以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す概要図である。図1において、画像形成装置は、大きく画像読取部10、画像書込部20、画像形成部30、転写紙搬送部40、転写紙排紙部50、及び転写紙反転部60から構成され、さらに装置本体に外付けされる形で、外部給紙手段41Lと複写後処理部70とが設けられている。なお、本実施形態にいう「転写紙」とは、本発明にいう「記録材」に該当する。
画像読取部10は、原稿Sに記載されている文字列又は絵画を光源の照射光によって光情報として読み取り、これを電気情報に変換する部位である。
原稿Sは、その原稿面Sf(画像が形成されている面)がプラテンガラス(原稿ガラス)11表面に対向するよう、該プラテンガラス11上に直接に載置される。光源12は、この載置された原稿面Sfに対し光を投射する。原稿面Sfに達した光は、その画像情報を含む光(情報)となって当該面を反射しミラー13に到達する。なお、光源12及びミラー13は、原稿面Sf全体を走査するようプラテンガラス11面に沿って移動可能な構成となっている。
また、本実施形態における画像形成装置は、自動原稿給送手段としての自動両面原稿搬送部(RADF)100を備えている。原稿Sは、ここからプラテンガラス11A上に給送することも可能である。自動両面原稿搬送部100は、図1に示すように、原稿載置台101に複数積層された原稿S群について、その一枚を分離して給送ローラ100a及び100bにより送り出し、これをローラ100cを介してプラテンガラス11A上に供給するようになっている。プラテンガラス11A下に、光源12Aとミラー13Aが静止している(この場合、上記光源12とミラー13が図1において左方に移動して静止する)。これらの構成により、上記と同様、複数の原稿S群に関し、その原稿面Sfを連続して読み取ることができる。
上記の他、図1に示す自動両面原稿搬送部100及びプラテンガラス11A等の構成においては、原稿Sの表裏両面を読み取ることも可能である。この場合においては、一方の面を光源12Aにより光を投射された原稿Sは、反転ローラ102により原稿Sを、一旦(いったん)、図中右方向に送り出して、その読み取りが完了したら反転ローラ102の回転を反転させ、当該原稿Sを図中左方向に搬送しつつそれをローラ100cによって、原稿Sの他方の面をプラテンガラス11A面に対向させるように搬送する。なお、自動両面原稿搬送部100から供給され、光源12Aにより光が投射された原稿Sは、排紙皿103に順次積層されていく。
また、この画像読取部10においては、原稿サイズの自動検知を行う原稿サイズ検知手段が設けられている。これは、プラテンガラス11下に設けられる複数の光学式原稿サイズセンサ18と、RADF用原稿サイズ検知部(不図示)とがそれにあたる。前者は、上述したプラテンガラス11上に原稿を直接載置する場合に用いられる原稿サイズ検知手段であり、後者は上記自動両面原稿搬送部100を使用する場合に用いられる原稿サイズ検知手段である。
光学式原稿サイズセンサ18は、図2に示すように、図中上下方向となる主走査方向(図1においては紙面垂直方向)の原稿サイズ、すなわち原稿幅を検知するセンサ181、182と、図中左右方向となる副走査方向(図1においては左右方向)の原稿サイズ、すなわち原稿長を検知するセンサ183、184とから構成される。各々のセンサ181、…、184は図示しない発光素子と受光素子との一組で構成されている。ここに、あるサイズの原稿Sがプラテンガラス11上に載置されれば、上記四つのセンサ181、…、184における発光素子からの光が、当該原稿Sによってすべて遮られる場合と、当該原稿Sを載置することによってもすべて検知される場合との間において、光検知に係る一通りの組み合わせ関係が生じることとなる。このような光検知の有無に基づいた、センサ181、…、184の組み合わせを調べることで、原稿Sのサイズは自動的に検知されることになる。
RADF用原稿サイズ検知部は、原稿載置台101上に備えられている側部規制板と副走査方向の原稿通過時間を計測する計時センサ(いずれも不図示)とから構成されている。原稿Sのサイズは、側部規制板が原稿載置台101上に載置された原稿S群の辺縁に密着した際、自身のその位置を検知すること(原稿幅検知)と、計時センサが計測した上記原稿通過時間とその搬送速度とから演算すること(原稿長検知)により、自動的に検知されることになる。
これら光学式原稿サイズセンサ18やRADF用原稿サイズ検知部により自動的に検知された原稿Sのサイズは、後述するAPS機能実行時等に利用される。なお、これら原稿のサイズの検知は、複数の定形サイズのうちいずれかの定形サイズに該当することを検知するものである。
さて、上記したように光源12又は12Aにより光が照射された原稿面Sfに係る光情報は、以下、ミラー141、142又は151、152で反射を繰り返し、結像光学系16を介してCCD撮像装置17に達する。CCD撮像装置17は、光電変換機能を有する複数の画素が一次元状(主走査方向であり、図1においては紙面垂直方向)に配列された光電面(不図示)を有しており、これら複数の画素によって前記原稿面Sfの画像情報を含む光情報が受け取られ、これが電気情報(画像データともいう)に変換する撮像部である。
画像書込部20は、上記のようにして得られた画像データ(シェーディング補正やγ補正など画像処理が施された画像データであり、場合によっては、画像メモリ(不図示)に記憶されたものであってもよい)に基づき変調したレーザビームを、後述する感光体ドラム31上に照射(書き込み)し、該感光体ドラム31上に静電潜像を形成する部位である。
原稿面Sfに係る光情報が変換されその画像情報を含む前記電気情報(画像データ)は、図示しない半導体レーザから発振するレーザビームを変調するために用いられる。前記画像データに基づいて変調され発振されたレーザビームは、駆動モータ21にその中心部が接続され回転可能とされたポリゴンミラー22に照射され、ここを反射した該レーザビームは反射ミラー23を介して感光体ドラム31上に照射される。ここに、ポリゴンミラー22がレーザビームを反射しつつ回転することにより、感光体ドラム31上では、該レーザビームの照射が、その軸方向(主走査方向)に関して走査されながら行われることになる。このレーザビームの照射により、感光体ドラム31上には、前記電気情報に基づいた静電潜像が形成される。
なお、画像形成装置がネットワーク(例えば、LAN)に接続されている場合、ネットワークを介してコンピュータから送信される画像データ(原稿)に基づいき変調したレーザビームを、後述する感光体ドラム31上に照射(書き込み)し、該感光体ドラム31上に静電潜像を形成してもよい。
画像形成部30は、上記感光体ドラム31上に形成される静電潜像を基にして転写紙P上に画像を形成する部位である。
感光体ドラム31には、上述したようにレーザビームの照射による静電潜像が形成されるが、その前提作業として当該感光体ドラム31表面全体を帯電部32によって一様に帯電させておく。現像部33は、前記静電潜像に対して帯電したトナー粒子を付着させてこれを可視化する。すなわち、静電潜像に基づいたトナー像が形成される。転写部34では、別途給送されてくる転写紙P面に対して、前記トナー像を形成するトナー粒子を転写・付着させ、該転写紙P面上に画像を形成する。
以下、感光体ドラム31上に対しては、分離部35が該感光体ドラム31に吸着した転写紙Pを分離し、クリーニング部36が前記転写作用後感光体ドラム31上に残ったトナーを清掃して清浄面を現出し、再び帯電部32による一様帯電及びレーザビーム照射による静電潜像の形成が行われ得るようにする。一方、転写紙Pについては搬送機構37を介して定着部38へと送られる。定着部38は、熱ローラ38a及び38bによって転写紙Pに熱及び圧力を加え、前記転写されたトナー粒子の定着を図る。転写紙Pはこの後、転写紙排紙部50に設けられた数個のローラを介して、画像形成装置外部へと排紙される。この時点において、原稿面Sfに係る画像の、転写紙P面に対する「複写」が完了することになる。
ちなみに、本実施形態における画像形成装置においては、上記した感光体ドラム31から転写紙Pへのトナー粒子の転写(つまり画像形成)を、転写紙Pの一方の面のみへ行うのではなく、その他方の面に対しても実施することが可能である。この場合においては、片面複写を終えた転写紙Pは転写紙反転部60へと搬送される。ガイド部61は、この転写紙反転部60と上記転写紙排紙部50とに関する転写紙Pの搬送経路切換を行う。ガイド部61が転写紙Pを図中下方に搬送するように切り換えられると、該転写紙Pは、反転ローラ62を介して反転部63へと搬出される。次に、転写紙Pが反転部63へ所定量送出された状態において、反転ローラ62を反転させ、該転写紙Pを反転搬送経路64へと搬送する。以下、転写紙Pは当該経路64を通過して、再び感光体ドラム31の上流側に到達する。このとき、感光体ドラム31面と対向する転写紙P面は、転写紙反転部60を通過する前に転写された面とは、別の面となっている。なお、一般的には、このように反転された転写紙Pに実際に画像形成を行う際、感光体ドラム31上には前記画像書込部20によって新たな画像情報の書き込みをなしておく。
転写紙搬送部40は、上記した画像形成部30とりわけその感光体ドラム31に対して転写紙Pを搬送する部位である。
転写紙Pは、上下方向に段状に構成された複数の給紙カセット(記録材収納手段)41(図では、411、412、413の3つの給紙カセット)内に収納され、具体的には、給紙カセット41内の各々に設けられたトレイ(底板)42上に積層・載置される。これら給紙カセット41は、上記画像形成部30に転写紙Pを送出する際、すなわち画像形成する際には装置本体内に収まり、転写紙Pを補充する際には前記装置本体から引き出すことが可能なように構成されている。また、給紙カセット411、412及び413の各々については、例えば第一の給紙カセット411には「A4」、第二の給紙カセット412には「A3」等、サイズの異なる転写紙Pを対応させて収納したり、また、第一の給紙カセット411にはA4サイズの厚紙、第二の給紙カセット412には同サイズの薄紙等、種別の別毎に対応させて、各々収納しておくことが可能である。なお、本実施の形態における給紙カセット411〜413は、種々のサイズの転写紙Pを収納することができるものであり、一般に「ユニバーサルカセット」と呼称されることがある。
なお、図1においては、3つの給紙カセットを設ける場合を示したが、本発明において、設け得る給紙カセット数は、原理的に限定されるものではない。すなわち、給紙カセットはいくつ設けてもよい。
また、本実施形態においては、転写紙搬送部40として、手差トレイ41Hと外部給紙手段(いわゆるLCT)41Lとを有しており、給紙カセット41の他、給紙される転写紙Pを載置(収納)する手段として、図1に示すように、手差トレイ41Hと、大量の転写紙Pを予めストックしておくことが可能な外部給紙手段41L内の給紙トレイ(不図示)とが設けられている。前者によれば、特別な転写紙やOHP等への画像形成を特別に行うような場合に対応することが可能となり、後者では大量の転写紙Pに対する連続した画像形成を行うことが可能となる。
このような本実施の形態においては、画像形成の実行時に転写紙Pに関するサイズ、種別の設定情報の指定があれば、それにしたがって、対応する給紙カセット411〜413、手差トレイ41H、外部給紙手段41L内のトレイから転写紙Pが繰り出され、図1に示す複数の搬送ローラ等の構成によって前記画像形成部30に向け、転写紙Pが搬送されることになる。以下、給紙カセット411〜413、手差トレイ41H、外部給紙手段41L内のトレイを、総称して、収納部という場合があり、その場合に411〜413を付した場合は給紙カセットを、41Hを付した場合は手差トレイを、41Lを付した場合は外部給紙手段41L内のトレイをさすものとする。
また、複写後処理部70は、上記転写紙搬送部40、画像形成部30を通過(表裏両面複写の場合には、転写紙反転部60をも通過)し、画像が形成された転写紙Pについて、その後処理を実施する部位である。
この複写後処理部70は、より具体的に、画像が形成された後の転写紙Pに関し、ソーティング、ステープリング、パンチング等の各種処理を実施する。ここに、ソーティングとは、連続的に排紙される転写紙Pを所望の順序で並べ、あるいは当該順序に従って積層していくような処理である。例えば、上記自動両面原稿搬送部100を利用する場合において、その原稿載置台101上に載置される原稿S群を構成する一枚一枚の原稿Sに関し、その積層順序と同様となる、転写紙P群を複数部数(セット数)作成したい場合等が、上記「所望の順序」との一例に該当する。
また、ステープリングとは、複数枚が積層された画像形成済み転写紙Pに関し、その所定の位置に図示しない綴じ具を設け、当該転写紙Pを装丁する作業のことである。さらに、パンチングとは、上記ステープリングにおいて綴じ具を設けるのに代えて、複数枚積層された転写紙Pの所定位置に、後に綴じ紐等を通すための孔を形成する作業のことである(積層される前に孔を形成するようにしてもよい)。
次に、上で詳述した機構的構成例となる画像形成装置に関し、図3を参照しながら、その電気的な装置構成例についての説明を行う。図3において、本実施形態に係る画像形成装置は、上記したRADF100、画像読取部10、画像書込部20、画像形成部30、転写紙搬送部40及び転写反転部60、並びに複写後処理部70における各種機構等が、中央制御手段Cによって統括、制御されるようになっている。
サイズ検知手段431〜433、43H(以下、サイズ検知手段43ともいう)は、各給紙カセット411〜413及び手差トレイ43H内に収納されている転写紙Pのサイズを検出する検出手段であり、各給紙カセット411〜413及び手差トレイ41Hそれぞれに設けられている。このサイズ検知手段43の構成については、公知なものを用いることができ、要は、転写紙Pの幅方向のサイズ及び長さ方向のサイズを検知する手段である。そして、このサイズ検知手段43によって得られた情報は、中央制御手段Cに入力される。中央制御手段Cでは、得られた情報(転写紙Pの幅サイズ及び長さサイズ)に基づいて、複数の定形サイズのうちいずれかの定形サイズに該当するかを判断し、給紙カセット411〜413及び手差トレイ41H内に収納されている転写紙Pの定形サイズを検出する。これら、サイズ検知手段43及び中央制御手段Cによる定形サイズの検知は、定形サイズ検知部を構成する。
ここで、「定形サイズ」とは、この定形サイズ検出部が、記録材のサイズが複数の定形サイズのうちいずれの定形サイズに該当することを検出できるサイズである。例えば、日本及び欧州仕様においては、A4、A3、B5、B4などを「定形サイズ」といい、米国仕様においては、5.5×8.5inch、8.5×11inchなどを「定形サイズ」といい、それ以外の定形サイズを「特殊定形サイズ」(日本及び欧州仕様においては、5.5×8.5inch、8.5×11inchなどであり、米国仕様においては、A4、A3、B5、B4などであり)と言うが、例えば、日本及び欧州仕様においても、定形サイズ検出部が8.5×11inchを検出できるようになっていれば、それは、「定形サイズ」である。なお、「定形サイズ」以外のサイズを、「特殊定形サイズ」を含めて、「非定形サイズ」といい、「非定形サイズ」は、後述するように、「特殊定形サイズ」、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」に分けられる。
なお、本実施の形態では、外部給紙手段41Lには、サイズ検知手段を設けておらず、サービスマンが外部給紙手段41Lを設置する際に、不揮発設定(サービスマンモードによる不揮発性の記憶手段への直接の設定)により行うようにしているが、上述の給紙カセット41と同様に、サイズ検知手段を設けてもよい。
操作・表示部81は、一般的には、使用者が複写等の開始、停止などの動作タイミングを指示したり、種々の動作環境の設定を行う操作部と、画像形成装置の動作状況や設定状況などを表示する表示部とが一体となったタッチパネル等で構成され、この操作・表示部81は中央制御手段Cによって制御される。また、画像形成装置がネットワーク(例えば、LAN)に接続され、ネットワークを介してコンピュータから動作の設定などを行ってもよく、コンピュータで設定された情報は、画像形成装置がネットワークと接続される部分(例えば、ネットワークインターフェースなどのコントローラ部分)から、該情報が画像形成装置に入力されることになる。
この操作・表示部81に表示される基本画面の具体的として、図4に例示する。この図において、各エリア811乃至815及び81a内で示されているアイコン表示を押圧等することで、上記動作環境の設定などJOBの設定に関する所定の情報入力を行い、画像形成装置に関する様々な操作を実施することが可能となっている。
より詳細には、エリア811では複写完了後の転写紙P出力形態、特に上述した複写後処理部70に関する指定を行い、エリア812では上述した画像読取部10における自動両面原稿搬送部100及び画像形成の状態(原稿S及び転写紙Pをそれぞれ両面か片面か)を設定するようになっている。また、エリア813では複写(画像形成)濃度を、エリア814では複写倍率を、81aでは画像形成する転写紙Pの選択を、エリア815では図示するような各種応用設定を行うようになっている。
この基本画面において、エリア81aの「自動」ボタンが選択されると、光学式原稿サイズセンサ18やRADF用原稿サイズ検知部により自動的に検知された原稿Sのサイズに一致するサイズとなる転写紙Pを収納した収納部を、複数の収納部411〜413、41Lのうちから選択する自動記録材選択機能(以下、APSともいう)を選択したことになる。また、エリア814で「自動」ボタンを選択するとともに、エリア81aで「自動」ボタン以外の収納部411〜413、41H、41Lのいずれかを選択すると、光学式原稿サイズセンサ18やRADF用原稿サイズ検知部により自動的に検知された原稿Sのサイズを、選択された収納部に収納された転写紙Pのサイズになるように、自動的に倍率を変更する自動倍率選択機能(以下、AMSともいう)を選択したことになる。さらに、本実施の形態の画像形成装置においては、いま画像形成を行っている転写紙Pが、設定された枚数の画像形成途中に収納部内からなくなったときに、該転写紙Pと同じサイズの転写紙Pを収納している他の収納部を選択する自動給紙切換機能(以下、ATSともいう)をも有している。
そして、この図4の基本画面において、操作者が、画像形成の設定を行った後、図4では図示していない枚数設定ボタン(テンキー)によって画像形成枚数を設定したのち、同じく図4では図示していないコピーボタンを押圧することにより、複写が開始される。
ここで、エリア81aについて詳細に説明する。エリア81aでは、図4に示すように、各給紙カセット41に対応するアイコンが表示され、それら各々が収納する転写紙Pの種別・サイズに関する情報が表示されている。いま図4においては、例えば給紙カセット411 について、種別が「色紙」、サイズが「A4」と設定されていることがわかる。
ところで、本実施の形態においては、この収納部411〜413、41L内に収納されている転写紙Pの「種別」に関する情報は、それぞれの収納部411〜413、41L毎に、操作・表示部より設定できるように設けられている。
この設定は、複写機の管理者(本実施の形態の複写機は60枚/分以上の画像形成速度をもつ高速機であるので、ユーザーの中でもこの複写機を管理する人が設けられている場合があり、この人を管理者という)が種々の設定を行う管理者設定モードで行われる。この管理者設定モードは、管理者のみが知るパスワード等により移行することができ、一般のユーザーはこの管理者設定モードに移行することができないものである。そして、この管理者設定モードにおいては、種々の複写機の設定を行うことができる。その一つとして、本実施の形態では、給紙カセット41内に収納されている転写紙Pの種別・サイズを設定できるように構成している。先の管理者設定モードに移行した後、管理者設定モードの画面で、画面に表示された「紙種類/特殊サイズ設定」ボタンを管理者が押圧すると、転写紙Pの種別・サイズの設定画面となる。
この設定画面の一例を、図5に示す。この設定画面の左方には、給紙カセット41と外部給紙手段41Lとが表示され、それぞれに設定されている転写紙Pの種別が表示されている。また、この設定画面の右方には、設定できる転写紙Pの種別が表示されている。この設定画面は、転写紙Pの種別を設定する種別設定画面であり、管理者が、設定しようとする給紙カセット411〜413或いは外部給紙手段41Lに相当する画面上を押圧して、設定の対象となる給紙カセット411〜413或いは外部給紙手段41L選択する(選択されると、白黒反転表示される)。そして、この設定画面の右側に、種別を選択するための「上矢印」ボタン、或いは、「下矢印」ボタンをを押圧することにより、種別が表示されている個所(白黒反転表示されている個所)が順次移動し、管理者が設定したい種別のところで、「OK」ボタンを押圧すると、そのトレイに選択した種別が設定できる。
ここで、「種別」に関して、設定できる種別としては、例えば以下に示す表1のような種別がある。
すなわち、大きく分けて、「普通紙」と「特殊紙」である。そして、本実施形態にいう「普通紙」とは、いわゆる一般的な普通紙の他に、再生紙、色紙、特殊紙、上質紙及び剥離紙の五種類の転写紙を含んだ概念である。ただし、このような取り扱いは、これら五種類の転写紙についての制御条件(後述)を本実施形態においては一般的な普通紙と同じとする、ということに根拠があるだけであるから、これらの中で、さらに上記制御条件を異ならせるような取り扱いを行うこととしても一向に構わない。換言すると、本実施の形態では、再生紙、色紙、上質紙、剥離紙なども、一般的な普通紙と同じ制御条件なので、これらも普通紙として取り扱うが、これらのうち、一般的な普通紙と制御条件が異なるものであれば、「普通紙」と弁別するため「特殊紙」として扱えば良い。また、「特殊紙」とは、「普通紙」と制御条件の異なる「種別」の紙であり、厚紙1、厚紙2(厚紙1よりも厚い紙)、薄紙、OHP、第2原紙、ユーザー指定紙、TAB紙などがあり、本実施の形態では、後述するように、これら「特殊紙」それぞれにおいても制御条件が異なる。
なお、本実施の形態では、これら「種別」を設定できる収納部は、表1の対象収納部に記載される如く、給紙カセット411、412、413、外部給紙手段41L内のトレイである。残りの手差トレイ41Hに収納される転写紙Pの「種別」は、後述するように、手差トレイ41H上の転写紙Pに画像形成を行うに先立ち、手差設定画面によって設定され、記憶手段83には記憶されないが、他の収納部と同様に記憶するように構成してもよい。
そして、設定された「種別」は、不揮発性の記憶手段83に、各収納部411〜413、41L毎に、記憶される。
また、本実施の形態においては、この収納部411〜413に収納されている転写紙Pの「サイズ」に関する情報は、それぞれの収納部411〜413毎に、操作・表示部より設定できるように設けられている。
図5に示した種別設定画面の左下にある「特殊サイズ設定」ボタンを管理者が押圧すると、転写紙Pのサイズ設定画面(図6〜図10)になる。すなわち、管理者設定モードにおける、図6に示すようなサイズ設定画面で、収納部411〜413毎に、サイズを設定できるようになっている。この設定画面の左方には、給紙カセット411〜413が表示され、それぞれに設定されている転写紙Pのサイズが表示されている。また、この設定画面の右方には、設定できる転写紙Pのサイズの種類が表示されている。この設定画面は、転写紙Pのサイズを設定するサイズ設定画面であり、管理者が、設定しようとする給紙カセット411〜413に相当する画面上を押圧して、設定の対象となる給紙カセット411〜413選択する(選択されると、白黒反転表示される)。そして、この設定画面の右側に、設定できるサイズの種類「定形サイズ」、「定形特殊サイズ」、「不定形サイズ」「ワイド紙」を選択するための「上矢印」ボタン、或いは、「下矢印」ボタンを押圧することにより、サイズの種類が表示されている個所(白黒反転表示されている個所)が順次移動させる。
ここで、「定形サイズ」が選択された場合(図6)は、上述した定形サイズ検出部によって、給紙カセット411〜413内の転写紙Pのサイズ(定形サイズ)を検出し、その検出したサイズ(定形サイズ)を制御条件の選択に用いる。
ここで、「定形サイズ」が選択された場合は、定形サイズ検出部によって検出されたサイズに応じた制御条件で画像形成を行う「検出モード」が選択されたことになる。一方、後述する「定形特殊サイズ」、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」が選択された場合は、設定された情報に応じた制御条件で画像形成を行う「設定モード」が選択されたことになる。すなわち、本実施の形態の画像形成装置は、「検出モード」と「設定モード」との2つのモードを有しており、そのいずれか一方を、操作・表示部81によって選択することができるように構成している。
また、「定形特殊サイズ」が選択された場合(図7)は、その右側に、選択できる特殊定形サイズがポップアップ画面で表示され、表示された特殊定形サイズの中から、「上矢印」ボタン、或いは、「下矢印」ボタンを押圧することにより、設定したい特殊定形サイズを選択(白黒反転表示される)する。
また、「不定形サイズ」が選択された場合(図8)は、その右側に、サイズ入力画面がポップアップ画面として表示され、転写紙Pの長さ(給紙方向の長さ)と幅(給紙方向と直交する方向の長さ)を、管理者が直接、テンキー(「0」〜「9」のボタン)や「上矢印」ボタン、或いは、「下矢印」ボタンを押圧することにより、サイズを入力する。
また、「ワイド紙」が選択された場合(図9)は、設定可能なサイズがポップアップ画面で表示される。ここで、「ワイド紙」とは、定形サイズよりも長さ又は/及び幅が若干長く(例えば、5mm、10mmなど)なっている転写紙のことである。そのためポップアップ画面で表示される設定可能なサイズは、定形サイズ(この場合は、特殊定形サイズも含めて)が表示されている(但し、その後ろにはワイド紙であることを示すWの記号が付されている)。そして、この表示されたサイズのうち所望のサイズを「上矢印」ボタン、或いは、「下矢印」ボタンを押圧することにより、選択する。さらに、本実施の形態では、サイズの詳細サイズを変更したい場合は、図9において「サイズ入力」ボタンを押圧すると、サイズ入力画面が表示される(図10)。このサイズ入力画面で、転写紙Pの長さ及び幅それぞれのサイズをテンキー又は矢印キーで設定することができる。なお、図9において、「先端」ボタン及び「センタリング」ボタンは、画像形成を行う位置を、設定するためのボタンである。
このように、各給紙カセット411〜413毎に、サイズを設定した後は、管理者が「OK」ボタンを押圧すると、そのトレイに選択したサイズが設定できる。
一方、外部給紙手段41L内のトレイに収納された転写紙Pのサイズの設定は、本実施の形態では、サービスマンが外部給紙手段41Lを設置する際に、不揮発設定(サービスマンモードによる不揮発性の記憶手段への直接の設定)により行うようにしているが、上述の給紙カセット41と同様に、管理者が管理者モードで設定するように構成してもよい。
そして、設定された「サイズ」は、不揮発性の記憶手段83に、各給紙カセット411〜413及び外部給紙手段41Lのトレイ毎に、記憶される。ここで、記憶手段83に記憶されるのは、「定形サイズ」以外の非定形サイズ(具体的には、「定形特殊サイズ」、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」で設定されたサイズ)であり、「定形サイズ」に関しては、画像形成に先立ち、定形サイズ検出部により検出されるように構成しているが、予め検出を行い、記憶手段83に記憶するように構成してもよい。
また、本実施の形態では、基本画面(図4)において手差トレイ41Hが選択されると、手差トレイ41H上に載置されている転写紙Pに関する設定情報(上述の如く、「種別」及び「サイズ」)を設定するための手差設定画面が、操作・表示部81に表示される。なお、この手差設定画面は、基本画面(図4)において、直接、手差トレイ41Hが選択されなくとも、画像形成に先立ち、手差トレイ41H上に転写紙Pが載置されたことを図示しないセンサによって検出することにより、表示させるようにしてもよい。要は、手差トレイ41H上に載置された転写紙P上に画像形成を行うに際しては、設定情報を入力するための手差設定画面が、表示されればよい。
この手差設定画面は、図11〜図14に示されるような画面であり、基本的に、給紙カセット41に収納されている転写紙Pの設定画面(図6〜図10)と同様の設定が可能となっている。なお、手差設定画面においては、転写紙Pの「種別」が、「厚紙」(図5における「厚紙1」に相当)、「薄紙」、「OHP」、「第2原紙」、「タブ紙」及び「指定紙」(図5における「ユーザー指定紙」に相当)であり、これらのいずれも選択されていない場合は、「普通紙」として扱われる。
ところで、本実施の形態では、手差トレイ41H上に画像形成を行う場合は、上述の如く、手差設定画面を、操作・表示部81に表示するようにしているが、これを表示させないように行うこともできる。たとえば、管理者設定モード、或いは、サービスマンモードにおいて、手差トレイ41L上に載置された転写紙P上に画像形成を行うに際して、操作・表示部81に手差設定画面を表示するか否かを選択できるように構成しておき、管理者或いはサービスマンが、表示させないように設定していれば、手差トレイ41L上に載置された転写紙P上に画像形成を行うに際して、操作・表示部81に手差設定画面を表示させないようにすることができる。
図3に戻って、不揮発性メモリ82は、画像形成装置の制御条件(搬送条件やプロセス条件)が記憶される条件記録手段であり、ここで記憶された制御条件に基づいて、中央制御手段Cが各部の制御を行う。この制御条件は、不揮発性メモリ82に転写紙Pの「種別」及び「サイズ」毎に記憶されており、搬送する転写紙Pに応じた制御条件が中央制御手段Cへと読み出され、制御する。すなわち、記憶手段83に、給紙カセット41、外部給紙手段41L毎に記憶されている収納されている転写紙Pのサイズ或いは種別、又は、サイズ検知手段83によい検知されたサイズに応じて、この不揮発性メモリ82に記憶されている制御条件が読み出され、中央制御手段Cによって、画像形成装置全体が制御される。
ここに制御条件とは、プロセス条件や紙搬送条件等、画像形成装置の動作態様を決定する条件全体のことを指し、より具体的には、図1に示す転写紙搬送部40における各種ローラの回転速度制御条件(つまり、いわゆる「線速」の制御)や熱ローラ38a及び38bの温度や圧着度合いに係る制御条件等、その他、画像形成装置全体における各種機構の動作・状態等を定める条件のことをいうものである。
本実施形態においては、転写紙Pの種別ないしサイズの別によって、各々異なる制御条件が選択されるよう、それらの設定値を例えば不揮発メモリ82に、予め記憶されている。例えば「種別」の相違によっては、以下に示す表2のような制御条件が予め準備される。
この表2に示すように、制御条件は、厚紙1、厚紙2、薄紙、OHP用フィルム等の別に応じて、様々な切り換えが行われることとなる。なお、「厚紙1」及び「厚紙2」とあるのは、後者の方がより大きい「厚さ」となる厚紙であることを意味している。
当該表2について幾つか簡単に言及しておくと、最左欄における「プロセス制御条件」の切り換えは、TAB紙を除くすべての「種別」について実施することが示されている。このような対処は、各「種別」毎に最適な複写を実施しようとするからであり、最も好ましい対応といえる。また、その右隣の欄「定着進入ガイド高さ」については、厚紙1及び厚紙2についての制御条件を、普通紙のそれに対し、切り換えることを示している。これは、普通紙を通す際に規定されるガイド高さでは、厚紙の通過にとって障害となるからである。さらに、その右隣の欄「両面モード不可」は、厚紙2及びOHP用フィルムについて、両面複写を不可とする条件とすることを意味する。これは、厚紙2では上記転写紙反転部60における反転が困難であること、OHP用フィルムでは表裏両面の複写は通常意味を成さないこと、により上記のように制限されるのである。以下各欄についても、上記と同様にして、「種別」毎に好ましいものとなる制御条件が各々用意される。
また、「サイズ」の相違に関しては、例えば以下に示す表3のような制御条件が予め準備される。
この表3に示すように、制御条件は、定形特殊サイズ、不定形サイズ及びワイド紙の別に応じて、切り換えが行われることとなる。
表3における「定形サイズ」における制御条件は、まさしく「定形」(例えば、「A4サイズ」)であるがゆえに、予め定めておくことが可能である。したがって、各種定形サイズに関する制御条件は、予め、これを不揮発メモリ82に記憶させておくことが可能である。また、「定形特殊サイズ」は、一般に他国等において定形であるが通常は用いられない、例えば8.5 ×11inch,11×17inch等のサイズのことをいうが、これについても、一種の定形であることに変わりはないため、その制御条件を予め定めておくことが上記同様可能である。したがって、定形特殊サイズの各々に対応する制御条件も、不揮発メモリ82に予め記憶させておく。
一方、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」については、上述したように、転写紙Pのサイズを、使用者が基本的に自由に定めたものであるから、一般に、制御条件を予め定めておくことができない。したがって、この場合においては、設定されている転写紙Pのサイズに基づき、その都度、新たな制御条件を定めることが基本となる。このような事情は、表3において、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」について「定形サイズの制御仕様(特に、紙搬送条件等)を『準用』する」と記載されていることに現れている。
この「不定形サイズ」及び「ワイド紙」に関する設定情報により制御条件が決定される場合の作用説明を行う。
これら「不定形サイズ」及び「ワイド紙」については、上述したように使用者がそのサイズを任意に設定することが基本であるから、制御条件は、当該任意設定に応じ、その都度適切なものとなるよう決定しなければならない。このような決定を左右する因子として、本実施形態においては特に、以下に記す「紙搬送条件」及び「画像制御条件」を対象とする。
まず、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」に関する「紙搬送条件」であるが、これは、図8〜10の如く、設定された非定形サイズに係る送り長さ(つまり、上記した「搬送方向」あるいは「縦方向」の長さ)の設定値情報より小さくて最も近似する定形サイズ(以下、近似定形サイズという)に関し定められている「紙搬送条件」を参照し、これに補正値αを加味して求める。すなわち、この補正値αによって、任意ないしは未知のサイズとなる「不定形サイズ」及び「ワイド紙」転写紙の複写に、臨機応変に対応しようとするものである。なお、上記表3に関し述べた「準用」ということは、具体的には、この補正値αの存在及びそれを加味する、という処理を指して観念されるものである。
より具体的に言えば、このαの性格は、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」となる転写紙Pの搬送時間が、定形サイズのそれに比べて、一般に長く若しくは短くなる筈であるから、これによる不具合を補正しようとすることに主眼がある。
さらに具体的に、この補正値αを、ある特定の「不定形サイズ」及び「ワイド紙」転写紙に関し、具体的に決定するに際しては、以下の点を基準とする。
(1)PPM制御
「不定形サイズ」及び「ワイド紙」に関するPPMは、近似定形サイズのPPMに対しα分のPPMインターバルを加算する。ここに、PPM(Print Per Minute) とは、ある転写紙Pについて、1分間で完了する複写枚数のことである。したがって、ここにいうα分のPPMインターバル加算ということは、近似定形サイズの紙搬送に関するPPMに対しα分を余計にみることで、近似定形サイズと今注目している「不定形サイズ」及び「ワイド紙」との転写紙Pの紙搬送に係る後端・先端間条件を同等とするとともに、上述した転写紙反転部60における両者の反転時間差分も同等の条件とすることを目している。
(2)連続給紙時第一給紙送り出しタイミング
近似定形サイズの設定タイマに対し、送り出しをα分に相当するだけ遅延させる。すなわち、当該設定タイマにα分に相当の加算を行う。この条件設定も、近似定形サイズと注目している非定形サイズとの、転写紙Pに係る後端・先端間条件を同等とする目的を有する。
以上の(1)及び(2)は、図1における転写紙搬送部40についての制御条件に関するものであることがわかる。
(3)サイズ毎の反転経路内の循環枚数設定(ADU循環判断制御に使用)
近似定形サイズ設定値にα分の循環遅延時間を加算して、両面画像する場合に、循環経路(反転部63、反転搬送経路64など)に存在させることができる転写紙枚数の設定値を補正するものである。
(4)反転時反転モータ速度切換タイミング
近似定形サイズ設定値に、α分の定着抜け遅延時間を加算する。これは上述した転写紙反転部60における反転ローラ62を駆動するモータに関し、その切り換えのタイミングを変更しようとするものである。言い換えれば、熱ローラ38a及び38bから抜け出るタイミングが、近似定形サイズとなる転写紙Pと非定形サイズとなるそれとでは異なるから、反転ローラ62の切り換えタイミングもそれに準じて変更する必要があるからである。なお、この反転ローラ62の切り換えは、反転搬送路64へ転写紙を搬送する場合の他に、転写紙Pを反転排紙する場合においても、行われる。
なお、補正値αを決定するに参考とする画像形成装置に関する動作・状態あるいは機能としては、上記(1)乃至(4)以外の他の条件を付加して考察してよいことは勿論である。また、そのような場合においては、αとは別の補正値(例えばβ)を導入するようにしてよい。また、上記(1)乃至(4)に関してのみ補正値αを考えるのであれば、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」に関する設定情報を入力する際には(図8〜図10参照)、上記縦方向の長さについての定義を実施すれば十分であるが、上述したような「別の条件が付加される場合もあり得るという事情から、その横方向についても設定するとしておく方が好ましい。
次に、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」に関する「画像制御条件」であるが、これは、原稿サイズと一般に異なる「不定形サイズ」及び「ワイド紙」への画像形成に関し、その形成位置をどのように定めるかに係る制御条件である。すなわち、上述した画像書込部20及び画像形成部30の動作態様等に関する制御条件である。このような「画像制御条件」としては、上記した「不定形サイズ」と「ワイド紙」とで、以下に記すような別個の条件を適用して画像形成装置を制御する。
第一に、「不定形サイズ」に関しては、図8において任意で設定されたサイズの転写紙Pに対し、原稿サイズの画像をサイド基準で形成するとともに、画像領域は、基本仕様(予め任意に決定する)に定められた余白量(先端、後端、及び両端)を確保できる範囲として制御条件を定める。
たとえば図15に示すように、原稿サイズが主走査方向で210mm(=x2)、副走査方向で410mm(=y2)、任意に設定された不定形サイズ転写紙についての主走査方向が220mm(=x1)、副走査方向が426mm(=y1)であるとすれば、左端(図中における、以下同じ)x3について2mm、右端x4について8mm、上端y3について2mm、下端y4について14mm、として画像制御条件を定める。
第二に、「ワイド紙」に関しては、さらに先端合わせとするか、あるいは中央位置(センタリング)とするかに係る選択を通じて、次のように制御条件を定める。なお、これら先端合わせ及びセンタリングは、先にも少し触れたように、図9中最右方に示されている「画像合わせエリア」を利用し、給紙カセット41等に対する設定情報の入力を行う際に予め設定しておくものである。
(1)先端合わせ
図9において、任意で設定されたワイド紙サイズの転写紙Pに対し、原稿サイズの画像を先端合わせして形成する。たとえば、図16に示すように原稿のサイズがA3、任意に設定されたワイド紙サイズ転写紙についての主走査方向が304mm、副走査方向が426mmである場合には、左端x3及び右端x4を各々4mm、下端y4を6mm、そして当然ながら上端を0mmとして画像制御条件を定める。
なお、上述した転写紙反転部60を利用して表裏両面複写を実施する場合には、画像形成位置が当該表裏で一致するように、一方の面で先端合わせとした場合には、他方の面に関し「後端合わせ」とする画像形成が行われるよう、当該条件を定める。
(2)センタリング
図9において任意で設定されたワイド紙サイズの転写紙Pに対し、原稿サイズの画像を中央に合わせて形成する。たとえば、図16と同様な状況となる図17に示すような場合においては、上端y3及び下端y4を各々3mm、左端x3及び右端x4を各々3mm、となるよう画像制御条件を定める。
また、図17と比べて、ワイド紙サイズの転写紙の主走査方向が299mm、副走査方向が420mmと異なるものとされた図18のような場合には、上端y3を2mm、下端y4を3mm、左端x3及び右端x4を各々1mm、となるよう画像制御条件を定める。
以上説明したように、サイズに係る制御条件については、「紙搬送条件」及び「画像形成条件」なる因子について特に配慮を払いながら、当該制御条件を、実際に設定された任意のサイズに応じて臨機応変に変更しながら、画像形成装置の制御条件を設定し、動作させることになる。
その他、表3において示されているのは、上記のような性質となる制御条件の中にあっても、予め定めておくことが可能なものについてであり、不揮発メモリ82に記憶されるのは、そのようなものに関する情報となる。
すなわち、「不定形サイズ」では、(1)上述した転写紙反転部60を利用した両面複写は不可とすること、(2)上述した転写紙排紙部50に係る排紙モードについてこれをサブトレイ(不図示)排出とすること、(3)APS機能、AMS機能、ATS機能の各機能を禁止すること、といった予め定め得る制御条件について不揮発メモリ82に記憶させておくことになる。
また、「ワイド紙」に関しても、予め定め得る制御条件について不揮発メモリ82に記憶させておくことは上記と同様で、(1)転写紙P上への画像の形成位置に関する画像制御条件についての設定(上述したセンタリング又は先端合わせであり、図9や図14で設定される)、(2)排紙モードとして、上述した複写後処理部70におけるステープリング実施に関するモード(表3においてはステープリングモード)は禁止し、それ以外については有効とすること、(3)APS機能、AMS機能、ATS機能の各機能を禁止すること、なる制御条件について不揮発メモリ82に記憶させることになる。なお、この(1)で述べた「画像制御条件」については、後に再び述べる。
ここでは、上記「不定形サイズ」及び「ワイド紙」に関する制御条件について、前者・後者とも(3)として挙げたAPS機能等の禁止に関する説明を行う。
ここにAPS機能(自動記録材選択機能)とは、要すれば、画像を形成する転写紙Pを積載した給紙カセット41等を複数備えるような本実施形態のような画像形成装置等において、該給紙カセット41等に設けられるサイズ検知手段43及び原稿Sのサイズを検知する原稿サイズ検知手段(例えば上記光学式原稿サイズセンサ18)とを備え、原稿Sのサイズと合致するサイズを有する転写紙Pを自動的に選択し、前記原稿Sに係る画像を当該転写紙Pに対し画像形成する機能のことをいう。
また、ATS機能(自動給紙切換機能)とは、例えばある原稿サイズについて上記APS機能を利用した複写を連続して行っている際に、当該転写紙Pを収納していた給紙カセット41につき、その転写紙Pが完全に消費されたような状態において、同一サイズの転写紙Pを載置する他の給紙カセット41があれば、当該給紙カセット41等への切り換えが自動的に行われる機能のことをいう。
さらに、AMS機能とは、上記原稿サイズ検知手段により検知された原稿Sのサイズと、予め複写されるべきものとして選択された転写紙Pのサイズとから、当該原稿Sのサイズ毎に、当該転写紙Pへの画像形成を行う際の変倍率及び画像回転必要性を自動的に決定する機能のことをいう。
そして、これらの機能の実施にあたっては、その前提として、通常、当該機能の対象となるか否かの設定を上記給紙カセット41等毎に行う。つまり、例えばAPS機能が実施される場合においては、選択の対象となる給紙カセット41等を予め「対象設定」しておく必要がある。
以上のことから、表3において示されている、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」の設定情報が設定された給紙カセット41に関し、その制御条件のうちAPS機能等を不可とする、ということは、上記「対象設定」を行うことを不可とするということを、直接には意味させてよい。また、対象設定が既に成されていた給紙カセット41等につき、上記したような設定情報が設定されているときは、その対象設定を解除するという意味としてもよく、さらにまた、APS機能を利用した複写中に、上記したような給紙カセット41が選択されたときには、APS機能を解除するという意味としてもよい。いずれにしても、このような「不定形サイズ」及び「ワイド紙」の設定情報が設定された給紙カセット41等においては、APS機能、ATS機能、AMS機能が禁止されるのである。
その趣旨は、すなわち、転写紙Pが「不定形サイズ」あるいは「ワイド紙」であるような場合にあっては、APS機能、ATS機能、AMS機能の実施時の対象給紙カセット41等とすることが一般に不適であることによる。
なお、これに関連して、上記APS/ATS/AMS機能に関する本実施形態における画像形成装置の制御条件について、「種別」の相違を観点とした当該制御条件の相違についても一同にまとめると、以下に示す表4のようになる。
この表4から、「種別」を観点とする場合にあっても、本実施形態において、APS機能及びATS機能については、「普通紙」を除き、当該機能を禁止する。ただし、AMS機能については、上記した「サイズ」に係る設定情報である「不定形サイズ」及び「ワイド紙」で禁止される以外は、どのような設定情報が給紙カセット41等に付されていても有効に機能するようにする。
以下では、上記構成例となる画像形成装置について、具体的な作業手順の一例にのっとり、かつ図19のフローチャートに沿いつつ、その作用ないし効果についての説明を行う。
まず、図19のフローチャートの説明に先立ち、操作・表示部81で、管理者が、管理者設定モードで各給紙カセット41及び外部給紙手段41L毎に、「種別」と「サイズ」の設定情報を設定する。この設定について、再度、詳述すると、まず各給紙カセット41について、転写紙Pに係る「サイズ」に関し、「定形特殊サイズ」に係る設定情報を或る給紙カセット41に設定させようとする場合には、管理者設定モードから図5に示すような設定画面を、操作・表示部81に表示させた後、「特殊サイズ設定」を押圧することにより、サイズ設定の画面が現れる。
そして、設定しようとする給紙カセット41を選択したのち、該給紙カセット41内に収納される転写紙Pのサイズを入力する。具体的には、転写紙が定形サイズであれば「定形サイズ」ボタンを選択し、定形特殊サイズであれば「定形特殊サイズ」を選択したのち図7のポップアップ画面に示すように予め規定済みの数種のサイズ(デフォルト値)の中から所望のものを選択することになる。また、「不定形サイズ」に関する設定情報を設定しようとする場合には、「不定形サイズ」ボタンを選択すると、図8に示すようなポップアップ画面が現れる。この場合においては、転写紙Pの搬送方向(以下、縦方向という)及び該搬送方向に直交する方向(以下、横方向という)各々の長さを、図中テンキー状態にて示されている数字キーを通じ、直接入力することによって当該設定を行う。
同様にして、「ワイド紙」ボタンを選択すると、図9に示すようなポップアップ画面が現れる。この場合においては、或る基準となる「定形サイズ」を選択し、その詳細なサイズを変更する場合は、「サイズ入力」ボタンを選択して、図10に示すようなポップアップ画面から直接入力する。なお、この場合、「定形サイズ」からの差分値を入力(図中、上矢印マークと下矢印マークのアイコンを押圧)することにより行ってもよい。また、図9中最右方においては、当該ワイド紙上に形成されるべき画像を、その転写紙Pの「先端」(すなわち転写紙Pの上辺)に位置合わせさせるか、あるいは中央に位置合わせさせるか(センタリング)についての設定を行う。この点については、後述の「画像制御条件」について説明する際に、改めて触れる。
さて、本実施形態においては、上記サイズに関する設定の他、種別に関する設定を行い得る。その場合においては、図5中、設定を行おうとする給紙カセット41を選択したのち、収納されている転写紙の種別に該当するアイコン(例えば、「普通紙」、「厚紙1」、「薄紙」、「タブ紙」等)を押圧することによって、上記サイズ設定に併わせ、種別に関する設定も、各々の給紙カセット41毎に行うことができる。
一方、外部給紙手段41Lに関しては、上述したように、種別に関しては、給紙カセット41と同様に、操作・表示部81から行うことができ、サイズに関しては、サービスマンによる不揮発設定による設定情報の入力を行う。なお、既に述べたように、外部給紙手段41Lについては、設定情報の変更を頻繁に行うことが一般に考えられないから、その入力作業は、サービスマンによる不揮発設定を介する場合に限定する形態としておくことが好ましいともいえよう。
以上のようにして、各給紙カセット41及び外部給紙手段41Lについて設定された種別・サイズ等の設定情報は、図3に示した記憶手段83において、給紙カセット41や外部給紙手段41Lの各々との対応がとられつつ記憶されることになる。
なお、このような設定情報の設定(入力)作業は、実際の複写に関する一切の操作を行う前に予め行っておくのが通常である。そして、本実施形態においては、一旦設定した上は、その設定情報をそのまま使用して日常の画像形成装置の動作を実施することが可能である。すなわち、設定された情報は、装置本体の電源をOFFとしても、各給紙カセット41等に係る設定情報が不揮発の記憶手段83に記憶・保持され、再び電源を立ち上げたときには、電源OFF前の設定情報をそのまま使用することができる。このようにすることで、一々、設定情報の入力作業を行わなければらないといった不具合を回避することができ、かつ操作の連続性が保たれることとなるから、使用者の便宜に供することとなる。すなわち、以上のような手段によれば、使用者の過失により、設定情報をうっかり消失するといった事態を未然に防ぐことが可能となる。
ただし、画像形成装置の運用途中(例えば、電源がONされていて、かつ、画像形成を行っていない場合)に、上記操作・表示部81あるいは不揮発設定により、一旦設定したものを、変更することは言うまでもなく当然に可能である。
そして、使用者が実施に複写を開始するにあたり、まず、JOBの設定作業がなされる(図19のS1)。この設定作業は、例えば、図4に示すように、エリア811では複写完了後の転写紙P出力形態、特に上述した複写後処理部70に関する指定を行い、エリア812では画像読取部10における自動両面原稿搬送部100及び画像形成の状態(原稿S及び転写紙Pをそれぞれ両面か片面か)を設定するようになっている。また、エリア813では複写(画像形成)濃度を、エリア814では複写倍率を、81aでは画像形成する転写紙Pの選択を、エリア815では図示するような各種応用設定を行うようになっている。
設定が完了すると、図示しないコピー開始ボタンの押圧により、複写(画像形成)が開始される(S2)。このとき、当該JOBで使用する給紙カセット41或いは外部給紙手段41Lに、上述した転写紙の種別の設定画面において設定された「種別」を取得する(S4)。そして、表2に例示したように、プロセス条件等の制御条件が、使用する給紙カセット41あるいは外部給紙手段41Lに設定された「種別」に合わせられる(S5)。
なお、このとき、表2や表4で示されるように、当該「種別」で禁止されているモード、機能等が、S1のJOB設定で設定されていれば、それを禁止するとともに、操作・表示部81に警告表示を行い、画像形成を中止する。
次いで、選択された(使用する)給紙カセット41或いは外部給紙手段41Lに、上述した転写紙のサイズの設定画面で設定された「サイズ」を取得する(S6)。このとき、「定形サイズ」が選択されていれば、サイズ検知手段43の情報を読み取り、当該転写紙が、複数の定形サイズのうちいずれの定形サイズに該当するかを検出する。そして、「定形特殊サイズ」が選択されている場合と同様に、不揮発性メモリ82に記憶された、各サイズ制御仕様に基づく、搬送条件が設定され(S7)、その搬送条件及びS5で合わせられた制御条件で、画像形成を開始する(S8)。一方、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」が選択されていた場合は、上述したように、近似定形サイズ(定形サイズ)に定められている搬送条件を参照しつつ、補正値αを加味して、搬送条件が設定され(S7)、その搬送条件及びS5で合わせられた制御条件で、画像形成を開始する(S8)。そして、予定枚数の画像形成が終了すれば(S4)、画像形成が終了する。
ところで、本実施の形態では、管理者が、給紙カセット41等に転写紙のサイズを設定(「定形特殊サイズ」、「不定形サイズ」、「ワイド紙」を設定)するように構成しているので、この管理者の設定が誤って設定した場合、搬送系の異常(例えば、ジャム)をきたす恐れがある。一方で、本実施の形態の画像形成装置は、給紙カセット41内に収納されている転写紙のサイズを検出するサイズ検出手段43を備えている。そこで、このサイズ検出手段43を利用して、上述のような不都合をできる限り防ぐことができる。すなわち、「設定モード」が選択されている場合において、設定されたサイズと、サイズ検出手段43で検出されるサイズとが対応しない場合は、警告を発し(例えば、走査・表示部81に表示したり、警告音を発するなど)た上で、画像形成を禁止する、或いは、サイズ検出手段43で検出されるサイズに応じた制御条件で画像形成を行わせればよい。さらに、具体的に言えば、サイズ検出手段43は、中央制御手段Cとともに、複数の定形サイズのうちいずれかの定形サイズを検出する定形サイズ検出部となっているので、設定された非定形サイズ(この場合、少なくとも長さ方向の長さがわかっていればよい)と対応しない定形サイズが、定形サイズ検出部で検出された場合は、警告を発した上で、画像形成を禁止したり、或いは、「検出モード」、すなわち、検出された定形サイズに応じた制御条件で画像形成を行わせる。ここで、「非定形サイズに対応しない定形サイズを検出した」とは、少なくとも、縦方向(長さ方向)において、定形サイズ検出部が、非定形サイズより大きい定形サイズのうち最も小さい定形サイズ以外の定形サイズを検出した場合、または、非定形サイズより小さい定形サイズのうち最も大きい定形サイズ以外の定形サイズを検出した場合である。
また、本実施の形態の画像形成装置においては、図6のように「定形サイズ」が選択された場合は、定形サイズ検出部によって検出されたサイズに応じた制御条件で画像形成を行う「検出モード」が選択され、図7〜図10のように「定形特殊サイズ」、「不定形サイズ」及び「ワイド紙」が選択された場合は、設定された情報に応じた制御条件で画像形成を行う「設定モード」が選択されたことになる。すなわち、本実施の形態の画像形成装置は、「検出モード」と「設定モード」との2つのモードを有しており、そのいずれか一方を、操作・表示部81によって選択することができるように構成している。しかしながら、この「検出モード」、「設定モード」のいずれか一方を選択するのを、図6〜図10のような設定画面で行うのではなく、別途、選択できるように構成してもよい。例えば、管理者設定モードの中であって、給紙カセット41の「サイズ」を設定する画面以外の画面で、両者いずれか一方選択できるようにしていてもよい。
この場合、「設定モード」選択されているにもかかわらず、図7〜図10のサイズ設定画面で、給紙カセット41にサイズが設定されていない場合は、「設定モード」ではなく、「検出モード」で画像形成するようにすればよい。
さらに、上記不一致が存在する場合については、いま述べたように「検出モード」の運転実施によりその解決をみる方法も有効であるが、それ以前に、そのような転写紙Pの収納がなされ、転写紙のサイズが入力された時点において、サイズ検知手段43からの情報を参照し、前記操作・表示部81において、警告表示を行うような形態としてもよい。このようにすることで、設定情報と実際の状況との不一致を予め回避することができる。
ところで、上述した本実施の形態においては、給紙カセット41内の転写紙Pのサイズを検出するサイズ検出手段43のみを設けた場合について説明してきたが、同様に、転写紙Pの種別を検出する種別検出手段を、各給紙カセット41毎に設けてもよい。たとえば、この種別検知手段としては、給紙カセット41内に収納されている転写紙Pの導電度、表面粗さ、色、透過度などを検出し、ここで得られた情報は、中央制御手段Cに入力され、中央制御手段Cで得られた情報に基づいて、転写紙Pの種別を判断するように構成させることができる。
次に、手差トレイ41Hを利用した画像形成に関する作用について説明する。この手差トレイ41Hを利用した複写は、「設定モード」による運転の特別な場合に該当する。
手差トレイ41Hについては、既に述べたように、給紙カセット41等と同様に、「種別」および「サイズ」の設定情報を設定することが可能である。本実施形態において特に重要なのは、この手差トレイ41Hを利用することによって、「臨時の」複写実施に対応することが可能となる点にある。
すなわち、給紙カセット41及び外部給紙手段41Lについては、通常、上記したような設定情報が付属され、それに一致する転写紙Pが収納されて使用されることが想定されている。しかしながら、入力された上記設定情報のいずれにも該当しない種別あるいはサイズとなる転写紙Pに対して、臨時に、複写を実施したいような場合がある。このような場合に、本実施形態においては、手差トレイ41Hを利用することが有効である。
手差トレイ41Hを利用する使用者は、まず画像形成を行おうとする転写紙Pに関し、その種別ないしサイズを確認し、転写紙Pを手差トレイ41H上に載置するか、操作・表示部81に表示された基本画面(図4)におけるエリア81aの手差トレイ41Hのボタンを押圧することにより、上述した手差設定画面(図11〜図14)が操作・表示部81に表示される。この手差設定画面は、上述したように、基本的には、給紙カセット41における「種別」及び「サイズ」の設定画面(図5〜図10)と同等なものである。しかしながら、給紙カセット41における設定画面は、上述したように、管理者でなければ設定することができない、管理者設定モード下における設定であるのに対し、手差トレイ41Hの手差設定画面は、管理者でなくとも、すなわち、一般の使用者であっても、設定できるようになっている。
そして、上述したように、手差トレイ41Hに載置された(或いは、載置される)転写紙Pの設定が完了すると、図4の基本画面に戻る。このとき、基本画面の手差トレイ41Hに相当する部分には、設定された「種別」及び「サイズ」が表示されている。すなわち、この設定が完了すると、図4の基本画面におけるエリア81aに、図20に示すような画面が表示され、手差トレイ41Hに、種別及びサイズに関する「特殊紙設定」がなされたことが表示される。なお、図20の場合では、その一例として、「B4厚紙」なる設定が行われたことが示されている。そして、この基本画面でJOBの設定を行う(図19におけるS1)。その後、上述した図19のフローと同様に、手差トレイ41H上から転写紙が給紙されて、画像形成がなされる。
なお、手差トレイ41Hに対して、新たな設定情報が入力されるまで、上記手差トレイ41Hに関して一旦行った設定情報が不揮発メモリ82に保存されるとしてもよいし、一定時間の経過を待って、自動的に元の状態に復帰するようなものとしてもよい。
このように手差トレイ41Hに関して設定情報の設定を行い得るような構成とすることで、単発の使用者に対応することができるのみならず、如何なるユーザーに対しても、特殊紙や非定形紙上に画像形成を行うことができる。
以上説明したように、本実施形態における画像形成装置によれば、給紙カセット41及び外部給紙手段41L毎に、「種別」及び「サイズ」に関する情報から構成される設定情報を設定でき、操作・表示部81を通じた直接の入力によって若しくはAPS機能等によって、これら給紙カセット41等が選択されると、当該給紙カセット41等に設定されている設定情報に基づいて、制御条件が自動的に選択・決定され、当該制御条件の適用を受けて画像形成装置の運転が実現されることになるから、如何なる種別ないしサイズとなる転写紙Pであっても、非常に容易に、それに対する複写を実施することができる。この点、従来において、特別な種別ないしサイズとなる転写紙Pにつき複写を行おうとする場合には、「モード設定」等の煩雑な操作を経た後でなければ当該複写を行うことができなかった点に比べ、本実施形態における画像形成装置は、その操作性が各段に向上しているということができる。
ちなみに、このような本実施形態に係る画像形成装置における効果は、例えば、いわゆる「インターシート方式」による複写を実施する場合において特に明瞭に発揮される。「インターシート方式」による複写とは、たとえばある原稿S群について、複数枚の「A4普通紙」に対する複写を実施しかつこれを積層しつつ、その途中に「A4厚紙」や「非定形サイズ・色紙」に対する複写を単発的かつ定期的に行うような複写方式である。ここに、「その途中」にあたる「A4厚紙」は、たとえば装丁完了時の「表紙」又は「背表紙」に、同じく「非定形サイズ・色紙」は、たとえば装丁完了時の「綴じ込み用紙」に、等とされることになる。
本実施形態における画像形成装置においては、上記のような例の複写・装丁に対応するため、たとえば給紙カセット411に「A4普通紙」、給紙カセット412に 「A4厚紙」、給紙カセット413 に「不定形サイズ・色紙」の設定情報を設定させておけば、これを完全に自動的に実施することができる。すなわち、このような場合において、画像形成装置の制御条件は、通常時、「A4普通紙」に関する制御条件が選択・適用されるのに対し、「インターシート実施」にあたり、給紙カセット412が選択されるときには、その給紙カセット412に設定されている設定情報に基づき、自動的に、対応する制御条件が選択・決定されて適用されることになるからである。
このように、本実施形態における画像形成装置においては、複数の種別若しくはサイズの転写紙が混在する複雑な調本作業を、繁雑な操作を全く必要とせずに、完全自動で実施することができるのである。
また、本実施形態においては、手差トレイ41Hについての、その都度、設定情報入力を可能とすることによって、上記給紙カセット41及び外部給紙手段41Lに設定されていない種別ないしサイズとなる転写紙Pに対する臨時複写を機動的に実施することができる。
なお、上記実施形態では、画像形成装置として主に複写装置を念頭に置いた説明を行ったが、本発明はこの形態に限定されるものではない。すなわち、画像形成装置として、パソコン等に付設されるプリンタ、あるいはファクシミリ等を想定し、これらにより想念される実施形態も本発明の範囲内である。また、画像形成装置、プリンタ、及びファクシミリの機能を合わせ持つ、いわゆる「複合機」についても当然に本発明の範囲内である。
また、上記実施形態における各給紙カセット41等に対し設定される設定情報は、「種別」及び「サイズ」により構成されるようなものとなっていたが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。例えば、転写紙Pの保存状態、より具体的には、長期間放置されたことによる湿気の含み具合等を勘案し、これによって制御条件を変更するべく、当該「保存状態」なる概念を、上記したような設定情報に含めるようにしてもよい。例えば、上記「湿気」に関して言えば、その含み具合の相違に応じて、転写紙搬送部40における送り出し速度を変更する、等の制御条件を加味するようなケースを考えることができる。
さらに、上記では、操作・表示部81を、「種別」及び「サイズ」を設定する入力部として、また、「検知モード」と「設定モード」との選択を行う選択部として、設けられているが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。たとえば画像形成装置が、LAN等、何らかのネットワークに接続されている場合にあっては、該ネットワーク上にあるコンピュータにより、通信を介して操作・入力・設定・選択等が実施されるような形態も可能であり、この場合、入力部或いは選択部は画像形成装置がネットワークに接続される部分(ネットワークインターフェース、或いは、プリントコントローラ部)となり、コンピュータは設定部となる。
また、原稿Sのサイズは、本実施形態の画像形成装置においては、画像読取部10における原稿サイズ検知手段(光学式原稿サイズセンサ18及びRADF用原稿サイズ検知部)により検知されるようになっていたが、これについても、画像形成装置が上記したようなネットワークに接続されている場合であって、該ネットワークを介してコンピュータから画像データが送信される場合には、該画像データを「原稿」とみなすことにより、そのサイズを「原稿サイズ」に該当させるような構成とする形態としてもよい。このような場合は、画像形成装置として、上記ファクシミリを想定する場合には、むしろより自然な形態である。