JP2009082803A - マイクロリアクターおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高効率の触媒反応を可能とする信頼性の高いマイクロリアクターと、このマイクロリアクターを簡便に製造することができる製造方法を提供する。
【解決手段】マイクロリアクターを、1組の金属基板4,6が接合された接合体2と、この1組の金属基板の少なくとも一方の金属基板の接合面に形成された微細溝部5,7で構成されたトンネル状流路3と、トンネル状流路に連通された原料導入口およびガス排出口と、トンネル状流路にコンタクト層8を介して形成された触媒担持層9と、この触媒担持層9に担持された触媒Cとを備えるものとし、コンタクト層8は多孔性金属層とし、触媒担持層9は無機酸化物被膜とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、マイクロリアクターとその製造方法に係り、特に担持した触媒によって所望の反応を進行させるためのマイクロリアクターと、その製造方法に関する。
従来から、触媒を利用したリアクターが種々の分野で使用されており、目的に応じて最適な設計がなされている。
一方、近年、地球環境保護の観点で二酸化炭素等の地球温暖化ガスの発生がなく、また、エネルギー効率が高いことから、水素を燃料とすることが注目されている。特に、燃料電池は水素を直接電力に変換できることや、発生する熱を利用するコジェネレーションシステムにおいて高いエネルギー変換効率が可能なことから注目されている。これまで燃料電池は宇宙開発や海洋開発等の特殊な条件において採用されてきたが、最近では自動車や家庭用分散電源用途への開発が進んでおり、また、携帯機器用の燃料電池も開発されている。
携帯機器用の燃料電池では小型化が必須であり、炭化水素系燃料を水蒸気改質して水素ガスを生成する改質器の小型化が種々検討されている。例えば、金属基板、シリコン基板、セラミックス基板等にマイクロチャネルを形成し、このマイクロチャネル内に触媒を担持した種々のマイクロリアクターが開発されている(特許文献1)。また、触媒の担持量を増大するために、陽極酸化、ウォッシュコート、溶射等により形成された金属酸化物層が触媒担持層として使用されている(特許文献2)。
特開2002−252014号公報 特開2002−143675号公報
例えば、金属基板に設けたマイクロチャネル内に溶射により金属酸化物層を形成して触媒担持層とする場合、触媒担持層と金属基板との密着性が悪く、触媒担持層の脱落が生じるという問題があった。このため、マイクロチャネル内をサンドブラスト処理により予め粗面化して密着性を向上させることが行われている。
しかし、金属基板の一方の面に形成されたマイクロチャネルに粗面化処理としてサンドブラスト処理を施す場合、金属基板の一方の面のみからサンドブラスト処理が施されるので、金属基板に変形が生じ、金属基板の積層や接合が困難になり、接合不良によるマイクロリアクターの信頼性低下という問題があった。一方、金属基板の変形を抑えることが可能な粗面化処理として、例えば、エッチング処理、粗面化めっき処理等の粗面化処理を施した場合、サンドブラスト処理に比べて触媒担持層と金属基板との密着性向上が不十分であるという問題があった。
また、金属基板に変形が生じることにより、溶射で形成する触媒担持層のパターニング精度が低下し、金属基板の接合に支障を来たしたり、所期の触媒担持層面積を達成できずに、触媒担持量が低下するという問題もあった。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、高効率の触媒反応を可能とする信頼性の高いマイクロリアクターと、このマイクロリアクターを簡便に製造することができる製造方法を提供することを目的とする。
このような目的を達成するために、本発明のマイクロリアクターは、1組の金属基板が接合された接合体と、前記1組の金属基板の少なくとも一方の金属基板の接合面に形成された微細溝部で構成されたトンネル状流路と、該トンネル状流路に連通された原料導入口およびガス排出口と、前記トンネル状流路にコンタクト層を介して形成された触媒担持層と、該触媒担持層に担持された触媒とを備え、前記コンタクト層は多孔性金属層であり、前記触媒担持層は無機酸化物被膜であるような構成とした。
また、本発明のマイクロリアクターは、3枚以上の金属基板が積層接合された接合体と、該接合体の内部に形成された流路と、該流路に連通された原料導入口およびガス排出口と、前記流路にコンタクト層を介して形成された触媒担持層と、該触媒担持層に担持された触媒とを備え、少なくとも最外層に位置しない前記金属基板は少なくとも一方の接合面に形成された溝部と、該溝部に形成された貫通孔とを有し、前記溝部と前記貫通孔により前記流路が構成され、前記コンタクト層は多孔性金属層であり、前記触媒担持層は無機酸化物被膜であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記溝部は隔壁を介して複数形成されているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記溝部に形成された貫通孔は複数であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記多孔性金属層の材質は、前記金属基板の材質と同じであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記多孔性金属層の材質は、前記金属基板の材質と異なり、Cr、Mo、W、Ta、V、Ti、Zr、HfおよびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記金属基板はステンレス基板であり、前記触媒担持層はアルミナ、シリカ、ムライトの少なくとも1種であるような構成とした。
本発明のマイクロリアクターの製造方法は、接合体を構成するための1組の金属基板の少なくとも一方の金属基板の片面に微細溝部を形成する溝部形成工程と、溶射を行って前記微細溝部内に多孔性金属層を形成してコンタクト層とするコンタクト層形成工程と、溶射を行って前記コンタクト層上に無機酸化物被膜を成膜して触媒担持層とする触媒担持層形成工程と、前記1組の金属基板を接合して、前記微細溝部で構成されたトンネル状流路を内部に備え、該トンネル状流路に連通された原料導入口とガス排出口を備えた接合体を形成する接合工程と、前記トンネル状流路内の前記触媒担持層に触媒を担持する触媒担持工程と、を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記溝部形成工程と前記コンタクト層形成工程との間に、前記微細溝部の壁面を粗面化する表面処理工程を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記表面処理工程は、粗面化めっき処理およびエッチング処理のいずれかであるような構成とした。
また、本発明のマイクロリアクターの製造方法は、接合体を構成するための複数の金属基板の全て、または、最外層に配設される1枚を除いた金属基板に対して、その少なくとも片面に、溝部と該溝部内に位置する貫通孔とを形成する溝部・貫通孔形成工程と、溶射を行って前記溝部内と前記貫通孔内に多孔性金属層を形成してコンタクト層とするコンタクト層形成工程と、溶射を行って前記コンタクト層上に無機酸化物被膜を成膜して触媒担持層とする触媒担持層形成工程と、前記複数の金属基板を接合して、前記溝部と前記貫通孔で構成された流路を内部に備え、該流路に連通された原料導入口とガス排出口を備えた接合体を形成する接合工程と、前記流路内の前記触媒担持層に触媒を担持する触媒担持工程と、を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記溝部・貫通孔形成工程と前記コンタクト層形成工程との間に、前記溝部と前記貫通孔の壁面を粗面化する表面処理工程を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記表面処理工程は、粗面化めっき処理およびエッチング処理のいずれかであるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記コンタクト層形成工程では、前記金属基板と同じ材料を用いて前記多孔性金属層を形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記コンタクト層形成工程では、Cr、Mo、W、Ta、V、Ti、Zr、HfおよびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種を用いて前記多孔性金属層を形成するような構成とした。
本発明のマイクロリアクターは、無機酸化物被膜である触媒担持層と金属基板の流路との間に、多孔性金属層であるコンタクト層が介在するので、触媒担持層と金属基板との密着性が極めて高く、触媒担持層の脱落等の欠陥発生が防止され、かつ、金属基板の変形がなく、接合体の強度的信頼性が高く、これにより、高効率の触媒反応が可能であり信頼性の高いものとなる。
また、本発明のマイクロリアクターの製造方法は、接合体を形成する前の金属基板に、溶射により多孔性金属層であるコンタクト層を形成し、その後、溶射により無機酸化物被膜である触媒担持層を形成するので、触媒担持層と金属基板との密着性が高く、かつ、金属基板の変形が防止され、これにより、高い精度で触媒担持層を形成することができ、また、金属基板の接合が容易なものとなり、接合体の接合強度が高い信頼性の高いマイクロリアクターを製造することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
[マイクロリアクター]
(第1の実施態様)
図1は本発明のマイクロリアクターの実施形態を示す斜視図であり、図2は図1に示されるマイクロリアクターのA−A線における拡大縦断面図である。図1および図2において、本発明のマイクロリアクター1は、一方の面4aに微細溝部5が形成された金属基板4と、一方の面6aに微細溝部7が形成された金属基板6とが、微細溝部5と微細溝部7が対向するように接合された接合体2を有している。この接合体2の内部には、対向する微細溝部5,7で構成されたトンネル状流路3が形成されており、このトンネル状流路3の内壁面の全面にコンタクト層8を介して触媒担持層9が配設されており、この触媒担持層9に触媒Cが担持されている。また、トンネル状流路3は、上記の接合体2の端面2aに設けられている原料導入口10aとガス排出口10bに連通している。
図3は、図1に示されるマイクロリアクター1の金属基板4と金属基板6を離間させた状態を示す斜視図である。尚、図3では、コンタクト層8および触媒担持層9を省略している。図3に示されるように、微細溝部5,7は、180度折り返して蛇行しながら連続する形状で形成されている。そして、微細溝部5と微細溝部7は、金属基板4,6の接合面に対して対称関係にあるパターン形状である。したがって、金属基板4,6の接合により、微細溝部5の端部5aが微細溝部7の端部7a上に位置し、微細溝部5の端部5bが微細溝部7の端部7b上に位置して、微細溝部5と微細溝部7が完全に対向している。このような微細溝部5,7で構成されるトンネル状流路3の端部が、図1に示されるように、原料導入口10aとガス排出口10bをなしている。
マイクロリアクター1を構成する金属基板4,6は、トンネル状流路3の壁面に直接触媒Cを担持しないので、微細溝部5,7の加工が容易で、かつ、接合が容易な金属材料を選択することができ、例えば、ステンレス基板、銅基板、アルミニウム基板、チタン基板、鉄基板、鉄合金基板等であってよい。ステンレス基板の場合、微細溝部5,7の精密加工が容易であるとともに、拡散接合により強固な接合体2が得られる。また、銅基板の場合、微細溝部5.7の精密加工が容易であるとともに、レーザー溶接、抵抗溶接、ロウ付けにより強固な接合体2が得られる。金属基板4,6の厚みは、マイクロリアクター1の大きさ、使用する金属の熱容量、熱伝導率等の特性、形成する微細溝部5,7の大きさ等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、50〜5000μm程度の範囲で設定することができる。
金属基板4,6に形成される微細溝部5,7は、図3に示されるような形状に限定されるものではなく、微細溝部5,7内に担持する触媒Cの量が多くなり、かつ、原料が触媒Cと接触する流路長が長くなるような任意の形状とすることができる。
また、トンネル状流路3の流体の流れ方向に垂直な断面における微細溝部5,7の内壁面の形状は、円弧形状ないし半円形状、あるいは、U字形状が好ましい。このような微細溝部5,7からなるトンネル状流路3の径は、例えば、100〜2000μm程度の範囲内で設定することができ、流路長は30〜300mm程度の範囲とすることができる。
コンタクト層8は、金属基板4,6と触媒担持層9との密着性を向上させるための層であり、多孔性金属層からなる。このコンタクト層8を構成する多孔性金属層は、金属基板4,6と同じ金属あるいは合金を用いて溶射により形成されたものであってよく、また、Cr、Mo、W、Ta、V、Ti、Zr、HfおよびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種の材料を用いて溶射により形成されたものであってもよい。このようなコンタクト層8の厚みは、例えば、30〜500μm、好ましくは50〜150μmの範囲とすることができる。コンタクト層8の厚みが30μm未満であると、溶射未処理部分が存在することがあり、また、500μmを超えると、微細溝部が埋まってしまい好ましくない。
尚、本発明において多孔性金属層の表面状態は、触針式表面形状測定装置(アルバック(株)製 DEKTAK)を用いて測定したときに、Raが0.5〜5.0μm、Rzが1.0〜20μmの範囲であることが好ましく、これにより、コンタクト層8と触媒担持層9との密着性が向上する。
触媒担持層9は無機酸化物被膜であり、例えば、溶射により形成したアルミナ(Al23)被膜、ムライト(Al23・2SiO2)被膜、シリカ(SiO2)被膜、ジルコニア(ZrO2)被膜、チタニア(TiO2)被膜、セリア(CeO2)皮膜等とすることができる。このような触媒担持層9の厚みは、例えば、10〜50μm程度の範囲で適宜設定することができる。
触媒Cとしては、マイクロリアクター1の使用目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水素製造に使用する場合、触媒CとしてCu−Zn系、Pd−Zn系等の改質触媒、Pt、Pd、NiO、Co23、CuO等の燃焼触媒を使用することができる。
(第2の実施態様)
図4は本発明のマイクロリアクターの他の実施形態を示す図2相当の縦断面図である。図4において、本発明のマイクロリアクター11は、一方の面14aに微細溝部15が形成された金属基板14と、微細溝部15を覆うように金属基板14の面14aに接合された金属基板(カバー部材)16とからなる接合体12を有している。この接合体12の内部には、微細溝部15と金属基板16とで構成されたトンネル状流路13が形成されており、微細溝部15の内壁面にコンタクト層18を介して触媒担持層19が配設され、この触媒担持層19に触媒Cが担持されている。
金属基板14の微細溝部15は、図3に示される微細溝部5,7と同様に、180度折り返して蛇行しながら連続する形状であってよい。また、微細溝部15の断面形状は円弧形状ないし半円形状、あるいは、U字形状等であってよい。そして、トンネル状流路13の一方の開口端が原料導入口(図示せず)となり、他方の開口端がガス排出口(図示せず)となっている。
このようなマイクロリアクター11を構成する金属基板14、金属基板(カバー部材)16は、上述の実施形態の金属基板4,6と同様の材料を使用することができる。また、金属基板14の厚みは、マイクロリアクター11の大きさ、使用する金属材料の熱容量、熱伝導率等の特性、形成する微細溝部15の大きさ等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、50〜5000μm程度の範囲で設定することができる。また、金属基板16の厚みは、使用する材料等を考慮して適宜設定することができ、例えば、20〜2000μm程度の範囲で設定することができる。
このマイクロリアクター11においても、コンタクト層18は、金属基板14と触媒担持層19との密着性を向上させるための層であり、多孔性金属層からなる。このようなコンタクト層18は、上述の実施形態のコンタクト層8と同様とすることができる。
また、マイクロリアクター11を構成する触媒担持層19も、上述の実施形態の触媒担持層9と同様とすることができる。
触媒Cとしては、マイクロリアクター11の使用目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水素製造に使用する場合、触媒CとしてCu−Zn系、Pd−Zn系等の改質触媒、Pt、Pd、NiO、Co23、CuO等の燃焼触媒を使用することができる。
上述の本発明のマイクロリアクター1,11は、発熱体を備えるものであってもよい。図5は、このような本発明のマイクロリアクターの実施形態を示す図2相当の縦断面図である。図5において、本発明のマイクロリアクター1′は、上述のマイクロリアクター1の接合体2の表面(金属基板4の表面)に絶縁膜21を介して発熱体22が設けられており、発熱体22には電極23,23が形成され、この電極23,23が露出するような電極開口部24a,24aを有する発熱体保護層24が、発熱体22を覆うように設けられたものである。
金属基板4に形成された絶縁膜21は、例えば、ポリイミド、セラミック(Al23、SiO2)等とすることができる。また、絶縁膜21は、接合体2の陽極酸化により形成した金属酸化膜であってもよい。このような絶縁膜21の厚みは、使用する材料の特性等を考慮して適宜設定することができ、例えば、1〜150μm程度の範囲で設定することができる。
マイクロリアクター1′を構成する発熱体22は、吸熱反応である原料の水蒸気改質等に必要な熱を供給するためのものであり、カーボンペースト、ニクロム(Ni−Cr合金)、Ti、Au、W、Mo等の材質を使用することができる。この発熱体22は、例えば、幅10〜200μm程度の細線を、微細溝部5が形成されている領域に相当する金属基板4(絶縁層21)上の領域全面に引き回したような形状とすることができる。
このような発熱体22に形成された通電用の電極23,23は、Au、Ag、Pd、Pd−Ag等の導電材料を用いて形成することができる。
また、発熱体保護層24は、例えば、Al23、SiO2等のセラミック材料、感光性ポリイミド、ワニス状のポリイミド等により形成することができる。また、発熱体保護層24の厚みは、使用する材料等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、2〜25μm程度の範囲で設定することができる。
尚、上記の絶縁膜21、発熱体22、電極23,23、発熱体保護層24を金属基板6上に配設してもよいことは勿論である。
また、上述のマイクロリアクター11においても、金属基板14上あるいは金属基板16上に絶縁膜21、発熱体22、電極23,23、発熱体保護層24を配設することができる。
また、上述の本発明のマイクロリアクターは、接合体の端面に原料導入口とガス排出口を有する構造であるが、原料導入口とガス排出口を接合体の主平面に備えるものであってもよい。図6は、このような本発明のマイクロリアクターの実施形態を示す図2相当の縦断面図である。図6において、本発明のマイクロリアクター11′は、一方の面14aに微細溝部15が形成された金属基板14と、微細溝部15を覆うように金属基板14の面14aに接合された金属基板(カバー部材)16とからなる接合体12を有している。この接合体12の内部には、微細溝部15と金属基板16とで構成されたトンネル状流路13が形成されており、微細溝部15の内壁面にコンタクト層18を介して触媒担持層19が配設され、この触媒担持層19に担持されている。また、上記金属基板16には、原料導入口20aとガス排出口20bが設けられており、これらはトンネル状流路13の各端部に位置している。
尚、上述のマイクロリアクター1においても、原料導入口とガス排出口を接合体2の主平面に備えるものであってもよい。
(第3の実施態様)
図7は、本発明のマイクロリアクターの他の実施形態を示す斜視図であり、図8は図7に示されるマイクロリアクターのB−B線における拡大縦断面図であり、図9は図7に示されるマイクロリアクターのC−C線における拡大縦断面図である。図7〜図9において、本発明のマイクロリアクター31は、5枚の金属基板34,35,36,37,38が積層接合された接合体32を有している。5枚の金属基板34,35,36,37,38のうち、一方の最外層である金属基板34はカバー部材として機能し、所定の位置に3個の貫通孔34Bを備えている。また、最外層に位置しない3枚の金属基板35,36,37と、最外層の金属基板38は、それぞれ隔壁を介して分離された3列の溝部35A,36A,37A,38Aを一方の面(金属基板34側)に備え、各溝部35A,36A,37A,38Aには貫通孔35B,36B,37B,38Bがそれぞれ設けられている。そして、3列の溝部35A,36A,37A,38Aは、それぞれ貫通孔35B,36B,37Bを介して積層方向に連通されている。したがって、金属基板34の貫通孔34Bから、溝部35A→貫通孔35B→溝部36A→貫通孔36B→溝部37A→貫通孔37B→溝部38A→貫通孔38Bに至るジグザグ形状の流路33が3本(33A,33B,33C)形成されている。
また、上記のように3本の流路33A,33B,33Cを構成する4枚の金属基板35,36,37,38の各溝部35A,36A,37A,38Aと、3枚の金属基板35,36,37の貫通孔35B,36B,37Bの内壁面には、コンタクト層40を介して触媒担持層41が配設されており、この触媒担持層41に触媒Cが担持されている。そして、金属基板34の3個の貫通孔34Bは、3本の流路33A,33B,33Cの原料導入口39aであり、最外層の金属基板38の3個の貫通孔38Bは、3本の流路33A,33B,33Cのガス排出口39bとなっている。
図10は、図7に示されるマイクロリアクター31を構成する5枚の金属基板34,35,36,37,38を離間させた状態を示す斜視図である。尚、図10では、コンタクト層40と触媒担持層41を省略している。図10に示されるように、金属基板35,36,37,38には、それぞれ隔壁を介して3列の溝部35A,36A,37A,38Aが形成されており、各溝部35A,36A,37A,38Aの一方の端部には貫通孔35B,36B,37B,38Bがそれぞれ設けられている。図示例では、ジグザグ形状の3本の流路33のうち、流路33Aと流路33Cは、溝部35A,36A,37A,38A内での流体の流れ方向が同一であり、流路33Bは流体の流れ方向が逆となっている。
マイクロリアクター31を構成する5枚の金属基板34,35,36,37,38は、上述の実施形態の金属基板4,6と同様の材料を使用することができる。また、金属基板35,36,37,38の厚みは、マイクロリアクター31の大きさ、使用する金属材料の熱容量、熱伝導率等の特性、必要とされる溝部35A,36A,37A,38Aの大きさ等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、50〜5000μm程度の範囲で設定することができる。また、金属基板34の厚みは、使用する材料等を考慮して適宜設定することができ、例えば、20〜2000μm程度の範囲で設定することができる。
このマイクロリアクター31においても、コンタクト層40は、金属基板35,36,37,38と触媒担持層41との密着性を向上させるための層であり、多孔性金属層からなる。このようなコンタクト層40は、上述の実施形態のコンタクト層8と同様とすることができる。
また、マイクロリアクター31を構成する触媒担持層41も、上述の実施形態の触媒担持層9と同様とすることができる。
触媒Cとしては、マイクロリアクター31の使用目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水素製造に使用する場合、触媒CとしてCu−Zn系、Pd−Zn系等の改質触媒、Pt、Pd、NiO、Co23、CuO等の燃焼触媒を使用することができる。また、各流路33A,33B,33C毎に任意の触媒を担持させることができる。
尚、上述のマイクロリアクター31においても、接合体32の所望の面に絶縁膜を介して発熱体と電極、発熱体保護層を配設することができる。
また、各流路33A,33B,33Cの流体の流れ方向には制限はなく、流体の流れ方向が、図示例と逆に、基板38から基板34へ向かうものであってもよい。この場合、3個の原料導入口39aと、3個のガス排出口39bとが逆となる。また、3個の原料導入口39aの位置、3個のガス排出口39bの位置も図示例に限定されるものではない。
また、金属基板34の表面(溝部35A側に露出している面)にもコンタクト層40を介して触媒担持層41を配設し、この触媒担持層41に触媒Cを担持してもよい。さらに、各金属基板35,36,37の表面(溝部36A,37A,38Aに露出している面)にもコンタクト層40を介して触媒担持層41を配設し、この触媒担持層41に触媒Cを担持してもよい。これにより、触媒Cの担持量がさらに増大し、反応効率とスペースの有効利用が向上する。
(第4の実施形態)
図11は、本発明のマイクロリアクターの他の実施形態を示す斜視図であり、図12は図11に示されるマイクロリアクターのD−D線における拡大縦断面図である。図11、図12において、本発明のマイクロリアクター51は、6枚の金属基板54,55,56,57,58,59が積層接合された接合体52を有している。また、図13は、図11に示されるマイクロリアクター51を構成する6枚の金属基板54,55,56,57,58,59を離間させた状態を示す斜視図である。尚、図13では、後述するコンタクト層61と触媒担持層62を省略している。
上記の6枚の金属基板54,55,56,57,58,59のうち、一方の最外層である金属基板54はカバー部材として機能し、ほぼ中央に1列に3個の貫通孔54Bを備えている。また、最外層に位置しない4枚の金属基板55,56,57,58と、最外層の金属基板59は、それぞれ隔壁を介して配列された3列の溝部55A,56A,57A,58A,59Aを一方の面(金属基板54側)に備えている。また、3枚の金属基板55,57,59の各溝部55A,57A,59Aには、ほぼ中央部に1個の貫通孔55B,57B,59Bがそれぞれ設けられている。一方、2枚の金属基板56,58の各溝部56A,58Aには、両端部に1個、計2個の貫通孔56B,58Bがそれぞれ設けられている。そして、3列の溝部55A,56A,57A,58A,59Aは、それぞれ貫通孔55B,56B,57B,58Bを介して積層方向に連通されている。したがって、金属基板54の各貫通孔54Bから、溝部55A→1個の貫通孔55B→溝部56A→2個の貫通孔56B→溝部57A→1個の貫通孔57B→溝部58A→2個の貫通孔58B→溝部59A→1個の貫通孔59Bに至る集中・分離を繰り返すような流路53が3本(53A,53B,53C(図12では流路53Aが示されている))形成されている。
また、上記の3本の流路53A,53B,53Cを構成する5枚の金属基板55,56,57,58,59の各溝部55A,56A,57A,58A,59Aと、4枚の金属基板55,56,57,58の貫通孔55B,56B,57B,58Bの内壁面には、コンタクト層61を介して触媒担持層62が配設されており、この触媒担持層62に触媒Cが担持されている。そして、金属基板54の3個の貫通孔54Bは、3本の流路53A,53B,53Cの原料導入口60aであり、最外層の金属基板59の3個の貫通孔59Bは、3本の流路53A,53B,53Cのガス排出口60bとなっている。
このようなマイクロリアクター51を構成する6枚の金属基板54,55,56,57,58,59は、上述の実施形態の金属基板4,6と同様の材料を使用することができる。また、金属基板55,56,57,58,59の厚みは、マイクロリアクター51の大きさ、使用する金属材料の熱容量、熱伝導率等の特性、必要とされる溝部55A,56A,57A,58A,59Aの大きさ等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、50〜5000μm程度の範囲で設定することができる。また、金属基板54の厚みは、使用する材料等を考慮して適宜設定することができ、例えば、20〜2000μm程度の範囲で設定することができる。
このマイクロリアクター51においても、コンタクト層61は、金属基板55,56,57,58,59と触媒担持層62との密着性を向上させるための層であり、多孔性金属層からなる。このようなコンタクト層61は、上述の実施形態のコンタクト層8と同様とすることができる。
また、マイクロリアクター51を構成する触媒担持層62も、上述の実施形態の触媒担持層9と同様とすることができる。
触媒Cとしては、マイクロリアクター51の使用目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水素製造に使用する場合、触媒CとしてCu−Zn系、Pd−Zn系等の改質触媒、Pt、Pd、NiO、Co23、CuO等の燃焼触媒を使用することができる。また、各流路53A,53B,53C毎に任意の触媒を担持させることができる。
尚、上述のマイクロリアクター51においても、接合体52の所望の面に絶縁膜を介して発熱体と電極、発熱体保護層を配設することができる。
また、各流路53A,53B,53Cの流体の流れ方向には制限はなく、流体の流れ方向が、図示例と逆に、基板59から基板54へ向かうものであってもよい。この場合、3個の原料導入口60aと、3個のガス排出口60bとが逆となる。また、3個の原料導入口60aの位置、3個のガス排出口60bの位置も図示例に限定されるものではない。
また、金属基板54の表面(溝部55A側に露出している面)にもコンタクト層61を介して触媒担持層62を配設し、この触媒担持層62に触媒Cを担持してよく、さらに、各金属基板55,56,57,58の表面(溝部56A,57A,58A,59Aに露出している面)にもコンタクト層61を介して触媒担持層62を配設し、この触媒担持層62に触媒Cを担持してよい。これにより、触媒Cの担持量がさらに増大し、反応効率とスペースの有効利用が向上する。
(第5の実施形態)
図14は、本発明のマイクロリアクターの他の実施形態を示す図8、図12相当の縦断面図である。図14において、本発明のマイクロリアクター71は、5枚の金属基板74,75,76,77,78が積層接合された接合体72を有している。また、図15は、図14に示されるマイクロリアクター71を構成する5枚の金属基板74,75,76,77,78を離間させた状態を示す斜視図である。尚、図15では、後述するコンタクト層80および触媒担持層81を省略している。
上記の5枚の金属基板74,75,76,77,78のうち、一方の最外層である金属基板74はカバー部材として機能し、後述する金属基板75の6個の溝部75Aに跨るような1個の溝部74Aと、略中央に1個の貫通孔74Bを備えている。また、最外層に位置しない3枚の金属基板75,76,77は、それぞれ6個の溝部75A,76A,77Aを一方の面(金属基板74側)に備えている。一方、最外層の金属基板78は、金属基板74の溝部74Aに対応した1個の溝部78Aを一方の面(金属基板74側)に備えている。また、3枚の金属基板75,76,77の各溝部75A,76A,77Aには、貫通孔75B,76B,77Bがそれぞれ設けられている。また、金属基板78の溝部78Aには、1個の貫通孔78Bが設けられている。そして、各溝部75A,76A,77A,78Aは、それぞれ複数の貫通孔75B,76B,77Bを介して積層方向に連通されている。したがって、金属基板74の1個の貫通孔74Bから溝部74Aに入った後は、溝部75A→貫通孔75B→溝部76A→貫通孔76B→溝部77A→貫通孔77B→溝部78Aに至る6個の独立した流路73が形成されている。
また、上記の6個の独立した流路73を構成する4枚の金属基板75,76,77,78の各溝部75A,76A,77A,78Aと、3枚の金属基板75,76,77の貫通孔75B,76B,77Bの内壁面には、コンタクト層80を介して触媒担持層81が配設されており、この触媒担持層81に触媒Cが担持されている。そして、金属基板74の1個の貫通孔74Bは、流路73の原料導入口79aであり、最外層の金属基板78の1個の貫通孔78Bは、流路73のガス排出口79bとなっている。
このようなマイクロリアクター71を構成する5枚の金属基板74,75,76,77,78は、上述の実施形態の金属基板4,6と同様の材料を使用することができる。また、金属基板75,76,77,78の厚みは、マイクロリアクター71の大きさ、使用する金属材料の熱容量、熱伝導率等の特性、必要とされる溝部75A,76A,77A,78Aの大きさ等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、50〜5000μm程度の範囲で設定することができる。また、金属基板74の厚みは、使用する材料、必要とされる溝部74Aの大きさ等を考慮して適宜設定することができ、例えば、50〜2000μm程度の範囲で設定することができる。
このマイクロリアクター71においても、コンタクト層80は、金属基板75,76,77,78と触媒担持層81との密着性を向上させるための層であり、多孔性金属層からなる。このようなコンタクト層80は、上述の実施形態のコンタクト層8と同様とすることができる。
また、マイクロリアクター71を構成する触媒担持層81も、上述の実施形態の触媒担持層9と同様とすることができる。
触媒Cとしては、マイクロリアクター71の使用目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水素製造に使用する場合、触媒CとしてCu−Zn系、Pd−Zn系等の改質触媒、Pt、Pd、NiO、Co23、CuO等の燃焼触媒を使用することができる。
尚、上述のマイクロリアクター71においても、接合体72の所望の面に絶縁膜を介して発熱体と電極、発熱体保護層を配設することができる。
また、流路73の流体の流れ方向には制限はなく、図示例とは逆に、流体の流れ方向が基板78から基板74へ向かうものであってもよい。この場合、原料導入口79aとガス排出口79bとが逆となる。また、原料導入口79aの位置、ガス排出口79bの位置も図示例に限定されるものではない。
また、金属基板74の溝部74Aにもコンタクト層80を介して触媒担持層81を配設し、この触媒担持層81に触媒Cを担持してよく、さらに、各金属基板75,76,77の表面(溝部76A,77A,78Aに露出している面)にもコンタクト層80を介して触媒担持層81を配設し、この触媒担持層81に触媒Cを担持してよい。これにより、触媒Cの担持量がさらに増大し、反応効率とスペースの有効利用が向上する。
また、図14,15の例では、独立した流路73が6個存在するものであるが、各金属基板75,76,77に形成する溝部75A,76A,77Aの数を増やすことにより、更に多数の流路を形成してもよい。
上述のような本発明のマイクロリアクターは、無機酸化物被膜である触媒担持層と金属基板の流路との間に、多孔性金属層であるコンタクト層が介在するので、触媒担持層と金属基板との密着性が極めて高く、触媒担持層の脱落等の欠陥発生が防止され、かつ、金属基板の変形がなく、接合体の強度的信頼性が高く、これにより、高効率の触媒反応が可能で信頼性の高いものとなる。
尚、上述のマイクロリアクターの各実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
[マイクロリアクターの製造方法]
(第1の実施態様)
図16および図17は本発明のマイクロリアクター製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。図16、図17では、上述のマイクロリアクター1を例にして説明する。
本発明の製造方法では、まず、溝部形成工程において、金属基板4の一方の面4aに微細溝部5を形成し、金属基板6の一方の面6aに微細溝部7を形成する(図16(A))。この微細溝部5,7は、金属基板4,6の面4a,6aに所定の開口パターンを有するレジストパターン91,92を形成し、このレジストパターン91,92をマスクとしてウエットエッチングにより金属基板4,6をエッチングして形成することができる。
金属基板4,6は、形成される微細溝部5と微細溝部7のパターン形状が、金属基板4,6の接合面(4a,6a)に対して対称関係にある1組の金属基板をなす。また、微細溝部5,7は、断面が円弧形状ないし半円形状、あるいは、U字形状とすることができる。使用する金属基板4,6の材質は、微細溝部5,7に直接触媒Cを担持しないので、微細溝部5,7の精密加工が容易で、かつ、接合が容易な金属材料を選択することができ、例えば、ステンレス基板、銅基板、アルミニウム基板、チタン基板、鉄基板、鉄合金基板等であってよい。
次に、コンタクト層形成工程において、上記のレジストパターン91,92を介して、金属基板4,6の接合面4a,6a(微細溝部5,7が形成されている面)に溶射を行ってコンタクト層8を形成する(図16(B))。コンタクト層8の形成は、金属基板4,6と同じ金属あるいは合金を溶射して多孔性金属層を成膜することにより行うことができる。また、Cr、Mo、W、Ta、V、Ti、Zr、HfおよびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種の材料を用いて溶射することにより多孔性金属層を成膜してコンタクト層8とすることもできる。このようなコンタクト層8の厚みは、例えば、30〜500μm、好ましくは50〜150μmの範囲とすることができる。
次に、触媒担持層形成工程において、上記のレジストパターン91,92を介して、コンタクト層8上に溶射により触媒担持層9を形成する(図16(C))。その後、レジストパターン91,92を除去するとともに、不要なコンタクト層8および触媒担持層9をリフトオフして除去し、微細溝部5,7内にコンタクト層8を介して触媒担持層9を形成する(図17(A))。触媒担持層9の形成は、例えば、アルミナ(Al23)、ムライト(Al23・2SiO2)、シリカ(SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、セリア(CeO2)等を溶射して行うことができる。このような触媒担持層9の厚みは、例えば、10〜50μmの範囲で設定することができる。このように、レジストパターン91,92の除去と同時に、不要なコンタクト層8と触媒担持層9がリフトオフされるので、金属基板4,6において清浄な接合面が確保されることとなる。
上記のコンタクト層8、触媒担持層9を形成するための溶射は、例えば、プラズマスプレー法(高温のプラズマを利用し、材料の粉末を溶融して基材表面にスプレーコートする)により行うことができる。
尚、溝部形成工程後、コンタクト層8を形成する前に、微細溝部5,7の壁面を粗面化処理する表面処理工程を設定してもよい。この表面処理工程は、例えば、粗面化めっき処理、および、エッチング処理のいずれかとすることができ、粗面化の程度は、例えば、平均表面粗さRaが0.2〜2.0μmの範囲内となるように設定することができる。
また、上記のレジストパターン91,92が耐溶射性を備えていない場合は、溝部形成工程後にレジストパターン91,92を除去し、微細溝部5,7に対応した開口部を有するメタルマスクを介して溶射によるコンタクト層8、触媒担持層9の形成を行うことができる。また、レジストパターン91,92を除去した後、金属基板4,6の微細溝部5,7が形成されていない部位に、耐溶射性を有するレジストパターンを形成し、このレジストパターンを介して溶射によるコンタクト層8、触媒担持層9の形成を行うことができる。いずれの場合も、不要なコンタクト層8と触媒担持層9がリフトオフされるので、金属基板4,6において清浄な接合面が確保されることとなる。
次に、接合工程において、1組の金属基板4,6を、微細溝部5と微細溝部7とが対向するように、面4a,6aで接合して接合体2を形成する(図17(B))。
上記のように、微細溝部5と微細溝部7は、金属基板4,6の接合面(4a,6a)に対して対称関係にあるパターン形状であるため、金属基板4,6の接合により、微細溝部5と微細溝部7が完全に対向してトンネル状流路3が形成される。このトンネル状流路3の流体の流れ方向に垂直な断面における内壁面の形状は略円形状であり、内壁面の全面にコンタクト層8を介して触媒担持層9を備えたものとなる。上記の金属基板4,6の接合は、例えば、ステンレス基板を使用する場合には拡散接合が行え、銅基板等を使用する場合にはレーザー溶接、抵抗溶接、ロウ付け等により行うことができる。
次いで、触媒担持工程において、トンネル状流路3の内壁面の触媒担持層9に触媒Cを担持することにより、マイクロリアクター1が得られる(図17(C))。触媒担持層9への触媒Cの担持は、例えば、触媒懸濁液を接合体2のトンネル状流路3内に流して充填し、あるいは、触媒懸濁液内に接合体2を浸漬し、その後、触媒懸濁液をトンネル状流路3から抜いて乾燥することにより行うことができる。尚、上記の乾燥時に、振動あるいは回転を接合体2に与えることにより、より均一な触媒担持が可能となる。
また、図4に示されるマイクロリアクター11の製造は、一方の金属基板として、微細溝部を形成しない金属基板16を使用する他は、上述の実施形態と同様に行うことができる。
尚、図5に示されるように、金属基板4上に絶縁膜21、発熱体22、電極23,23、発熱体保護層24を形成する場合は、まず、金属基板4上に絶縁膜21を介して発熱体22を設け、さらに、通電用の電極23,23を形成する。
絶縁膜21は、例えば、接合体2を外部電極の陽極に接続した状態で陽極酸化溶液に浸漬し、陰極と対向させ通電して陽極酸化することにより形成することができる。また、ポリイミド樹脂膜の形成、セラミック(Al23、SiO2)膜の形成により絶縁膜21としてもよい。
発熱体22は、カーボンペースト、ニクロム(Ni−Cr合金)、Au、Ti、W、Mo等の材質を使用して形成することができる。発熱体22の形成方法としては、上記の材料を含有するペーストを用いてスクリーン印刷により形成する方法、上記の材料を含有するペーストを用いて塗布膜を形成し、その後、エッチング等によりパターニングする方法、上記材料を用いて真空成膜法により薄膜を形成し、その後、エッチング等によりパターニングする方法等を挙げることができる。また、通電用の電極23,23は、Au、Ag、Pd、Pd−Ag等の導電材料を用いて形成することができ、例えば、上記の導電材料を含有するペーストを用いてスクリーン印刷により形成することができる。
次いで、電極23,23が露出するように発熱体保護層24を発熱体22上に形成する。発熱体保護層24は、ポリイミド、セラミック(Al23、SiO2)等の材料を用いて形成することができ、例えば、上記材料を含有するペーストを用いてスクリーン印刷により電極開口部24a,24aを有するパターンで形成することができる。
(第2の実施態様)
図18および図19は本発明のマイクロリアクター製造方法の他の実施形態を説明するための工程図である。図18、図19では、上述のマイクロリアクター31を例にして説明する。
本発明の製造方法では、まず、溝部・貫通孔形成工程において、金属基板35の一方の面35aに3列の溝部35Aを形成するためのレジストパターン101を形成し、他方の面35bには3個の貫通孔35Bを形成するためのレジストパターン102を形成する(図18(A))。次いで、このレジストパターン101,102をマスクとして両面からウエットエッチングにより金属基板35をエッチングして、3列の溝部35Aを形成するとともに、各溝部35A内に1個の貫通孔35Bを形成する(図18(B))。使用する金属基板35の材質は、溝部35Aや貫通孔35Bに直接触媒Cを担持しないので、溝部や貫通孔の精密加工が容易で、かつ、接合が容易な金属材料を選択することができ、例えば、ステンレス基板、銅基板、アルミニウム基板、チタン基板、鉄基板、鉄合金基板等であってよい。
次に、コンタクト層形成工程において、上記のレジストパターン101,102を介して、金属基板35の溝部35A形成面側から溶射を行ってコンタクト層40を形成する(図18(C))。コンタクト層40の形成は、上述の実施形態のコンタクト層8の形成と同様に行うことができる。
次に、触媒担持層形成工程において、上記のレジストパターン101,102を介して、コンタクト層40上に溶射により触媒担持層41を形成する(図18(D))。その後、レジストパターン101,102を除去するとともに、不要なコンタクト層40および触媒担持層41をリフトオフして除去し、3列の溝部35Aと各貫通孔35Bにコンタクト層40を介して触媒担持層41を形成する(図18(E))。このような触媒担持層41の形成は、上述の実施形態の触媒担持層9の形成と同様に行うことができる。このように、レジストパターン101,102の除去と同時に、不要なコンタクト層40と触媒担持層41がリフトオフされるので、金属基板35において清浄な接合面が確保されることとなる。
コンタクト層40と触媒担持層41を形成する溶射は上述の実施形態と同様に行うことができる。
尚、溝部・貫通孔形成工程後、コンタクト層40を形成する前に、3列の溝部35Aと各貫通孔35Bの壁面を粗面化する表面処理工程を設定してもよい。この表面処理工程は、上述の実施形態で説明したように行うことができる。
また、上記のレジストパターン101,102が耐溶射性を備えていない場合は、溝部・貫通孔形成工程後にレジストパターン101,102を除去し、溝部35Aに対応した開口部を有するメタルマスクを介して溶射を行うことができる。また、レジストパターン101,102を除去した後、金属基板35の表面35aのうち、溝部35Aが形成されていない部位に耐溶射性を有するレジストパターンを形成し、このレジストパターンを介して溶射を行うこともできる。いずれの場合も、不要なコンタクト層40と触媒担持層41がリフトオフされるので、金属基板35において清浄な接合面が確保されることとなる。
以上の操作を各金属基板36,37,38に対して行うことにより、それぞれ3列の溝部36A,37A,38Aと、各溝部内に貫通孔36B,37B,38Bを形成し、さらに、コンタクト層40を介して触媒担持層41を形成する。また、最外層となる金属基板38では、ドリル研磨等により貫通孔38Bを所望の直径のガス排出口39bとする。この際、貫通孔38Bに形成された溶射膜(コンタクト層40、触媒担持層41)は除去される。また、金属基板34に対しては、3個の貫通孔34Bを形成する。これにより、マイクロリアクター31を構成する5枚の金属基板34,35,36,37,38を得る(図19(A))。尚、最外層となる金属基板38に対して貫通孔38Bを形成せずに溝部38Aのみを形成し、コンタクト層40と触媒担持層41を溝部38A内に形成した後、ドリル研磨等により所望の直径の貫通孔38Bを形成してガス排出口39bとしてもよい。
次に、接合工程において、5枚の金属基板34,35,36,37,38を、溝部形成面が金属基板34側となるように積層接合して接合体32を形成する(図19(B))。この接合体32では、金属基板34の貫通孔34Bから、溝部35A→貫通孔35B→溝部36A→貫通孔36B→溝部37A→貫通孔37B→溝部38A→貫通孔38Bに至るジグザグ形状の流路33が3本形成される。上記の金属基板34,35,36,37,38の接合は、例えば、ステンレス基板を使用する場合には拡散接合が行え、銅基板等を使用する場合にはレーザー溶接、抵抗溶接、ロウ付け等により行うことができる。
次いで、触媒担持工程において、流路33の内壁面の触媒担持層41に触媒Cを担持することにより、マイクロリアクター31(図7〜図10参照)が得られる。触媒担持層41への触媒Cの担持は、例えば、触媒懸濁液を接合体32の流路33内に流して充填し、あるいは、触媒懸濁液内に接合体32を浸漬し、その後、触媒懸濁液を流路33から抜いて乾燥することにより行うことができる。尚、上記の乾燥時に、振動あるいは回転を接合体32に与えることにより、より均一な触媒担持が可能となる。
尚、接合体32の所望の面に絶縁膜を介して発熱体、電極、発熱体保護層を形成する場合は、上述の実施形態と同様に行うことができる。
また、基板34の表面(溝部35A側に露出している面)にもコンタクト層40を介して触媒担持層41を形成する場合には、貫通孔34Bを形成した後、一方の面(積層時に溝部35A側に露出する面)のレジストパターンを除去し、この面に、コンタクト層40と触媒担持層41を形成する領域に相当した開口部をもつレジストパターンを形成して溶射を行うことができる。また、各基板35,36,37の表面(溝部36A,37A,38Aに露出している面)にコンタクト層40を介して触媒担持層41を形成する場合も同様である。
また、図11〜図13に示されるマイクロリアクター51の製造、図14および図15に示されるマイクロリアクター71の製造も、形成する溝部の個数、形状、貫通孔の個数、形成位置を適宜設定する他は、上記の操作と同様に行うことができる。
上述のようなマイクロリアクターの製造方法では、接合体を形成する前の金属基板に、溶射により多孔性金属層であるコンタクト層を形成し、その後、溶射により無機酸化物被膜である触媒担持層を形成するので、金属基板の変形を生じることがなく、したがって、高い精度で触媒担持層を形成することができ、また、金属基板の接合が容易なものとなり、接合強度の高い接合体を形成することができる。
尚、上述のマイクロリアクター製造方法の各実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
次に、より具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
<溝部形成工程>
金属基板として厚み1000μmのSUS316L基板(25mm×25mm)を準備し、このSUS316L基板の両面に感光性レジスト材料(東京応化工業(株)製OFPR)をディップ法により塗布(膜厚7μm(乾燥時))した。次に、SUS316L基板の微細溝部を形成する側のレジスト塗膜上に、幅1500μmのストライプ状の遮光部がピッチ2000μmで左右から交互に突出(突出長20mm)した形状のフォトマスクを配した。また、上記と同様のSUS316L基板を準備し、同様に感光性レジスト材料を塗布し、SUS316L基板の微細溝部を形成する側のレジスト塗膜上に、フォトマスクを配した。このフォトマスクは、SUS316L基板面に対して、上記のフォトマスクと面対称となるものとした。
次いで、上記の1組のSUS316L基板について、それぞれフォトマスクを介してレジスト塗布膜を露光し、炭酸水素ナトリウム溶液を使用して現像した。これにより、各SUS316L基板の一方の面には、幅500μmのストライプ状の開口部がピッチ2000μmで配列され、隣接するストライプ状の開口部が、その端部において交互に連続するようなレジストパターンが形成された。
次に、上記のレジストパターンをマスクとして、下記の条件でSUS316L基板をエッチング(3分間)した。
(エッチング条件)
・温度 : 50℃
・エッチング液(塩化第二鉄溶液) 比重濃度: 45ボーメ(°B’e)
これにより、1組のSUS316L基板は、その一方の面に、幅1000μm、深さ650μm、長さ20mmのストライプ形状の微細溝が2000μmのピッチで形成され、隣接する微細溝の端部において交互に連続するような形状(図3に示されるような180度折り返しながら蛇行して連続する形状)の微細溝部(流路長220mm)が形成された。この微細溝部の流体の流れ方向に垂直な断面における内壁面の形状は略半円形状であった。
<コンタクト層形成工程>
上述のように微細溝部が形成された1組のSUS316L基板の微細溝部形成面に対して、プラズマスプレー法によりSUS316Lを溶射してコンタクト層(厚み50μm)を形成した。このコンタクト層の表面状態を触針式表面形状測定装置(アルバック(株)製 DEKTAK)を用いて測定したところ、Raが5.0μm、Rzが10μmであった。
<触媒担持層形成工程>
次に、上記のコンタクト層を被覆するように、プラズマスプレー法によりムライト(Al23・2SiO2)を溶射して触媒担持層(厚み30μm)を形成した。
次いで、水酸化ナトリウム溶液を用いてレジストパターンを除去し、水洗した。このレジストパターン除去により、不要なコンタクト層および触媒担持層がリフトオフされ、微細溝部内にコンタクト層を介して触媒担持層が形成された。
ここで、このように触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、下記の条件で触媒担持層の密着性を評価した。その結果、触媒担持層の脱落は見られなかった(100片の碁盤目のうち、剥離した碁盤目は無かった)。
(触媒担持層の密着性の評価条件)
碁盤の目テープ剥離試験(JIS D0202−1988)に準拠し、触媒担持
層に10×10の100片の碁盤目状に切り込みを入れ、粘着テープ(ニチバン
(株)製 CT24)を用いて指の腹で触媒担持面に密着させた後、剥離する。
また、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、変形の有無を観察したが、変形は見られず、SUS316L基板の微細溝部が形成されていない面は、平坦性が維持されていることが確認された。
<接合工程>
次いで、上記の1組のSUS316L基板を、互いの微細溝部が対向するように下記の条件で拡散接合して接合体を作製した。この接合では、1組の基板の微細溝部どうしが完全に対向するように位置合わせをした。これにより、接合体の一端面に原料導入口とガス排出口とが存在するトンネル状流路が接合体内に形成された。
(拡散接合条件)
・雰囲気 :真空中
・接合温度 :1000℃
・接合時間 :12時間
<触媒担持工程>
次に、接合体の流路内に下記組成の触媒懸濁液を充填して放置(15分間)し、その後、触媒懸濁液を抜き、120℃、3時間の乾燥還元処理を施して、流路内全面に触媒を担持させた。
(触媒懸濁液の組成)
・Al … 41.2重量%
・Cu … 2.6重量%
・Zn … 2.8重量%
・水 … 残部
次に、上記の接合体を構成する一方のSUS316L基板上に、絶縁膜用塗布液としてポリイミド前駆体溶液(東レ(株)製フォトニース)をスクリーン印刷により印刷し、350℃で硬化させて厚み20μmの絶縁膜を形成した。次いで、この絶縁膜上に下記組成の発熱体用ペーストをスクリーン印刷により印刷し、200℃で硬化させて発熱体を形成した。形成した発熱体は、幅100μmの細線を、微細溝部が形成されている領域に相当する領域(20mm×20mm)全面を覆うようにSUS316L基板上に線間隔100μmで引き回したような形状とした。
(発熱体用ペーストの組成)
・カーボン粉末 … 20重量部
・微粉末シリカ … 25重量部
・キシレンフェノール樹脂 … 36重量部
・ブチルカルビトール … 19重量部
また、下記組成の電極用ペーストを用いて、スクリーン印刷により発熱体の所定の2ヶ所に電極(0.5mm×0.5mm)を形成した。
(電極用ペーストの組成)
・銀めっき銅粉末 … 90重量部
・フェノール樹脂 … 6.5重量部
・ブチルカルビトール … 3.5重量部
次に、発熱体上に形成された2個の電極を露出するように、下記組成の保護層用ペーストを用いて、スクリーン印刷により発熱体保護層(厚み20μm)を発熱体上に形成した。
(保護層用ペーストの組成)
・樹脂分濃度 … 30重量部
・シリカフィラー … 10重量部
・ラクトン系溶剤(ペンタ1−4−ラクトン) … 60重量部
これにより、本発明のマイクロリアクターを得ることができた。
[実施例2]
SUS316Lの代わりにCrをプラズマスプレー法により溶射してコンタクト層(厚み50μm)を形成した他は、実施例1と同様にして、本発明のマイクロリアクターを作製した。
形成したコンタクト層の表面状態を実施例1と同様に測定したところ、Raが5.0μm、Rzが15μmであった。
また、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、実施例1と同様の条件で触媒担持層の密着性を評価した結果、触媒担持層の脱落は見られなかった(100片の碁盤目のうち、剥離した碁盤目は無かった)。
さらに、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、変形の有無を観察したが、変形は見られず、SUS316L基板の微細溝部が形成されていない面は、平坦性が維持されていることが確認された。
[実施例3]
SUS316Lの代わりにTaをプラズマスプレー法により溶射してコンタクト層(厚み50μm)を形成した他は、実施例1と同様にして、本発明のマイクロリアクターを作製した。
形成したコンタクト層の表面状態を実施例1と同様に測定したところ、Raが3.0μm、Rzが10μmであった。
また、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、実施例1と同様の条件で触媒担持層の密着性を評価した結果、触媒担持層の脱落は見られなかった(100片の碁盤目のうち、剥離した碁盤目は無かった)。
さらに、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、変形の有無を観察したが、変形は見られず、SUS316L基板の微細溝部が形成されていない面は、平坦性が維持されていることが確認された。
[実施例4]
SUS316Lの代わりにTiをプラズマスプレー法により溶射してコンタクト層(厚み50μm)を形成した他は、実施例1と同様にして、本発明のマイクロリアクターを作製した。
形成したコンタクト層の表面状態を実施例1と同様に測定したところ、Raが5.0μm、Rzが15μmであった。
また、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、実施例1と同様の条件で触媒担持層の密着性を評価した結果、触媒担持層の脱落は見られなかった(100片の碁盤目のうち、剥離した碁盤目は無かった)。
さらに、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、変形の有無を観察したが、変形は見られず、SUS316L基板の微細溝部が形成されていない面は、平坦性が維持されていることが確認された。
[実施例5]
SUS316Lの代わりにAlをプラズマスプレー法により溶射してコンタクト層(厚み50μm)を形成した他は、実施例1と同様にして、本発明のマイクロリアクターを作製した。
形成したコンタクト層の表面状態を実施例1と同様に測定したところ、Raが3.0μm、Rzが10μmであった。
また、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、実施例1と同様の条件で触媒担持層の密着性を評価した結果、触媒担持層の脱落は見られなかった(100片の碁盤目のうち、剥離した碁盤目は無かった)。
さらに、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、変形の有無を観察したが、変形は見られず、SUS316L基板の微細溝部が形成されていない面は、平坦性が維持されていることが確認された。
[比較例1]
コンタクト層を形成しない他は、実施例1と同様にして、マイクロリアクターを作製した。
しかし、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、実施例1と同様の条件で触媒担持層の密着性を評価した。その結果、触媒担持層に設けた100片の碁盤目のうち95片が脱落し、作製したマイクロリアクターは実用に供し得ないものであった。
[比較例2]
コンタクト層を形成せず、代わりに、触媒担持層形成工程の前に、SUS316L基板の微細溝部を形成した面に下記の条件でサンドブラスト処理を施した他は、実施例1と同様にして、マイクロリアクターを作製した。
(サンドブラスト処理条件)
・投射メディア : Al23#80
・投射圧 : 5kgf/cm2
触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、実施例1と同様の条件で触媒担持層の密着性を評価した結果、触媒担持層の脱落は見られなかった(100片の碁盤目うち、剥離した碁盤目は無かった)。
しかし、触媒担持層が形成されたSUS316L基板について、変形の有無を観察した結果、SUS316L基板の微細溝部が形成されている面が凸形状となる変形が見られ、後工程の接合工程では、一部に接合不良の部位が発生し、作製したマイクロリアクターは実用に供し得ないものであった。
本発明は、メタノールの改質、一酸化炭素の酸化除去等の反応からなる水素製造等、担持した触媒によって所望の反応を進行させる用途に利用することができる。
本発明のマイクロリアクターの一実施形態を示す斜視図である。 図1に示されるマイクロリアクターのA−A線における拡大縦断面図である。 図1に示されるマイクロリアクターを構成する金属基板を離間させた状態を示す斜視図である。 本発明のマイクロリアクターの他の実施形態を示す図2相当の縦断面図である。 本発明のマイクロリアクターの他の実施形態を示す図2相当の縦断面図である。 本発明のマイクロリアクターの他の実施形態を示す図2相当の縦断面図である。 本発明のマイクロリアクターの他の実施形態を示す斜視図である。 図7に示されるマイクロリアクターのB−B線における拡大縦断面図である。 図7に示されるマイクロリアクターのC−C線における拡大縦断面図である。 図7に示されるマイクロリアクターを構成する5枚の金属基板を離間させた状態を示す斜視図である。 本発明のマイクロリアクターの他の実施形態を示す斜視図である。 図11に示されるマイクロリアクターのD−D線における拡大縦断面図である。 図11に示されるマイクロリアクターを構成する6枚の金属基板を離間させた状態を示す斜視図である。 本発明のマイクロリアクターの他の実施形態を示す図9相当の縦断面図である。 図14に示されるマイクロリアクターを構成する5枚の金属基板を離間させた状態を示す斜視図である。 本発明のマイクロリアクター製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。 本発明のマイクロリアクター製造方法の一実施形態を説明するための工程図である。 本発明のマイクロリアクター製造方法の他の実施形態を説明するための工程図である。 本発明のマイクロリアクター製造方法の他の実施形態を説明するための工程図である。
符号の説明
1,1′,11,11′,31,51,71…マイクロリアクター
2,12,32,52,72…接合体
3,13…トンネル状流路
4,6,14,16,34,35,36,37,38,54,55,56,57,58,59,74,75,76,77,78…金属基板
5,7,15…微細溝部
8,18,40,61,80…コンタクト層
9,19,41,62,81…触媒担持層
10a,20a,39a,60a,79a…原料導入口
10b,20b,39b,60b,79b…ガス排出口
33(33A,33B,33C),53(53A,53B,53C),73…流路
35A,36A,37A,38A,55A,56A,57A,58A,59A,75A,76A,77A,78A…溝部
35B,36B,37B,38B,55B,56B,57B,58B,59B,75B,76B,77B,78B…貫通孔
21…絶縁膜
22…発熱体
23…電極
24…発熱体保護層
C…触媒

Claims (15)

  1. 1組の金属基板が接合された接合体と、前記1組の金属基板の少なくとも一方の金属基板の接合面に形成された微細溝部で構成されたトンネル状流路と、該トンネル状流路に連通された原料導入口およびガス排出口と、前記トンネル状流路にコンタクト層を介して形成された触媒担持層と、該触媒担持層に担持された触媒とを備え、前記コンタクト層は多孔性金属層であり、前記触媒担持層は無機酸化物被膜であることを特徴とするマイクロリアクター。
  2. 3枚以上の金属基板が積層接合された接合体と、該接合体の内部に形成された流路と、該流路に連通された原料導入口およびガス排出口と、前記流路にコンタクト層を介して形成された触媒担持層と、該触媒担持層に担持された触媒とを備え、少なくとも最外層に位置しない前記金属基板は少なくとも一方の接合面に形成された溝部と、該溝部に形成された貫通孔とを有し、前記溝部と前記貫通孔により前記流路が構成され、前記コンタクト層は多孔性金属層であり、前記触媒担持層は無機酸化物被膜であることを特徴とするマイクロリアクター。
  3. 前記溝部は隔壁を介して複数形成されていることを特徴とする請求項2に記載のマイクロリアクター。
  4. 前記溝部に形成された貫通孔は複数であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のマイクロリアクター。
  5. 前記多孔性金属層の材質は、前記金属基板の材質と同じであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマイクロリアクター。
  6. 前記多孔性金属層の材質は、前記金属基板の材質と異なり、Cr、Mo、W、Ta、V、Ti、Zr、HfおよびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のマイクロリアクター。
  7. 前記金属基板はステンレス基板であり、前記触媒担持層はアルミナ、シリカ、ムライトの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のマイクロリアクター。
  8. 接合体を構成するための1組の金属基板の少なくとも一方の金属基板の片面に微細溝部を形成する溝部形成工程と、
    溶射を行って前記微細溝部内に多孔性金属層を形成してコンタクト層とするコンタクト層形成工程と、
    溶射を行って前記コンタクト層上に無機酸化物被膜を成膜して触媒担持層とする触媒担持層形成工程と、
    前記1組の金属基板を接合して、前記微細溝部で構成されたトンネル状流路を内部に備え、該トンネル状流路に連通された原料導入口とガス排出口を備えた接合体を形成する接合工程と、
    前記トンネル状流路内の前記触媒担持層に触媒を担持する触媒担持工程と、を有することを特徴とするマイクロリアクターの製造方法。
  9. 前記溝部形成工程と前記コンタクト層形成工程との間に、前記微細溝部の壁面を粗面化する表面処理工程を有することを特徴とする請求項8に記載のマイクロリアクターの製造方法。
  10. 前記表面処理工程は、粗面化めっき処理およびエッチング処理のいずれかであることを特徴とする請求項9に記載のマイクロリアクターの製造方法。
  11. 接合体を構成するための複数の金属基板の全て、または、最外層に配設される1枚を除いた金属基板に対して、その少なくとも片面に、溝部と該溝部内に位置する貫通孔とを形成する溝部・貫通孔形成工程と、
    溶射を行って前記溝部内と前記貫通孔内に多孔性金属層を形成してコンタクト層とするコンタクト層形成工程と、
    溶射を行って前記コンタクト層上に無機酸化物被膜を成膜して触媒担持層とする触媒担持層形成工程と、
    前記複数の金属基板を接合して、前記溝部と前記貫通孔で構成された流路を内部に備え、該流路に連通された原料導入口とガス排出口を備えた接合体を形成する接合工程と、
    前記流路内の前記触媒担持層に触媒を担持する触媒担持工程と、を有することを特徴とするマイクロリアクターの製造方法。
  12. 前記溝部・貫通孔形成工程と前記コンタクト層形成工程との間に、前記溝部と前記貫通孔の壁面を粗面化する表面処理工程を有することを特徴とする請求項11に記載のマイクロリアクターの製造方法。
  13. 前記表面処理工程は、粗面化めっき処理およびエッチング処理のいずれかであることを特徴とする請求項12に記載のマイクロリアクターの製造方法。
  14. 前記コンタクト層形成工程では、前記金属基板と同じ材料を用いて前記多孔性金属層を形成することを特徴とする請求項8乃至請求項13のいずれかに記載のマイクロリアクター。
  15. 前記コンタクト層形成工程では、Cr、Mo、W、Ta、V、Ti、Zr、HfおよびAlからなる群から選ばれた少なくとも1種を用いて前記多孔性金属層を形成することを特徴とする請求項8乃至請求項13のいずれかに記載のマイクロリアクター。
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