JP2003191280A - 射出成形品、その射出成形方法及び射出成形機 - Google Patents

射出成形品、その射出成形方法及び射出成形機

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JP2003191280A
JP2003191280A JP2001391099A JP2001391099A JP2003191280A JP 2003191280 A JP2003191280 A JP 2003191280A JP 2001391099 A JP2001391099 A JP 2001391099A JP 2001391099 A JP2001391099 A JP 2001391099A JP 2003191280 A JP2003191280 A JP 2003191280A
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thermoplastic resin
heating cylinder
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Atsushi Yusa
敦 遊佐
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写性及び量産性に優れた射出成形品を提供
する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる射出成形品におい
て、表面スキン層は低分子量の熱可塑性樹脂材料から形
成され、内部コア層は高分子量の熱可塑性樹脂材料から
形成され、前記低分子量熱可塑性樹脂材料の重量平均分
子量Mと前記高分子量熱可塑性樹脂材料の重量平均分
子量Mとの差{(M−M)/M}が15%以上
であり、前記内部コア層が前記表面スキン層により完全
に被包されている。表面スキン層の合計厚さが成形品全
体厚さの5%〜30%の範囲内であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は射出成形品及びその
製造方法に関する。更に詳細には、本発明は分子量の異
なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなるサンドイッチ状
射出成形品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年における高度情報化社会の要となる
光ディスク、光ファイバー等の光通信部品、液晶ディス
プレイ(LCD)、各種レンズなどのオプトエレクトロ
ニクス技術を支える根幹材料として、光を通す透明材料
がますます重要になり、その透明材料として無機ガラス
が透明樹脂に多くの分野で置き換わろうとしている。
【0003】透明樹脂材料の加工方法として代表的な熱
可塑性樹脂を用いた射出成形方法は例えば光ディスク基
板のプリグルーブやプリピットなどサブミクロンオーダ
ーの微細な凹凸を転写して大量生産できることから広く
採用されている。
【0004】光ディスク用基板の熱可塑性樹脂としては
現在ビスフェノールAをモノマーとするポリカーボネー
トが主流となっているが流動性を改善するために一般グ
レードよりも分子量が低く制御されている。重量平均分
子量は15000程度であり通常成形品よりも7000
〜8000小さくすることで転写性や光学特性の向上が
図られているが、これ以上分子量を極端に小さくするこ
とは耐熱性や耐衝撃性の観点から困難である。よって、
今後情報の大容量化に伴う狭トラックピッチ化等により
転写性に限界が生じる恐れがある。
【0005】光ディスク以外でも今後MEMS(Mic
ro Electro Mechanichal Sy
stem)分野等におけるマイクロモールディングの技
術向上のためにも、射出成形の微細転写は重要な課題で
ある。
【0006】上述のように従来の熱可塑性樹脂において
は溶融粘度を低下させ転写性を向上させるために分子量
を低くするのに限界があった。本発明者は表面層である
スキン層のみ意図的に低分子量の材料を配向させること
ができれば転写性の向上が図れると同時に製品内部のコ
ア層をスキン層よりも高分子量の樹脂が支配的に形成し
ていれば機械特性等の悪影響も発生しないと予想した。
そして従来の成形機を用いて下記の検討を行ったが、各
層を精密に制御することは困難であることがわかった。
【0007】従来における射出成形機としては射出装置
の構造の違いによりインラインスクリュー式とプリプラ
式射出成形機に大別される。例えば特開平6−3359
4号公報に記載されているように、インライン式射出成
形機は、加熱シリンダー内でスクリューの回転によりス
クリュー後部の供給ホッパーより投入した樹脂を剪断発
熱させながらスクリュー先端部に溶融樹脂を溜める可塑
化計量工程と、計量時に後退したスクリューを前進させ
る充填工程を同一スクリューで行うものであり、一般的
な光ディスク基板の製造方法に広く採用されている。ま
た、プリプラ式射出成形機は例えば図15に示すような
ものが提案されている。
【0008】図15に示すように、熱可塑性樹脂の可塑
化装置と射出充填装置を分けたものであり、加熱シリン
ダー20後部の供給ホッパー25より供給路26を経て
投入された樹脂はスクリュー10が回転することで可塑
化計量され供給路22を通過し加熱充填シリンダー21
内の充填プランジャー23の前方に滞留される。その
後、充填プランジャー23が前進することで溶融樹脂が
金型のスプール18ゲート19を経てキャビティ17内
に充填される。充填プランジャー23はシリンダ12に
より進退駆動される。キャビティ17は図示しない固定
プラテンに固定された固定金型15と図示しない型締め
シリンダーに直結された可動プラテンに固定され型締め
方向に移動可能な可動金型16が閉塞されることにより
形成される。
【0009】上記のような従来の成形機を用い分子量が
異なる2種類の樹脂材料を製品の厚み方向に分布させる
下記のような試験を行った。例えば図15のプリプラ式
成形機においては供給ホッパー25を図16のような機
構に改造した。図16で二つの供給ホッパー25それぞ
れと供給路26の間には樹脂通過孔29の開けられた駒
27が回転可能に設けられている。該駒27は電磁弁2
8に接続されており半回転することで、樹脂通過孔29
がそれぞれの供給ホッパー25下の樹脂投入路30と供
給路26を接続する位置に移動する。可塑化時には、ま
ず片方の供給ホッパー25より低分子量の樹脂を任意の
量供給する。樹脂の供給量が目標に達したとき電磁弁2
8の駆動に連動させて駒27および樹脂通過孔29を移
動させ、もう片一方の供給ホッパー25より高分子量の
樹脂を供給した後、再度電磁弁28を動かすことで低分
子量の樹脂を供給し連続可塑化計量した。これにより低
分子量、高分子量、低分子量の順でインラインスクリュ
ーもしくは充填プランジャー23の前方に溶融樹脂を可
塑化計量した。
【0010】この後、射出してコールドランナーの製品
を得た。射出充填時には図17に示すように、金型壁面
31を流れる溶融樹脂32のメルトフロントが図中矢印
で示した方向に噴水効果と呼ばれる現象で金型壁面31
に次々にひき込まれていくことが知られている。よって
最初に充填された樹脂は概ね金型壁面にスキン層を形成
していくので、前記成形方法においてはスキン層では低
分子量の樹脂が支配的になる。例えば、射出成形品の中
心部であるコア層を高分子量の樹脂材料が、スプール1
8やキャビテイ17とスプール18を接続するゲート1
9などの部分においては低分子量の樹脂材料が支配的に
形成するようになる。該方法においてはスキン層に低分
子量の樹脂が配向することで目的通り転写性の大きな向
上が認められた。そしてスプールやゲート近傍に低分子
量の樹脂が支配的に配向することで内周部の冷却速度が
速くなり製品の冷却時間および成形サイクルが短くなる
という利点も確認された。しかし、安定して製造するた
めには下記のような問題が発生することが判明した。
【0011】まず分子量の異なる材料をひとつの可塑化
シリンダー内のスクリューで行うため可塑化時における
温度等の条件が両立できないという問題がある。分子量
の低い樹脂に対し高い樹脂はガラス転移温度Tgが高い
ので樹脂温度を高くすることやスクリューの回転数を高
くすることが望ましいがそれが困難であるため両方の樹
脂を最適な条件で可塑化できず高分子量の樹脂が可塑化
不足になるという問題が発生した。また微量な計量制御
が困難であるという問題も表面化した。計量制御という
観点からはプリプラ式成形機の方が優れる。可塑化スク
リューと独立した充填プランジャー23を小径化するこ
とができるし、インラインスクリュー方式のように逆流
防止弁を必要としないため該逆流防止弁の動作不安定に
よる悪影響を受けないなどが理由と考えられる。しか
し、本方法では樹脂の切り替えを供給ホッパーからの樹
脂量で制御するため、微細な量をコントロールできず各
樹脂の配分が安定しないことがわかった。転写に多大な
影響を及ぼすスキン層を形成するための分子量が小さい
樹脂の量は全体の体積からすると例えば1/5〜1/1
0程度で十分であるため、製品が小さくなると充填量が
ごくわずかとなり計量ばらつきが顕著となった。各樹脂
の充填量がばらつくと連続成形した際に、スキン層を形
成する樹脂に高分子量の樹脂が混在することなどにより
特性安定性に欠けるという問題が発生した。
【0012】また2種類の樹脂を個別に充填させること
のできる従来の2色成形機を用いて同様に分子量配向の
検討を行ったがこれについても満足する結果が得られな
かった。従来の2色成形機の機構について図18を用い
て説明する。分子量の異なる樹脂9a、9bはそれぞれ
加熱シリンダー20a、20b内に図示しない供給ホッ
パーより供給された後、各スクリュー10a,10bが
回転することにより可塑化計量される。各スクリューに
よる計量方法はインラインスクリューと同じであり、ス
クリュー10a、10bの前方(図18中左方向)に溶
融樹脂が押し出されることにより発生する樹脂内圧や背
圧によりスクリューは後退する。スクリューが停止する
計量完了時には各スクリュー10a,10bに配置され
た逆止リング36a,36bが溶融樹脂の内圧によって
図中右方向に移動することで、スクリュー前方に計量さ
れた樹脂がシールされる。
【0013】二番目に充填される第二の樹脂9bが可塑
化溶融されるシリンダー20bの先端にはニードル開閉
方式に構成した内筒ノズル11bが装着されており、該
内筒ノズル11bと外筒ノズル11aの間には最初に充
填される第一の樹脂9aが通過する流路35aが形成さ
れる。第一の樹脂9aを充填する際には駆動板34と連
動した針弁33が第二の樹脂9bの流路35bを塞いだ
後、内筒ノズル11bが後退することで流路35aを開
放しスクリュー10aが前進する。その後第二の樹脂が
充填されるが、その際は内筒ノズル11bが前進し外筒
ノズル11aと嵌合することで第一の樹脂9aの流路3
5aを閉鎖する。その後、針弁33が図示しないシリン
ダーによって後退することで流路35bを開放した後ス
クリュー10bが前進することで樹脂9bが射出され
る。該成形機によれば、樹脂材料の種類にあわせ独立し
た条件で可塑化できるということより上述の可塑化不足
等の問題は解消される。しかしながら、スキン層のみ微
量の樹脂を充填させるという観点からは不十分であるこ
とがわかった。それは各スクリューによる計量制御の精
度はインラインスクリューによるそれとほぼ同じである
ためと考えられる。上述した逆止リングの悪影響も大き
いがスクリューが後退および前進するストロークが非常
に短くなるため安定計量できないこともわかった。
【0014】また本発明者の検討の結果、該従来の2色
成形機を用いた場合は下記に示す問題も発生した。分子
量の異なる2種類の樹脂を2段階にわけて成形する方法
しかできないため、分子量を板厚方向に意図的に配向さ
せようとした場合、最初に低分子量の樹脂材料その次に
高分子量の樹脂材料を充填させることになる。スプール
18およびゲート19そしてキャビティ17を充填した
後の成形品の断面構造の模式図を図19に示す。
【0015】図19に示すように製品表面は低分子量樹
脂材料層が配向するので従来の成形方法と比較すると高
転写性を得ることはできる。しかしながら、ゲート19
およびスプール18は概ね高分子量樹脂材料が支配する
ことになった。そのためゲートシールが遅くなるに伴い
冷却速度が遅くなり生産効率の悪化することが判明し
た。更に、成形品の一方の端面に高分子量樹脂材料のコ
ア層が露出してしまう。
【0016】また充填の後半や保圧中に高分子量樹脂材
料を充填しなければならないため充填圧力が増大し、製
品における複屈折の増大を招く弊害も発生した。さらに
は金型のスプールへの充填開始位置近傍である外筒ノズ
ル11a先端における樹脂溜まり部24には充填最後に
高分子量樹脂材料が滞留することになるので次のショッ
トにおける低分子量樹脂材料と混じってしまうため、表
面スキン層に配向する樹脂の分子量が安定しなかった。
【0017】従来の2色成形方法を用い光ディスク基板
における転写表面のみガラス転移温度の低い樹脂材料を
配向させるといった提案もあるが(例えば、特開200
1−216683号公報参照)、上述のように従来の成
形方法では表面層とコア層の配分を精密に制御できない
ため、上述した問題の他、光ディスク等の薄肉品では反
りが発生したりショット間の板厚ばらつきが1種類の材
料を用いたときよりも著しく大きくなることが本発明者
らの検討では明らかであるので現実的でない。また小型
精密部品を製造するのに計量安定性が不十分であるため
適用できない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、異種の熱可塑性樹脂材料を厚み方向に配向させる2
色成形方法において、より精密に各材料の配向状態を安
定に制御できる成形方法および射出成形装置を提供する
ことである。本発明の別の目的は、スキン層とコア層の
熱可塑性樹脂材料の分子量を意図的に配向させることや
スプールやゲート部も冷却速度の速い低分子材料で形成
することにより転写性および量産性を著しく向上させる
ことのできる熱可塑性樹脂を用いた射出成形品を提供す
ることである。
【0019】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の本発明における第一の手段として、少なくとも2種類
以上の熱可塑性樹脂を充填させる2色成形(サンドイッ
チ成形)方法において、第一の材料および第二の材料さ
らに第一の材料の順で連続射出し成形品を得ることを特
徴とする射出成形方法を提供する。
【0020】本発明のこの射出成形方法によれば、樹脂
材料を射出完了した直後において、ノズル先端内の金型
スプールと充填スクリューもしくはプランジャーとの間
に滞留する樹脂が次のショットの最初に射出する樹脂材
料と同一になるため各材料の配向状態の連続安定性が改
善される。
【0021】前記課題を解決するための本発明における
第二の手段として、少なくとも2種類以上の熱可塑性樹
脂を充填させる2色成形(サンドイッチ成形)方法にお
いて、同一のモノマーからなり重量平均分子量が15%
以上異なる熱可塑性樹脂を低分子量樹脂、高分子量樹
脂、低分子量樹脂の順に連続射出して成形品を得る射出
成形方法を提供する。
【0022】本発明のこの射出成形方法によれば、粘度
が低い樹脂材料で表面スキン層を形成することで転写性
が向上することは勿論のこと、スプール、ゲート等も低
分子材料で形成されるため、溶融樹脂の充填後半にかけ
る樹脂圧力も低くて済み、冷却速度も速くなるので生産
効率が向上する。
【0023】前記課題を解決するための本発明における
第三の手段として、少なくとも2種類以上の熱可塑性樹
脂を充填させる2色射出成形機における射出装置におい
て、各樹脂は独立したスクリューで可塑化され該可塑化
された樹脂は同一の射出プランジャーの前方に任意の順
に計量されることを特徴とする射出装置を提供する。
【0024】本発明のこの射出装置によれば、異なる種
類の樹脂をその物性にあわせ最適な条件で可塑化計量で
きるとともに、その溶融樹脂を同一のプランジャーで射
出できるので2種類の異なる樹脂を3ゾーン以上に区分
して順に射出するのに好適である。
【0025】さらに前記課題を解決するための本発明に
おける第四の手段として、前記射出装置において、各樹
脂の充填量は外径の小さい射出プランジャーの後退する
変位量で制御することを特徴とする射出装置を提供す
る。
【0026】外径の小さい射出プランジャーの後退量で
各樹脂の充填量を制御することで、微量な樹脂を厳密に
可塑化計量することができる。よって微細な凹凸の転写
を要求される小型精密部品を成形するには好適である。
【0027】さらに前記課題を解決するための本発明に
おける第五の手段としては、同一種類のモノマーから合
成された熱可塑性樹脂からなる射出成形品において、表
面スキン層は分子量が低く、内部コア層は分子量が高く
なるように、厚み方向における分子量分布があり、該重
量平均分子量が15%以上異なり、前記コア層が前記ス
キン層により完全に被包されていることを特徴とする射
出成形品を提供する。本発明のこの射出成形品によれ
ば、転写性の大きな向上が期待できる。前記射出成形品
は例えば、熱可塑性樹脂からなる光ディスク基板であ
る。この光ディスク基板は、内径より信号エリア最内径
の範囲における重量平均分子量が信号エリアにおける表
面スキン層の重量平均分子量よりも大きいことを特徴と
する。CD−R等、ドライブが1万回転以上という超高
速回転の光ディスクにおいては、ポリカーボネートから
なる基板内径に微小クラックが生じた際、ディスクが粉
々に粉砕するという問題が生じている。本発明者は内径
近傍の強度を増すことで上記問題が解消されることを見
出し、さらに内周部のみ選択的に強度を増しかつ転写性
も低下しない射出成形光ディスク基板を作製できる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明を具体的に説明する。
【0029】図1は本発明の射出成形機により製作され
た射出成形品の一例の概要断面図である。本発明の射出
成形品1は表面のスキン層2が低分子量の樹脂材料で形
成され、内部のコア層3が高分子量の樹脂材料で形成さ
れている。図に示された従来の射出成形品と異なる点
は、高分子量樹脂材料からなるコア層3が低分子量樹脂
材料のスキン層2により完全に被包され、コア層3の露
出部が全く存在しないことである。
【0030】本発明の射出成形品1は熱可塑性樹脂から
製造される。スキン層2用の樹脂とコア層3用の樹脂と
は同一種類の樹脂であることもできるし、或いは異なる
種類の樹脂であることもできる。転写性の向上の観点か
ら考慮すれば、同一種類の樹脂を使用するほうが好まし
い。射出成形用の熱可塑性樹脂自体は当業者に周知であ
り、特に説明を要しないであろう。
【0031】本発明の射出成形品1の作製に使用される
熱可塑性樹脂の分子量は任意であるが、転写性を向上さ
せるためには、低分子量の熱可塑性樹脂の重量平均分子
量をM、高分子量の熱可塑性樹脂の重量平均分子量を
としたとき、次式で示される重量平均分子量の差、
(M−M)/Mが15%以上であることが必要で
ある。重量平均分子量の差が15%未満では、転写性の
向上が達成されず、しかも、溶融樹脂の充填後半にかけ
る樹脂圧力が高くなるばかりか、冷却速度も遅くなり、
生産効率の向上も達成されない。重量平均分子量の差は
一般的に、15%〜40%程度であればよい。重量平均
分子量の差が40%超になると逆にガラス転移温度や流
れ値などの物性値の差が大きくなり過ぎて相分離を起こ
すなどの不都合が生じるので好ましくない。なお重量平
均分子量の測定方法については相対評価を正確に行うこ
とが必要であり、本発明においてはスキン層2の表面及
び裏面の両表面を鉋等で10〜50μmづつ削ってい
き、重量平均分子量が15%以上異なる位置をスキン層
とコア層の境界と定義する。重量分子量の測定装置につ
いてはGPC(ゲル浸透クロマトグラフ)を用いること
が望ましい。移動相溶媒にはTHF(テトロヒドロフラ
ン)等を用いることが望ましい。
【0032】図1に示されているように、射出成形品1
の全体の厚さをtとして、スキン層2の表面の厚さをt
1、裏面の厚さをt2とした場合、スキン層2の厚さ
(すなわち、t1+t2)が全体の厚さtの5〜30%
の範囲内であることが好ましい。スキン層2の厚さがこ
の範囲内であれば、転写性の向上と機械的強度を両立さ
せることができる。これに対して、スキン層2の厚さが
5%未満の場合、転写性向上の効果が期待できないので
好ましくない。一方、スキン層2の厚さが30%超の場
合、製品強度が低下するので好ましくない。
【0033】図2は本発明の射出成形機4の概要構成を
示す断面図である。図15に示されるような従来の射出
成形機の構成部分と共通的な構成部分については同じ符
号を用いて説明する。図15及び図18に示された従来
の射出成形機と図2に示される本発明の射出成形機4の
基本的な相違点は、本発明の射出成形機4が低分子量樹
脂材料用の可塑化シリンダ20aと高分子量樹脂材料用
の可塑化シリンダ20bからなる2本の可塑化シリンダ
を具備することである。図示されていないが、可塑化シ
リンダ20a及び20bにはそれぞれ各原料樹脂の供給
ホッパーが個別的に配設されている。可塑化シリンダ2
0a及び20bの内部には回転可能なスクリュー10a
及び10bがそれぞれ装備されている。図示しない原料
樹脂供給ホッパーから供給された低分子量樹脂材料9a
及び高分子量樹脂材料9bはこのスクリュー10a及び
10bがそれぞれ回転することにより可塑化される。充
填量や樹脂のペレット大きさにあわせスクリュー10
a、10bの外径および加熱シリンダー20a,20b
の内径は任意の設定ができる。例えば、表面スキン層を
形成する分子量の低い材料を可塑化するスクリュー10
aの外径はφ12mmとし、内部コア層を形成する分子
量の高い材料を可塑化するスクリュー10bの外径はφ
23mmとすることができる。
【0034】熱可塑性樹脂の可塑化を促進するために、
可塑化シリンダ20a及び20bには適当な加熱手段を
配設することもできる。このような加熱手段自体は当業
者に周知である。溶融樹脂9a及び9bをそれぞれの可
塑化シリンダ20a及び20bから送出するために、本
発明の射出成形機4では、油圧シリンダ5a,5bによ
り駆動される油圧ピストン6a,6bと、このピストン
の先端部に取付けられた駒7a,7bからなる各溶融樹
脂送出装置を有する。この各溶融樹脂送出装置は溶融樹
脂通過路29a及び29bによりそれぞれ下記で説明す
るプランジャー加熱シリンダに連通されている。
【0035】図2に示されるように、可塑化シリンダ2
0a及び20bは共通のプランジャー加熱シリンダ21
に、それぞれ溶融樹脂通過路29a及び29bを介し
て、連通している。プランジャー加熱シリンダ21内に
は進退可能な充填プランジャ23が装備されている。こ
の充填プランジャ23は、シリンダ12により、例え
ば、油圧、ステッピングモータなど公知慣用の駆動手段
を用いて進退可能に構成することができる。充填プラン
ジャ23が後退すると、プランジャー加熱シリンダ21
内に溶融樹脂を滞留させるための空間である樹脂溜まり
24が、充填プランジャ23の先端前方に生じる。充填
プランジャ23の進退量を制御するために、位置センサ
8を使用することが好ましい。これ以外の制御手段も当
然使用できる。このような制御手段は当業者に周知であ
る。
【0036】前記のように、本発明においては樹脂の可
塑化はスクリュー10a,10bが回転することによ
り、スクリュー前方に溶融樹脂9a,9bが押しだされ
ることに行われるが、各樹脂は油圧シリンダー5a,5
b内における油圧ピストン6a,6bが駆動し充填プラ
ンジャー23が後退することで、充填プランジャー23
の先端部の前に滞留する。本発明における樹脂の計量は
充填プランジャーの位置を監視する位置センサー8によ
り充填プランジャーの後退量を制御することで行われ
る。図2では、両溶融樹脂9a、9bが充填プランジャ
ー23側に漏れないように両油圧ピストン6a,6bお
よびシール駒7a,7bは下端部に押し付けられてい
る。
【0037】充填プランジャー23の外径およびプラン
ジャー加熱シリンダー21の内径は任意であるが、微量
の充填量を制御できるという観点からなるべく小さいほ
うが望ましい。例えば、φ10mmの充填プランジャー
外径とすることができる。勿論、射出率が小さくなる弊
害が生じた場合、プランジャー径を大きくすることもで
きる。また充填プランジャー23と加熱シリンダー21
のクリアランスは摩擦抵抗が大きくならない程度に狭い
方が望ましいので、例えば、40μm/φとすることが
できる。また、シリンダー内部とプランジャーを図示し
ないボールベアリングで圧入公差によりガイドすること
で充填プランジャーの直進駆動を補助することができ
る。
【0038】図2に示されるように、プランジャー加熱
シリンダ21は、ノズル11を介して、金型15のスプ
ール18と連通し、ゲート19を経て、可動金型16
の、所定の形状を有するキャビティ17に連通する。充
填プランジャー23が後退し計量された後、前進するこ
とで溶融樹脂がノズル11を経て金型内にスプール18
から充填される。スプールを有する固定金型15は図示
しない固定プラテンに固定されており、可動金型16は
図示しない型締め機構とそれに直結した可動プラテンに
固定され型開閉を行うことでキャビティ17は形成され
る。
【0039】次に、図面を参照しながら本発明の射出成
形機4の射出成形操作について説明する。図3は第一に
充填する低分子量樹脂材料を計量する状態を表したもの
で、加熱シリンダー20a内でスクリュー10aが図中
矢印方向に回転すると同時に油圧シリンダー5a内に油
をいれることで油圧ピストン6aおよび駒7aが図中矢
印(紙面上)方向に移動し、駒7aの周りより可塑化さ
れた溶融樹脂9aが樹脂通過路29aを通り充填プラン
ジャー23の先端部に流れ、それと同時に充填プランジ
ャー23が最前進位置より位置センサー8の制御により
任意の量後退し停止する。充填プランジャー23の前方
への充填が完了するとプランジャーへの圧力が増大する
ため、図示しない圧力センサーが感知し油圧シリンダー
5aに油を注入させる信号を送り油圧ピストン6aおよ
び駒7aが矢印と反対方向に駆動することでスクリュー
とプランジャー間への樹脂通過路29aは遮断され計量
は完了する。
【0040】第一の樹脂が可塑化計量完了されると同時
に、図4に示すように第二の樹脂9bを可塑化計量す
る。第一の樹脂と同様に、スクリュー10bが回転する
と同時に油圧シリンダー5bの油圧ピストン6bが後退
し、駒7bが樹脂通過路29bを開放し、同時に充填プ
ランジャー23が前記第一の樹脂の充填の際の移動位置
より位置センサー8の制御により任意の量後退し停止す
ることで第二の樹脂9bが、前記第一の樹脂に接するよ
うに計量充填される。第二の樹脂の充填量も充填プラン
ジャー23が第一の樹脂可塑化完了時より後退する量を
位置センサー8でフィードバックしながら制御すること
でコントロールする。
【0041】さらに第一の樹脂を続けて上記の方法と同
様に第一の樹脂材料9aである低分子の樹脂材料を図5
で示すように可塑化計量することにより1ショットで充
填するすべての樹脂をプランジャー加熱シリンダー21
内の充填プランジャー23の前方に可塑化計量充填す
る。従来の成形機における加熱シリンダーの温度は、ノ
ズル近傍は低く、中心部は高く、樹脂を投入するノズル
より遠い位置では再度低く設定するのが通常である。本
発明における充填プランジャーの加熱シリンダー21に
おいても同様にノズル11近傍における低分子量樹脂材
料が滞留するゾーンは低く、中心部における高分子量樹
脂材料が滞留するゾーンは高く、さらに低分子量樹脂材
料が滞留するゾーンは低く設定することが望ましい。例
えば、加熱シリンダー21の先端および後端のゾーンを
バンドヒーターにより300℃で制御し中心のゾーンは
360℃で段階的に制御することができる。なお可塑化
を行うシリンダー20a、20bの温度制御は任意であ
るが、一例として、低分子量樹脂の可塑化加熱シリンダ
ー20aは300℃、高分子量樹脂の可塑化加熱シリン
ダー20bは350℃で制御することができる。
【0042】加熱シリンダー21の樹脂溜り24に各溶
融樹脂が計量充填されたら、図6に示されるように、計
量された両溶融樹脂9a、9bが可塑化シリンダ20a
及び20b側に逆流しないようにするために、両油圧ピ
ストン6a,6bおよびシール駒7a,7bを下端部に
押し付けて、溶融樹脂通過路29a及び29bを閉鎖し
ながら、プランジャー23を図示しない油圧などの駆動
力で矢印方向に前進駆動させる。これにより、先ず、樹
脂溜り内の溶融低分子量樹脂9aは、ノズル11を介し
て、固定金型15のスプール18及びゲート19を経
て、可動金型16の、所定の形状を有するキャビティ1
7に充填される。第一の樹脂9aがスプール18、ゲー
ト19等を通過する際には充填プランジャー23の速度
は低速度に制御されることが望ましい。一例として、充
填プランジャー23を段階的に50mm/s〜80mm
/sの範囲内の射出速度で制御することができる。
【0043】溶融低分子量樹脂材料9aがゲート19を
通過した後、図7に示されるように、溶融高分子量樹脂
材料9bを高速で充填する。溶融高分子量樹脂材料9b
の射出速度は任意であるが、一例として、100mm/
s〜250mm/sの範囲内で段階的に速度を変えて充
填することができる。その後、再度低分子量樹脂材料9
sを50mm/s〜80mm/sの範囲内の低速にて充
填することで樹脂の充填を完了させた。
【0044】図8は全ての樹脂材料の充填完了後の型締
め冷却時及び次の充填計量開始直前における状態を示す
概要断面図である。金型15,16の型締め冷却を行い
ながら、図3〜図5に示されるような手順に従って、低
分子量樹脂材料9a、高分子量樹脂材料9b及び低分子
量樹脂材料9aを計量し、図9に示されるような状態と
する。
【0045】再計量充填完了後は前のショットで充填さ
れている製品の冷却を金型キャビティ17内で行った
後、図10に示すように可動プラテンおよび可動金型1
6が開くことで離型および射出成形品の取り出しを行
う。可塑化完了から次のショットにおける可塑化開始ま
では油圧ピストン6a,6bの力によって樹脂通過路2
9a,29bは閉鎖されている。図11は金型から離型
した直後の射出成形品の概要断面図である。スプール1
8及びゲート19の形状に対応するスプール部品18’
及び19’を切除することにより図1に示される射出成
形品1が得られる。
【0046】可動金型16から射出成形品を取り出した
後、可動金型16を固定金型に型締めして金型を閉鎖
し、次いで、図6〜図10の操作を繰り返す。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に例証す
る。 実施例1 図1に示されるような射出成形品1を図2に示される射
出成形機4を用いて作製した。スクリュー10aの外径
はφ12mm、スクリュー10bの外径はφ23mm、
充填プランジャー23の外径はφ10mm、充填プラン
ジャー23と加熱シリンダー21のクリアランスは40
μm/φとし、加熱シリンダー21の先端部及び後端部
の温度は300℃で中心部の温度は360℃で段階的に
制御し、低分子量樹脂材料用の可塑化シリンダー20a
の温度は300℃、高分子量樹脂材料用の可塑化シリン
ダー20bの温度は350℃で制御した。また、充填プ
ランジャー23の進退速度は50mm/s〜80mm/
sの範囲内で制御し、射出速度は100mm/s〜25
0mm/sの範囲内で制御した。更に、射出成形品1の
外形に対応する形状のキャビティ17を形成する金型1
5,16を作製した。キャビティ17は厚み(t)1m
m、500×500mmの直方体にし、流動末端部であ
る金型表面部15及び/又は16の片側に図12に示す
ような深さDが500nm、幅Wが500nm、デュー
ティ50%の矩形形状のパターンを掘り込んだ。該キャ
ビティ17に上述した成形方法にて、低分子量樹脂材料
および高分子量樹脂材料をそれぞれ充填し図1に示すよ
うな射出成形品1を得た。本実施例においてはモノマー
をビスフェノールAとしたポリカーボネート樹脂材料
で、重量平均分子量Mが11000およびMが15
200の2種類の樹脂材料((M−M)/M=2
7%)を用いた。
【0048】本実施例においては充填プランジャー23
の後退量を制御することで、金型転写面(スキン層2)
における低分子量樹脂材料9aと内部コア層3における
高分子量樹脂材料9bの充填量の比を変えて成形品の転
写性をAFM(分子間力顕微鏡)にて評価した。
【0049】低分子量樹脂材料が占有するスキン層の厚
さ(t1+t2)を前述した本発明の定義で測定し、次
式で求められる低分子材料が全体に占める割合、すなわ
ち{(t1+t2)/t}×100(%)と成形品の転
写率の関係を図13に示す。なお、該厚みの割合は各条
件ともにショット間では±1%の範囲で安定しているこ
とを確認した。また高分子量樹脂材料9bのみで従来の
方法で作製した成形品に対するアイゾッド衝撃強度(A
STM D785)の低下率もあわせて図13に示す。
【0050】図13に示されるように、低分子量樹脂材
料で形成されているスキン層2の厚みが射出成型品1の
厚みの5%以上であると転写性が著しく向上するが、3
0%以上の厚みを占めるとアイゾット衝撃強度が著しく
低下することが判明した。この結果より、低分子量樹脂
材料の厚み(t1+t2)が全体の製品厚みtに占める
割合は5〜30%の範囲であることが望ましい。
【0051】さらに本発明の方法によって低分子量樹脂
材料が占有する厚みの割合が20%の成形品を100シ
ョット連続で成形し、板厚のばらつきを測定したとこ
ろ、平均値に対し最大1.5%のばらつきであった。高
分子量樹脂材料のみで同様に従来のインライン成形機お
よび成形方法にて成形品を作製し板厚のショット間ばら
つきを測定した結果、最大1.6%であった。よって、
本発明における成形方法においては各樹脂材料のショッ
ト間における計量および充填ばらつきに関して、従来の
成形方法と同等であり問題ないことがわかった。
【0052】実施例2 低分子量樹脂材料の分子量Mを変化させて低分子量樹
脂材料が表面スキン層2に形成される厚みの全体の厚み
に対する割合を5%とした以外は、実施例1と同様に成
形を行い成形品の転写率を評価した。低分子量樹脂材料
9aと高分子量樹脂材料9bの重量平均分子量の差、す
なわち{(M−M)/M}×100(%)と転写
率の関係を図14に示す。図14より重量分子量の差が
15%以上で大きな転写性向上の効果が大きくなること
が明らかである。この結果から、本発明の成形方法にお
いてはスキン層2を形成する低分子量樹脂材料9aと内
部コア層3を形成する高分子量樹脂材料9bの重量平均
分子量の差は15%〜40%の範囲内であることが望ま
しい。
【0053】比較例1 図18に示す従来の2色成形機により、実施例1と同様
な金型および同様な低分子量樹脂材料9aと高分子量樹
脂材料9bを用いて射出成形し、図19に示すような成
形品を得た。本比較例における成形品ではスクリュー径
や加熱シリンダー等の条件を最適化しても、低分子量樹
脂材料9aが表面スキン層2を形成する板厚(t1+t
2)の全体厚みtに対する割合がショット間で±5%変
動しそれによって転写性も変化していることがわかっ
た。また板厚のばらつきは平均値に対し最大10%と大
きく変動していることが判明した。
【0054】実施例3 本発明における射出成形機を用いて、内径φ15mm直
径φ120mm信号エリア最内径φ24mm板厚1.2
mmの追記型CD−R光ディスクの成形基板を作製し
た。樹脂材料としては重量平均分子量が15200のも
のと22000(重量平均分子量差31%)の2種類の
ポリカーボネート樹脂材料を用いた。なお低分子樹脂材
料としては現在一般的に光ディスク製品に使用されてい
る帝人化成製パンライトAD5503を用いた。まず図
20に示すように充填プランジャーの前方に低分子樹脂
材料9a、高分子樹脂材料9b、低分子樹脂材料9a、
高分子樹脂材料9b、低分子樹脂材料9aの順で可塑化
計量した。各材料の計量した量は金型に接するノズル前
方より計量した順番とは逆に金型内に充填される。
【0055】本実施例における光ディスク基板の各樹脂
材料における配向状態を図21に示す。まず図示しない
スプール壁面を流れるだけの低分子樹脂材料9a充填、
次に製品内径部30からおよそφ20mmまでの内周部
のスキン層34を形成するだけの高分子樹脂材料9b、
スタンパの凹凸を転写する信号面31全体を充填する低
分子樹脂材料9a、さらに内周部のコア部を形成する少
量の高分子樹脂材料9b、最後にゲート32および図示
しないスプール内部を充填する低分子樹脂材料9aを充
填させる。充填後、型内ゲートカットによりゲート32
は図示しないスプール部と切断される。本実施例におい
ては内径部30のゲート32のみ低分子樹脂材料9aが
形成されるようにしてゲートおよびスプールの固化が遅
くなることを抑制しているが、ゲート32の厚みは0.
3mmであり、内周部全体が高分子樹脂材料で形成され
ているので内径部の強度が大幅に増加している。よって
割れにくく、超高速回転にも耐えられる強度を維持して
いる。なお本実施例における射出成形光ディスク基板の
転写性、機械特性等を評価したが通常成形品と差がなく
問題ないことを確認した。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
分子量の異なる2種類の熱可塑性樹脂材料を厚み方向に
配向させる2色成形法において、より精密に各材料の配
向状態を安定的に制御することができる。また、内部コ
ア層を表面スキン層で完全に被包した成形品を得ること
ができ、さらには、表面スキン層と内部コア層の熱可塑
性樹脂材料の分子量を意図的に配向させることや、スプ
ールやゲート部も冷却速度の速い低分子量樹脂材料で形
成することにより、転写性及び量産性を著しく向上させ
ることができる。更に、内径部のゲート部以外を選択的
に高分子樹脂材料で形成することにより、光ディスク基
板の内径部強度を向上させ、高速回転に好適な光ディス
ク基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による射出成形品の一例の概要断面図で
ある。
【図2】本発明による射出成形品を製造するのに使用さ
れる射出成形機の一例の部分概要断面図である。
【図3】図2に示された射出成形機による射出成形操作
の一工程を示す部分概要断面図である。
【図4】図2に示された射出成形機による射出成形操作
の一工程を示す部分概要断面図である。
【図5】図2に示された射出成形機による射出成形操作
の一工程を示す部分概要断面図である。
【図6】図2に示された射出成形機による射出成形操作
の一工程を示す部分概要断面図である。
【図7】図2に示された射出成形機による射出成形操作
の一工程を示す部分概要断面図である。
【図8】図2に示された射出成形機による射出成形操作
の一工程を示す部分概要断面図である。
【図9】図2に示された射出成形機による射出成形操作
の一工程を示す部分概要断面図である。
【図10】図2に示された射出成形機による射出成形操
作の一工程を示す部分概要断面図である。
【図11】図10に示された射出成形操作において、可
動金型から離型された直後の射出成形品の部分概要断面
図である。
【図12】実施例1で使用された金型表面部を示す部分
概要断面図である。
【図13】実施例1で作製された射出成形品における、
低分子量樹脂材料の厚みが成形品の全体厚みに占める割
合と転写率及びアイゾット強度低下率との関係を示す特
性図である。
【図14】実施例1で作製された射出成形品における、
低分子量樹脂材料の重量平均分子量と高分子量樹脂材料
の重量平均分子量との差に対する転写率の関係を示す特
性図である。
【図15】従来の2色成形法を実施するのに使用される
プリプラ式射出成形機の一例の部分概要断面図である。
【図16】図15に示された射出成形機において、分子
量の異なる2種類の熱可塑性樹脂材料を供給するホッパ
ーの一例の部分概要断面図である。
【図17】図15に示された射出成形機において、金型
壁面を流れる溶融樹脂のメルトフロントを示す模式図で
ある。
【図18】従来の2色成形法を実施するのに使用される
インライン式射出成形機の一例の部分概要断面図であ
る。
【図19】図18に示された射出成形機で製造された離
型直後の成形品の部分概要断面図である。
【図20】実施例3で使用される射出成形機の充填プラ
ンジャーにおける樹脂の充填順序を示す模式図である。
【図21】実施例3で作製された光ディスクの各樹脂の
配向状態を示す概要断面図である。
【符号の説明】
1 本発明の射出成形品 2 表面スキン層 3 内部コア層 4 本発明の射出成形機 5a,5b 油圧シリンダー 6a,6b 油圧ピストン 7a,7b シール駒 8 位置センサー 9a 低分子量樹脂材料,9b 高分子量樹脂材料 10,10a,10b スクリュー 11 ノズル 11a内筒ノズル,11b外筒ノズル 12 シリンダー 15 固定金型 16 可動金型 17 キャビティ 18 スプール 19 ゲート 20、20a、20b 可塑化加熱シリンダー 21 プランジャー加熱シリンダー 22 溶融樹脂供給路 23 充填プランジャ 24 樹脂溜まり 25 供給ホッパー 26 供給路 29,29a,29b 樹脂通過孔 30 光ディスク内径部 31 光ディスク信号面 32 ゲート 34 内周部スキン層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F206 AA28 AE10 AF16 AG03 AG19 AH79 AP06 AR07 JA07 JB23 JB30 JD05 JF01 JF23 JF48 JL02 JM01 JM04 JN12 JN14 JN15 JP11 JP18 JQ42 JQ55 JQ62

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる射出成形品におい
    て、 表面スキン層は低分子量の熱可塑性樹脂材料から形成さ
    れ、内部コア層は高分子量の熱可塑性樹脂材料から形成
    され、前記低分子量熱可塑性樹脂材料の重量平均分子量
    と前記高分子量熱可塑性樹脂材料の重量平均分子量
    との差{(M−M)/M}が15%以上であ
    り、前記内部コア層が前記表面スキン層により完全に被
    包されていることを特徴とする射出成形品。
  2. 【請求項2】 前記表面スキン層の合計厚さが前記射出
    成形品の全体厚さの5%〜30%の範囲内であることを
    特徴とする請求項1に記載の射出成形品。
  3. 【請求項3】 分子量の異なる2種類の熱可塑性樹脂か
    らなる射出成形品を製造するための2色成形(サンドイ
    ッチ成形)方法において、 第一の低分子量熱可塑性樹脂材料、第二の高分子量熱可
    塑性樹脂材料及び前記第一の低分子量熱可塑性樹脂材料
    を、この順に連続的に金型内に射出して、表面スキン層
    は前記第一の低分子量熱可塑性樹脂材料から形成され、
    内部コア層は前記第二の高分子量熱可塑性樹脂材料から
    形成され、前記内部コア層が前記表面スキン層により完
    全に被包されている射出成形品を製造することを特徴と
    する射出成形方法。
  4. 【請求項4】 前記第一の低分子量熱可塑性樹脂材料の
    重量平均分子量Mと前記第二の高分子量熱可塑性樹脂
    材料の重量平均分子量Mとの差{(M−M)/M
    }が15%以上であることを特徴とする請求項3に記
    載の射出成形方法。
  5. 【請求項5】 分子量の異なる2種類の熱可塑性樹脂材
    料をノズルから金型内に射出して表面スキン層と内部コ
    ア層とからなる2色成形品を製造するための射出成形機
    において、 進退可能な充填プランジャを内部に有する加熱シリンダ
    と、低分子量熱可塑性樹脂材料を可塑化溶融させる、回
    転可能なスクリューを内部に有する第一の可塑化加熱シ
    リンダと、高分子量熱可塑性樹脂材料を可塑化溶融させ
    る、回転可能なスクリューを内部に有する第二の可塑化
    加熱シリンダとを有し、 前記第一の可塑化加熱シリンダは第一の樹脂通過路を介
    して前記加熱シリンダの先端に連通しており、前記第二
    の可塑化加熱シリンダは第二の樹脂通過路を介して前記
    加熱シリンダの先端に連通しており、 前記第一の可塑化加熱シリンダと第一の樹脂通過路との
    間に第一の開閉手段が配設され、前記第二の可塑化加熱
    シリンダと第二の樹脂通過路との間に第二の開閉手段が
    配設されており、 前記第一の開閉手段が開放され、同時に前記充填プラン
    ジャが後退することにより前記可塑化溶融された低分子
    量熱可塑性樹脂材料が前記第一の樹脂通過路を介して前
    記加熱シリンダ内に貯留され、前記第一の開閉手段が閉
    鎖され、かつ前記第二の開閉手段が開放され、同時に前
    記充填プランジャが後退することにより前記可塑化溶融
    された高分子量熱可塑性樹脂材料が前記第二の樹脂通過
    路を介して前記加熱シリンダ内に貯留され、次いで、前
    記第二の開閉手段が閉鎖され、かつ前記第一の開閉手段
    が開放され、同時に前記充填プランジャが後退すること
    により前記可塑化溶融された低分子量熱可塑性樹脂材料
    が前記第一の樹脂通過路を介して前記加熱シリンダ内に
    貯留され、前記貯留された各可塑化溶融樹脂は、前記充
    填プランジャが前進することにより、前記加熱シリンダ
    先端のノズルを介して、低分子量熱可塑性樹脂材料、高
    分子量熱可塑性樹脂材料及び低分子量熱可塑性樹脂材料
    の順に金型内に注型されることを特徴とする射出成形
    機。
  6. 【請求項6】 前記開閉手段は油圧手段により進退可能
    に構成されたシール駒であることを特徴とする請求項5
    に記載の射出成形機。
  7. 【請求項7】 前記各可塑化溶融樹脂の計量は前記充填
    プランジャの後退する変位量で制御し、前記充填プラン
    ジャの後退量は位置センサにより制御されることを特徴
    とする請求項5に記載の射出成形機。
  8. 【請求項8】 少なくとも2種類以上の熱可塑性樹脂を
    充填することができる2色射出成形機において、各樹脂
    材料はそれぞれ独立した可塑化加熱シリンダー内におい
    てスクリューの回転により可塑化され前記可塑化溶融さ
    れた樹脂は1本の射出プランジャーの前方に順に計量貯
    留されプランジャー前に最後に貯留された樹脂より金型
    キャビティ内に充填することを特徴とする射出成形機。
  9. 【請求項9】 光ディスク基板であることを特徴とする
    請求項1又は2に記載の射出成形品。
  10. 【請求項10】 前記光ディスク基板において、内径よ
    り信号エリア最内径の範囲における重量平均分子量が信
    号エリアにおける表面スキン層の重量平均分子量よりも
    大きく、その差が15%以上であることを特徴とする請
    求項9に記載の射出成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113843959A (zh) * 2020-06-25 2021-12-28 恩格尔奥地利有限公司 用于成型机的注射单元以及用于注射的方法

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