JP4848677B2 - 水素製造装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、近年、地球環境保護の観点で二酸化炭素等の地球温暖化ガスの発生がなく、また、エネルギー効率が高いことから、水素を燃料とすることが注目されている。特に、燃料電池は水素を直接電力に変換できることや、発生する熱を利用するコジェネレーションシステムにおいて高いエネルギー変換効率が可能なことから注目されている。これまで燃料電池は宇宙開発や海洋開発等の特殊な条件において採用されてきたが、最近では自動車や家庭用分散電源用途への開発が進んでおり、また、携帯機器用の燃料電池も開発されている。
また、マイクロチャネル内に触媒を担持する工程において、マイクロチャネルが形成された基板面の清浄性が失われ、基板の接合によるマイクロリアクターの製造に支障を来たすという問題があった。
また、水素製造用のマイクロリアクターでは、炭化水素系燃料を水蒸気改質して水素ガスを生成する改質用の反応装置と、生成された水素ガスから一酸化炭素を除去するためのCO除去用の反応装置との接続が必要となり、この接続部材における生成ガスの洩れが生じ易いという問題もあった。
さらに、従来の水素製造用のマイクロリアクターは反応効率が低く、より反応効率の高い水素製造装置が要望されている。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、小型で高効率の触媒反応を可能とする水素製造装置と、この水素製造装置を簡便に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記気化部と前記改質部を連通するための前記開口部と、前記改質部と前記CO除去部を連通するための前記開口部とが、前記改質部内で最も距離が大きくなる位置に設けられているような構成とした。
本発明の他の態様として、少なくとも前記改質部と前記CO除去部を連通するための前記開口部が逆止弁を備えているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記気化部と前記改質部と前記CO除去部との連通は、前記隔壁の少なくとも一部に設けられた複数の微細孔でなされているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記筐体外部に、前記気化部、前記改質部、および、前記CO除去部と隣接するように燃焼室を備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記筐体外部の前記気化部、前記改質部、および、前記CO除去部の各壁面に電熱体を備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記隔壁は、前記断熱空間内に断熱材を備えているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記CO除去部に、酸素含有気体を導入するための導入路が接続されているような構成とし、また、前記導入路中に逆止弁が配設されているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記燃料導入路に接続された燃料タンクを前記筐体外部に備えるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記生成ガス排出路にポンプが接続され、該ポンプにより生成ガスが燃料電池に導入可能であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記燃料導入路および/または前記生成ガス排出路は、円筒部と、該円筒部の所望部位に配設された鍔部とを備えたものであり、前記筐体に形成された孔部に外部から前記円筒部が挿入され、前記鍔部が前記筐体外壁面に固着されてなるような構成とした。
水素製造装置
[第1の実施形態]
図1は、本発明の水素製造装置の一実施形態を示す斜視図であり、図2は図1に示される水素製造装置のA−A線における拡大縦断面図である。図1および図2において、本発明の水素製造装置1は、筐体2と、この筐体2の内部に隔壁3,4により区画された気化部5、改質部6、CO除去部7と、改質部6内に配設された触媒担持体11と、CO除去部7内に配設された触媒担持体14と、を備えている。また、気化部5には燃料を供給するための燃料導入路8が接続され、CO除去部7には生成ガスを排出するための生成ガス排出路9が接続されている。そして、気化部5と改質部6とCO除去部7は、この順に(図2の矢印a方向に)連通されている。
筐体2の内部に略平行に設けられた隔壁3,4には、それぞれ開口部3a,4aが形成されており、開口部3aによって気化部5と改質部6が連通され、開口部4aによって改質部6とCO除去部7が連通されている。尚、図3では、触媒担持体11,14を2点鎖線で示している。
このような水素製造装置1を構成する筐体2(筐体本体2A、筐体蓋体2B)、および、隔壁3,4は、気化部5、改質部6、CO除去部7内での気化、反応に支障を来たさない材質であれば特に制限はなく、金属、シリコン、セラミックス等の材質から適宜選定することができる。また、本発明では、筐体2の内壁面に触媒を直接担持させないので、触媒担持性を考慮することなく筐体2(筐体本体2A、筐体蓋体2B)、隔壁3,4の材質を選定することができる。
筐体本体2Aの壁面の厚み、筐体蓋体2Bの厚み、隔壁3,4の厚みは、水素製造装置1の大きさ、使用する材料の熱容量、熱伝導率等の特性、形成する気化部5、改質部6、CO除去部7の容積等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、100μm〜2mm程度の範囲で設定することができる。
また、本発明では、開口部3a,4aに逆止弁を設けて逆止機構としてもよい。これにより、燃料の不必要な燃焼反応や、生成した水素の酸化反応を防止することができる。逆止弁としては、スプリングがボールの支えとなり、順方向のみにガスを流す構造の逆止弁等の公知の構造のものを使用することができる。
金属基体12への陽極酸化による金属酸化膜13の形成は、金属基体12を外部電極の陽極に接続した状態で、陽極酸化溶液に浸漬して陰極と対向させ通電することにより行うことができる。金属酸化膜13厚みは、例えば、10〜100μm程度の範囲で設定することができる。
金属酸化膜13に担持される触媒C1は、水素製造装置1の用途に応じて、改質部6で必要な触媒を適宜選択することができ、特に制限はなく、例えば、Cu−Zn系触媒を使用することができる。
図示例では、触媒を担持するための担体は、板状担体を波型に折り曲げた成型体であるが、担体の形状には特に制限はなく、例えば、粒子状担体、繊維状担体、板状担体、繊維状担体の成型体(繊維状担体を所望の形状に圧縮成型したものであり、内部が多孔構造となっているもの)等であってよい。何れの形状の担体も、粒子状、繊維状、板状の金属基体を覆う金属酸化膜を備えたものであり、この金属酸化膜に触媒が担持される。
図7は、本発明の水素製造装置の他の実施形態を示す斜視図であり、上述の第1の実施形態の図3と同様に、水素製造装置の筐体を分解した斜視図であり、図8は平面図である。図7および図8において、本発明の水素製造装置21は、筐体22と、この筐体22の内部に隔壁23,24により区画された気化部25、改質部26、CO除去部27と、改質部26内に配設された触媒担持体31と、CO除去部27内に配設された触媒担持体34と、を備えている。また、気化部25には燃料を供給するための燃料導入路28が接続され、CO除去部27には生成ガスを排出するための生成ガス排出路29が接続されている。そして、気化部25と改質部26とCO除去部27は、この順に(図8の矢印a方向に)連通されている。尚、図7では、触媒担持体31,34を2点鎖線で示している。
筐体22の内部に設けられた隔壁23,24は、T字形状となるように、隔壁23の側面に隔壁24の先端が当接している。また、隔壁23の両端部には開口部23a,23bが形成されており、開口部23aによって気化部25と改質部26が連通され、開口部23bによって改質部26とCO除去部27が連通されている。図示例では、隔壁23の同じ端辺の両端部に開口部23a,23bが位置しているが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、開口部23aを隔壁23の他方の端辺の端部(筐体22の下側)に位置させることにより、開口部23aと開口部23bとの距離が最大となるように設定してもよい。また、本発明では、開口部23a,23bに逆止弁を設けて逆止機構としてもよい。
このような水素製造装置21を構成する筐体22(筐体本体22A、筐体蓋体22B)、および、隔壁23,24の材質は、触媒担持性を考慮することなく選定することができ、上述の実施形態の筐体2、隔壁3,4と同様とすることができる。
また、改質部26内に配設された触媒担持体31、CO除去部27内に配設された触媒担持体34は、上述の実施形態の触媒担持体11,14と同様とすることができる。
尚、燃料導入路28と生成ガス排出路29は、第1の実施形態と同様に、円筒部に鍔部を備えた構造のものとし、鍔部を筐体本体22Aの外壁面に接合したものとすることができる。
図9は、本発明の水素製造装置の他の実施形態を示す図2相当の断面図であり、図10は、本発明の水素製造装置の他の実施形態を示す図8相当の平面図である。
まず、図9に示される水素製造装置1′は、隔壁として、複数の微細孔を備えた隔壁3′,4′を配設している他は、上述の実施形態の水素製造装置1と同様であり、同じ部材には同じ部材番号を付している。
このような水素製造装置1′は、上述の水素製造装置1と同様の作用、効果を発現する。
隔壁23′は、筐体22の内部において改質部26に対して気化部25とCO除去部27を区画するものであり、複数の微細孔によって、気化部25と改質部26間の連通、改質部26とCO除去部27との連通を可能とするものである。このような隔壁23′としては、上述の隔壁3′,4′と同様のものを使用することができる。
このような水素製造装置21′は、上述の水素製造装置21と同様の作用、効果を発現する。
尚、燃料導入路8,28と生成ガス排出路9,29は、第1の実施形態と同様に、円筒部に鍔部を備えた構造のものとし、鍔部を筐体本体2A,22Aの外壁面に接合したものとすることができる。
図11は、本発明の水素製造装置の他の実施形態を示す図2相当の断面図である。図11に示される水素製造装置41は、筐体42と、この筐体42の内部に隔壁43,44により区画された気化部45、改質部46、CO除去部47と、改質部46内に配設された触媒担持体51と、CO除去部47内に配設された触媒担持体54と、を備えている。また、気化部45には燃料を供給するための燃料導入路48が接続され、CO除去部47には生成ガスを排出するための生成ガス排出路49が接続されている。そして、気化部45と改質部46とCO除去部47は、隔壁43,44に設けられた開口部(図示せず)によって、この順に(図11の矢印a方向に)連通されている。
さらに、筐体42の外部であって、上記の燃焼室57が配設された面と反対側において、気化部45、改質部46、CO除去部47の各壁面に、電気絶縁層61を介して電熱体60が配設されている。
上記の燃焼室57は、燃料供給路58から供給された燃料を触媒燃焼させて、燃焼熱を筐体42に供給するためのものである。この燃焼室57の材質は特に制限されず、上述の実施形態で筐体用として挙げた金属、シリコン、セラミックス等の材質から、筐体42との接合性等を考慮して適宜選定することができる。また、この燃焼室57の内部に配設する燃焼触媒は、供給する燃料に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール燃焼触媒として、Pd系触媒を使用することができる。
尚、上述の水素製造装置1′,21,21′においても、本実施形態と同様に、燃焼室および/または電熱体を配設することができる。
尚、燃料導入路48と生成ガス排出路49は、第1の実施形態と同様に、円筒部に鍔部を備えた構造のものとし、鍔部を筐体42の外壁面に接合したものとすることができる。
図12は、本発明の水素製造装置の他の実施形態を示す図2相当の断面図であり、図13は、本発明の水素製造装置の他の実施形態を示す図8相当の平面図である。
まず、図12に示される水素製造装置71は、隔壁73,74の内部に断熱空間80を備えている他は、上述の実施形態の水素製造装置1と同様である。すなわち、水素製造装置71は、筐体72と、この筐体72の内部に隔壁73,74により区画された気化部75、改質部76、CO除去部77と、改質部76内に配設された触媒担持体(図示せず)と、CO除去部77内に配設された触媒担持体(図示せず)と、を備えている。また、気化部75には燃料を供給するための燃料導入路78が接続され、CO除去部77には生成ガスを排出するための生成ガス排出路79が接続されている。そして、気化部75と改質部76とCO除去部77は、隔壁73,74に設けられた開口部(図示せず)によって、この順に(図12の矢印a方向に)連通されている。
このような水素製造装置71は、上述の水素製造装置1と同様の作用、効果を発現することに加えて、気化部75、改質部76、CO除去部77において最適な温度制御を行うことがより容易なものとなる。
尚、本実施形態において、断熱空間80,90に断熱材を充填してもよい。使用する断熱材としては、例えば、SiO2、グラスウール、ガラス板、セラミックス板等を挙げることができる。
また、このような水素製造装置71,81においても、上述の実施形態と同様に、燃焼室および/または電熱体を配設することができる。
尚、燃料導入路78,88と生成ガス排出路79,89は、第1の実施形態と同様に、円筒部に鍔部を備えた構造のものとし、鍔部を筐体72,82の外壁面に接合したものとすることができる。
図14は、本発明の水素製造装置の他の実施形態を示す図8相当の平面図である。図14に示される水素製造装置101は、CO除去部107に、酸素含有気体を導入するための導入路110が接続されている他は、上述の実施形態の水素製造装置21と同様である。すなわち、本発明の水素製造装置101は、筐体102と、この筐体102の内部に隔壁103,104により区画された気化部105、改質部106、CO除去部107と、改質部106内に配設された触媒担持体(図示せず)と、CO除去部107内に配設された触媒担持体(図示せず)と、を備えている。また、気化部105には燃料を供給するための燃料導入路108が接続され、CO除去部107には生成ガスを排出するための生成ガス排出路109が接続されている。そして、隔壁103に設けられている開口部103a,103bによって、気化部105と改質部106とCO除去部107は、この順に連通されている。尚、図14では、筐体102を構成する筐体本体102Aのみを示し、筐体蓋体は図示していない。
このような水素製造装置101は、上述の水素製造装置21と同様の作用、効果を発現することに加えて、CO除去効率の更なる向上と、燃料の不必要な燃焼反応や、生成した水素の酸化反応を防止することができる。
尚、このような水素製造装置101においても、上述の実施形態と同様に、燃焼室および/または電熱体を配設することができる。
また、上述の水素製造装置1,1′,21′,41,71,81においても、CO除去部に、酸素含有気体を導入するための導入路が接続してもよい。
また、燃料導入路108と生成ガス排出路109は、第1の実施形態と同様に、円筒部に鍔部を備えた構造のものとし、鍔部を筐体本体102Aの外壁面に接合したものとすることができる。
次に、本発明の水素製造装置製造方法の一実施形態について、図3、図6を参照しながら説明する。
本発明の水素製造装置の製造方法では、まず、開口面を有する筐体本体2A内を隔壁3,4により区画して気化部5、改質部6、CO除去部7を形成し、気化部5には燃料導入路8を設け、CO除去部7に生成ガス排出路8を設ける。この加工方法には特に制限はなく、例えば、金属ブロック体を切削して筐体本体2Aと隔壁3,4とを一体的に形成することができる。また、金属ブロック体を切削して開口面を有する筐体本体2Aを作製し、その後、所望の形状に加工した隔壁3,4を筐体本体2A内に接合配設してもよい。あるいは、ロストワックス法、MIM加工により筐体本体2Aと隔壁3,4を一体的に形成することもできる。隔壁3,4には、連通用の開口部3a,4aを形成するが、この開口部3a,4aは、上記の筐体本体2Aと隔壁3,4の形成と同時に形成してもよく、また、筐体本体2Aと隔壁3,4の形成後に開口部3a,4aのみを形成してもよい。
尚、燃料導入路8と生成ガス排出路9を、図5に示したように、円筒部8a,9aに鍔部8b,9bを備えた構造のものとすることにより、筐体本体2Aに形成した孔部に外側から円筒部8a,9aを挿入し、鍔部8b,9bを筐体本体2Aの外壁面に当接させて仮止めし、その後、レーザー接合等により鍔部8b,9bを筐体本体2Aの外壁面に接合することができ、作業性が著しく向上する。
一方、上述の筐体本体2Aの加工工程とは独立して、表面に所望の触媒を担持した触媒担持体を作製する。この工程では、金属基材12を被覆するように金属酸化膜13を形成し、この金属酸化膜13に触媒C1を担持させて触媒担持体11を作製する。同様に、触媒C2を担持した触媒担持体14を作製する。
金属基体12は、例えば、陽極酸化により金属酸化膜13を形成できる金属、例えば、Al、Si、Ta、Nb、V、Bi、Y、W、Mo、Zr、Hf等とすることができる。また、金属基体12を、ベーマイト処理により金属酸化膜13の形成が可能なCu、ステンレス、Fe、Al等としてもよい。
尚、触媒担持体11,14を波型に折り曲げる成型加工は、金属基体に金属酸化膜を形成する前段階、金属基体に金属酸化膜を形成した段階、金属酸化膜に触媒を担持した段階のいずれであってもよい。
この触媒担持工程では、上述のように、金属基体12上に均一な金属酸化膜13を形成することができ、また、金属酸化膜13上に触媒前駆体溶液を均一に付着させることができるので、所望の担持量で触媒を均一に担持させることができる。
上述のような本発明の水素製造装置の製造方法では、筐体2の内部に直接触媒を担持することなく、隔壁3,4による筐体本体2A内部の区画と独立して触媒担持体11,14を作製するので、触媒担持量のバラツキが抑制され、均一な触媒担持が可能であり、かつ、触媒C1,C2の汚染や失活が生じることが防止される。また、筐体本体2Aと筐体蓋体2Bとの接合面の清浄性が失われることがなく、かつ、接合面積が小さいもの(図3の斜線を付した部位)となるので、接合の信頼性が高いとともに、この接合工程での熱による触媒C1,C2の凝集、失活を防止することができる。
また、隔壁3,4の代わりに、複数の微細孔を備えた隔壁3′,4′、隔壁23′を使用することにより、上記と同様の工程により、上述の水素製造装置1′,21′を製造することができる。
また、筐体2の一方の面に燃焼室57を接合することにより、上述の水素製造装置41を製造することができる。筐体2と燃焼室57との接合は、例えば、拡散接合、ロウ付け、レーザー溶接、抵抗溶接、陽極接合等により行うことができる。
また、CO除去部7に、酸素含有気体を導入するための導入路を接続することにより、上述の水素製造装置101のような構造の水素製造装置を製造することができる。
尚、上述の水素製造装置製造方法の実施形態は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
(筐体本体の作製)
SUS304のブロック体(72mm×24mm、高さ10mm)を準備し、このブロック体の一方の面から切削加工を行った。これにより、厚み3mmの2個の隔壁により内部が区画され、気化部(15mm×18mm、深さ9mm)、改質部(30mm×18mm、深さ9mm)、CO除去部(15mm×18mm、深さ9mm)がこの順に配列され、隔壁の端部には1.8m×1.8mmの開口部が形成された。
次いで、筐体本体の気化部とCO除去部の壁部に直径2mmの開口を形成し、この開口に外径3mm、内径2mmのSUS304のパイプを銀ロウ付により接合した。これにより、図3に示されるような筐体本体を得た。
金属基体として、厚み100μmのアルミニウム薄板(幅16mm、長さ500mm)を準備し、このアルミニウム薄板を外部電極の陽極に接続し、陽極酸化溶液(4%シュウ酸溶液)に浸漬して陰極と対向させ、下記の条件で通電することにより、表面に酸化アルミニウム薄膜を形成した。この酸化アルミニウム薄膜の厚みをエリプソメーターで測定した結果、約30μmであった。
(陽極酸化の条件)
・浴温 : 25℃
・電圧 : 25V(DC)
(触媒前駆体溶液の組成)
・Cu … 0.5モル/L
・Zn … 0.5モル/L
(触媒前駆体溶液の組成)
・Pt … 0.5モル/L
・Fe … 0.5モル/L
上述の筐体本体の改質部、CO除去部に、それぞれ改質部用の触媒担持体、CO除去部用の触媒担持体を載置した。
次いで、SUS304からなる筐体蓋体(70mm×22mm、厚み0.5mm)を準備し、上述の筐体本体の開口面を閉塞するように配置し、その後、下記の条件でレーザー溶接により筐体本体と筐体蓋体を接合した。
(レーザー溶接の条件)
・出 力 : 180W
・パルスエネルギー: 6.4J
・周波数 : 30Hz
次に、上記の絶縁層上に下記組成の発熱体用ペーストをスクリーン印刷により印刷し、200℃で硬化させて、電気的に独立した3つの発熱体を形成した。形成した発熱体は、幅100μmの細線を、気化部、改質部、CO除去部に相当する各領域(気化部:15mm×18mm、改質部:30mm×18mm、CO除去部:15mm×18mm)を覆うように線間隔100μmで引き回したような形状とした。
(発熱体用ペーストの組成)
・カーボン粉末 … 20重量部
・微粉末シリカ … 25重量部
・キシレンフェノール樹脂 … 36重量部
・ブチルカルビトール … 19重量部
(電極用ペーストの組成)
・銀めっき銅粉末 … 90重量部
・フェノール樹脂 … 6.5重量部
・ブチルカルビトール … 3.5重量部
次に、各発熱体上に形成された計6個の電極を露出するように、下記組成の保護層用ペーストを用いて、スクリーン印刷により発熱体保護層(厚み20μm)を発熱体上に形成した。
・樹脂分濃度 … 30重量部
・シリカフィラー … 10重量部
・ラクトン系溶剤(ペンタ1−4−ラクトン) … 60重量部
これにより、本発明の水素製造装置を得ることができた。
(筐体本体の作製)
SUS304のブロック体(43mm×43mm、高さ13mm)を準備し、このブロック体の一方の面から切削加工を行った。これにより、図7、図8に示されるように、厚み3mmのT字型の隔壁により内部が区画され、気化部(17mm×17mm、深さ10mm)、改質部(17mm×37mm、深さ10mm)、CO除去部(17mm×17mm、深さ10mm)がこの順に反時計周りに配列され、1つの隔壁の両端部には1.8mm×1.8mmの開口部が形成された筐体本体を得た。
次いで、気化部とCO除去部が隣接する筐体本体の1つの壁面に直径2mmの開口を2個形成し、各開口に外径3mm、内径2mmのSUS304のパイプを銀ロウ付により接合した。これにより、図7、図8に示されるような筐体本体を得た。
金属基体として、厚み100μmのアルミニウム薄板(幅16mm、長さ500mm)を準備し、実施例1と同様に、陽極酸化によって酸化アルミニウム薄膜を形成し、この酸化アルミニウム薄膜に触媒(Cu/ZnO)を担持させた。その後、長さ方向に1mmピッチで波状に40段の折り曲げを行い、改質部用の触媒担持体とした。
また、金属基体として、厚み100μmのアルミニウム薄板(幅16mm、長さ250mm)を準備し、実施例1と同様に、陽極酸化によって酸化アルミニウム薄膜を形成し、この酸化アルミニウム薄膜に触媒(Pt/Fe2O3)を担持させた。その後、長さ方向に1mmピッチで波状に20段の折り曲げを行い、CO除去部用の触媒担持体とした。
上述の筐体本体の改質部、CO除去部に、それぞれ改質部用の触媒担持体、CO除去部用の触媒担持体を載置した。
次いで、SUS304からなる筐体蓋体(41mm×41mm、厚み0.5mm)を準備し、上述の筐体本体の開口面を閉塞するように配置し、その後、下記の条件でレーザー溶接により筐体本体と筐体蓋体を接合した。
(レーザー溶接の条件)
・出 力 : 180W
・パルスエネルギー: 6.4J
・周波数 : 30Hz
次に、上記の絶縁層上に実施例1と同様にして、電気的に独立した3つの発熱体を形成した。形成した発熱体は、幅100μmの細線を、気化部、改質部、CO除去部に相当する各領域(気化部:15mm×15mm、改質部:15mm×35mm、CO除去部:15mm×15mm)を覆うように線間隔100μmで引き回したような形状とした。
さらに、実施例1と同様にして、各発熱体上に形成された計6個の電極を露出するように発熱体保護層(厚み20μm)を発熱体上に形成した。
これにより、本発明の水素製造装置を得ることができた。
2,22,42,72,82,102…筐体
2A,22A,42A,72A,82A,102A…筐体本体
2B,22B…筐体蓋体
3,4,3′,4′,23,23′,24,43,44,73,74,83,84,103,104…隔壁
3a,4a,23a,23b,83a,83b,103a,103b…開口部
5,25,45,75,85,105…気化部
6,26,46,76,86,106…改質部
7,27,47,77,87,107…CO除去部
8,28,48,78,88,108…燃料導入路
9,29,49,79,89,109…生成ガス排出路
8a,9a…円筒部
8b,9b…鍔部
11,14,31,34,51,54…触媒担持体
12…金属基体
13…金属酸化膜
57…燃焼室
60…電熱体
80,90…断熱空間
110…酸素含有気体の導入路
C1,C2…触媒
Claims (16)
- 筐体と、該筐体内部に隔壁により区画された気化部、改質部、CO除去部と、前記気化部へ燃料を供給するための燃料導入路と、前記CO除去部から生成ガスを排出するための生成ガス排出路とを備えるとともに、前記気化部と前記改質部と前記CO除去部はこの順に連通され、前記改質部と前記CO除去部には触媒担持体を有し、前記隔壁は内部に断熱空間を有し、前記触媒担持体は波型に折り曲げた形状の金属基体と該金属基体を被覆する金属酸化膜とを有する担体の該金属酸化膜に触媒を担持したものであり、前記改質部の内壁面と前記CO除去部の内壁面は触媒を担持していないことを特徴とする水素製造装置。
- 前記気化部と前記改質部と前記CO除去部との連通は、前記隔壁に設けられた開口部でなされていることを特徴とする請求項1に記載の水素製造装置。
- 前記気化部と前記改質部を連通するための前記開口部と、前記改質部と前記CO除去部を連通するための前記開口部とが、前記改質部内で最も距離が大きくなる位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の水素製造装置。
- 少なくとも前記改質部と前記CO除去部を連通するための前記開口部が逆止弁を備えていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の水素製造装置。
- 前記気化部と前記改質部と前記CO除去部との連通は、前記隔壁の少なくとも一部に設けられた複数の微細孔でなされていることを特徴とする請求項1に記載の水素製造装置。
- 前記燃料導入路と前記生成ガス排出路とが、前記筐体の同一壁面に配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の水素製造装置。
- 前記筐体外部に、前記気化部、前記改質部、および、前記CO除去部と隣接するように燃焼室を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の水素製造装置。
- 前記筐体外部の前記気化部、前記改質部、および、前記CO除去部の各壁面に電熱体を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の水素製造装置。
- 前記隔壁は、前記断熱空間内に断熱材を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の水素製造装置。
- 前記CO除去部に、酸素含有気体を導入するための導入路が接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の水素製造装置。
- 前記導入路中に逆止弁が配設されていることを特徴とする請求項10に記載の水素製造装置。
- 前記筐体が断熱部材で被覆されていることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の水素製造装置。
- 前記燃料導入路に接続された燃料タンクを前記筐体外部に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の水素製造装置。
- 前記生成ガス排出路にポンプが接続され、該ポンプにより生成ガスが燃料電池に導入可能であることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の水素製造装置。
- 前記燃料導入路および/または前記生成ガス排出路は、円筒部と、該円筒部の所望部位に配設された鍔部とを備えたものであり、前記筐体に形成された孔部に外部から前記円筒部が挿入され、前記鍔部が前記筐体外壁面に固着されてなることを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれかに記載の水素製造装置。
- 開口面を有する筐体本体内を、内部に断熱空間を有する隔壁により区画して気化部、改質部、CO除去部を形成し、前記気化部に燃料導入路を設け、前記CO除去部に生成ガス排出路を設ける工程と、
金属基体と該金属基体を被覆する金属酸化膜とを有し波型に折り曲げた成型体である担体の該金属酸化膜に所望の触媒を担持した触媒担持体を作製する工程と、
該触媒担持体を前記改質部、前記CO除去部に載置した後、前記開口面を閉塞するように筐体蓋体を前記筐体本体に接合して筐体を形成するとともに、前記気化部と前記改質部と前記CO除去部をこの順に連通したものとする工程と、を有することを特徴とする水素製造装置の製造方法。
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