JP3601463B2 - パターンを有する大型導光板の製造方法 - Google Patents

パターンを有する大型導光板の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、14インチ(355mm)以上の対角寸法を有する液晶ディスプレイのバックライトに用いられる大型導光板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
導光板は、ノートブック型パーソナルコンピュータやデスクトップ型パーソナルコンピュータ、さらには液晶テレビなどの液晶ディスプレイにおいて、側面に配置された光源からの光を液晶表示面に導くための光学要素として用いられている。液晶ディスプレイと導光板の配置を図1に概略断面図で示す。液晶ディスプレイ1の背面に配置されるバックライトは主に、導光板2,3、その背面に配置される反射層4、導光板2,3の前面(液晶ディスプレイ側)に配置される光拡散層5、並びに導光板2,3の側面に配置される光源7及びそこからの光を導光板2,3内に導くためのリフレクター8で構成される。そして、光源7からの光がリフレクター8で反射して導光板2,3内に入射し、その中を透過しながら背面に設けられた反射層4で反射して、前面側に出射するようになっている。前面側では、光拡散層5の存在により、光が全面に渡って均一に出射し、液晶ディスプレイ1のための照明となる。光源7には通常、冷陰極管が用いられる。
【0003】
反射層4は、反射板を配置する方式のほか、導光板2,3の背面側に反射機能を有する模様を印刷する方式によって設けることもある。また光拡散層5も、光拡散板を配置する方式のほか、導光板2,3の前面側に光拡散機能を有する模様を印刷する方式によって設けることもある。光拡散層として、プリズムシートを使用する方式も知られている。
【0004】
図1の(a)は、ノートブック型パーソナルコンピュータ等、対角寸法が14インチ程度までの比較的小型のディスプレイに用いられる形式であって、その導光板2は、厚みが0.6mm程度から3.5mm程度まで順次変化するくさび形状のものである。このようなくさび形の導光板2を用いる場合は通常、その厚肉側端面に光源7が配置される。なお、図1(a)には、光源7が1本の例を示したが、光源が複数本用いられることもある。一方、図1の(b)は、デスクトップ型パーソナルコンピュータや液晶テレビなど、より大型のディスプレイに用いられる形式であって、その導光板3は、厚みがほぼ均一なシート状のものである。このようなシート状の導光板3を用いる場合は通常、その対向する二つの側面に光源7,7が配置される。なお、図1(b)には、相対する側面に1本ずつ、合計2本の光源7,7が配置された例を示したが、より大型のディスプレイでは、相対する側面に2本ずつ、3本ずつなど、複数本ずつ光源7,7が配置されることもある。
【0005】
かかる導光板2,3には通常、光線透過率に優れるメタクリル樹脂が使用されている。そして、図1(a)に示すようなくさび形状の導光板2は、射出成形法によって製造され、図1(b)に示すようなシート状の導光板3は、樹脂シートからの切り出しによって製造されている。また、射出成形法により製造する場合は、金型表面にドットやラインなどの模様を付して、導光板成形品の表面に賦型し、その模様を反射層とする、いわゆる印刷レス化の試みもなされており、さらには、この方式を出射面にも応用して、拡散性あるいは光指向性を施した模様を賦型することで、拡散板又はプリズムシートの省略を狙った試みもある。
【0006】
射出成形法について概略を説明すると、このために用いる射出成形装置は、金型、この金型を型締め方向又は型閉じ方向に駆動する型締め装置、型締めされた金型に溶融樹脂を射出する射出装置等で構成されている。金型は、可動側型板と固定側型板とで構成され、固定側型板には、溶融樹脂を通過させるためのスプルーが形成され、可動側型板と固定側型板とのパーティングラインに沿ってランナーとゲートが形成され、両型板の間に製品を成形するためのキャビティーが形成されている。可動側型板には、形成された成形品を取り出すための突出し手段が設けられる。射出装置は、樹脂材料を可塑化溶融させ、金型のキャビティー内に射出充填するためのもので、シリンダー、その中で回転駆動されるように設けられたスクリュー、シリンダーの先端部に取り付けられたノズル、シリンダーに樹脂材料を供給するホッパー、スクリューを駆動するモーター、スクリューを前進駆動するラム機構などで構成されている。
【0007】
そして、シリンダーの外周部には、内部の樹脂を溶融するためにヒーターが設けられており、モーターによりスクリューを駆動するとともに、樹脂をシリンダーに供給し、通電されたヒーターにより、樹脂は加熱、加圧作用を受けて溶融混練され、そしてスクリューの先端に送られて蓄積される。次いで、ラム機構によりスクリューを前進駆動して、ノズルから金型のキャビティーに溶融樹脂を一気に射出し、所望の成形品を得ることになる。
【0008】
一つの成形品を得るための一連の工程は、まず、シリンダー内に樹脂材料を計量供給し、所望量の溶融樹脂をシリンダー先端部に蓄積し、次いでスクリューを前進させてキャビティー内に溶融樹脂を射出充填し、そして溶融樹脂の冷却固化に伴う体積収縮分を補うための保圧力を付与し、その後引き続いて、成形品の金型内での冷却と次の成形のための溶融樹脂の計量を併行して行い、冷却完了後、可動側型板を移動させ、金型を開いて成形品を取り出すことからなる。
【0009】
対角寸法が14インチを超える導光板を上記射出成形法により製造するには、それ相当の型締め力を有する大型の成形機が必要となる。また、サイズが大きくなると、ゲートから流動末端までの距離が長くなり、成形が困難となる。すなわち一般の射出成形においては、ショートショットや溶融樹脂が冷却固化に伴って体積収縮する不足分を保圧力によって補充するのであるが、ゲートからの距離が長すぎる場合には、圧力が有効に作用せず、ヒケが発生したり、金型キャビティー面の賦型が悪くなったりする。また、光源である冷陰極管の光度が充分に末端まで届きにくいことから、射出成形法による14インチ以上の対角寸法を有する均一厚みの大型導光板は実用化されておらず、かかる大型導光板の製造には、メタクリル樹脂シートからの切断加工が採用されているにすぎない。
【0010】
すなわち、対角寸法14インチ以上、さらに15インチ以上の導光板は、厚みが均一のメタクリル樹脂シートを所望のサイズに切断したものが使用され、その両端部に冷陰極管を合計2本、4本又は6本配置して、バックライトとされている。メタクリル樹脂シートとしては、5〜15mmの厚みを有するものが用いられている。また、この場合は通常、まずメタクリル樹脂シートを粗切断した後、レーザーカッティング法により、端面の仕上げを兼ねて最終切断し、切断後のシートの片面に反射層パターンを印刷して製品とされる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
厚みが一定のメタクリル樹脂シートを切断して導光板とする方法では、メタクリル樹脂シートの厚み精度があまりよくないため、後工程での印刷ムラの原因となったり、フレームとの嵌合時に隙間が生じたり、嵌合できなくなったりする。また、レーザーカッティング工程でレーザー熱によりシート端面が垂れて不良を発生しやすく、さらには後工程での印刷コストが高くなるなど、射出成形法では問題とならない不具合が発生する。一方、対角寸法が14インチを超える大型導光板に対しては、製品サイズが大きすぎて、射出成形法により良品を成形することは容易でなく、また反射機能や光拡散機能を有するパターンを成形と同時に金型内で樹脂に賦型することも、製品サイズが大きすぎて転写性が劣ることから、やはり容易ではない。
【0012】
本発明者はかかる事情に鑑み、対角寸法が14インチ(355mm)以上の大型導光板を、溶融樹脂からの成形によって製造し、しかも、厚みが均一で導光板としての要求性能を充分に満たし、さらには反射層パターン又は光拡散層パターンも同時に賦型しうる方法を見出すべく鋭意研究を行った結果、本発明を完成するに至った。したがって本発明の目的は、溶融樹脂からの成形によって、対角寸法14インチ以上の液晶ディスプレイバックライト用導光板を、厚み精度や寸法安定性、透明性、総合製造コストなどに優れる方法で製造し、しかも反射層又は出射側の光拡散層となるパターンを同時に付与して、後の印刷工程を省略しうるようにすることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の見地によれば、少なくとも一方のキャビティー面に凹凸模様が付された、対角寸法14インチ(355mm)以上の液晶ディスプレイ用導光板を形成するための金型を用い、その金型のキャビティーを射出装置のシリンダーに連通し、シリンダー内に透明樹脂材料を供給して溶融させ、その溶融樹脂をシリンダーから金型キャビティーに向けて射出し、その際、溶融樹脂の粘度が50〜5,000Pa・secの範囲にあるときに金型の入り口を通過させ、かつ1〜15cm/sec の範囲の射出率で溶融樹脂を金型キャビティーに充填して、少なくとも一方の面に前記金型の凹凸模様に基づくパターンが賦型された導光板に成形する方法が提供される。ここでいう射出率とは、金型キャビティーを充満する樹脂の射出開始から充満終了までの平均速度である。この射出率は、4〜11cm/secの範囲とするのがより好ましい。一般の射出成形法では、射出率が少なくとも20cm/sec程度となるが、本発明ではそれよりもはるかに小さい射出率で、すなわち低速で、溶融樹脂を金型内に充填する。このため、ヒケの発生が抑えられ、厚肉で大面積の製品であっても、良好な外観が得られる。
【0014】
このように、本発明の第一の見地から特定される方法は、極めて低速で溶融樹脂を金型内に充填することを要件の一つとするものであり、例えば、通常の射出成形機を用い、シリンダー内に設けられたスクリューの回転により樹脂を計量蓄積した後、その樹脂の溶融状態を保ちながら、スクリューを通常の射出成形よりもはるかにゆっくりと前進駆動させて、溶融樹脂を金型キャビティー内に充填する方法を採用することができる。一方で、スクリューを回転させながら、その回転に伴う前進駆動力により溶融樹脂を金型キャビティー内に充填していく方法も有効である。
【0015】
そこで本発明の第二の見地によれば、少なくとも一方のキャビティー面に凹凸模様が付された、対角寸法14インチ(355mm)以上の液晶ディスプレイ用導光板を形成するための金型を用い、その金型のキャビティーを射出装置のシリンダーに連通し、そのシリンダー内に透明樹脂材料を供給して溶融させ、シリンダー内に配置されたスクリューを回転させながら透明樹脂材料を前記金型キャビティーに連続的に流入させて、少なくとも一方の面に前記金型の凹凸模様に基づくパターンが賦型された導光板に成形する方法も提供される。シリンダー内でスクリューを回転させながら透明樹脂材料を金型内に連続的に流入させて賦型成形する方法としては、特に限定されるわけではないが、例えば、フローモールドと呼ばれる成形法を挙げることができる。
【0016】
このように本発明の方法は、シリンダー内で溶融させた樹脂を極めて低速で、あるいはシリンダー内でスクリューを回転させながら極めて低速で、金型キャビティーに連続的に流入させて賦型成形するものであり、このような方法自体は、樹脂の成形法の一つとして公知であるが、これを従来採用されていなかった大型導光板の製造に適用し、かつその際に用いる金型の少なくとも一方のキャビティー面に凹凸模様を付すことにより、溶融樹脂から直接、厚み精度や寸法安定性、透明性などに優れ、かつ反射層又は光拡散層パターンが賦型された大型導光板が製造でき、結果的に総合製造コストの低減にもつながる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明では、透明樹脂材料を原料とし、これを射出装置のシリンダー内で溶融させ、この溶融樹脂を金型キャビティーに低速で流入させて賦型成形する方法、例えば、フローモールド成形法又はそれに類似する方法により、大型導光板が製造される。原料の透明樹脂材料は、導光板としての要求物性を満足しうるものであればよく、例えば、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体であるMS樹脂、非晶質シクロオレフィン系ポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アクリロニトリルとブタジエンとスチレンの共重合体であるABS樹脂、ポリサルフォン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂など、溶融成形が可能な熱可塑性樹脂が挙げられる。メタクリル樹脂は、メチルメタクリレートを主体とする重合体であり、メチルメタクリレートの単独重合体のほか、メチルメタクリレートと、少量の、例えば10重量%程度までの他の単量体、例えば、メチルアクリレートやエチルアクリレートのようなアルキルアクリレート類との共重合体であってよい。またこれらの透明樹脂は、必要に応じて、離型剤、紫外線吸収剤、顔料、重合抑制剤、連鎖移動剤、酸化防止剤、難燃化剤などを含有していてもよい。
【0018】
このような透明樹脂材料を射出装置のシリンダー内に供給して溶融させ、この溶融樹脂を極めて低速で、例えば本発明の第一の見地から特定する方法では1〜15cm/sec、好ましくは4〜11cm/secの範囲の射出率で金型キャビティーに射出していく。射出率があまり小さいと、ショートショットやフローマークなどの外観不良、また厚みや寸法の精度不良につながりやすい。一方、射出率があまり大きいと、ヒケ不良が発生したり、厚みや寸法の精度が悪くなったりしやすい。射出率は、製品容積(cm)を溶融樹脂の充填に要した時間(sec)で除して求めることができる。製品容積は、製品重量とその樹脂の比重から求められる。同じ金型を用いても、溶融樹脂をキャビティー内に流入させる際のスピード、すなわち充填時間によって、製品重量はある程度変動するので、簡単な予備実験を行うことにより、最適の射出率を定めることができる。
【0019】
またこの方法においては、対角寸法14インチ以上で厚肉の製品を、ヒケのない均一な厚みで成形するために、溶融樹脂の粘度も重要となる。そこで、本発明の第一の見地から特定する方法では、金型入り口を通過するときの溶融樹脂粘度が50〜5,000Pa・sec の範囲となるようにする。金型入り口を通過するときの溶融樹脂粘度は、成形性の点では低いほうがよいものの、溶融樹脂粘度を低くすることは、溶融樹脂温度を過度に高め、また射出率を上昇させることになるので、その下限は50Pa・secとする。一方、このときの溶融樹脂粘度があまり高いと、金型キャビティーの隅々まで溶融樹脂が回りきらないうちに固化してしまうので、その上限は5,000Pa・sec とする。
【0020】
金型入り口での溶融樹脂粘度は、例えば次のようにして求めることができる。まず、下式に従って、射出率(cm/sec)と金型入り口の断面積(cm)から金型入り口の線速度を算出し、それと金型入り口の厚み(cm)から金型入り口での樹脂の剪断速度(sec−1)を簡易的に求める。
【0021】
金型入り口の線速度(cm/sec)=射出率(cm/sec)/金型入り口の断面積(cm
剪断速度(sec−1)=線速度(cm/sec)/〔金型入り口の厚み/2〕(cm)
【0022】
そして、別途キャピログラフにより採取した樹脂材料の粘度の剪断速度依存性データに照らし合わせて、その剪断速度における溶融粘度が求められる。
【0023】
射出装置のシリンダー内で溶融された樹脂をごく低速度で金型内に連続的に流入させて賦型成形する方法自体は、公知の方法に準じて行うことができる。この方法に用いる成形機は、概略的には前述した通常の射出成形機とほぼ同様に構成されるが、この方法の特徴として、溶融樹脂の金型内キャビティーへの射出充填が、非常に低速の領域で行われることが挙げられる。また低速で充填するので、金型に加わる圧力(型内圧)が通常の射出成形よりは小さくてすみ、大面積製品でも比較的低い型締め力で成形することができる。なお、低速で射出圧力を長時間付与するために射出ユニットの圧力が不足する場合は、アキュームレータなどの圧力補助装置を追加してもよい。さらに、通常の射出成形機におけるモーター駆動用のROM(読み取り専用メモリー)を改造し、低速射出充填と、射出成形機シリンダー内でスクリューを回転させながら樹脂材料を金型内に連続的に流入させる方法とを組み合わせてもよい。
【0024】
また、本発明の一つの態様では、シリンダー内に供給され、溶融された透明樹脂を、シリンダー内でスクリューを回転させながら金型キャビティーに連続的に流入させて、対角寸法14インチ以上の大型導光板に成形する。このようにシリンダー内でスクリューを回転させながら溶融樹脂を金型キャビティーに連続的に流入させる方法を採用すれば、溶融樹脂の流れが絶たれる可能性がより少なくなるので、賦型性が一層良好となる。シリンダー内でスクリューを回転させながら溶融樹脂を連続的に金型内に流入させる態様を採用する場合には、スクリューの回転駆動に基づく連続的な圧送により、溶融樹脂の射出充填が行われることになる。したがって、スクリューの回転駆動を続けることにより、シリンダーの容積以上の容積を有する製品も成形することができる。また、金型に加わる圧力(型内圧)が通常の射出成形の半分程度でよいので、大面積製品でも低い型締め力で成形することが可能である。通常の射出成形機におけるモーター駆動用のROM(読み取り専用メモリー)を、この方法に適した仕様に改造することで、本発明の方法に用いる成形機とすることもできる。
【0025】
また本発明では、金型の少なくとも一方のキャビティー面にドットやラインなどの凹凸模様を付しておく。この凹凸模様が、キャビティーに充填された樹脂材料に賦型転写されて、導光板内を透過する光を液晶ディスプレイ側へ反射するための反射層パターン、又は導光板の前面側(出射側)で光を拡散出射させるための光拡散層パターンとなる。もちろん、金型キャビティー面の両方に凹凸模様を付して、反射層パターンと出射側光拡散層パターンを同時に賦型することもできる。
【0026】
金型キャビティー面の凹凸模様は、金型のキャビティー内面に直接設けることもできるが、模様形成の容易さや、異なる模様のものへ取り替える際の簡便さなどから、表面に予め凹凸模様が形成された入駒板を用意し、これを金型に挿入設置するか、又は貼り合わせて用いるのが好ましい。この凹凸模様は、例えば、スタンパー法、サンドブラスト法、エッチング法、レーザー加工法、フライス加工法、電鋳法などによって設ければよい。また、この模様は光学的シミュレーションなどにより設計される。例えば、印刷代替としての反射層パターンは、冷陰極管の光源から遠ざかるほど光を拡散させる模様の密度や大きさを大きくし、全体の面としての出射光を均一に拡散させうるパターンであればよい。入駒板の材質は、その凹凸模様の作製に適したものであればよく、またその厚みは、できるだけ薄いほうが好ましい。
【0027】
さらに、金型キャビティー内に充填された樹脂の保温及び冷却は、このキャビティー面を介して行われるため、樹脂成形体の熱交換はキャビティー面の熱伝導率に依存する。この点も考慮すると、金型キャビティー面の材質としては、金型を構成する金属(通常は鋼材)よりも熱伝導率の高い金属、例えば、銅又はその合金を用いるのが好ましい。特に、一般鋼材に比べて約3〜6倍という高い熱伝導率を有するベリリウム銅、すなわち、ベリリウムを0.3〜3重量%程度含有する銅合金が好ましく用いられる。さらに、このようなキャビティー表面(樹脂成形品に接触する面)には、平滑な鏡面とする場合は、鏡面性を上げることと成形品の型離れをよくすることのため、メッキ処理を施しておくのも有効である。メッキ層としては、例えば、チタンカーバイド(TiC)、窒化チタンカーバイド(TiCN)、窒化チタン(TiN)、タングステンカーバイド(WC)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)などが挙げられる。また、メッキ処理後に研磨するのも有効である。
【0028】
本発明による方法は、通常の射出成形法に比べて溶融樹脂の充填速度が極めて遅いことから、溶融樹脂の金型への接触による冷却効果だけで、金型キャビティー面に設けた凹凸模様を樹脂表面に賦型転写しようとしても、転写性が良好とはいえない。そこで本発明では、例えば、金型キャビティー表面の温度が樹脂材料のガラス転移温度以上の状態でキャビティー内に樹脂材料を流入させて充填し、充填後はキャビティー表面の温度を樹脂材料のガラス転移温度以下に低下させることにより、キャビティー内に充填された樹脂材料の温度調節を行い、金型キャビティー面に設けた凹凸模様を樹脂表面に精度よく賦型転写することができる。具体的には例えば、金型のキャビティー面より内側近傍に熱媒体を通過させるための通路を設け、そこに熱媒及び冷媒を交互に通過させる、いわゆる熱媒/冷媒交換法による温度調節技術を採用して、冷熱サイクル成形を行う方法が採用できる。熱媒及び冷媒としては機械用油や水などが用いられるが、水系のもの、例えば、冷媒として水が、また熱媒として加圧水が好ましく用いられる。このような冷熱サイクル成形を採用する場合、金型キャビティー面に前述した熱伝導率の高い金属、例えばベリリウム銅からなる入駒板を用いれば、一般の鋼材に比べて半分近い短時間で昇温及び降温を行うことができる。
【0029】
一つの成形品を得るには、まず、金型内部の流体通路内に樹脂材料のガラス転移温度以上の温度を有する媒体(熱媒)を通し、金型キャビティー表面温度が成形する樹脂材料のガラス転移温度付近又はそれ以上に昇温した状態で、樹脂材料をシリンダー内へ供給し、金型内キャビティーへ溶融樹脂を射出充填する。この際、シリンダー内でスクリューを回転させながら溶融樹脂を金型キャビティー内へ流入させる態様を採用する場合は、スクリューの回転駆動により樹脂材料をシリンダー内へ供給することと、金型内キャビティーへ溶融樹脂を射出充填することを兼ねて併行して進行することになる。そして金型内キャビティーの末端まで溶融樹脂が充填されると、保圧力を加える。保圧開始時点、保圧中のある時点、又は保圧力の付与が終了した時点で、金型内部流体通路内の媒体を、樹脂材料のガラス転移温度以下、好ましくは荷重撓み温度以下の冷媒に切り換え、冷却工程に入る。その後、金型を開いて成形品が取り出される。
【0030】
本発明による成形法について、図2を参照しながら説明を進める。図2は、本発明で使用するのに適した成形装置の一例を概略的に示す断面図である。この装置は大きく分けて、射出装置10と金型20とで構成されている。射出装置10は、射出シリンダー11、このシリンダー内で回転し、前進駆動するスクリュー12、このスクリュー12を駆動するためのモーター13、樹脂材料を射出シリンダー11に供給するホッパー14、射出シリンダー11の外表面に設置された加熱ヒーター15,15等で構成されている。
【0031】
一方、金型20は、固定型21と可動型22とで構成されている。固定型21には、可動型22側へ向けて断面がテーパ状に大きくなっており、溶融樹脂の流路となるスプルー23が形成され、固定型21と可動型22の合わせ面には、両型21,22に沿ってランナー24が形成され、ランナー24はスプルー23に連通し、その両先端部はゲート25に連なっている。固定型21と可動型22とを合わせることにより、導光板を成形するためのキャビティー26,26が形成され、これらのキャビティー26,26には、ゲート25が連通している。したがってこの例では、キャビティー26,26が、ゲート25、ランナー24及びスプルー23を介して、射出装置10のシリンダー11に連通していることになる。また可動型22には、成形品を取り出す際に成形品を突き出すための突出し手段27が内設されている。なお図2には、1回の成形で2個の製品を取るようにした例を示したが、1個取りとすることも、また1回の成形で3個又はそれ以上の製品を取るように設計することも可能である。
【0032】
固定型21のキャビティー26側の面、及び可動型22の同じくキャビティー26側の面は、パターン転写用入駒板28,28となっており、どちらか一方、又は両方の入駒板の製品面に種々の凹凸模様が予め形成され、金型に挿入設置されるか又は貼り付けられている。このパターン転写用入駒板28,28は、先に述べたとおり熱伝導率の高い材質のもの、例えば、ベリリウム銅で形成されるのが好ましい。また、種々の凹凸模様が予め形成されたステンレス製板などを、ベリリウム銅で形成された入駒板本体の表面に貼り付けてもよい。パターン転写用入駒板28,28は、固定型21と可動型22の両方のキャビティー面に設置するのが好ましいが、キャビティー内面の一方にだけ凹凸模様を付す場合には、その面にだけ設置してもよい。
【0033】
固定型21及び可動型22の内部には、キャビティー26に沿って、熱媒及び冷媒のための流体通路29,29が埋設されている。そして、制御装置を設けた温調設備により、目的に応じて、この流体通路29,29の中に熱媒及び冷媒を交互に切り換えて流通させることにより、金型温度、詳しくはパターン転写用入駒板28,28の温度を、成形サイクル中に昇温又は降温させるように構成されている。流体通路29,29は、固定型21及び可動型22の両方に設けるのが好ましいが、一方にだけ設けてそこに熱媒及び冷媒を交互に通すようにしても、相応の効果が発揮される。
【0034】
次に、以上のような射出装置10と金型20を使用して、パターンが転写された大型導光板を成形する方法について説明する。溶融樹脂の射出時にスクリューの回転力を利用しない場合は、モーター13によりスクリュー12を回転駆動するとともに、ホッパー14から樹脂材料を射出シリンダー11内へ供給する。供給された樹脂材料は、加熱ヒーター15,15からの熱とスクリュー12の回転により受けるせん断・摩擦力から生じる熱とで可塑化混練され、スクリュー12の回転移送作用でスクリュー先端方向へ運ばれ、所定量計量される。次いでスクリュー12を前進駆動させ、金型内に樹脂材料を射出して流入させる。射出された樹脂材料は、スプルー23及びゲート25を通って、キャビティー26に向けて連続的に送られる。この態様では、ゲート25を通過するときの溶融樹脂の粘度を50〜5,000Pa・sec とし、かつ射出率を1〜15cm/sec、好ましくは4〜11cm/secとする。
【0035】
一方、溶融樹脂の射出時にスクリューの回転をも利用する場合は、スクリュー12がほぼ最前進限の位置にある状態で、モーター13によりスクリュー12を回転駆動するとともに、ホッパー14から樹脂材料を射出シリンダー11内へ供給する。供給された樹脂材料は、加熱ヒーター15,15からの熱と、スクリュー12の回転により受けるせん断・摩擦力から生じる熱とで可塑化混練され、スクリュー12の回転移送作用でスクリュー先端方向へ運ばれ、スプルー23及びゲート25を介して、キャビティー26に向けて連続的に送られる。このとき、充填中の樹脂圧ではスクリューが後退せず、充満した樹脂の圧力では後退する程度の背圧を付与しておく。
【0036】
いずれの態様においても、溶融樹脂流入時の金型温度、詳しくはパターン転写用入駒板28,28のキャビティー26側の表面温度は、成形する樹脂材料のガラス転移温度以上に設定しておくのが好ましいが、サイクルの関係上、射出開始時はそれ以下の温度であってもよい。少なくとも次の保圧工程に入るまでには、入駒板28,28のキャビティー26側の表面温度が樹脂材料のガラス転移温度以上となるようにしておく必要はある。
【0037】
そして、キャビティー26の閉鎖空間が射出された溶融樹脂で充満されると、金型20内で冷却される溶融樹脂の体積収縮を補えるように、適当な保圧を加える。シリンダー内でスクリューを回転させながら溶融樹脂を金型キャビティー内に連続的に流入させた場合は、充満した樹脂の圧力によりスクリュー12がわずかに後退するので、スクリュー12が所定距離後退した時点で保圧を加える。保圧を加え始める時点で、流体通路29,29内に冷媒を流す。そして、成形品を取り出すときに変形しない程度の温度になるまで冷却したら可動型22を開き、突出し手段27により成形品を突き出して取り出す。なお、製品を取り出す方法は、このような突出し手段による態様に限らず、公知のいかなる方法を採用してもよい。成形品を取り出した後は、流体通路29,29内の媒体を熱媒に変え、再びパターン転写用入駒板29,29のキャビティー側表面温度が好ましくは樹脂材料のガラス転移温度以上となるように昇温し、可動型22を閉じて、次の成形品取りのためのサイクルに入る。
【0038】
このような装置を用いて、まず、可動型22を固定型21側に移動して金型を閉じ、両者により構成された閉鎖キャビティー26内に、溶融樹脂を射出する。その際の溶融樹脂の射出成形温度(射出シリンダー内の樹脂温度)は、一般には170〜300℃程度であり、メタクリル樹脂では通常、190〜270℃の温度で良好な成形体が得られる。また、シリンダー内のスクリューを回転させながら溶融樹脂を連続的に金型キャビティーに流入させる場合、スクリューの回転数は流動射出速度につながり、スクリュー回転数が大きいほど速度が速くなる。成形品の厚みに応じて、一般には20〜150rpm の範囲が採用される。金型温度は、一般に30〜150℃の範囲であるが、前述のとおり、樹脂材料の射出充填から所定時期までは、樹脂材料のガラス転移温度以上となるように設定しておくのが好ましい。メタクリル樹脂の場合、ガラス転移温度は105℃前後である。そして、保圧を加えて所定時間維持し、保圧終了時点で金型キャビティーの表面温度が樹脂材料のガラス転移温度以下となるよう、流体通路29,29に流れる媒体を、タイマー設定やスイッチ弁の切り換え等により冷媒に切り換える。この冷却工程を経てから金型を開いて、冷却された成形品を取り出せばよい。
【0039】
こうして得られる成形品(導光板)は、厚みや外寸法の精度がよく、安定している。これは、一般の射出成形法に比べて、金型キャビティー内への溶融樹脂の射出充填が極めて遅く、かつ連続的になされることから、溶融樹脂の冷却に伴う体積収縮を随時補いながら、樹脂が充填されることによる。このため、体積収縮率が安定し、結果として製品寸法が安定し、かつ厚み変動も少なくなる。シリンダー内でスクリューを回転させながら透明樹脂材料を金型キャビティー内に連続的に流入させて賦型成形する場合は、樹脂材料の供給工程と射出工程が同時に進行するため、一般の射出成形法に比べて、射出シリンダー内での溶融樹脂の滞留が極めて少なく、したがって一層の寸法安定性と高い透明性を有する製品が得られる。さらに、この成形品の少なくとも一方の面には反射層又は光拡散層となるパターンが賦型転写されているので、後の印刷工程を省略することができる。これらのことから、大型の液晶ディスプレイ用バックライトに現在使用されているメタクリル樹脂シートから切り出して製造される導光板に比べ、導光板1個あたりの総合コストの低下につながる。
【0040】
図3に、本発明の方法によって成形される導光板成形品の一例を概略斜視図で示す。導光板成形品30は、スプルー31、ゲート32、導光板本体33及び取付け部兼突出し部34,34により構成されており、ゲート32は成形後に切断される。この例では、導光板製品33の固定型側の面に、パターン転写用入駒板に予め付与されたパターン模様が転写される。このパターンは、光学的シミュレーションによって決定され、パターンの種類は、円、三角形、四角形など、あるいはそれらの組合せからなるドット形状、スリット状の溝形状、梨地状のシボ形状など、入射光を拡散させうる機能を持つ周知の形状であればよい。ドットパターンの場合は、光源入射側からの距離が離れるほど、ドット一つあたりの径を大きくし、かつ密に配置するのが一般的である。
【0041】
【実施例】
本発明の方法をさらに具体的に説明するため、以下に実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0042】
実施例1
この例では、住友重機械工業株式会社製の成形機“ネスタール 200SYCAP ”を用い、シリンダー内でスクリューを回転させながら樹脂材料を金型内に連続的に流入させて賦型成形できる仕様となるようにROMを改造した。また金型は、型締め力200トンの成形機に取り付けて成形可能なサイズに設計し、キャビティー1個取りとした。導光板本体は図3に示すものに近似する形状であり、31cm×24cmの大きさで厚みが6mmとなるように設計した。
【0043】
反射層側に位置する固定型キャビティー面には、ベリリウムを0.5重量%及びニッケルを1.6重量%含有する高伝導度ベリリウム銅合金の表面に、印刷に代わる真円形のドットパターンがエッチング処理により予め付与されたパターン転写用入駒板を貼りつけて設置した。このドットパターンは、縦長方向の中心部で各ドットが大きくなり、中心から離れるに従って各ドットが小さくなるようにし、中心部のドットが約1.0mmの径及び約1.5mmのドット間ピッチを有し、光源側端部のドットが約0.6mmの径及び約1.5mmのドット間ピッチを有するものである。一方、出射面層に位置する可動型キャビティー面には、上と同じベリリウム銅合金の表面にニッケルメッキを施し、さらに鏡面に研磨した入駒板を設置した。また、金型温度をサイクル中に昇温したり降温したりするため、金型内部には、固定型、可動型とも、キャビティー入駒面から約9cm内側に直径15mmの流体通路を設け、そこに冷媒として温度約30℃で冷媒用ユニットから送り出される冷水、また熱媒として温度約130℃で熱媒用温調ユニットから送り出される加圧水が交互に切り換えて送られ、冷熱サイクルが得られるようにした。
【0044】
樹脂材料として、住友化学工業株式会社製のメチルメタクリレート樹脂“スミペックス MG5”(透明)を用い、射出シリンダー内の樹脂温度は240℃に設定した。また、射出開始から保圧切り換えまでの充填時間に対する成形品容量(=重量/比重)の比で表される射出率が約8cm/secとなるように、スクリューの回転数を設定した。成形後に確定した射出率は、7.69cm/sec であった。さらに、金型内の流体通路に熱媒を通すことにより、表面温度計で測定されるキャビティー表面温度が125℃となるように設定した。固定型と可動型を閉じて、両者により形成されるキャビティー内にメチルメタクリレート樹脂を射出した。溶融樹脂がキャビティー手前のゲートを通過するときの粘度は、前述の方法により求めた。
【0045】
キャビティー内に樹脂が充満したところで保圧を加え、その時点で流体通路内の媒体を冷媒に切り換えて、保圧終了時に金型キャビティー表面温度が85℃となるように冷却した。その状態で40秒間保持した後保圧を解除し、冷媒への切り換えからおよそ70秒で成形品の表面温度が70℃に達したので、冷却工程を経て金型を開き、冷却された成形品を取り出した。その後再び、金型キャビティー表面温度が125℃となるように昇温を開始し、金型を閉じて次のサイクルに入った。
【0046】
得られた成形品5枚をサンプルとして、面内厚み分布をダイヤルゲージで測定したところ、厚みのフレは±0.09mm であった。また、以上の操作を繰り返して100枚の導光板を製造し、それぞれの外寸をノギスで測定して寸法安定性を評価したところ、外寸のフレは±0.18mm であった。導光板用メタクリル樹脂シートの規格では、厚みの誤差が±0.1mm以下、外寸の誤差が±0.2mm以下と言われており、これに比べて遜色のない値であった。さらに、上で得られた厚み6mmの導光板について、 JIS K 7105 に従って全光線透過率を測定したところ、91%であった。また王子計測機器株式会社製の自動複屈折計“KOBRA−CCD/X”を用いて、この導光板の複屈折を測定したところ、4×10−6〜6×10−6の範囲にあった。なお複屈折は、サンプルの厚み方向の光学的位相差(レターデーション)を測定し、その値を厚みで除することによって得られる無次元数である。一般の射出成形法で得られる導光板の複屈折は10−4〜10−5レベルであり、現行の大型導光板に用いられているメタクリル樹脂押出シートの複屈折は10−6レベルである。ちなみにキャスト板は、10−7レベルとさらに低歪みである。したがって、この例で得られた導光板は、現行使用されている押出シート並みの低歪みで、問題ないことを確認した。
【0047】
また、東京精密株式会社製の三次元表面粗さ計を用い、 JIS B 0601 に規定される中心線平均表面粗さRa を測定することで、パターン転写性の評価を行ったところ、金型キャビティーの表面粗さに比べて97〜100%の転写率が得られた。成形品表面の各部位における転写率のばらつきが極めて少なく、バックライト装置に組み込んだときの輝度分布が問題ないことも確認した。さらに、賦型転写後の導光板を85℃のオーブン中で5時間放置し、その後のパターン保持性を同様に測定したところ、表面粗さの低下は2〜3%にとどまり、問題ないことを確認した。このように、所望の印刷に代わる反射層パターンが精度よく均一に転写されていた。
【0048】
スクリューの回転数を変化させることにより射出率を変化させた以外は、上と同様に操作し、得られた成形品の外観を観察して、ヒケ(体積収縮により窪んだ部分)の有無、ショート(樹脂が回りきらない部分)の有無、及びフローマーク(表面の流れ模様)の有無を判定した。良好だったものを○、少しでも不良が認められたものを×として、結果を表1に示した。
【0049】
【表1】
Figure 0003601463
【0050】
実施例2
実施例1と同じ装置及び樹脂材料を用い、以下の条件で実験を行った。すなわち、射出シリンダー内の樹脂温度は235℃に設定し、またスクリュー回転数は90rpm とした。金型内の流体通路に熱媒を通すことにより、表面温度計で測定されるキャビティー表面温度が125℃となるように設定した。固定型と可動型を閉じて、両者により形成されるキャビティー内にメチルメタクリレート樹脂を流動射出し、キャビティー内に樹脂が充満したところで樹脂圧力によりスクリューが約10mm後退し、後退完了と同時に保圧を加え、その時点で流体通路内の媒体を冷媒に切り換えて、保圧終了時に金型キャビティー表面温度が85℃となるように冷却した。その状態で30秒間保持した後保圧を解除し、冷媒への切り換えからおよそ60秒で成形品の表面温度が70℃に達したので、冷却工程を経て金型を開き、冷却された成形品を取り出した。その後再び、金型キャビティー表面温度が125℃となるように昇温を開始し、金型を閉じて次のサイクルに入った。
【0051】
得られた成形品5枚をサンプルとして、面内厚み分布をダイヤルゲージで測定したところ、厚みのフレは±0.07mm であった。また、以上の操作を繰り返して100枚の導光板を製造し、それぞれの外寸をノギスで測定して寸法安定性を評価したところ、外寸のフレは±0.16mm であった。この例では、実施例1に比べて寸法安定性がさらに改良されていることがわかる。また、得られた導光板の全光線透過率は92%であり、複屈折は4×10−6〜6×10−6の範囲にあった。また、実施例1と同様にパターン転写性の評価を行ったところ、金型キャビティーの表面粗さに比べて99〜100%の転写率が得られた。成形品表面の各部位における転写率のばらつきが極めて少なく、バックライト装置に組み込んだときの輝度分布が問題ないことも確認した。さらに、賦型転写後の導光板を85℃のオーブン中で5時間放置し、その後のパターン保持性を同様に測定したところ、表面粗さの低下は1〜2%にとどまり、問題ないことを確認した。このように、所望の印刷に代わる反射層パターンが精度よく均一に転写されていた。これにより、印刷コストが完全に省略できたことから、現在大型液晶ディスプレイのバックライト用大型導光板で使われているメタクリル樹脂板からの切出し品に比べ、導光板1個あたりの総合コストが安くできた。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、デスクトップ型パーソナルコンピュータや液晶テレビなど、対角寸法が14インチ以上の大型液晶ディスプレイに使用されるバックライト用大型導光板が、透明性や寸法安定性などに優れた状態で製造できる。また、金型のキャビティー面の少なくとも一方に、反射層又は出射側光拡散層に相当する凹凸模様を設け、これを樹脂成形品に賦型転写する構成としたので、印刷工程を省略でき、生産サイクルを短縮できることから、総合製造コストにも優れたものとなる。このような効果は、金型キャビティーの表面温度が樹脂材料のガラス転移温度以上の状態でキャビティー内に樹脂材料を充填し、充填後はキャビティー表面の温度を樹脂材料のガラス転移温度以下に低下させてキャビティー内に充填された樹脂材料の温度調節を行う方法、例えば、金型内部のキャビティー面近傍に流体通路を設け、そこに熱媒と冷媒を交互に通過させるいわゆる熱媒/冷媒交換による金型温度調節法を組み合わせることにより、一層顕著なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶ディスプレイと導光板の配置を示す概略断面図であって、(a)は、くさび形状の導光板を用いた例、(b)は、シート状の導光板を用いた例である。
【図2】本発明で用いるのに適した成形装置の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明によって得られる型はずし直後の導光板成形品の一例を模式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
1……液晶ディスプレイ、
2、3……導光板、
7……光源、
10……射出装置、
11……射出シリンダー、
12……スクリュー、
13……モーター、
14……ホッパー、
15……加熱ヒーター、
20……金型、
21……固定型、
22……可動型、
26……キャビティー、
28……パターン転写用入駒、
29……熱媒及び冷媒のための流体通路、
30……導光板成形品、
31……スプルー、
32……ゲート、
33……パターン付き導光板本体。

Claims (13)

  1. 少なくとも一方のキャビティー面に凹凸模様が付された、対角寸法14インチ(355mm)以上の液晶ディスプレイ用導光板を形成するための金型を用い、該金型のキャビティーを射出装置のシリンダーに連通し、該シリンダー内に透明樹脂材料を供給して溶融させ、その溶融樹脂をシリンダーから金型キャビティーに向けて射出し、その際、溶融樹脂の粘度が50〜5,000Pa・sec の範囲にあるときに金型の入り口を通過させ、かつ1〜15cm/secの範囲の射出率で該溶融樹脂を金型キャビティーに充填して、少なくとも一方の面に前記金型の凹凸模様に基づくパターンが賦型された導光板に成形することを特徴とする、大型導光板の製造方法。
  2. 射出率が4〜11cm/secの範囲である請求項1記載の方法。
  3. 少なくとも一方のキャビティー面に凹凸模様が付された、対角寸法14インチ(355mm)以上の液晶ディスプレイ用導光板を形成するための金型を用い、該金型のキャビティーを射出装置のシリンダーに連通し、該シリンダー内に透明樹脂材料を供給して溶融させ、シリンダー内に配置されたスクリューを回転させながら溶融樹脂を前記金型キャビティーに連続的に流入させて、少なくとも一方の面に前記金型の凹凸模様に基づくパターンが賦型された導光板に成形することを特徴とする、大型導光板の製造方法。
  4. フローモールド成形法により行われる請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 透明樹脂材料がメタクリル樹脂である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 該パターンが反射層パターンである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 該パターンが出射側の光拡散層パターンである請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  8. 両方のキャビティー面に凹凸模様が付された金型を用い、反射層パターンと出射側光拡散層パターンを同時に賦型する請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  9. キャビティー面の少なくとも一方が入駒板によって形成される請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 入駒板が、金型を構成する金属よりも熱伝導率の高い金属で構成される請求項9記載の方法。
  11. 入駒板がベリリウム銅で構成される請求項9記載の方法。
  12. 金型キャビティー表面の温度が樹脂材料のガラス転移温度以上の状態でキャビティー内に該樹脂材料を流入させて充填し、充填後はキャビティー表面の温度を該樹脂材料のガラス転移温度以下に低下させることにより、キャビティー内に充填された該樹脂材料の温度調節を行う請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 金型内部のキャビティー面近傍に流体通路を設け、そこに熱媒と冷媒を交互に通すことにより、キャビティー内に充填された透明樹脂材料の温度調節を行う請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
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