JP3542060B2 - 射出成形機およびそのノズル温度制御方法 - Google Patents

射出成形機およびそのノズル温度制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は射出成形機および、これに設けられた射出用ノズルの温度制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に射出成形機は、成形品の品質を安定化させるため、そのバレル温度を所定温度に制御するように構成されている。図5は、上記射出成形機を構成する射出ユニットの要部構造を示す概略縦断面図である。この射出ユニットでは、バレル21内にスクリュウ22が回転および進退自在に配設されている。バレル21の外周面には電熱式のヒータ(バンドヒータなど)24a,24b,24cが、バレル21の肉部には温度センサ25a,25b,25cがそれぞれ設けられている。これらの温度センサはそれぞれ加熱制御部26a,26b,26cに連絡され、これらの加熱制御部はそれぞれ開閉器27a,27b,27cに連絡され、さらにこれらの開閉器は加熱電源26および、前記ヒータ24a〜24cに連絡されている。
図5において28はノズルであり、その先端部には溶融樹脂の射出口28aが開口している。また、ノズル28の前方には、図示されない金型が配備され、この金型に前記射出口28aを当接させて射出を行うようになっている。
【0003】
上記射出成形機による成形工程は一般に、▲1▼型閉(型締)、▲2▼ノズルタッチ(ノズル先端部が金型に当接)、▲3▼射出(充填・保圧)、▲4▼金型冷却、▲5▼樹脂原料の可塑化・計量、▲6▼型開、▲7▼成形品取出し、▲1▼型閉、…の順に行われる。ただし、これらの工程は単独に行われるのではなく、それぞれが連携をとりながら自動的に行われる。
【0004】
すなわち、スクリュウ22が回転し、バレル21に供給された樹脂原料がスクリュウ22のスパイラル状フライト23により、図示しない金型に向けて輸送される。この間において、樹脂原料はバレル21とスクリュウ22との隙間で生じる剪断作用と、上記ヒータ24a〜24cによる加熱とによって溶融されながら、成形1サイクル分の射出量がバレル21内の先端部に計量される(可塑化・計量工程)。また、上記各ヒータの温度制御は、温度センサ25a〜25cからの信号を加熱制御部26a〜26cで受け、この加熱制御部により開閉器27a〜27cを開閉して加熱電源26からの電力を各ヒータに供給/停止することで行われる。そして、上記バレル21内先端部に計量された溶融樹脂は、スクリュウ22の前進により、図示しない金型内に射出されて成形品に加工される(射出・充填・保圧工程)。
【0005】
上記可塑化・計量工程において樹脂原料は、上記ヒータにより加熱されるだけではなく、スクリュウ22の回転・後退による混練作用によって発熱する。ところが、スクリュウ22が後退するため、スクリュウ22とバレル21との相対位置が変化するとともに、スクリュウ22の混練有効長さが短くなっていく。
このため、上記温度制御装置を配備しているにもかかわらず、バレル21内の溶融樹脂温度は、スクリュウ22の前進限位置から後退限位置に向かって次第に低下する温度分布になりやすく、成形品の品質を均一にするのが難しいという問題があった。
【0006】
上記問題点を解消するための手段が、特開平7−186227号公報に提案されている。この公報に開示された「射出成形機のバレル温度制御方法」では、温度検出手段を有するバレルの外周面にヒータを設け、前記温度検出手段によりバレル温度を検出して前記ヒータの作動制御(バレルの温度制御)を行うようにした射出成形機の温度制御方法において、成形サイクルに連動するシーケンス制御手段を設け、バレルの温度制御に際して、前記温度検出手段によるヒータの作動制御(加熱制御)に加えて、射出工程中の特定時間帯に前記シーケンス制御手段を介して追加補償的に前記ヒータの作動制御を行うようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の射出成形機では、加熱制御の変動による影響を小さくする(バレル温度の変動を小さくする)目的で、バレルの肉厚を相当に厚くしている。そのためバレル温度制御の応答性が低くなるので、上記公報に提案された温度制御方法は、前記計量工程の時間が長い成形の場合には有効であるが、計量時間が短い場合には、必ずしも充分な効果が得られないという不具合があった。
【0008】
本発明は、従来技術の上記問題点を解決ようとするもので、第1の目的は、バレル先端部に、従来構造のノズルに代えて、所定構成のノズルと、これを加熱するための加熱手段と、この加熱手段用の温度制御手段とを設けることにより、成形サイクルの長短にかかわりなく、射出される溶融樹脂の温度を均一に制御して、品質が均一な成形品を安定して得ることができる射出成形機を提供することにある。
本発明の第2の目的は、このような射出成形機において、前記ノズルの温度を的確に制御する方法を提供することである。
以下、本発明の目的を請求項別に具体的に説明する。
【0009】
(1)請求項1の発明
成形サイクルの長短に影響されずに、射出される溶融樹脂を均一温度に制御することができる射出成形機を提供することが目的である。
【0010】
(2)請求項2の発明
請求項1の射出成形機で望まれることは、成形品の取出し後に、溶融樹脂がノズル先端部の射出口から漏れないうえ、次の成形サイクル開始時に前記ノズル先端部を迅速に加熱できること、すなわちノズル先端部の温度制御の応答性を高めること、さらに、次サイクルの射出分の樹脂が均一に所定の射出温度に保温されることなどである。
したがって請求項2の発明の目的は、請求項1の目的に加えて、上記要求を満たす射出成形機を提供することである。
【0011】
(3)請求項3の発明
請求項2の発明では前記ノズルを、肉厚が異なる複数のノズル部分により構成する。したがって、請求項3の発明の目的は、それぞれのノズル部分の機能を充分に発揮させることができるノズル温度制御方法を提供することである。
【0012】
(4)請求項4の発明
請求項3のノズル温度制御方法において、該ノズル内の溶融樹脂温度を、より精度よく制御することが目的である。
【0013】
(5)請求項5の発明
請求項4のノズル温度制御方法において、金型への溶融樹脂の射出・充填工程以外の工程で、前記ノズル先端部から溶融樹脂が漏れるのを防止することを目的とする。
【0014】
(6)請求項6の発明
請求項4のノズル温度制御方法において、前記ノズル内にある、次サイクルで射出される溶融樹脂の温度を、より精度よく制御することを目的とする。
【0015】
(7)請求項7,8の発明
請求項4のノズル温度制御方法において、ノズル温度制御の変動の影響を小さくすることを目的とする。
【0016】
(8)請求項9の発明
請求項4のノズル温度制御方法において、ノズル温度制御の外乱による変動の影響を小さくすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の射出成形機は、バレル内にスクリュウを回転・進退自在に設け、バレルの適宜位置にヒータを設け、前記スクリュウおよびヒータの作動により樹脂原料を可塑化させるとともに、バレル内の前記スクリュウ直近前方部分に射出1サイクル分の溶融樹脂を計量した後、金型への射出を行う射出ユニットを備えた射出成形機において、前記バレルの先端部に射出1サイクル分の溶融樹脂量と同容積の内部空間を有するノズルを設け、該ノズルにはヒータと温度検出手段とを設け、これらのヒータおよび温度検出手段を、前記ヒータの作動を制御する加熱制御部に連絡したことを特徴とする。
【0018】
すなわち、本発明の射出成形機は、従来構造の射出ユニットのノズルに代えて上記構成のノズルを配備したことを骨子としている。このノズルは、金型に射出される溶融樹脂の温度を均一化するための、いわば温度補償部であって、バレル内のスクリュウ直近、かつ前方部分に計量した、射出1サイクル分の溶融樹脂を射出1サイクル分の時間だけ蓄溜し、この間に前記溶融樹脂の温度を前記ヒータの作動制御により均一化して金型に射出する作用をなすものである。
【0019】
請求項2に記載の射出成形機は、請求項1において前記ノズルを、肉厚が異なる複数のノズル部分により構成するとともに、先端部に近いノズル部分ほど肉厚を小さくしたしたことを特徴とする。
このように、金型に当接するノズル先端部の熱容量を最小にすることで、ヒータのon/offに対する前記ノズル先端部の応答速度が高くなり、昇温・降温操作が迅速に行なわれるため、前記ノズル先端部により、溶融樹脂の通路を開閉する開閉弁と同様な作用が得られる。
【0020】
請求項3に記載の射出成形機のノズル温度制御方法は、請求項2に記載の射出成形機のノズル温度を制御する方法であって、各ノズル部分にヒータおよび温度検出手段を個別に設け、これらのヒータおよび温度検出手段を加熱制御部に連絡し、該加熱制御部により各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御することを特徴とする。
このように、各ノズル部分の温度を個別に制御することで、各ノズル部分による所期の作用を確実に発揮させることができ、主ノズル部により射出前の溶融樹脂温度の均一化を行うことができるうえ、ノズル先端部の射出口の温度低下による溶融樹脂の硬化によって、ノズルからの溶融樹脂の漏れを防止することができて、溶融樹脂の計量精度が向上する。
【0021】
請求項4に記載の射出成形機のノズル温度制御方法は、請求項3において、成形サイクルに連動するシーケンス制御手段を介して、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御することを特徴とする。
このように、成形サイクルに連動するシーケンス制御手段によって追加補償的な温度制御を行うので、請求項3によるノズル温度制御の精度を更に向上させることができて、射出するべき溶融樹脂の温度を高度に均一化するとともに、計量精度を更に高めることが可能となる。
【0022】
請求項5に記載の射出成形機のノズル温度制御方法は、請求項4において前記ノズルの先端部を金型に当接させた状態で連続成形を行う場合において、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するときには、金型への溶融樹脂の射出・充填完了後に、前記ノズルの先端部に位置するノズル部分に設けたヒータによる加熱を停止し、次の射出前の適宜時に加熱を再開することを特徴とする(図4を参照)。
【0023】
請求項6に記載の射出成形機のノズル温度制御方法は、請求項4または5において、前記ノズルの先端部を金型に当接させた状態で連続成形を行う場合において、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するときには、金型への溶融樹脂の射出・充填完了後に、前記ノズルの先端部に位置するノズル部分以外のノズル部分に設けたヒータによる加熱を停止し、溶融樹脂の計量完了後から次の射出・充填完了後までの間、加熱を行うことを特徴とする(図4を参照)。
このような制御方法は、連続成形に限らず、成形サイクルが相当に長い場合にも有効に適用できる。
【0024】
請求項7に記載の射出成形機のノズル温度制御方法は、請求項4において各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するに際し、こまめなon/offの繰り返しでなく、1回の昇温・降温操作を行うことを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の射出成形機のノズル温度制御方法は、請求項4において、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するに際し、前記温度検出手段で検出された各ノズル部分の温度からのフィードバックによるPID等のon/offの制御ではなく、アナログ的なリニアな制御を行うことを特徴とする。
【0026】
請求項9に記載の射出成形機のノズル温度制御方法は、請求項4において、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するに際し、前記ノズル周辺の外気温度を検出し、該検出温度と連動させて各ヒータの作動を制御することを特徴とするものである。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。
実施例1
図1は射出成形機を構成する射出ユニットの要部構造を示す概略縦断面図である。この射出ユニットは、図5に示す従来の成形機のノズル28に代えて、バレル1の先端部に射出1サイクル分の溶融樹脂量と同容積の内部空間を有するノズル8を設け、このノズル8に電熱式のヒータと、温度センサーとを設け、これらのヒータおよび温度センサーを加熱制御部に連絡したものである。
【0028】
上記ノズル8は、肉厚が異なる複数のノズル部分により構成するとともに、先端部に近いノズル部分ほど肉厚を小さくすることが好ましい(請求項2)。このため図1のノズル8は、肉厚および内径が大きく、ノズル8の内容積の大部分を占める主ノズル部8aと、溶融樹脂の射出口11が形成され、内容積が主ノズル部8aに比べて相当に小さいノズル先端部8bとで構成してある。また、これらノズル部分の肉部に温度センサ10a,10bと、各ノズル部分の外周面に電熱式のヒータ9a,9bとをそれぞれを個別に設けてある。そして、温度センサ10a,10bをそれぞれ加熱制御部6c,6dに、これらの加熱制御部をそれぞれ開閉器7c,7dに、さらにこれらの開閉器を加熱電源6およびヒータ9a,9bに、それぞれ連絡してある(請求項3)。
【0029】
上記射出ユニットのその他の部分の構成は図5の従来例と同様であり、1はバレル、2はスクリュウ、3はスクリュウのフライト、4aおよび4bは電熱式のヒータ、5aおよび5bは温度センサ、6aおよび6bは加熱制御部、7aおよび7bは開閉器であり、加熱電源6は全てのヒータ4a,4b,9aおよび9bへの電力供給を賄うようになっている。
【0030】
上記射出成形機による成形工程は、基本的には図5に示す従来の成形機と同様であるが、以下の点で異なる。
成形開始時の樹脂原料の可塑化・計量工程では、スクリュウ2の回転と、ヒータ4a,4bの作動とによりノズル8内(図1のAで示す部分)に成形1サイクル分(1回の射出分)の溶融樹脂と、バレル内のスクリュウ直近前方部分(バレル1の先端部内、すなわち図1のBで示す部分)に成形1サイクル分の溶融樹脂とを計量する(図1の状態。ただし、溶融樹脂は図示されていない)。
【0031】
ついで行う1回目の射出工程では、スクリュウ2の前進により、ノズル8内の溶融樹脂を金型に射出するのと並行して、バレル先端部内に計量した溶融樹脂をノズル8内に圧入する。2回目以降の成形では、図5の射出成形機の場合と同様に成形1サイクル分の溶融樹脂をバレル先端部内に計量(図1の状態)した後、上記と同様にスクリュウ2の前進によりノズル8内樹脂の射出を行う。
【0032】
上記射出成形機による成形工程においてヒータ4a,4b,9a,9bの温度制御は、温度センサ5a,5b,10a,10bからの信号を加熱制御部6a〜6dで受け、これらの加熱制御部により開閉器7a〜7dを開閉して加熱電源6からの電力を各ヒータに供給/停止することで行う。
【0033】
上記射出ユニットでは、バレル1先端部内の溶融樹脂が、バレル1に設けたヒータの作動制御によってほぼ均一に加熱され、ついでノズル8内では、これに設けたヒータの作動制御より、成形1サイクル分の時間をかけて温度の均一化処理が行われるため、温度を高度に均一化した溶融樹脂を金型に射出することができ、高品質の成形品を安定して得ることが可能である。
このようにノズル8は、バレル先端部内に計量された温度ばらつきのある溶融樹脂の温度を均一化した後、金型に射出するための温度補償部として作用するものである。
【0034】
なお、肉厚が異なる複数のノズル部分によりノズル8を構成するとともに、先端部に近いノズル部分(8b)の肉厚を溶融樹脂の射出口11から遠い方のノズル部分(8a)よりも小さくしたことによる作用効果、および、これらのノズル部分にヒータおよび温度センサを個別に設け、各ノズル部分のヒータの作動を加熱制御部により個別に制御することによる作用効果についての説明は、次の実施例2の説明の中で行う。
【0035】
実施例2
図2に示す射出ユニットは、図1の射出ユニットにおける開閉器7c,7dを、成形サイクルに連動するシーケンス制御手段12に連絡し、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するように構成したものである(請求項4)。以下、これによる作用効果につて説明する。
【0036】
成形サイクルからみた場合、ノズル部の樹脂は射出時には抵抗無く流れ、それ以外の時には流れが止まっていることが望ましい。そこで、実施例1,2の射出成形機により連続成形する場合には、従来の成形機と同様に、ノズル8の射出口11を金型に当接させた状態に維持するともに、金型の設定温度は、溶融樹脂を冷却するためにノズル8の制御温度よりも低くする。
したがって、実施例1,2の射出ユニットにおいては、射出・充填工程完了後にヒータ9bによるノズル先端部8bの加熱を止めることで、射出口11からの溶融樹脂の漏れを防ぐことができる(請求項5、図4を参照)。
【0037】
なぜなら、射出口11は低温の金型に接しているとともに、ノズル先端部8bの熱容量が小さいため、これの加熱と中止すると、射出口11が金型により急速に冷却され、射出口11の溶融樹脂が硬化してシールされるからである。その結果、ノズル8内での溶融樹脂の計量を、より正確に行うことができるうえ、成形中の「糸引き」のトラブルがなくなる。逆に、射出前の適当な時に、ヒータ9bを作動させてノズル先端部8bを急速に加熱することができるので、成形サイクルに悪影響を与えることがないという効果もある(請求項5、図4を参照)。
これに対して主ノズル部8aでは、ノズル先端部8bに比べて熱容量が大きいため、ヒータ9aのon/offによる急激な温度変動が伴わないので、バレル1先端部で生じた溶融樹脂の温度ばらつきを確実に小さくすることができる。
【0038】
また、成形サイクルが長い場合(連続成形を含む)、ノズル8の温度を高めに保つと「樹脂焼け」が生じやすくなるが、ヒータ9aによる主ノズル部8aの加熱制御を、溶融樹脂の計量完了後から次の射出・充填完了後までの間行うことで、必要な溶融状態を維持することができるとともに、上記「樹脂焼け」を防止することが可能となる(請求項6、図4を参照)。
【0039】
図5の射出ユニットでは、ヒータ24a〜24cによる加熱制御を行うに際して、温度センサ25a〜25cによる検出温度が設定温度に比べて所定温度だけ下がればヒータのon操作を行い、逆に所定温度だけ上昇すればヒータのoff操作を行うようにしている。
しかし、このような制御方法では、樹脂温度が常に設定温度の前後で、ある幅をもって変動することになり、成形サイクルとヒータのon/offが連動しない場合には、射出サイクル間で樹脂温度に差が生じる。例えば、前回の射出サイクルでは樹脂温度がほぼtであったものが、今回の射出サイクルではほぼtとなり、tとtとの差が大きくなってしまう。
【0040】
そこで、この実施例2では、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するに際し、こまめなon/offの繰り返しでなく、1回の昇温・降温操作を行う(請求項7)。すなわち、ヒータ9aおよび9bを成形サイクルに連動して作動させるに際して、成形サイクルの所定の工程になった時にこれらのヒータへの通電操作を行う。この場合、所定の時間だけ通電し、ノズル部の温度を昇温させる。この通電時間は、成形サイクルにより適宜に設定される。こうすることで、ノズル部の溶融樹脂温度は成形サイクルに対応して、滑らかな温度上昇・降下を繰り返すため上記従来の温度制御方法とは違って、射出される溶融樹脂の、成形サイクル間での温度差が小さくなる効果がある。
【0041】
同様に、成形サイクルに合わせた電圧制御によりヒータ9a,9bの作動制御を行うことによっても、射出サイクル間で溶融樹脂温度差を小さくすることができる。また、ヒータ9a,9bの作動を個別に制御するに際し、昇温・降温操作のためのヒータ操作を、温度センサ10a,10bで検出された各ノズル部分の温度からのフィードバックによるPID等のon/off制御ではなく、アナログ的なリニアな制御により行うことが望ましい(請求項8)。これにより、成形サイクル間での射出溶融樹脂の温度差を小さくすることができる。
【0042】
実施例3
図3に示す射出ユニットは、図2の射出ユニットにおける温度センサ10a,10bに代えて、ノズル8周辺の外気温度を検出する温度センサ13a,13bを設けたものである。すなわち、温度センサ13aを加熱制御部6cを介して開閉器7cに、温度センサ13bを加熱制御部6dを介して開閉器7dに、それぞれ連絡し、開閉器7cおよび7dを、成形サイクルに連動するシーケンス制御手段13を連絡してある(請求項9)。
【0043】
ノズル周囲の外気温は、ノズル8の温度を降下させる最も大きく要因である。そこで、この実施例では温度センサ13a,13bでノズル8周辺の外気温度を検出し、検出された外気温度からのフィードバックにより、シーケンス制御手段13を介してヒータ9a,9bの作動時間(ノズル8の加熱時間)を制御する。こうすることで、射出される溶融樹脂の、成形サイクル間での温度差を小さくすることができる。
【0044】
上記実施例2,3では、ヒータ9a,9bへの通電(ノズル部分8a,8bの加熱)を図4に示すシーケンスにより行う。図4において横軸は成形工程を示しonは通電を、offは通電停止をそれぞれ示している。具体的には、主ノズル部8aでは、射出・充填工程完了後にヒータoffとし、金型冷却および計量工程が完了するまでヒータoffの状態を維持する。計量工程の完了後にヒータonとし、次の成形サイクルの射出・充填工程完了まで間、この状態を維持する。ノズル先端部8bでは、射出・充填工程完了後に主ノズル部8aと同じくヒータoffとする一方、型開・成形品取出し・型閉の工程中の適宜時にヒータonとし、次の成形サイクルの射出・充填工程完了まで間、この状態を維持する。
【0045】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば以下の作用効果が得られる。
(1)請求項1の射出成形機
バレルの先端部に射出1サイクル分の溶融樹脂量と同容積の内部空間を有するノズルを設け、該ノズルにはヒータと温度検出手段とを設け、さらにこれらのヒータおよび温度検出手段を加熱制御部に連絡し、前記ヒータの作動を加熱制御部により制御するように構成し、バレル内のスクリュウ直近前方部分に計量した、射出1サイクル分の溶融樹脂の温度を前記ノズル内で均一化して金型に射出するようにしたので、成形サイクルの長短に左右されずに、品質が均一な成形品を安定して得ることができる。
【0046】
(2)請求項2の射出成形機
請求項1において前記ノズルを、肉厚が異なる複数のノズル部分により構成するとともに、先端部に近いノズル部分ほど肉厚を小さくしたため、肉厚大のノズル部分で溶融樹脂の温度均一化を的確に行うことができる。また、ノズル先端部の温度上昇・降下を迅速・正確に行うことができる。このためノズル内樹脂温度の均一化と、ノズルからの樹脂漏れ防止と、正確な樹脂計量とを同時に達成することが可能となる。
【0047】
(3)請求項3のノズル温度制御方法
請求項2に記載の射出成形機のノズル温度を制御するに際して、各ノズル部分にヒータおよび温度検出手段を個別に設け、これらのヒータおよび温度検出手段を加熱制御部に連絡し、該加熱制御部により各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するようにしたので、ノズルからの樹脂漏もれ防止・正確な樹脂計量と、ノズル内樹脂温度の均一化とを両立させることができる。
【0048】
(4)請求項4のノズル温度制御方法
請求項3において、成形サイクルに連動するシーケンス制御手段を介して、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するように構成したため、成形サイクルに連動する形で各ノズル部分の温度制御を行うことができるので、射出される溶融樹脂の温度均一性を請求項3に比べて更に高めることができ、品質が著しく均一な成形品を安定して得ることができる。
【0049】
(5)請求項5のノズル温度制御方法
請求項4において、金型への溶融樹脂の射出・充填完了後に、ノズル先端部の加熱を停止するため、該先端部の温度が迅速に低下するので、ノズルからの樹脂漏れを確実に防止することができるうえ、ノズル内での樹脂計量を正確に行うことが可能になる。
また、次の射出前の適宜時にノズル先端部の加熱を再開するため、前記先端部で硬化した樹脂を射出工程前に確実に溶融させることができるので、円滑に射出工程に移行することが可能となる。
【0050】
(6)請求項6のノズル温度制御方法
請求項4において、ノズル先端部を除くノズル部分のヒータによる加熱を、溶融樹脂の計量完了後から次の射出・充填完了後までの間行うため、「樹脂やけ」の防止と、ノズル樹脂温度の均一化とを両立させることができる。
【0051】
(7)請求項7のノズル温度制御方法
請求項4において各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するに際し、こまめなon/offの繰り返しでなく、1回の昇温・降温操作を行うため、ノズル内の溶融樹脂は成形サイクルに対応して、滑らかな温度上昇・降下を繰り返すので、射出される溶融樹脂の温度が成形サイクル間でばらつくことがなくなる。
【0052】
(8)請求項8のノズル温度制御方法
請求項4において各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するに際し、温度検出手段で検出された各ノズル部分の温度からのフィードバックによるPID等のon/offの制御ではなく、アナログ的なリニアな制御により行うため、請求項7と同様に安定した溶融樹脂温度の制御が可能となる。
【0053】
(9)請求項9のノズル温度制御方法
請求項4において各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するに際し、ノズル周辺の外気温度を検出し、該検出温度と連動させて各ヒータの作動を制御するので、外気温度の変動にかかわらず、射出される溶融樹脂の温度の、成形サイクル間での差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る射出ユニットの要部構造を示す概略縦断面図である。
【図2】実施例2に係る射出ユニットの要部構造を示す概略縦断面図である。
【図3】実施例3に係る射出ユニットの要部構造を示す概略縦断面図である。
【図4】実施例1〜3の射出ユニットにおいてノズル温度を制御する場合の、ヒータのon/offシーケンスを示す説明図である。
【図5】従来の射出ユニットの要部構造を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 バレル
2 スクリュウ
3 フライト
4a,4b ヒータ
5a,5b 温度センサ
6 加熱電源
6a〜6d 加熱制御部
7a〜7d 開閉器
8 ノズル
8a 主ノズル部
8b ノズル先端部
9a,9b ヒータ
10a,10b 温度センサ
11 射出口
12,13 シーケンス制御手段
13a,13b 温度センサ
21 バレル
22 スクリュウ
23 フライト
24a〜24c ヒータ
25a〜25c 温度センサ
26 加熱電源
26a〜26c 加熱制御部
27a〜27c 開閉器
28 ノズル
28a 射出口

Claims (9)

  1. バレル内にスクリュウを回転・進退自在に設け、バレルの適宜位置にヒータを設け、前記スクリュウおよびヒータの作動により樹脂原料を可塑化させるとともに、バレル内の前記スクリュウ直近前方部分に射出1サイクル分の溶融樹脂を計量した後、金型への射出を行う射出ユニットを備えた射出成形機において、前記バレルの先端部に射出1サイクル分の溶融樹脂量と同容積の内部空間を有するノズルを設け、該ノズルにはヒータと温度検出手段とを設け、これらのヒータおよび温度検出手段を、前記ヒータの作動を制御する加熱制御部に連絡したことを特徴とする射出成形機。
  2. 請求項1において前記ノズルを、肉厚が異なる複数のノズル部分により構成するとともに、先端部に近いノズル部分ほど肉厚を小さくしたしたことを特徴とする射出成形機。
  3. 請求項2に記載の射出成形機のノズル温度を制御する方法であって、各ノズル部分にヒータおよび温度検出手段を個別に設け、これらのヒータおよび温度検出手段を加熱制御部に連絡し、該加熱制御部により各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御することを特徴とする射出成形機のノズル温度制御方法。
  4. 請求項3において、成形サイクルに連動するシーケンス制御手段を介して、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御することを特徴とする射出成形機のノズル温度制御方法。
  5. 請求項4において前記ノズルの先端部を金型に当接させた状態で連続成形を行う場合に、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するときには、金型への溶融樹脂の射出・充填完了後に、前記ノズルの先端部に位置するノズル部分に設けたヒータによる加熱を停止し、次の射出前の適宜時に加熱を再開することを特徴とする射出成形機のノズル温度制御方法。
  6. 請求項4または5において前記ノズルの先端部を金型に当接させた状態で連続成形を行う場合に、各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するときには、金型への溶融樹脂の射出・充填完了後に、前記ノズルの先端部に位置するノズル部分以外のノズル部分に設けたヒータによる加熱を停止し、溶融樹脂の計量完了後から次の射出・充填完了後までの間、加熱を行うことを特徴とする射出成形機のノズル温度制御方法。
  7. 請求項4において各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するに際し、こまめなon/offの繰り返しでなく、1回の昇温・降温操作を行うことを特徴とする射出成形機のノズル温度制御方法。
  8. 請求項4において各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するに際し、前記温度検出手段で検出された各ノズル部分の温度からのフィードバックによるPID等のon/offの制御ではなく、アナログ的なリニアな制御を行うことを特徴とする射出成形機のノズル温度制御方法。
  9. 請求項4において各ノズル部分のヒータの作動を個別に制御するに際し、前記ノズル周辺の外気温度を検出し、該検出温度と連動させて各ヒータの作動を制御することを特徴とする射出成形機のノズル温度制御方法。
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