JP4853887B2 - 貼付材及び絆創膏並びに救急絆創膏 - Google Patents

貼付材及び絆創膏並びに救急絆創膏 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、貼付材及び絆創膏並びに救急絆創膏に関する。より具体的には、医療用途における貼付用品、例えば巻絆創膏、サージカルテープ、救急絆創膏、パップ剤、ドレッシング剤、創傷保護剤、経皮吸収用製剤などに用いられ、特に皮膚刺激に過敏な老人、乳幼児、病弱な人への使用に好適な医療用の貼付材に関する。
【0002】
【従来の技術】
救急絆創膏や巻絆創膏など、医療用途の貼付材に用いられる基材フィルムとして、従来より、カレンダー法やキャスティング法により作製された可塑化ポリ塩化ビニルを主成分としたフィルムが数多く使用されてきた。
【0003】
この可塑化ポリ塩化ビニルを主成分としたフィルムは、引張初期における高い応力を示すが、時間の経過と共に急激に応力が緩和するという特性を有している。この応力緩和は塩化ビニルフィルムの可塑性に伴うものである。このような特性を有する基材フィルムを用いた粘着テープ(シート)を皮膚に貼付した場合には、貼付後次第に引張応力が緩和され、皮膚への負担が軽減される結果となる。このように、可塑化ポリ塩化ビニルを主成分とした基材フィルムを用いることにより、貼付時にはほど良い応力によって貼付作業性が確保されると共に、その後の応力緩和により引っ張り感がなくなり、物理的な皮膚刺激が軽減される。これにより、操作性と低刺激性を兼ね備えたものとなる。
【0004】
また、ポリ塩化ビニルの特性と似た非塩化ビニル系の塩ビ類似フィルムがいくつか開発されてきている。中でもエラスチックな非塩素系材料として熱可塑性エラストマー(TEP)樹脂が、上記目的を達成する有力な候補として近年盛んに検討されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記可塑化ポリ塩化ビニル若しくは塩ビ類似フィルムを基材として用いた際に、そのフィルムの応力緩和性が過度に大きくなると、以下の2つの不都合な点が出てくることが判明した。
▲1▼応力緩和性がある一定以上のフィルムになると、それを基材とした粘着テープをヒト皮膚に貼付したとき、皮膚の伸縮に伴って皺を形成しやすくなる。その結果、皺の部分が皮膚への新たなストレスとなって、却って皮膚刺激が強まってくる。
▲2▼また、その粘着テープでチューブやガーゼを固定した場合、応力緩和による追従性により全体としては良好な固定性を示すが、皮膚の度重なる伸縮や時間の経過とともに応力緩和が拡大してくる。その結果、チューブやガーゼの緩みが生じ、皮膚上で不安定に動いてしまう。そして、一旦固定物が緩み始めると、固定物が動きやすくなり、それがさらに応力緩和による緩みを増大させるといった悪循環が起きる可能性がある。
【0006】
このように、これまでの塩化ビニル若しくは塩化ビニル類似樹脂を、そのまま医療用粘着テープ(シート)の基材フィルムとして用いるだけでは、引っ張り等のマクロ的なストレスに対する刺激性は達成されるが、一方テープに皺(テープの細かな波打ち)が発生しやすくなり、皺の発生によるミクロ的なストレスが皮膚にかかり、皮膚表面に細かな発赤となって現れることがあった。また、チューブなどを皮膚表面にある時間保持しておくための追従性は向上しても、それ以上の時間が経つとテープが緩み過ぎる傾向が生じ、逆に安定な固定維持ができなくなってしまう場合があった。
【0007】
上記のような現象が生じる原因として、基材フィルムが大きく応力緩和してしまうために、緩みすぎやひいては皺の発生が容易に起こってしまうためと推測される。
【0008】
このような観点から、応力緩和性をミクロ的に残し、マクロ的には応力緩和しないような基材フィルムを用いるのが医療用粘着テープには望ましいと言える。言い換えるならば、基材の面方向の小さい伸びでは伸びに対する応力緩和がよく起こり、より大きい伸びでは応力緩和の程度が小さくなることが望ましい。こうすることで、マクロ的な過度の応力緩和を防止し、適度な応力緩和による刺激低減と固定安定性保持(緩み防止)との両方を同時に成し遂げ得るものと考えられる。
【0009】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、微小な皮膚の伸縮に対して高い追従性を持たせることで皮膚面への絶え間ないミクロ的な圧迫及び固定物のズレによる機械的刺激を軽減する一方で、貼付材全体としては、可塑化による応力緩和が簡単に起こらず、安定な固定性と皺の起こりにくい平坦な粘着面が確保できる貼付材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る貼付材は、粘着剤層が直接的若しくは間接的に基材フィルムに積層された貼付材であって、前記基材フィルムは2層以上の多層構造であり、少なくとも皮膚貼付側最外層に非晶質ポリオレフィン、オレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイ、オレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとの共重合物、アクリル/ウレタン共重合体の何れか1種以上のオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる第1のフィルム層を有すると共に、他層に前記オレフィン系熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性樹脂からなり前記第1のフィルム層よりも応力緩和性の低い第2のフィルム層を有し、前記第1のフィルム層に前記粘着剤層が積層されたことを特徴としている。
【0011】
この貼付材においては、前記非晶質ポリオレフィンとして、非晶質ポリプロピレン、エチレン及び/又はブテン−1とプロピレンとのランダム共重合体の何れか1種若しくは2種以上を用いることが好ましく、また、前記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリプロピレンとエチレンプロピレンラバーを反応用器中で混合と重合を同時に行うことによって得られたものを用いるのが好ましい。
【0012】
さらに、当該貼付材においては、前記第1のフィルム層に、脂肪酸若しくは脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、高級アルコール、金属せっけんのうち何れか1種若しくは2種以上を配合する、さらには、無機充填剤及び/又は有機充填剤を配合するのが好ましい。このとき、前記脂肪酸等を第1のフィルム層中1〜50重量部、前記無機充填剤及び/又は有機充填剤を第1のフィルム層中10〜200重量部配合するのがよい。
【0013】
また、前記第2のフィルム層は、熱可塑性エラストマーから作製するのが好ましく、前記第1のフィルム層は、少なくとも10μm以上の厚さに設定するのがよい。さらに、前記粘着剤層の厚みを10〜200μmとするのが好ましい。
【0014】
本発明に係る絆創膏は、基材フィルムに粘着剤層を備えた貼付材が巻回されてなる絆創膏であって、前記貼付材は、上記本発明に係る貼付材であることを特徴としている。
【0015】
本発明に係る救急絆創膏は、基材フィルムに粘着剤層を備えた貼付材と、前記粘着剤層の中央領域に吸液性パッドを備えた救急絆創膏であって、前記貼付材は、上記本発明に係る貼付材であることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る貼付材は粘着剤層が直接的若しくは間接的に基材フィルムに積層された貼付材であって、前記基材フィルムは2層以上の多層構造であり、少なくとも皮膚貼付側最外層に非晶質ポリオレフィン、オレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイとのポリマーアロイ又はオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとの共重合物であるオレフィン系熱可塑性エラストマー、アクリル/ウレタン共重合体の何れか1種以上の樹脂からなる第1のフィルム層を有すると共に、他層に前記オレフィン系熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性樹脂からなり前記第1のフィルム層よりも応力緩和性の低い第2のフィルム層を有し、前記非晶質ポリオレフィンは、非晶質ポリプロピレン、エチレン及び/又はブテン−1とプロピレンとのランダム共重合体の何れか1種若しくは2種以上であり、前記ポリマーアロイは、ポリプロピレンとエチレンプロピレンラバーを反応用器中で混合と重合を同時に行うことによって得られたものであって、前記第1のフィルム層に前記粘着剤層が積層されたことを特徴としている。
【0017】
すなわち、柔軟で応力緩和性の大きいフィルム層と、比較的硬く応力緩和性の小さいフィルム層とを適宜組み合わせることによって、上記目的を達成することが可能であることに着目して本発明を完成するに至ったものであり、このとき、皮膚貼付側の最外層(粘着剤層を積層する側)には、応力緩和性の大きいフィルム層を形成することが必須の条件となる。ここにおいて、柔軟で応力緩和性の大きいフィルム層は、皮膚の微小な伸縮や屈曲に対して人に気付かれないほどの小さな抗力で迅速に追随できるほどに柔軟で、追随による変形後は皮膚刺激を容易に起こさせない程の小さな応力まで緩和してしまうような応力緩和性を有するものである。また、比較的硬く応力緩和性の小さいフィルム層は、貼付材とした場合にその取扱い性を損ねない程度に硬く、例え変形したとしても変形による応力が小さい場合は応力緩和を起こさないものである。このような構成にすることにより、皮膚の細かな動きによる緊張に対しては、皮膚貼付側に面した第1のフィルム層が緊張緩和作用を果たし、皮膚の繰り返し伸縮の持続により応力緩和が行き過ぎ、これにより生じた皺が皮膚を摘まむような刺激に対して、応力緩和性の小さな第2のフィルム層が過度の応力緩和を抑えることになる。
【0018】
第1のフィルム層となる柔軟で応力緩和性の大きいフィルム層には、一つにはオレフィン系熱可塑性エラストマーの範疇に入り、とりわけポリプロピレン(PP)のようなハードセグメントと、エチレンプロピレンゴム(EPR)のようなソフトセグメントを共重合あるいはアロイ化して得られる柔軟で比較的応力緩和しやすい熱可塑性エラストマーである。特にアロイ化されたものの中でも、単純なブレンド系熱可塑性エラストマーであることより、例えばPPにEPRのようなゴムを多量に配合して均一な分散状態で混合と重合を同時にさせたアロイ化樹脂のような重合段階でアロイ化した樹脂の方が、高い応力緩和性を持っており、本発明の使用目的にはふさわしいものである。さらに、この中でも柔軟なランダムPP中にできうる限りゴム成分を大量に充填させたものを使用するのがより望ましい。このように重合段階でアロイ化した樹脂(リアクターTPO)としては、例えばRexene社製のFPO(Flexible Polyolefins)樹脂、Montellpolyolefins社製のキャタロイ(Catalloy)樹脂、トクヤマ社製のP.E.R樹脂などが挙げられる。
【0019】
キャタロイ(Catalloy)樹脂は、重合段階でオレフィン系樹脂にエチレンプロピレンゴムをアロイ化した樹脂であって、他の柔軟性樹脂(PVCやPE系樹脂)に比べ、耐熱性や引き裂き、突き刺し強度に優れた特性を有している。これは、ポリオレフィンの重合リアクターでのアロイ化を可能にした重合プロセス技術により得られ、多段の気相重合リアクターがアロイ化された状態で最終製品として取り出される。この方法においては、重合段階で合成ゴム(エチレンプロピレンゴム)がブレンドされ、押出機等によるブレンドに比べてはるかに高いゴム含量のものが微分散した状態で得られる。このような樹脂では、ポリオレフィンの高弾性とゴムの柔軟性を緊密に調和させることが可能になり、高い初期弾性力と迅速な応力緩和性を実現している。
【0020】
柔軟で応力緩和性の高いフィルム層として、二つめには非晶質のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。当該非晶質のポリオレフィン系樹脂として、例えば、特開平4−224809号公報に開示された方法により得られるものや、特公平6−89071号公報等に記載されたものが例示される。より具体的には、所定の触媒を用いて、プロピレンを単独でアタクチック重合させたもの、プロピレンとプロピレン以外の炭素数2〜10のα−オレフィンとを各モノマーがランダムに配列するように共重合させた分子量の比較的低いものが挙げられ、後者においては、プロピレン含量が50重量%以上であり、炭素数2〜10のα−オレフィン含量が50重量%以下のものが好ましく用いられる。当該非晶質のポリオレフィン系樹脂には、例えば宇部興産(株)製のAPAO樹脂(商品名)及びCAP樹脂(商品名)が挙げられる。当該樹脂は、従来のオレフィン系樹脂に比べて、柔軟性と耐熱性の双方が確立されたものである。また、比較的応力緩和性に優れたものでもある。
【0021】
上記α−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、へキセン−1、オクテン−1、ノナン−1、デセン−1、4−メチルペンテン−1、4−メチルへキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などの鎖状α−オレフィンや、シクロペンテン、シクロヘキセンなどの環状α−オレフィンを挙げることができる。これらのα−オレフィンは、1種若しくは2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。また、上記した中でも、非晶質のプロピレン重合体、非晶質のエチレン及び/又はブテン−1とプロピレンとの共重合体、すなわち、エチレンとプロピレンとの共重合体、あるいはブテン−1とプロピレンとの共重合体、さらにはエチレンとブテン−1及びプロピレンとのランダム共重合体が特に望ましく用いられる。なお、本発明においては、非晶質ポリオレフィンは、非晶質のポリオレフィンだけではなく、本発明の効果を発揮できる限りにおいて、低結晶質のポリオレフィンをも含む概念である。
【0022】
また、これらの非晶質ポリオレフィンとしては、数平均分子量が1,000〜28,000、好ましくは1,500〜25,000、さらに好ましくは2,000〜20,000の範囲のものであって、かつ、190℃における溶融粘度が100〜100,000mPa・Sの比較的低粘度のものが好ましく用いられる。
【0023】
さらに柔軟で応力緩和性の高いフィルム層として、三つめにアクリル/ウレタン共重合体、いわゆるアクリル/ウレタンハイブリッド樹脂が挙げられる。当該アクリル/ウレタンハイブリッド樹脂は、アクリル酸及び/又はアクリル酸エステルとウレタンとを共重合させた樹脂であって、無溶媒化によって重合生成されるものである。当該樹脂は、無乳化剤で合成でき、粒子中にウレタンとアクリルが分子レベルで相溶しているため、耐水性、柔軟性に優れたフィルムを得ることができる。
【0024】
これら高い応力緩和性を有する樹脂に共通するのは、結晶部分を有しながらも構成上多くの非晶質性領域を持っていることと、分子同士間若しくはミクロな異相構造に置ける界面において架橋による強固な結合が比較的少ない構造を持っていることである。
【0025】
次に、第2のフィルム層となる比較的硬く応力緩和性の小さいフィルム層には、上記以外のあらゆる熱可塑性樹脂が用いられる。この場合、第1のフィルム層の効力緩和性よりも低い応力緩和性を有することが必要である。当該熱可塑性樹脂には、例えばスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、エチレンプロピレンゴム(EPR)、ランダムプロピレン(RandomPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。もちろん、皮膚側の前記第1のフィルム層に比べて硬く、応力緩和性の低いフィルム層を一定以上の量(膜厚比)で組み合わせることができればよく、上記列記した樹脂に限定されるものではない。また、上記第1のフィルム層と同系統の樹脂であっても、いわゆるグレードが低く比較的硬く応力緩和性のやや低いものについても、当該第2のフィルム層として十分に使用できるものである。
【0026】
さらに第1のフィルム層に各種の添加物を用いることによっても、柔軟性及び応力緩和性を異ならせることができるため、添加剤を使い分けることによって本発明の目的を達成できる特性に近づけることもできる。ただし、用いられた添加剤が、他のフィルム層に移行しないことが望ましい。
【0027】
当該添加物には、樹脂流動化剤として脂肪酸、若しくは脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、エステルワックス、高級アルコール、金属せっけんを1種若しくは2種以上、全体量として1〜50重量部、望ましくは5〜40重量部添加することで、応力緩和性を高めることができ、より本発明の目的に合ったものにすることができる。
【0028】
前記脂肪酸として、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。また、脂肪酸エステルには、モノグリセリド類、アセチル化モノグリセリド類、中鎖脂肪酸トリグリセリド類のグリセリン脂肪酸エステル、若しくはソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、高級アルコール脂肪酸エステル、特殊多価アルコール脂肪酸エステルの何れか1種若しくは2種以上の組み合わせが挙げられる。エステルワックスには、ブチルステアレート、ステアリルステアレート、セチルステアレート、グリセリンモノトリステアレート、グリセリントリステアレート、グリセリンジトリステアレート等が挙げられる。また、高級アルコールには、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどが挙げられる。さらに金属せっけんには、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムなどが挙げられる。
【0029】
また、基材フィルム全体の柔軟性を調整するため、前記第1のフィルム層及び/又は第2のフィルム層には、さらに軟化剤を含有させることもできる。当該軟化剤には、スチレン−ブタジエンゴムの水素添加物又はそのマレイン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合物、エチレン−メタクリル酸グリシジルエステル共重合体、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、無水マレイン酸グラフトエチレンポリプロピレンゴム、アクリル酸グラフトポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル/エチレン−プロピレン−ジエン/ポリオレフィン系グラフト共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属塩、塩素化パラフィンの少なくとも1種以上を用いることができる。
【0030】
さらに、前記第1のフィルム層及び/又は第2のフィルム層には、非架橋のゴム系ポリマーであるイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、1,2−ポリブタジエン(1,2−BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、イソプレン−プロピレンゴム(EPM若しくはEPDM)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、アクリルゴム(ACM若しくはANM)、エピクロルヒドリンゴム(CO若しくはECO)、多硫化ゴム(T)、シリコーンゴム(Q)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、フッ化シリコーンゴム(FVMQ)、フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム(U)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、オキシプロピレン、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ポリオレフィングリコール、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリスルフィドゴム、ポリイソブチレン、ポリイソブテン等を添加して、柔軟性及び/若しくは応力緩和性を目的にかなった方向に調整することもできる。
【0031】
さらに、いずれの層においても、所望するところにより、各種の添加剤や充填剤を加えることができる。例えば、添加剤としては、耐熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、核剤、難燃剤、顔料又は染料が挙げられる。また、充填剤として、水酸化マグネシウム、ゼオライトやベントナイト、マイカ、タルク、ケイ酸カルシウム、シリカ、カオリン、ガラス繊維、クレーなどの各種ケイ酸化合物、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム等などの各種無機充填剤、若しくはポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維、木粉、パルプ、コルク粉やポリスチレンラテックス、尿素−ホルムアルデヒド粒子、ポリエチレン−パウダー等の合成樹脂などの各種有機充填剤が挙げられる。これらの充填剤は、各層中に10〜200重量部が配合される。特に、これらの充填剤の中でも、ゼオライト、ベントナイト、マイカ、タルク、ケイ酸カルシウム、シリカ、カオリン、ガラス繊維、クレーなどのケイ酸化合物が好適に用いられる。
【0032】
また、上記添加剤の中でも特に、熱や空気中の酸素、光による障害に対する安定性の観点から、とりわけ、カーボンブラックや2,2−チオ−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート並びに種々の公知のアミン安定剤及びフェノール安定剤、dl−α−トコフェロールを添加するのが好ましい。
【0033】
また、各層のフィルム層を形成する樹脂組成物中には、樹脂同士の相溶化性を高めるだけでなく、基材フィルムの耐衝撃性や延伸性、柔軟性、透明性等の不具合を防止するため、種々の高分子系相溶化剤や樹脂改良剤を用いることが好ましい。
【0034】
このような高分子系相溶化剤若しくは樹脂改良剤として、具体的には、スチレン−ブタジエンゴムの水素添加物又はそのマレイン化物、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸共重合物、エチレン−メタクリル酸グリシジルエステル共重合体、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、無水マレイン酸グラフトエチレンポリプロピレンゴム、アクリル酸グラフトポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル/エチレン−プロピレン−ジエン/ポリオレフィン系グラフト共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体の金属塩、塩素化パラフィンなどが挙げられる。
【0035】
これらの相溶化剤(樹脂改良剤)は、通常フィルム形成用樹脂組成物全体量に対して、0.1〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%を添加するのが好ましい。0.1重量%未満であれば各層フィルムの成形性や延伸性、透明性、柔軟性の何れかにが顕著に損なわれる恐れがある。また、40重量%を越えると、得られたフィルムの耐熱性、基材フィルムとしての操作性、耐ブロッキング性の低下が明瞭に認められる。
【0036】
本発明の貼付材に用いられる基材フィルムは、上記の各成分を混合して成形されるが、この時の調整方法は特に制限させるものではなく、従来の公知の種々の混練機、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等の各種混練機、あるいは一軸若しくは二軸押出機等を用いて加熱溶融混練して、通常ペレット状若しくは塊状のものに一旦形成される。この樹脂ペレット若しくは塊を使用して次いでフィルム状に加工されるが、フィルム成形にあってもその方法は特に限定されるものではなく、従来から公知であるTダイ法、インフレーション法、カレンダー法、圧延法等により所定の厚みに成形することができる。また、必要に応じてアニール処理を施すことにしてもよい。もちろん、樹脂ペレットとすることなく上記樹脂組成物を混練して直ちにフィルム状に加工する、また、樹脂の種類によっては、ホットメルトによる各種塗工方法や溶液にしてからキャスティング−乾燥工程を経る方法によって手軽に成形されうる。
【0037】
また、基材フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、使用目的に応じて適宜設定される。一般的には全体として約12〜1000μmの範囲に成形される。12μm未満であれば、いわゆる腰が足りなくなり、取扱いが困難になる。また、1000μmを越えると、柔軟性に欠ける。ただし、応力緩和性が高い第1のフィルム層の厚みに対しては、10μm以上望ましくは50μm以上あるのが構成樹脂の特性を活かせることができ、それだけ大きな皮膚表面の動きに対しても応力緩和効果が発揮されやすくなる。一方、第1のフィルム層が、基材フィルム全体の半分以上の厚みになると柔軟性が強く出て、やはり取扱いが困難になる恐れがある。従って、第1のフィルム層としては、10μm以上500μm以下の範囲に成形されるのが好ましい。
【0038】
また、上記基材フィルムには、種々の特性を付加する目的で、第1のフィルム層又は第2のフィルム層以外の各種プラスチックフィルム若しくは不織布、多孔質膜等第3のフィルム層を積層することができる。当該第3のフィルム層は、第1のフィルム層と第2のフィルム層との間や第2のフィルム層の外側(露出表面側)などに積層される。この結果、アンチブロッキング性の付与、各層の構成樹脂や粘着剤成分によるブリードの防止等の機能を付加することができる。当該第3のフィルム層はこれらの機能が効果的に発揮されるようにフィルムの厚さや積層する枚数を調整するのがよい。
【0039】
本発明に係る貼付材は、こうして得られた基材フィルムの皮膚貼付側最外層にある第1のフィルム層側に粘着剤層が形成される。粘着剤層を形成するに際し、当該基材フィルムに直接粘着剤層を形成するだけでなく、基材フィルムとの投錨力向上のため、従来からある公知の方法により、コロナ処理や下塗り剤による前処理を施して間接的に粘着剤層を形成するのが好ましい。
【0040】
当該粘着剤層には、従来から医療用の粘着剤として用いられるものであれば特に限定されることなく、いかなる粘着剤をも用いることができる。当該粘着剤として、例えば、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤を挙げることができる。特に皮膚への刺激性を考慮すればアクリル系粘着剤を用いるのが望ましく、また、本発明においては、アクリル系粘着剤を用いた場合により一層応力緩和性が向上される。
【0041】
また粘着剤層の厚みは、10〜200μmが好ましく、さらに好ましくは20〜100μmである。10μmより薄いと、貼付材として皮膚に適用した場合、十分な固定性が得られないことがある。また、200μmよりも厚いと貼付材として皮膚に適用後剥離時に、粘着力が強過ぎてかぶれを引き起こす懸念がある。また、過剰の糊厚のためコスト的にも不利となる。これらの粘着剤は、従来から公知の方法によって上記基材フィルム上に塗布や転写され、粘着剤層が形成される。
【0042】
このようにして得られた本発明に係る貼付材は、例えば、ロール状に巻回され、いわゆる巻絆創膏(サージカルテープ)として用いられる。
【0043】
また、適当な大きさに切断した後、粘着剤層の表面中央領域に吸液性のパッドを備え、救急絆創膏として用いることもできる。当該吸液性パッドとしては、従来から使用されている公知のものが用いられ、例えば、ガーゼや織布、不織布、脱脂綿と不織布との複合品、脱脂綿と編ネットとの複合品などを挙げることができる。また、その大きさは貼付材の大きさによっても異なるが、吸液性パッドの周囲に該貼付材の粘着剤層が少なくとも2〜3mm程度露出されるような大きさに調整するのが好ましい。
【0044】
上記本発明の救急絆創膏は、粘着剤層の表面の汚染を防ぐために、使用するまで粘着剤層表面をセパレータにて被覆しておくことが好ましい。この場合、使用するセパレータは、オルガノシロキサン系ポリマーを含有する粘着剤層との離型性を良好とするためシリコーン系の離型剤を用いたものを用いることが好適である。
【0045】
このように本発明においては、応力緩和性の比較的大きな特性を有する第1のフィルム層にそれよりも応力緩和性の低い第2のフィルム層を積層して基材フィルムとし、皮膚貼付側の最外層にある第1のフィルム層に粘着剤層を積層することによって、可塑化による応力緩和が簡単に起こらず皮膚に対する安定な固定性を得ると共に、皺が起こりにくく、皺の発生に伴う皮膚の発赤を少なくした皮膚刺激性の少ない貼付材を提供できる。
【0046】
【実施例】
次に以下の各実施例に基づいて、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、以下における「部」は「重量部」を意味し、「%」とは「重量%」を意味する。もちろん、本発明は以下の実施例に限られるものでないのはいうまでもない。
【0047】
<基材フィルムの調整>
[基材フィルムの材料]
熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン樹脂(商品名「グランドポリプロ」、J701及びE105、グランドポリマー(株))、低密度ポリエチレン(LDPE)(商品名「ペトレセン」、339、東ソー(株))、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)(商品名「エバテート」、D2010F、住友化学(株))、エチレンプロピレンゴム(EPR)(商品名「TSREP」、EP01P、日本合成ゴム(株))、PP/EPR共重合体(商品名「KS−021P」、Montell JPO(株)」、非晶質ポリαオレフィン(商品名「ウベタックAPAO」、UT2780、宇部興産(株))、APAO/PPブレンド物(商品名「CAP」、CAP350、宇部興産(株))を用いた。
【0048】
無機充填剤には、タルク(商品名「ミクロエースP−4」、日本タルク(株))を用いた。相溶化剤・樹脂改良化剤として、水素添加型スチレン−ブタジエンランダム共重合体(HSBR)(商品名「DYNARON」、ダイナロン(DR1321P)、日本合成ゴム(株))を用いた。また、樹脂流動化剤には、ミリスチン酸イソプロピル(商品名「エキセパールIPM」、花王(株)」を用いた。
【0049】
[各樹脂の調整]
基材フィルムの各層に用いられる樹脂は、20Lの加圧ニーダを用い、缶体温度125℃に加温し、ベースポリマーを投入し、混練しながら缶体を徐々に170℃に加熱した。170℃に昇温後、30分間混練した。さらに必要に応じて、無機充填剤、相溶化剤・樹脂改良剤、樹脂流動化剤を投入して、そのままさらに30分間混練した。これらの樹脂は必要に応じてペレット状にした。
【0050】
また、ウレタン−アクリルハイブリッド樹脂は、重合段階から作製した。まず、数平均分子量3000のポリプロピレングリコール50部に、アクリル酸ブチル45部及びアクリル酸5部からなる単量体混合物、水酸基を有する連鎖移動剤として2−メルカプトエタノール1部、重合開始剤として2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.05部を加えて、窒素気流下、50℃5時間重合反応を行い、上記ポリプロピレングリコールと数平均分子量7500の重合体(アクリルポリマー)との混合物からなる粘ちょうな液体を得た。このような混合物からなる粘ちょう液体を、100℃に加熱して減圧処理し、残存する水分を除去したのち、イソホロンジイソシアネート11.8部(全水酸基に対して2.3倍当量)を加え、ジブチルチンジラウレート0.01部を加えて、65℃3時間反応させ、イソシアネートプレポリマーを合成した。このイソシアネートプレポリマーに、トリエチルアミン7部(カルボキシル基に対して等当量)を加えてカルボキシル基を中和した後、撹拌しながら水150部を加えて、上記プレポリマーを水に分散させた。次いで、エチレンジアミン1.8部(残存するイソシアネート基に対して等当量)を水16.2部で希釈した溶液を加えて、65℃で3時間反応させ、主鎖延長を行なった。
【0051】
このようにして得たウレタン−アクリルハイブリッド水分解物に、水250部を加え、撹拌しながらアクリル酸ブチル10部とメタクリル酸メチル40部とからなる非粘着化用単量体混合物(コポリマーのガラス転移点温度:330K)を加えて、上記水分解物のウレタン−アクリル核ポリマー粒子に吸収させた。次いで、2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2イル)]プロパン0.02部を加えて、重合反応を開始し、50℃で4時間保持した後、70℃に昇温して1時間保持し、その後冷却した。このような重合処理によって、ポリオール成分29重量%、アクリル成分58重量%(残りの成分には中和剤やウレタンの主鎖延長剤などが含まれる)からなる室温で非粘着性のウレタン−アクリルポリマーが水に安定に分散されたウレタン−アクリルハイブリッド水分散体を得た。
【0052】
[基材フィルムの成膜方法]
その後、上記樹脂及び樹脂組成物を用い、表1に示す実施例1〜6及び比較例1〜5の基材フィルムを得た。なお、比較例1〜3の基材フィルムは以下に示す押出延伸成形法により、実施例1及び2の基材フィルムは以下に示す共押出成形法により、実施例3、4及び比較例4の基材フィルムは以下に示すホットメルト塗工により、実施例5,6及び比較例5の基材フィルムは以下に示すキャスティング法により成膜した。
【0053】
(押出延伸成形法 Tダイ法)
2軸押出延伸機(Tダイのギャップの長さ120mm、間隙の幅1mm)を用いた。押出機のシリンダー温度を、150〜220℃の間となるように樹脂の種類に応じて適宜調整した。この後、所定の厚みに押し出した直後に冷却ロールを通し、次の熱延伸ロールを通過させる際2〜8m/分の回転速度範囲内で2つの延伸ロール回転比を適宜調整することで、フィルムの厚みが50μmのものと100μmのものを得た。そして、再度冷却ロールを通過させてからロール状に巻き取った。
【0054】
(共押出成形法)
2軸共押出延伸機(各Tダイのギャップの長さ120mm、間隙の幅1mm)を用いた。各樹脂に対する押出機のシリンダー温度を、150〜220℃の間となるように樹脂の種類に応じて適宜調整した。この後、各ダイから各フィルム層の厚みが各50μmとなるように共押出した直後に樹脂層を合わせながら冷却ロールを通し、次の熱延伸ロールを通すときに2〜8m/分の回転速度範囲内で2つの延伸ロール回転比を適宜調整することで、フィルムの厚みが全体で100μmとなるように成膜した。次に再度冷却ロールを通過させてからロール状に巻き取った。
【0055】
(キャスティングによる多層化)
ウレタン−アクリルハイブリッド水分散体を、上記押出成形によって得た50μm厚のフィルム(比較例にあっては、セパレータ)上に乾燥後の厚みが100μmになるようにアプリケーターで直接塗工した後、130℃で5分間乾燥して、基材フィルムを得た。
【0056】
【表1】
Figure 0004853887
【0057】
<貼付材の作製>
上記で得た各基材フィルムを支持基材として用い、その片面にアクリル酸とアクリル酸イソオクチルエステルからなるアクリル系樹脂(配合重量比5:95)を、粘着剤層の厚さが40μmとなるように塗布し、実施例及び比較例の貼付材を得た。
【0058】
<評価試験>
上記のようにして作製した貼付材を用い、以下に示す項目について評価試験を行なった。
(貼付性)
上記実施例及び比較例で得た貼付材を、それぞれ5cm×5cm(25cm2)の大きさに裁断して、健常人ボランティア12名の肘(屈曲部)及び上腕内側(かぶれやすい部位)に24時間貼付してもらい、貼付感、皮膚接着性及び皮膚刺激性について5段階評価により評価した。なお、皮膚刺激性については肘についてのみ評価した。その結果を表2に示した。また、表2には12名の平均値を示した。
(チューブ固定性)
上記貼付材をそれぞれ12mm×70mmの大きさに裁断し、健常人ボランティア12名の前腕内側に、外径8mm長さ10cmのシリコーンチューブを、チューブの両端を20mm離してU字形状に曲げた状態で、貼付材を横長にして固定した。このとき、貼付材の側端からチューブ先端が1mm程度飛び出るようにした。この状態で6時間貼付し、チューブの両端が元の距離から何mm開いたかを測定した。動く距離に応じて次に示す基準で固定性を評価し、その結果を表2に示した。
〔評価基準〕
開いた距離が、
5: 0〜 5mm未満
4: 5〜10mm未満
3:10〜20mm未満
4:20〜40mm未満
5:40mm以上
(救急絆創膏の貼付性)
上記実施例及び比較例の貼付材を、それぞれ19mm×72mmの大きさに裁断し、粘着剤表面の中央領域に12mm×20mmの大きさのガーゼパッドを設けて、救急絆創膏を作製した。得られた救急絆創膏を、健常人ボランティア12名の指第2関節に6時間ラップ巻すると共に前腕部に8時間貼付してもらい、貼付感、皮膚接着性、皮膚刺激性について5段階評価により評価した。その結果を表3に示す。なお、表3には12名の平均値を示した。
【0059】
<評価結果>
表2及び表3から分かるように、本発明の貼付材においては、比較例の各貼付材に比べて貼付感及び皮膚接着性において良好な結果を得ることができた。特に動きの大きな肘に貼付した場合に、応力緩和性が高いとされている非晶質ポリオレフィン系樹脂を用いた比較例4やウレタン−アクリルハイブリッド樹脂を用いた比較例5の貼付材などと同様な貼付感、皮膚接着性が得られた。その一方で、当該比較例4や比較例5では貼付中に皺が寄りその皺に沿って発赤を生じたが、各実施例の貼付材においては、そのような発赤が見られず、皮膚刺激性を低減できた。
【0060】
【表2】
Figure 0004853887
【0061】
【表3】
Figure 0004853887
【0062】
【発明の効果】
本発明の貼付材によれば、少なくとも皮膚貼付側最外層に非晶質ポリオレフィン、オレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイ、オレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとの共重合物、アクリル/ウレタン共重合体の何れか1種以上のオレフィン系熱可塑性エラストマーからなる第1のフィルム層を有すると共に、他層に前記オレフィン系熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性樹脂からなり前記第1のフィルム層よりも応力緩和性の小さい第2のフィルム層を有している。この結果、基材フィルム全体としてはある程度剛性を有し変形を生じにくく、皮膚貼付面側においては柔らかくて変形することによりその部分の応力を減少させることができる。この結果、皮膚に頻繁に起こり得る小さな動きに対しては、迅速な追従性、緩和性を示し、大きな皮膚の動きに対しては、変形による固定物の緩みやテープの皺発生による皮膚への引っ張り感の増大、さらにそれに伴う局所的な刺激を減少させることができる。このように本発明によれば、適度な応力緩和性により、操作性を確保しつつ皺の発生に伴う皮膚刺激性を低減すると共に、過度の応力緩和による緩みを防止できる。

Claims (8)

  1. 粘着剤層が直接的若しくは間接的に基材フィルムに積層された貼付材であって、
    前記基材フィルムは2層以上の多層構造であり、少なくとも皮膚貼付側最外層に非晶質ポリオレフィン、オレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとのポリマーアロイとのポリマーアロイ又はオレフィン系樹脂と熱可塑性エラストマーとの共重合物であるオレフィン系熱可塑性エラストマー、アクリル/ウレタン共重合体の何れか1種以上の樹脂からなる第1のフィルム層を有すると共に、他層に前記オレフィン系熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性樹脂からなり前記第1のフィルム層よりも応力緩和性の低い第2のフィルム層を有し、
    前記非晶質ポリオレフィンは、非晶質ポリプロピレン、エチレン及び/又はブテン−1とプロピレンとのランダム共重合体の何れか1種若しくは2種以上であり、
    前記ポリマーアロイは、ポリプロピレンとエチレンプロピレンラバーを反応用器中で混合と重合を同時に行うことによって得られたものであって、
    前記第1のフィルム層に前記粘着剤層が積層されたことを特徴とする貼付材。
  2. 前記第1のフィルム層に、脂肪酸若しくは脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、高級アルコール、金属せっけんのうち何れか1種若しくは2種以上が配合されたことを特徴とする請求項1に記載の貼付材。
  3. 前記第1のフィルム層に、無機充填剤及び/又は有機充填剤が配合されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の貼付材。
  4. 前記第2のフィルム層は、熱可塑性エラストマーからなることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の貼付材。
  5. 前記第1のフィルム層の厚みが、少なくとも10μm以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の貼付材。
  6. 前記粘着剤層の厚みは、10〜200μmであることを特徴とする請求項5に記載の貼付材。
  7. 基材フィルムに粘着剤層を備えた貼付材が巻回されてなる絆創膏であって、
    前記貼付材は、請求項1〜6の何れか1項に記載の貼付材であることを特徴とする絆創膏。
  8. 基材フィルムに粘着剤層を備えた貼付材と、前記粘着剤層の中央領域に吸液性パッドを備えた救急絆創膏であって、
    前記貼付材は、請求項1〜6の何れか1項に記載の貼付材であることを特徴とする救急絆創膏。
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