JP3681322B2 - 救急絆創膏 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可塑剤を実質的に含まない基材フィルムを使用した救急絆創膏に関し、さらに詳しくは、低温時であっても柔軟で伸縮性を有し、関節部位に貼付した際に関節運動による緩みが生じ難く、さらには、剥離の際にちぎれが発生し難い救急絆創膏に関する。また、本発明は、指の関節等に巻き付けた際に、屈伸を繰り返しても、巻き緩みが生じ難く、しかもなお、巻き締りも生じ難い救急絆創膏に関する。
【0002】
【従来の技術】
救急絆創膏は、一般に、基材フィルムと、該基材フィルム上に塗工された粘着剤層と、該粘着剤層上に配置されたガーゼなどのパッドとからなる層構成を有しており、さらに、パッドを覆うように粘着剤層の上に剥離紙が積層されている。救急絆創膏は、皮膚表面の創傷などを保護するために、家庭などで簡便に使用されている。救急絆創膏は、皮膚に貼付されるため、皮膚の複雑な形状や動きに追従できる程度の柔軟性や伸縮性を有することが求められる。
【0003】
従来、救急絆創膏の基材フィルムとしては、柔軟性、伸縮性、風合いなどの観点から、一般的に、軟質ポリ塩化ビニルフィルムが用いられている。軟質ポリ塩化ビニルは、ポリ塩化ビニルに柔軟性を付与するために、ジオクチルフタレートなどの可塑剤が多量に配合されている。そのため、軟質ポリ塩化ビニルフィルムを基材フィルムとする救急絆創膏は、基材フィルム中の可塑剤が経時により粘着剤中に移行して、粘着剤の凝集力を低下させ、その結果、貼付した皮膚面へののり残り現象を引き起こすという間題があった。また、多量の可塑剤が粘着剤層に移行すると、粘着剤の粘着力そのものが阻害されて、救急絆創膏が剥れやすくなる。さらに、近年、急速に重要度が高まっている環境保護の観点から、ポリ塩化ビニルのような塩素原子を含有するポリマーの使用をできるだけ抑制することが望まれるようになってきている。
【0004】
このため、救急絆創膏の基材フィルムとして、従来の軟質ポリ塩化ビニルに代替し得る材料が求められている。そのような材料として、塩素原子を含まないポリオレフィン系フィルムが注目されている。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢ビ共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、これらの混合物などからなるフィルム、あるいはこれらのフィルムの多層構造による基材が提案されている。
【0005】
これらのポリオレフィン系フィルムは、柔軟性や伸縮性があるものの、ポリオレフィン系フィルムを基材フィルムとする救急絆創膏は、貼付中に伸縮運動によって緩んだり、剥離の際にちぎれたり、ごわごわ感があって風合いが悪いなどの問題があった。そのため、ポリオレフィン系フィルムを基材フィルムとする救急絆創膏は、未だ十分な実用性が確立されていない。また、救急絆創膏は、使い捨て用途を主とするものであるため、基材フィルムの製造に特殊な樹脂や設備を必要とするのでは、コスト面で対応することができないという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、塩素原子を含有しない基材フィルムを用いた救急絆創膏であって、従来の軟質ポリ塩化ビニルからなる基材フィルムを用いた救急絆創膏に匹敵し得る柔軟性と伸縮性と風合いなどを備え、貼付中に伸縮運動によって緩んだり、剥離の際にちぎれたりしない救急絆創膏を提供することにある。
【0007】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究した結果、基材フィルムとして、メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン・α−オレフィン共重合体であって、特定の密度とメルトフローレートを有する直鎖状低密度ポリエチレンから形成されたフィルムが適していることを見いだした。メタロセン触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン(以下、「メタロセンLLDPE」と略記することがある)からなるフィルムを基材フィルムとする救急絆創膏は、柔軟性や伸縮性が良好であり、常温ではもとより、低温であっても柔軟で伸縮性を有している。また、本発明の救急絆創膏は、関節部位に貼付した際に関節運動による緩みが生じ難く、さらには、剥離の際にちぎれが発生し難い。
【0008】
さらに、本発明者らは、鋭意研究した結果、メタロセンLLDPEと、メタロセン触媒以外の触媒で重合した直鎖状低密度ポリエチレンとを含有する樹脂組成物からなるフィルムを基材フィルムとして用いると、例えば、指の関節等に巻き付けた際に、屈伸を繰り返しても、巻き緩みが生じ難く、しかもなお、巻き締りも生じ難い救急絆創膏の得られることを見いだした。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かくして、本発明によれば、基材フィルムと、該基材フィルムの上に設けられた粘着剤層と、該粘着剤層の上に配置されたパッドとを有する救急絆創膏において、
(1)該基材フィルムが、メタロセン触媒を用いて重合した、密度が0.900〜0.920g/cm3で、メルトフローレートが2.5〜20g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(A) 単独または該直鎖状低密度ポリエチレン(A) を主成分とする樹脂組成物を製膜して得られた、厚みが20〜200μmのフィルムであり、
(2)該救急絆創膏の23℃で測定した50%伸長時の引張応力が5〜15N/19mmであり、かつ、5℃で測定した50%伸長時の引張応力が5〜15N/19mmである
ことを特徴とする救急絆創膏が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
1.メタロセン触媒により重合した直鎖状低密度ポリエチレン
本発明では、基材フィルムの材質として、メタロセン触媒により重合して得られる直鎖状低密度ポリエチレン(メタロセンLLDPE)を使用する。LLDPEとは、直鎖状低密度エチレン・αオレフィン共重合体を意味している。α−オレフィンとしては、炭素原子数3〜12のα−オレフィンが用いられる。炭素原子数3〜12のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。これらの中でも、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、4−メチル−1−ペンテン、及びl−オクテンが好ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体中のエチレン含量は、通常95〜99モル%であり、それに対応するα−オレフィン含量は、通常1〜5モル%である。
【0011】
本発明で用いられるメタロセンLLDPEは、メタロセン触媒の存在下に、エチレンとα−オレフィンを共重合させることにより合成されたものである。メタロセン触媒とは、ジルコニウム(Zr)等の遷移金属をπ電子系の不飽和環状化合物で挟んだ構造の化合物のことであり、トルエン等の芳香族溶媒に可溶な均一系となっており、メチルアルミノキサン(MAO)等の助触媒との組み合わせにより使用されている。メタロセン触媒に関する技術開発が進み、多くの触媒系が提案されているが、いずれもエチレンに対する高い重合活性を示し、活性点が均一なシングルサイトであるという特徴を持っている。
【0012】
メタロセン触媒として代表的なものは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも1個有する周期律表第IVB族の遷移金属化合物からなるメタロセン触媒成分、及び有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分を必須成分とし、必要に応じて、微粒子状担体、有機アルミニウム化合物触媒成分、イオン化イオン性化合物触媒成分から形成された触媒系である。
【0013】
メタロセン触媒成分としては、例えば、次の一般式で示される遷移金属化合物が挙げられる。
ML1 X
式中、Xは、遷移金属原子Mの原子価である。Mは、周期律表第IVB族から選ばれる遷移金属原子であり、具体的には、ジルコニウム、チタン、ハフニウムである。Ll は、遷移金属Mに配位する配位子であり、これらのうち少なくとも1個の配位子L1 は、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。
【0014】
具体的には、シクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基等が挙げられる。シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子では、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、トリアルキルシリル基、ハロゲン原子、水素等が挙げられる。
【0015】
有機アルミニウムオキシ化合物触媒成分としては、アルミノキサンが好ましく用いられる。具体的には、次式で表わされる繰り返し単位が通常3〜50程度のメチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、メチルエチルアルミノキサン等が挙げられる。
−A1(R)O−
(ただし、Rは、アルキル基である。)
【0016】
本発明で用いられる直鎖状エチレン・α−オレフィン共重合体は、上記のようなメタロセン触媒成分、及び有機アルミニウムオキシ化合物触媒等を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、気相、スラリー状、または溶液状の液相などの種々の条件下で、エチレンとα−オレフィンとを、常圧からl00kg/cm2 の範囲の圧力条件下で共重合させることにより得ることができる。
【0017】
本発明で使用するメタロセンLLDPEの密度は、0.900〜0.920g/cm3である。本発明で使用するメタロセンLLDPEのメルトフローレートは、2.5〜20g/10分で、好ましくは3〜15g/10分である。メタロセンLLDPEの密度が低すぎると、該LLDPEからなるフィルムを基材フィルムとする救急絆創膏が柔軟になりすぎて、指の関節などに巻き付けた際に、屈伸を繰り返すことにより巻き緩みが生じやすくなる。メタロセンLLDPEの密度が高すぎると、該LLDPEからなるフィルムを基材フィルムとする救急絆創膏が硬くなり、特に低温時に突っぱり感やごわごわ感が生じやすくなる。また、メタロセンLLDPEのメルトフローレートは、製膜性やフィルムの強度などの点で、上記の範囲内にあることが望ましい。
【0018】
本発明で使用するメタロセンLLDPEは、合成することにより得ることができるが、市販品の中から適したものを選択することもできる。市販品の具体例としては、商品名で表示すると、エボリューSP0540、SP3040〔三井化学(株)製〕、カーネルKC570S、KC573〔日本ポリケム(株)製〕、ハーモレックスNC524A、NC489A〔日本ポリオレフィン(株)製〕等が挙げられる。
【0019】
2.メタロセン触媒以外の触媒により重合した直鎖状低密度ポリエチレン
本発明の救急絆創膏の基材として用いるフィルムは、上記メタロセンLLDPEを単独で製膜したものを用いてもよいが、改質成分を含めた樹脂組成物を製膜したものを用いることもできる。改質成分としては、他のポリマー、充填剤、各種添加剤を挙げることができる。
【0020】
他のポリマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα−オレフィンの単独重合体;エチレン−プロピレン共重合体などのエチレンとα−オレフィンとの共重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のα−オレフィンと他のモノマーとの共重合体;SBS、SlS、SEBS等のブロック共重合体;等が挙げられる。これらの中でも、メタロセン触媒以外の触媒により重合した直鎖状低密度ポリエチレンが特に好ましい。
【0021】
メタロセンLLDPEは、それ単独のフィルムを基材フィルムとして使用すると、救急絆創膏を関節などに巻き付けた際に、屈曲を繰り返しても巻き緩みが生じ難いが、逆に、巻き締りを引き起こす場合もある。そこで、他の触媒により重合して得られたLLDPEをブレンドすることにより、巻き緩みを防ぎつつ、巻き締りが過度になるのを防ぐことができる。すなわち、ブレンドにより、救急絆創膏としての特有の性能のバランスを図ることができる。
【0022】
このような直鎖状低密度ポリエチレンは、メタロセン触媒がシングルサイト触媒と呼ばれるのに対して、マルチサイト触媒と呼ばれる触媒により重合したものである。重合法には、液相法と気相法がある。いずれもメタロセン触媒と同様、エチレンと炭素原子数3〜12のα−オレフィンとの共重合であり、液相法は、チーグラー系触媒系を用いて、気相法は、クロム系触媒またはクロム系蝕媒とチーグラー系触媒の混合物を用いている。いずれも、従来の低密度ポリエチレンと比べ長鎖の分岐が無く、共重合による短い側鎖が見られる構造となっている。
直鎖状低密度ポリエチレンは、密度が0.900〜0.940g/cm3 の範囲が好ましく、メルトフローレートが3〜20g/10分の範囲が好ましい。
【0023】
本発明で使用する樹脂組成物は、メタロセンLLDPE(A) が好ましくは50〜90重量%、より好ましくは50〜80重量%、特に好ましくは50〜70重量%で、これらに対応して、メタロセン触媒以外の触媒により重合したLLDPE(B) が好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。樹脂組成物中のメタロセンLLDPEの配合割合が過小であると、該樹脂組成物からなる基材フィルムを用いた救急絆創膏の低温での柔軟性が低下したり、剥離の際にちぎれが発生したり、さらには、救急絆創膏を関節などに巻き付けた際に、屈曲を繰り返すと、巻き緩みが生じたりする。前記の如き配合割合の範囲内にあることによって、救急絆創膏の巻き緩みを防ぎつつ、巻き締りが過度になるのを防ぐなどの性能のバランスを図ることができる。
【0024】
3.その他の添加剤成分
充填剤として、各種有機・無機の充填剤や顔料等が、着色や改質の目的で適宜添加することができる。充填剤を添加する場合、その配合割合は、ポリマー成分100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、2〜30重量部がより好ましい。その他の添加剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられ、それぞれの用途に応じ適量を添加することができる。
【0025】
4.基材フィルム
基材フィルムは、樹脂のペレットやその他の添加剤等の所定量をミキシングロール、2軸混練機、ヘンシェルミキサー等で混合した樹脂組成物を、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法などによって製膜することによって調製することができる。基材フィルムの厚みは、通常20〜200μm、好ましくは50〜150μmである。基材フィルムの少なくとも片面には、粘着剤の投錨性を良好にするために、下塗剤塗布やコロナ放電処理することが好ましい。
【0026】
5.救急絆創膏
基材フィルムには、その片面に粘着剤が塗布されるが、粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコン系等の各種粘着剤を挙げることができる。これらの中でも、アクリル系粘着剤は、皮膚刺激性、価格などの点から好ましい。アクリル粘着剤としては、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソノニルアクリレート等の炭素数4〜12程度の長鎖(メタ)アクリルエステルモノマーの単独重合体、あるいは、これらのモノマーを主成分とし、〈メ夕)アクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、ビニルピロリドン、アクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート等のモノマーを1または2種類以上2〜50重量%の範囲内で共重合してなる共重合体が挙げられる。
【0027】
これらのアクリル系粘着剤は、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル等の有機溶剤中で、過酸化ベンゾイル等の過酸化物等を開始剤としてモノマーを重合して得られる溶剤型でもよいし、モノマー等を水中で界面活性剤にて乳化分散後重合して得られるエマルジョン型でもよい。
【0028】
粘着剤を基材フィルム上に塗布する方法は、特に限定されるものてばないが、直接、基材フィルム上にナイフコータ、リバースコータ、コンマコータ等にて塗布し、溶媒を乾燥してから剥離紙を重ね合わせるか、剥離紙(剥離シート)上に同様に塗布して、乾燥後、基材フィルムに貼り合わせるのが一般的である。粘看剤の乾燥後の塗布厚は、通常10〜200μm、好ましくは20〜100μmである。また、救急絆創膏に通気性を与えるために、粘着剤付き基材フィルムに穿孔を行うことが好ましい。剥離紙(剥離シート)としては、シリコーン離型処理した上質紙、グラシン紙等の紙基材やポリエステルフィルム等が挙げられる。
【0029】
このようにして得られた粘着シート原反を、一旦剥離し、パッドを貼り合わせ再度剥離紙を貼り合わせ、所定の形状に打抜くことにより、救急絆創膏を得ることができる。パッドとしては、ガーゼ、不織布等を使用することができる。
【0030】
このようにして得られた本発明の救急絆創膏は、柔軟で伸縮性を有するので、関節部位等に用いて屈伸を繰り返しても、追従性に優れ、緩んだりしない。本発明の救急絆創膏は、基材フィルムが可塑剤を含まないので、経時により粘着剤の凝集力、粘着力が低下することがない。本発明の救急絆創膏は、常温ではもとより、低温での柔軟性に優れているので、低温使用時にごわごわ感が少ない。具体的に、本発明の救急絆創膏は、23℃での引張応力(N/19mm)及び5℃での引張応力(N/19mm)が、いずれも、好ましくは5〜15、より好ましくは6〜10程度である。
【0031】
本発明の救急絆創膏は、急速な剥離によっても引きちぎれたりしない。このように、本発明の救急絆創膏は、優れた実用特性を有するものである。また、本発明の救急絆創膏は、基材フィルムがポリエチレン系樹脂からなるので、使用後に焼却されても塩素ガス等を排出しないので環境にも悪影響が少ない。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
[実施例1]
メタロセン触媒により重合した直鎖状低密度ポリエチレンであるハーモレックスLL NH725A(日本ポリオレフィン株式会社製、メルトフローレート=8.0g/10分、密度=0.907g/cm3 )をTダイにて厚さ70μmのフィルムに製膜した。得られたフィルムにコロナ放電処理を施し、その処理面に溶剤型アクリル系粘着剤(2−エチルヘキシルアクリレート:アクリル酸=95:5、架橋剤=3官能エポキシ樹脂0.05重量%)を乾燥後厚み40μmに塗布した。次いで、粘着剤層の上に12mm×23mmのレーヨン不織布からなるパッドを貼り合わせ、さらに、その上からシリコン処理剥離紙を貼り合わせた。パッドが中央に位置するようにして、19mm×75mmの長方形サイズに裁断して、救急絆創膏試料とし、以下の試験に供した。
【0034】
[実施例2]
フィルム形成用樹脂として、上記ハーモレックスLL NH725Aを60重量%、及びチーグラー系触媒により重合した直鎖状低密度ポリエチレンであるポリエチLL L40MX(三菱油化株式会社製、メルトフローレート=8g/10分、密度=0.921g/cm3 )を40重量%の割合で2軸押出機にて混合した樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
【0035】
[比較例1]
フィルム形成用の樹脂としてチーグラー系触媒により重合した直鎖状低密度ポリエチレンであるポリエチLL L40MXを単独で用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
【0036】
[比較例2]
基材フィルムとして、軟質ポリ塩化ビニルフィルム(70μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
【0037】
試験方法
(1)引張テスト
試料を23℃及び5℃雰囲気下に3時間放置後、同雰囲気下で自動記録型引張試験機にて、つかみ間隔50mm、引張速度300mm/分で引っ張り、50%伸長時の応力を求めた。
【0038】
(2)引き剥がしテスト
23℃雰囲気下、清浄なベークライト板に試料を貼りつけ、2kgの荷重ローラで圧着し、20分経過後、一端を指で掴み、180度の角度で急速に引き剥がして、基材フィルムの破断の有無を観察した。各試験数50で、以下の破断が生じた数で判定を行った。
◎:破断無し、
○:破断1〜2回、
△:破断3〜5回、
×:破断6回以上。
【0039】
(3)屈伸テスト
成人男女10人に、試料を左右人差し指、中指の第2関節にパッドが甲を向くように巻き付け(各人の各指に対する試料の割当てはランダムとした)、24時間使用後の巻きの緩みや締まりについて官能比較評価を行った。◎、○、△、×の4段階評価であり、◎から×ヘ向かうに従い、緩みが多い、締まりがきついという評価である。そして、結果について、平均を求めた。
【0040】
(4)加熱テスト
次の2水準の対ベークライト板粘着力を測定した(JIS Z0237準拠、23℃雰囲気下、自動記録型引張試験機、180度引き剥がし法)。
▲1▼加熱無しの試料、
▲2▼40℃の雰囲気に30日間放置し加熱した後、23℃雰囲気下に3時間放置後の試料。
粘着力低下率(%)=(試料▲2▼の粘着力/試料▲1▼の粘着力)×100
を求め、この値を次の基準で評価した。
◎:100〜99、
○:98〜96、
△:95〜91、
×:90〜。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、塩素原子を含有しない基材フィルムを用いた救急絆創膏であって、従来の軟質ポリ塩化ビニルからなる基材フィルムを用いた救急絆創膏に匹敵し得る柔軟性と伸縮性と風合いなどを備え、貼付中に伸縮運動によって緩んだり、剥離の際にちぎれたりしない救急絆創膏が提供される。また、本発明によれば、指の関節等に巻き付けた際に、屈伸を繰り返しても、巻き緩みが生じ難く、しかもなお、巻き締りも生じ難いなどの性能のバランスに優れた救急絆創膏が提供される。
Claims (3)
- 基材フィルムと、該基材フィルムの上に設けられた粘着剤層と、該粘着剤層の上に配置されたパッドとを有する救急絆創膏において、
(1)該基材フィルムが、メタロセン触媒を用いて重合した、密度が0.900〜0.920g/cm3で、メルトフローレートが2.5〜20g/10分の直鎖状低密度ポリエチレン(A) 単独または該直鎖状低密度ポリエチレン(A) を主成分とする樹脂組成物を製膜して得られた、厚みが20〜200μmのフィルムであり、
(2)該救急絆創膏の23℃で測定した50%伸長時の引張応力が5〜15N/19mmであり、かつ、5℃で測定した50%伸長時の引張応力が5〜15N/19mmである
ことを特徴とする救急絆創膏。 - 樹脂組成物が、メタロセン触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン(A) と、メタロセン触媒以外の触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン(B) とを含有する樹脂組成物である請求項1記載の救急絆創膏。
- 樹脂組成物が、メタロセン触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン(A) 50〜70重量%と、メタロセン触媒以外の触媒を用いて重合した直鎖状低密度ポリエチレン(B) 30〜50重量%とを含有する樹脂組成物である請求項2記載の救急絆創膏。
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