JP3466772B2 - 射出成形機の射出圧力制御方法 - Google Patents

射出成形機の射出圧力制御方法

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JP3466772B2 JP13890695A JP13890695A JP3466772B2 JP 3466772 B2 JP3466772 B2 JP 3466772B2 JP 13890695 A JP13890695 A JP 13890695A JP 13890695 A JP13890695 A JP 13890695A JP 3466772 B2 JP3466772 B2 JP 3466772B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形機の射出圧力
制御方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】特定の射出成形機で条件出しを行って適
切な成形条件を得た後、射出スクリュー径および使用対
象金型が同一の他の射出成形機に同じ成形条件を設定し
て射出成形作業を行う場合がある。しかし、このような
場合、同じ成形条件を適用したからといって、必ずしも
他の射出成形機による射出成形作業で良成形品が得られ
るとは限らない。射出成形作業において成形品の出来不
出来に最も大きな影響を与えるのは射出圧力波形、即
ち、射出圧力の時系列的変化であり、射出スクリュー径
を始めとする射出成形機の基本仕様や使用対象となる金
型が全く同一であっても、制御方式や制御系の相違によ
り射出圧力波形に差異を生じてしまうからである。
【0003】例えば、射出圧力を優先的に制御すること
によって射出工程を実施する射出成形機において射出圧
力をスクリュー位置に応じて切り替え制御する場合、応
答が遅い射出成形機では切替位置の前後で射出圧力が緩
慢に変化するのに対し、応答が速い射出成形機において
はその前後で射出圧力が比較的鋭敏に変化するので、同
じ成形条件、つまり、射出圧力やその切替位置を同じよ
うに設定して射出成形作業を行った場合でも、結果的
に、射出圧力波形に相当の差異を生じる場合がある。
【0004】また、良品成形時に検出された射出圧力波
形を基準射出圧力波形、即ち、成形条件そのものとして
制御装置に設定し、射出圧力のフィードバック制御を行
うようにした電動式射出成形機が既に提案されている
が、このようなフィードバック制御を行うような場合で
さえ、制御系の応答特性の相違によってオバーシュート
やアンダーシュート等は発生し、良品成形時に検出され
た射出圧力波形をそのまま再現することはなかなか難し
い。更に、射出速度を優先制御することによって射出成
形作業を行う射出成形機では、射出圧力に関するフィー
ドバック制御は行われず、当然、油圧式,電動式等の駆
動方式の相違や制御系の応答特性の相違による射出圧力
波形の相違は一層大きなものとなる。
【0005】従来、このような問題に対処するために
は、射出成形機に合わせて改めて射出圧力や射出速度お
よびその切替位置や基準となる射出圧力波形等の成形条
件を再調整する以外になく、射出成形作業の段取りに時
間がかかるといった問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の欠点を解消し、特定の射出成形機で条件出し
を行って得た成形条件を射出スクリュー径および使用対
象金型が同一の他の射出成形機に設定することにより、
条件出しで用いた射出成形機と同じ射出圧力波形を得る
ことのできる射出成形機の射出圧力制御方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、良成形品が得
られたときの射出圧力波形を基準射出圧力波形として保
存すると共に、そのときの成形条件を保存しておき、射
出スクリュー径および使用対象金型が同一の他の射出成
形機に前記基準射出圧力波形を記憶させ、該射出成形機
によって前記成形条件に基く射出成形作業を繰り返し行
わせながら、その都度射出圧力波形を検出し、該検出さ
れた射出圧力波形が前記記憶した基準射出圧力波形に一
致するように、前記射出成形機における制御系のゲイン
を自動調整することを特徴とする構成により前記目的を
達成した。
【0008】より具体的な方法としては、良品成形時の
射出成形作業で所定周期毎のサンプリング処理を行って
射出圧力のデータ列を求め、このデータ列を基準射出圧
力波形として保存する。また、射出スクリュー径および
使用対象金型が同一の他の射出成形機に同じ成形条件に
基く射出成形作業を行わせ、射出成形作業の度に、前記
所定周期毎に射出圧力のサンプリングを行って各時点に
おける射出圧力を検出し、該検出された射出圧力のデー
タ列を検出圧力波形とする。そして、基準射出圧力波形
と検出圧力波形の比較を行い、対応する各時点において
検出射出圧力波形の射出圧力が基準射出圧力波形の射出
圧力よりも高ければ該時点に対応する制御系のゲインを
所定量または圧力偏差に比例させて減少方向に補正し、
また、検出射出圧力波形の射出圧力が基準射出圧力波形
の射出圧力よりも低ければ該時点に対応する制御系のゲ
インを所定量または圧力偏差に比例させて増大方向に補
正し、該補正された制御系のゲインを前記所定周期毎に
対応させて射出成形機に記憶させる。次の射出成形作業
において、制御系のゲインを前記所定周期毎に補正ゲイ
ンに切り替えて射出成形作業を行い同様にゲインを補正
することにより、射出成形作業の実施の都度、射出圧力
波形を基準射出圧力波形に近付けて行く。
【0009】また、所定のサンプリング区間に対して検
出射出圧力波形と基準射出圧力波形との間の圧力偏差の
平均値を求め、該圧力偏差の平均値が所定の上限値より
も大きければ該区間に対応する制御系のゲインを所定量
または圧力偏差の平均値に比例させて減少方向に補正す
る一方、前記圧力偏差の平均値が所定の下限値よりも小
さければ該区間に対応する制御系のゲインを所定量また
は圧力偏差の平均値に比例させて増大方向に補正し、該
補正された制御系のゲインを前記所定のサンプリング区
間に対応させて射出成形機に記憶させることにより、補
正ゲインの記憶に必要とされるメモリ容量を削減する。
そして、次の射出成形作業において、制御系のゲインを
前記所定のサンプリング区間毎に補正ゲインに切り替え
て射出成形作業を行い同様にゲインを補正することによ
り、前記と同様、射出成形作業の実施の都度、射出圧力
波形を基準射出圧力波形に近付けて行く。
【0010】更に、射出圧力が基準射出圧力波形と一致
するように射出圧力をフィードバック制御する射出成形
機に対して前述の方法で射出圧力のフィードバック制御
のゲインを調整するようにすれば効果的である。
【0011】
【作用】本発明は、良成形品が得られたときの射出圧力
波形を基準射出圧力波形として保存すると共に、そのと
きの成形条件を保存しておき、射出スクリュー径および
使用対象金型が同一の他の射出成形機に前記基準射出圧
力波形を記憶させ、該射出成形機によって前記成形条件
に基く射出成形作業を繰り返し行わせながら、その都度
射出圧力波形を検出し、該検出された射出圧力波形が前
記記憶した基準射出圧力波形に一致するように、前記射
出成形機における制御系のゲインを自動調整するもので
ある。
【0012】良品成形時の射出成形作業で所定周期毎の
サンプリング処理を行って射出圧力のデータ列を求め、
このデータ列を基準射出圧力波形として成形条件と共に
保存する。
【0013】その後、射出スクリュー径および使用対象
金型が同一の他の射出成形機に前記成形条件を設定して
射出成形作業を繰り返し行わせ、射出成形作業の度に、
前記所定周期毎に射出圧力のサンプリングを行って各時
点における射出圧力を検出し、該検出された射出圧力の
データ列を検出射出圧力波形として一時記憶する。対応
する各時点において検出射出圧力波形の射出圧力が基準
射出圧力波形の射出圧力よりも高ければ該時点に対応す
る制御系のゲインを所定量または圧力偏差に比例させて
減少方向に補正し、また、検出射出圧力波形の射出圧力
が基準射出圧力波形の射出圧力よりも低ければ該時点に
対応する制御系のゲインを所定量または圧力偏差に比例
させて増大方向に補正し、該補正された制御系のゲイン
を前記所定周期毎に対応させて射出成形機に記憶させ、
次の射出成形作業においては制御系のゲインを前記所定
周期毎に補正ゲインに切り替えて射出成形作業を行う。
【0014】以下、射出成形作業の度に前記と同様の操
作を繰り返すことにより、射出圧力波形が基準射出圧力
波形に近付くように各時点毎の制御系のゲインを自動調
整し、最終的に、射出圧力波形を基準射出圧力波形に一
致させる。
【0015】また、所定のサンプリング区間に対して検
出射出圧力波形と基準射出圧力波形との間の圧力偏差の
平均値を求め、該圧力偏差の平均値と所定の上限値およ
び下限値との関係により前記所定のサンプリング区間毎
に制御系のゲインを補正するようにすれば、補正ゲイン
の記憶に必要とされるメモリ容量を削減することができ
る。
【0016】射出速度を優先制御する射出成形機におい
て速度ループのゲインのみを調整することによって射出
圧力波形を基準射出圧力波形に一致させることも可能で
あるが、射出圧力が基準射出圧力波形と一致するように
射出圧力をフィードバック制御する射出成形機に対して
射出圧力のフィードバック制御ゲインを調整するように
すれば、各時点での圧力偏差が実射出圧力の過不足を直
接補償するように作用するので、更に効果的である。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明を適用した一実施例の射出成形機の
要部を示すブロック図である。符号33は固定プラテ
ン、符号32は可動プラテン、符号34は射出シリン
ダ、符号35は射出スクリューであり、固定プラテン3
3と可動プラテン32との間には金型39が装着されて
いる。可動プラテン32は、型締め用サーボモータM1
の軸出力により、ボールナット&スクリューやトグル機
構等からなる型締め機構31を介し、従来と同様、射出
成形機のタイバーに沿って移動されるようになってい
る。また、射出スクリュー35は、駆動源の軸回転を射
出軸方向の直線運動に変換するための駆動変換装置37
を介して射出用サーボモータM2により軸方向に駆動さ
れ、また、歯車機構36を介してスクリュー回転用モー
タM3により計量回転される。
【0018】そして、射出スクリュー35の基部にはロ
ードセル等からなる圧力検出器38が設けられ、射出ス
クリュー35の軸方向に作用する樹脂圧力、即ち、射出
保圧工程における射出保圧圧力や計量混練り工程におけ
るスクリュー背圧が検出されるようになっている。無
論、射出シリンダ34内に内圧センサを設けてロードセ
ル等からなる圧力検出器38に代えてもよいし、また、
射出保圧圧力のみを検出するのであれば(背圧を検出し
ない場合)、金型39内の内圧センサ等を用いるように
してもよい。
【0019】射出用サーボモータM2には射出スクリュ
ー35の位置や移動速度を検出するためのパルスコーダ
P2が配備され、また、型締め用サーボモータM1の側
には、可動プラテン32を駆動する型締め機構31のト
グルヘッドの位置を検出するためのパルスコーダP1が
配備されている。これらはいずれも公知の構成要素であ
る。
【0020】射出成形機を駆動制御する制御装置10
は、数値制御用のマイクロプロセッサであるCNC用C
PU25、プログラマブルマシンコントローラ用のマイ
クロプロセッサであるPMC用CPU18、サーボ制御
用のマイクロプロセッサであるサーボCPU20、なら
びに、A/D変換器16および圧力検出器38を介して
射出保圧圧力やスクリュー背圧のサンプリング処理を行
うための圧力モニタ用CPU17を有し、バス22を介
して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロ
セッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0021】PMC用CPU18には射出成形機のシー
ケンス動作を制御するシーケンスプログラム等を記憶し
たROM13および演算データの一時記憶等に用いられ
るRAM14が接続され、CNC用CPU25には、射
出成形機を全体的に制御するプログラム等を記憶したR
OM27および演算データの一時記憶等に用いられるR
AM28が接続されている。
【0022】また、サーボCPU20および圧力モニタ
用CPU17の各々には、サーボ制御専用の制御プログ
ラムを格納したROM21やデータの一時記憶に用いら
れるRAM19、および、射出保圧圧力のサンプリング
処理等に関する制御プログラムを格納したROM11や
データの一時記憶に用いられるRAM12が接続されて
いる。更に、サーボCPU20には、該CPU20から
の指令に基いてエジェクタ用(図示せず),型締め用,
射出用およびスクリュー回転用等の各軸のサーボモータ
を駆動するサーボアンプ15が接続され、型締め用サー
ボモータM1に配備したパルスコーダP1および射出用
サーボモータM2に配備したパルスコーダP2からの出
力の各々がサーボCPU20に帰還され、パルスコーダ
P1からのフィードバックパルスに基いてサーボCPU
20により算出された型締め機構31のトグルヘッドの
現在位置や、パルスコーダP2からのフィードバックパ
ルスに基いてサーボCPU20により算出されたスクリ
ュー35の移動速度およびその現在位置が、RAM19
の現在位置記憶レジスタおよび現在速度記憶レジスタの
各々に逐次更新記憶されるようになっている。
【0023】インターフェイス23は射出成形機30の
各部に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を
受信したり射出成形機30の周辺機器等に各種の指令を
伝達したりするための入出力インターフェイスであり、
更に、ディスクコントローラやフロッピーディスク等か
らなる外部記憶装置を接続することにより、後述する不
揮発性メモリ24と外部記憶装置との間で成形条件等に
関するデータの入出力操作が行えるようになっている。
ディスプレイ付手動データ入力装置29はCRT表示回
路26を介してバス22に接続され、データ設定画面や
モニタ表示画面等を始めとする各種の表示画面の選択操
作および各種データの入力操作等が行えるようになって
おり、数値データ入力用のテンキーおよび各種のファン
クションキーやカーソル移動用のカーソル移動キー等を
備える。
【0024】不揮発性メモリ24は射出成形作業に関連
する各種設定値,パラメータ,マクロ変数等を記憶する
成形データ保存用のメモリであり、また、インターフェ
イス23を介して外部記憶装置から入力された成形条件
および基準射出圧力波形(サンプリングされた射出保圧
圧力のデータ列)等もこの不揮発性メモリ24に記憶さ
れる。
【0025】以上の構成により、CNC用CPU25が
ROM27の制御プログラムや不揮発性メモリ24の成
形条件等に基いて各軸のサーボモータに対してパルス分
配を行い、サーボCPU20は各軸に対してパルス分配
された移動指令とパルスコーダP1,P2等の検出器で
検出された位置のフィードバック信号および速度のフィ
ードバック信号に基いて位置ループ制御,速度ループ制
御さらには電流ループ制御等のサーボ制御を行い、いわ
ゆるディジタルサーボ処理を実行する。
【0026】また、射出成形作業の射出保圧工程におい
て、予め設定された基準射出圧力波形を再現すべく射出
保圧圧力をフィードバック制御する場合には、良品成形
時における所定のサンプリング周期毎に射出スクリュー
35の移動速度、および、その時点で射出スクリュー3
5に作用している基準射出圧力波形を求めておき、これ
らを重畳して指令値とすることによって射出速度のクロ
ーズドループ制御および射出保圧圧力のクローズドルー
プ制御を行って基準射出圧力波形に匹敵する射出保圧圧
力を得るようにする場合と、良品成形時におけるサンプ
リング周期毎に射出保圧圧力、即ち、基準射出圧力波形
だけを求めておいて射出保圧圧力のクローズドループ制
御を行うことで基準射出圧力波形に匹敵する射出保圧圧
力を得るようにする場合とがある。
【0027】いずれの場合も、射出スクリュー35の移
動速度および射出保圧圧力の時系列データは良品成形時
におけるサンプリング処理でフロッピーディスク等に格
納しておき、射出スクリュー径および使用対象金型が同
一の他の射出成形機によって同じ射出成形作業を行う場
合には、これらのデータをディスクコントローラやイン
ターフェイス23を介して他の射出成形機の不揮発性メ
モリ24に成形条件として設定するようにする。なお、
前者の場合では射出スクリュー35の移動速度と基準射
出圧力波形が成形条件の一部となり、後者の場合には基
準射出圧力波形が成形条件の一部となる。なお、射出保
圧動作に関わる成形条件としては、この他にもスクリュ
ーバック位置やクッション量等がある。
【0028】図2は速度指令によるスクリュー移動速度
のクローズドループ制御と基準射出圧力波形による射出
保圧圧力のクローズドループ制御を重畳して実施する駆
動制御の概略を示すブロック図である。図2におけるV
はCNC用CPU25からサーボCPU20に与えられ
る所定周期毎の速度指令、また、PはCNC用CPU2
5からサーボCPU20に与えられる所定周期毎の射出
保圧圧力指令である。なお、この実施例に関していえ
ば、速度指令および射出保圧圧力指令を切り替える所定
周期と前述の圧力モニタ用CPU17によるサンプリン
グ周期とは同一であり、速度指令および射出保圧圧力指
令の時系列データ(基準射出圧力波形)は、既に述べた
ようにして、成形条件の一部として外部記憶装置等から
不揮発性メモリ24に入力される。
【0029】サーボCPU20は、基本的に、CNC用
CPU25から与えられる速度指令Vと射出用サーボモ
ータM2のパルスコーダP2からの速度帰還信号とに基
いてサーボアンプ15を介して射出用サーボモータM2
の速度制御を行うが、その時点で圧力検出器38により
検出されている検出射出保圧圧力とCNC用CPU25
から与えられている指令射出保圧圧力Pとの間に偏差が
あれば、この偏差に所定の比例ゲインKを乗じた値を補
正値として速度指令Vに加算し、速度ループへの速度指
令とし、圧力検出器38により検出される射出保圧圧力
がCNC用CPU25から与えられる指令射出保圧圧力
P(基準射出圧力波形)に一致するように射出用サーボ
モータM2の速度制御を行う。このような制御系では、
後述するゲイン調整処理において、射出保圧圧力のフィ
ードバック制御に関わる比例ゲインKと速度ループにお
ける比例ゲインとが圧力波形一致のための補正対象ゲイ
ンとして扱われる。なお、いずれか一方のゲイン調整だ
けでも本発明による圧力波形一致の効果は期待できる。
【0030】また、図3は基準射出圧力波形だけを求め
ておいて射出保圧圧力のクローズドループ制御を行うこ
とで基準射出圧力波形に匹敵する射出保圧圧力を得る駆
動制御の概略を示すブロック図である。この場合、速度
指令Vは用いず、射出保圧圧力指令Pと圧力検出器38
により検出される検出射出保圧圧力との偏差のみに基い
て射出保圧圧力のフィードバック制御が行われることに
なる。このような制御系では、後述するゲイン調整処理
において、射出保圧圧力のフィードバック制御に関わる
圧力ループの比例ゲインのみが圧力波形一致のための補
正対象ゲインとして扱われる。
【0031】以上、射出保圧圧力をフィードバック制御
する場合について図2および図3を参照して簡単に説明
したが、従来と同様に速度指令Vのみによる速度のフィ
ードバック制御を行うことも可能であり、その場合に
は、後述するゲイン調整処理において、速度ループの比
例ゲインを圧力波形一致のための補正対象ゲインとして
扱うことにより、本発明による圧力波形一致の効果を期
待することができる。この場合、最初の射出成形機によ
る条件出しの段階においても、また、射出スクリュー径
が同一の他の射出成形機に同一金型を換装して射出成形
作業を行う場合においても、指令値として必要となるの
は速度指令のみである。しかし、射出スクリュー径が同
一の他の射出成形機に同一金型を換装して射出成形作業
を行う場合に実施される後述のゲイン調整処理において
ゲイン調整のための比較対象となる基準射出圧力波形が
必要となるから、最初の射出成形機による良品成形時の
サンプリング処理においては、射出保圧圧力の時系列デ
ータ、即ち、基準射出圧力波形を必ず求めておく必要が
ある。
【0032】図6は外部記憶装置等から入力された基準
射出圧力波形を記憶するために不揮発性メモリ24内に
設けられた波形記憶ファイルの一例であり、この波形記
憶ファイルには、少なくとも、射出成形作業の条件出し
を行った最初の射出成形機で検出された射出保圧圧力の
サンプリングデータp0iがサンプリング周期のアドレ
スiに対応して時系列的に記憶される。これが基準射出
圧力波形であり、その一例を図7において細い実線の線
図で示す。
【0033】また、波形記憶ファイルにおけるゲインの
欄には、外部記憶装置等から基準射出圧力波形が入力さ
れたとき、該基準射出圧力波形が得られたときのゲイン
が基準射出圧力波形と共に次の射出成形機に移し換えら
れる。この補正ゲインをゲインの初期値として該次の射
出成形機による射出成形作業を開始してもよいが、当該
射出成形機の標準となる基準ゲインを設定して射出成形
作業を開始させるようにしてもよい。
【0034】以下、PMC用CPU18によって実施さ
れる図4のゲイン調整処理を参照して本実施例における
処理動作を説明する。
【0035】ゲイン調整処理を開始したPMC用CPU
18は、まず、インターフェイス23を介し、射出スク
リュー径が同一の他の射出成形機による良品成形時のサ
ンプリング処理で得られた基準射出圧力波形とその時の
成形条件(ゲインを含む)とを読み込んで不揮発性メモ
リ24の波形記憶ファイルおよび成形条件記憶ファイル
に格納してゲインを変更し、また、ゲインを初期設定す
る場合には波形記憶ファイルのゲインの欄にゲインを書
き替える(ステップA1)。次いで、PMC用CPU1
8は、成形条件記憶ファイルに格納された成形条件と波
形記憶ファイルに書き込まれたゲインとに基き、サンプ
リング周期毎に制御系のゲインを切り替えながら1回の
射出成形作業と射出保圧圧力のサンプリング処理を実行
し、これによって得た射出保圧圧力のデータ列を図6と
同様の構成(但しゲインの欄は備えていない)を有する
現在値記憶ファイルに書き込む(ステップA2)。既に
述べた通り、射出成形作業における射出保圧工程は、射
出スクリュー35の移動速度および基準射出圧力波形を
重畳して指令値とすることによって射出速度および射出
保圧圧力のクローズドループ制御を行う場合と、基準射
出圧力波形を指令値として射出保圧圧力のクローズドル
ープ制御を行う場合、および、速度指令のみによる速度
のフィードバック制御を行う場合とがあるが、いずれの
場合も、射出保圧圧力を所定周期で検出して現在値記憶
ファイルに時系列で書き込むことは圧力モニタ用CPU
17の処理によって実施することができる。射出保圧圧
力のサンプリングデータによって形成される射出保圧圧
力波形の一例を図7において太い実線の線図で示す。
【0036】1回の射出成形作業と射出保圧圧力のサン
プリング処理を終了したPMC用CPU18は、ファイ
ル検索指標iおよびエラー検出フラグFを零に初期化し
た後(ステップA3)、ファイル検索指標iの値を1イ
ンクリメントし(ステップA4)、該指標iの値が波形
記憶ファイルにおける最終サンプリングデータのアドレ
ス対応値nを越えているか否かを判別する(ステップA
5)。指標iの値がnを越えていなければ、PMC用C
PU18は波形記憶ファイルおよび現在値記憶ファイル
の第iアドレスから基準射出圧力波形のデータp0i
と、これに対応して得た今回の射出成形作業における射
出保圧圧力のデータpiとを読み込み(ステップA
6)、両者間の圧力偏差の大きさ|p0i−pi|を求
め、この圧力偏差の大きさが許容値εの範囲内にあるか
否かを判別する(ステップA7)。
【0037】そして、圧力偏差の大きさ|p0i−pi
|が許容値εを越えていれば、PMC用CPU18は圧
力偏差(p0i−pi)に所定の比例係数α(但し、α
>0)を乗じて補正量を求め、当該サンプリング周期に
対応して波形記憶ファイルの第iアドレスに記憶されて
いるゲインGiから前記補正量を加算して新たなゲイン
Giを求め、その値を波形記憶ファイルの第iアドレス
に更新記憶して(ステップA8)、エラー検出フラグF
をセットする(ステップA9)。
【0038】今回の射出成形作業における射出保圧圧力
のデータpiが基準射出圧力波形のデータp0iに満た
ない場合にはp0i−pi>0となるからゲインGiは
その値が増大する方向に補正され、また、piがp0i
を越えている場合にはp0i−pi<0となるからゲイ
ンGiはその値が減少する方向に補正されることにな
る。この実施例では圧力偏差の大きさに比例させてゲイ
ンの補正量を決めるようにしているが、α(p0i−p
i)に換えて定数項(但し、定数項>0)を用いるよう
にしてもよく、その場合は、p0iとpiとの大小関係
に応じて、加算(p0i>piのとき)または減算(p
0i<piのとき)の一方を選択するようにする。
【0039】既に述べた通り、基準射出圧力波形だけを
求めておいて射出保圧圧力のクローズドループ制御を行
う場合では圧力ループの比例ゲインK(=Gi)を調整
し、射出速度のクローズドループ制御のみを行う場合で
は速度ループの比例ゲイン(=Gi)を調整する。ま
た、射出スクリュー35の移動速度および基準射出圧力
を重畳して指令値とすることによって射出速度のクロー
ズドループ制御および射出保圧圧力のクローズドループ
制御を行っている場合では、圧力ループの比例ゲインK
または速度ループの比例ゲインのいずれか一方のみをゲ
インGiとして調整することも、また、両者を同時に調
整することも可能である。両者を同時に調整する場合に
は各ゲインGi1(=K),Gi2(速度ループの比例
ゲイン)の各々に対して比例係数α1,α2、または、
定数項1,定数項2を決めておき、各ゲインGi1,G
i2の各々に対してステップA8の処理を行うようにす
る。
【0040】また、ステップA7の判別結果が真となっ
た場合は圧力偏差の大きさが許容範囲内にあることを意
味するので、ゲイン調整やエラー検出フラグFのセット
に関わるステップA8,ステップA9の処理は非実行と
される。
【0041】以下、PMC用CPU18は、ファイル検
索指標iの値が最終サンプリングデータのアドレス対応
値nを越えるまでの間、前記と同様にしてステップA4
以降の処理を繰り返し実行し、圧力偏差の大きさ|p0
i−pi|が許容値εを越えるサンプリング時に対応す
るゲインGiの値を全て調整して波形記憶ファイルの第
iアドレスに更新記憶させ、圧力偏差の大きさ|p0i
−pi|が許容値εを越えるサンプリング時が検出され
次第エラー検出フラグFをセットする。
【0042】そして、このような処理を繰り返し実行す
る間にファイル検索指標iの値が最終サンプリングデー
タのアドレス対応値nを越えると、PMC用CPU18
は、エラー検出フラグFがセットされているか否か、即
ち、圧力偏差の大きさ|p0i−pi|が許容値εを越
えるサンプリング時が1つでも検出されているか否かを
判別する(ステップA10)。
【0043】エラー検出フラグFがセットされている場
合には、今回の射出成形作業によって得られた射出保圧
圧力波形が基準射出圧力波形と十分に一致せず、ゲイン
調整が行われたことを意味するので、PMC用CPU1
8は、成形条件記憶ファイルに格納された成形条件と今
回のゲイン調整処理で波形記憶ファイルに更新記憶され
たゲインとに基き、再びステップA2以降の処理を繰り
返し実行することになる。
【0044】以下、PMC用CPU18は、圧力偏差の
大きさ|p0i−pi|が許容値εを越えるサンプリン
グ時が全く検出されなくなるまでの間、成形条件記憶フ
ァイルに格納された成形条件と直前のゲイン調整処理で
波形記憶ファイルに更新記憶されたゲインとに基いてス
テップA2以降の処理を繰り返し実行する。最終的に、
直前の射出成形作業によって得られた射出保圧圧力波形
と基準射出圧力波形とが一致してゲイン調整が完了する
とエラー検出フラグFはセットされなくなり、ステップ
A10の判別結果が真となってゲイン調整処理が完了す
る。
【0045】なお、圧力偏差の大きさ|p0i−pi|
が許容値εを越えるサンプリング時がC0回まで検出さ
れてもこれを射出保圧圧力波形と基準射出圧力波形の一
致として見做すようにするのであれば、エラー検出フラ
グFの代わりにカウンタCを用い、ステップA3,ステ
ップA9,ステップA10の各処理で、C←0,C←C
+1,C≦C0とすればよい。
【0046】最後に波形記憶ファイルに記憶されたゲイ
ンGiの値はこの射出成形機の特性を最初の条件出しに
用いた射出成形機の特性に合致させるための制御パラメ
ータであり、この射出成形機の固有名称や金型番号等に
対応してそのまま不揮発性メモリ24内に保存される。
従って、再び同じ射出成形機と金型によって射出成形作
業を行う場合には、この射出成形機の固有名称等を指定
してゲインGiを呼び出し、この射出成形機による条件
出しで得た成形条件を設定してサンプリング周期毎に制
御系のゲインを切り替えながら射出成形作業を開始すれ
ばよく、改めて前述のゲイン調整処理を行う必要はな
い。この場合、速度および圧力ループのフィードバック
制御または圧力ループのみのフィードバック制御を行う
場合には目標値としての基準射出圧力波形が必要だが、
速度ループのフィードバック制御のみで射出制御を実施
している場合には基準射出圧力波形は不要である(速度
ループのみの制御では圧力のフィードバック制御は行わ
れないので、改めてゲイン調整処理を実施しない限り基
準射出圧力波形を設定しても意味がない)。
【0047】以上に述べた通り、本実施例によれば、ス
クリュー径が同一の他の射出成形機に同じ金型を換装し
て射出成形作業を行う際、最初の射出成形機で条件出し
を行って得た成形条件とそのときに得た基準射出圧力波
形のデータ(更にはゲイン)とをスクリュー径が同一の
他の射出成形機に移し換えるだけで、成形条件を全く操
作することなく、ゲイン調整だけで基準射出圧力波形を
正確に再現することができる。この結果、金型を積み替
えて射出成形作業を行う際にその射出成形機の特性や制
御系のゲインのばらつき等に合わせて改めて条件出しを
行うといった煩わしさは解消され、また、最初に得た成
形条件が不適当に改竄されるといった問題も解消され
る。無論、同一スクリュー径の他の射出成形機に金型を
積み替えて射出成形作業を開始する場合には、ゲイン調
整処理によって適確なゲインを設定するための射出成形
作業を何回か必要とするが、このゲイン調整処理は射出
保圧圧力波形を基準射出圧力波形に正確に一致させて良
品を得るためのものであるから、通常の条件出し作業と
は相違し、ゲイン調整処理が完了した時点で成形品の良
否をオペレータ自らが判別する必要は全くない(射出保
圧圧力波形が基準射出圧力波形に一致すれば良品が生産
される)。つまり、オペレータの製品判定能力に問題が
あるような場合であっても、射出スクリュー径が同一の
他の射出成形機に金型を換装して簡単に射出成形作業を
開始することができるということである。
【0048】更に、波形記憶ファイルに記憶されたゲイ
ンGiは、最初に条件出しを行った射出成形機の特性と
現在使用している射出成形機の特性とを対応付ける制御
パラメータとしても見ることができる。従って、例え
ば、最初の射出成形機による条件出しの段階で基準射出
圧力波形のサンプリング処理が行われていない場合、つ
まり、目標値となる射出保圧圧力波形が自明でない場合
であっても、過去において前記最初の射出成形機で使用
された金型を1つでもよいからこの射出成形機で成形し
た経験が有り、そのときのゲイン調整処理で得られたゲ
インGiがこの射出成形機に保存されているならば、現
在使用している金型の基準射出圧力波形が判らない場合
でも、このゲインGiと前記最初の射出成形機で使用し
た成形条件とを併用して射出成形作業を行うことによ
り、正常な成形品を得られる確率が高くなる。
【0049】図5に示す処理はゲイン調整処理の他の実
施例を示すもので、図8に示されるように、所定のサン
プリング区間に亘って基準射出圧力波形と検出射出保圧
圧力波形との間の圧力偏差の平均を求め、この平均値に
対応して各区間毎に制御系のゲインを調整するようにし
ている。従って、基準射出圧力波形と検出射出保圧圧力
波形との間の圧力偏差をサンプリング時毎に対応して求
めてその各々に対して補正ゲインGiを設定する前記実
施例に比べ、記憶すべき補正ゲインの個数が少なくて済
む。以下、図5を参照してこの実施例を簡単に説明す
る。
【0050】ゲイン調整処理を開始したPMC用CPU
18は、まず、インターフェイス23を介し、射出スク
リュー径が同一の他の射出成形機による良品成形時のサ
ンプリング処理で得られた基準射出圧力波形とその時の
成形条件(ゲインを含む)とを読み込んで不揮発性メモ
リ24の波形記憶ファイルおよび成形条件記憶ファイル
に格納する。なお、ゲインを新たに設定する場合には、
サンプリング区間毎のゲインを順番に記憶する不揮発性
メモリ24のゲイン記憶ファイルに制御系のゲインを設
定して書き替える(ステップB1)。
【0051】次いで、PMC用CPU18は、成形条件
記憶ファイルに格納された成形条件とゲイン記憶ファイ
ルに書き込まれたゲインとに基き、設定サンプリング回
数毎に制御系のゲインを切り替えながら1回の射出成形
作業と射出保圧圧力のサンプリング処理を実行し、これ
によって得た射出保圧圧力のデータ列を現在値記憶ファ
イル(図6からゲインの欄を除いたもの)に書き込む
(ステップB2)。前述の設定サンプリング回数とは基
準射出圧力波形と検出射出保圧圧力波形との間の圧力偏
差の平均を求めるサンプリング区間の終了時点に対応す
るサンプリング周期であり、射出保圧全区間のサンプリ
ング回数を分割し、第1区間はサンプリング回数m1,
第2区間はサンプリング回数m2,・・・第j区間はサ
ンプリング回数mjとして設定される。そして、PMC
用CPU18は、このサンプリング回数を検出する度に
ゲイン記憶ファイルから設定ゲインの値を順番に読み込
み、制御系のゲインをその値に切り替える操作を行うの
である。
【0052】1回の射出成形作業と射出保圧圧力のサン
プリング処理を終了したPMC用CPU18は、ファイ
ル検索指標i,積算制限カウンタk,エラー検出フラグ
Fを零に初期化して区間指定指標jに1を初期設定した
後(ステップB3)、ファイル検索指標iおよび積算制
限カウンタkの値を1インクリメントし(ステップB
4)、ファイル検索指標iの値が波形記憶ファイルにお
ける最終サンプリングデータのアドレス対応値nを越え
ているか否かを判別する(ステップB5)。指標iの値
がnを越えていなければ、PMC用CPU18は波形記
憶ファイルおよび現在値記憶ファイルの第iアドレスか
ら基準射出圧力波形のデータp0iと、これに対応して
得た今回の射出成形作業における射出保圧圧力のデータ
piとを読み込み(ステップB6)、両者間の圧力偏差
(p0i−pi)を求め、この値を初期値が零の積算偏
差記憶レジスタEに加算記憶する(ステップB7)。
【0053】次いで、PMC用CPU18は、積算制限
カウンタkの値が番号jのサンプリング区間に対するサ
ンプリング回数mjの値(設定値)に達しているか否か
を判別し(ステップB8)、積算制限カウンタkの値が
サンプリング回数mjの値に達していなければ、以下、
PMC用CPU18はステップB4〜ステップB8まで
の処理を前記と同様にして繰り返し実行し、番号jのサ
ンプリング区間の全サンプリング時に亘って、基準射出
圧力波形と検出射出保圧圧力波形との間の圧力偏差を積
算偏差記憶レジスタEに加算記憶して行く。図8では番
号j=3のサンプリング区間に対して圧力偏差の積算値
を求めた場合の例を示しており、ハッチングが施されて
いる部分が圧力偏差(p0i−pi)の積算値に相当す
る。
【0054】このような処理を繰り返し実行する間に積
算制限カウンタkの値がサンプリング回数mjの値に達
し、番号jのサンプリング区間の全ての圧力偏差が積算
偏差記憶レジスタEに加算記憶されると、PMC用CP
U18はレジスタEの値を当該サンプリング区間のサン
プリング回数mjで除して圧力偏差の平均値eを求め、
この平均値eの大きさが許容値εの範囲内にあるか否か
を判別する(ステップB10)。
【0055】そして、平均値の大きさ|e|が許容値ε
を越えていれば、PMC用CPU18は圧力偏差の平均
値eに所定の比例係数α(但し、α>0)を乗じて補正
量を求め、番号jのサンプリング区間に対応してゲイン
記憶ファイルに記憶されているゲインGjから前記補正
量を加算して新たなゲインGjを求め、その値をゲイン
記憶ファイルの対応領域に更新記憶して(ステップB1
0)、エラー検出フラグFをセットする(ステップB1
2)。
【0056】番号jのサンプリング区間において今回の
射出成形作業の射出保圧圧力のデータpiの値が基準射
出圧力波形のデータp0iの値に比べて全体として低け
ればe>0となるからゲインGjはその値が増大する方
向に補正され(図8の例)、また、piの値がp0iの
値に比べて全体として高ければe<0となるからゲイン
Gjはその値が減少する方向に補正されることになる。
α・eに換えて定数項を用いてもよい点、制御方式に応
じてゲインGjの種類が単数または複数となる場合があ
る点などに関しては前記実施例と同様である。
【0057】また、ステップB10の判別結果が真とな
った場合は圧力偏差の平均が許容範囲内にあることを意
味するので、ゲイン調整やエラー検出フラグFのセット
に関わるステップB11,ステップB12の処理は非実
行とされる。
【0058】このようにして番号jのサンプリング区間
に対する補正ゲインを求めたPMC用CPU18は、区
間指定指標jを1インクリメントして次の番号のサンプ
リング区間に対応させ(ステップB13)、積算偏差記
憶レジスタEと積算制限カウンタkを零に初期化した後
(ステップB14)、再びステップB4の処理に移行し
て前記と同様の処理を繰り返し実行して、番号jのサン
プリング区間に対応する補正ゲインの値Gjを順次求め
て、このサンプリング区間に対応させてゲイン記憶ファ
イルに順番に記憶させて行く。
【0059】そして、最終的に、ファイル検索指標iの
値が最終サンプリングデータのアドレス対応値nを越え
ると、PMC用CPU18は、エラー検出フラグFがセ
ットされているか否か、即ち、平均的な圧力偏差の大き
さ|e|が許容値εを越えるサンプリング区間が1つで
も検出されているか否かを判別することになる(ステッ
プB15)。
【0060】エラー検出フラグFがセットされている場
合には、今回の射出成形作業によって得られた射出保圧
圧力波形が基準射出圧力波形と十分に一致せず、ゲイン
調整が不十分であることを意味するので、PMC用CP
U18は、成形条件記憶ファイルに格納された成形条件
と今回のゲイン調整処理でゲイン記憶ファイルに更新記
憶されたゲインとに基き、再びステップB2以降の処理
を繰り返し実行する。
【0061】以下、PMC用CPU18は、平均的な圧
力偏差の大きさ|e|が許容値εを越えるサンプリング
区間が全く検出されなくなるまでの間、成形条件記憶フ
ァイルに格納された成形条件と直前のゲイン調整処理で
ゲイン記憶ファイルに更新記憶されたゲインとに基いて
ステップB2以降の処理を繰り返し実行する。そして、
最終的に、直前の射出成形作業によって得られた射出保
圧圧力波形と基準射出圧力波形とが一致してゲイン調整
が完了すると、エラー検出フラグFはセットされなくな
り、ステップB15の判別結果が真となってゲイン調整
処理が完了することになる。
【0062】その他、この実施例の作用効果に関して
は、最初の実施例で説明したものと同様である。
【0063】図5に示した実施例では、射出保圧工程の
全区間を埋めるようにして任意数任意幅の組み合わせの
サンプリング区間を設定するようにしているが、製品の
出来不出来に大きな影響を与えるような区間に対しての
みサンプリング区間を設定し、この区間に対してのみゲ
インの自動調整作業を行わせるようにしてもよい。
【0064】
【発明の効果】本発明による射出成形機の射出圧力制御
方法は、良成形品が得られたときの射出圧力波形を基準
射出圧力波形として成形条件と共に保存しておき、射出
スクリュー径が等しい他の射出成形機で同じ金型を成形
する際には、その射出成形機によって最初の成形条件に
基く射出成形作業を繰り返し行わせ、その都度射出圧力
波形を検出して、その検出射出圧力波形が基準射出圧力
波形と一致するように射出成形機自体の制御系のゲイン
を自動調整するようにしたので、射出成形機毎に応答特
性のばらつきがあるような場合であっても、射出スクリ
ュー径さえ同一であれば、他の射出成形機による最初の
条件出しで用いたものと同じ成形条件によって同じ射出
圧力波形を得て適確な射出成形作業を行わせることがで
きる。従って、良品を得るために同一の金型に対して射
出成形機毎に条件出し作業を行うといった煩わしさが解
消され、また、一旦求めた成形条件が不適当に改竄され
てしまうといった間違いもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例の射出成形機の要部
を示すブロック図である。
【図2】射出保圧圧力のクローズドループ制御の一例を
示すブロック図である。
【図3】射出保圧圧力のクローズドループ制御の他の一
例を示すブロック図である。
【図4】射出成形機の制御装置によるゲイン調整処理の
実施例を示すフローチャートである。
【図5】射出成形機の制御装置によるゲイン調整処理の
他の実施例を示すフローチャートである。
【図6】基準射出圧力波形を記憶する波形記憶ファイル
を示す概念図である。
【図7】基準射出圧力波形と検出射出保圧圧力波形の関
係を例示した概念図である。
【図8】基準射出圧力波形と検出射出保圧圧力波形の関
係を例示した概念図である。
【符号の説明】
10 制御装置 15 サーボアンプ 17 圧力モニタ用CPU 18 PMC用CPU 20 サーボCPU 24 不揮発性メモリ 25 CNC用CPU 35 スクリュー 38 圧力検出器 M2 射出用サーボモータ P2 パルスコーダ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−192969(JP,A) 特開 平6−182842(JP,A) 特開 平7−308946(JP,A) 特開 平8−207095(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 45/00 - 45/84 B22D 17/32

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 良成形品が得られたときの射出圧力波形
    を基準射出圧力波形として保存すると共に、そのときの
    成形条件を保存しておき、射出スクリュー径および使用
    対象金型が同一の他の射出成形機に前記基準射出圧力波
    形を記憶させ、該射出成形機によって前記成形条件に基
    く射出成形作業を繰り返し行わせながら、その都度射出
    圧力波形を検出し、該検出された射出圧力波形が前記記
    憶した基準射出圧力波形に一致するように、前記射出成
    形機における制御系のゲインを自動調整するようにした
    ことを特徴とする射出成形機の射出圧力制御方法。
  2. 【請求項2】 良成形品が得られたときの成形条件と、
    そのときの射出成形作業で所定周期毎のサンプリング処
    理を行って得た射出圧力のデータ列によって構成される
    基準圧力波形とを保存しておき、射出スクリュー径およ
    び使用対象金型が同一の他の射出成形機に前記基準射出
    圧力波形を記憶させ、該射出成形機によって前記成形条
    件に基く射出成形作業を繰り返し行わせながら、その都
    度前記所定周期毎に射出圧力のサンプリングを行って各
    時点における射出圧力を検出し、該検出された射出圧力
    が該時点に対応するデータ列の射出圧力よりも高ければ
    該時点に対応する制御系のゲインを所定量または圧力偏
    差に比例させて減少方向に補正する一方、前記検出した
    射出圧力が該時点に対応するデータ列の射出圧力よりも
    低ければ該時点に対応する制御系のゲインを所定量また
    は圧力偏差に比例させて増大方向に補正し、該補正され
    た制御系のゲインを前記所定周期毎に対応させて記憶さ
    せ、次の射出成形作業においては制御系のゲインを前記
    所定周期毎に前記補正されたゲインに切り替えて射出成
    形作業を行い同様にゲインを補正することにより、前記
    射出成形機における制御系のゲインを自動調整するよう
    にしたことを特徴とする射出成形機の射出圧力制御方
    法。
  3. 【請求項3】 良成形品が得られたときの成形条件と、
    そのときの射出成形作業で所定周期毎のサンプリング処
    理を行って得た射出圧力のデータ列によって構成される
    基準圧力波形とを保存しておき、射出スクリュー径およ
    び使用対象金型が同一の他の射出成形機に前記基準射出
    圧力波形を記憶させ、該射出成形機によって前記成形条
    件に基く射出成形作業を繰り返し行わせながら、その都
    度前記所定周期毎に射出圧力のサンプリングを行って各
    時点における射出圧力を検出し、該検出された射出圧力
    と該時点に対応するデータ列の射出圧力との圧力偏差の
    平均値を所定のサンプリング区間に対して求め、該圧力
    偏差の平均値が所定の上限値よりも大きければ該区間に
    対応する制御系のゲインを所定量または圧力偏差の平均
    値に比例させて減少方向に補正する一方、前記圧力偏差
    の平均値が所定の下限値よりも小さければ該区間に対応
    する制御系のゲインを所定量または圧力偏差の平均値に
    比例させて増大方向に補正し、該補正された制御系のゲ
    インを前記所定のサンプリング区間に対応させて記憶さ
    せ、次の射出成形作業においては前記所定のサンプリン
    グ区間において制御系のゲインを前記補正されたゲイン
    に切り替えて射出成形作業を行い同様にゲインを補正す
    ることにより、前記射出成形機における制御系のゲイン
    を自動調整するようにしたことを特徴とする射出成形機
    の射出圧力制御方法。
  4. 【請求項4】 前記射出成形機は射出圧力をフィードバ
    ック制御して射出圧力が基準射出圧力波形と一致するよ
    うに制御し、前記制御系のゲインは前記射出圧力のフィ
    ードバック制御のゲインである請求項1,請求項2また
    は請求項3記載の射出成形機の射出圧力制御方法。
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