JP2006341512A - 導光板の射出成形方法および金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高速射出によって反りや変形がなく、表面に形成された微細凹凸パターンを良好に転写した大画面用の薄肉導光板を製造することができる導光板の射出成形方法を提供する。
【解決手段】 厚さ1mm以下、対角寸法8インチ以上の導光板を射出成形する際、型締機の最大型締力をF(kN)とし、射出シリンダ内径をD(mm)とするとき、
F/D≧78 (但し、1500<F≦4000)
F/D≧100 (但し、4000<F≦10000)
の条件を満たす型締機と射出シリンダを用いる。
【選択図】図1
【解決手段】 厚さ1mm以下、対角寸法8インチ以上の導光板を射出成形する際、型締機の最大型締力をF(kN)とし、射出シリンダ内径をD(mm)とするとき、
F/D≧78 (但し、1500<F≦4000)
F/D≧100 (但し、4000<F≦10000)
の条件を満たす型締機と射出シリンダを用いる。
【選択図】図1
Description
本発明は、液晶表示装置のバックライト等に用いられる導光板の射出成形方法およびこの射出成形方法に用いられる金型に関する。
一般に、導光板は、バックライトとして液晶表示パネルの背面に配置され、一端辺に配置した冷陰極放電管やLEDから発せられた光を、他端辺に向けて導きつつ裏面全体に設けた微細凹凸パターンによって表面側へ反射させ、液晶パネルを背面から均一に照射する。そのため、導光板は、輝度ムラが少なく、色温度が高いことが必要で、ポリメチルメタクリレート(PMMA)やポリカーボネート(PC)などの透明な熱可塑性樹脂を材料として、射出成形によって作られている。
さて、近年の液晶表示装置の大画面化に伴い、導光板についても、更なる薄肉化および大型化ならびに微細凹凸パターンの転写精度の向上が要求されている。これらの要求に応じるには、金型内のキャビティに射出する溶融樹脂材料の充填圧を高める必要があり、そうすると、導光板のゲート部付近に過大な応力集中が生じ、その結果、成形品に反り、変形、輝度ムラなどの性能低下が発生する可能性が高くなる。
特に、PMMAは、射出成形時の溶融粘度が高く、流動性が劣るため、例えば厚さ1mm、対角寸法10インチといった薄肉大面積のキャビティに充填するのが難しく、流動性を高めるために樹脂温度を上げると、シリンダ内で樹脂が熱分解して劣化し、成形品の透明性が低下する虞がある。また、PCは、熱分解温度はPMMAよりも高いが、充填に十分な流動性を得るには成形温度を高めなければならず、そうすると、吸湿の影響により樹脂がシリンダ内で加水分解するおそれがあり、また、黄変が発生して同様に成形品の透明性が低下するおそれがある。
近年、1mm以下の薄肉製品を射出成形する方法として、スクリューの射出速度を1000mm/s程度として溶融樹脂を高速に射出するものが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。
このような高速射出成形方法は、充填過程の樹脂が金型面から冷却されるのを抑制するとともに、成形機のノズルからランナおよびゲートを経る流動過程でのせん断発熱や断熱圧縮によって樹脂を急速に昇温させ、溶融樹脂粘度を低下させて、充填圧力をキャビティ末端まで均一に作用させることにより、金型内面の微細な凹凸パターンを精度良く転写させることができ、薄肉成形品の品質を改善する効果があると言われている。
一方、高速射出成形においては、ランナおよびゲートを経てキャビティ内での高速流動時の圧力損失は極めて大きく、この負荷を十分に超える射出力が必要であり、さらに設定速度に到達する時間(応答性)は短くなければならない。薄肉成形品の事例として文献に記載の射出成形方法は、射出成形時の溶融粘度が低く射出速度の追従性が良好な液晶ポリマー(LCP)に適用したものである(例えば、非特許文献2参照。)。したがって、PMMAやPCに適用した場合、溶融粘度が高いため、より射出速度の応答性が重要な問題となる。すなわち、厚さ1mm以下、対角寸法10インチ以上の薄肉大面積の導光板では、充填時間が0.5s以下と短く、射出速度の応答性が悪いと加速過程で目標とする有効速度位置に到達せず、導光板に不均一な応力が生じ、その結果、導光板の反り、変形、輝度ムラなどの性能低下が発生しやすい。さらに、この導光板では投影面積が大きく、薄肉であるため、型締力が不足しやすく、導光板のバリ、肉厚不均一などの問題が発生する。
「超高速射出成形編テキスト」(財)神奈川科学技術アカデミー教育講座 射出成形現象工学コース、2004年11月作成、p.1-13 廣恵章利 編集「最新の射出成形技術」三光出版社、2002年6月28日発行、p.1-3,p.48-54
「超高速射出成形編テキスト」(財)神奈川科学技術アカデミー教育講座 射出成形現象工学コース、2004年11月作成、p.1-13 廣恵章利 編集「最新の射出成形技術」三光出版社、2002年6月28日発行、p.1-3,p.48-54
そこで、本発明の目的は、高速射出によって反りや変形がなく、表面に形成された微細凹凸パターンを良好に転写した大画面用の薄肉導光板を製造することができる導光板の射出成形方法およびこの方法に用いる金型を提供することにある。
上記目的を達成すべく、発明者らは、成形品が薄肉になるほど、充填時の摩擦力が増加し、大きな射出圧力を要して、金型の型締力Fが増加すること、および適正な射出圧力と射出速度の応答性(制御性)を得るには適切な射出シリンダ径Dがあることに着目し、薄肉大面積成形品用の射出成形機の射出能力を示す新たなパラメータF/Dを定義し、このパラメータF/D、射出速度等を種々変化させて、射出成形を行い、成形品の反り、変形、微細パターン転写性について鋭意実験、研究を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、射出ユニットのヒータをもつシリンダ内に延在するスクリューを回転駆動および前進駆動することによって、溶融・混練させた樹脂材料をノズルから、型締ユニットの型締機で締め付けられた金型内のキャビティに射出させ、平均厚さ1mm以下、かつ、対角寸法8インチ以上の導光板を射出成形する方法であって、上記型締ユニットの型締機の最大型締力をF(kN)とし、上記射出ユニットのシリンダ内径をD(mm)とするとき、
F/D≧78 (但し、1500<F≦4000)
F/D≧100 (但し、4000<F≦10000)
の条件を満たす型締機とシリンダを用いることを特徴とする。
F/D≧78 (但し、1500<F≦4000)
F/D≧100 (但し、4000<F≦10000)
の条件を満たす型締機とシリンダを用いることを特徴とする。
射出成形される導光板の平均厚さが1mm以下、対角寸法が8インチ以上であるので、この射出成形は、薄肉大面積の射出に該当し、従って、射出に伴う摩擦力の増加により大きな射出圧力を要するので、適切な内径Dのシリンダと射出圧力に抗して金型を密閉する大きな型締力Fが必要になる。なお、シリンダ内径Dが大きいほど大きな射出圧力が得られるが、射出シリンダの断面積πD2/4とスクリューのストロークSの積である射出容量は、導光板の体積に対応して一定であるから、シリンダ内径Dを大きくし過ぎると、ストロークSが短くなって、高速射出における射出速度の制御性および応答性が悪化する一方、ストロークSを大きくし過ぎると、射出速度の制御性や応答性は向上しても、十分な射出圧力が確保できず、いずれの場合も良好な導光板が得られない。
型締ユニットの型締力Fは、導光板の投影面積すなわち導光板の対角寸法Lの関数であり、さらに厚さtが薄くなると溶融樹脂の流動抵抗が大きくなることから、厚さが薄くなり、対角寸法が長くなるほど大きくなる。したがって、厚さtをパラメータにし、型締力F、対角寸法Lを夫々縦軸,横軸に取った第1のグラフが得られる(図2参照)。1ショットの樹脂重量(キャビティ体積に相当)と射出ユニットの射出容量(πSD2/4)には比例関係があり、射出容量,樹脂重量を夫々縦軸,横軸に取ると、適正域の縦幅が漸増する右上がりの直線状の第2のグラフが得られる(図3参照)。市販の射出ユニットの射出容量(πSD2/4)とシリンダ内径Dには概ね比例関係があり、射出容量,シリンダ内径を夫々縦軸,横軸に取ると、適正域の縦幅が漸増する右上がりの曲線状の第3のグラフが得られる(図4参照)。そこで、第1のグラフで、導光板の厚さt,対角寸法Lに対応する型締力Fを選び、第2,第3のグラフで導光板の1ショット重量に対応する射出容量,その射出容量に対応するシリンダ内径Dを夫々選んで、選んだシリンダ内径Dの射出ユニットにより型締力Fで射出成形を行い、成形された導光板の反りと変形を測定し、パターン転写性の良否を目視評価して導光板の良否を判定し、型締力F,シリンダ内径Dを夫々縦軸,横軸に取ったグラフ上に良否の判定結果をプロットし、F/Dをパラメータにして良好な領域を確定する(図5,図7参照)。このようにして、本発明の不等号条件式が得られた。なお、市販の射出成形機の一般的傾向として、型締力が4000kNを超えるとシリンダ内径Dが小径でも良好な成形品が得られたので、不等号条件式が2つに分かれている(図9参照)。
以上のように、本発明の不等号条件式は、実際の射出成形の結果から演繹されたものであるので、この不等号条件式を満たす型締機とシリンダを用いれば、反りや変形がなく、微細凹凸パターンを良好に転写した大画面用の薄肉導光板を製造することができる。
請求項2の導光板の射出成形方法は、上記射出容量が49cm3以上、最大射出速度が500mm/s以上であることを特徴とする。
請求項2の射出容量と最大射出速度は、現在要求されている例えば厚さ0.65mm,対角寸法10.6インチ(ワイド型)の導光板などについて、本発明の実験において良好な成形品が得られた条件である。つまり、本発明は高速射出方法であるので、500mm/s以上のスクリュー前進速度を要し、また適用可能な射出シリンダの最小容量が49cm3である。従って、微細凹凸パターンが良好に転写された反りや変形のない大画面用の薄肉導光板を製造することができる。
請求項3の導光板の射出成形方法に用いられる金型は、上記導光板の出射面およびその対向面の少なくとも一方に対応する内面に、粗面形成のためのパターンが設けられていることを特徴とする。
上記金型を装着した本発明の型締ユニットの型締機と射出ユニットの射出シリンダを用いて射出成形を行えば、金型内面のパターンが成形品の表面に良好に転写された反りや変形のない大画面用の薄肉導光板を製造することができ、この導光板は、液晶表示装置の輝度ムラのないバックライト等に好適に用いることができる。
本発明の請求項1に係る導光板の射出成形方法は、平均厚さ1mm以下、対角寸法8インチ以上の所謂薄肉大面積の導光板を射出成形する射出成形機について、その射出能力を表すパラメータとして型締力Fを射出シリンダ内径Dで除した値F/Dを新たに定義し、既存の射出成形機が用いなかったパラメータ範囲であるF/D≧78(但し、1500<F≦4000)およびF/D≧100(但し、4000<F≦10000)において良好な品質の導光板が得られることを実験的に突き止め、斯かる型締機と射出シリンダを用いて導光板を射出形成するので、反りや変形がなく、金型内面の微細パターンを良好に転写した高品質の導光板を得ることができる。
請求項2に係る導光板の製造方法は、射出ユニットの射出容量が49cm3以上、最大射出速度が500mm/sec以上であるので、平均厚さ1mm以下、対角寸法8インチ以上の導光板の製造に必要だと実験的に確かめられた最小射出容量以上の射出容量の射出シリンダを用いて、下限最大射出速度以上の最大射出速度で溶融樹脂を金型のキャビティに充填するので、高品質の導光板を確実に得ることができる。
請求項3の金型は、導光板の出射面およびその対向面の少なくとも一方に対応する上記金型の内面に、粗面形成のためのパターンが設けられているので、この金型を装着した本発明の型締ユニットの型締機と射出ユニットの射出シリンダを用いて射出成形を行えば、金型内面の微細凹凸パターンが成形品の表面に良好に転写された反りや変形のない薄肉大面積の導光板を製造することができる。
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。図1は、本発明の導光板の射出成形方法に用いられる射出成形機の一例を示している。この射出成形機は、型締ユニット1と射出ユニット2からなる。型締ユニット1は、固定金型9aを固定した固定盤3と、固定盤3の四隅に横設したタイバー4の先端に固定した型締盤5と、型締盤5の型締シリンダ6によって拡縮するトグル機構7と、トグル機構7に連結され,四隅に挿通したタイバー4に案内されて固定盤3に向けて進退駆動されるとともに,固定した可動金型9bを固定金型9aに押し付けて型締めする可動盤8と、後退駆動された可動盤8の可動金型9bに嵌った成形品を押し出して分離するエジェクタ機構10で構成される。一方、射出ユニット2は、固定金型9aの注入穴にノズル11aが接離するように駆動され,外周にヒータ12を有する内径がDの射出シリンダ11と、射出シリンダ11内に延在し,モータ14によって回転駆動されるとともに油圧シリンダ15によって進退駆動され,ホッパ16内の粒状樹脂材料を加熱・溶融して,逆流防止弁17を経て前部に計量・貯留し,ノズル11aから金型9内のキャビティへ射出するスクリュー13で構成される。
上記射出成形機は、型締シリンダ6によってトグル機構7,可動盤8を介して可動金型9bが固定盤3の固定金型9aに押し付けられる最大型締力Fと射出シリンダ11の内径Dとの比F/Dが、従来の射出成形機のF/Dと異なっている。
図2〜図4は、薄肉大面積の導光板の製造に必要な射出成形機の射出能力を示す新たなパラメータF/Dを導き出す過程を順に説明する概念図である。
図2〜図4は、薄肉大面積の導光板の製造に必要な射出成形機の射出能力を示す新たなパラメータF/Dを導き出す過程を順に説明する概念図である。
図2は、成形品である導光板の対角寸法L(図8(A)参照)と、その成形時に要する金型の型締力Fおよび導光板重量Wの関係を、対角寸法Lを横軸に、型締力F,導光板重量Wを左側,右側の縦軸に夫々取り、導光板厚さtが1mm,2mmの場合について示している。曲線F1,F2は、夫々厚さtが1mm,2mmの場合の対角寸法Lと必要な型締力Fの関係を示しており、厚さtが小さくなるほど、また、対角寸法Lが大きくなるほど、射出に伴う摩擦力が増加して、キャビティの末端まで溶融樹脂を充填するのにより大きな射出圧力を要するため、射出圧力とキャビティの投影面積の積である型締力Fが増加している。また、曲線W1,W2は、夫々厚さtが1mm,2mmの場合の対角寸法Lと成形品重量Wの関係を示しており、成形品重量は対角寸法Lと厚さtの積に比例するから、成形品重量Wは、厚さtおよび対角寸法Lの増加とともに増加している。本発明は、平均厚さ1mm以下、対角寸法8インチ以上の導光板を対象とするので、型締力Fは曲線F1より上側、成形品重量Wは曲線W1より下側でいずれもL=8を通る縦破線より右側の領域に限られる。
図3は、射出1ショットの樹脂重量と射出ユニットの射出容量(πρSD2/4;ρ:樹脂の比重,S:スクリューストローク)の一般的関係を示しており、1ショット重量に対する適正な射出容量は、図中で斜線を施した成形良好の領域であり、この領域の上側,下側は、夫々容量過大,容量不足の領域であるから、1ショットの重量に対して斜線領域の射出容量を満たす射出ユニットを選ぶ必要がある。
図4は、既存の射出ユニットについて、射出容量(πρSD2/4)と射出シリンダ内径Dを夫々縦軸と横軸に取ってプロットしたもので、射出容量は射出シリンダ内径に概ね比例し、射出シリンダ内径が大きくなるほど射出容量のばらつき幅が大きくなっている。
図5は、厚さ0.65mm、対角寸法10.6インチ(縦横比が9:16のワイド型)、1ショット重量65g(成形品重量29g)の導光板の射出成形に用いることができる射出ユニットの射出シリンダの内径DとスクリューストロークSおよび型締ユニットの型締シリンダによる型締力Fの関係を示している。導光板の厚さが0.65mm、対角寸法が10.6インチなので、図2の曲線W1よりも緩勾配の厚さ0.65mmに相当する曲線(図示せず)と横軸の10.6を通る縦線の交点が成形品重量Wである29gとなり、曲線F1より急勾配の厚さ0.65mmに相当する曲線(図示せず)と横軸の10.6を通る縦線の交点より上が必要な型締力Fになるので、そのような型締力Fをもつ型締ユニットを選択する。一方、1ショット重量65gの射出成形に必要な射出ユニットの射出容量は、図3から横軸の65を通る縦線の斜線領域(成形良好領域)に含まれる部分であるから、そのような射出容量をもつ射出ユニットを選択し、選択した射出容量に対応する内径Dの射出シリンダを図4から選択する。そして、選択した内径Dの射出シリンダ11を備えた射出ユニット2により、型締ユニット1の型締シリンダ6にて型締力Fで型締めした金型9のキャビティに溶融樹脂材料を充填して、導光板を射出成形した。そして、後述するように、成形された導光板の反りと変形を測定し、金型の内面に設けられたプリズム状パターンの導光板への転写性の良否を目視評価して品質の良否を判定し、選択した型締力Fと射出シリンダ内径Dが適正であったか否かを決定した。
本発明は、薄肉大面積の導光板を射出成形するため、既に述べたように高速射出成形を行っている。図6は、高速射出成形における射出速度の時間経過を示しており、縦軸に成形時に実測したスクリュー13の前進速度(mm/s)を、横軸に射出開始からの経過時間(s)をプロットしている。時刻t0で射出が始まり、時刻t1で設定最大射出速度V1に達し、時刻t2の直後に射出が終了する。最大設定射出速度V1を200〜500mm/sの範囲で、時間(t2−t0)を0.3〜0.6sの範囲で射出成形を行い、成形された導光板について同様に品質の良否を判定した。その結果、良好な導光板を得るには、500mm/s以上の最大設定射出速度V1が必要であり、かつ最大設定射出速度V1に達するまでの時間(t1−t0)は50ms以下であった。これは、図7で後述するように、射出成形試験で良好な導光板が得られた最大設定射出速度が、500mm/s以上であったことによる。また、このときの1ショットの射出時間(t2-t0)が0.3〜0.5sであり、最大設定射出速度V1に達するまでの時間(t1−t0)が50ms以下であったため、最大設定射出速度V1の持続時間(t2−t1)が有効に確保でき、キャビティへの十分な充填が可能となったためである。この(t1−t0)は、射出時間の略1/10以下が必要である。
図7は、以上の導光板の射出成形試験における諸条件を二重線の左側に、成形品である導光板の品質判定結果を二重線の右側に夫々示した表である。品質判定のうち、反り量は、導光板を図8(A)の平面図に示すように定盤上に置いた際、図8(B),(C)に示す断面における最大高さEを金尺(1mm以上)または隙間ゲージ(1mm未満)で測定し、最大最小厚み差は、導光板の4隅および各辺の中央部の8点をノギスで測定して求めた。また、転写性は、金型内面から導光板の裏面に転写されたパターン、つまり導光板の長辺に平行な断面において底辺0.05mm,高さ0.025mmの直角二等辺三角形が横方向に並んで、導光板の短辺方向に延在するプリズム状パターンを500倍の顕微鏡で観察し、プリズム頂点部の稜線幅を目視評価して良(○),否(×)を判定した。品質判定結果が総て良好な実施例1,2が表の上2行であり、品質判定結果のいずれかが悪い比較例1〜3が表の下3行である。導光板の樹脂材料にはPMMAを用い、試験条件のうち導光板の厚さtは0.65mm、射出シリンダ温度は260℃、金型温度は80℃で夫々一定であった。
図5中の右下がりの曲線は、対角寸法Lが10.6インチ(ワイド型),厚さtが0.65mmの導光板の成形に用いる射出シリンダの内径DとスクリューストロークSの関係を示しており、導光板の体積,つまり1ショットの射出容量(πρSD2/4)が一定であるので、上記曲線はS=C/D2(C:定数)の数式で表せる。図5中の右上がりの3つの曲線は、F/Dが一定値88,78,60となる点を、Fを右縦軸に, Dを横軸にプロットして連ねたものである。
図7の実施例1,2および比較例1〜3の試験条件のうち左端から第1,2,4列の型締力F,射出シリンダ内径D,射出ストロークSを、Dを横軸に,Fを右縦軸にプロットして図5中に白抜き右向き三角P1〜P5で示し、Sを左縦軸にプロットして図5中に黒塗り左向き三角P1〜P5で示している。但し、白抜き右向き三角P2および白抜き右向き三角P5については右縦軸の最大目盛りを超えるので図示していない。図7から明らかなように、導光板の厚さと対角寸法が同じ黒塗り左向き三角P1,P3〜P5は、射出容量が同じになるので、上記曲線S=C/D2の上に略乗っている。一方、射出シリンダ内径Dと型締力Fに着目すると、良好な導光板が得られた実施例1,2は、白抜き右向き三角P1で示されるように、F/D=78の曲線より上の領域に入り、良好な導光板が得られなかった比較例3,4は、白抜き右向き三角P3,P4で示されるように、F/D=78の曲線より下の領域に入っている。
従って、本発明の対象である平均厚さ1mm以下、対角寸法8インチ以上の導光板を、透明性を損なわず、反りや変形を生じることなく、微細パターンの転写性を確保して製造するためには、射出能力を表す新たなパラメータF(kN)/D(mm)が78以上であることが必要と結論できる。
図7の実施例1,2および比較例1〜3の試験条件のうち左端から第1,2,4列の型締力F,射出シリンダ内径D,射出ストロークSを、Dを横軸に,Fを右縦軸にプロットして図5中に白抜き右向き三角P1〜P5で示し、Sを左縦軸にプロットして図5中に黒塗り左向き三角P1〜P5で示している。但し、白抜き右向き三角P2および白抜き右向き三角P5については右縦軸の最大目盛りを超えるので図示していない。図7から明らかなように、導光板の厚さと対角寸法が同じ黒塗り左向き三角P1,P3〜P5は、射出容量が同じになるので、上記曲線S=C/D2の上に略乗っている。一方、射出シリンダ内径Dと型締力Fに着目すると、良好な導光板が得られた実施例1,2は、白抜き右向き三角P1で示されるように、F/D=78の曲線より上の領域に入り、良好な導光板が得られなかった比較例3,4は、白抜き右向き三角P3,P4で示されるように、F/D=78の曲線より下の領域に入っている。
従って、本発明の対象である平均厚さ1mm以下、対角寸法8インチ以上の導光板を、透明性を損なわず、反りや変形を生じることなく、微細パターンの転写性を確保して製造するためには、射出能力を表す新たなパラメータF(kN)/D(mm)が78以上であることが必要と結論できる。
図9は、射出成形に同時に用いられる既存の射出シリンダの内径Dと金型の型締力Fを、夫々縦軸と横軸に取ってプロットした図である。図5で述べた型締力Fが4000以下の範囲において、既存の射出成形では、図9から明らかなように、プロットされた点がF/D≦78の領域にあるのに対して、本発明では直前に述べたように、F/D≧78の領域に入る射出シリンダと型締力を用いるのである。一方、型締力Fが4000を超える範囲においては、プロットされた点の下限直線がF/D=100に変化している。このことから、本発明の射出成形において、型締力Fが4000を超える範囲では、F/D≧100の領域に入る射出シリンダと型締力を用いれば良いと考えられる。
本発明は、液晶表示装置のバックライト等に用いられる薄肉大面積の導光板の製造に用いられる。
1 型締ユニット
2 射出ユニット
3 固定盤
4 タイバー
5 型締盤
6 型締シリンダ
7 トグル機構
8 可動盤
9a 固定金型
9b 可動金型
10 イジェクタ機構
11 射出シリンダ
12 ヒータ
13 スクリュー
14 モータ
15 油圧シリンダ
16 ホッパ
2 射出ユニット
3 固定盤
4 タイバー
5 型締盤
6 型締シリンダ
7 トグル機構
8 可動盤
9a 固定金型
9b 可動金型
10 イジェクタ機構
11 射出シリンダ
12 ヒータ
13 スクリュー
14 モータ
15 油圧シリンダ
16 ホッパ
Claims (3)
- 射出ユニットのヒータをもつシリンダ内に延在するスクリューを回転駆動および前進駆動することによって、溶融・混練させた樹脂材料をノズルから、型締ユニットの型締機で締め付けられた金型内のキャビティに射出させ、平均厚さ1mm以下、かつ、対角寸法8インチ以上の導光板を射出成形する方法であって、
上記型締ユニットの型締機の最大型締力をF(kN)とし、上記射出ユニットのシリンダ内径をD(mm)とするとき、下記の条件を満たす型締機とシリンダを用いることを特徴とする導光板の射出形成方法。
F/D≧78 (但し、1500<F≦4000)
F/D≧100 (但し、4000<F≦10000) - 請求項1に記載の導光板の射出成形方法において、上記射出ユニットは、射出容量が49cm3以上、最大射出速度が500mm/sec以上であることを特徴とする導光板の射出成形方法。
- 請求項1または2に記載の導光板の射出成形方法に用いる金型であって、
上記導光板の出射面およびその対向面の少なくとも一方に対応する上記金型の内面に、粗面形成のためのパターンが設けられていることを特徴とする金型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005169782A JP2006341512A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | 導光板の射出成形方法および金型 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005169782A JP2006341512A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | 導光板の射出成形方法および金型 |
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JP2006341512A true JP2006341512A (ja) | 2006-12-21 |
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JP2005169782A Pending JP2006341512A (ja) | 2005-06-09 | 2005-06-09 | 導光板の射出成形方法および金型 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2006341512A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112848113A (zh) * | 2021-01-07 | 2021-05-28 | 东莞市元立电子科技有限公司 | 一种导光板油缸压缩模具 |
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2005
- 2005-06-09 JP JP2005169782A patent/JP2006341512A/ja active Pending
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