JPH0748458A - ポリオレフィン系軟質フィルムおよびそのフィルムを基材とする絆創膏 - Google Patents

ポリオレフィン系軟質フィルムおよびそのフィルムを基材とする絆創膏

Info

Publication number
JPH0748458A
JPH0748458A JP5192361A JP19236193A JPH0748458A JP H0748458 A JPH0748458 A JP H0748458A JP 5192361 A JP5192361 A JP 5192361A JP 19236193 A JP19236193 A JP 19236193A JP H0748458 A JPH0748458 A JP H0748458A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ethylene
phase
film
weight
average molecular
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5192361A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Ogasa
眞男 小笠
Kiyomi Kaminomachi
清巳 上ノ町
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP5192361A priority Critical patent/JPH0748458A/ja
Publication of JPH0748458A publication Critical patent/JPH0748458A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 伸縮性や自己回復性に優れた絆創膏用軟質フ
ィルムを提供する。 【構成】 以下のA、B、およびCの3相を含有するポ
リオレフィン系樹脂から形成される軟質フィルム。Aは
ホモポリプロピレンおよびエチレン成分を7重量%未満
含有するランダムポリプロピレンからなる群から選択さ
れる少なくとも一種を含有する海相である。Bはエチレ
ン−プロピレン共重合体およびエチレン−α−オレフィ
ン共重合体からなる群から選択される少なくとも一種を
含有する島相である。該(C)はエチレン−プロピレン
共重合体およびエチレン−α−オレフィン共重合体から
なる群から選択される少なくとも一種を含有し、A相と
相互に貫入する構造を有する貫入相である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィン系樹脂か
ら形成される軟質フィルムに関し、詳細には、特定のモ
ルフォロジーを形成する特定のポリオレフィン系樹脂を
用いた軟質フィルムに関する。本発明は、さらに、該軟
質フィルムを用いた絆創膏に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に絆創膏、特に救急絆創膏は、軟質
フィルム層の表面に粘着剤を塗布し、さらにその上にガ
ーゼなどを貼着して、所定寸法に打ち抜いた後、その表
裏両面に個別包装紙を重ね、さらに所定寸法に裁断して
得られる。
【0003】このような救急絆創膏に使用される軟質フ
ィルムとしては、その価格や使いやすさから、一般に、
カレンダー法やゾルキャスト法により得られた、可塑化
ポリ塩化ビニル(以下PVCと言う)を主成分とするも
のが、多く使用されてきた。しかし、医療用に使用さ
れ、人体、特に傷口付近に直接使用される場合も多いこ
とから、絆創膏への可塑化PVCの使用は疑問視される
ことが多かった。さらに、近年、環境問題の観点から、
塩素を含有するPVCの使用の是非があらゆる分野で論
議されている。
【0004】このため、最近、可塑化PVCに代わる材
料としてポリオレフィン系樹脂の開発が積極的に行われ
ている。このようなポリオレフィン系樹脂としては、例
えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
ポリブタジエン、エチレン−プロピレン共重合体などを
使用したフィルムが挙げられる。救急絆創膏用フィルム
としては、特開昭62−82967号公報で、エチレン
−プロピレンゴムまたはエチレン−プロピレン−ジエン
三元共重合体などの炭化水素系エラストマーと、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン配合物か
らなるフィルムが開示されている。
【0005】しかし、上記のような樹脂およびフィルム
では、救急絆創膏に要求される貼付時の伸縮性や変形回
復率が充分ではない。そのため、貼付された絆創膏が、
すぐ緩んだり、破れたりして、実際の使用には適さない
ことが多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の欠
点を克服するものであり、特定のモルフォロジーを形成
する特定のポリオレフィン系樹脂を用いることによっ
て、伸縮性や自己回復性に優れ、従来の可塑化PVCフ
ィルムの代替となる軟質フィルムを提供する。本発明は
さらに、該軟質フィルムを用いた絆創膏を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の軟質フィルム
は、以下の(A)、(B)、および(C)の3相を含有
するポリオレフィン系樹脂から形成される軟質フィルム
である。
【0008】ここで(A)はホモポリプロピレン(A
a)と、エチレン成分を7重量%未満含有するランダム
ポリプロピレンからなる群から選択される少なくとも一
種(Ab)とを含有する海相であって、該(Aa)およ
び該(Ab)の重量平均分子量がいずれも50,000
〜900,000である、海相である;(B)はエチレ
ン−プロピレン共重合体およびエチレン−α−オレフィ
ン共重合 体からなる群から選択される少なくとも一種
(Ba)を含有する島相であって、該(Ba)の重量平
均分子量が70,000〜750,000である、島相
である;(C)はエチレン−プロピレン共重合体および
エチレン−α−オレフィン共重合体からなる群から選択
される少なくとも一種(Ca)を含有し、該(A)相と
相互に貫入する構造を有する貫入相であって、該(C
a)の重量平均分子量が70,000〜750,000
である、貫入相である。
【0009】本発明の軟質フィルムを形成するポリオレ
フィン系樹脂のうち、海相(A)に含まれる、ホモポリ
プロピレン(Aa)と、エチレン成分を7重量%未満含
有するランダムポリプロピレン(Ab)とは、その重量
平均分子量が各々50,000〜900,000の範囲
であり、好ましくは50,000〜800,000であ
る。50,000以下では得られるフィルムの強度が十
分ではなく、900,000以上では伸縮性に劣る。本
発明でいうホモポリプロピレンとは、共重合成分の全く
ない、アイソタクティックなポリプロピレンである。
【0010】本発明の軟質フィルムを形成するポリオレ
フィン系樹脂のうち、エチレン−プロピレン共重合体お
よびエチレン−α−オレフィン共重合体からなる群から
選択される少なくとも一種である(Ba)および(C
a)は、その重量平均分子量がそれぞれ独立して70,
000〜750,000の範囲であり、好ましくは、7
0,000〜700,000である。70,000以下
では伸縮性に劣り、750,000以上では柔軟性が不
十分である。ここでα−オレフィンとしては、例えば1
−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられ
る。
【0011】本発明の軟質フィルムを形成するポリオレ
フィン系樹脂は、前記海相(A)を形成するポリオレフ
ィン系樹脂が、全ポリオレフィン系樹脂量の5重量%〜
70重量%の範囲内にあることが好ましく、さらに好ま
しくは、5重量%〜60重量%である。5重量%以下で
は得られるフィルムの耐熱性が十分ではなく、70重量
%以上では柔軟性および伸張回復性が不十分である。本
発明の島相(B)には上記エチレン−プロピレン共重合
体またはエチレン−α−オレフィン共重合体が1種類以
上存在する。
【0012】本発明の樹脂のモルフォロジーは、四酸化
オスミウムをもちいて樹脂を染色した後、透過電子顕微
鏡によって観察し得る。本発明の軟質フィルムを形成す
るポリオレフィン系樹脂は、以下のようなモルフォロジ
ーを有する。すなわち前記(Aa)および(Ab)から
なる群から選択される少なくとも一種を含有する海相マ
トリックス(A)中に、前記(Ba)を含有する島相
(B)と、前記(Ca)を含有し、該(A)相と相互に
貫入する構造を有する貫入相(C)とが存在する。
【0013】上記モルフォロジーでは、貫入相(C)
は、その形状が針状または短冊状で、その幅が0.5μ
m以下であることが望ましく、疑似IPN(Inter
penetrate Network)構造を形成する
ことが好ましい。IPN構造とは、一般に、特定の相が
常に連続相であり、この連続相がマトリックスとなる相
の中に網目状に存在する構造のことをいうが、本発明で
いう疑似IPN構造は、その特定の相が常に連続である
とは限らず、部分的に切断された構造をも包含すること
を示している。
【0014】上記モルフォロジーでは、島相(B)は各
ドメインの平均径が0.01〜3μmの大きさであるこ
とが好ましく、さらに好ましくは、0.015〜2.5
μmである。0.01μm以下では、得られるフィルム
の熱安定性および耐熱性が十分ではなく、3μm以上で
は伸張性に欠ける。
【0015】本発明の軟質フィルムを形成するポリオレ
フィン樹脂は、例えば以下のような多段重合法により製
造される。まず、第一段階として、チタン化合物触媒お
よびアルミニウム化合物触媒の存在下においてプロピレ
ンモノマーおよび必要に応じてプロピレン以外のα−オ
レフィンモノマーを用いて重合を行い、第一のプロピレ
ン系ポリオレフィンを得る。このポリオレフィンはプロ
ピレン単独重合体、プロピレン−エチレン共重合体、プ
ロピレン−α−オレフィン共重合体などであり得る。第
二段階として、前記のチタン化合物触媒およびアルミニ
ウム化合物触媒を含有したままで、チタン含有プロピレ
ン系ポリオレフィンと上記化合物存在下で、オレフィン
モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、またはα−
オレフィン)とを共重合させて、第二のポリオレフィン
を得る。この2段階反応により得られる第二のポリオレ
フィンは、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン
−α−オレフィン共重合体、またはエチレン−α−オレ
フィン共重合体であり得る。以下同様に目的に応じて多
段階の共重合反応を行い得る。この製造方法の特徴は、
重合を一段階で終了するのではなく、二段階以上の多段
重合を行うことにある。このことにより、複数の種類の
モノマーを続けて重合することが可能となり、通常のポ
リマーブレンドとは全く異なる、分子レベルでのブレン
ドタイプの共重合体が生成される。通常、ポリマーブレ
ンドの場合、柔軟性と伸縮性を向上させるには、ブレン
ドするゴム成分の分子量を上げるのがひとつの方法であ
る。本発明のポリオレフィン系樹脂の場合、このゴム成
分にあたるのは上記の2段階以降の反応で生成する成分
(エチレン−α−オレフィン、エチレン−プロピレン)
であり、この成分は分子量が高いため、溶融粘度が高
い。このゴム成分は上記の多段重合法を用いることによ
り、微分散させることができる。しかし、通常の押出機
などを用いたブレンド法では、このように分子量の高い
ゴム成分を用いると、溶融粘度が高いため、本発明のポ
リオレフィン系樹脂のような微分散モルフォロジーを有
する樹脂は作成し得ない。さらに、従来の反応により得
られるポリプロピレン系のブロック共重合体のような樹
脂では、共重合されるエチレン、α−オレフィンなどの
ブロック成分は、主成分であるプロピレン系オレフィン
に対してその製造プロセス上、約50重量%程度含有さ
せるのが限界であり、通常その含有量は30重量%まで
である。このためポリプロピレン系樹脂において、可塑
化PVCのような柔軟性を実現するのは非常に困難であ
った。しかし上記のような方法を用いれば、前記の共重
合成分を約80〜95重量%まで含有させることが可能
となり、可塑化PVCと同様な物性を有するポリプロピ
レン系樹脂が得られる。
【0016】このような製造方法としては例えば、特開
平4−224809号公報に記載の方法がある。この方
法ではチタン化合物としては、例えば三塩化チタンと塩
化マグネシウムとを共粉砕し、これをオルトチタン酸n
−ブチル、2−エチル−1−ヘキサノール、p−トルイ
ル酸エチル、四塩化ケイ素、フタル酸ジイソブチルなど
で処理して得られる、平均粒子径15μmの球状固体チ
タン触媒が用いられている。この方法ではさらに重合槽
に電子供与体としてケイ素化合物、特にジフェニルジメ
トキシシランを添加し、さらにヨウ化エチルも添加して
いる。さらに、特開平3−97747号公報にはチタン
化合物として、塩化マグネシウムとアルコールの付加物
を四塩化チタンおよび電子供与体で処理したものを用い
ることが記載されている。これらの方法の他にも、例え
ば、特開平4−96912号公報、同4−96907号
公報、同3−174410号公報、同2−170803
号公報、同2−170802号公報、同3−20543
9号公報、同4−153203号公報、および特開昭6
1−42553号公報などに、このような製造方法の記
載がある。本発明の軟質フィルムを形成するポリオレフ
ィン系樹脂を製造する際には、上記のような、公知の任
意の方法が使用し得る。このような製造方法により得ら
れる実際の樹脂としては徳山曹達社の「PER」および
ハイモント社の「キャタロイ」などが挙げられる。これ
らはいずれも本発明に用いられ得る。
【0017】本発明の軟質フィルムは、上記のような方
法で得られたポリオレフィン系樹脂を、Tダイ押出機や
インフレーション法などの通常の方法により、所定の厚
みに成形することにより得られる。
【0018】本発明の絆創膏は上記のフィルムを基材と
して使用することにより得られる。本発明の絆創膏に使
用するフィルムの厚みは0.015〜0.3mmが望ま
しい。0.015mm以下では使用に際しての強度が不
足となり、0.3mm以上では絆創膏としては固すぎ、
風合いが好ましくない。本発明の絆創膏は、上記ポリオ
レフィン系樹脂フィルム層の一方の表面に粘着剤層を設
け、その上にガーゼなどを積層することにより得られ
る。通常、これを所定寸法に打ち抜いた後、個別装材で
包装し、さらに所定寸法に切断する。上記ポリオレフィ
ン系樹脂フィルム層の粘着剤層と反対側の表面には、目
的に応じて、各種の印刷を任意の形状および寸法で行い
得る。例えばメッシュ状、散点状、幼児用のキャラクタ
ーなどの形状を印刷し得る。
【0019】本発明の絆創膏に用いられる粘着剤として
は、通常使用される粘着剤のいずれも用いられ得、特に
限定されないが、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコ
ーン系、ビニルエーテル系などの各種粘着剤が挙げられ
る。これらの粘着剤は、溶剤系、エマルジョン系、ホッ
トメルト系などの任意の形態であり得る。絆創膏の使用
に際して、皮膚を外部から透かして見る必要がある場合
には、透明性に優れた粘着剤を使用するか、あるいは粘
着剤を細い線状、格子状、散点状などの形状で、樹脂フ
ィルム層に塗布することもできる。本発明の絆創膏にお
いては、上記粘着剤層との接合性を向上させるため、上
記ポリオレフィン系樹脂フィルム層に任意の各種プライ
マー処理を行ってもよい。
【0020】このようにして得られた本発明の絆創膏
は、特定のモルフォロジーを有する本発明のポリオレフ
ィン系樹脂フィルムを基材に用いるため、従来の可塑化
PVCに劣らぬ優れた柔軟性、伸縮性、および皮膚に貼
付したときの風合いを有する。さらにPVCと異なり、
塩素を含有しないため、安全性および環境への影響の点
で優れている。
【0021】本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムが
上記のような優れた特徴を有する理由は、以下のように
推定される。本発明のポリオレフィン系樹脂は、ランダ
ムポリプロピレン(Aa)と、ホモポリプロピレンおよ
びポリエチレンからなる群から選択される少なくとも一
種(Ab)とを含有する(A)相に対して、エチレン−
プロピレン共重合体およびエチレン−α−オレフィン共
重合体からなる群から選択される少なくとも一種である
(Ba)および(Ca)とが、重合中にアロイされるこ
とによって得られたものである。そのため、(A)相中
で(Ba)および(Ca)が、通常のブレンドに比べて
はるかに微細に分散しており、特に(Ca)を含有する
(C)相とマトリックス(海相)を形成する(A)相と
が疑似的なIPN構造を示すようになる。樹脂がこのよ
うな特徴あるモルフォロジーを示すため、この樹脂から
形成されたフィルムは可塑化PVCと同様の柔軟性およ
び伸縮性を有するものと考えられる。
【0022】
【実施例】以下実施例に基づき本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されない。
【0023】以下の実施例において、ポリオレフィン系
樹脂の各相の含有量および分子量、ランダムポリプロピ
レン(Aa)中のエチレン成分の含有量、モルフォロジ
ー、抗張力、伸張回復率、応力緩和、および人体(指)
における装着感は以下に示す方法で試験された。
【0024】1.各相の含有量および分子量 温度上昇溶離分別(TREF=Temperature Rising Elu
tion Fractionation)機能と高温GPC(Gel Permeati
on Chromatograph )機能とを備えた、クロス分別クロ
マトグラフ装置(CFC−T150A型:三菱油化社
製)を用いて測定した。測定するポリオレフィン樹脂
を、140℃あるいはポリオレフィン樹脂が完全に溶解
する温度のo−ジクロロベンゼンに溶解した。この溶液
を一定の冷却速度で冷却し、あらかじめ用意した不活性
担体表面に、結晶性の高い順、および分子量の大きい順
に、薄いポリマー層として析出させた。次にこの析出し
たポリマー層を、連続的または階段状に昇温し、順次溶
出した成分の濃度を検出し、その成分の組成分布(結晶
性分布)を測定した(TREF)。同時にその成分の分
子量および分子量分布を測定した(高温GPC)。
【0025】2.モルフォロジー評価:四酸化オスミウ
ムを用いて樹脂を染色したのち、透過電子顕微鏡(JE
M−1200EXII:日本電子社製)により、2万倍の
倍率で写真を撮影した。樹脂中の各相は、その結晶性の
違いによる染色度合が違いから区別した。すなわち海相
(A)は結晶性が高く、低染色部分となり、透過電子顕
微鏡写真では白色となる。島相(B)および貫入相
(C)は結晶性が低く高染色部分となり、透過電子顕微
鏡写真では黒色となる。この写真に任意に直線を引き、
各成分相の大きさを最低5ヶ所測定し、平均した値を各
成分相の大きさとした。
【0026】3.抗張力:引張試験機により、試料幅2
0mm,初期試料長(つかみ間隔)100mm、引張速
度200mm/minで引っ張り、伸度5%および10
%における抗張力を測定した。
【0027】4.伸張回復率:幅20mmの短冊状の試
料に50mm間隔の標線を入れ、引張試験機により初期
試料長100mm、引張速度200mm/minで伸度
50%まで引っ張った後、すぐに試料を取り外し、5分
後に標線間隔を測定し、永久歪(伸度)を計算する。こ
の永久歪をX%とすると、伸張回復率(%)は次式によ
り得られる。
【0028】
【数1】
【0029】5.応力緩和:引張試験機により、試料幅
20mm、初期試料長100mm、引張速度200mm
/minで伸度10%まで引っ張った後、そのまま保持
したときの抗張力の経時変化を、5秒後および1分後に
測定し、次式により応力残存の割合を計算した。
【0030】
【数2】
【0031】6.人体(指)への装着感:絆創膏を人差
指の第2関節の周囲に巻き付け、指を曲げたり伸ばした
りしたときの感触(圧迫感)を評価した。
【0032】(実施例1)特開平4−153203号公
報の方法に記載の方法で得られたポリオレフィン系樹脂
を、Tダイにより、金型温度約240℃で押し出し、転
写用印刷を施した工程紙1の上に押出コーティングし
た。形成されたフィルム表面をコロナ放電処理し、救急
絆創膏用フィルム基材と上記工程紙1との積層体を得
た。フィルム基材の厚さは65μmであった。得られた
積層体を巻とった。このようにして得られたフィルムの
一部を工程紙から剥離した後、縦(MD)方向および横
(TD)方向の抗張力、伸張回復率、および応力緩和を
測定した。結果を表1に示す。
【0033】ここで使用したポリオレフィン系樹脂のモ
ルフォロジーは、透過電子顕微鏡写真による観察および
測定から以下のように確認された。すなわちホモポリプ
ロピレンからなるマトリックス相(海相A)中にエチレ
ン−プロピレン共重合体からなる島相Bが存在し、その
島相(B)の平均径が0.12μmであり、さらにB相
とは組成の異なるエチレン−プロピレン系共重合体から
なる貫入相Cが存在し、その貫入相Cの平均幅が0.0
8μmであり、前記ホモポリプロピレン含有量が全体の
10.9重量%であった。
【0034】ここで使用した工程紙1は、以下のように
して得られた。坪量100g/m2のクラフト紙の片面
(印刷される面)に、カルボキシメチルセルロース、酸
化チタンおよびシリコーンの混合物を含有する表面処理
剤を塗布、乾燥し、他方の面にポリエチレン層をラミネ
ートし、さらにそのポリエチレン層の表面にシリコーン
離型剤を塗工した。さらにこの処理されたクラフト紙の
印刷される面に、イソシアネート架橋型インキをグラビ
ア印刷機を用いて塗工し、3日間常温で保持してインキ
を完全に架橋させ、細かい点状の印刷部を形成し工程紙
1とした。
【0035】次に、クラフト紙の片面にポリエチレン層
をラミネートし、さらにそのポリエチレン層の表面にシ
リコーン離型剤を塗工して得られる工程紙2の離型剤処
理面に、ゴム系粘着剤溶液(天然ゴム、ポリテルペン樹
脂、ポリブテン、および老化防止剤の35%トルエン溶
液)を、塗布乾燥巻取機を用いて、乾燥後の厚みが40
μmになるように塗工、乾燥し粘着剤層を形成した。次
いで、前述のポリオレフィン系樹脂フィルムと工程紙と
の積層体のコロナ処理面と、この粘着剤層を有する工程
紙2の粘着剤層面とを合わせて積層した。粘着剤層から
工程紙2を剥離して巻取機でロール状に巻き取った。
【0036】このロール状の絆創膏用テープ原反をスリ
ッターを用いて、フィルム層と工程紙1とが剥がれない
ようにしながら、78mm幅に切断し、長尺(20m)
に巻取った。得られた78mm幅の絆創膏用テープ原反
を、下記に示す救急絆創膏用加工装置によって加工し、
救急絆創膏を得た。
【0037】この加工装置には、所定幅の救急絆創膏用
副資材(ガーゼ、差替え用剥離紙、個包装など)の供給
装置が設けられており、この装置にかけられた上記の救
急絆創膏用テープ原反が繰り出されると、その軟質フィ
ルム層と粘着剤層に、微少な孔あけ加工がなされる。つ
いで粘着剤層の上面に厚さ1mm、幅17mmx長さ2
5mmのガーゼが貼付され、工程紙1を剥しながら、離
型紙が、ガーゼおよび粘着剤層の上から付与される。得
られた積層物を所定の寸法(幅20mm x長さ75m
m、両端は半径12mmの円弧状)に打ち抜き、個包装
材で包装し、切断することにより、本発明の絆創膏を得
た。得られた絆創膏を用いて、人体への装着感を評価し
た。結果を表1に示す。
【0038】(実施例2および3)表1に示す樹脂を使
用したほかは、実施例1と同様の方法でポリオレフィン
系軟質フィルムおよび絆創膏を作成した。抗張力、伸張
回復率、応力緩和、および装着感を実施例1と同様に測
定した。結果を表1に示す。なお、実施例2で用いた樹
脂は実施例1と同様の方法により得たものであり、実施
例3で用いた樹脂は特開平3−97747号公報記載の
方法に準じて、得られたものである。
【0039】(比較例1および2)表1に示す樹脂を使
用したほかは、実施例1と同様の方法でポリオレフィン
系軟質フィルムおよび絆創膏を作成した。抗張力、伸張
回復率、応力緩和、および装着感を実施例1と同様に測
定した。結果を表1に示す。表1においてTDは横方向
、MDは縦方向を示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、特定のモルフォロジー
を形成する特定のポリオレフィン系樹脂を用いることに
よって、柔軟でかつ伸張回復性に優れ、従来の可塑化P
VCフィルムの代替となり得る軟質フィルムが得られ
る。この軟質フィルムを基材として用いることにより、
伸縮性および変形回復性に優れ、塩素を含有しないため
安全性にも優れた絆創膏が得られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/16 LCY

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の(A)、(B)、および(C)の
    3相を含有するポリオレフィン系樹脂から形成される軟
    質フィルム: (A)ホモポリプロピレン(Aa)およびエチレン成分
    を7重量%未満含有するランダムポリプロピレン(A
    b)からなる群から選択される少なくとも一種を含有す
    る海相であって、 該(Aa)および該(Ab)の重量平均分子量がいずれ
    も50,000〜900,000である海相; (B)エチレン−プロピレン共重合体およびエチレン−
    α−オレフィン共重合体からなる群から選択される少な
    くとも一種(Ba)を含有する島相であって、 該(Ba)の重量平均分子量が70,000〜750,
    000である、島相; (C)エチレン−プロピレン共重合体およびエチレン−
    α−オレフィン共重合体からなる群から選択される少な
    くとも一種(Ca)を含有し、該(A)相と相互に貫入
    する構造を有する貫入相であって、 該(Ca)の重量平均分子量が70,000〜750,
    000である、貫入相。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の軟質フィルムを基材とす
    る絆創膏。
JP5192361A 1993-08-03 1993-08-03 ポリオレフィン系軟質フィルムおよびそのフィルムを基材とする絆創膏 Pending JPH0748458A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5192361A JPH0748458A (ja) 1993-08-03 1993-08-03 ポリオレフィン系軟質フィルムおよびそのフィルムを基材とする絆創膏

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5192361A JPH0748458A (ja) 1993-08-03 1993-08-03 ポリオレフィン系軟質フィルムおよびそのフィルムを基材とする絆創膏

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0748458A true JPH0748458A (ja) 1995-02-21

Family

ID=16290007

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5192361A Pending JPH0748458A (ja) 1993-08-03 1993-08-03 ポリオレフィン系軟質フィルムおよびそのフィルムを基材とする絆創膏

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0748458A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998018865A1 (en) * 1996-10-31 1998-05-07 The Dow Chemical Company Impact-modified thermoplastic polyolefins and articles fabricated therefrom
KR100845978B1 (ko) * 2007-04-25 2008-07-11 도레이새한 주식회사 반도체 다이싱용 점착테이프

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1998018865A1 (en) * 1996-10-31 1998-05-07 The Dow Chemical Company Impact-modified thermoplastic polyolefins and articles fabricated therefrom
US5861463A (en) * 1996-10-31 1999-01-19 The Dow Chemical Company Impact-modified thermoplastic polyolefins and articles fabricated therefrom
US6140420A (en) * 1996-10-31 2000-10-31 The Dow Chemical Company Impact-modified thermoplastic polyolefins and articles fabricated therefrom
KR100845978B1 (ko) * 2007-04-25 2008-07-11 도레이새한 주식회사 반도체 다이싱용 점착테이프

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2011099099A (ja) 架橋可能なポリオレフィンおよび粘着樹脂からなる感圧接着剤
EP0969882B1 (en) Substrate for adhesive dressing
JP4365624B2 (ja) 皮膚貼付用粘着シート及び救急絆創膏
US5432009A (en) Film for first-aid sticking plaster
JPH0748458A (ja) ポリオレフィン系軟質フィルムおよびそのフィルムを基材とする絆創膏
JP4461499B2 (ja) 医療用貼付材および救急絆創膏
JP3401087B2 (ja) 表面保護粘着シート
JP4465729B2 (ja) 医療用貼付材および救急絆創膏
JPH07126457A (ja) ポリオレフィン系基材フィルム、及び粘着フィルムまたはシート
JPH07148240A (ja) 救急絆創膏用フィルム
JPH07330923A (ja) 軟質オレフィンフィルム
JP3432329B2 (ja) 救急絆創膏用フィルム
JP3382707B2 (ja) 救急絆創膏用フィルムの製造方法
JP3757218B2 (ja) 粘着シート用基材フィルムとその製造方法
JP3437009B2 (ja) 救急絆創膏用フィルム
JPH07227422A (ja) 救急絆創膏用フィルム
JPH0759839A (ja) 救急絆創膏用フィルム
JP3681322B2 (ja) 救急絆創膏
JPH07303690A (ja) 救急絆創膏用フィルム
JPH10118174A (ja) 救急絆創膏
JPH08332216A (ja) 救急絆創膏用フィルム
JPH07136241A (ja) 救急絆創膏用フィルム
JPH0892535A (ja) 表面保護フィルム
JPH08322924A (ja) 絆創膏用フィルム
JPH07148241A (ja) 救急絆創膏用フィルム