表示する。前述の実施例と同様、アラームを検出し
た後、射出成形機に型開き動作を行わせ、射出成形動作
を非常停止させるようにしても良い。また、アラーム信
号の種別を複数個設け、スクリュー2の現在移動速度V
が下限速度Vmin.(i)を下回った場合と上限速度Vmax.
(i) を上回った場合とでCRT/MDI117に表示す
る警告メッセージを変化させても良い。
【0038】ステップB15の処理で特定時点到達フラ
グF2がリセットされる結果、次周期の「異常検出処
理」ではデータ検索指標iの値が「1」インクリメント
され(ステップB3)、図5のファイル手段から第i番
目の特定時点として設定された次のスクリュー位置Xs
iとスクリュー移動速度の下限許容値Vmin.(i) および
上限許容値Vmax.(i) の新たな値が読込まれることとな
る(ステップB4)。以下、CPUは前述と同様の処理
を繰り返し実行し、特定時点としてファイル手段に設定
されたスクリュー位置Xsiにスクリュー2が到達する
毎に、スクリュー2の現在移動速度Vが下限速度Vmin.
(i) と上限速度Vmax.(i) との間にあるか否かにより、
現時点におけるスクリュー移動速度Vが良品成形時の特
定時点の基準速度と略一致しているか否かを判別し(図
6参照)、判別結果をシーケンス制御部104に出力す
る。そして、1射出保圧工程の処理が完了して射出フラ
グF1がリセットされると、CPUは、データ検索指標
iおよびフラグF2,F3の値を再びリセットして(ス
テップB9)、次の射出保圧工程の開始を待機すること
となる。
【0039】前述の各実施例では、良成形品が得られた
時の射出保圧工程で所定周期毎に検出されたスクリュー
移動速度V0(i)の各々に対して上下の許容範囲を設
定し、各特定時点におけるスクリュー移動速度V(i)
の下限許容値Vmin.(i) と上限許容値Vmax.(i) をファ
イルに記憶させるようにしたが、良成形品が得られ、該
良成形品が得られる時の圧力波形を目標圧力波形データ
として設定する時に検出されたスクリュー移動速度を基
準スクリュー移動速度のデータV0(i)として直接フ
ァイルに保存し、「異常検出処理」におけるステップA
8やステップB13の処理を実行する段階で基準スクリ
ュー移動速度V0(i)とスクリュー2の現在移動速度
Vとの差を求め、この差が設定許容誤差範囲内にあるか
否かによって射出異常の有無を判定するようにしても良
い。また、上述した許容範囲、若しくは設定許容誤差範
囲は各所定周期毎に夫々設定しても良く、若しくは、一
律的に所定範囲を設定するようにしても良い。一律的に
設定するときには、基準スクリュー移動速度と実際のス
クリュー移動速度との差の許容誤差範囲の設定は上限と
下限の一律的な値となり、スクリュー移動速度の許容範
囲を設定する場合には、基準スクリュー移動速度に対し
加算し上限値を設定するための値と、減算し下限値をき
める値を設定すれば良いことになる。
【0040】
【発明の効果】本発明は、予め設定された射出開始後の
特定時点に対応して設定されたスクリュー移動速度と該
特定時点でのスクリュー移動速度検出値との差に基いて
射出異常の有無を検出するようにしたので、圧力優先で
射出保圧工程の制御を行う射出成形機であっても、射出
保圧の全工程に亘り、計量異常や樹脂の逆流および射出
ノズルの詰まり等による射出異常、さらには、金型等の
温度制御異常における流動抵抗の変化による異常も確実
に検出することができる。特に、射出異常の判定を射出
開始からの任意の時間でのスクリュー位置の変化、若し
くは、ある位置でのスクリュー通過時間の変化判定する
のではなく、スクリューの移動速度によって判定を行う
ようにしているから、射出異常判定のための指定点を少
なくすることができるという効果もある。即ち、ある時
点(位置)でのスクリュー移動速度が設定範囲内である
ことは毎回同じ速度で射出が行われていることを意味
し、再現性が良く生産されていることを意味する。速度
が設定範囲を越えるとこの再現性が崩れ良成形品が得ら
れないことを意味している。また、良成形品が得られた
ときの検出圧力波形を基準圧力波形として射出保圧工程
を圧力制御するので、射出ノズルの詰まり等の異常が生
じてスクリューの射出動作が阻害された場合であって
も、射出速度を優先制御する射出整形機のようにサーボ
モータにおける位置偏差の増大によって過大な射出力が
発生することはなく、単に、設定された射出保圧圧力を
保持してスクリューの移動速度が減衰するだけであるか
ら、射出成形機や射出成形金型の構成要素に損傷を与え
ることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を適用した一実施例の電動式射出
成形機の要部を示すブロック図である。
【図2】射出速度データ検出処理のフローチャートであ
る。
【図3】同実施例の電動式射出成形機における一実施例
の「異常検出処理」の概略を示すフローチャートであ
る。
【図4】同実施例の電動式射出成形機における別の実施
例の「異常検出処理」の概略を示すフローチャートであ
る。
【図5】一実施例の「異常検出処理」におけるファイル
手段を説明する図である。
【図6】別の実施例の「異常検出処理」におけるファイ
ル手段を説明する図である。
【図7】スクリュー移動速度の許容値と検出速度の関係
を一例で示す概念図である。
【符号の説明】
2 スクリュー 3 逆流防止弁 4 圧力検出器 100 制御装置 102 A/D変換器 103 サーボアンプ 105 計測用制御部(CPU) 106 ROM 109 不揮発性RAM 110 メモリ 117 CRT表示装置付手動データ入力装置 M1 射出用サーボモータ P1 パルスコーダ

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出保圧工程を基準圧力波形と一致する
    ように圧力制御する射出成形機において、予め設定され
    た射出開始後の特定時点に対応して予めスクリュー移動
    速度の許容範囲を設定しておき、射出保圧工程時に、前
    記特定時点でのスクリュー移動速度検出値が対応する前
    記設定許容範囲を越えると射出異常のアラームを出力す
    るようにした射出成形機の射出異常検出方法。
  2. 【請求項2】 射出保圧工程を基準圧力波形と一致する
    ように圧力制御する射出成形機において、射出保圧工程
    時に、予め設定された射出開始後の特定時点に対応して
    予め設定された基準スクリュー移動速度と前記特定時点
    でのスクリュー移動速度検出値との差を求め、該差が設
    定許容誤差範囲を越えると射出異常のアラームを出力す
    るようにした射出成形機の射出異常検出方法。
  3. 【請求項3】 射出開始後の所定周期毎のサンプリング
    時を前記特定時点としたことを特徴とする請求項1また
    は請求項2記載の射出成形機の射出異常検出方法。
  4. 【請求項4】 射出保圧工程を基準圧力波形と一致する
    ように圧力制御する射出成形機において、成形条件を調
    整し、良成形品が得られる成形時におけるスクリュー移
    動速度を射出開始時点より所定の検出周期毎に検出し、
    該検出スクリュー移動速度に基づいて各検出周期毎のス
    クリュー移動速度の許容範囲を記憶手段に時系列で記憶
    しておくと共に、各射出保圧工程の射出開始毎、前記所
    定の検出周期でスクリュー移動速度を検出し、該検出ス
    クリュー移動速度が前記記憶手段に記憶された対応する
    検出周期のスクリュー移動速度許容範囲にあるか否か検
    出し、設定許容範囲を越えると射出異常のアラームを出
    力するようにした射出成形機の射出異常検出方法。
  5. 【請求項5】 射出保圧工程を基準圧力波形と一致する
    ように圧力制御する射出成形機において、成形条件を調
    整し、良成形品が得られる成形時におけるスクリュー移
    動速度を射出開始時点より所定の検出周期毎に検出して
    記憶手段に時系列で基準スクリュー移動速度として記憶
    しておくと共に、各射出保圧工程の射出開始毎、前記所
    定の検出周期でスクリュー移動速度を検出し該検出スク
    リュー移動速度と該検出周期に対応して前記記憶手段に
    記憶された基準スクリュー移動速度との差を求め、該差
    が設定許容誤差範囲を越えると射出異常のアラームを出
    力するようにした射出成形機の射出異常検出方法。
  6. 【請求項6】 射出保圧工程を基準圧力波形と一致する
    ように圧力制御する射出成形機において、成形条件を調
    整し、良成形品が得られる成形時における射出保圧工程
    時のスクリュー移動速度をスクリュー位置と共に検出
    し、該検出スクリュー移動速度に基づいて各スクリュー
    位置に対してスクリュー移動速度の許容範囲を記憶手段
    に記憶しておき、各射出保圧工程の射出開始毎、前記記
    憶されたスクリュー位置になる毎に、その時検出される
    スクリュー移動速度が前記記憶手段に記憶された対応す
    るスクリュー移動速度許容範囲にあるか否か検出し、設
    定許容範囲を越えると射出異常のアラームを出力するよ
    うにした射出成形機の射出異常検出方法。
  7. 【請求項7】 射出保圧工程を基準圧力波形と一致する
    ように圧力制御する射出成形機において、成形条件を調
    整し、良成形品が得られる成形時における射出保圧工程
    時のスクリュー移動速度を基準スクリュー移動速度とし
    てスクリュー位置と共に検出して記憶手段にスクリュー
    位置と移動速度を対応させて記憶しておき、各射出保圧
    工程の射出開始毎、前記記憶されたスクリュー位置にな
    る毎に、その時検出されるスクリュー移動速度と前記記
    憶手段に記憶された対応する基準スクリュー移動速度と
    の差が設定許容誤差範囲内か否か検出し、設定許容誤差
    範囲を越えると射出異常のアラームを出力するようにし
    た射出成形機の射出異常検出方法。
  8. 【請求項8】 射出保圧工程を基準圧力波形と一致する
    ように圧力制御する射出成形機における射出異常検出装
    置であって、射出開始後の特定時点に対応してスクリュ
    ー移動速度の許容範囲を記憶する記憶手段と、スクリュ
    ー移動速度を検出する検出手段と、射出開始後上記特定
    時点における上記検出手段で検出される射出速度が上記
    記憶手段に記憶する許容範囲内か判別し、許容範囲外の
    ときにアラーム信号を出力する判別手段とを備えること
    を特徴とする射出成形機の射出異常検出装置。
  9. 【請求項9】 射出保圧工程を基準圧力波形と一致する
    ように圧力制御する射出成形機における射出異常検出装
    置であって、射出開始後の設定特定時点 に対応して基準
    となるスクリュー移動速度を記憶する記憶手段と、スク
    リュー移動速度を検出する検出手段と、射出開始後上記
    設定特定時点になる毎に上記検出手段で検出される射出
    速度と上記記憶手段に記憶する基準スクリュー移動速度
    との差を求め、該差が設定許容範囲外であるときにアラ
    ーム信号を出力する判別手段とを備えることを特徴とす
    る射出成形機の射出異常検出装置。
  10. 【請求項10】 射出保圧工程を基準圧力波形と一致す
    るように圧力制御する射出成形機における射出異常検出
    装置であって、スクリュー位置を検出する位置検出手段
    と、スクリュー移動速度を検出する速度検出手段と、ス
    クリュー位置に対応して良成形品を得る射出保圧工程時
    のスクリュー移動速度の許容範囲を記憶する記憶手段
    と、射出保圧工程の射出開始毎、前記記憶されたスクリ
    ュー位置が上記位置検出手段で検出される毎に、その時
    上記速度検出手段で検出されるスクリュー移動速度が前
    記記憶手段に記憶された対応するスクリュー移動速度許
    容範囲内にあるか否か判別し、設定許容範囲外であると
    射出異常のアラーム信号を出力する判別手段とを備えた
    射出成形機の射出異常検出装置。
  11. 【請求項11】 射出保圧工程を基準圧力波形と一致す
    るように圧力制御する射出成形機における射出異常検出
    装置であって、スクリュー位置を検出する位置検出手段
    と、スクリュー移動速度を検出する速度検出手段と、ス
    クリュー位置に対応して良成形品を得る射出保圧工程時
    のスクリュー移動速度と許容誤差範囲を記憶する記憶手
    段と、射出保圧工程の射出開始毎、前記記憶されたスク
    リュー位置が上記位置検出手段で検出される毎に、その
    時上記速度検出手段で検出されるスクリュー移動速度と
    前記記憶手段に記憶された対応するスクリュー移動速度
    の差を求め該差が設定されている許容誤差範囲内にある
    か否か判別し、設定許容誤差範囲外であると射出異常の
    アラーム信号を出力する判別手段とを備えた射出成形機
    の射出異常検出装置。
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