しかしながら、特許文献1〜3の構成を含めて従来の構成では、デフォルトの読取条件や画像形成条件と異なる条件をユーザが所望する場合は、ユーザが操作部を用いて変倍率や用紙サイズ等を入力して設定する必要があり、煩わしさを感じざるを得ない。
特に、特許文献3に開示されているオートクリア機能を具備した装置等においては、ユーザが操作を一時的に中断した後に、続けて先ほどと同じ条件で操作を行いたいと思ってもオートクリアが実行されてデフォルトに戻っていると、再度操作部を用いて条件を入力し直す必要がある。また、この場合、オートクリアが実行されたことに気づかずに操作を行うと、読み取りミスやミスコピーが発生してしまう。その他、オートクリア機能を過信して、オートクリアが実行されるよりも前に、設定されている条件を確認することなく操作を行ってしまい、前に使用したユーザの設定した条件にて読み取りやコピーを行ってしまうといったことも起こり得る。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、変倍率の設定や記録シートのサイズ設定等、所望する処理(条件)を原稿に対して行わせるために必要とされる、操作部を用いての条件入力操作を削減して、容易な操作にて所望の処理を行わせることのできる画像読取装置及び読取機能付き画像形成装置を提供することにある。
本発明に係る画像読取装置は、上記課題を解決するために、原稿の画像を読み取る読取手段と、該読取手段にて読み取られた画像に対して種々の処理を施す処理手段とを備えた画像読取装置において、上記読取手段にて読み取らせるべき原稿を載置する載置位置が複数箇所設けられると共に、載置位置毎に上記処理手段が画像に施す処理が設定されており、上記読取手段にて読み取られた画像に対して、載置位置に応じた処理が施されるように上記処理手段を制御する制御手段を備えたことを特徴としている。
上記構成によれば、読取手段にて読み取らせるべき原稿を載置する載置位置が複数箇所設けられており、処理手段が画像に対して行う各種処理のうちの所定の処理が、載置位置毎に設定されている。そして、制御手段が、処理手段を制御して、読取手段にて読み取られた画像に対して、該原稿の載置位置に基づいて載置位置に設定されている処理を施させる。
したがって、ユーザは、所望する処理が設定されている載置位置に原稿を載置し、原稿を載置した載置位置を制御手段に判別させるだけで、具体的な処理の設定を一切行うことなく、所望の処理を行わせることが可能となる。
ここで、載置位置に応じて設定される処理手段にて施される各種の処理としては、変倍処理や、原稿の種類(文字,写真,文字/写真)に応じた画像処理、画像濃度(濃い,普通,薄い)に応じた処理、送信先にFAXを送信する処理、ウォータマーク(付加なし,極秘,見本,ロゴ,等)を付加する処理、編集(マルチショット,画像反転,ネガポジ反転)処理等がある。
これにより、変倍率の設定等、所望する処理を原稿に対して行わせるために必要とされる、操作部を用いての条件入力操作を削減して、容易な操作にて所望の処理を行わせることのできる画像読取装置を実現することができる。
本発明に係る画像読取装置は、上記構成加えて、原稿台に原稿を載置する際の基準となる載置基準を複数設けることで原稿の載置位置が複数箇所設けられており、上記制御手段が、対応する載置基準に応じた処理が施されるように上記処理手段を制御する構成とすることもできる。
この構成によれば、原稿台に設けられた複数の載置基準に対して処理が設定されているので、所望する処理が設定されている載置位置を確認し易く、使い勝ってが向上する。
本発明に係る画像読取装置は、上記構成加えて、予め定められている複数の処理の中から選択して上記載置位置毎の処理として設定することを可能にする処理可変手段を備えた構成とすることもできる。
この構成によれば、処理可変手段を用いて載置位置毎に指定する処理を選択設定できるので、ユーザが自身の使い方に適した処理を載置位置で決定される処理として割り当てておくことで、ユーザによる操作パネルを用いての条件入力操作がより一層削減され、使い勝ってがさらに向上する。
本発明に係る画像読取装置は、上記構成加えて、複数ある上記載置位置の何れに原稿が載置されたかを検出する第1の検出手段を備え、上記制御手段は、該第1の検出手段による検出結果に基づいて原稿が載置された載置位置を判別する構成とすることもできる。
この構成によれば、第1の検出手段が複数の載置位置の何れに原稿が載置されたかを検出し、制御手段がその検出結果に基づいて原稿が載置された載置位置を判別し、載置位置に応じた処理を処理手段に行わせるので、原稿を所望する処理が設定されている載置位置に載置するだけで、所望の処理を行わせることができる。したがって、使い勝ってがさらに向上する。
本発明に係る画像読取装置は、上記構成加えて、上記載置位置毎に異なる変倍率が設定されており、上記制御手段が、対応する載置位置に応じた変倍率で変倍処理が施されるように上記処理手段を制御する構成とすることもできる。
この構成によれば、載置位置毎に変倍率が設定されており、制御手段が、対応する載置位置に応じた変倍率で変倍処理が施されるように処理手段を制御するので、ユーザは所望する変倍率が設定されている載置位置に原稿を載置することで、操作パネル等を用いて変倍率を設定することなく、所望の変倍率で処理させることができる。
本発明に係る画像読取装置は、上記構成加えて、上記載置基準毎に異なる変倍率が設定されており、上記制御手段が、対応する載置基準に応じた変倍率で変倍処理が施されるように上記処理手段を制御する構成とすることもできる。
この構成によれば、載置基準毎に変倍率が設定されており、制御手段が、対応する載置基準に応じた変倍率で変倍処理が施されるように処理手段を制御するので、ユーザは所望する変倍率が設定されている載置基準に原稿を載置することで、操作パネル等を用いて変倍率を設定することなく、所望の変倍率で処理させることができる。
本発明に係る画像読取装置は、上記構成加えて、上記読取手段は、原稿台に載置された原稿の画像を、副走査方向に移動しながら読み取るようになっており、該読取手段の副走査方向上流側にある載置位置に対して等倍あるいは拡大の変倍率が設定されている構成とすることもできる。
本発明に係る画像読取装置は、上記構成加えて、上記読取手段は、原稿台に載置された原稿の画像を、副走査方向に移動しながら読み取るようになっており、該読取手段の副走査方向下流側にある載置位置に対して縮小の変倍率が設定されている構成とすることもできる。
変倍処理は光学変倍や電子変倍にて処理されるが、主走査方向および副走査方向の両方向を電子変倍処理以外の処理方法では、副走査方向の移動速度が拡大、等倍に比べ、縮小の方が速い速度で行われる。
したがって、上記構成のように、読取手段の副走査方向への移動速度が遅い、等倍あるいは拡大の変倍率を、読取手段のホームポジションに近い副走査方向上流側にある載置基準に割り当てることで、ホームポジションに遠い副走査方向下流側にある載置基準に割り当てられた場合よりも、原稿の読み取りに要する時間を短くできる。
本発明に係る画像読取装置は、上記構成加えて、載置された原稿のサイズを検出する第2の検出手段をさらに備え、上記制御手段は、該第2の検出手段による検出結果に基づいて、対応する載置位置に応じた原稿に対する処理が原稿のサイズを反映させて行われるように上記処理手段を制御する構成とすることもできる。
第2の検出手段が備えられていない構成では、原稿サイズを処理に反映させたい場合、原稿サイズの入力が必要であった。しかしながら、この構成によれば、第2の検出手段が載置された原稿のサイズを検出し、制御手段は、対応する載置位置に応じた原稿に対する処理が該検出された原稿サイズを反映させて行われるように処理手段を制御するようになっている。したがって、原稿を所望する処理が設定されている載置位置に載置するだけで、所望の処理を原稿サイズを反映させて行わせることができる。
本発明に係る画像読取装置は、上記構成加えて、上記載置位置毎に設定された処理が、読み取り画像の画像データの出力サイズに関わる処理であり、上記制御手段が、対応する載置位置に応じた原稿に対する処理を施した後の画像データの出力サイズが、該処理と原稿のサイズとで決定される大きさとなるように上記処理手段を制御する構成とすることもできる。
この構成によれば、載置位置毎に設定された処理が、読み取り画像の画像データの出力サイズに関わる処理、例えば、変倍処理であった場合、制御手段が、上記処理手段を制御して、対応する載置位置に応じた原稿に対する処理を施した後の画像データの出力サイズが該処理と原稿のサイズとで決定される大きさとするので、最終的に出力データサイズを操作パネル等を用いて設定しなくても自動的に設定され便利である。
本発明に係る画像読取装置は、上記構成加えて、上記制御手段による上記載置位置に応じた処理が施されるように上記処理手段を制御する制御動作を無効にする設定解除手段を備えている構成とすることもできる。
この構成によれば、設定解除手段が制御手段による上記載置位置に応じた処理が施されるように上記処理手段を制御する制御動作を無効にするので、例えば、原稿の一部分を変倍処理して出力させる場合等、載置位置に応じた自動設定を解除して手動による設定を可能にすることで、特殊の用途にも対応することができる。
本発明に係る読取機能付き画像形成装置は、上記課題を解決するために、本発明の上記画像読取装置と、該画像読取装置より出力される画像データに基づいて画像をシート上に出力する画像形成手段とを備えたことを特徴としている。
本発明に係る読取機能付き画像形成装置は、上記課題を解決するために、本発明の上記画像読取装置と、該画像読取装置より出力される画像データに基づいて画像をシート上に出力する画像形成手段とを備え、載置位置毎に上記画像形成手段が画像に施す処理も設定可能であり、上記制御手段は、対応する載置位置に応じた処理が施されるように上記画像形成手段を制御することを特徴としている。
載置位置毎に設定する処理としては、複写機等の読取機能付き画像形成装置の場合、記録シートの種類(薄紙,厚紙,裏紙,OHP,特殊紙,ユーザ設定紙)に応じた処理や、枚数(常に決められた枚数にて画像形成を行う場合等に便利)或いは部数、その他、後処理(ステープル,パンチ,等)等の処理がある。
したがって、本発明の画像読取装置を読取機能付き画像形成装置に具備させることで、原稿を所望の処理が設定されている載置位置に載置するだけで、操作パネル等を用いた具体的な条件入力操作等を行うことなく所望の処理を行わせることができるといった作用を、読取機能付き画像形成装置においても得ることができる。
本発明に係る読取機能付き画像形成装置は、上記構成加えて、上記載置位置毎に異なるサイズのシートへの画像出力が設定されており、上記制御手段が、対応する載置位置に応じたサイズのシートに画像が形成されるように、画像形成手段を制御する構成とすることもできる。
この構成によれば、異なるサイズのシートへの画像出力が設定されており、制御手段が、対応する載置位置に応じたサイズのシートに画像が形成されるように、画像形成手段を制御するので、ユーザは所望するシートサイズが設定されている載置位置に原稿を載置することで、操作パネル等を用いてシートサイズを設定することなく、所望のサイズのシートに画像を出力させることができる。
本発明に係る読取機能付き画像形成装置は、第2の検出手段を備え、載置位置毎に設定された処理が、読み取り画像の画像データの出力サイズに関わる処理であり、対応する載置位置に応じた原稿に対する処理を施した後の画像データの出力サイズが、該処理と原稿のサイズとで決定される大きさとなるように、制御手段が処理手段を制御する画像読取装置と、該画像読取装置より出力される画像データに基づいて画像をシート上に出力する画像形成手段とを備え、上記制御手段が、さらに、画像を出力するシートとして、処理後の画像データのサイズに適したサイズのシートが選択されるように、画像形成手段を制御する構成とすることもできる。
この構成によれば、載置位置毎に設定された処理が、読み取り画像の画像データの出力サイズに関わる処理、例えば、変倍処理であった場合、制御手段が、上記処理手段を制御して、対応する載置位置に応じた原稿に対する処理を施した後の画像データの出力サイズが該処理と原稿のサイズとで決定される大きさとすると共に、該サイズのシートを画像を出力するシートとして選択するので、シートサイズを操作パネル等を用いて設定しなくても自動的に適切なサイズのシートに出力されるので、便利である。
本発明に係る画像読取装置は、以上のように、原稿の画像を読み取る読取手段と、該読取手段にて読み取られた画像に対して種々の処理を施す処理手段とを備えた画像読取装置において、上記読取手段にて読み取らせるべき原稿を載置する載置位置が複数箇所設けられると共に、載置位置毎に上記処理手段が画像に施す処理が設定されており、上記読取手段にて読み取られた画像に対して、載置位置に応じた処理が施されるように上記処理手段を制御する制御手段を備えたことを特徴としている。
したがって、ユーザは、所望する処理が設定されている載置位置に原稿を載置し、原稿を載置した載置位置を制御手段に判別させるだけで、具体的な処理の設定を一切行うことなく、所望の処理を行わせることが可能となる。
これにより、変倍率の設定等、所望する処理を原稿に対して行わせるために必要とされる、操作部を用いての条件入力操作を削減して、容易な操作にて所望の処理を行わせることのできる画像読取装置を実現することができるという効果を奏する。
本発明に係る読取機能付き画像形成装置は、上記課題を解決するために、本発明の上記画像読取装置と、該画像読取装置より出力される画像データに基づいて画像をシート上に出力する画像形成手段とを備えたことを特徴としている。
本発明に係る読取機能付き画像形成装置は、上記課題を解決するために、本発明の上記画像読取装置と、該画像読取装置より出力される画像データに基づいて画像をシート上に出力する画像形成手段とを備え、載置位置毎に上記画像形成手段が画像に施す処理も設定可能であり、上記制御手段は、対応する載置位置に応じた処理が施されるように上記画像形成手段を制御することを特徴としている。
これにより、本発明の画像読取装置を読取機能付き画像形成装置に具備させることで、原稿を所望の処理が設定されている載置位置に載置するだけで、操作パネル等を用いた具体的な条件入力操作等を行うことなく所望の処理を行わせることができるといった作用を、読取機能付き画像形成装置においても得ることができるという効果を奏する。
本発明の実施の一形態について図1ないし図9に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
図2に、本実施の形態である読取機能付き画像形成装置としてのデジタル複写機1(の概略構成を示す。本デジタル複写機1は、画像読取部10と、画像形成部20と、操作パネル30と、後処理部260とを備えている。
画像読取部10は、自動原稿搬送装置112、原稿台110、第1の走査ユニット120、第2の走査ユニット121、光学レンズ122、及び光電変換素子であるCCDラインセンサ123を備えている。これら第1及び第2の走査ユニット120・121、光学レンズ122、及びCCDラインセンサ123にて読取手段が構成されている。また、図2には示していないが、画像読取部10は、後述する、第1検出器131、第2検出器132、第3検出器133、及び第4検出器133(図5参照)よりなる原稿検出部(第1検出手段、第2検出手段)130も備えている。
原稿台110は、画像読取部10の上面に配設されており、図1に示すように、下から原稿に光を当ててその反射光を正確に読み取ることができるよう一様に無色透明な原稿台ガラス111と、それを支える原稿台枠115とから構成されている。原稿台枠115には、ユーザが原稿台ガラス111上に原稿を載置する際の基準となる載置基準マークMを有するが基準部材116が設けられている。なお、原稿検出部130を構成する後述する第1検出器131、第2検出器132、第3検出器133、及び第4検出器134は、原稿台ガラス111の下方に配置されている。
第1の走査ユニット120は、図2に示すように、露光ランプユニット及び第1ミラーを備え、第2の走査ユニット121は、第2ミラー及び第3ミラーを備えている。露光ランプユニットは、原稿台ガラス111の面を露光するもので、原稿台ガラス111の面に光が当たることにより得られる反射光は、第1〜第3ミラーにて導かれて光学レンズ122に入射される。光学レンズ122は、入射した反射光をCCDラインセンサ123上に結像させる。
原稿台110の上方には、自動原稿搬送装置112が設けられている。自動原稿搬送装置112は、原稿セットトレイ114に載置された原稿を1枚ずつ自動的に原稿台110上へ送るものである。自動原稿搬送装置112は、画像読取部10の上面の一端に開閉自在に取り付けられており、その底面が原稿カバーとしての機能を有している。自動原稿搬送装置112は、原稿台110が備えられている原稿台ガラス111の面より広い大きさの底面で原稿台ガラス111上に載置された原稿を押さえると共に、原稿への外部からの光の照射を防止する。
また、上記画像読取部10は、自動原稿搬送装置112との関連した動作により、自動原稿搬送装置112にて自動搬送される原稿の画像を、原稿台ガラス111上における所定の露光位置にて読み取るようにもなっている。
画像形成部(画像形成手段)20は、画像読取部10の下方に設置されている。画像形成部20は、制御部210、レーザ書込ユニット227、感光体ドラム222を中心とした画像プロセス部230、定着ユニット217、給紙部240、及びスイッチバック路221を備えている。
制御部210は、詳細には後述するが、本デジタル複写機1における制御中枢であって、画像形成部20の各部を始めとして、画像読取部10、操作パネル30、及び後処理部260の各部を制御するものである。
レーザ書込ユニット227は、半導体レーザ光源、ポリゴンミラー、及びf−θレンズなどから構成されている。半導体レーザ光源は、メモリ228から読出された画像データ、または本デジタル複写機1に接続された外部の装置から転送されてきた画像データに応じてレーザ光を出射し、ポリゴンミラーは出射されたレーザ光を等角速度で偏向させ、f−θレンズは等角速度で偏向されたレーザ光をさらに感光体ドラム222上において等速度で偏向されるように補正する。なお、ここでは、書き込みを行う装置としてレーザ書込ユニット227を用いているが、LEDやEL等の発光素子アレイを用いた固体走査型の光書込ヘッドユニットを用いてもよい。このような方法を用いて、レーザ書込ユニット227により感光体ドラム222表面上に静電潜像が形成される。
画像プロセス部230は、感光体ドラム222と、感光体ドラム222の周囲に、感光体ドラム222を所定の電位に帯電させる帯電器223、感光体ドラム222上に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器224、感光体ドラム222表面に形成されたトナー像を記録紙に転写する転写器(転写チャージャ等)225、余分なトナーを回収するクリーニング器226、除電器(除電チャージャ等)229を備えている。
定着ユニット217は、画像プロセス部230より送出される用紙に定着処理を施して、転写された画像を用紙に定着させるものである。給紙部240は、手差しトレイ254と、両面ユニット255、用紙トレイ251、多段給紙部270、及び搬送機構部250を備えている。多段給紙部270は給紙トレイ252と給紙トレイ253とを備えている。搬送機構部250は、用紙トレイ251、給紙トレイ252、給紙トレイ253、及び手差しトレイ254から給紙された用紙を、画像プロセス部230における転写器225へと搬送する。
両面ユニット255は、用紙の裏面に再度画像を形成するために用紙の前後を反転させるスイッチバック路221に通じており、用紙の両面に画像形成を行う時に用いられる。なお両面ユニット255を、用紙の片面のみに画像形成を行うための用紙カセットに交換することも可能となっている。後処理部260は、画像形成部20の用紙排出側に設置されており、画像が形成された用紙に対してステープル処理等を行うものであり、昇降トレイ261を備えている。
このような構成のデジタル複写機1においては、原稿台110の原稿台ガラス111上に原稿が載置され、スタートキー325が押されると、制御部210の動作制御の下、画像読取部10の第1の走査ユニット120が主走査方向に光走査しながら副走査方向への移動を開始する。走査光の反射光である原稿台ガラス111からの反射光は、副走査方向に移動する第2の走査ユニット121を介して光学レンズ122に入り、CCDラインセンサ123上に結像される。ここで、第2の走査ユニット121の副走査方向への移動速度は、第1の走査ユニット120の半分に設定されている。また、第1の走査ユニット120及び第2の走査ユニット121の副走査方向の移動速度は、変倍率によって異なり、拡大コピー時は等倍コピーよりも遅く、縮小コピー時は等倍コピー時より速くなる。
画像読取部10にて読み取られた原稿の画像は、画像データとして後述する画像データ入力部300を介して画像処理部301に送られ、必要な画像処理が施された後、一旦メモリ302に記憶され(図4参照)、その後、制御部210の指示するタイミングでレーザ書込ユニット227に転送される。レーザ書込ユニット227は、周知の画像形成プロセスにて、画像プロセス部230の感光体ドラム222表面上に画像データに基づく静電潜像を形成し、該静電潜像が、現像されてトナー像となり、該トナー像が、給紙部240から搬送機構部250を通じて給紙された用紙に転写される。トナー像が転写された用紙は、定着ユニット217に送られ、定着処理が施された後、後処理部260にて必要に応じて後処理が施された後排出される。
図3は、上記デジタル複写機1における操作パネル30を表したものである。この操作パネル30の中央部には、タッチパネル式表示部310が配置されており、右部分には右側キー群320が、左部分には左側キー群330がそれぞれ配置されている。これら右側キー群320と左側キー群330とで後述するキー部340が構成されている(図4参照)。
タッチパネル式表示部310には、現在のデジタル複写機1の動作状態や、各種設定値といった種々の情報を表示する画面であり、操作のガイダンスや警告等を表示することができる。また、タッチパネル式表示部310は、その画面を指で直接押圧することで操作が可能であり、変倍コピー時の変倍率や、コピー画像を出力する記録シートのサイズ、コピー濃度等の各種の条件を画面操作で設定することができる。
右側キー群320は、テンキー321、割り込みキー322、クリアキー323、全解除キー324およびスタートキー(プリント開始キー)325により構成されている。テンキー321は、タッチパネル式表示部310に数値(複写枚数等)を入力するのに使用するキーであり、スタートキー325は複写等の動作の開始を指示するためのキーでる。クリアキー323はタッチパネル式表示部310に表示される設定値をクリアしたり、画像の読み取りや画像複写、画像形成などの動作の中断を行ったりするキーであり、全解除キー324は、複写条件等の設定をデフォルトに戻すためのキーであり、割り込みキー322は、実行中の動作を一時中断して他の動作を許容するためのキーである。
左側キー群330は、動作モードを切り換えるためのモードキー群であり、ファクスモードにするファックスキー331、プリンタモードとするプリンタキー332、コピーモードとするコピーキー333が配置されている。
図4は、上記デジタル複写機1における制御系の構成図である。画像形成部20の制御部210には、転写器225や、現像器224、帯電器223等を含む画像プロセス部230を始めとして、レーザ書込ユニット227、定着ユニット217、搬送機構部250、給紙部240、操作パネル30、後処理部260、画像読取部10、画像データ入力部300、画像処理部301、メモリ302等が接続されている。
制御部210は、レーザ書込ユニット227、画像プロセス部230、定着ユニット217、搬送機構部250、給紙部240、及び後処理部260等の各駆動を制御して、画像データに基づく画像を、所定の用紙上に形成し、必要に応じて後処理等を施して出力させる。制御部210は、このとき、タッチパネル式表示部310とキー部340より構成される操作パネル30から入力されるユーザの設定した各種の条件を反映させる。
また、制御部210は、画像読取部10、画像データ入力部300、画像処理部301、及びメモリ302等の各駆動を制御して、画像読取部10が読み取った画像データに対して必要な処理を施させる。画像データ入力部300は、画像読取部10にて上述のように読み取られた画像データに対し、画像読取部10の個体差における画像データの違いを取り除くなどの処理を施すものである。画像処理部301は、画像データ入力部300より転送されてきた画像データに対して、必要に応じて、フィルタ処理、回転処理、変倍処理、階調変換処理等の各種の画像処理を行うものである。画像処理が施された画像データはメモリ302に一旦格納された後、制御部210の指示するタイミングでレーザ書込ユニット227に転送される。
なお、図4では図示していないが、画像データの圧縮や、続く後段の回路が扱うことができるデータプロトコルに変換するといった加工を行うデータ変換器が制御部210に接続されている構成としてもよい。データ変換器を具備させることで、ハードディスクドライブ(HDD)に保存したり、接続されるファクシミリ回路を介して、その先の電話回線に画像データを送ることでファクシミリも伝送できる。同様にコンピュータネットワークカードを通じて、コンピュータネットワークに画像データを伝送することなどもできる。
そして、本デジタル複写機1では、上記制御部210が本発明における制御手段、処理可変手段、設定解除手段であり、画像処理部301及びメモリ302等にて、読取手段にて読み取られた画像に対して種々の処理を施す処理手段が主に構成されている。
以下、本実施の形態のデジタル複写機1の注目すべき構成について説明する。
通常、デジタル複写機1のような複写機において変倍率の設定は、プリセットされている倍率選択と、ズームによる選択の2種類の設定方法とがある。プリセットされている倍率で拡大倍率は、B5→A4,B4→A3が115%で、A5→B5,A4→B4が122%、B5→B4,A4→A3が144%であり、またプリセットされている縮小倍率は、A4→B5,A3→B4が86%で、B5→A5,B4→A4が81%、B4→B5,A3→A4が70%である。
従来装置では、これらプリセットされている倍率選択は、ユーザが操作パネルのタッチパネル式表示部等を操作することで選択できるようになっているが、本デジタル複写機1では、これらの変倍率の何れかを原稿台110の複数ある載置基準に対してそれぞれ任意に選択設定できるようになっている。
図1は、デジタル複写機1における原稿台110と操作パネル30とが設けられている上面図(自動原稿搬送装置112は開状態である)。該図1に示すように、本デジタル複写機1の原稿台110においては、原稿を載置する際の基準となる載置基準が複数所設けられている。具体的には、左上コーナ部の第1載置基準M1、左下コーナ部の第2載置基準M2、右下コーナ部の第3載置基準M3、及び右上コーナ部の第4載置基準M4の計4箇所設けられている。原稿台枠115に設けられた、載置基準マークMを有する基準部材116も、これら4箇所の載置基準M1〜M4に対応して設けられている。
そして、本デジタル複写機1では、各載置基準Mに応じて画像の変倍率がユーザにて選択され設定されている。例えば、ここでは、第1載置基準M1で載置された原稿に対しては等倍処理が施され、第2載置基準M2で載置された原稿に対しては122%の拡大処理が施される。また、第3載置基準M3で載置された原稿に対して86%の縮小処理が施され、第4載置基準M4で載置された原稿に対しては81%の縮小処理が施されるようになっている。
また、これら第1〜第4の載置基準Mの近傍には、各載置基準Mに設定されている変倍率を示す目印シールが貼り付けられており、ユーザはこの目印シールを確認することで、間違うことなく所望する変倍率が実施される載置基準Mに原稿を載置することが可能となる。この他、操作パネル30におけるタッチパネル式表示部310に、各載置基準Mに設定されている変倍率が、メーセージや図形を用いた模式図等で表示されるようにしてもよい。
したがって、本デジタル複写機1では、ユーザは、少なくとも上記4つの変倍率(等倍、122%、81%、86%)に対しては、原稿を載置する際に、第1〜第4の載置基準M1〜M4の何れか、所望する変倍率が設定されている載置基準Mにて原稿を載置することで、操作パネル30を用いた変倍率の選択設定を行うことなく、所望のコピーを得ることができる。
図5に、このような構成を実現する、画像読取部10の電気的な構成を示す。画像読取部10は、電気的には、自動原稿搬送装置112、CCDラインセンサ123、光源124、光源ユニット検出器125、走査モータ126、及び原稿検出部130を備えている。光源124は、走査ユニット120における露光ランプユニットに備えられた露光のための光を出力するものである。光源ユニット検出器125は、走査ユニット120の副走査方向の移動位置を検出するものである。また、走査モータ126は、第1及び第2の走査ユニット120・121を副走査方向に移動させるためのものである。原稿検出部130は、原稿台110上に載置された原稿の有無を、上記した第1〜第4の4つの載置基準M1〜M4に対応つけて検出するものであり、ここでは第1〜第4の検出器131〜134からなる。
第1〜第4の検出器131〜134は、図6に示すように、第1〜第4の載置基準M1〜M4に対応して設けられており、何れも、主走査方向の原稿端部位置を検出する主走査方向検出センサと、副走査方向の原稿端部位置を検出する副走査方向検出センサよりなる。
例えば、第1検出器131は、第1載置基準M1に対応して設けられ、主走査方向検出センサ131aと副走査方向検出センサ131bより構成されている。主走査方向検出センサ131aと副走査方向検出センサ131bとは、何れも多光点センサよりなる。多光点センサは、対象物に対して複数の光ビームを照射し、照射ポイントごとの反射光を受光し、それら光量を検出するものである。
主走査方向検出センサ131aを例にあげて説明すると、図7に示すように、主走査方向検出センサ131aは、対応する第1載置基準M1から主走査方向に予め定められた距離離間した複数のポイントP1〜P3において、光ビームを照射してその反射光の光量を測定する。ポイントP1〜P3は、載置可能な原稿の各サイズに応じて決められている。図のように、ポイントP2とポイントP1との間に原稿端が位置している場合、ポイントP2・P3では原稿にて光ビームが反射されるが、ポイントP1では原稿が無いために光ビームが反射されず、その反射光は検出されない。したがって、制御部210は、各ポイントP1〜P3からの反射光の光量を検出することで、主走査方向の原稿の端部位置を確認できる。
副走査方向検出センサ131bもこれと同様であり、第1載置基準M1から副走査方向に予め定められた距離離間した複数のポイントからの反射光の光量を検出することで、制御部210は、副走査方向の原稿の端部位置を確認するようになっている。副走査方向の各ポイントも、載置可能な原稿の各サイズに応じて決められている。
このようにして、第1載置基準M1で原稿が載置された場合、主走査方向検出センサ131aの検出と、副走査方向検出センサ131bの検出にて、制御部210は、原稿が第1載置基準M1で載置されていることに加えて、載置された原稿の端部位置を確認してサイズをも検出することができる。
同様にして、第2検出器132は、主走査方向検出センサ132aと副走査方向検出センサ132bより構成されており、制御部210は、第2検出器132の検出信号に基づいて、第2載置基準M2で載置された原稿の有無と共に、載置された原稿の大きさを検出するようになっている。
同様にして、第3検出器133は、主走査方向検出センサ133aと副走査方向検出センサ133bより構成されており、制御部210は、第3検出器133の検出信号に基づいて、第3載置基準M3で載置された原稿の有無と共に、載置された原稿の大きさを検出するようになっている。
同様にして、第4検出器134は、主走査方向検出センサ134aと副走査方向検出センサ134bより構成されており、制御部210は、第4検出器134の検出信号に基づいて、第4載置基準M4で載置された原稿の有無と共に、載置された原稿の大きさを検出するようになっている。
制御部210は、これら第1〜第4の検出器131〜134の検出信号より、原稿が載置さている載置基準Mが第1〜第4の載置基準M1〜M4の何れであるかを判別し、第1載置基準M1で載置された原稿に対しては等倍処理が、第2載置基準M2で載置された原稿に対しては122%の拡大処理が、第3載置基準M3で載置された原稿に対して86%の縮小処理が、第4載置基準M4で載置された原稿に対しては81%の縮小処理がそれぞれ施されるように、画像処理部301の画像処理動作を制御する。
また、制御部210は、第1〜第4の検出器131〜134の検出信号より得られる原稿サイズより、所望の変倍率にてよりされた画像が出力されるのに適した用紙サイズを求め、該用紙サイズの用紙が画像プロセス部230における転写器225と感光体ドラム222との間に搬送されるように、給紙部240と搬送機構部250を制御する。
なお、各ユーザによって、よく利用する変倍率は異なるので、このような載置基準Mと変倍倍率との関係は、本デジタル複写機1のように、ユーザが操作パネル30を用いて、プリセットされている倍率選択の中から任意に設定することができる構成(処理可変手段)としておくことが好ましい。
但し、本デジタル複写機1では、第1の走査ユニット120及び第2の走査ユニット121の副走査方向の移動速度は、拡大コピー時は等倍コピーよりも遅く、縮小コピー時は等倍コピー時より速くなる。したがって、第1〜第4の載置基準M1〜M4に変倍率を割り当てるにあたっては、選択頻度の高い倍率をホームポジション側に割り当てることが望ましいことはもちろんであるが、1回あたりの読取所要時間に着目すると、副走査方向の移動速度が遅い拡大倍率や等倍率(100%)を第1の走査ユニット120が副走査方向への移動を開始するホームポジション側に割り当て、副走査方向の移動速度が速い縮小倍率を、ホームポジション側とは反対側に割り当てることが好ましい。これにより、原稿の読み取りにかかる所要時間を削減して、ひいては画像形成に要する時間を短縮することができる。
また、第1の走査ユニットの副走査方向の移動速度を倍率に応じて全領域を一定とするのではなく、原稿検出部130の検知結果に基づいて、原稿の載置されていない領域を移動する場合は速度を上げ、原稿の載置されている領域を移動する場合には、各倍率に合った速度で移動させるようにしてもよい。
そして、より好ましくは、倍率に応じた移動速度が遅いものをホームポジション側に割り当てると共に、原稿が載置されていない領域での移動速度を上げることであり、これにより、画像読み取りの所要時間をより一層短縮することができる。
以上のように、本デジタル複写機1は、原稿台110に対して載置基準Mを複数設けると共に、載置基準M毎に変倍率が設定されているので、ユーザは、各載置基準Mに設定されている変倍率に関しては、原稿を所望する変倍率が設定されている載置基準Mに載置するだけで、操作パネル30を用いて変倍率の設定を行うことなく、所望する変倍率で処理されたコピーを得ることができる。
しかも、ここでは、原稿検出部130が載置基準Mの何れに原稿が載置されたかを検出し、制御部210はこの原稿検出部130の検出信号に基づいて原稿が載置された載置基準Mを判別するので、原稿を所望する処理が設定されている載置位置に載置するだけで、所望の処理を行わせることができる。
加えて、原稿サイズを検出する機能を持たない場合、拡縮した画像に合わせた用紙を選択したい場合、原稿サイズと変倍率とで決まる適切なサイズの用紙を、操作パネル30を用いてユーザが設定する必要があるが、上記したデジタル複写機1では、原稿検出部130の検出信号から制御部210が原稿サイズまでも把握するので、制御部210にて原稿サイズと変倍率に合ったサイズの用紙を自動的に選択する構成とすることができ、ユーザによる操作パネル30を用いての入力操作をさらに削減して、より一層使い勝手の易い装置となっている。
なお、上記デジタル複写機1では、原稿台110に対して設けられた複数の載置基準Mに対してプリセットされている変倍率の中からユーザが任意に設定できる構成としていたが、複数の載置基準Mに対して設定する条件は、何も変倍率に限るものではなく、例えば、コピー画像が出力される用紙のサイズを設定するようにしてもよい。
つまり、例えば図8に示すように、第1載置基準M1で載置された原稿に対しては、画像を出力する用紙としてA4サイズの用紙が選択され、第2載置基準M2で載置された原稿に対しては、A3サイズの用紙が選択され、第3載置基準M3で載置された原稿に対しては、B4サイズの用紙が選択され、第4載置基準M4で載置された原稿に対しては、B5サイズの用紙が選択されるようにしてもよい。
そして、この場合も、変倍率が設定されていた場合と同様に、これら第1〜第4の載置基準M1〜M4の近傍には、各載置基準Mに設定されている用紙サイズを示す目印シールを貼り付ておくことで、ユーザはこの目印シールを確認することで、間違うことなく所望するサイズの用紙が選択される載置基準Mに原稿を載置することが可能となる。この他、操作パネル30におけるタッチパネル式表示部310に、各載置基準Mに設定されている用紙サイズが、メーセージや図形を用いた模式図等で表示されるようにしてもよい。
このような構成とすることで、ユーザは、少なくとも上記4つの用紙サイズ(A4、A3、B4、B5)に対しては、原稿を載置する際に、第1〜第4の載置基準M1〜M4の何れか、所望する用紙サイズが設定されている載置基準Mにて原稿を載置することで、操作パネル30を用いた用紙の選択設定を行うことなく、所望のコピーを得ることができる。
しかも、上記と同様、原稿検出部130が載置基準Mの何れに原稿が載置されたかを検出し、制御部210はこの原稿検出部130の検出信号に基づいて原稿が載置された載置基準Mを判別するので、原稿を所望する処理が設定されている載置位置に載置するだけで、所望の処理を行わせることができる。
加えて、原稿サイズを検出する機能を持たない場合、原稿サイズとは異なるサイズの用紙を所望し、かつ、用紙に合わせて画像を拡縮したい場合、原稿サイズと用紙サイズとで決まる変倍率を操作パネル30を用いてユーザが設定する必要があるが、上記したデジタル複写機1では、原稿検出部130の検出信号から制御部210が原稿サイズまでも把握するので、制御部210にて原稿サイズと用紙サイズに合った変倍率を自動的に選択する構成とすることができ、ユーザによる操作パネル30を用いての入力操作をさらに削減して、より一層使い勝手の易い装置となっている。
なお、各ユーザによって、よく利用する用紙サイズは異なるので、このような載置基準Mと用紙サイズとの関係は、上記した変倍率の場合と同様に、ユーザが操作パネル30を用いて、対応可能な用紙サイズの中から任意に設定することができる構成としておくことが好ましい。
また、このように第1〜第4の載置基準M1〜M4に用紙サイズを割り当てるにあたっては、選択頻度の高い用紙サイズを第1の走査ユニット120のホームポジション側に割り当てることが望ましい。
また、第1の走査ユニットの副走査方向の移動速度は、上述したように、この場合も原稿検出部130の検知結果に基づいて、原稿の載置されていない領域を移動する場合は速度を上げ、原稿の載置されている領域を移動する場合には、所定の速度(各倍率に合った速度)で移動させるようにしてもよい。
また、複数の載置基準Mに対して設定する条件は、何も変倍率や用紙サイズに限るものではなく、文字原稿と写真原稿とをよく利用するユーザであれば、各載置基準Mに応じて原稿種別を設定するようにしてもよい。
つまり、例えば図9に示すように、第1載置基準M1で載置された原稿に対しては、原稿が文字画像を中心とした文字原稿用の画像処理が施される一方、第3載置基準M3で載置された原稿に対しては、写真原稿用の画像処理が施されるようにしてもよい。
文字原稿と写真原稿とでは、画像処理部301にて施す画像処理が異なるので、通常は文字原稿に対する画像処理がデフォルトであり、写真原稿である場合は、原稿の種別を操作パネル等を用いて設定する必要がある。しかしながら、このような構成としておくことで、制御部210の制御の下、第1載置基準M1で載置された原稿には、一義的に文字原稿用の画像処理を画像処理部301が実施し、第3載置基準M1で載置された原稿には、一義的に写真原稿用の画像処理を画像処理部301が実施する。
したがって、ユーザは、少なくとも上記2つの原稿種別(文字原稿、写真原稿)に対しては、原稿を載置する際に、第1或いは第3の載置基準M1・M3の何れか、載置する原稿の種別に見合う載置基準Mに原稿を載置することで、原稿種別に適した画像処理を選択して、原稿に忠実なコピーを得ることができる。
そして、この場合も、変倍率が設定されていた場合と同様に、これら第1、第3の載置基準M1・M3の近傍には、各載置基準Mに設定されている原稿種別を示す目印シールを貼り付ておくことで、ユーザはこの目印シールを確認することで、間違うことなく原稿を適切な画像処理が施される載置基準Mに載置することが可能となる。この他、操作パネル30におけるタッチパネル式表示部310に、各載置基準Mに設定されている原稿種別が、メーセージや図形を用いた模式図等で表示されるようにしてもよい。
一般的に、写真原稿は文字原稿と比較して、画像データとして処理されるデータ数が多いと共に、施される画像処理数も多く画像処理時間がかかり、画像形成のために要する時間が長くなる。したがって、文字原稿と写真原稿とであれば、もともと所要時間の長い写真原稿を、第1の走査ユニット120のホームポジション側とは反対側に割り当て、所要時間の短い文字原稿を第1の走査ユニット120のホームポジション側に割り当てることが好ましい。
また、ここでは原稿の種別として、文字原稿と写真原稿とを例示したが、複数の載置基準M1〜M4に割り当てる原稿種別としては、網点原稿や、文字と写真原稿との混在する原稿など、予め設定されている原稿種別に応じた処理の中から、ユーザが操作パネル30を用いて選択設定しえる構成としておくことが好ましい。
さらに、この他、複数の載置基準Mに対して設定する条件としては、画像濃度や、用紙の種類(薄紙、厚紙、既に片面に印刷されている紙、OHPシート、ユーザに特別に設定する紙等)、FAXの送信先、コピー枚数(常に決められた枚数にて画像形成を行う場合等に便利)或いは部数、後処理の種類(ステープル、パンチ等)、ウォータマークの種類(付加なし、極秘、見本、ロゴ等)、編集の種類(マルチショット、画像反転、ネガポジ反転等)等、ユーザが操作パネル30を用いて設定する必要のあらゆる条件が考えられ、より好ましくは、このようなユーザが操作パネル30を用いて選択する必要のある条件から、各ユーザが自身の使い方に応じて適宜して割り当てが行えるようにしておくことである。
このように、原稿台110における載置基準Mを複数とし、載置基準M毎に所定の条件を設定しておくことで、いわば従来1つであったデフォルトが、載置基準Mの数だけあるようなものであり、複数の載置基準Mに割り当てる条件を適切に設定することで、ユーザにとっては、スタートキー325を押すだけで所望のコピーを得ることができる機会が増え、使い勝っての良い装置となる。
また、オートクリア機能が搭載されていても、載置基準Mに割り当てられた機能はあくまでデフォルトであるので、オートクリアが実行されることはなく、変倍率や用紙サイズをデフォルトから変更してコピーを行っていた場合によく発生していたオートクリアによるミスコピーの問題も解決することができる。
なお、このような複数の載置基準Mに応じた条件の設定は、設定する条件の内容はもちろんのこと、このような複数の載置基準Mに応じた条件の設定を有効にするモードと、無効にするモードとを設けておくことが好ましい。
また、ここでは、原稿台110の載置基準Mとして、原稿台110の4つのコーナ部を例示したが、本デジタル複写機1では、画像読取部10に自動原稿搬送装置112が搭載されているので、このような自動原稿搬送装置112を具備する構成においては、該自動原稿搬送装置112を利用する場合にも1つの条件をデフォルトとして割り当ててもよい。
例えば、自動原稿搬送装置112は原稿セットトレイ114に載置された原稿を1枚ずつ自動的に原稿台110上へ送るものであるので、例えば自動原稿搬送装置112をもちいての原稿搬送は、全てA4サイズにコピーするなどの設定を行っておくことで、セットされた原稿がA4とB5とが混在していたとしても、全てA4サイズに揃ったコピーを得ることができる。
また、原稿台の1つ載置基準Mに合わせて載置された原稿サイズが、他の載置基準Mに近接すると判断された場合、つまり、他の載置基準Mに対応する副走査方向検出センサ或いは主走査方向検出センサの何れか一方で最大サイズが検出された場合であって、かつ、該当する載置基準Mに割り当てられている設定が拡大倍率である場合(例えば、等倍処理の原稿の最大サイズをA3である場合に、A3の原稿が122%拡大の載置基準M2に載置された場合)は、設定通りの拡大処理を行うと画像データのサイズ(対応する用紙のサイズ上)、画像が欠落する部分が生じる。したがって、このような場合は、載置基準Mに応じた倍率の自動設定を中止し、操作パネル30のタッチパネル式表示部310に警告表示を行い、変倍率を制御部210が適当なものに変更して変倍読み取りを行うようにすることが好ましい。なお、等倍、縮小に設定されている場合には、問題ないので、載置基準Mに応じた変倍率で処理すればよい。
なお、上記した実施の形態では、読取機能付き画像形成装置としてのデジタル複写機1を例示したため、原稿よりそのコピーを得ることを中心に説明した。しかしながら、画像読取装置として単独で機能する装置においても、デジタル複写機1と同様、原稿台の載置基準を複数とし、これに変倍率等や、画像データサイズ(用紙サイズに相当)等の各種処理条件等、ユーザが操作パネルを用いて行っていた条件設定を割り当てるように構成することができる。