JP2010241034A - 樹脂可塑化装置及び樹脂可塑化装置の運転方法 - Google Patents

樹脂可塑化装置及び樹脂可塑化装置の運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原料樹脂の発熱の発生を解消できる樹脂可塑化装置を提供する。
【解決手段】シリンダ1と、シリンダ1の内部に設けられ、シリンダ1の基端側から供給された原料樹脂を混合しつつ該シリンダ1の先端側に搬送するスクリュー2と、シリンダ1の外周部に設けられ、原料樹脂を可塑化するヒータ4と、シリンダ1の外周部と内周部との間に設けられ、シリンダ1を径方向に通過する熱流束量を検出する熱流束センサ5と、ヒータ4の供給熱量及びシリンダの熱流束量に基づいて原料樹脂の搬送に際して発生する発熱量を演算する演算部22とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリンダと、前記シリンダの内部に設けられ、前記シリンダの基端側から供給された原料樹脂を混合しつつ該シリンダの先端側に搬送するスクリューと、前記シリンダの外周部に設けられ、原料樹脂を可塑化するヒータと、前記シリンダの外周部と内周部との間に設けられ、前記シリンダを径方向に通過する熱流束量を検出する熱流束センサとを備えた樹脂可塑化装置に関する。
従来、上記樹脂可塑化装置としては、例えば、インラインスクリュー式の射出成形機がある。この成形機では、まず、原料樹脂がシリンダの基端側の供給部に供給される。この原料樹脂は、シリンダの内部に設けられたスクリューで混合されつつ該シリンダの先端側に搬送される。その際には、シリンダの外周部に設けたヒータによって原料樹脂が溶融される。溶融した原料樹脂がシリンダの先端側の計量部に貯まるに伴い、スクリューが後退する。スクリューが所定量後退し、注入すべき原料樹脂が計量部に蓄えられると、スクリューを前進させる。これにより、原料樹脂は計量部の先端に設けられたノズルを通って金型に射出される。
スクリューにて原料樹脂を混合しつつ搬送する際に、原料樹脂が圧縮され、せん断熱や圧縮熱等が生じることがある。この発熱はシリンダの内周部から径方向外方側に移動する。すなわち、原料樹脂が発熱すると外向きの熱流束が生じる。従来の樹脂可塑化装置では、シリンダを径方向に通過する熱流束量を検出する熱流束センサを設け、外向きの熱流束を検出すると、原料樹脂の発熱が発生したと判別して、操作者がスクリューの回転速度を減少させるものがあった。これにより、原料樹脂からの発熱が解消され、原料樹脂の局所的温度上昇を防止すると共に、ガスの発生や成形品の焼け等が防止できるとされていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−160905号公報
ヒータが発熱すると内向きの熱流束が生じ、生じた熱はシリンダの外周部から径方向内方側に移動する。熱流束センサにて検出される熱流束量は、原料樹脂の発熱により生じる外向きの熱流束量から、ヒータの発熱により生じる内向きの熱流束量を引いた量に相当する。しかし、従来の樹脂可塑化装置では、外向きの熱流束を検出するに過ぎなかった。このため、原料樹脂の発熱により生じる外向きの熱流束量がヒータの発熱により生じる内向きの熱流束量よりも少ない場合には、原料樹脂の発熱が発生しているにも拘らず熱流束センサにて外向きの熱流束を検出できない。よって、原料樹脂が発熱してガスが生じたり成形品に焼けが生じる等の不都合が生じていた。
本発明の目的は、原料樹脂の発熱量を正確に把握して、原料樹脂の発熱の発生を解消できる樹脂可塑化装置を提供する点にある。
本発明の樹脂可塑化装置の第1特徴構成は、シリンダと、前記シリンダの内部に設けられ、前記シリンダの基端側から供給された原料樹脂を混合しつつ該シリンダの先端側に搬送するスクリューと、前記シリンダの外周部に設けられ、原料樹脂を可塑化するヒータと、前記シリンダの外周部と内周部との間に設けられ、前記シリンダを径方向に通過する熱流束量を検出する熱流束センサと、前記ヒータの供給熱量及び前記シリンダの熱流束量に基づいて原料樹脂の搬送に際して発生する発熱量を演算する演算部とを備えた点にある。
本構成の樹脂可塑化装置であれば、原料樹脂を加熱すべくヒータによって供給した熱の総量を知ることができる。一方、シリンダの外周部と内周部との間に設けた熱流束センサによって、シリンダの壁部を流通する熱の流通方向と熱流量とを知ることができる。当該熱の流通方向および量は、ヒータからの発熱量に左右される。よって、これら二つの検出値を知ることで、現実に原料樹脂から発生している熱量の総量を把握することができる。
健全な樹脂注入を行うためには、原料樹脂の温度管理が非常に重要である。原料樹脂の温度に影響する因子としては、ヒータからの発熱量に加えて、例えば、原料樹脂の投入量・スクリューの回転速度等がある。当該装置を用いて樹脂を射出成形する過程においては、これら要因の変動によって原料樹脂からのせん断発熱量が変動する。この変動は当然に熱流速の変化として現れる。ただし、せん断発熱量の変化の程度は、例えば、原料樹脂の投入量の変動に基づく場合と、スクリューの回転速度の変動に基づく場合とでは、傾向が異なる。つまり、本構成の装置の如く、せん断発熱量を把握することができれば、熱流束の変動が何に基づくものかを的確に把握することができる。よって、その後の装置の運転条件の微調節等を行い易くなり、健全な樹脂注入作業が可能となる。
本発明の第2特徴構成は、前記スクリューが原料樹脂の投入量に応じて回転速度を微調節する機能を備え、前記スクリューの回転量に基づいて可塑化時間を測定する可塑化時間測定手段を備えた点にある。
樹脂の射出成形に際して、原料樹脂が可塑化したか否は非常に重要な要素である。つまり、可塑化時間を把握することで、原料樹脂への熱供給量を調節したり、スクリューの回転速度を決定することができる。本構成の如く、可塑化時間測定手段を備えることで、原料樹脂の射出条件をより的確に設定することができ、健全な射出製品を得ることができる。
本発明の第3特徴構成は、前記シリンダは、原料樹脂が供給される供給部と、溶融した原料樹脂を計量する計量部と、前記供給部と前記計量部との間に位置する可塑化部とを有し、前記熱流束センサが前記可塑化部及び前記供給部に備えられている点にある。
原料樹脂から発生するせん断発熱は原料樹脂の物性に影響される。例えば、硬い原料樹脂は、互いに当接したときに局部のせん断が発生し易く、少しの押圧によっても容易に発熱する。一方、柔らかい原料樹脂は弾性変形し易いため、ある程度の変形が生じただけではせん断発熱が生じない。
このように、原料樹脂毎に、せん断発熱するために必要な変形程度が異なるため、何れの原料材料を用いた場合でも、的確にせん断発熱を検出することが必要である。つまり、硬い原料樹脂の場合、原料樹脂を投入した直後の供給部においてせん断発熱が生じ易く、一方、柔らかい原料樹脂の場合には、原料樹脂を投入し、ある程度の押圧力が付与される可塑化部での発熱が顕著である。よって、本装置では、熱流束センサを供給部及び可塑化部に備えることとし、せん断発熱の検出を確実なものにしている。
本発明の運転方法の第1特徴手段は、前記演算部の演算により原料樹脂の発熱量が検出されたときには、発熱の発生が解消されるまで前記スクリューの回転速度を減少させる点にある。
本手段によれば、演算部の演算により原料樹脂の発熱量が検出されたときには、発熱の発生が解消されるまでスクリューの回転速度を減少させることにより、原料樹脂からのせん断発熱を抑制することができる。
本発明の運転方法の第2特徴手段は、前記スクリューの回転速度を発熱の発生が解消された回転速度に設定した後、前記ヒータからの供給熱量を前記可塑化時間の漸減が見られなくなるまで増大させる点にある。
本手段によれば、スクリューの回転速度を発熱の発生が解消された回転速度に設定した後、ヒータからの供給熱量を可塑化時間の漸減が見られなくなるまで増大させることにより、可塑化時間を短縮して成形サイクルを短縮できる。
樹脂可塑化装置を示す全体図である。 熱流束の状態を示す図である。 原料樹脂の可塑化フローチャートを示す図である。
以下、本発明に係る射出成形機の構成について説明する。
〔射出成形機の全体構成〕
図1に示すように、射出成形機は、溶融させ計量した樹脂を図外の金型に射出する射出成形機本体A、および、その射出成形機本体Aにペレット状の原料樹脂を供給する原料供給装置B、射出成形機本体Aや原料供給装置Bの作動を制御する制御機構H等を備えている。
〔射出成形機本体の構成〕
射出成形機本体Aは、円筒状の主シリンダ1(シリンダの一例)、その主シリンダ1の内部に設けられた主スクリュー2を備えている。主シリンダ1は、基端側の供給部1aと、先端側の計量部1cと、供給部1aと計量部1cとの間に位置する可塑化部1bとを有している。供給部1aの基端側には、支持部材6が設けられ、その支持部材6には、原料樹脂を主シリンダ1の内部に供給する供給口1dが設けられている。計量部1cの先端側には、ノズル部材7が設けられ、そのノズル部材7には、溶融された原料樹脂を射出するノズル1e、溶融された原料樹脂の温度を検出する温度センサ3が設けられている。これにより、溶融された原料樹脂の温度を適切な温度に維持できる。
図1、図2に示すように、主シリンダ1の外周部には、原料樹脂を可塑化するバンドヒータ4(ヒータの一例)が、主シリンダ2の長手方向に亘って複数設けられている。バンドヒータ4の近傍には、バンドヒータ4の温度を検出する温度センサ(図示しない)が設けられている。主シリンダ1の外周部と内周部との間には、主シリンダ1を径方向に通過する熱流束量を検出する熱流束センサ5が、主シリンダ2の長手方向に亘って複数設けられている。
本実施形態では、熱流束センサ5が、供給部1a、可塑化部1b、計量部1cの夫々に1つ設けられている。しかし、計量部1cに対しては必ずしも熱流束センサ5を設けておく必要はない。例えば、結晶性の原料樹脂であるナイロンのように硬い樹脂では、少しの押圧力によっても容易にせん断が生じるため、供給部において発熱し易い。一方、非結晶性の原料樹脂である塩化ビニルのように柔らかい樹脂の場合には、ある程度の変形が生じて初めてせん断発熱するため可塑化部で発熱し易い。よって、本実施形態のごとく、熱流束センサ5を、少なくとも供給部1aと可塑化部1bとに設けておくことで、原料樹脂の種類や特性に拘わらず原料樹脂の発熱の発生を的確に検出することができる。
さらに、熱流束センサ5を、供給部1a、可塑化部1b、計量部1cの夫々に複数設けておいてもよい。主スクリュー2は、スクリューフライト2aを有し、電動モータや油圧モータ等の駆動機構M1によって回転可能に構成されている。駆動機構M1は、主スクリュー2の回転速度を調整可能に構成してある。主スクリュー2は、スライド機構(図示しない)によって主シリンダ2の長手方向に前後進可能に構成されている。
〔原料供給装置の構成〕
原料供給装置Bは、フィードシリンダ11、そのフィードシリンダ11の内部に設けられたフィードスクリュー12を備えている。フィードシリンダ11の基端側の上部には、原料樹脂をフィードシリンダ11の内部に供給する供給口11aが設けられている。原料樹脂を貯留するホッパ13が設けられ、そのホッパ13の下部が供給口11aに接続されている。フィードシリンダ11の先端には、原料樹脂を落下させる落下孔11bが設けられている。フィードシリンダ11の落下孔11aと支持部材6の供給口1dとを接続する筒状部材14が設けられている。フィードスクリュー12は、スクリューフライト12aを有し、電動モータや油圧モータ等の駆動機構M2によって回転可能に構成されている。駆動機構M2は、フィードスクリュー12の回転速度を調整可能に構成されている。
次に、本発明に係る射出成形機の動作について説明する。
主スクリュー2が回転すると、主スクリュー2の回転に同期してフィードスクリュー12も回転する。ホッパ13に貯留された原料樹脂は、供給口11aを通ってフィードシリンダ11に供給される。フィードシリンダ11に供給された原料樹脂は、フィードスクリュー12の回転によりフィードシリンダ11の先端側(紙面の右側)に移送される。フィードシリンダ11の先端側に移送された原料樹脂は、フィードシリンダ7の落下孔11bから筒状部材14を通って落下し、供給口1dを通って供給部1aに供給される。
供給部1aに供給された原料樹脂は、可塑化部1bに移送される。このとき、ペレット状の原料樹脂が混合・圧縮されて固相樹脂(ソリッドベッド)を形成する。バンドヒータ4の加熱によって固相樹脂が溶融して液相樹脂(メルトフィルムやメルトプール)を形成する。固相樹脂及び液相樹脂が先端側に移送されるに伴って、固相樹脂に対する液相樹脂の割合が増加する。これにより、計量部1cには溶融した原料樹脂が貯留される。溶融した原料樹脂が計量部1cの先端側に貯留されるに伴って主スクリュー1が後進移動する。このとき、スライド機構のスライド操作により主スクリュー1が後進移動してもよく、溶融した原料樹脂の圧力により主スクリュー1が後進移動してもよい。主スクリュー1が、その先端が計量部1cの先端に近接する前端位置から所定の後端位置まで後進移動し、計量が終了すると、主スクリュー1の回転が停止する。本実施形態では、主スクリュー1が前端位置から後端位置に移動するまでの時間を可塑化時間とした。しかし、主スクリュー1が所定の回転量(例えば4回転)だけ回転するのに要した時間を可塑化時間としてもよい。
次に、本発明に係る射出成形機の制御構成について説明する。
前記制御機構Hは、CPUを中核部材として主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度、並びに、バンドヒータ4の温度を制御するための各種機能部をハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。具体的には、制御機構Hは、センサのデータの計測を行う計測部21、計測部21からの計測データに基づいて演算を行う演算部22、当該演算部22からの演算データに基づいて、バンドヒータ4及び駆動機構M1,M2の動作を制御する制御部23を備えている。
操作ボタン(図示しない)の押し操作により、制御部23は、所定の回転速度で主スクリュー2及びフィードスクリュー12を回転させると共に、所定の温度でバンドヒータ4を加熱する。本実施形態では、所定の回転速度及び所定の温度が、作業者が入力した入力値でよいが、制御部23のメモリ(図示しない)に記憶された初期値であってもよい。例えば、制御部23のメモリに原料樹脂に応じた回転速度及び温度のテーブルを予め用意しておき、作業者が原料樹脂の材料を選択すると、原料樹脂に応じた回転速度で主スクリュー2及びフィードスクリュー12を回転させると共に、原料樹脂に応じた温度でバンドヒータ4を加熱してもよい。
前記計測部21は、温度センサ3の温度、バンドヒータ4の供給熱量及び主シリンダ1の熱流束量を計測する。演算部22は、バンドヒータ4の供給熱量及び主シリンダ1の熱流束量に基づいて原料樹脂のせん断熱や圧縮熱等の発熱量を演算する。制御部23は、原料樹脂の可塑化の過程で原料樹脂の発熱量が検出されたときには、主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を所定量だけ減少させる操作を、発熱の発生が解消するまで繰り返す回転速度最適化制御を行い、その後、主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を発熱の発生が解消された回転速度に設定したのちに、バンドヒータ4の供給熱量を所定量だけ増大させ、原料樹脂を可塑化させて可塑化時間を測定する操作を、可塑化時間の漸減が見られなくまで繰り返す温度最適化制御を行うように構成されている。
このように、原料樹脂の発熱量が検出されたときには、発熱の発生が解消されるまで主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を減少させることにより、原料樹脂の発熱の発生を解消できる。このため、原料樹脂の温度が局所的に上昇してガスが発生したり成形品に焼けが発生することを防止できる。つまり、従来では、バンドヒータ4の発熱に加えて原料樹脂の発熱により原料樹脂を溶融するので、原料樹脂の表面が発熱する等、原料樹脂の温度が局所的に上昇して、ガスが発生したり成形品に焼けが発生する場合があった。
これに対して本件発明では、原料樹脂の発熱が無く、バンドヒータ4の発熱だけで原料樹脂を溶融するので、上記従来技術による不都合の発生を防止することができる。このとき、主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を減少させるので、可塑化時間が延びて可塑化能力が減少する。これを補うために、発熱の発生が解消された状態でバンドヒータ4の供給熱量を可塑化時間の漸減が見られなくなるまで増大させる。これにより、可塑化時間が短くなり可塑化能力が増大する。
また、原料樹脂の温度を上昇させることにより、原料樹脂を金型に射出するときに原料樹脂の金型に対する転写性を向上させることができる。さらに、単なる原料樹脂の発熱の発生でなく、原料樹脂の発熱量を検出するので、原料樹脂の発熱量及び主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度に基づいて原料樹脂からの発熱が解消される適切な主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度に合わせ易い。このため、可塑化工程を何度も繰り返して原料樹脂の発熱量を検出する必要を無くすことも期待できる。
本実施形態では、温度最適化制御において、供給部1a及び可塑化部1bの外周部に設けられたバンドヒータ4の供給熱量を増大させてもよく、供給部1aの外周部に設けられたバンドヒータ4の供給熱量を増大させてもよく、全てのバンドヒータ4の供給熱量を増大させてもよい。
また、バンドヒータ4の供給熱量を所定量だけ増大させ、原料樹脂を可塑化させて可塑化時間を測定する操作を、可塑化時間の漸減が見られなくまで繰り返す構成を例示した。しかし、これに限られるものではなく、バンドヒータ4の温度を所定量上昇させ、原料樹脂を可塑化させて可塑化時間を測定する操作を、可塑化時間の漸減が見られなくまで繰り返してもよい。また、バンドヒータ4の供給熱量を計測する方法としては、バンドヒータ4の電力値を計測する電力計を設けて、バンドヒータ4の電力値に基づいてバンドヒータ4の供給熱量を演算してもよく、バンドヒータ4の電流値を計測する電流計及びバンドヒータ4の電圧値を計測する電圧計を設けて、バンドヒータ4の電流値及び電圧値に基づいてバンドヒータ4の供給熱量を演算してもよく、バンドヒータ4の温度に基づいてバンドヒータ4の供給熱量を見積もってもよい。
バンドヒータ4の供給熱量及び主シリンダ1の熱流束量に基づいて原料樹脂の発熱量を演算する操作について具体的に説明する。本実施形態では、図2に示すように、原料樹脂が発熱すると、原料樹脂からバンドヒータ4に向けて外向きの熱流束が生じる。また、バンドヒータ4が発熱するとバンドヒータ4から原料樹脂に向けて内向きの熱流束が生じる。つまり、下記の数式に示すように、熱流束センサ5にて検出される熱流束量Qc[W/m2]は、外向きの熱流束量Qsから、内向きの熱流束量Qhを引いたものである。
Figure 2010241034
これにより、熱流束センサ5にて検出される熱流束量Qcと内向きの熱流束量Qhに基づいて外向きの熱流束量Qsを演算できる。内向きの熱流束量Qhは、下記の数式に示すように、バンドヒータ4の単位面積あたりの供給熱量の単位時間の時間積分を用いて算出される。
Figure 2010241034
h:バンドヒータの供給熱量
本実施形態では、バンドヒータ4の輻射熱を無視している。しかし、バンドヒータ4が高温の場合にはそのような輻射熱が無視できない。このため、バンドヒータ4の輻射熱を考慮した内向きの熱流束量Qhは、下記の数式に示すように、バンドヒータ4の単位面積あたりの供給熱量の単位時間の時間積分にバンドヒータ4の単位面積あたりの輻射熱の単位時間の時間積分を引いて算出される。さらに、バンドヒータ4の対流熱を考慮すれば、内向きの熱流束量Qhの精度が高まる。
Figure 2010241034
T:バンドヒータの温度
σB:黒体の輻射係数
ε:バンドヒータの輻射率
主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を所定量だけ減少させる操作について具体的に説明する。本実施形態では、主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を比例配分で減少させる。つまり、主スクリュー2の回転速度N1に対するフィードスクリュー12の回転速度N2の割合(N2/N1)が、主スクリュー2の回転速度N1の減少量ΔN1に対するフィードスクリュー12の回転速度N2の減少量ΔN2の割合(ΔN2/ΔN1)と同じにしてある。このとき、原料樹脂の充填率(かさ密度)は主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度に拘わらず変化しない。しかし、主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を比例配分で減少させ、フィードスクリュー12の回転速度をさらに減少させてもよい。つまり、主スクリュー2の回転速度N1に対するフィードスクリュー12の回転速度N2の割合(N2/N1)が、主スクリュー2の回転速度N1の減少量ΔN1に対するフィードスクリュー12の回転速度N2の減少量ΔN2の割合(ΔN2/ΔN1)よりも小さくする。このとき、原料樹脂の充填率は主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度が減少するに伴って減少する。
主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を比例配分で減少させるだけでは、発熱の発生を解消できない場合がある。つまり、主スクリュー2及びフィードスクリュー12を回転させることで、原料樹脂は供給口1dを通って供給部1aに供給される。すると、供給部1aの原料樹脂の圧力が急上昇して原料樹脂が発熱する場合がある。このとき、主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を比例配分で減少させたとしても、原料樹脂の充填率が変化しないので、供給部1aの原料樹脂の圧力が上昇することには変わりがなく、原料樹脂の発熱の発生を完全には解消できない虞がある。主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を極端に遅くすれば発熱の発生を解消できる。しかし、可塑化能力も極端に減少するので現実的ではない。そこで、主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を比例配分で減少させ、フィードスクリュー12の回転速度をさらに減少させる。これにより、原料樹脂の充填率が減り、原料樹脂の発熱の発生を完全に解消できる。
次に、主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度及びバンドヒータ4の温度を最適化する制御を図3のフローチャートに基づいて説明する。
〔主スクリュー及びフィードスクリューの回転速度を最適化する制御〕
操作ボタン(図示しない)を押し操作すると、駆動機構M1の駆動により主スクリュー2が所定の回転速度N1で回転し、駆動機構M2の駆動によりフィードスクリュー12が所定の回転速度N2で回転する(♯1〜♯3)。これにより、原料樹脂が供給部1aに供給される。Nに0を代入する(♯4)。バンドヒータ4が加熱して原料樹脂の可塑化を開始する(♯5)。バンドヒータ4の供給熱量及び主シリンダ1の熱流束量に基づいて原料樹脂の発熱量を演算して原料樹脂の発熱を検出する(♯6)。原料樹脂の可塑化時間を検知し、主スクリュー1を前進させて原料樹脂を射出する(♯7、♯8)。Nに1を加える(♯9)。これら一連の操作(♯5〜♯10)をNが3になるまで繰り返す。尚、上記繰り返し回数は3に限定されない。これら一連の操作(♯5〜♯10)の中で原料樹脂の発熱が検出されるときには、主スクリュー2の回転速度N1を所定量ΔN1だけ減少させ、フィードスクリュー12の回転速度N2を所定量ΔN2だけ減少させる(♯11、♯12)。これら一連の操作(♯4〜♯12)を原料樹脂の発熱が解消されるまで繰り返す。原料樹脂の発熱が解消されると、主スクリュー2の回転速度N1及びフィードスクリュー12の回転速度N2を最適化回転速度に設定する。
〔バンドヒータの温度を最適化する制御〕
原料樹脂の発熱が検出されないと、供給部1a及び可塑化部1bの外周部に設けられたバンドヒータ4の温度を所定量だけ上昇させる(♯11、♯13)。Nに0を代入する(♯14)。原料樹脂の可塑化時間を検知し、主スクリュー1を前進させて樹脂を射出する(♯15、♯16)。Nに1を加える(♯17)。これら一連の操作(♯15〜♯18)をNが3になるまで繰り返す。尚、上記繰り返し回数は3に限定されない。これら一連の操作(♯15〜♯18)の中で原料樹脂の可塑化時間が短縮するとバンドヒータ4の温度を所定量だけ上昇させる(♯19、♯13)。これら一連の操作(♯13〜♯19)を可塑化時間の漸減が見られなくなるまで繰り返す。原料樹脂の可塑化時間が短縮しないと、バンドヒータ4の温度を最適化温度として設定する。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、原料樹脂の可塑化の過程で原料樹脂の発熱量が検出されたときには、主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を所定量だけ減少させる構成を例示した。しかし、原料樹脂の可塑化の過程で原料樹脂の発熱量が検出されたときには、原料樹脂の発熱量が検出された熱流束センサ5に対応するバンドヒータ4の供給熱量を増大させてもよい。さらに、原料樹脂の可塑化の過程で原料樹脂の発熱量が検出されたときには、主スクリュー2及びフィードスクリュー12の回転速度を所定量だけ減少させることに加えて、原料樹脂の発熱量が検出された熱流束センサ5に対応するバンドヒータ4の供給熱量を増大させてもよい。これにより、原料樹脂を溶融させて原料樹脂の発熱の発生を解消できる。
(2)上記実施形態では、計測部21からの計測データに基づいて演算を行う演算部22を例示した。しかし、作業者がバンドヒータ4の供給熱量及び主シリンダ1の熱流束量に基づいて原料樹脂の搬送に際して発生する発熱量を演算してもよい。
本発明は、シリンダ1と、シリンダ1の内部に設けられ、シリンダ1の基端側から供給された原料樹脂を混合しつつ該シリンダ1の先端側に搬送するスクリュー2と、シリンダ1の外周部に設けられ、原料樹脂を可塑化するヒータ4と、シリンダ1の外周部と内周部との間に設けられ、シリンダ1を径方向に通過する熱流束量を検出する熱流束センサ5とを備える各種の樹脂可塑化装置に適応可能である。
1 シリンダ
1a 供給部
1b 可塑化部
1c 計量部
2 スクリュー
4 ヒータ
5 熱流束センサ
22 演算部

Claims (5)

  1. シリンダと、
    前記シリンダの内部に設けられ、前記シリンダの基端側から供給された原料樹脂を混合しつつ該シリンダの先端側に搬送するスクリューと、
    前記シリンダの外周部に設けられ、原料樹脂を可塑化するヒータと、
    前記シリンダの外周部と内周部との間に設けられ、前記シリンダを径方向に通過する熱流束量を検出する熱流束センサと、
    前記ヒータの供給熱量及び前記シリンダの熱流束量に基づいて原料樹脂の搬送に際して発生する発熱量を演算する演算部とを備えた樹脂可塑化装置。
  2. 前記スクリューが原料樹脂の投入量に応じて回転速度を微調節する機能を備え、前記スクリューの回転量に基づいて可塑化時間を測定する可塑化時間測定手段を備えた請求項1に記載の樹脂可塑化装置。
  3. 前記シリンダは、原料樹脂が供給される供給部と、溶融した原料樹脂を計量する計量部と、前記供給部と前記計量部との間に位置する可塑化部とを有し、
    前記熱流束センサが前記可塑化部及び前記供給部に備えられている請求項1又は2に記載の樹脂可塑化装置。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の樹脂可塑化装置の運転方法であって、
    前記演算部の演算により原料樹脂の発熱量が検出されたときには、発熱の発生が解消されるまで前記スクリューの回転速度を減少させる樹脂可塑化装置の運転方法。
  5. 前記スクリューの回転速度を発熱の発生が解消された回転速度に設定した後、前記ヒータからの供給熱量を前記可塑化時間の漸減が見られなくなるまで増大させる請求項4に記載の樹脂可塑化装置の運転方法。
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