JP3961138B2 - 皮膚貼付用粘着テープ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚患部の保護や薬物の経皮吸収のための皮膚貼付用粘着テープに関し、さらに詳しくは、皮膚追従性及び透湿性に優れ、安定した粘着力を有し、剥離時の痛み、角質剥離、皮膚刺激などが低減された低刺激性の皮膚貼付用粘着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、皮膚患部の保護や薬物の経皮吸収のために、各種の皮膚貼付用粘着テープが開発されている。一般に、皮膚貼付用粘着テープは、柔軟性のある支持体の片面に、必要に応じて薬物を含有する粘着剤層が形成された構成を有している。皮膚貼付用粘着テープには、(1)貼付する皮膚面の形状や動きに追従できる良好な皮膚追従性を有すること、(2)発汗による水分の貯留がなく、透湿性に優れること、(3)剥離時に痛みや角質層の剥離がないこと、(4)長時間にわたって皮膚粘着性を維持できること、(5)かぶれ、かゆみ、紅斑などの皮膚障害のないことなどが要求されている。しかしながら、皮膚貼付用粘着テープは、長時間にわたって皮膚面に貼付されることが多いため、副作用として、常に皮膚刺激等の問題がつきまとうという問題があった。
【0003】
従来、皮膚貼付用粘着テープに用いる支持体としては、例えば、ポリエチレンフィルム、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエステルエラストマーフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリオレフィン系微多孔性フィルム、ポリウレタン不織布、ポリエステルエラストマー不織布などが用いられている。
【0004】
これらの支持体のうち、ポリエチレンフィルム、EMMAフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどのフィルムは、それ自体、透湿性を有していないため、穿孔機により孔をあけて透湿性を付与している。しかし、穿孔による開孔率は、せいぜい数%程度であり、しかも、各孔の間隔が大きく、孔の開いていないところは透湿性がないため、十分な透湿性を得られないという問題がある。
【0005】
ポリウレタンフィルム、ポリエステルエラストマーフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリウレタン不織布、ポリエラストマー不織布などは、高価であることに加えて、あまりにも柔らかすぎるという問題がある。支持体が柔らかすぎる皮膚貼付用粘着テープは、皮膚面へ貼付する際に、しわが寄ったりするため、取り扱いが困難である。また、ポリウレタンフィルムやポリビニルアルコールフィルムは、厚みを大きくすると、40μm程度でも透湿性が著しく減少し、60μm以上になると透湿性を示すものは殆どない。
【0006】
ポリオレフィン系微多孔性フィルムは、透湿度が2,500g/m2 ・24h以上の透湿性に優れたものが知られており、皮膚追従性もあり、比較的低価格である。しかしながら、従来のポリオレフィン系徴多孔性フィルムの多くは、透気度の数値が500sec/100cc以上であり、厚みも薄いため、紙おむつや生理用品などの用途には適しているものの、皮膚貼付用粘着テープの支持体としては、満足できるものではなかった。すなわち、本発明者らの検討結果によれば、透気度の数値が500sec/100cc以上のポリオレフィン系微多孔性フィルムの面上に粘着剤層を形成すると、透湿度が著しく低下して、透湿性に優れた粘着テープが得られないことが分かった。皮膚貼付用粘着テープは、皮膚に貼付した場合、蒸れにくく、角質剥離量が少なく、かつ、安定した粘着力を示すには、700g/m2 ・24h以上の透湿度を有することが望ましい。ところが、前記微多孔性フィルムを支持体として使用すると700g/m2 ・24h以上の透湿度を有する粘着テープを得ることができない。また、ポリオレフィン系微多孔性フィルムの厚みが薄すぎると、支持体としては柔らかすぎるという問題がある。この厚みを厚くすると、粘着テープとした場合に、透湿度がさらに低下する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、皮膚追従性、透湿性、及び皮膚粘着性のいずれもが適度の範囲にあって、これらの諸特性が高度にバランスしており、発汗時や長時間貼付時の粘着性が安定し、しかも、剥離時の痛み、角質剥離、及び皮膚刺激が大幅に低減された皮膚貼付用粘着テープを提供することにある。
【0008】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、ポリオレフィン系樹脂及び無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成された微多孔性フィルムであって、厚みが40〜200μm、平均孔径が0.02〜10μm、透気度が10〜300sec/100cc、透湿度が1,000〜20,000g/m2 ・24h、並びに、機械方向及び幅方向の15%伸張時の応力がいずれも0.5〜15N/15mmという選択された特性を有する微多孔性フィルムが皮膚貼付用粘着テープ基材として好適であり、これを支持体とすることにより、前記の如き諸特性に優れた皮膚貼付用粘着テープが得られることを見いだした。また、該微多孔性フィルムを支持体として用い、かつ、粘着剤ずれ量、透湿度、及び対ベークライト粘着力を特定の範囲に調整することにより、特に皮膚刺激性が著しく低減された皮膚貼付用粘着テープが得られることを見いだした。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、支持体の少なくとも片面に粘着剤層が形成された皮膚貼付用粘着テープにおいて、
該支持体が、ポリオレフィン系樹脂及び無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成された微多孔性フィルムであって、
(1)厚みが40〜200μm、
(2)平均孔径が0.02〜10μm、
(3)透気度が10〜300sec/100cc、
(4)透湿度が1,000〜20,000g/m・24h、及び
(5)機械方向及び幅方向の15%伸張時の応力が、いずれも0.5〜15N/15mmの諸特性を有する微多孔性フィルムであり、
該粘着剤層が、
(A)炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜97.5重量%、
(B)式(1)
【0010】
【化4】
Figure 0003961138
【0011】
(式中、R 及びR は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基で、R は、炭素数1 〜20のアルキル基で、nは、2〜12の整数である。)
で表される(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステル2〜49.5重量%、
(C)(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル、式(2)
【0012】
【化5】
Figure 0003961138
【0013】
(式中、R 及びR は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基で、mは、2〜12の整数である。)
で表される水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、及び式(3)
【0014】
【化6】
Figure 0003961138
【0015】
(式中、R は、水素原子またはメチル基であり、Xは、炭素数2以上の2価の有機基であって、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。)
で表されるカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーから選ばれる水酸基またはカルボキシル基含有モノマー0.5〜15重量%、並びに
(D)共重合可能なその他のビニルモノマー0〜30重量%
の共重合体からなるアクリル系粘着剤により形成されたものであり、かつ、
粘着テープ特性として、
(a)粘着剤ずれ量(mm/12×20mm・2N・30min)が0.15〜1.20mm、
(b)透湿度が750〜3,000g/m・24h、及び
(c)対ベークライト粘着力が0.6〜1.5N/15mm
の諸特性を有することを特徴とする皮膚貼付用粘着テープが提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
(支持体)
本発明では、低刺激性の皮膚貼付用粘着テープの支持体として、ポリオレフィン系樹脂及び無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成された微多孔性フィルムを使用する。微多孔性フィルムを作製するには、例えば、当該樹脂組成物を用いて未延伸フィルムを作製し、次いで、該フィルムを一軸または二軸方向に延伸して延伸フィルムとする方法が挙げられる。
【0017】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂などを挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂には、エチレン−α−オレフィン共重合体が含まれる。α−オレフィンとしては、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、通常のチーグラー・ナッタ触媒を用いて得られたものであっても、また、メタロセン触媒や拘束幾何触媒などのシングルサイト触媒を用いて得られたものであってもよい。ポリオレフィン系樹脂の密度は、通常0.89〜0.97g/cm3 程度であり、メルトインデックス(MI)は、通常0.1〜50g/10min程度である。これらのポリオレフィン系樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化チタン、シリカ、クレー、タルク、硫酸アルミニウムなどを挙げることができる。これらの無機充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。無機充填剤の形態は任意であるが、球状、粒状、不定形などの形態であることが好ましい。無機充填剤の平均粒径は、通常0.07〜15μm、好ましくは0.1〜9μm程度である。平均粒径がこの範囲内にあることによって、延伸性が良好で、平均孔径、透気度、透湿度などを所望の範囲に調整しやすくなる。
【0019】
無機充填剤の配合割合は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、通常50〜250重量部、好ましくは80〜200重量部程度である。無機充填剤の配合割合がこの範囲内にあることによって、得られる微多孔性フィルムの諸特性を所望の範囲に調整することができる。
【0020】
ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤とを含有する樹脂組成物には、必要に応じて、分散剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤などの添加剤を含有させることができる。特に、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸などの炭素数10〜22の高級脂肪酸;炭素数10〜22の高級脂肪酸と炭素数1〜12の脂肪族アルコールとの脂肪酸エステル(例えば、精製ヒマシ油)などの分散剤は、延伸性を高め、透気度やソフト感を増大させ、風合いを良好なものとすることができるので好ましい。分散剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、通常、0.5〜25重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で添加される。
【0021】
上記樹脂組成物を用いて微多孔性フィルムを作製するには、Tダイ法やインフレーション法により該樹脂組成物を溶融成形して未延伸フィルム(シート)とした後、一軸方向または二軸方向に延伸して延伸フィルムとする。同時二軸延伸を行ってもよい。延伸方法としては、特に限定されず、一軸延伸では、フラット状でのロール延伸、オーブン延伸、及びチューブ状延伸等があり、二軸延伸では、フラット状でのテンター延伸、チューブ状でのインフレーション延伸、マンドレル延伸等がある。延伸倍率は、少なくとも一軸方向に、通常1.2〜6倍、好ましくは1.5〜5倍、より好ましくは2〜3倍程度である。寸法精度を高めるために、延伸後、フィルムを緊張下に熱処理して熱固定してもよい。延伸温度や熱処理条件などのその他の延伸条件は、通常のポリオレフィン系樹脂の延伸条件に従って、適宜選択することができる。延伸することにより、ポリオレフィン系樹脂と無機充填剤との界面が剥離するなどして、微多孔質構造が形成される。
【0022】
本発明では、ポリオレフィン系樹脂の種類、充填剤の種類と配合割合、分散剤などの添加剤の種類と添加量、延伸倍率などの延伸条件などを適切に制御することにより、下記の特性を有する微多孔性フィルムを作製する。
(1)厚みが40〜200μm、
(2)平均孔径が0.02〜10μm、
(3)透気度が10〜300sec/100cc、
(4)透湿度が1,000〜20,000g/m2 ・24h、及び
(5)機械方向及び幅方向の15%伸張時の応力が、いずれも0.5〜15N/15mm。
【0023】
本発明の微多孔性フィルムの厚みは、40〜200μmで、好ましくは45〜150μm、より好ましくは50〜100μmである。この厚みが薄すぎると、柔らかくなりすぎて、得られる皮膚貼付用粘着テープが扱いにくいものとなる。この厚みが厚くなりすぎると、柔軟性が損なわれ、得られる皮膚貼付用粘着テープの皮膚追従性が低下する。
【0024】
本発明の微多孔性フィルムの平均孔径は、0.02〜10μmであり、好ましくは0.05〜6μm、より好ましくは0.1〜5μmである。平均孔径は、走査型電子顕微鏡により微多孔性フィルムの写真を撮影し、この写真を観察して各孔の長径を測定し、その平均値を算出することにより得ることができる。孔径は、通常、0.01〜20μmの範囲にばらついて分布しているが、多くの場合、10μm以下であり、それによって、微細な孔が多数形成された微多孔性フィルムとなる。この平均孔径が小さすぎると、透気度及び透湿度が低下する。この平均孔径が大きすぎると、柔軟性が低下する。
【0025】
本発明の微多孔性フィルムの透気度は、10〜300sec/100ccで、好ましくは30〜280sec/100cc、より好ましくは50〜270sec/100ccである。透気度は、JIS P−8117の透気度試験方法(温度23℃、相対湿度65%)で測定することができる。この透気度は、一定面積(645mm2 )のフィルム面を一定圧力の空気100ccが通過するのに要する時間であり、小さいほど透気性が良好であることを示す。微多孔性フィルムの透気度が大きすぎると、その透湿度が大きくても、粘着テープの支持体として、その面上に粘着剤を塗布すると、透湿度が著しく小さな粘着テープしか得ることができない。この透気度が小さすぎると、柔軟性が損なわれやすくなったり、粘着剤が孔にしみ込んでしまいやすくなる。透気度が前記範囲内にあることによって、粘着テープの透湿度を皮膚貼付用として望ましい700g/m2 ・24h以上とすることができる。
【0026】
本発明の微多孔性フィルムの透湿度は、1,000〜20,000g/m2 ・24hで、好ましくは2,500〜15,000g/m2 ・24h、より好ましくは3,000〜10,000g/m2 ・24hである。微多孔性フィルムの透湿度が小さすぎると、粘着テープの透湿度が低下する。この透湿度が大きすぎると、もろくなる。
【0027】
本発明の微多孔性フィルムの機械方向(MD)及び幅方向(TD)の15%伸張時の応力(15%引張応力ともいう)は、いずれも0.5〜15N/15mmで、好ましくは0.7〜12N/15mm、より好ましくは1〜10N/15mmである。微多孔性フィルムの柔軟性は、15%伸張時の応力を測定することにより、客観的に評価することができる。微多孔性フィルムの15%伸張時の応力が上記範囲内にあるとき、貼付する皮膚面の動きに追従しやすい粘着テープを得ることができる。この応力が小さすぎると、柔らかすぎて、皮膚貼付用粘着テープの支持体としては不適当なものとなる。この応力が大きすぎると、柔軟性が低下する。
【0028】
(粘着剤)
本発明では、前記の特定の諸特性を有する微多孔性フィルムを支持体として使用し、その片面または両面に粘着剤層を形成することにより、皮膚追従性及び透湿性に優れ、安定した粘着力を有し、剥離時の痛み、角質剥離、皮膚刺激などが低減された低刺激性の皮膚貼付用粘着テープを得ることができる。
【0029】
粘着剤は、特に限定されないが、皮膚刺激性の低減等の観点から、粘着剤ずれ量(mm/12×20mm2 ・2N・30min)が0.15〜1.20mmの範囲となるような粘着剤が好ましい。すなわち、粘着剤としては、前記の支持体同様、貼付する皮膚面の動きを阻害しにくいものが、低刺激性の皮膚貼付用粘着テープを得る上で好ましい。このような粘着剤の粘着特性は、粘着テープとした場合、プライマ処理を施した伸縮性のない硬いフィルム面〔例えば、プライマ付ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム〕に対する粘着剤のずれ量で評価することができる。本発明で用いる粘着剤のずれ量は、好ましくは0.17〜1.0mm、より好ましくは0.20〜0.50mmである。粘着テープの粘着剤ずれ量が小さすぎると、皮膚刺激性が大きくなる。粘着剤ずれ量が大きすぎると、皮膚面への粘着剤残留などが発生しやすくなる。
【0030】
本発明の皮膚貼付用粘着テープで用いる粘着剤は、剥離時に皮膚面から角質細胞を剥離しにくく、皮膚面に損傷を与えないものが好ましい。このような粘着特性を有する粘着剤としては、粘着テープにした場合の対ベークライト粘着力を指標とすることができる。本発明で使用する粘着剤の対ベークライト粘着力は、好ましくは0.6〜1.5N/15mm、より好ましくは0.8〜1.4N/15mmである。対ベークライト粘着力は、JIS Z−0237の180度引き剥し法に準拠して、幅15mmの粘着テープのベークライトパネルに対する粘着力を測定した値である。
【0031】
本発明で使用する粘着剤は、透湿性に優れていることが好ましく、前記支持体上に粘着剤層を形成した場合、透湿度が750〜3,000g/m2・24h、好ましくは800〜2,000g/m2・24hの値を有する粘着テープを与えるものである。粘着テープの透湿度が小さすぎると、発汗による水分の貯留、剥離時における角質層の剥離、かぶれ、かゆみ、紅斑などの皮膚障害などの原因となる。粘着テープの透湿度の上限は、支持体の透気度や透湿度、粘着剤の種類等によって制限される。
【0032】
膚貼付用粘着テープに使用する粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤などを挙げることができるが、本発明では、これらの粘着剤の中でも、初期タックあるいは皮膚刺激の面からは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分単量体とする単量体または単量体混合物を(共)重合して得られるアクリル系粘着剤が用いられる。安定した皮膚粘着性、高透湿性、角質剥離量低減、及び剥離時の皮膚の痛みの軽減の点からは、コモノマーとして、(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステルと、水酸基またはカルボキシル基含有モノマーとを併用して得られるアクリル系共重合体を粘着剤成分とするアクリル系粘着剤が特に好ましい。
【0033】
より具体的に、本発明で用いるアクリル系粘着剤としては、(A)炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜97.5重量%、好ましくは70〜95重量%、(B)(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステル2〜49.5重量%、好ましくは4〜29重量%、及び(C)水酸基またはカルボキシル基含有モノマー0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%の共重合体を挙げることができる。また、この共重合体は、さらに、0〜30重量%程度の範囲内で、共重合可能なその他のビニルモノマー(D)を共重合したものであってもよい。
【0034】
炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシルなどを挙げることができる。これらの中でも、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、及びアクリル酸イソノニルが好ましい。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステルは、下記の式(1)
【0035】
【化7】
Figure 0003961138
【0036】
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基で、R3 は、炭素数1〜20のアルキル基で、nは、2〜12の整数である。)
で表される(メタ)アクリル酸エステル系モノマーである。
【0037】
この式(1)で表されるモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸メトキシジエチレングリコール(R1 =H、R2 =H、R3 =CH3 、n=2)、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール(R1 =CH3 、R2 =H、R3 =CH3 、n=2)、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール(R1 =H、R2 =CH3 、R3 =CH3 、n=2)、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール(R1 =CH3 、R2 =CH3 、R3 =CH3 、n=2)、アクリル酸エトキシジエチレングリコール(R1 =H、R2 =H、R3 =C25 、n=2)、メタクリル酸エトキシジエチレングリコール(R1 =CH3 、R2 =H、R3 =C25 、n=2)、アクリル酸エトキシジプロピレングリコール(R1 =H、R2 =CH3 、R3 =C25 、n=2)、メタクリル酸エトキシジプロピレングリコール(R1 =CH3 、R2 =CH3 、R3 =C25 、n=2)、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール(R1 =H、R2 =H、R3 =CH3 、n=3)、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール(R1 =CH3 、R2 =H、R3 =CH3 、n=3)、アクリル酸メトキシトリプロピレングリコール(R1 =H、R2 =CH3 、R3 =CH3 、n=3)、メタクリル酸メトキシトリプロピレングリコール(R1 =CH3 、R2 =CH3 、R3 =C25 、n=3)、アクリル酸メトキシポリエチレングリコール(R1 =H、R2 =H、R3 =CH3 、n=4〜10)、メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(R1 =CH3 、R2 =H、R3 =CH3 、n=4〜10)、アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール(R1 =H、R2 =CH3 、R3 =CH3 、n=4〜10)、メタクリル酸メトキシポリプロピレングリコール(R1 =CH3 、R2 =CH3 、R3 =CH3 、n=4〜10)などが挙げられる。
【0038】
水酸基またはカルボキシル基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル及び(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステルを挙げることができる。これらのモノマーの具体例としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−カルボキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−カルボキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−カルボキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸4−カルボキシブチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−カルボキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−カルボキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−カルボキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−カルボキシブチルなどが挙げられる。
また、水酸基またはカルボキシル基含有モノマーとしては、式(2)
【0039】
【化8】
Figure 0003961138
【0040】
(式中、R4 及びR5 は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基で、mは、2〜12の整数である。)
で表される(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、及び、式(3)
【0041】
【化9】
Figure 0003961138
【0042】
(式中、R6 は、水素原子またはメチル基であり、Xは、炭素数2以上の2価の有機基であって、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。)
で表されるカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを挙げることができる。
【0043】
式(3)において、Xの炭素数は、好ましくは2〜50、より好ましくは2〜30程度である。ヘテロ原子は、多くの場合、酸素原子である。Xの具体例としては、例えば、炭素数2以上の直鎖状または分岐状のアルキレン基、−R7 −OCO−R8 −(ただし、R7 及びR8 は、アルキレン基である)、−R9 −OCO−R10−OCO−R11−(ただし、R9 、R10、及びR11は、アルキレン基である)などを挙げることができる。式(3)で表されるカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、例えば、アクリル酸2−カルボキシエチル、2−アクロイロキシエチルこはく酸、アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトンなどが挙げられる。
【0044】
共重合可能なその他のビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド及びその誘導体:アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;酢酸ビニルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル;スチレンなどのビニル芳香族化合物;などが挙げることができる。
【0045】
本発明で使用する粘着剤には、所望により、アクリル系粘着剤に汎用の各種添加剤を添加することができる。また、粘着剤には、所望により、経皮吸収可能な薬物を配合することができる。薬物としては、例えば、狭心症剤、コルチコステロイド剤、鎮痛消炎剤、催眠鎮痛剤、抗炎症剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、冠血管拡張剤、抗菌剤、保湿剤、ビタミン類、鎮咳剤、麻酔剤、抗腫瘍剤、香料などが挙げられる。これらは、必要に応じて有効量を配合する。
【0046】
(皮膚貼付用粘着テープ)
本発明の皮膚粘着テープは、常法に従って、前記の微多孔性フィルムの少なくとも片面に、粘着剤を塗工することにより製造することができる。粘着剤をセパレーター上に塗工し、支持体上に転写してもよい。粘着剤を塗工するには、基材高分子及び必要に応じて添加剤成分を有機溶剤に均一に溶解ないしは分散させた溶液を、支持体またはセパレーター上に塗布し、乾燥すればよい。粘着剤層の厚みは、特に限定されないが、通常、20〜60μm、好ましくは30〜50μm程度である。
【0047】
本発明の皮膚貼付用粘着テープは、次のような諸特性を有するものである。
(a)粘着剤ずれ量(mm/12×20mm2・2N・30min)が0.15〜1.20mm、
(b)透湿度が750〜3,000g/m2・24h、及び
(c)対ベークライト粘着力が0.6〜1.5N/15mm。
【0048】
本発明の皮膚貼付用粘着テープは、このような諸特性を具備しているため、皮膚追従性が良好で、貼付時の水分の貯留が少なく、発汗時や長時間貼付時の粘着性が良好で、しかも、剥離時の痛み、角質剥離、及び皮膚刺激が少ないという特長を有している。したがって、本発明の皮膚貼付用粘着テープは、皮膚患部や手術後の患部の保護などの皮膚保護や、薬剤の経皮吸収などの目的で使用することができる。
【0049】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、以下の実施例及び比較例において、部及び%は、特に断りのない限り、重量基準である。
【0050】
[実施例1]
粘着剤として、イソノニルアクリレート/アクリル酸メトキシノナエチレングリコール/メタクリル酸エチレングリコール(83部/16部/1部)を共重合して得たアクリル系共重合体を用い、該共重合体(固形分)100部にコロネートL〔日本ポリウレタン工業(株)製〕0.6部を添加した粘着剤溶液(溶剤重量比:トルエン/酢酸エチル=3/1)を調製した(粘着剤(1))。この粘着剤溶液を、表面にシリコーン処理を施したセパレータ上に乾燥後の厚みが38μmとなるように塗布し、120℃で3分間乾燥した。
【0051】
一方、直鎖状低密度ポリエチレン(密度=0.915g/m3 )100部に、平均粒径1.8μmの炭酸カルシウム120部、オレイン酸1.2部、及び精製ヒマシ油8部を加えて良く混合し、二軸押出機により200℃でストランド状に押し出し、ペレット化した。このペレットを用いて、樹脂温度210℃で押出機のTダイからシート状に溶融押出して、約400μmの厚みの未延伸シートを得た。この未延伸シートを再加熱して、延伸温度85℃にて、テンター延伸法により、MD及びTDの両方向にそれぞれ約3倍の延伸倍率で二軸延伸し、冷却ロールで冷却して、厚み53μmの二軸延伸フィルム(支持体A)を得た。
この二軸延伸フィルムの片面に、コロナ処理して前記の粘着剤層を塗布したセパレータの粘着剤層面と貼り合わせ、50℃で1週間熟成して、皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表1に示す。
【0052】
[実施例2]
エチレン−1−ヘキセン共重合体(密度=0.920g/cm3 )100部に、平均粒径1.1μmの炭酸カルシウム160部、オレイン酸1.2部、及び精製ヒマシ油7.8部を5分間スーパーミキサーで混合し、次いで、二軸押出機により、樹脂温度200℃でストランド状に押し出し、これをペレット状に切断した。このペレットを用いて、樹脂温度210℃で押出機のTダイからシート状に溶融押出して、約80μmの厚みの未延伸シートを得た。この未延伸シートを再加熱して、延伸温度85℃にて、ロール延伸法により、約2倍の延伸倍率で一軸方向に延伸して、厚み50μmの一軸延伸フィルム(支持体B)を作製した。
支持体として上記で作製した一軸延伸フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表1に示す。
【0053】
[実施例3]
エチレン−1−ブテン共重合体(密度=0.923g/cm3 )75部と高圧法低密度ポリエチレン(密度=0.925g/cm3 )25部との混合物100部に、平均粒径1.2μmの炭酸カルシウム120部、オレイン酸1.2部、及び精製ヒマシ油6部を5分間スーパーミキサーで混合し、次いで、二軸押出機により樹脂温度200℃でストランド状に押し出し、これをペレット状に切断した。このペレットを用いて、樹脂温度210℃で押出機のTダイからシート状に溶融押出して、約120μmの厚みの未延伸シートを得た。この未延伸シートを再加熱して、延伸温度85℃にて、ロール延伸法により、約2倍の延伸倍率で一軸方向に延伸することにより、厚み82μmの一軸延伸フィルム(支持体C)を作製した。
支持体として上記で作製した一軸延伸フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表1に示す。
【0054】
[実施例4]
粘着剤として、イソノニルアクリレート/アクリル酸メトキシノナエチレングリコール/アクリル酸2−カルボキシエチル(83部/15部/2部)を共重合して得たアクリル系共重合体を用い、該共重合体(固形分)100部にTETRAD−X〔三菱ガス化学(株)製〕0.06部を添加した粘着剤溶液(溶剤重量比:トルエン/酢酸エチル=3/1)を調製した(粘着剤(2))。この粘着剤溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして、皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表1に示す。
【0055】
[実施例5]
粘着剤として、イソノニルアクリレート/アクリル酸メトキシノナエチレングリコール/アクリル酸2−カルボキシエチル(81部/15部/4部)を共重合して得たアクリル系共重合体を用い、該共重合体(固形分)100部に、TETRAD−X〔三菱ガス化学(株)製〕0.08部を添加して粘着剤溶液(溶剤重量比:トルエン/酢酸エチル=3/1)を調製した(粘着剤(3))。この粘着剤溶液を用いたこと以外は実施例1と同じようにして、皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表1に示す。
【0056】
[実施例6]
粘着剤として、イソノニルアクリレート/アクリル酸メトキシノナエチレングリコール/メタクリル酸ノナエチレングリコール(83部/16部/1部)を共重合して得たアクリル系共重合体を用い、該共重合体(固形分)100部にコロネートL(日本ポリウレタン製)0.6部を添加して粘着剤溶液(溶剤重量比:トルエン/酢酸エチル=3/1)を調製した(粘着剤(4))。この粘着剤溶液を用いたこと以外は実施例1と同じようにして、皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表1に示す。
【0057】
[比較例1]
支持体として、ポリエチレンと無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成されたポリオレフィン系微多孔性フィルムである(株)トクヤマ製ポーラムPN70(支持体a)を用いたこと以外は実施例6と同様にして、皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表2に示す。
【0058】
[比較例2]
支持体として、ポリエチレンと無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成されたポリオレフィン系微多孔性フィルムである(株)トクヤマ製ポーラムPH70(支持体b)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表2に示す。
【0059】
[比較例3]
支持体として、ポリプロピレンと無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成されたポリオレフィン系微多孔性フィルムである(株)トクヤマ製NFシートNG100(支持体c)を用いた以外こと以外は、比較例1と同様にして皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表2に示す。
【0060】
[比較例4]
粘着剤として、イソノニルアクリレート/アクリル酸(96部/4部)を共重合して得たアクリル系共重合体を用い、該共重合体(固形分)100部にTETRAD−X〔三菱ガス化学(株)製〕0.04部を添加した粘着剤溶液(溶剤重量比:トルエン/酢酸エチル=3/1)を調製した(粘着剤(5))。この粘着剤溶液を用いたこと以外は実施例3と同じようにして、皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表2に示す。
【0061】
[比較例5]
粘着剤として、イソノニルアクリレート/アクリル酸メトキシエチレングリコール/アクリル酸(68部/30部/2部)を共重合して得たアクリル系共重合体を用い、該共重合体(固形分)100部にTETRAD−X〔三菱ガス化学(株)製〕0.04部を添加して粘着剤溶液(溶剤重量比:トルエン/酢酸エチル=3/1)を調製した(粘着剤(6))。この粘着剤溶液を用いたこと以外は実施例3と同じようにして、皮膚貼付用粘着テープを作製した。結果を表2に示す。
【0062】
<性能評価>
前記の実施例及び比較例で得られた各粘着テープについて、以下の方法で性能評価を行った。
(1)特性評価
(1)フィルムの平均孔径
走査型電子顕微鏡を用いて測定した孔の長径の平均値(単位μm)を算出し、平均孔径とした(n=10)。孔の形状は、楕円形、菱形、長方形、多角形など種々あるが、長径とは、最も長い直径あるいは対角線の長さを意味する。測定温度は、常温(18〜27℃)である。
【0063】
(2)透気度
JIS P−8117の透気度試験法に準拠し、645mm2 のフィルム面を一定圧力の空気100ccが通過する時間(単位sec/100cc)を測定した(n=3)。測定雰囲気は、温度23±2℃、相対湿度65±5%である。
【0064】
(3)透湿度
JIS Z−0208のB条件(温度40℃、相対湿度90%)に従って、28.3cm2 のフィルム面の片側を温度40℃、相対湿度90%に調節し、他方側に約16gの吸湿剤(塩化カルシウム)をおいて、フィルム通過した水分を吸収させ、塩化カルシウムの重量変化量を1m2 、24時間当たりに換算して透湿度とした(n=3)。
【0065】
(4)15%伸張時の応力
JIS K7115に準拠して、引張試験機で試料を15%伸長した時の応力荷重(試料幅15mm、つかみ間隔100mm、引張速度300mm/min)を測定した。測定雰囲気は、温度23±2℃、相対湿度65±5%である。
【0066】
(5)粘着剤ずれ量
PET#36のような伸縮性のない硬いフィルム面にプライマ処理[例えば、東洋紡績(株)社製ポリエステル樹脂「バイロン30SS」、約3μm塗布]を施し、粘着テープの粘着剤層の(被着体との)界面すべりをなくした形で測定された粘着剤のずれ変形量である。
【0067】
具体的には、図1に示すように、支持物1の垂直面にベークライト(またはガラス板)2を固定し、その面上に、プライマ処理したPETフィルム3をプライマ処理面4が表になるように接着する。このプライマ処理面4に、粘着テープ5を粘着剤層面6で貼付する。その後、粘着テープに切り込み7を入れて、粘着剤層の12×20mm2 がプライマ処理面に貼付された状態にする。粘着テープ5の下端に2Nの荷重8をかける。この荷重負荷状態で30分間経過後、切り込み部分7の粘着剤層のずれ量をスケール付き顕微鏡で読み取り、粘着剤ずれ量とした(n=3)。
【0068】
(2)性能評価
(1)皮膚刺激性
成人男性10名の上腕内側に25mmφの各粘着テープを貼付した。貼付24時間後に剥離し、剥離1時間後の皮膚刺激性を本邦基準に従って評価した。ここで、本邦基準とは、本邦パッチテスト研究班の基準である。具体的には、下記の−、±、+、++、+++、及び++++を、それぞれ0、0.5、1、2、3、及び4点に重み付けし、各被験者の評価結果の平均値を100倍して、皮膚刺激指数とした。
判定基準
− :反応なし、
± :軽い紅斑、
+ :紅斑、
++ :紅斑+浮腫、
+++ :紅斑+浮腫+丘疹、漿液性丘疹、小水疱、
++++:大水疱。
【0069】
【表1】
Figure 0003961138
【0070】
【表2】
Figure 0003961138
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、皮膚追従性、透湿性、及び皮膚粘着性のいずれもが適度の範囲にあって、これらの諸特性が高度にバランスしており、発汗時や長時間貼付時の粘着性が安定し、しかも、剥離時の痛み、角質剥離、及び皮膚刺激が大幅に低減された皮膚貼付用粘着テープが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 粘着剤ずれ量の測定方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1:支持物
2:ベークライト(またはガラス板)
3:プライマ処理したPETフィルム
4:プライマ処理面
5:粘着テープ
6:粘着剤層面
7:切り込み
8:荷重

Claims (1)

  1. 支持体の少なくとも片面に粘着剤層が形成された皮膚貼付用粘着テープにおいて、
    該支持体が、ポリオレフィン系樹脂及び無機充填剤を含有する樹脂組成物から形成された微多孔性フィルムであって、
    (1)厚みが40〜200μm、
    (2)平均孔径が0.02〜10μm、
    (3)透気度が10〜300sec/100cc、
    (4)透湿度が1,000〜20,000g/m・24h、及び
    (5)機械方向及び幅方向の15%伸張時の応力が、いずれも0.5〜15N/15mmの諸特性を有する微多孔性フィルムであり、
    該粘着剤層が、
    (A)炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜97.5重量%、
    (B)式(1)
    Figure 0003961138
    (式中、R 及びR は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基で、R は、炭素数1〜20のアルキル基で、nは、2〜12の整数である。)
    で表される(メタ)アクリル酸アルコキシポリアルキレングリコールエステル2〜49.5重量%、
    (C)(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル、式(2)
    Figure 0003961138
    (式中、R 及びR は、それぞれ独立に水素原子またはメチル基で、mは、2〜12の整数である。)
    で表される水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、及び式(3)
    Figure 0003961138
    (式中、R は、水素原子またはメチル基であり、Xは、炭素数2以上の2価の有機基であって、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。)
    で表されるカルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマーから選ばれる水酸基またはカルボキシル基含有モノマー0.5〜15重量%、並びに
    (D)共重合可能なその他のビニルモノマー0〜30重量%
    の共重合体からなるアクリル系粘着剤により形成されたものであり、かつ、
    粘着テープ特性として、
    (a)粘着剤ずれ量(mm/12×20mm・2N・30min)が0.15〜1.20mm、
    (b)透湿度が750〜3,000g/m・24h、及び
    (c)対ベークライト粘着力が0.6〜1.5N/15mm
    の諸特性を有することを特徴とする皮膚貼付用粘着テープ。
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