JPH09109219A - 射出成形機における製品良否判別方法 - Google Patents

射出成形機における製品良否判別方法

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JPH09109219A
JPH09109219A JP29604395A JP29604395A JPH09109219A JP H09109219 A JPH09109219 A JP H09109219A JP 29604395 A JP29604395 A JP 29604395A JP 29604395 A JP29604395 A JP 29604395A JP H09109219 A JPH09109219 A JP H09109219A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 計量完了位置や計量所要時間のばらつきに関
わりなく、計量された溶融樹脂の状態を総合的に判断し
て製品の良否判別を行うことのできる製品良否判別方法
を提供すること。 【解決手段】 計量完了後、射出開始直前の段階でシリ
ンダ1内の樹脂圧力Pを検出し、これを良品成形時のサ
ンプリング処理により求めた許容圧力範囲(下限値A〜
上限値Bまでの範囲)と比較して射出開始直前の溶融樹
脂の状態を総合的に判断し、この溶融樹脂を使用して行
われる射出工程で成形される製品の良否を決める。サッ
クバック動作を行ったり冷却時間を長めに設定する等の
ことにより計量完了後に樹脂の溶融状態に変化が生じた
場合であっても、最終的な樹脂の溶融状態を示す1つの
要素となる樹脂圧力を射出開始直前のタイミングで検出
して製品の良否判別を行うようにしているので、計量完
了後の樹脂の状態変化を含め、溶融樹脂の状態を総合的
に判断して製品の良否判別を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、射出成形機におけ
る製品良否判別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】射出成形作業における製品の良否を自動
的に判別するための方法として、最小クッション量,射
出時間,ピーク射出圧力,射出/保圧切替位置等を検出
して判別基準となる許容範囲と比較するものが本出願人
らにより特開平6−170907号等として既に提案さ
れている。これらのものは主に射出状態に基いて製品の
良否を判別するものであって、計量された溶融樹脂の状
態を良否判別の対象としたものではない。
【0003】また、溶融樹脂の状態を良否判別の対象と
したものとしては、本出願人による製品良否判別方法が
特開平6−297532号として提案されている。この
ものは、スクリュー位置または計量工程開始後の経過時
間によって判別対象区間を設定し、この判別対象区間に
対応して設定された背圧の上限値と下限値との間にその
時点における背圧の検出値が含まれているか否かにより
樹脂の溶融状態の適不適を判定してこれを製品の良否判
別の結果とするものである。
【0004】この構成によれば、判別対象区間を複数に
分割して設定し、計量過程の要所要所で溶融樹脂の状態
をチェックして製品の良否判別を行うことができるとい
うメリットがあるが、判別対象区間をスクリュー位置ま
たは計量工程開始後の経過時間によって設定するため、
計量完了位置や計量所要時間にばらつきを生じたような
場合では、計量完了時点での背圧を基準として製品の良
否判別を行う際に支承を来たす可能性もある。
【0005】また、計量後にサックバック動作が行われ
る場合や冷却時間を長めに設定したような場合では、計
量が完了しても直ちに射出動作が開始されるとは限ら
ず、計量完了後に更に樹脂の溶融状態に変化が生じる場
合があるので、計量過程で背圧を検出するなどして溶融
樹脂の状態をチェックしただけでは、必ずしも、正確な
良否判定が行えない場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、計量
完了位置や計量所要時間のばらつきに関わりなく、計量
された溶融樹脂の状態を射出開始の直前で総合的に判断
して製品の良否判別を行うことができ、また、必要とあ
らば、計量完了後次の射出開始までの期間において製品
の良否判別に適した任意のタイミングで、樹脂の溶融状
態を確認して適確な良否判定を行うことのできる射出成
形機における製品良否判別方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、計量完了後ス
クリューを所定位置に保持する射出成形機において、射
出開始直前の樹脂圧力を検出し、該検出樹脂圧力と予め
設定された許容圧力範囲とを比較し、前記検出樹脂圧力
が前記許容圧力範囲内にあれば良品信号を出力する一
方、前記検出樹脂圧力が許容圧力範囲を外れていれば不
良信号を出力するようにしたことを特徴とする構成によ
り前記目的を達成した。
【0008】更に、計量完了後次の射出開始までの任意
のタイミングで溶融樹脂の状態を検出して製品の良否判
別を行って製品を振り分けるため、計量完了後次の射出
開始までの期間内で樹脂圧力検出タイミングを任意に設
定し、各成形サイクル毎に前記設定タイミングで樹脂圧
力を検出し、該検出樹脂圧力と予め設定された許容圧力
範囲とを比較し、前記検出樹脂圧力が前記許容圧力範囲
内にあれば良品信号を、また、前記検出樹脂圧力が許容
圧力範囲を外れていれば不良信号を、製品取出し後に出
力するようにしたことを特徴とする構成を有する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一
実施形態について説明する。図1は本発明の製品良否判
別方法を適用した一実施形態の射出成形機の要部を示す
ブロック図で、符号1は射出成形機のシリンダ、符号2
はスクリューである。スクリュー2は、駆動源の軸回転
を射出軸方向の直線運動に変換するための駆動変換機5
を介して射出用サーボモータM1により射出軸方向に駆
動され、また、歯車機構3を介してスクリュー回転用モ
ータM2により計量回転されるようになっている。スク
リュー2の基部には圧力検出器4が設けられ、スクリュ
ー2の軸方向に作用する樹脂圧力、即ち、射出保圧工程
における射出保圧圧力や計量混練り工程における樹脂圧
力(背圧)がA/D変換器16を介して検出される。な
お、シリンダ1内部の先端(計量部)に取り付けた圧力
センサにより樹脂圧を直に検出してA/D変換器16に
入力することも可能である。射出用サーボモータM1に
はスクリュー2の位置や移動速度を検出するためのパル
スコーダP1が配備され、また、スクリュー回転用モー
タM2にはスクリュー2の回転速度を検出するための速
度検出器P2が配備されている。
【0010】射出成形機の製品良否判別装置を兼ねる制
御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサである
CNC用CPU25,プログラマブルマシンコントロー
ラ用のマイクロプロセッサであるPMC用CPU18,
サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU
20および射出保圧圧力や背圧のサンプリング処理を行
うための圧力モニタ用CPU17を有し、バス22を介
して相互の入出力を選択することにより各マイクロプロ
セッサ間での情報伝達が行えるようになっている。
【0011】PMC用CPU18には射出成形機のシー
ケンス動作を制御するシーケンスプログラムや製品の良
否判別を行うための制御プログラム等を記憶したROM
13および演算データの一時記憶等に用いられるRAM
14が接続されている。一方、CNC用CPU25には
射出成形機を全体的に制御するプログラム等を記憶した
ROM27および演算データの一時記憶等に用いられる
RAM28が接続されている。
【0012】また、サーボCPU20および圧力モニタ
用CPU17の各々には、サーボ制御専用の制御プログ
ラムを格納したROM21やデータの一時記憶に用いら
れるRAM19、および、圧力データのサンプリング処
理等に関する制御プログラムを格納したROM11やデ
ータの一時記憶に用いられるRAM12が接続されてい
る。更に、サーボCPU20には、該CPU20からの
指令に基いて型締め用,エジェクタ用(図示せず)およ
び射出用,スクリュー回転用等の各軸のサーボモータを
駆動するサーボアンプ15が接続され、射出用サーボモ
ータM1に配備したパルスコーダP1およびスクリュー
回転用モータM2に配備したパルスコーダP2からの出
力の各々がサーボCPU20に帰還され、パルスコーダ
P1からのフィードバックパルスに基いてサーボCPU
20により算出されたスクリュー2の現在位置や、速度
検出器P2で検出されるスクリュー2の回転速度が、メ
モリ19の現在位置記憶レジスタおよび現在速度記憶レ
ジスタの各々に記憶されるようになっている。
【0013】不揮発性メモリ24は射出成形作業に関す
る成形条件(射出保圧条件,計量混練り条件等)と各種
設定値,パラメータ,マクロ変数および良否判別のため
の設定データ等を記憶する成形データ保存用のメモリで
ある。
【0014】インターフェイス23は射出成形機の各部
に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を受信
したり射出成形機の周辺機器等に各種の指令を伝達した
りするための入出力インターフェイスである。
【0015】ディスプレイ付手動データ入力装置29は
CRT表示回路26を介してバス22に接続され、モニ
タ表示画面や機能メニューの選択および各種データの入
力操作等が行えるようになっており、数値データ入力用
のテンキーおよび各種のファンクションキー等が設けら
れている。
【0016】そして、CNC用CPU25がROM27
の制御プログラムに基いて各軸のサーボモータに対して
パルス分配を行い、サーボCPU20は各軸に対してパ
ルス分配された移動指令とパルスコーダP1,速度検出
器P2等の検出器で検出された位置のフィードバック信
号および速度のフィードバック信号に基いて、従来と同
様に位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ルー
プ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサー
ボ処理を実行する。
【0017】次に、本発明を適用した製品良否判別方法
の最初の実施形態について述べる。この実施形態は、射
出開始直前の樹脂圧力を検出して予め設定された許容圧
力範囲と比較することにより製品の良否を判定するもの
である。従って、この製品良否判別方法を実施するため
には、射出開始直前の樹脂圧力(背圧)との比較対象と
なる許容圧力範囲を予め求めて不揮発性メモリ24に設
定しておく必要がある。
【0018】そこで、オペレータは、条件出し完了の時
点で連続的に射出成形作業を継続して行わせ、この間、
圧力モニタ用CPU17による背圧のサンプリング処理
を行わせて、射出開始直前の樹脂圧力データを何回かに
亘って測定する。この際、樹脂圧力を示す数直線をディ
スプレイ付手動データ入力装置29の画面にグラフ表示
させ、その上に各成形サイクル毎の樹脂圧力の値を重複
してプロットするようにすれば、良品成形時における射
出開始直前の樹脂圧力データのばらつきを容易に把握す
ることができ、オペレータは、このばらつきを参照して
許容圧力範囲の下限値Aと上限値Bを決めることができ
る。
【0019】許容圧力範囲の下限値Aと上限値Bを前記
測定した樹脂圧力のばらつきの下限および上限に一致さ
せて設定する場合もあれば、また、ある程度の誤差を認
めて〔樹脂圧力のばらつきの下限−αの値(α>0)〕
および〔樹脂圧力のばらつきの上限+βの値(β>
0)〕を下限値Aおよび上限値Bとして不揮発性メモリ
24に設定する場合もある。なお、圧力モニタ用CPU
17による背圧のサンプリングタイミングは、射出開始
直前の時点、つまり、CNC用CPU25から型閉じ完
了信号が出力された時点である。
【0020】無論、所定回数の連続運転を自動的に実行
させ、その間にCNC用CPU25側の処理でサンプリ
ング値の最小値と最大値を検出させ、これを下限値Aと
上限値Bとして自動的に不揮発性メモリ24に設定させ
るようにすることもできるし、更に、サンプリング値の
最小値および最大値と予め設定されたαおよびβの値に
基いて演算処理を行わせて下限値Aと上限値Bを求めさ
せ、これらを自動的に不揮発性メモリ24に設定させる
ようにすることもできる。その他、全てのサンプリング
値を利用して他の統計的な演算処理を行わせ、下限値A
と上限値Bを求めさせるようにしてもよい。
【0021】図2は、このようにして求められた許容圧
力範囲(下限値A,上限値B)に基いて製品の良否判別
を行うための処理の概略を示すフローチャートであり、
この処理は、射出成形機のシーケンス動作を制御するシ
ーケンスプログラムと一体化してROM13に組み込ま
れている。
【0022】PMC用CPU18によるシーケンス制御
は従来と全く同様であって、1つの成形サイクルは、型
閉じ工程(型締を含む)→射出工程(保圧を含む)→計
量工程(冷却を含む)→型開き工程(エジェクトを含
む)によって構成されており、半自動運転の場合ではこ
の1連の動作が1回のみ、また、自動運転の場合ではこ
の1連の動作が繰り返し実行されることになる。なお、
計量工程よりも先に射出工程が実施される関係上、半自
動運転または自動運転を開始する前には、予め、手動運
転による計量作業を行って設定計量完了位置またはそれ
よりも後方までスクリュー2を後退させて1回の射出動
作に必要とされる溶融樹脂をシリンダ1内に貯溜してお
く必要がある。自動運転を開始する場合には、一旦半自
動運転を開始し、この1成形サイクル内に自動運転スイ
ッチを操作することにより、以下、前述の成形サイクル
が繰り返し実行されるようになる。
【0023】手動運転による計量完了後に可動側金型が
型開き完了位置以上後退していること、及びエジェクタ
が後退位置以上に後退していることを確認し操作盤の半
自動運転スイッチを操作するとPMC用CPU18から
CNC用CPU25に型閉じ指令が出力され上記型閉じ
工程から型開き工程の1成形サイクルの動作を開始す
る。すなわち、型閉じ指令を受けたCNC用CPU25
がROM27の制御プログラムや不揮発性メモリ24の
設定条件に基いて型締用サーボモータに対してパルス分
配を開始し、従来と同様にして型閉じ工程を制御する一
方、PMC用CPU18は、ステップS1〜ステップS
4の判別処理を繰り返し実行して、CNC用CPU25
からの型閉じ完了信号を待つ待機状態に入る。そして、
CNC用CPU25が型閉じ工程の処理を終了して型閉
じ完了信号を出力すると、PMC用CPU18がステッ
プS2の判別処理でこれを検出し、次の工程の開始指
令、つまり、射出開始指令(ステップS11)をCNC
用CPU25に出力するのである。ステップS2に続く
ステップS7〜ステップS10の処理がこの実施形態の
要旨であるが、ここではその説明を後にまわして全体的
なシーケンス動作について説明することにする。
【0024】射出,計量,型開き等の各工程の処理も上
述した型閉じ工程の処理と全く同様であって、各工程に
おける各軸の駆動制御はPMC用CPU18からの工程
開始指令によりCNC用CPU25によって実行され、
その工程の処理を終了したCNC用CPU25が射出完
了信号,計量完了信号,型開き完了信号を順次出力し、
これを受けたPMC用CPU18がステップS1〜ステ
ップS4の判別結果に基いて次の工程の開始指令、つま
り、計量開始指令(ステップS12),型開き開始指令
(ステップS13)を順次出することにより型閉じ,射
出,計量,型開きの各工程からなる一連の成形サイクル
が実行されるのである。
【0025】半自動運転の開始後その成形サイクル内で
自動運転スイッチを操作しなかった場合では、ステップ
S5の継続フラグのリセット状態がそのまま維持されて
いるので、CNC用CPU25からの型開き完了信号
(1成形サイクル内の最後の工程の完了)を検出して行
われるステップS5の判別結果は偽となり、成形サイク
ルは1回のみで終了する。また、半自動運転の成形サイ
クル中(型閉じ開始指令出力後型開き完了信号が検出さ
れるまでの期間)に自動運転スイッチを操作すれば、ス
テップS5の継続フラグがセットされ、上述したような
シーケンスに従って型閉じ,射出,計量,型開きの各工
程が繰り返し実行されることになる。
【0026】なお、計量工程ではCNC用CPU25の
処理により射出用サーボモータM1の駆動力を設定背圧
に対応する値に保持したままスクリュー回転用モータM
2を駆動して計量作業を行い、シリンダ1の先端に計量
される溶融樹脂の増加に応じてスクリュー2が後退し、
このスクリュー2が設定計量完了位置に到達した時点で
スクリュー回転用モータM2を止めて計量を停止し、射
出用サーボモータM1の回転位置を現在位置に保持して
スクリュー2を定位置保持することになる。この結果、
計量工程が行われる間はシリンダ1内の樹脂圧が設定背
圧に保持されるが、計量が完了すると、スクリュー2が
定位置保持されてシリンダ1の容量が固定され、かつ、
新たな樹脂の溶融も行われなくなるので、滞留した溶融
樹脂の分解やガスの発生または樹脂洩れ等の影響により
樹脂圧力に変化が生じる場合がある。無論、計量完了か
ら射出直前までの期間で溶融樹脂の分解やガスの発生ま
たは樹脂洩れ等があろうとも、この溶融樹脂を用いて正
常な製品が成形されるのであれば問題はない。いうまで
もなく、前述の下限値Aおよび上限値Bは良品成形時に
おける射出直前の溶融樹脂の樹脂圧力を基準にして決め
られた値であり、計量工程における設定背圧とは直接の
関係はない。また、計量完了直後に計量完了位置からス
クリュー2を設定所定量だけ後退させてその位置に保持
するサックバック動作を行わせる場合もあるが、これも
スクリュー2の定位置保持の一種である。
【0027】以上、PMC用CPU18によるシーケン
ス制御の概略について述べたが、これらの点に関しては
従来のものと全く同様である。
【0028】この実施形態が従来のものと相違する点
は、既に述べた通り、ステップS7〜ステップS10で
実行される良否判別処理にある。この良否判別処理は図
2からも明らかなように、射出開始指令を出力する直前
のタイミングでシーケンス上に組み込まれている。
【0029】射出工程の前工程である型閉じ工程の完了
をステップS2の判別処理で検出したPMC用CPU1
8は、圧力モニタ用CPU17および圧力検出器4を介
して樹脂圧力の現在値P、つまり、射出開始直前の樹脂
圧力Pの値を直ちに読み込み(ステップS7)、この現
在値Pが予め不揮発性メモリ24に設定された下限値A
と上限値Bとの間にあるか否か、つまり、許容圧力範囲
内にあるか否かを判別する(ステップS8)。そして、
現在値Pが下限値Aと上限値Bとの間にあれば、この溶
融樹脂を用いて行われる射出工程を含む成形サイクルで
成形される(取り出される)製品が良品であるものと見
做し、製品振り分け装置または良品不良品ショット数カ
ウンタ等に良品信号を出力する(ステップS10)。ま
た、現在値Pが下限値Aよりも小さいか、または、上限
値Bよりも大きければ、この溶融樹脂を用いて行われる
射出工程を含む成形サイクルで成形される(取り出され
る)製品が不良品であるものと見做し、製品振り分け装
置または良品不良品ショット数カウンタ等に不良信号を
出力する(ステップS9)。
【0030】この実施形態においては、樹脂圧力Pを読
み込んだ成形サイクルとこの樹脂を用いて行われる射出
工程を含む成形サイクルとが常に一致するので、ステッ
プS10またはステップS9で出力された信号を受信し
た段階で直ちに製品振り分け装置の振り分け先を変更し
てしまって構わない。つまり、同一成形サイクル内にお
ける型開き動作で離型される製品は、必ず、その成形サ
イクルで実施されたステップS7の処理で樹脂圧力を読
み込まれた溶融樹脂を用いて行われる射出工程で成形さ
れた製品である(但し、樹脂の計量自体は1成形サイク
ル前に行われている)。
【0031】良品信号または不良信号出力後のシーケン
ス制御に関する処理(ステップS11以降)に関して
は、既に説明した通り、従来のものと全く同様であるの
で、ここでは説明しない。
【0032】この実施形態によれば、サックバック動作
を行ったり冷却時間を長めに設定する等のことにより計
量完了後に樹脂の溶融状態に変化が生じた場合であって
も、最終的な樹脂の溶融状態を示す1つの要素となる樹
脂圧力を射出開始直前のタイミングで検出して良品成形
時の同一タイミングにおける樹脂圧力を基準に設定され
た許容圧力範囲(下限値A,上限値B)と比較すること
により、計量完了後の樹脂の状態変化を含め、溶融樹脂
の状態を総合的に判断して製品の良否判別を行うことが
できる。なお、図2ではサックバックのシーケンスにつ
いては開示していないが、この動作は、既に述べた通
り、計量完了と同時にスクリュー2の回転を止めスクリ
ュー2を設定所定量だけ後退させて行うものである。
【0033】次に、本発明を適用した製品良否判別方法
のもう1つの実施形態について述べる。この実施形態
は、計量完了後次の射出開始までの期間内で樹脂圧力検
出タイミングを任意に設定し、各成形サイクル毎にこれ
と同じタイミングで樹脂圧力を検出し、この樹脂圧力と
予め設定された許容圧力範囲とを比較することにより製
品の良否を判定するものである。
【0034】従って、この実施形態においては、良否判
別のための樹脂圧力の検出タイミングに格別の制限はな
く、計量完了後次の射出開始までの期間内で樹脂圧力の
検出タイミングを任意に設定することができるが、オペ
レータは予めその検出タイミングを決めておかなければ
ならない。
【0035】製品の良否に最も大きな影響を与える溶融
樹脂の状態が検出されるタイミングというのは、シリン
ダ1の温度条件や樹脂の種類等によっても様々に相違す
ると考えられるので、シリンダ1の温度条件や樹脂の種
類等に応じて様々な実験を行い、製品の良否に最も大き
な影響を与える溶融樹脂の状態が検出されるタイミング
を把握しておくようにするとよい。
【0036】許容圧力範囲の求め方については基本的に
先に述べた実施形態の場合と同様であるが、この実施形
態では樹脂圧力検出タイミングを任意に設定できるよう
になっているため、許容圧力範囲を求めるための背圧の
サンプリング処理では、予めオペレータが決めておいた
検出タイミングを制御装置10に設定し、このタイミン
グに合わせてサンプリング処理を行わせるようにする。
樹脂圧力データを何回かに亘って測定してグラフ表示さ
せ、そのばらつきの下限や上限、更には、誤差の許容範
囲α,β等に基いて許容圧力範囲の下限値Aと上限値B
とを決める点、および、制御装置10側の処理で自動的
にこれを行わせることができる点等に関しては先の実施
形態と同じである。
【0037】なお、圧力モニタ用CPU17による背圧
のサンプリングは、CNC用CPU25からの計量完了
信号を検出した時点でPMC用CPU18によってタイ
マを作動させ、このタイマが設定時間Txを計時した時
点で実行させるようにする。いうまでもなく、このTx
が前述の樹脂圧力検出タイミングであって、その値は、
計量完了時点を零とした経過時間により設定されること
になる。
【0038】図3および図4は、このようにして求めら
れた許容圧力範囲(下限値A,上限値B)に基いて製品
の良否判別を行うための処理の概略を示すフローチャー
トであり、この処理は、射出成形機のシーケンス動作を
制御するシーケンスプログラムと一体化してROM13
に組み込まれている。
【0039】PMC用CPU18によるシーケンス制御
は、直接成形作業に関わる部分に関しては、従来のもの
および先に述べた実施形態のものと全く同様である。つ
まり、図3におけるステップT1〜ステップT4の処理
は図2におけるステップS1〜ステップS4の処理と同
一であり、また、図3におけるステップT7,ステップ
T9,ステップT10,ステップT11,ステップT1
5の各処理は図2におけるステップS5,ステップS
6,ステップS11,ステップS12,ステップS13
の各処理と全く同一であって、型閉じ工程(型締を含
む)→射出工程(保圧を含む)→計量工程(冷却を含
む)→型開き工程(エジェクトを含む)の各工程からな
る1成形サイクルのシーケンス動作それ自体には差異が
ない。半自動運転の起動および自動運転への切り替え操
作等に関しても従来のものおよび先に述べた実施形態の
ものと同様である。
【0040】次に、この実施形態の良否判別処理につい
て詳細に説明する。
【0041】まず、測定待機フラグF2および信号出力
状態記憶フラグF4(共に詳細は後述)の初期値は0で
あり、半自動運転スイッチの操作による成形開始指令の
入力が検出されると(これが成形サイクルの開始であ
る)、PMC用CPU18は、まず、工程記憶フラグF
1に0をセットし(ステップT8)、CNC用CPU2
5に型閉じ開始指令を出力してCNC用CPU25によ
る型閉じ工程の処理を開始させた後(ステップT9)、
再び、ステップT1〜ステップT6のループ処理を開始
してCNC用CPU25からの型閉じ完了信号を待つ待
機状態に入る。
【0042】なお、自動運転時にCNC用CPU25か
ら型開き完了信号が入力された場合の処理(ステップT
1の判別結果が真となった場合の処理)もこれと同様で
あり、既に述べた通り、半自動運転から自動運転への切
り替えは、半自動運転中に自動運転スイッチを操作する
ことにより行われる。また、ステップT4およびステッ
プT13を参照すれば分かる通り、工程記憶フラグF1
の値は、型閉じ開始から計量完了までの区間で0、ま
た、計量完了から次の成形サイクルの型閉じ開始までの
区間で1である。
【0043】そして、CNC用CPU25による型閉じ
工程の処理が完了して型閉じ完了信号が入力されると、
PMC用CPU18はステップT2の判別処理でこれを
検出し、CNC用CPU25に射出開始指令を出力して
(ステップT10)、保圧を含む射出工程の処理をCN
C用CPU25によって実行させ、PMC用CPU18
自体は、再び、ステップT1〜ステップT6のループ処
理を開始する。いうまでもなく、この射出動作によって
射出される樹脂は、1つ前の成形サイクルまたは半自動
運転開始時の手動操作により計量された溶融樹脂であ
る。
【0044】次いで、CNC用CPU25から射出完了
信号が入力されると、PMC用CPU18はステップT
3の判別処理でこれを検出し、CNC用CPU25に計
量開始指令を出力して(ステップT11)、計量工程の
処理をCNC用CPU25により実行させる。前記と同
様、PMC用CPU18自体は、再び、ステップT1〜
ステップT6のループ処理を開始する。
【0045】そして、CNC用CPU25による計量工
程の処理が完了して計量完了信号が入力されると、PM
C用CPU18はステップT4の判別処理でこれを検出
してタイマTをリセットし、計量完了時点を零とする経
過時間の計時を開始する(ステップT12)。いうまで
もなく、この計測開始タイミングは許容圧力範囲を求め
るために行ったサンプリング処理のときのそれと同一で
ある。
【0046】次いで、PMC用CPU18は工程記憶フ
ラグF1および測定待機フラグF2に1をセットし(ス
テップT13,ステップT14)、CNC用CPU25
に型開き開始始指令を出力して(ステップT15)、型
開き工程の処理をCNC用CPU25によって実行さ
せ、PMC用CPU18自体は、再び、ステップT1〜
ステップT6のループ処理を開始する。既に述べた通
り、工程記憶フラグF1の値は、計量完了から次の成形
サイクルの型閉じ開始までの区間で1である。また、ス
テップT16,ステップT17およびステップT21を
参照すれば分かる通り、測定待機フラグF2の値は、計
量完了後、タイマTによる計測時間が設定値Txに達し
て樹脂圧力の検出が行われるまでの区間で1、また、樹
脂圧力の検出後、次の計量が完了するまでの区間で0で
ある。
【0047】ステップT1〜ステップT6のループ処理
を繰り返すPMC用CPU18は、測定待機フラグF2
の値が0から1に切り替わったことをステップT5の判
別処理によって検出し、次いで、次の処理に移行してタ
イマTの計測時間が設定値Txに達しているか否かを判
別する(ステップT16)。タイマTの計測時間が設定
値Txに達していなければ樹脂圧力を検出するタイミン
グには達していないので、PMC用CPU18は再びス
テップT1の処理に復帰し、以下、測定待機フラグF2
の値に基き、ステップT1〜ステップT5およびステッ
プT16のループ処理を繰り返し実行することになる。
【0048】このループ処理はステッブT1〜ステップ
T4の判別処理、つまり、型開き完了信号の検出や型閉
じ完了信号の検出等を含むものであるから、タイマTの
計測時間が設定値Txに達していようといまいと、当該
成形サイクルで出力された型開き開始指令(ステップT
15参照)に対応するCNC用CPU25側の処理が終
了してCNC用CPU25からの型開き完了信号さえ入
力されれば、PMC用CPU18自体は、型閉じ工程を
初めとする次の成形サイクルのシーケンス制御を開始す
ることが可能である。以下の説明を理解する上で、この
点に関して留意しておく必要があろう。
【0049】既に述べた通り、この実施形態において
は、計量完了後次の射出開始までの期間内で樹脂圧力の
検出タイミングTxを任意に設定することができるよう
になっているので、Txの設定値如何によっては、型開
き開始指令を出力したのと同じ成形サイクル内でステッ
プT16の判別結果が真となる場合と、次の成形サイク
ルの実行途中でステップT16の判別結果が真となる場
合とがある。
【0050】より具体的にいえば、検出タイミングTx
を短めに設定した場合では型開き開始指令を出力したの
と同じ成形サイクル内の型開き工程(エジェクトを含
む)の実行過程でステップT16の判別結果が真となっ
て樹脂圧力が測定され、また、検出タイミングTxを長
めに設定した場合では次の成形サイクル内の型閉じ工程
(型締を含む)の実行過程でステップT16の判別結果
が真となって樹脂圧力が測定されるということである。
なお、検出タイミングTxを極端に長く設定した場合で
は、次の成形サイクル内の射出工程もしくはそれ以降の
工程で初めてステップT16の判別結果が真となるとい
うことも有り得るが、既に述べた通り、Txの設定範囲
は飽くまで計量完了後次の射出開始までの期間内に限定
されるべきで、次の射出工程以降に跨がるような設定行
為は全て誤りであり、そのような設定行為は行ってはな
らない。
【0051】つまり、いい方を換えれば、型閉じ工程
(要するに工程記憶フラグF1が0である期間、但し、
既に述べた通り射出工程,計量工程は含まない)でタイ
マTの計測時間がTxに達したのであれば、1つ前の成
形サイクルで計量された溶融樹脂の樹脂圧力が当該成形
サイクルの型閉じ工程に入ってから測定されたことを意
味し、この場合は、当該成形サイクルの射出工程で射出
される溶融樹脂と当該成形サイクルで樹脂圧力を測定さ
れた溶融樹脂とが同一である。従って、このような場合
では、測定結果によって得られた良品信号もしくは不良
信号を当該成形サイクルの完了前に出力し、当該成形サ
イクルの型開き工程(厳密にはエジェクト動作)の実行
前の段階で製品振り分け装置の振り分け先を決めなけれ
ばならない。同一成形サイクル内において、型閉じ工程
は型開き工程(厳密にはエジェクト動作)よりも時系列
上先に位置するから、工程記憶フラグF1が0である期
間でタイマTの計測時間がTxに達した場合は、例え
ば、樹脂圧力の測定および良否判別の後、直ちに良品信
号もしくは不良信号を出力することが可能である。
【0052】これに対し、型開き工程(要するに工程記
憶フラグF1が1である期間)でタイマTの計測時間が
Txに達したのであれば、当該成形サイクルで計量され
た溶融樹脂の樹脂圧力が当該成形サイクルの型開き工程
の実行中に測定されたことを意味し、この場合は、当該
成形サイクルの射出工程で射出された溶融樹脂と当該成
形サイクルで樹脂圧力を測定された溶融樹脂とが異な
る。より具体的に言えば、当該成形サイクルの射出工程
で射出された溶融樹脂は1つ前の成形サイクルで計量さ
れた溶融樹脂であり、また、当該成形サイクルで樹脂圧
力を測定された溶融樹脂は次の成形サイクルの射出工程
で射出される溶融樹脂である。
【0053】従って、このような場合では、測定結果に
よって得られた良品信号もしくは不良信号を直ちに出力
して製品振り分け装置の振り分け先を決めてしまうこと
はできず、当該成形サイクルで開始される型開き(厳密
にはエジェクト動作)の完了を待ち、その後で、当該成
形サイクルの測定結果によって得られた良品信号もしく
は不良信号を出力して製品振り分け装置の振り分け先を
決める必要がある。同一成形サイクル内の時系列上では
エジェクト動作が型開き工程の後半に位置するため、型
開き工程における樹脂圧力の測定で得られた判別結果に
従って直ちに製品振り分け装置の振り分け先を変えてし
まうと、この振り分け動作によって当該成形サイクルの
射出工程で成形された成形品、つまり、1つ前の成形サ
イクルで計量および樹脂圧力の測定が行われた成形品が
振り分けられてしまう可能性があるからである。
【0054】ステップT1〜ステップT5およびステッ
プT16のループ処理を繰り返し実行する間にタイマT
の計測時間が設定値Txに達すると、PMC用CPU1
8はステップT16の判別処理でこれを検出し、圧力モ
ニタ用CPU17および圧力検出器4を介して樹脂圧力
の現在値P、つまり、計量完了後Tx時経過時点の樹脂
圧力Pの値を直ちに読み込み(ステップT17)、この
現在値Pが予め不揮発性メモリ24に設定された下限値
Aと上限値Bとの間にあるか否か、つまり、許容圧力範
囲内にあるか否かを判別する(ステップT18)。
【0055】そして、現在値Pが下限値Aと上限値Bと
の間にあれば、この溶融樹脂を用いて行われる射出工程
を含む成形サイクルで成形される製品が良品であるもの
と見做して判別結果記憶フラグF3に0をセットし(ス
テップT19)、また、現在値Pが下限値Aよりも小さ
いか、または、上限値Bよりも大きければ、この溶融樹
脂を用いて行われる射出工程を含む成形サイクルで成形
される製品が不良品であるものと見做して判別結果記憶
フラグF3に1をセットする(ステップT20)。いう
までもなく、フラグF3における0は良品を示す値、ま
た、1は不良を示す値である。
【0056】次いで、PMC用CPU18は、測定待機
フラグF2に0をセットして樹脂圧力の測定の完了を記
憶すると共に(ステップT21)、信号出力状態記憶フ
ラグF4に1をセットして、良否判別済み信号出力待機
の状態を記憶する(ステップT22)。
【0057】先に述べた理由により、この実施形態にお
いては、判別処理終了後、良品信号または不良信号の出
力を一時保留し、型閉じ工程(工程記憶フラグF1が0
である期間)で樹脂圧力の測定が行われた場合に限って
PMC用CPU18における次の処理周期で良品信号ま
たは不良信号を直ちに出力し、また、型開き工程(工程
記憶フラグF1が1である期間)で樹脂圧力の測定が行
われた場合では、次の成形サイクルの開始時点で良品信
号または不良信号を出力するようにしているのである。
【0058】前述のステップT21およびステップT2
2の処理でフラグF2およびフラグF4に0と1がセッ
トされる結果、次の処理周期では、ステップT1〜ステ
ップT6の判別処理実行後、PMC用CPU18は、工
程記憶フラグF1がセットされているか否か、つまり、
樹脂圧力の測定が型閉じの工程で行われたのか型開きの
工程で行われたのかを判別することとなる(ステップT
23)。
【0059】そして、工程記憶フラグF1がセットされ
ておらず、樹脂圧力の測定が型閉じの工程で行われたの
であれば、PMC用CPU18は、判別結果記憶フラグ
F3の値が0であるか1であるかを判別し(ステップT
24)、判別結果記憶フラグF3の値が0であれば、こ
の溶融樹脂を用いて行われる射出工程を含む成形サイク
ル、つまり、当該成形サイクルで成形される製品が良品
であるものと見做し、製品振り分け装置または良品不良
品ショット数カウンタ等に良品信号を出力する一方(ス
テップT25)、判別結果記憶フラグF3の値が1であ
れば、当該成形サイクルで成形される製品が不良品であ
るものと見做し、製品振り分け装置または良品不良品シ
ョット数カウンタ等に不良信号を出力する(ステップT
26)。
【0060】つまり、型閉じ工程で樹脂圧力の測定が行
われた場合(一般にTxの設定値が長い場合)では、良
品信号または不良信号が、圧力測定実行後のPMC用C
PU18の次の処理周期で直ちに出力されるのである。
【0061】そして、良品信号または不良信号を出力し
たPMC用CPU18は、信号出力状態記憶フラグF4
を0にリセットし(ステップT27)、再び、ステップ
T1〜ステップT6のループ処理を開始し、PMC用C
PU25からの型閉じ完了信号や射出完了信号および計
量完了信号を受けて前記した通りのシーケンス制御を実
施して、1成形サイクルの処理を終了する。良否判別信
号が出力されてから当該成形サイクルで成形された製品
がエジェクトされるまでには少なくとも射出および計量
の各工程があるので、製品振り分け装置の作動余裕時間
は十分に保証される。なお、この成形サイクルで射出さ
れる溶融樹脂は、それよりも1つ前の成形サイクルで計
量され、その樹脂圧力の測定のみを当該成形サイクルで
行われた樹脂である。
【0062】一方、工程記憶フラグF1がセットされて
おり、樹脂圧力の測定が型開きの工程で行われた場合で
は、前述したステップT23の判別結果が真となる。従
って、このような場合では、ステップT8の処理で工程
記憶フラグF1に0がセットされるまでの間、要する
に、現在行っている型開き動作が完了して次の成形サイ
クルにおける型閉じ工程が開始されるまでの間、ステッ
プT24〜ステップT27の処理はそのまま保留され、
次の成形サイクルにおける型閉じ工程が開始されるまで
の間、PMC用CPU18はステップT1〜ステップT
6およびステップT23の判別処理を繰り返し実行する
ことになる。
【0063】そして、型開きの工程が完了してCNC用
CPU25からの型開き完了信号が入力されると、PM
C用CPU18はステップT1の判別処理でこれを検出
し、ステップT7の判別処理実行後(自動運転では継続
フラグがセットされるためステップT7の判別結果は真
となる)、工程記憶フラグF1に0をセットし(ステッ
プT8)、PMC用CPU25に型閉じ開始指令を出力
して型閉じ工程の処理を開始させ(ステップT9)、測
定待機フラグF2の値を判別する(ステップT5)。良
否判別済み信号出力待機の状態にある現時点では測定待
機フラグF2が0にリセットされ(ステップT21参
照)、また、信号出力待機フラグF4の値が1にセット
されているので(ステップT22参照)、ステップT5
の判別結果が偽、また、これに次ぐステップT6の判別
結果が真となる。更に、工程記憶フラグF1の値はステ
ップT8の処理の実行に伴って0にリセットされている
ので、ステップT6に次ぐステップT23の判別結果は
偽となり、前記と同様にしてステップT24〜ステップ
T27の処理が実施されることになる。
【0064】つまり、溶融樹脂の樹脂圧力が型開き工程
の実行中に測定された場合(一般にTxの設定値が短い
場合)においては、当該成形サイクル(樹脂圧力の測定
を行った成形サイクル)における型開きの完了、より厳
密には、次の成形サイクルの型閉じの開始を待ってから
良品信号もしくは不良信号が出力されるのである。
【0065】そして、信号出力状態記憶フラグF4に0
をセットしたPMC用CPU18は、再び、ステップT
1〜ステップT6のループ処理を開始し、PMC用CP
U25からの型閉じ完了信号や射出完了信号および計量
完了信号を受けて前記した通りのシーケンス制御を実施
し、1成形サイクルのシーケンス処理を終了する。この
場合も、良否判別信号が出力されてから対応する製品が
エジェクトされるまでには型閉じと射出および計量の各
工程があるので、製品振り分け装置の作動余裕時間は十
分に保証される。なお、溶融樹脂の樹脂圧力が第N回目
の成形サイクルの型開き工程の実行中に測定された場合
においては、第N回目の成形サイクルで射出成形されて
製品となって取り出される溶融樹脂は、第N−1回目の
成形サイクルで計量され、これと同じ第N−1回目の成
形サイクルで樹脂圧力の測定を行われた樹脂である。こ
の製品の振り分けに用いられる良否判別結果は、第N−
1回目の成形サイクルの型開き工程の実行中に得られた
ものであり、この結果が第N回目の型閉じ動作の開始時
点まで持ち越され、第N回目の型閉じ動作の開始時点で
初めて製品振り分け装置等の振り分け先が変更されるの
である。
【0066】以下、連続成形作業が行われる間、1成形
サイクル毎に前述と同じ処理操作が繰り返し実行され、
各成形サイクルで成形されて取り出される製品の良否が
判別され、実際にその成形サイクルで取り出される製品
の良否に合わせて製品振り分け装置等が駆動されること
になる。
【0067】この実施形態によれば、計量完了後次の射
出開始までの期間内で樹脂圧力の検出タイミングを任意
に設定することができる。従って、製品の良否に最も大
きな影響を与える溶融樹脂の状態が検出されるタイミン
グをシリンダ1の温度条件や樹脂の種類等によって特定
することさえできれば、そのタイミングをTxとして設
定することにより、極めて確度の高い良否判別を実行す
ることが可能である。
【0068】更に、サックバック完了時点に対応する計
量完了後の経過時間を実験的に求めてTxとして設定す
るようにすれば、サックバック完了時点の樹脂圧力によ
って製品の良否を判定することができ、サックバック完
了時点の樹脂圧力が製品の良否に最も大きな影響を与え
るような製品の良否判別に対して有利である。無論、い
ずれの場合においても、許容圧力範囲の下限値および上
限値を求めるためのサンプリング処理は、このTxの値
に合わせて行う必要がある。
【0069】また、サックバック完了時点の樹脂圧力が
製品の良否に最も大きな影響を与えると初めから分かっ
ているような製品に対しては、何も、サックバック完了
時点に対応する計量完了後の経過時間をわざわざ求めて
Txを設定するには及ばず、サックバック完了信号の検
出により、樹脂圧力の現在値Pを読み込んで判別処理を
行うようにすればよい。
【0070】つまり、“計量完了後次の射出開始までの
期間内で樹脂圧力検出タイミングを任意に設定する”と
いう構成においては、計量完了後の経過時間のみがタイ
ミングの設定要素となるのではなく、サックバック完了
信号等を初めとする内部的な制御信号も、タイミング設
定のための要素として適用し得るということである。無
論、内部的な制御信号を用いて樹脂圧力の検出タイミン
グを設定する場合では、許容圧力範囲の下限値および上
限値を求めるためのサンプリング処理も、この内部的な
制御信号に合わせて行う必要がある。
【0071】
【発明の効果】本発明の製品良否判別方法は、射出開始
直前の樹脂圧力を検出し、この樹脂圧力と予め設定され
た許容圧力範囲とを比較して製品の良否判定を行うよう
にしたので、計量完了位置や計量所要時間のばらつきに
関わりなく、計量された溶融樹脂の状態を射出開始の直
前で総合的に判断して製品の良否判別を適確に行うこと
ができる。
【0072】更に、計量完了後次の射出開始までの期間
内で樹脂圧力検出タイミングを任意に設定し、各成形サ
イクル毎に前記設定タイミングで樹脂圧力を検出し、こ
の樹脂圧力と予め設定された許容圧力範囲とを比較して
製品の良否判定を行うようにしたので、製品の良否に最
も大きな影響を与える溶融樹脂の状態が検出されるタイ
ミングに合わせて樹脂圧力の検出タイミングを設定する
ことができる。従って、適切なタイミングに良否判別を
行えば、極めて確度の高い良否判別を実行することが可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製品良否判別方法を適用した一実施形
態の射出成形機の要部を示すブロック図である。
【図2】同実施形態におけるシーケンスプログラムおよ
び良否判別処理の概略を示すフローチャートである。
【図3】もう1つの同実施形態におけるシーケンスプロ
グラムおよび良否判別処理の概略を示すフローチャート
である。
【図4】シーケンスプログラムおよび良否判別処理の概
略を示すフローチャートの続きである。
【符号の説明】
1 シリンダ 2 スクリュー 4 圧力検出器 10 制御装置 15 サーボアンプ 16 A/D変換器 17 圧力モニタ用CPU 18 PMC用CPU 20 サーボCPU 24 不揮発性メモリ 25 CNC用CPU M1 射出用サーボモータ M2 スクリュー回転用モータ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 計量完了後スクリューを所定位置に保持
    する射出成形機において、射出開始直前の樹脂圧力を検
    出し、該検出樹脂圧力と予め設定された許容圧力範囲と
    を比較し、前記検出樹脂圧力が前記許容圧力範囲内にあ
    れば良品信号を出力する一方、前記検出樹脂圧力が許容
    圧力範囲を外れていれば不良信号を出力するようにした
    ことを特徴とする射出成形機における製品良否判別方
    法。
  2. 【請求項2】 計量完了後スクリューを所定位置に保持
    する射出成形機において、計量完了後次の射出開始まで
    の期間内で樹脂圧力検出タイミングを任意に設定し、各
    成形サイクル毎に前記設定タイミングで樹脂圧力を検出
    し、該検出樹脂圧力と予め設定された許容圧力範囲とを
    比較し、前記検出樹脂圧力が前記許容圧力範囲内にあれ
    ば良品信号を、また、前記検出樹脂圧力が許容圧力範囲
    を外れていれば不良信号を、製品振り分けのために製品
    取出し後に出力するようにしたことを特徴とする射出成
    形機における製品良否判別方法。
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