JP2003141784A - 光ディスク成形用金型装置 - Google Patents

光ディスク成形用金型装置

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JP2003141784A
JP2003141784A JP2001335617A JP2001335617A JP2003141784A JP 2003141784 A JP2003141784 A JP 2003141784A JP 2001335617 A JP2001335617 A JP 2001335617A JP 2001335617 A JP2001335617 A JP 2001335617A JP 2003141784 A JP2003141784 A JP 2003141784A
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Japan
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mold
stamper
film
optical disk
fixed
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Application number
JP2001335617A
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English (en)
Inventor
Toshihiro Kayahara
敏裕 茅原
Noribumi Kikuchi
則文 菊池
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ショット毎の加熱冷却に伴うスタンパーの膨
張収縮による型体の損耗を防止し、優れた耐熱性と耐久
性とを具備した光ディスク成形用金型装置を提供する。 【解決手段】 射出成形により光ディスクを成形するた
めのキャビティ空間を画定する固定型(第1の型体)1
及び可動型(第2の型体)2とを備え、前記固定型1の
キャビティブロック17においてスタンパー36が保持
されるスタンパー支持面17a上に、TiN膜17N
(中間層)を介してAl23膜17bが形成された構成
とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばDVD(デ
ジタルビデオディスク)等の光ディスクを製造するため
の光ディスク成形用金型に関するものである。
【0002】
【従来の技術】DVD等の光ディスクの基板は、一般に
樹脂を射出成形して作製されており、この射出成形に用
いる成形用金型装置の一例を図7に示す。この図に示す
成形用金型装置200は、可動型201と、この可動型
201と対向して配置された固定型202とを備えて構
成されており、これら可動型201と固定型202とを
型閉して形成される空間がキャビティ空間Cとされてい
る。また、前記可動型201のキャビティ空間C側の面
は、円盤状のスタンパー203を支持するためのスタン
パー支持面201Aとされている。そして、このキャビ
ティ空間C内に成形材料である溶融した樹脂を充填し、
このキャビティ空間内の樹脂すなわち光ディスクが固化
した後、固定型202及び可動型201を型開して成形
された光ディスクを取り出すようになっている。前記キ
ャビティ空間Cには、その中心部に相当する位置の固定
型202に形成されたスプルー204からスプルー20
4の先端部に形成された凹部(ダイ)207を介して樹
脂が注入されるようになっており、さらに、可動型20
1の、前記ダイ207と対向する位置に進退自在に設け
られたカットパンチ205を固定型201側へ移動させ
て、ダイ207内へ進入させることにより、キャビティ
空間C内に形成された光ディスクの中心部の開口孔を形
成するとともに、スプルー204内の樹脂と、キャビテ
ィ空間C内の樹脂(光ディスク)とを切断するようにな
っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記構成の金型装置2
00において、スプルー204から注入される樹脂の温
度は350℃程度であるため、樹脂充填時にはスタンパ
ー203も350℃程度に加熱され、次いで、樹脂を固
化させるために100℃程度にまで冷却される。スタン
パー203は、このような加熱冷却のサイクルにより膨
張と収縮を繰り返す。その一方で、スタンパー支持面2
01Aは、樹脂を冷却、固化させるために100℃程度
以下に保持されているため、ショット毎に温度が大きく
変化することはない。従って、上記金型装置の稼働時に
は、スタンパー203がスタンパー支持面201A上を
摺動することとなる。このようなスタンパー203の摺
動によるスタンパー支持面201A及びスタンパー20
3背面の摩耗により生じる摩耗粉が、スタンパー203
の背面や上面(キャビティ空間C側面)に付着すると、
スタンパー203の平坦性が損なわれたり、摩耗分の形
状が光ディスクに転写されて転写不良となる。その結
果、製品の歩留まり低下やスタンパー203の短寿命化
といった問題が生じていた。そこで、上記スタンパー支
持面201Aの摩耗を防止するために、スタンパー支持
面201A上にTiNやDLC(Diamond Like Carbo
n)等の硬質材料の薄膜を形成した金型装置が提案され
ているが、TiN膜を形成したものでは、強度の不足に
よるTiN膜の摩耗が問題となっており、DLC膜を形
成したものでは、膜の付着強度の不足によるDLC膜の
剥離が問題となっていた。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、ショット毎の加熱冷却に伴うスタ
ンパーの膨張収縮による型体の損耗を防止し、優れた耐
熱性と耐久性とを具備した光ディスク成形用金型装置を
提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、射出成形により光ディスクを成形するた
めのキャビティ空間を画定する第1の型体及び第2の型
体とが備えられ、前記第1の型体又は第2の型体に光デ
ィスクに凹凸を形成するためのスタンパーを受けるスタ
ンパー支持面が形成され、前記第1の型体又は第2の型
体のスタンパー支持面上に、中間層を介してAl23
が形成されたことを特徴とする光ディスク成形用金型装
置を提供する。
【0006】上記構成を備えた本発明に係る金型装置
は、型体のスタンパー支持面に、金属化合物からなる中
間層を介してAl23膜を形成したことで、従来型体の
スタンパー支持面に形成されていたDLC膜やTiN膜
の問題点を解決し、優れた耐久性を備えた金型装置を提
供することができる。また、Al23膜の下側に、中間
層を設けたことで、本来金属からなるスタンパー支持面
との密着性に乏しいAl 23膜を、スタンパー支持面上
に被覆するができ、このように密着性が改善されたこと
で、Al23膜をより厚く形成できるようになり、更に
優れた耐久性を実現する。従って、本発明に係る金型装
置によれば、TiN膜に比して強度に優れ、またDLC
膜に比しては密着性に優れており、従来のTiN膜より
も耐摩耗性に優れ、かつDLC膜のように剥離すること
が無い金型装置を提供することができる。
【0007】このように本発明に係る金型装置は、硬質
で滑らかなAl23膜の作用により、ショット毎の加熱
冷却に伴うスタンパーの膨張収縮による型体の損耗、す
なわち、型体やスタンパーの摩耗に伴う摩耗粉の発生を
防止することができ、これにより、この摩耗粉に起因す
る転写不良の発生を防止し、型体及びスタンパーを長寿
命化することができる。また、前記Al23膜は、耐薬
品性にも優れているので、光ディスク成形用の樹脂によ
る有機化合物を含むガス成分に腐食され難いという特徴
も有している。
【0008】本発明に係る光ディスク成形用金型装置に
おいては、前記中間層が、TiN膜、TiC膜、TiA
lN膜、cBN膜から選ばれる1又は2以上からなるこ
とが好ましい。これらの材料からなる中間層を採用する
ことで、スタンパ支持面と中間層、及び中間層とAl2
3膜とを良好に密着させることができる。これらの中
間層は、上記に挙げたものの単層構造、あるいはこれら
を組み合わせた積層構造とすることができる。
【0009】本発明に係る光ディスク成形用金型装置に
おいては、前記Al23膜の膜厚が、0.2μm〜4μ
mの範囲とされることが好ましい。前記Al23膜の膜
厚が0.2μm未満では、薄すぎるために膜の耐久性が
不足し、加熱冷却に伴うスタンパーの膨張収縮による被
覆膜及びスタンパー支持面の摩耗が生じる。また、膜厚
が4μmを越える場合には、Al23膜に内在する応力
により膜の剥離が生じるため好ましくない。
【0010】また、前記Al23膜は、スパッタ法によ
り形成されたものであることが好ましい。
【0011】本発明に係る光ディスク成形用金型装置に
おいては、前記中間層の膜厚が、0.5μm〜5μmの
範囲とされることが好ましい。前記中間層の膜厚が0.
5μm未満では、薄すぎるためにAl23膜に内在する
応力を緩和して付着強度を向上させることができない。
また、膜厚が5μmを越える場合には、表面の粗さが大
きくなるため、平滑性に乏しくなって成形材料である樹
脂とともに同伴されるガス成分に起因する粘着物が付着
しやすくなり、またAl23膜を均一に被覆することが
困難になり、剥離し易くなるなどの問題が生じる。
【0012】また、前記中間層は、イオンプレーティン
グ法、スパッタ法、CVD法のいずれかにより形成され
たものであることが好ましい。
【0013】次に、本発明に係る光ディスク成形用金型
装置においては、前記スタンパー支持面を有する型体
に、スタンパーの裏面側を排気してスタンパーを固定す
る真空チャック機構が備えられた構成とすることが好ま
しい。このような真空チャック機構を備えることで、よ
り安定にスタンパーをスタンパー支持面に保持すること
ができるとともに、成形材料である樹脂とともに同伴さ
れるガス成分や、このガス成分が凝固した樹脂粉末をあ
る程度外部に排出することができるので、メンテナンス
周期を延ばすことができる。従って、装置の稼働時間を
長くして生産効率を高めることができる。
【0014】次に、本発明に係る光ディスク成形用金型
装置においては、前記スタンパー支持面を有する型体
に、スタンパーの内端部を固定するための爪部が形成さ
れた構成とすることもできる。このような爪部によりス
タンパー内端を固定することで、より安定にスタンパー
を固定でき、また、スタンパー内端とスタンパーを保持
する型体との境界にバリが生じるのを抑えることができ
るので、高品質の光ディスクを製造することができる。
さらに、前記爪部により固定することで、スタンパーを
型体のスタンパー支持面に確実に押しつけた状態で成形
を行うことができるので、成形時のスタンパーの浮き上
がりをなくすことができる。つまり、スタンパーが浮き
上がった状態で樹脂を充填することによりスタンパーと
スタンパー支持面とが強く接触されるのを防止すること
ができる。従って、この作用によっても、スタンパーの
寿命を延ばすことができ、上記Al23膜による作用と
相まって更にスタンパーの寿命を延ばすことができる。
【0015】次に、本発明に係る光ディスク成形用金型
装置においては、前記第1の型体及び第2の型体の対向
する面に設けられ、型閉時にテーパー嵌合するテーパー
面が形成された位置決め部材と、前記第1の型体及び第
2の型体のうち一方に設けられたガイドピンと、他方の
型体の前記ガイドピンと対向する位置に設けられ、前記
ガイドピンが前記型体の開閉方向へ摺動自在に嵌合され
るガイドピン受けとを備える案内部材と、を備えた構成
とすることもできる。
【0016】光ディスクの成形時には、一対の型体を型
閉し、これら型体間に形成された製品キャビティに成形
材料を充填する。この製品キャビティに充填された成形
材料すなわち光ディスクが固化した後、両型体を型開
し、成形された光ディスクを取り出す。両型体を型閉し
た状態では、これら型体にそれぞれ固定された位置決め
部材のテーパー面が相互にテーパー嵌合することによ
り、両型体が芯合わせされる。一方、両型体が開いた状
態では、両型体の位置決め部材は互いに離れるが、ガイ
ドピンとこのガイドピンが両型体の開閉方向へ摺動自在
に嵌合されたガイドピン受けとによって両型体が芯合わ
せされる。このような構成により、確実に両型体が芯合
わせされて樹脂の充填、成形が行われるので、スタンパ
ーに作用する樹脂からの圧力を均一化することができ、
上記Al23膜による作用と相まって、更なるスタンパ
ーの長寿命化を実現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の光ディスクの成形
方法およびこの方法に用いる光ディスク成形用金型装置
の一実施の形態について、図面を参照しながら説明す
る。まず光ディスクの成形用金型装置の構成を説明す
る。1は第1の型体としての固定型、2は第2の型体と
しての可動型で、これら固定型1および可動型2は、図
1、図2および図4における型開閉方向(図示AB方
向)に移動して互いに開閉し、型閉時に光ディスクを形
成する製品キャビティ(キャビティ空間)3を相互間に
形成するものである。なお、図1、図2および図4で
は、固定型1および可動型2を図示上下方向(図示AB
方向)に並べて描いてあるが、通常は、固定型1および
可動型2を水平に並べた状態(すなわち、水平方向に型
開閉がなされる状態)で成形が行われる。ただし、図示
の通り上下に並んだ状態で成形を行うことも可能であ
る。
【0018】前記固定型1は、固定側型板6と、この固
定側型板6における可動型2と反対側の面に固定された
固定側取り付け板7とを備えている。この固定側取り付
け板7は、図示していない射出成形機の固定側プラテン
に取り付けられるものである。なお、図3に図示の7a
は、固定側プラテンヘの取り付け用のボルトを通すため
に固定側取り付け板7に形成された通孔である。そし
て、固定側取り付け板7の中央部には、射出成形機のノ
ズルが接続されるスプルーブッシュ8がボルト9により
固定されている。このスプルーブッシュ8は、内部が材
料通路であるスプルー10になっているが、固定側取り
付け板7及びを固定側型板6を貫通し、その先端が固定
側型板6の可動型2側へ突出している。さらに、前記ス
プルーブッシュ8における可動型2と反対側の面には、
円環状のローケートリング11が配置され、ボルト12
によりスプルーブッシュ8に固定されている。
【0019】前記固定側型板6は、前記固定側取り付け
板7にボルト16により固定されたキャビティ形成部材
としてのほぼ円板状のキャビティブロック17と、固定
側取り付け板7にボルト18により固定された位置決め
部材としてのほぼ円環状の固定側位置決めリング19と
からなっている。この固定側位置決めリング19は、前
記固定側取り付け板7における可動型2側の面の周縁部
に形成された段部20および前記キャビティブロック1
7の外周側に嵌合しており、金型製作の段階でキャビテ
ィブロック17に対して芯合わせされている。そして、
固定側位置決めリング19は、可動型2側の部分の内周
面に、この可動型2側へ向かって径が大きくなるテーパ
ー面21を有している。このテーパー面21の前記型開
閉方向に対する角度は5〜30゜程度とされている。
【0020】また、図3に示すように、前記固定側取り
付け板7におけるほぼ一対角線上に位置する2つの角部
には円柱形状のガイドピン22がそれぞれ固定されてい
る。これらガイドピン22は、図2に示すように、その
一端側に形成された鍔部23が固定側取り付け板7に突
き当てられるとともに、鍔部23よりも一端側が固定側
取り付け板7に形成された孔部24内に嵌合され、固定
側取り付け板7の他面側に設けられた補助部材25およ
びこの補助部材25を貫通してガイドピン22の端面に
螺合されたボルト26により固定されている。そして、
ガイドピン22は、前記型開閉方向を軸方向として可動
型2側へ突出している。さらに、ガイドピン22の先端
面にはフランジ状のストッパー27が固定されている。
【0021】さらに、図1に示す前記キャビティブロッ
ク17における可動型2側の外周部には段差部31が形
成されているが、この段差部31には円環状の外周スタ
ンパー押え32が嵌合されてボルト33により固定され
ている。一方、前記キャビティブロック17の中央部に
形成された孔部としての貫通孔34内にはほぼ円筒状の
筒状部材としての内周スタンパー押え35が嵌合されて
固定されている。前記キャビティブロック17のスタン
パー支持面17aには、図4に示すように、光ディスク
に凹凸を形成するためのスタンパー36が着脱可能に装
着されるようになっており、前記外周スタンパー押え3
2がスタンパー36の外周部を固定し、内周スタンパー
押え35がスタンパー36の内周部を固定するようにな
っている。つまり、図4に示すように、内周スタンパー
押え35の可動型2側面の先端外周部には、スタンパー
36の内周部を押えるための爪部37が形成されてい
る。また、前記スプルーブッシュ8は、筒状の内周スタ
ンパー押え35内に嵌合している。そして、スプルーブ
ッシュ8における可動型2側の先端面にはスプルー10
と連通された凹部38が形成されている。尚、スタンパ
ー36は、Ni等の金属板からなり、DVD用スタンパ
ーの場合には、DVDの情報記録領域を規定するグルー
ブ部やランド部のようなディスク円周方向に沿って形成
される円弧状の凸部やこれら凸部の間に形成される円弧
状の溝を形成するための型を片面に有するものとされ
る。また、CD用スタンパーの場合には、情報記録用の
ピットをディスク円周方向に沿って形成するための型を
有するものとされる。
【0022】本実施形態の金型装置においては、上記爪
部37が設けられていることにより、スタンパー36を
より確実にスタンパー支持面17aに押さえ付け、固定
できるようになっている。これにより、成形時にスタン
パー36がスタンパー支持面17aから浮き上がるのを
防止することができ、スタンパー36やスタンパー支持
面17aの損耗を防止することができる。つまり、スタ
ンパー36がスタンパー支持面17aから浮き上がった
まま樹脂の充填を行うと、高圧で充填される樹脂の圧力
によりスタンパー36がスタンパー支持面17aに押さ
え付けられ、その際の両者の接触によりこれらの部材が
損耗するおそれがあるが、スタンパー36がスタンパー
支持面17a上に固定されていれば、このような接触を
防止することができる。
【0023】また、図1に示すように、前記キャビティ
ブロック17の製品キャビティ3側の面の周縁部には、
ほぼ環状に溝が刻設されており、その溝に排気通路4が
接続されている。排気通路4は、図1には1つのみ示し
たが、上記の溝に沿って8〜12箇所程度に設けられて
いる。そして、排気通路4は、図示しない排気手段に接
続されており、この排気手段により排気通路4内を排気
することでスタンパー36を固定するようになってい
る。すなわち、この排気通路4は、スタンパー36の外
周側を吸着して固定する真空チャック機構を構成するも
のである。
【0024】前記可動型2は、可動側型板41と、この
可動側型板41における固定型1と反対側の面に固定さ
れた可動側受け板42と、この可動側受け板42におけ
る固定型1と反対側の面にボルト43により固定された
可動側取り付け板44とを備えている。この可動側取り
付け板44は、射出成形機の可動側プラテンに取り付け
られるものである。前記可動側型板41は、前記可動側
受け板42にボルト45により固定されたキャビティ形
成部材としてのほぼ円板状のコアブロック46と、可動
側受け板42にボルト47により固定された位置決め部
材としてのほぼ円環状の可動側位置決めリング48とか
らなっている。この可動側位置決めリング48は、前記
可動側受け板42における固定型1と対向する面の外周
部に形成された段部49および前記コアブロック46の
外周側に嵌合しており、金型製作の段階でコアブロック
46に対して芯合わせされている。そして、可動側位置
決めリング48は、型閉時に前記固定側位置決めリング
19のテーパー面21が当接してテーパー嵌合するテー
パー面50を有している。さらに、このテーパー面50
の外周側に位置して、可動側位置決めリング48におけ
る固定側位置決めリング19への対向面には、この固定
側位置決めリング19が当接するスペーサ51がボルト
52により固定されている。すなわち、固定側位置決め
リング19と可動側位置決めリング48とはインロー嵌
合する。
【0025】また、図2に示すように、前記可動側受け
板42および可動側取り付け板44におけるほぼ一対角
線上に位置する2つの角部の、前記固定側受け板7の間
通孔24と対向する位置に、貫通孔56が形成されてい
る。そして、可動側受け板42の貫通孔56には、前記
固定型1側のガイドピン22がそれぞれ前記型開閉方向
へ摺動自在に嵌合するガイドピン受け58が組み込まれ
ている。これらガイドピン受け58は、前記貫通孔56
内に嵌合されて固定された円筒状のガイドブッシュ59
と、このガイドブッシュ59の内周側に摺動自在に組み
込まれたスライドボールベアリングあるいはスライドロ
ーラーベアリングなどよりなるリテーナ60とからなっ
ており、このリテーナ60の内周側に前記ガイドピン2
2が常時嵌合している。なお、このガイドピン22のス
トッパー27は、リテーナ60を抜け止めするものであ
る。また、可動側取り付け板44に形成された貫通孔5
7には、ガイドピン22の先端部が挿入されるようにな
っている。
【0026】また、図1に示すコアブロック46におけ
る固定型1側の部分の外周部には段差部66が形成され
ているが、この段差部66には、円環状の突き当てリン
グ67が前記型開閉方向へ摺動自在に嵌合されている。
なお68は、突き当てリング67を抜け止めするボルト
である。また、突き当てリング67とコアブロック46
外周面との間にはスライドベアリング69が介在させて
ある。さらに、突き当てリング67は、スプリング70
により固定型1側へ付勢されている。そして、突き当て
リング67は、型閉時に前記固定型1側の外周スタンパ
ー押え32およびスタンパー36に突き当たり、光ディ
スクの外周面を形成するものである。
【0027】また、前記コアブロック46の中央部にお
ける固定型1側の面に形成された凹部76内には、ほぼ
円環状の工ア吹き出し入子77が嵌合され、凹部76の
背面側から挿入されたボルト78により固定されてい
る。この工ア吹き出し入子77と凹部76の内周面との
間の隙間には、コアブロック46や可動側受け板42内
に形成された空気通路79が連通している。
【0028】また、前記工ア吹き出し入子77内にはほ
ぼ円筒状の突き出しスリーブ81が前記型開閉方向へ所
定範囲摺動自在に嵌合されている。この突き出しスリー
ブ81は、前記コアブロック46を貫通し一端側が可動
側受け板42内に位置しているが、この可動側受け板4
2との間にはスライドベアリング82が介在させてあ
る。さらに、突き出しスリーブ81は、スプリング83
により固定型1と反対側へ付勢されている。なお、84
は、突き出しスリーブ81の摺動範囲を規制するために
可動側受け板42内に固定された規制板である。
【0029】また、前記突き出しスリーブ81内にはほ
ぼ円筒状のゲートカット部材としてのゲートカットスリ
ーブ86が前記型開閉方向へ所定範囲摺動自在に嵌合さ
れている。このゲートカットスリーブ86は、突き出し
スリーブ81および前記規制板84を貫通しているが、
ゲートカットスリーブ86と突き出しスリーブ81との
間にはスライドベアリング87が介在させてある。そし
て、ゲートカットスリーブ86の一端部に形成されたフ
ランジ部88が前記規制板84よりも可動側取り付け板
44側に位置している。さらに、ゲートカットスリープ
86は、スプリング89により固定型1と反対側へ付勢
されている。
【0030】さらに、前記可動側取り付け板44には、
突き出し板91が前記型開閉方向へ所定範囲摺動自在に
支持されている。この突き出し板91は、スプリング9
2により固定型1と反対側へ付勢されている。そして、
突き出し板91に固定された突き出しピン93が前記ゲ
ートカットスリーブ86内に摺動自在に嵌合されてい
る。また、突き出し板91に固定された連動ピン94が
前記ゲートカットスリーブ86のフランジ部88および
規制板84を貫通して前記突き出しスリーブ81に突き
当たるようになっている。さらに、前記ゲートカットス
リーブ86のフランジ部88に突設された受け部95が
前記突き出し板91を摺動自在に貫通している。
【0031】そして、図4に示すように、前記固定型1
側のスプルーブッシュ8の先端面外周部と可動型2側の
ゲートカットスリーブ86の先端面外周部との間に、固
定型1側のスプルー10を製品キャビティ3に連通させ
るゲート96が形成されるようになっている。また、ゲ
ートカットスリーブ86がスプルーブッシュ8の凹部3
8に嵌合することにより、ゲート96においてスプルー
10内の成形材料である樹脂と製品キャビティ3内の樹
脂すなわち光ディスクとが切断され、この光ディスクの
中心部の開口孔が形成されるようになっている。したが
って、固定型1においては、キャビティブロック17に
加えて内周スタンパー押え35およびスプルーブッシュ
8の先端面外周部によっても光ディスクの一部が形成さ
れる。また、可動型2においては、コアブロック46に
加えて工ア吹き出し入子77および突き出しスリーブ8
1によっても光ディスクの一部が形成される。
【0032】さらに、本実施形態の金型装置において
は、図4に示すキャビティブロック17のスタンパー3
6を支持する面17aに、中間層としてのTiN膜17
Nが形成され、このTiN膜17N上にAl23膜17
bが形成されている。そして、このようにTiN膜17
N(中間層)を介してAl23膜17bが形成されてい
ることで、スタンパー支持面17a及びスタンパー36
の損耗を防止することができる。
【0033】スタンパー36は、成形材料である350
〜390℃程度に加熱された溶融樹脂が製品キャビティ
3内に導入されると、その温度が350〜390℃程度
にまで上昇する。そして、充填後に樹脂が冷却固化され
ると100℃程度まで温度が低下する。このような加熱
冷却がショット毎に繰り返されるため、スタンパー36
は膨張収縮を繰り返すことになる。また、このスタンパ
ー36は、高温高圧で充填される溶融樹脂による応力を
受ける。すなわち、スタンパー36は、キャビティブロ
ック17aのキャビティ支持面17aに沿って繰り返し
摺動されることとなる。従来は、このスタンパーの摺動
によりスタンパー支持面やスタンパーの背面側が摩耗
し、それに伴って発生する摩耗粉が、スタンパーの背面
側(キャビティブロック側)や上面側(製品キャビティ
側)へ移動し、光ディスクの転写不良の原因となってい
たが、本発明によれば、摺動面であるスタンパー支持面
17a上に硬質で優れた耐摩耗性、耐食性を兼ね備え、
滑らかで摩擦係数の低いAl 23膜17bが形成されて
いることで、前記スタンパー36の摺動が円滑に行われ
るようになり、摩耗粉の発生を効果的に抑制するように
なっている。また、本来Al23膜は、金属製のキャビ
ティブロック17には密着しにくく、剥離し易いが、本
実施形態の金型装置では、スタンパー支持面17a上に
まず密着性に優れるTiN膜17Nを形成し、このTi
N膜17N上にAl23膜17bを形成することで、A
23膜17bの密着性や剥離の問題を解決している。
このように、本実施形態の金型装置では、Al23膜1
7bに剥離の問題が生じないため、Al23膜を直接ス
タンパー支持面17a上に形成する場合に比して、その
膜厚を大きくすることができ、Al23膜17bの耐久
性を更に高めることができる。特に、スタンパー支持面
17aの外周部は、スタンパー36の膨張収縮の幅が大
きくなるため損耗が生じやすいが、前記Al23膜17
bが形成されていることでこの外周部の損耗も効果的に
防止することができる。
【0034】前記Al23膜17bの膜厚は、0.2μ
m〜4μmの範囲とされることが好ましい。膜厚が0.
2μm未満であると、薄すぎて所望の耐摩耗性、耐酸化
性を得ることができず、また4μmを越えるとAl23
に内在する応力により剥離しやすくなり好ましくない。
【0035】本実施形態では、中間層としてTiN膜を
用いた場合について説明したが、この中間層には、Ti
N膜に限らず、スタンパー支持面17a及びAl23
17bとの密着性に優れる材料であれば問題なく用いる
ことができる。例えば、TiAlN膜や、TiC膜、c
BN膜、TiCN膜、或いはこれらの膜を2層以上積層
したものを用いることができる。この中でも、Al23
膜との密着性や高温強度に優れるTiN膜又はTiAl
N膜を用いることが好ましい。
【0036】前記TiN膜17Nの膜厚は、0.5μm
〜5μmの範囲とされることが好ましい。膜厚が0.5
μm未満であると、Al23膜に内在する応力を緩和し
て付着強度を向上させる効果が十分でなく、また5μm
を越えると表面の粗さが大きくなるために、粘着物が付
着し易くなる、Al23膜が不均一になるために剥離し
やすくなる等の問題があり好ましくない。ただし、膜厚
の最適範囲は、中間層として用いる薄膜を構成する材料
により異なっていてもよく、その材料の特性に合わせて
適宜最適な膜厚に調整すればよい。
【0037】また、製品キャビティ3に充填される樹脂
は高温(350〜390℃)の溶融状態となっているた
め、この樹脂が気化した有機化合物系のガス成分が樹脂
に同伴されて製品キャビティ3内に導入される。この有
機化合物系のガス成分は、スタンパー36とスタンパー
支持面17aとの間にも入り込み、キャビティブロック
17により冷却されるため、繰り返し何十万回もの成形
サイクルの後、その一部が樹脂粉となり、スタンパー支
持面17aやスタンパー36の裏面側に微量付着する。
また、DVD用のポリカーボネート樹脂を用いて生産効
率を上げるためには高温高圧で樹脂を注入する場合、近
年では通常の樹脂成形よりも高温の350〜390℃も
の温度に加熱された樹脂を充填して成形を行うようにな
ってきているので、特に前記樹脂粉の発生が顕著になっ
てきており、何十万回という成形サイクルを繰り返して
行う場合に特に問題となってきている。特に、キャビテ
ィブロック17に設けられた排気通路4の周辺部は、他
の部分より負圧となるためこの樹脂粉が溜まりやすくな
っている。このようにスタンパー支持面17aに付着し
た樹脂粉は、スタンパー36の平坦性を低下させ、転写
不良の原因となるので、成形サイクル後のスタンパー3
6交換時に除去する必要がある。本実施形態の金型装置
では、スタンパー支持面17a上にTiN膜17Nを介
してAl23膜17bが形成されているので、本来樹脂
粉の金型への付着が起こりにくく、また樹脂粉が付着し
た場合にもその付着力を弱めることができる。従って、
本発明に係る金型装置では、このスタンパー支持面17
aに生じた樹脂粉を、スタンパー36交換時に容易にウ
ェス等の布で拭き取ることで除去することができるよう
になっている。
【0038】さらに、前記樹脂が気化したガス成分は、
腐食性である場合が多く、従来の金型装置ではこのガス
成分にスタンパー支持面が腐食されて変色する現象が問
題となっていたが、本実施形態の金型装置では、スタン
パー支持面17a上に形成されたAl23膜17bによ
りガス成分がキャビティブロック17のスタンパー支持
面17aに到達するのを防止することができるようにな
っている。これによりキャビティブロック17の腐食が
起こりにくい、長寿命の金型装置を実現している。さら
には、中間層であるTiN膜17Nにより膜の密着性が
改善されているため、より厚いAl23膜17bを形成
することができるので、この点においても耐食性の向上
を実現している。従って、本実施形態の金型装置によれ
ば、数十万回のサイクル成形処理を行っても、スタンパ
ー支持面17aの損耗が無く、また樹脂粉や摩耗粉が付
着しにくく、耐食性に優れたものを提供することができ
る。
【0039】次に、上記構成の金型装置を用いた光ディ
スクの成形方法について説明する。なお、図1、図2お
よび図4では、固定型1および可動型2を図示上下に並
べて描いてあるが、通常は固定型1および可動型2が水
平に並んだ状態で成形が行われる。ただし、図示の通り
上下に並んだ状態で成形を行うことも可能である。固定
型1と可動型2とを型開した状態でも型閉した状態で
も、図2及び図3に示す固定型1の両ガイドピン22は
可動型2のガイドピン受け58に常時嵌合したままであ
る。これにより、固定型1と可動型2とが芯合わせされ
る。すなわち、固定型1のキャビティブロック17の中
心軸と可動型2のコアブロック46の中心軸とが同一直
線上に位置する。
【0040】光ディスクの成形時には、まず固定型1と
可動型2とを型閉して、これら固定型1および可動型2
間に製品キャビティ3を形成する。なお、このように型
閉した状態で、可動型2の突き当てリング67が固定型
1のスタンパー36に突き当たり、また、固定型1およ
び可動型2の位置決めリング19,48が相互にインロ
ー嵌合し、それらのテーパー面21,50が相互にテー
パー嵌合する。そして、射出成形機のノズルからスプル
ー10へ成形材料である溶融した熱可塑性樹脂を射出す
る。この樹脂は、スプルー10からゲート96を通って
製品キャビティ3内に流入する(充填工程)。なお、当
初は固定型1および可動型2の型締力は比較的弱くなっ
ており、製品キャビティ3内に充填された樹脂の圧力に
より固定型1および可動型2が若干、例えば0.1〜
0.3mm程度開き、位置決めリング19,48のテー
パー面21,50も若干離れるが、可動型2のコアブロ
ック46に対して摺動自在に支持された突き当てリング
67は、スプリング70の付勢によりスタンパー36に
突き当たった状態に保持される。
【0041】このようにして製品キャビティ3内に樹脂
が充填された後、射出成形機側に設けられた図示してい
ない押圧ロッドによってゲートカットスリーブ86の受
け部95が固定型1の方へ押されることにより、ゲート
カットスリーブ86が固定型1側へ移動し、この固定型
1のスプルーブッシュ8の凹部38に嵌合する。これに
より、ゲート96においてスプルー10と製品キャビテ
ィ3とが遮断されるとともに、この光ディスクの中心部
の開口孔が形成される(ゲートカット工程)。また、固
定型1および可動型2の型締めが強められることによ
り、コアブロック46を含めて可動型2のほぼ全体が固
定型1側へ移動する。これにより、製品キャビティ3内
の樹脂が圧縮される(圧縮工程)。この圧縮工程が終了
した時点で、固定型1および可動型2の位置決めリング
19,48のテーパー面21,50が再び相互にテーパ
ー嵌合する。これにより、圧縮工程の終了時点以降、固
定型1と可動型2とが確実に芯合わせされる。
【0042】さらに、この製品キャビティ3内の樹脂す
なわち光ディスクが冷却して固化した後、固定型1と可
動型2とが型開される。この型開に伴い、成形された光
ディスクおよびスプルー10内で固化した樹脂はまず固
定型1から離れる。ついで、射出成形機側に設けられた
図示していない押圧ロッドによって突き出し板91が固
定型1の方へ押されることにより、突き出し板91と連
動して突き出しピン93が固定型1側へ移動し、スプル
ー10内で固化した樹脂を突き出して可動型2から離型
させる。また、突き出し板91に固定された連動ピン9
4によって押されることにより突き出しスリーブ81が
固定型1側へ移動し、光ディスクの内周部を突き出して
可動型2から離型させる。なお、この離型時、空気通路
79から供給される空気がエア吹き出し入子77とコア
ブロック46との間の隙間から吹き出すことにより、光
ディスクと可動型2との間の真空破壊が行われる。そし
て、離型した光ディスクは、図示していない取り出しロ
ボットにより取り出される。その際、取り出しロボット
は、固定型1および可動型2間において、ガイドピン2
2およびガイドピン受け58が設けられていない角部を
介して出入りする。尚、このようにして成形されるの
は、最終的な製品としての光ディスクではなくその基板
であるが、この基板には、その後、保護層、記録層、反
射層およびオーバーコート層などが適宜形成されて、D
VDやCD等の光ディスクが完成する。
【0043】本実施の形態の構成によれば、固定型1に
設けたガイドピン22を可動型2に設けたガイドピン受
け58に型開閉方向へ拙動自在に嵌合して固定型1と可
動型2とを芯合わせするようにしたので、固定型1と可
動型2とが開いてそれらの位置決めリング19,48の
テーパー面21,50が互いに離れている状態でも、固
定型1と可動型2とを芯合わせできる。すなわち、固定
型1と可動型2とをいったん型閉した後の充填工程、ゲ
ートカット工程および圧縮工程では、固定型1と可動型
2とが若干開くが、その際にも固定型1や可動型2に加
わる重力に抗して、これら固定型1と可動型2とをある
程度正確に芯合わせされた状態に保持できる。したがっ
て、ゲートカット工程において可動型2側のゲートカッ
トスリーブ86を固定型1の凹部38に嵌合するとき、
ゲートカットスリーブ86が凹部38に確実かつ正確に
嵌合される。したがって、光ディスクの開口孔を正確に
所定の位置に形成できるとともに、この開口孔にバリな
どの不良が生じるのを防止することができる。
【0044】また、圧縮工程の終了時点以降、固定型1
と可動型2とが最終的に完全に閉じて製品キャビティ3
が最終的な製品形状になった状態では、固定型1および
可動型2の位置決めリング19,48のテーパー面2
1,50が互いにテーパー嵌合することにより、固定型
1と可動型2とが芯合わせされる。その際、位置決めリ
ング19,48がそれぞれ固定型1および可動型2に可
動状態に支持されているのではなく、固定されているも
のであることにより、位置決めリング19,48による
芯合わせは、ガイドピン22およびガイドピン受け58
のみによる芯合わせよりも確実で正確なものとなる。こ
のように、両型体を型閉した際に確実な芯合わせができ
ることで、製品キャビティ3を正確に画定できるように
なり、スプルー10から導入される樹脂の圧力を製品キ
ャビティ3内でより均一にすることができる。従って、
スタンパー36に作用する樹脂の圧力がより均一化さ
れ、スタンパー36とスタンパー支持面17a(Al2
3膜17b)との摺動をより円滑にしてこれらの部材
の損耗を抑制することができる。従って、本実施形態の
金型装置によれば、上記TiN膜17Nを介して形成さ
れたAl23膜17bの作用と相まってスタンパー36
の寿命を延ばすことができる。
【0045】さらに、本実施の形態では、ガイドピン2
2およびガイドピン受け58を2組のみ設けているが、
固定型1および可動型2の最終的な芯合わせは位置決め
リング19,48によってなされ、ガイドピン22およ
びガイドピン受け58は補助的なものなので、固定型1
および可動型2の2つの角部にあれば十分である。そし
て、固定型1および可動型2を型開して成形された光デ
ィスクを取り出すとき、固定型1および可動型2間にお
いて、ガイドピン22およびガイドピン受け58のない
角部を介して取り出しロボットを出し入れすることによ
り、光ディスクの取り出しに対してガイドピン22およ
びガイドピン受け58が支障とならない。
【0046】なお、本発明は、前記実施の形態に限定さ
れるものではなく、種々の変形実施が可能である。例え
ば、上記実施の形態では、固定型1にガイドピン22を
突設し、このガイドビン22が拙動自在に嵌合されるガ
イドピン受け58を可動型2に設けたがン逆に可動型に
ガイドピンを設け、固定型にガイドピン受けを設けても
よい。また、前記実施の形態では、ガイドピン22およ
びガイドピン受け58を2組としたが、1組あるいは3
組以上としてもよい。
【0047】また、本発明に係る光ディスク成形用金型
装置によれば、情報記録部よりも内周側に、この情報記
録部の表面よりも高さ0.04mm以上(好ましくは
0.05mm以上)突出した環状の凸部が形成された光
ディスクを製造することもできる。このような構成を備
えた光ディスクの一例を図5に示す。図5は、光ディス
クの部分断面構造を示す図である。図5に示す光ディス
ク101は、円板状になっていて、開口孔102を中央
部に有しているとともに、内周部および外周部以外の部
分が情報記録部103とされている。また、光ディスク
101の一方の面には、情報記録部103よりも内周側
に位置して、この情報記録部103の表面よりも高さh
が0.04mm以上突出した円環状の凸部104が光デ
ィスク101全体と同心的に形成されている。この凸部
104の高さhは、より好ましくは0.05mm以上で
ある。このような構成の光ディスク101は、成形時に
光ディスク101表面にバリ105が生じたとしても、
例えば、光ディスク101を光ディスクドライブ装置の
ターンテーブル106上に装着したとき、バリ105で
はなく前記凸部104がターンテーブル106上に載る
構造とされている。従って、バリ105に影響されるこ
となく、ターンテーブル106上に光ディスク101を
傾きなく装着することができ、光ディスクの回転時の面
振れを防止することができる。あるいは、光ディスクに
ハブを後付けする際に、光ディスクに対してハブを平行
に取り付けることができる。
【0048】次に、上記凸部を備えた光ディスク101
を製造するための金型装置の構成について図6を参照し
て以下に説明する。図6は、本発明に係る光ディスク成
形用金型装置の部分断面構造を示す図であり、光ディス
クを成形するための製品キャビティの中央部を示してい
る。この図5に示す金型装置の基本構成は、図1に示す
金型装置とほぼ同様であり、図1と同一の構成要素には
同一の符号が付されている。図6に示す金型装置の特徴
的な点は、エア吹き出し入子77の製品キャビティ3側
の面に、深さ0.04mm以上(好ましくは0.05m
m以上)の環状の凹部99が刻設されている点である。
このような構成の金型装置を用いて成形を行うことで、
図6に示すように、この凹部99の形状が転写されて形
成された凸部104を有する光ディスク101を製造す
ることができる。
【0049】
【実施例】(実施例1)アークイオンプレーティング法
により金型装置のスタンパー支持面にTiN膜を蒸着し
た後、マグネトロンスパッタ法によりAl23膜を蒸着
した。まず、TiN膜の成膜は、真空容器内にTiのタ
ーゲットを固定して、その対向面にスタンパー支持面と
なる平面を鏡面に研摩したステンレス製円板(180m
mφ×20mm厚み)を配置して基板とし、真空に減圧
した後、窒素ガスを導入して、10-4Torr(133
×10-4Pa)に調整した。基板に1000Vのバイア
ス電圧をかけて、表面をスパッターしてクリーニングし
た後、ターゲットに20Vの電圧で15Aのアーク放電
を発生させ、ターゲット表面からTiを蒸発させる。そ
の際基板に50Vのバイアス電圧を印加することによ
り、TiN膜を基板表面に蒸着した。このTiN膜の蒸
着速度は1μm/hrで、2時間の蒸着により2μmの
TiN膜を得た。次いで、別の真空容器内にマグネトロ
ンスパッタ用の台座に金属Alのターゲットを固定し
て、その対向面に上記にてTiN膜を蒸着された基板を
配置して、真空に減圧した後、Arを導入しその分圧が
2.7×10-3Torr(35.9×10-2Pa)にな
るようにし、さらに酸素を加えて、直流とパルス電圧を
ターゲットに印加してプラズマを発生させ、ターゲット
のスパッタによりAl23膜の成膜を行った。1時間の
反応で膜厚1μmのAl23膜を得ることができた。以
上の工程により成膜されたAl23膜をX線回折より分
析したところ、その結晶形はγAl23であった。ま
た、スタンパー支持面に形成した膜の断面の顕微鏡写真
より、スタンパー支持面上にTiN膜が2μm形成さ
れ、このTiN膜上にγAl23からなるAl23膜が
1μm積層されていることが確認された。
【0050】(実施例2)アークイオンプレーティング
法により金型装置のスタンパー支持面にTiAlN膜を
蒸着した後、マグネトロンスパッタ法によりAl23
を蒸着した。本実施例では、上記実施例1で用いたTi
のターゲットの代わりにTiAl合金(Ti:50重量
%、Al:50重量%)のターゲットを用いて、それ以
外は上記実施例1と同様に行った。このようにして得ら
れた蒸着膜を実施例1と同様にして分析したところ、T
0.5Al0.5N膜が2μm形成され、このTiAlN膜
上にγAl23からなるAl23膜が1μm積層されて
いることが確認された。
【0051】(実施例3)プラズマジェットCVD法に
より、金型装置のスタンパー支持面にcBN膜を蒸着し
た後、マグネトロンスパッタ法によりAl23膜を蒸着
した。まずcBN膜の成膜には、反応容器内にスタンパ
保持面となる平面を鏡面に研摩したステンレス製円板
(180mmφ×20mm厚み)を配置して基板とし、
その上方に直流プラズマトーチを設けて、減圧にして、
Ar,N2,BF3,H2の混合ガスをトーチより流し、
プラズマ中で分解させて、基板上に蒸着した。反応時の
圧力は50Torr(66.5×102Pa)で基板は
水冷して1000℃に保った。また、基板を回転させる
ことで、成膜面の全面に均一にcBN膜が形成されるよ
うにした。反応時間は30分で膜厚1μmの蒸着膜が得
られた。得られた蒸着膜をX線回折により分析した結果
cBNであることが確認された。その後、上記実施例1
と同様にしてcBN膜上にAl23膜を蒸着した。得ら
れた蒸着膜を上記実施例1と同様にして分析したとこ
ろ、cBN膜が1μmの厚さで形成され、このcBN膜
上にγAl23からなるAl23膜が1μm積層されて
いることが確認された。
【0052】(実施例4)本例では、アークイオンプレ
ーディング法にて金型装置のスタンパー支持面にTiC
−TiNの2層膜を蒸着した後、マグネトロンスパッタ
法によりAl23膜を蒸着した。まず、TiC膜を成膜
した。真空容器内にTiターゲットを固定し、その対向
面にスタンパー支持面となる平面を鏡面に研摩したステ
ンレス製円板(180mmφ×20mm厚み)を配置し
て基板とした。次いで、真空に減圧した後、アセチレン
ガスを導入して、圧力を10-5Torr(133×10
-5Pa)に調整した。そして、基板に1000Vのバイ
アス電圧をかけて、表面をスパッターしてクリーニング
した後、ターゲットに20Vの電圧で15Aのアーク放
電を発生させ、ターゲット表面からTiを蒸発させる。
その際基板に50Vのバイアス電圧を印加することによ
り、TiC膜を基板表面に蒸着した。このTiC膜の蒸
着速度は1μm/hrで、1時間の蒸着で1μmのTi
C膜が得られた。次いで、真空容器に導入される反応ガ
スを、アセチレンガスからN2ガスに代え、圧力が10
-4Torr(133×10-4Pa)になるように導入
し、上記TiC膜の場合と同様な条件で反応を行い、1
時間で1μmのTiN膜を得た。以上により作製された
蒸着膜の断面の顕微鏡観察より、基板上にTiC1μm
−TiN1μmの2層膜が得られたことが確認された。
その後、上記実施例1と同様にして、TiN膜上にAl
23膜を蒸着した。以上の工程により得られた蒸着膜を
上記と同様に断面観察したところ、TiC1μm−Ti
N1μm−γAl231μmの3層膜であることが確認
された。
【0053】(比較例1,2)次に、比較例1,2とし
て、それぞれスタンパー支持面となる面にTiNを2μ
m成膜したステンレス製の基板と、DLC(Diamond Li
ke Carbon)を1μm成膜したステンレス製の基板を作
製した。
【0054】以上により作製された実施例1〜4及び比
較例1,2の基板をスタンパー支持面に装着して、射出
成形を行った。30万ショット後のスタンパー支持面の
状態を目視観察した結果を表1に示す。
【0055】(実施例5)次に、上記実施例1で作製し
た金型装置とほぼ同様の構成の金型装置を、TiN膜及
びAl23膜の膜厚を種々に変化させて作製した。実施
例1と異なるのは膜厚のみであり、その他の構成や製造
条件は同一のものを用いた。これらの基板を金型装置の
スタンパー支持面に装着して30万ショットの射出成形
を行い、その後スタンパー支持面の目視観察を行った。
その結果を表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】表1に示すように、本発明の構成の実施例
1〜4の金型は、その強度及び耐食性においては、Ti
N膜が形成された比較例1の金型よりも優れ、また密着
性においては、DLC膜が形成された比較例2の金型よ
りも優れていた。また、表2に示すように、Al23
の膜厚を変化させて作製した実施例5の金型において
は、スタンパー支持面上に形成されたAl23膜の膜厚
が0.2μm〜4μmの範囲とされたものは、30万シ
ョット後にもスタンパー支持面に、傷や被覆膜の剥離は
見られず、極めて良好な耐久性を備えることが確認され
た。
【0059】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
光ディスク成形用金型装置は、スタンパー支持面上に、
中間層を介してAl23膜が形成されたことで、射出成
形時の加熱冷却に伴うスタンパーの膨張収縮によりスタ
ンパー支持面及びスタンパーが摩耗するのを効果的に防
止することができ、スタンパーの長寿命化を実現するこ
とができる。また、溶融樹脂に同伴されて製品キャビテ
ィ内に導入されるガス成分に起因するスタンパー支持面
の腐食も防止することができるので、金型装置の寿命を
延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係る光ディスク成形用金型
装置の断面構成図である。
【図2】 図2は、本発明に係る光ディスク成形用金型
装置に備えられたガイドピン及びガイドピン受けの断面
図である。
【図3】 図3は、図1に示す金型装置の固定型の平面
図である。
【図4】 図4は、図1に示す金型装置のゲート付近の
拡大断面図である。
【図5】 図5は、本発明に係る金型装置により作製さ
れる光ディスクの一例を示す部分断面図である。
【図6】 図6は、図5に示す光ディスクを製造するた
めの金型装置の構成を示す断面構成図である。
【図7】 図7は、光ディスク成形用金型の一例を示す
部分断面図である。
【符号の説明】
1 固定型(第1の型体) 2 可動型(第2の型体) 3 製品キャビティ 4 排気通路(真空チャック機構) 10 スプルー 17a スタンパー支持面 17b Al23膜 17N TiN膜(中間層) 19 固定側位置決めリング 21 テーパー面 22 ガイドピン(案内部材) 38 凹部 48 可動側位置決めリング(位置決め部材) 50 テーパー面 58 ガイドピン受け(案内部材) 86 ゲートカットスリーブ(ゲートカット部材)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出成形により光ディスクを成形するた
    めのキャビティ空間を画定する第1の型体及び第2の型
    体とが備えられ、前記第1の型体又は第2の型体に光デ
    ィスクに凹凸を形成するためのスタンパーを受けるスタ
    ンパー支持面が形成され、 前記第1の型体又は第2の型体のスタンパー支持面上
    に、中間層を介してAl 23膜が形成されたことを特徴
    とする光ディスク成形用金型装置。
  2. 【請求項2】 前記中間層が、TiN膜、TiC膜、T
    iAlN膜、cBN膜から選ばれる1又は2以上からな
    ることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク成形用
    金型装置。
  3. 【請求項3】 前記Al23膜の膜厚が、0.2μm〜
    4μmの範囲とされたことを特徴とする請求項1又は2
    に記載の光ディスク成形用金型装置。
  4. 【請求項4】 前記Al23膜が、スパッタ法により形
    成されたものであることを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれか1項に記載の光ディスク成形用金型装置。
  5. 【請求項5】 前記中間層の膜厚が、0.5μm〜5μ
    mの範囲とされたことを特徴とする請求項2ないし4の
    いずれか1項に記載の光ディスク成形用金型装置。
  6. 【請求項6】 前記中間層が、イオンプレーティング
    法、スパッタ法、CVD法のいずれかにより形成された
    ものであることを特徴とする請求項2ないし5のいずれ
    か1項に記載の光ディスク成形用金型装置。
  7. 【請求項7】 前記スタンパー支持面を有する型体に、
    スタンパーの裏面側を排気してスタンパーを固定する真
    空チャック機構が備えられたことを特徴する請求項1な
    いし6のいずれか1項に記載の光ディスク成形用金型装
    置。
  8. 【請求項8】 前記スタンパー支持面を有する型体に、
    スタンパーの内端部を固定するための爪部が形成された
    ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記
    載の光ディスク成形用金型装置。
  9. 【請求項9】 前記第1の型体及び第2の型体の対向す
    る面に設けられ、型閉時にテーパー嵌合するテーパー面
    が形成された位置決め部材と、 前記第1の型体及び第2の型体のうち一方に設けられた
    ガイドピンと、他方の型体の前記ガイドピンと対向する
    位置に設けられ、前記ガイドピンが前記型体の開閉方向
    へ摺動自在に嵌合されるガイドピン受けとを備える案内
    部材と、 を備えたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか
    1項に記載の光ディスク成形用金型装置。
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