JPH07108579A - 射出成形機の製品良否判別方法 - Google Patents

射出成形機の製品良否判別方法

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JPH07108579A
JPH07108579A JP27738093A JP27738093A JPH07108579A JP H07108579 A JPH07108579 A JP H07108579A JP 27738093 A JP27738093 A JP 27738093A JP 27738093 A JP27738093 A JP 27738093A JP H07108579 A JPH07108579 A JP H07108579A
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賢男 上口
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哲明 根子
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 時間の経過や環境変化によって樹脂の可塑化
状態等に変動が生じた場合であっても適確に製品の良否
を判別することのできる射出成形機の製品良否判別方法
を提供すること。 【構成】 製品の品質に影響を与える成形データのうち
相互に関連して変動する成形データを2項目以上選択
し、これらの成形データを複合して乗算,除算等の関数
式により演算を行い、その演算結果に基いて良品成形の
許容範囲を上限値と下限値で定め、射出成形機の制御装
置10に設定する(a1〜a20)。成形作業に際し、
各成形サイクル毎に前記の成形データ項目の値を検出し
て同様の関数式により演算を行い、その演算結果が許容
範囲内にあるか否かによって、各成形サイクル毎の製品
の良否を判別する(b1〜b50)。複数の成形データ
を複合して評価した結果により製品の良否が判別される
ため、時間の経過や環境変化によって成形データの値に
変動が生じたような場合であっても、製品の良否が適確
に判別できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、射出成形機の製品良否
判別方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】成形サイクルにおける各ショット毎の製
品の品質に影響を与える成形データ、例えば、射出のピ
ーク圧や射出所要時間,射出保圧切替位置,最小クッシ
ョン量等の項目を検出し、これらの値が各項目に対して
設定された許容範囲内にあるか否か、または、幾つかの
項目の値が各々の許容範囲に同時に含まれているか否か
により製品の良否を判別するようにした射出成形機の製
品良否判別方法が既に公知である。
【0003】ところで、一日の気温の変化や射出シリン
ダの状態により射出シリンダ内の樹脂の可塑化状態等に
はある程度の変動が生じるが、樹脂の可塑化状態のよう
に時間の経過や環境変化によって変動する異常項目に関
しては、射出のピーク圧や射出所要時間,射出保圧切替
位置,最小クッション量等の適応変化によってある程度
対処することができる。従って、射出のピーク圧や射出
所要時間,射出保圧切替位置,最小クッション量等の成
形データに樹脂の可塑化状態が最適であった時の成形デ
ータと比べて多少の差異が生じたからといって、それが
著しいものでもない限り、必ずしも製品に異常が生じる
とは限らない。
【0004】しかし、従来の製品良否判別方法では、樹
脂の可塑化状態のように時間の経過や環境変化によって
変動する成形データに適応して変動する成形データに対
しても、樹脂の可塑化状態に関する最適の条件を基準と
して許容範囲を設定することで製品の良否判別を行うよ
うにしていたので、樹脂の可塑化状態等が変化したよう
な場合、実際には良品が成形されているにも関わらず不
良品として判別されることがあった。
【0005】このような問題を解消するため、本出願人
らは、複数の項目の成形データの検出値の関連を射出成
形機のディスプレイ画面上のグラフにプロット表示して
項目毎の値の組み合わせによって複数の良品領域を任意
に設定すると共に、各成形サイクルで検出される項目の
検出値の組合わせが前記領域のいずれかに属していれば
当該成形サイクルで成形された製品を良品として取り扱
うようにした成形情報表示装置を特願平4−33560
8号として既に提案している。しかし、複数の良品領域
を設定しなければ良否判別を適確に行うことができない
という点において一定の不都合があり、また、時間の経
過や環境変化によって変動する成形データの検出値の関
連を考慮して良否判別を正確に行おうとすれば、良品領
域を細かく分割して設定する必要が生じ、良品領域の設
定が著しく繁雑になってしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術の欠点を解消し、時間の経過や環境変化によっ
て樹脂の可塑化状態等に変動が生じた場合であっても適
確に製品の良否を判別することができ、しかも、これを
只1組の許容範囲の設定によって簡単に実現することの
できる射出成形機の製品良否判別方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の製品良否判別方
法は、成形サイクルにおける各ショット毎の製品の品質
に影響を与える少なくとも2項目以上の成形データの値
を検出し、予め決められた演算を前記検出されたデータ
の値によって行い、該演算の結果が許容範囲内にあるか
否かにより製品の良否を判別することにより、只1組の
許容範囲により適確に製品の良否を判別できるようにし
た。
【0008】また、成形サイクルにおける各ショット毎
の製品の品質に影響を与える成形データのうち相互に関
連して変動する成形データを2項目以上選択し、良品成
形時の成形データの検出値を各変数に代入して行ったと
きの演算結果が許容範囲内となるように決められた関数
式に前記2項目以上の成形データの検出値を代入して演
算を行い、その演算結果が許容範囲内にあるか否かによ
って製品の良否を判別することにより、樹脂の可塑化状
態等に変動が生じた場合であっても適確に製品の良否を
判別できるようにした。
【0009】更に、組合せの異なる項目の成形データの
値を変数として構成される関数式を複数設定しておき、
各関数式から求まる演算の結果が夫々の関数式に対応し
て設定された許容範囲内にあるときにのみ良品として判
別することにより、不良品をより確実に排除できるよう
にした。
【0010】
【作用】成形サイクルにおける各ショット毎の製品の品
質に影響を与える成形データのうち、時間の経過や環境
変化等により相互に関連して変動する成形データを2項
目以上選択し、時間の経過や環境変化等の影響に拘らず
良品が成形される範囲で各項目の成形データの値の相関
関係を観察し、この相関関係を各項目の成形データに対
応する変数で示す関数式を予め求めておく。この関数式
は、各成形データの変動に拘らず、良品が成形される範
囲で検出される各成形データの値を代入したときの演算
結果が略一定の値に収束し、また、不良品成形時に検出
される成形データの値を代入したときの演算結果が前記
略一定の値と比べて相当に相違するものとなることが望
ましい。単純な例でいえば、例えば、良品が成形される
範囲では必ず各項目の成形データの積が略一定の値にな
るが、不良品成形時の各項目の積はこれと相違すると
か、良品が成形される範囲では或る項目の成形データを
他の項目の成形データで除した値が略一定の値になる
が、不良品成形時の値はこれと相違するといった具合で
ある。許容範囲は良品が成形される時の演算結果の値域
であり、1組の上限値および下限値によりこの値を設定
する。
【0011】また、相互に関連して変動する成形データ
の組が複数あれば、組合せの異なる各成形データの組毎
に、成形データに対応する変数によって各組内の成形デ
ータの値の相関関係を示す関数式、および、各関数式毎
の許容範囲を決めておく。
【0012】そして、前記関数式および各関数式に対応
する許容範囲の値は、製品の良否判別を行う射出成形機
の制御装置または良否判別を行うための射出成形機の付
加演算手段に予め記憶させ、自動判別作業を行えるよう
にしておく。
【0013】その後、射出成形機の運転時における各成
形サイクル毎、前記選択された2項目以上の成形データ
の値を射出成形機の検出手段により検出させ、その値を
代入して制御装置または付加演算手段によって前記関数
式による演算を実行させる。
【0014】そして、演算結果が前記許容範囲内にあれ
ば当該成形サイクルで成形された製品を良品として判別
する一方、演算結果が許容範囲内になければ不良品とし
て判別する。また、相互に関連して変動する成形データ
の組が複数設定されていれば、各組の成形データの項目
に対し、これに対応する関数式による演算を全て実行さ
せ、各関数式から求まる演算結果の各々の全てが各関数
式に対応して設定された許容範囲内にあるときにのみ良
品として判別する。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明の製品良否判別方法を適用した一実
施例の射出成形機の要部を示すブロック図で、符号1は
射出成形機の射出シリンダ、符号2はスクリューであ
る。スクリュー2は、駆動源の軸回転を射出軸方向の直
線運動に変換するための駆動変換機5を介して射出用サ
ーボモータM1により射出軸方向に駆動され、また、歯
車機構3を介してスクリュー回転用サーボモータM2に
より計量回転されるようになっている。スクリュー2の
基部には圧力検出器4が設けられ、スクリュー2の軸方
向に作用する樹脂圧力、即ち、射出保圧工程における射
出保圧圧力や計量工程におけるスクリュー背圧が検出さ
れる。射出用サーボモータM1にはスクリュー2の位置
や移動速度を検出するためのパルスコーダP1が配備さ
れ、また、スクリュー回転用サーボモータM2にはスク
リュー2の回転速度を検出するための速度検出器P2が
配備されている。
【0016】射出成形機の製品良否判別装置を兼ねる制
御装置10は、数値制御用のマイクロプロセッサである
CNC用CPU25,プログラマブルマシンコントロー
ラ用のマイクロプロセッサであるPMC用CPU18,
サーボ制御用のマイクロプロセッサであるサーボCPU
20および射出保圧圧力やスクリュー背圧のサンプリン
グ処理を行うための圧力モニタ用CPU17を有し、バ
ス22を介して相互の入出力を選択することにより各マ
イクロプロセッサ間での情報伝達が行えるようになって
いる。
【0017】PMC用CPU18には射出成形機のシー
ケンス動作を制御するシーケンスプログラムや製品の良
否判別を行うための制御プログラム等を記憶したROM
13および演算データの一時記憶等に用いられるRAM
14が接続され、ROM13には、更に、製品の良否判
別に関する設定操作を行うために必要とされる設定画面
に関連した表示データ(図10参照)等が格納されてい
る。CNC用CPU25には、射出成形機を全体的に制
御するプログラム等を記憶したROM27および演算デ
ータの一時記憶等に用いられるRAM28が接続されて
いる。
【0018】サーボCPU20および圧力モニタ用CP
U17の各々には、サーボ制御専用の制御プログラムを
格納したROM21やデータの一時記憶に用いられるR
AM19、および、成形データのサンプリング処理等に
関する制御プログラムを格納したROM11やデータの
一時記憶に用いられるRAM12が接続されている。ま
た、サーボCPU20には、該CPU20からの指令に
基いて型締め用,エジェクタ用(図示せず)および射出
用,スクリュー回転用等の各軸のサーボモータを駆動す
るサーボアンプ15が接続され、射出用サーボモータM
1に配備したパルスコーダP1およびスクリュー回転用
サーボモータM2に配備したパルスコーダP2からの出
力の各々がサーボCPU20に帰還され、パルスコーダ
P1からのフィードバックパルスに基いてサーボCPU
20により算出されたスクリュー2の現在位置や、速度
検出器P2で検出されるスクリュー2の回転速度が、R
AM19の現在位置記憶レジスタおよび現在速度記憶レ
ジスタの各々に記憶されるようになっている。
【0019】不揮発性メモリ24は射出成形作業に関す
る成形条件(射出保圧条件,計量条件等)と各種設定
値,パラメータ,マクロ変数等を従来と同様にして記憶
する成形データ保存用のメモリであり、更に、本実施例
においては、製品の良否判別のために用いる成形データ
や関数式を特定するための設定データおよび各関数式毎
の許容範囲等を記憶するためのファイルや(図9参
照)、前記関数式による各成形サイクル毎の演算結果を
記憶するためのファイル(図11参照)等が設けられて
いる。
【0020】インターフェイス23は射出成形機の各部
に配備したリミットスイッチや操作盤からの信号を受信
したり射出成形機の周辺機器等に各種の指令を伝達した
りするための入出力インターフェイスである。
【0021】そして、CNC用CPU25がROM27
の制御プログラムに基いて各軸のサーボモータに対して
パルス分配を行い、サーボCPU20は各軸に対してパ
ルス分配された移動指令とパルスコーダP1,速度検出
器P2等の検出器で検出された位置のフィードバック信
号および速度のフィードバック信号に基いて、従来と同
様に位置ループ制御,速度ループ制御さらには電流ルー
プ制御等のサーボ制御を行い、いわゆるディジタルサー
ボ処理を実行する。
【0022】ディスプレイ付手動データ入力装置29は
CRT表示回路26を介してバス22に接続され、各種
設定画面の表示やデータの入力操作等、例えば、製品の
良否判別に関連する設定画面(図8参照)を表示した状
態での成形データ項目の選択操作や関数式の特定操作お
よび許容範囲を構成する上限値と下限値の入力操作等
が、各種ファンクションキーやテンキーおよびカーソル
移動キー等によって行われるようになっている。
【0023】この実施例では、製品の品質に影響を与え
る少なくとも2項目以上の成形データとして、計量完了
位置,射出のピーク圧,射出保圧切替位置,射出保圧切
替圧力,射出所要時間,最小クッション量,クッション
量,計量所要時間の8項目のうちから任意の2項目を選
択するようになっており、また、これら2項目の成形デ
ータを変数とする良否判別のための関数式としては、乗
算および除算等のものが予めROM13に記憶されてお
り、このうちから任意の関数式を選択できるようになっ
ている。従って、良否判別に用いる成形データの項目の
組合せおよびこれに対応して良否判別のために用いる関
数式は前記8項目の成形データおよびROM13に記憶
された有限個の関数式のうちから選択する必要がある。
【0024】そこで、オペレータは予め実験を行って、
成形データの変動に拘らず、良品が成形される範囲で検
出される各成形データの値を代入したときの演算結果が
略一定の値となり、しかも、不良品成形時における成形
データの値を代入したときの演算結果が前記略一定の値
とは相当に相違するような2つの成形データの項目の組
合わせと、これに適用できる関数式を前記8項目の成形
データおよび有限個の関数式から予め選定し、また、良
品が成形されると見做せる演算結果の範囲、つまり許容
範囲に対応する上限値と下限値の値を予め製品毎に求め
ておく。
【0025】図12は或る製品に対し射出のピーク圧
(Kg/cm 2 )と最小クッション量(mm)を品質に影響を与
える2項目の成形データの組合わせとして選定すると共
に良否判別のための関数式として除算を選択した場合の
実験例を示すグラフであり、連続成形作業開始後の40
0ショット分について示している。図12に示される同
一ショットに対応する射出のピーク圧と最小クッション
量の関係を見れば分る通り、射出のピーク圧が大きけれ
ば最小クッション量も大きくなり、また、射出のピーク
圧が小さければ最小クッション量も小さくなっているの
で、射出のピーク圧と最小クッション量とが相互に関連
して変動するものであることは明らかである。そして、
射出のピーク圧と最小クッション量の各々に各ショット
毎のばらつきはあるが、成形作業を続けて行くに従い全
体として徐々にではあるが射出のピーク圧は増大し、ま
た、最小クッション量も増大して行く傾向にある。
【0026】これに対し、射出のピーク圧を最小クッシ
ョン量で除した演算結果は123 (無名数) で略一定と
なる。図13はこの実験で成形された各ショット毎の製
品の良否を判定するために、各ショット毎の製品重量を
測定した結果を、上下に拡大した演算結果のグラフと共
に示すものであり、ショートショットやヒケ等を始めと
する比重の不足に関する実際の不良は図13における
P,Q,R,Sのタイミング、即ち、射出のピーク圧を
最小クッション量で除した演算結果が著しく変動して1
20よりもかなり小さくなった時に発生している。この
場合、図13の結果から見て、許容範囲とする下限値は
120程度に設定するのが適当である。また、この実験
では過充填による離型不良やバリの発生といった問題は
全く発生していないので、許容範囲とする上限値は、例
えば、図13における演算結果の最大値に対して更に正
の方向に一定のクリアランスを付加して125程度に設
定する。
【0027】図12に示される射出のピーク圧のグラフ
および最小クッション量のグラフを個別に観察しても図
13における不良発生のタイミングP,Q,R,Sに対
応するショットを見出すことはできないが、射出のピー
ク圧を最小クッション量で除した演算結果の変動を見れ
ば不良発生のタイミングP,Q,R,Sを容易に知るこ
とができる。また、図12における射出のピーク圧と最
小クッション量は成形作業を続けて行くに従い全体とし
て徐々に増大して行くため、従来のように、射出のピー
ク圧および最小クッション量の各々に対して良品を良品
として判定する許容範囲を個別に設定したとすると、不
良発生のタイミングP,Q,R,Sに対応する射出のピ
ーク圧と最小クッション量の全てが許容範囲に包括され
てしまうため、例え、各項目の良否判定の論理積を取っ
たとしてもP,Q,R,Sで生じた不良品を不良品とし
て判定することはできない。これは、射出のピーク圧と
最小クッション量が全体として徐々に増大してデータ全
体にうねりが生じた場合であっても、このうねりに関わ
りなく良品の成形が可能な場合があるからであり、その
結果、良品を良品として判定する許容範囲を個別に設定
すると不良発生のタイミングP,Q,R,Sに対応する
射出のピーク圧と最小クッション量の全てが許容範囲に
包括されてしまうためであって、また、逆に、不良品を
不良品として判定する許容範囲を個別に設定すれば、良
品が不良品として判定されることにもなり兼ねない。
【0028】しかし、前述のように射出のピーク圧を最
小クッション量で除した演算結果に基いて判定を行え
ば、射出のピーク圧や最小クッション量等の個々の成形
データによる良否判別やその論理積を用いた良否判別の
ような間違いを犯すことなく、射出のピーク圧や最小ク
ッション量の緩やかな増大や減少といったデータ全体の
うねりとは関わりなく、適確な良否判別を行うことがで
きるようになる。
【0029】また、図14は射出のピーク圧(Kg/cm
2 )と計量所要時間(sec.)を品質に影響を与える2項
目の成形データの組合わせとして選定すると共に良否判
別のための関数式として乗算を選択した場合の結果を前
記の連続成形作業から纏めたものである。図14に示さ
れる同一ショットに対応する射出のピーク圧と計量所要
時間の関係を見れば分る通り、射出のピーク圧が大きけ
れば計量所要時間が短くなる一方、射出のピーク圧が小
さければ計量所要時間が長くなっているので、射出のピ
ーク圧と計量所要時間とが相互に関連して変動するもの
であることは明らかである。そして、射出のピーク圧と
計量所要時間の各々に各ショット毎のばらつきはある
が、成形作業を続けて行くに従い全体として徐々にでは
あるが射出のピーク圧は増大し、また、計量所要時間は
減少して行く傾向にある。これに対し、射出のピーク圧
に計量所要時間を乗じた演算結果は3250 (無名数)
で略一定である。したがって、射出のピーク圧の増大や
計量所要時間の減少といったデータ全体のうねりとは関
わりなく、適確に良否判別を行うことができる。
【0030】以上、除算および乗算に関する2つの例に
ついて説明したが、データ全体のうねりとは関わりなく
適確に良否判別を行うことができるような関数式が他に
あれば、それらの関数式をf3,f4,・・・等として
予めROM14に格納しておく。
【0031】図2は良否判別に用いる成形データの項目
の組合せおよびこれに対応して良否判別のために用いる
関数式を前記8項目の成形データおよび予めROM14
に格納された関数式から選定して射出成形機の制御装置
10に設定するための処理の概略を示すフローチャー
ト、また、図3〜図7は選定された成形データおよび関
数式に基いて行われる良否判別処理の概略を示すフロー
チャートである。
【0032】そこで、オペレータは、まず、ディスプレ
イ付手動データ入力装置29のファンクションキーを操
作し、PMC用CPU18に製品の良否判別に関連する
設定モードの処理を開始させることとなる。ファンクシ
ョンキーの操作を検出して設定モードの処理を開始した
PMC用CPU18は、まず、図9に示されるようなデ
ータ記憶ファイルに対応した枠組みを有する設定用対話
画面Sをディスプレイ付手動データ入力装置29の設定
用対話画面表示領域に表示すると共に、図10の(a)
に示されるような成形データ項目記憶テーブルおよび図
10の(b)に示されるような演算方法記憶テーブルを
参照して選択可能な成形データの項目名称および選択可
能な関数式の内容の一覧を各テーブルのアドレス値X
k,Ykに対応させて各々ディスプレイ付手動データ入
力装置29の一覧表示領域BおよびCに表示し、設定用
対話画面Sの枠組みにおける1列1行スポットの位置に
カーソルを表示した後(ステップa1,図8参照)、オ
ペレータによる数値入力操作(ステップa2)またはカ
ーソル移動キーの操作(ステップa3)もしくは終了キ
ーの操作(ステップa4)を待つ待機状態に入る。
【0033】設定用対話画面Sは、良否判別のための判
別条件として用いる2つの成形データの組合わせを第1
および第2の成形データ項目として選択したり、また、
第1および第2の成形データ項目の組合わせに対して適
用する関数式を演算方法として選択したり、更には、こ
れらの組合わせに対して行われる関数式の演算結果に対
する許容範囲を上限値および下限値として入力すること
により良否判別のための条件を設定するために用る画面
である。
【0034】そこで、オペレータはカーソル移動キーを
操作し、予め行われた実験の結果に基いて、良否判別の
ための判別条件として用いる2つの成形データ項目の組
合わせと、これに適用する関数式を選択して、許容範囲
の上限値と下限値を数値入力し、良否判別のための判別
条件を1組ずつ設定してゆくこととなる。
【0035】オペレータによるカーソル移動キーの操作
を検出したPMC用CPU18は(ステップa3)、操
作されたカーソル移動キーの種別、例えば上移動キー,
下移動キー,左移動キー,右移動キーの種別に応じてカ
ーソル指定位置記憶レジスタx,yの値を更新し、レジ
スタx,yの現在値に対応する設定用対話画面Sのx列
y行スポットにカーソルを表示して、データの設定対象
となっている項目をオペレータに示す(ステップa
5)。例えば、カーソル右移動キーを1回操作すればレ
ジスタxの値がインクリメントされて設定用対話画面S
における右隣のマス目にカーソルが移動し、また、カー
ソル左移動キーを1回操作すればレジスタxの値がディ
クリメントされて設定用対話画面Sにおける左隣のマス
目にカーソルが移動する。レジスタxの取り得る値は1
≦x≦5の整数である。また、カーソル下移動キーを1
回操作すればレジスタyの値がインクリメントされて設
定用対話画面Sにおける下隣のマス目にカーソルが移動
すると共に判別条件設定数Nの値がインクリメントさ
れ、また、カーソル上移動キーを1回操作すればレジス
タyの値がディクリメントされて設定用対話画面Sにお
ける上隣のマス目にカーソルが移動する。
【0036】そこで、オペレータが設定用対話画面Sの
1列1行の位置にカーソルを移動させ、良否判別のため
の判別条件となる第1の成形データ項目(図8では項目
aと表示)に対応する項目番号を一覧表示領域Bを参照
してテンキーで入力すると、PMC用CPU18はステ
ップa2の判別処理でこの操作を検出し、テンキー入力
された値をレジスタkに一時記憶する(ステップa
6)。この場合、カーソル指定位置記憶レジスタxの値
は1であるから(ステップa7が真)、PMC用CPU
18は図9のデータ記憶ファイルの1列1行のスポット
位置にレジスタkの現在値を記憶し(ステップa1
1)、成形データ項目記憶テーブルのアドレスXk=k
から成形データ項目kに対応する表示データを読込んで
設定用対話画面Sの1列1行の位置に表示してオペレー
タに知らせる(ステップa12)。図8の例では一覧表
示領域Bにおける項目番号2のピーク圧が最初の判別条
件、即ち、判別条件1における第1の成形データ項目と
して選択された場合を示している。
【0037】また、設定用対話画面Sの3列1行の位置
にカーソルを移動させ、良否判別のための判別条件とな
る第2の成形データ項目(図8では項目bと表示)に対
応する項目番号を一覧表示領域Bを参照してテンキー入
力すると、PMC用CPU18はステップa2の判別処
理で前記と同様にしてこの操作を検出し、テンキー入力
された値をレジスタkに更新記憶する(ステップa
6)。この場合、カーソル指定位置記憶レジスタxの値
は3であるから(ステップa9が真)、PMC用CPU
18は図9のデータ記憶ファイルの3列1行のスポット
位置にレジスタkの現在値を記憶し(ステップa1
5)、成形データ項目記憶テーブルのアドレスXk=k
から成形データ項目kに対応する表示データを読込んで
設定用対話画面Sの3列1行の位置に表示してオペレー
タに知らせる(ステップa16)。図8の例では一覧表
示領域Bにおける項目番号8の計量所要時間が判別条件
1における第2の成形データ項目として選択された場合
を示している。
【0038】そして、設定用対話画面Sの2列1行の位
置にカーソルを移動させ、第1の成形データ項目と第2
の成形データ項目の組合わせに対して適用すべき関数式
に対応する項目番号を一覧表示領域Cを参照してテンキ
ーで入力すると、PMC用CPU18はステップa2の
判別処理で前記と同様にしてこの操作を検出し、テンキ
ー入力された値をレジスタkに一時記憶する(ステップ
a6)。この場合、カーソル指定位置記憶レジスタxの
値は2であるから(ステップa8が真)、PMC用CP
U18は図9のデータ記憶ファイルの2列1行のスポッ
ト位置にレジスタkの現在値を記憶し(ステップa1
3)、演算方法記憶テーブルのアドレスYk=kから演
算方法kに対応する表示データを読込んで設定用対話画
面Sの2列1行の位置に表示してオペレータに知らせる
(ステップa14)。図8の例では一覧表示領域Cにお
ける項目番号1の乗算が判別条件1における関数式とし
て選択された場合を示している。
【0039】更に、設定用対話画面Sの4列1行の位置
にカーソルを移動させ、判別条件1に対する上限値の値
をテンキーで入力すると、PMC用CPU18はステッ
プa2の判別処理で前記と同様にしてこの操作を検出
し、テンキー入力された値をレジスタkに一時記憶する
(ステップa6)。この場合、カーソル指定位置記憶レ
ジスタxの値は4であるから(ステップa10が真)、
PMC用CPU18は図9のデータ記憶ファイルの4列
1行のスポット位置にレジスタkの現在値を記憶し(ス
テップa17)、テンキー入力された上限値の値kを設
定用対話画面Sの4列1行の位置に表示してオペレータ
に知らせる(ステップa18)。また、設定用対話画面
Sの5列1行の位置にカーソルを移動させて下限値の値
をテンキーで入力した場合は、PMC用CPU18はス
テップa2の判別処理で前記と同様にしてこの操作を検
出し、テンキー入力された値をレジスタkに一時記憶す
るが(ステップa6)、この場合カーソル指定位置記憶
レジスタxの値は5であるから(ステップa10が
偽)、PMC用CPU18は図9のデータ記憶ファイル
の5列1行のスポット位置にレジスタkの現在値を記憶
し(ステップa19)、テンキー入力された下限値の値
kを設定用対話画面Sの5列1行の位置に表示してオペ
レータに知らせる(ステップa20)。図8の例では上
限値として3300、また、下限値として3000を入
力した場合を示している。
【0040】そして、最初の判別条件、即ち、判別条件
1における第1,第2の成形データ項目および演算方法
となる関数式の選択操作ならびに上限値と下限値の設定
入力操作を完了したオペレータは、更に、必要があれば
カーソル下移動キーを操作して判別条件設定数Nの値を
増大させ、判別条件2,判別条件3,・・・等に対して
前記と同様の設定操作を行う。また、成形データ項目や
関数式の選択または数値入力に関する操作を誤った場合
には、設定用対話画面S上の修正すべき項目の表示位置
にカーソルを移動させて前記と同様の設定操作を重複し
て行い、データ記憶ファイルの内容を修正する。
【0041】そして、必要とされる全ての設定行為を終
了したなら、オペレータは、ディスプレイ付手動データ
入力装置29の終了キーを操作し、PMC用CPU18
による設定モードの処理を終了させる。
【0042】設定モードの処理が終了すると、PMC用
CPU18は、射出成形動作開始のためのサイクルスタ
ート信号の入力を待つ待機状態に入る(ステップb
1)。ここでいうサイクルスタート信号とは、半自動運
転の場合においては射出成形機本体に設けられた操作盤
の半自動運転スイッチからの操作信号、また、自動運転
中においてはCNC用CPU25からの型開き完了信号
である。つまり、半自動運転スイッチが操作された場合
においては、PMC用CPU18がスッテップb1〜ス
テップb50の処理を1回実行して型開き動作が完了し
た時点で射出成形機の動作が停止され(半自動運転)、
また、この半自動運転が行われている間に操作盤の自動
運転スイッチが操作されると自動的に連続運転が開始さ
れ、CNC用CPU25からの型開き完了信号をステッ
プb1の処理でPMC用CPU18が検出することによ
り、スッテップb1〜ステップb50の処理が繰り返し
実行されるのである(自動運転)。
【0043】なお、連続運転を開始するためには半自動
運転の実行中に自動運転スイッチを操作することが必須
の要件であり、また、半自動運転を開始するためには、
マニュアル操作でスクリュー回転用サーボモータM2に
指令を出力してスクリュー2に計量回転動作を行わせる
ことにより、少なくとも、成形条件として設定された計
量完了位置よりも後方にスクリュー2を後退させて、射
出動作に必要とされる樹脂を射出シリンダ1内に充填し
ておかなければならない。
【0044】以下、射出成形機の連続運転が既に開始さ
れているものとして本実施例における製品の良否判別処
理について説明する。
【0045】サイクルスタート信号の入力を検知したP
MC用CPU18は、まず、生産ショット数を積算記憶
するショット数カウンタnの値をインクリメントし(ス
テップb2)、CNC用CPU25に型閉じ指令を出力
して(ステップb3)、該CPU25およびサーボCP
U20により従来と同様にして型締め用サーボモータを
駆動制御することにより、型開き完了位置にある型締め
用サーボモータに型閉じおよび型締めの工程を行わせ、
CNC用CPU25からの型締め完了信号の入力を待つ
待機状態に入る(ステップb4)。そして、型締め完了
信号の入力が検知されると、PMC用CPU18はRA
M19のスクリュー現在位置記憶レジスタからスクリュ
ー現在位置Snを読み込み(ステップb5)、この値を
計量完了位置記憶レジスタB(1)に計量完了位置とし
て記憶すると共に、ピーク圧記憶レジスタB(2)およ
び最小クッション量記憶レジスタB(6)の各々に0お
よびSnを初期設定する(ステップb6)。なお、この
成形サイクルにおける射出に必要とされるスクリュー回
転用サーボモータM2の計量処理は、既に、直前の成形
サイクルにおけるステップb43〜ステップb45の処
理によって完了しており、また、この時の計量処理に要
した計量所要時間の値も直前の成形サイクルにおけるス
テップb42およびステップb46の処理により計量所
要時間記憶レジスタB(8)に記憶されている。
【0046】次いで、PMC用CPU18は、CNC用
CPU25に射出開始指令を出力してCPU25および
サーボCPU20により従来と同様にして射出用サーボ
モータM1を駆動制御することによりスクリュー2の射
出動作を開始させ(ステップb7)、経過時間測定タイ
マTをリスタートさせて射出所要時間の計時を開始する
(ステップb8)。次いで、PMC用CPU18はRA
M19のスクリュー現在位置記憶レジスタからスクリュ
ー現在位置Snを読込むと共に圧力モニタ用CPU17
を介してRAM12から射出圧力の現在値Pnを読込む
(ステップb9)。そして、PMC用CPU18は、最
小クッション量記憶レジスタB(6)に記憶された最小
クッション量の現在値よりもスクリュー現在位置Snの
方が小さいか否かを判別し(ステップb10)、最小ク
ッション量の現在値よりもスクリュー現在位置Snの方
が小さければ最小クッション量記憶レジスタB(6)に
スクリュー現在位置Snを更新記憶する一方(ステップ
b11)、スクリュー現在位置Snの方が大きければス
テップb11の処理を非実行として最小クッション量記
憶レジスタB(6)の値をそのまま保持する。また、P
MC用CPU18は、ピーク圧記憶レジスタB(2)に
記憶されたピーク圧の現在値よりも射出圧力の現在値P
nの方が大きいか否かを判別し(ステップb12)、ピ
ーク圧の現在値よりも射出圧力の現在値Pnの方が大き
ければピーク圧記憶レジスタB(2)に射出圧力の現在
値Pnを更新記憶する一方(ステップb13)、射出圧
力の現在値Pnの方が小さければステップb13の処理
を非実行としてピーク圧記憶レジスタB(2)の値をそ
のまま保持する。
【0047】次いで、PMC用CPU18は、射出工程
から保圧工程への移行条件がスクリュー位置によって設
定されているか射出圧力によって設定されているかを判
別し(ステップb14)、スクリュー位置によって設定
されている場合にはスクリュー現在位置Snの値が成形
条件として不揮発性メモリ24に記憶された射出保圧切
替位置VPssに到達するまでの間(ステップb15)、
また、射出圧力によって設定されている場合には射出圧
力の現在値Pnの値が成形条件として不揮発性メモリ2
4に記憶された射出保圧切替圧力VPpsに到達するまで
の間(ステップb17)、前記と同様の処理を繰り返し
実行し、射出工程における最小クッション量とピーク圧
を最小クッション量記憶レジスタB(6)およびピーク
圧記憶レジスタB(2)に更新記憶する。
【0048】そして、射出工程が終了したことがステッ
プb15またはステップb17の判別処理で確認される
と、PMC用CPU18は、射出工程から保圧工程への
移行条件がスクリュー位置によって設定されている場合
であれば、スクリュー現在位置Snの値が射出保圧切替
位置VPssに到達して射出が終了したときの射出圧力の
現在値Pnの値を射出保圧切替え圧力記憶レジスタB
(4)に記憶し(ステップb16)、また、射出工程か
ら保圧工程への移行条件が射出圧力によって設定されて
いる場合であれば、射出圧力の現在値Pnの値が射出保
圧切替圧力VPpsに到達して射出が終了したときのスク
リュー現在位置Snの値を射出保圧切替え位置記憶レジ
スタB(3)に記憶する(ステップb18)。
【0049】次いで、PMC用CPU18は、経過時間
測定タイマTの現在値を読込んで射出所要時間記憶レジ
スタB(5)に射出所要時間として記憶すると共に、再
び、経過時間測定タイマTをリスタートさせて保圧時間
の計時を開始し(ステップb19)、CNC用CPU2
5に保圧開始指令を出力してCPU25およびサーボC
PU20により従来と同様にして射出用サーボモータM
1を駆動制御することにより成形条件として不揮発性メ
モリ24に設定された保圧圧力でスクリュー2の保圧動
作を開始させる(ステップb20)。以下、PMC用C
PU18は、経過時間測定タイマTの現在値が成形条件
として不揮発性メモリ24に設定された保圧時間に達す
るまでの間(ステップb24)、前述のステップb9〜
ステップb11と同様の処理を繰り返し実行し、最小ク
ッション量記憶レジスタB(6)に記憶された最小クッ
ション量の現在値よりも小さなスクリュー現在位置Sn
が検出されれば、その値Snを最小クッション量記憶レ
ジスタB(6)に更新記憶する(ステップb21〜ステ
ップb23)。
【0050】そして、経過時間測定タイマTの現在値が
成形条件として不揮発性メモリ24に設定された保圧時
間に達したことがステップb24の判別処理で確認され
ると、PMC用CPU18はスクリュー現在位置Snを
クッション量記憶レジスタB(7)にクッション量とし
て記憶した後(ステップb25)、不良判別フラグbに
良品の成形を記憶する値0を初期設定し(ステップb2
6)、アドレス検索指標jに1を初期設定して(ステッ
プb27)、今回の成形サイクルで成形された製品の良
否を判別するための処理を開始する。
【0051】良否判別のための処理を開始したPMC用
CPU18は、図9のデータファイルの2列j行スポッ
トに記憶された関数式の項目番号を読込んでその値を判
別する(ステップb28〜ステップb30)。そして、
項目番号の値が乗算の関数式を示す値1であれば、PM
C用CPU18は、図9のデータファイルの1列j行ス
ポットに記憶された項目番号に対応する第1の成形デー
タ項目の現在値を記憶したレジスタB(A(1,j))
の値と3列j行スポットに記憶された項目番号に対応す
る第2の成形データ項目の現在値を記憶したレジスタB
(A(3,j))の値を検出し、これらの値を乗じて関
数式を実行し、その演算結果を演算結果記憶レジスタC
に記憶する(ステップb31)。例えば、図9のデータ
ファイルの2列j行の値が1、1列j行の値が2、3列
j行の値が8であったとするなら、ピーク圧記憶レジス
タB(2)の値と計量所要時間記憶レジスタB(8)の
値が乗じられることとなる。また、2列j行スポットに
記憶された項目番号の値が除算の関数式を示す値2であ
れば、PMC用CPU18は、レジスタB(A(1,
j))の値をレジスタB(A(3,j))の値で除して
関数式を実行し、その演算結果を演算結果記憶レジスタ
Cに記憶する(ステップb32)。例えば、図9のデー
タファイルの2列j行の値が2、1列j行の値が2、3
列j行の値が6であったとするなら、最小クッション量
記憶レジスタB(6)の値でピーク圧記憶レジスタB
(2)の値が除されることとなる。
【0052】また、2列j行スポットに記憶された項目
番号の値が他の関数式を示す値3もしくは4であった場
合には、PMC用CPU18は、第1の成形データ項目
の現在値を記憶したレジスタB(A(1,j))と第2
の成形データ項目の現在値を記憶したレジスタB(A
(3,j)の値に基いてf3もしくはf4の関数式を実
行し、その演算結果を演算結果記憶レジスタCに記憶す
る(ステップb33,ステップb34)。
【0053】次いで、PMC用CPU18は、アドレス
検索指標jおよびショット数カウンタnの現在値に対応
して図11の演算結果記憶ファイルのn列j行スポット
にアクセスし、ステップb31〜ステップb34のいず
れかの処理で求めた判別条件jに対する演算結果の値C
を書込むと共に(ステップb35)、該演算結果の値C
が図9のデータファイルの4列j行スポットに記憶され
た上限値A(4,j)と下限値A(5,j)との間にあ
るか否かを判別する(ステップb36)。
【0054】演算結果の値が上限値と下限値との間にあ
る場合、即ち、今回の成形サイクルで検出されたデータ
(但し、計量所要時間B(8)に関しては前回の成形サ
イクルで検出された値である)に基いて行われる判別条
件jに対する演算結果が良品として判別された場合には
(ステップb36)、アドレス検索指標jの現在値が判
別条件設定数Nを越えるまでの間(ステップb39)、
アドレス検索指標jの値を順次インクリメントして(ス
テップb38)、該指標jの現在値に基いて前記と同様
の処理を繰り返し実行し、判別条件jに対する演算結果
が判別条件jに対して設定された上限値と下限値との間
にあるか否かを判別すると共に、演算結果の値をアドレ
ス検索指標jの現在値に対応して図11の演算結果記憶
ファイルのC列j行スポットに書き込んでゆく。この間
にステップb36の判別結果が偽となれば、PMC用C
PU18は不良判別フラグbに1をセットし(ステップ
b37)、前記と同様の処理を繰り返し実行する。
【0055】ステップb39におけるアドレス検索指標
jの現在値が判別条件設定数Nを越えるまでの間、判別
条件jに対する演算結果の全てが良品として判別された
場合には、ステップb26の処理で0に初期設定された
不良判別フラグbにはそのまま0が保持され、この成形
サイクルで成形された製品は良品として認められること
となる。また、ステップb36の判別結果が1回でも偽
となった場合には、1からNまでの判別条件のうち少な
くとも1つの判別条件が満たされていないことを意味
し、不良判別フラグbに1がセットされて、この成形サ
イクルで成形された製品が不良品として認められる。
【0056】そして、ステップb39の判別結果が偽と
なって、設定されたN個の判別条件の各々に対して前述
の処理が完了したことが確認されると、PMC用CPU
18は、不良判別フラグbに1がセットされているか否
かを判別し(ステップb40)、不良判別フラグbに1
がセットされている場合に限り、不良成形の発生を意味
する製品不良信号を出力する(ステップb41)。この
製品不良信号は、ディスプレイ付手動データ入力装置2
9のディスプレイに異常メッセージを表示させるために
CRT表示回路26に転送されたり、また、製品の離型
タイミングに合わせて製品選別装置を駆動させるため
に、製品選別装置に振り分け準備信号として転送された
りする。
【0057】このようにして、製品の良否を判別するた
めの処理を終了したPMC用CPU18は、経過時間測
定タイマTを再びリスタートさせて計量時間の計時を開
始し(ステップb42)、不揮発性メモリ24に計量条
件として設定されたデータに基いてCNC用CPU25
に背圧設定指令およびスクリュー回転指令を出力し、射
出用サーボモータM1およびスクリュー回転用サーボモ
ータM2により従来と同様の計量動作を開始させる(ス
テップb43)。そして、PMC用CPU18は、スク
リュー2の現在位置SnをRAM19のスクリュー現在
位置記憶レジスタから逐次読込み(ステップb44)、
スクリュー現在位置Snが設定計量完了位置Sbに後退
するまでの間(ステップb45)、従来と同様の計量動
作を継続して行わる。そして、ステップb45の判別処
理でスクリュー2が設定計量完了位置Sbまで後退した
ことが確認されると、PMC用CPU18は経過時間測
定タイマTにより計時された時間を計量所要時間記憶レ
ジスタB(8)に計量所要時間として記憶する(ステッ
プb46)。
【0058】次いで、PMC用CPU18は、CNC用
CPU25に型開き開始指令を出力して型締め用サーボ
モータによる型開き動作を開始させ(ステップb4
7)、射出成形機の可動プラテンが設定型開き完了位置
に到達するまでの間(ステップb48)、可動プラテン
が設定エジェクト開始位置に到達する毎に(ステップb
49)、CNC用CPU25にエジェクト開始指令を出
力してエジェクタ用のサーボモータによるエジェクタロ
ッドの突出縮退動作を制御させ(ステップb50)、金
型から製品を離型させる。
【0059】そして、一連の製品突出しおよび型開き動
作が終了すると、PMC用CPU18はステップb2の
処理に復帰して待機状態に入り、CNC用CPU25か
らの型開き完了信号を受けて、前記と同様のシーケンス
制御を繰り返し実行することとなる。
【0060】以上、一実施例として、2つの成形データ
項目の組合せとこれに適用する関数式および関数式の演
算結果を許容する上限値ならびに下限値とによって図9
のデータ記憶ファイルの各行毎に1つずつ判別条件を設
定する場合について説明したが、良品が成形される範囲
で検出される成形データの値を代入したときの演算結果
が略一定の値となり、しかも、不良品成形時における成
形データの値を代入したときの演算結果が前記略一定の
値とは相当に相違するような成形データ項目の組合わせ
であれば、成形データ項目の組合せの個数や良否判別の
ための関数式の内容は問わない。
【0061】また、良否判別に用いるための関数式に関
してはユーザーによって作成されたものを項目番号に対
応して不揮発性メモリ24に自由に登録できるように
し、ステップb31〜ステップb34で項目番号に対応
して不揮発性メモリ24から関数式を読込んで演算処理
を行わせるようにしてもよい。この場合、図10の
(b)に示されるような演算方法記憶テーブルも不揮発
性メモリ24内に書替え可能に設けるか、または、RO
M13に設けられたテーブルに演算方法の内容自体を表
示データとして記憶させる代わりに、演算方法A,演算
方法B,・・・等のような抽象的な見出しをつけて一覧
表示領域Cに表示させるようにする。
【0062】また、良品が成形されると見做せる範囲の
上限値と下限値の値を求める実験に際しては、第1の成
形データ項目と第2の成形データ項目および関数式を決
めて判別条件を1組だけ設定し、前述のステップb1〜
ステップb50の処理で連続成形作業を行わせて図9に
示されるようなデータファイルにショット数と演算結果
の関係を記録させてディスプレイ付き手動データ入力装
置29の画面に結果をグラフ表示させ、各ショットで成
形された製品の良否を目視判別するようにすれば、上限
値および下限値を設定するためのデータ検出作業をより
簡単に行うことができる。更に、第1の成形データ項目
と第2の成形データ項目および判別条件として用いるべ
き関数式(ユーザーによって作成されたものであっても
よい)の適切な組合せを新たに求めたいような時は、第
1の成形データ項目と第2の成形データ項目および関数
式の適当な組合せを予め図9に示されるようなデータフ
ァイルに判別条件1,判別条件2,・・・等として複数
設定して前述のステップb1〜ステップb50の処理で
連続成形作業を行わせて図9に示されるようなデータフ
ァイルにショット数と演算結果の関係を記録させ、その
結果をグラフ表示させて判別条件毎の演算結果のばらつ
きを観察することにより、判別条件として適切な第1の
成形データ項目と第2の成形データ項目および関数式の
組合わせを求めるようにすることもできる。当然、これ
らの場合にはPMC用CPU18から出力される製品不
良信号は無視し、目視確認や重量測定により製品の良否
を判別することとなる。
【0063】
【発明の効果】本発明の製品良否判別方法は、成形サイ
クルにおける各ショット毎の製品の品質に影響を与える
少なくとも2項目以上の成形データの値を検出し、これ
らの成形データを複合して用いた関数式の演算結果に基
いて製品の良否を判別するようにしたので、時間の経過
や環境変化によって成形データの値に変動が生じるよう
な場合であっても、単一の成形データ項目または幾つか
の成形データ項目の値が各々の項目の許容範囲に入って
いるか否かによって製品の良否を判別する従来の良否判
別方法に比べ、より確実に製品の良否を判別することが
できる。また、演算に用いる成形データの組合わせとこ
れに適用する関数式によって構成される判別条件に対
し、用いられる成形データの項目の数に関わりなく只1
組の許容範囲を設定すればよく、幾つかの成形データ項
目に対して個別に良否判別の許容値を設定する必要がな
いので、設定データの入力操作が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例の射出成形機の要部
を示すブロック図である。
【図2】本実施例の射出成形機に配備された制御装置に
よるデータ設定処理の概略を示すフローチャートであ
る。
【図3】本実施例の射出成形機に配備された制御装置に
よる良否判別処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】良否判別処理の概略を示すフローチャートの続
きである。
【図5】良否判別処理の概略を示すフローチャートの続
きである。
【図6】良否判別処理の概略を示すフローチャートの続
きである。
【図7】良否判別処理の概略を示すフローチャートの続
きである。
【図8】データ設定処理に用いる対話画面を例示する図
である。
【図9】同実施例で採用したデータ記憶ファイルを示す
概念図である。
【図10】同実施例で採用した表示データ記憶テーブル
を示す概念図である。
【図11】同実施例で採用した演算結果記憶ファイルを
示す概念図である。
【図12】ピーク圧と最小クッション量との相関関係を
示す一実験結果のグラフである。
【図13】図12の線図の一部を拡大して製品重量の測
定結果と共に示すグラフである。
【図14】ピーク圧と計量時間との相関関係を示す一実
験結果のグラフである。
【符号の説明】
1 射出シリンダ 2 スクリュー 4 圧力検出器 10 制御装置 18 PMC用CPU 20 サーボCPU 22 バス 24 不揮発性メモリ 29 ディスプレイ付手動データ入力装置 M1 射出用サーボモータ M2 スクリュー回転用サーボモータ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形サイクル毎に製品の良否を自動的に
    判別する射出成形機の製品良否判別方法において、成形
    サイクルにおける各ショット毎の製品の品質に影響を与
    える少なくとも2項目以上の成形データの値を検出し、
    予め決められた演算を前記検出されたデータの値によっ
    て行い、該演算の結果が許容範囲内にあるか否かにより
    製品の良否を判別するようにした射出成形機の製品良否
    判別方法。
  2. 【請求項2】 成形サイクルにおける各ショット毎の製
    品の品質に影響を与える選択された項目の成形データの
    値を検出し、該項目の成形データの値を変数とする予め
    決められた関数式によって演算を行い、該演算の結果が
    許容範囲内にあるか否かにより製品の良否を判別するよ
    うにした請求項1記載の射出成形機の製品良否判別方
    法。
  3. 【請求項3】 前記関数式は、相互に関連して変動する
    成形データの値を変数として構成され、良品成形時の成
    形データの検出値を変数に代入して行われる演算結果が
    前記許容範囲内となるように前記関数式および許容範囲
    が決められている請求項2記載の射出成形機の製品良否
    判別方法。
  4. 【請求項4】 組合せの異なる項目の成形データの値を
    変数として構成される関数式を複数設定しておき、各関
    数式から求まる演算の結果が夫々の関数式に対応して設
    定された許容範囲内にあるときにのみ良品として判別す
    る請求項2または請求項3記載の射出成形機の製品良否
    判別方法。
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JP2007050532A (ja) * 2005-08-15 2007-03-01 Toyo Mach & Metal Co Ltd 射出成形機
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