まず、本発明の一実施形態に係る画像形成装置としての複合機1の全体の構成について図1を参照しながら説明する。図1は、複合機1を示す断面図である。
図1に示されるように、複合機1は、箱型形状の装置本体2を備えている。装置本体2の下部には用紙(図示せず)を収納した給紙カセット3が設けられ、装置本体2の上部には第1排紙トレイ4が設けられている。給紙カセット3及び第1排紙トレイ4は、装置本体2内の画像形成部12で画像が形成される用紙を搬送するために用いられる。
装置本体2の上部における排紙トレイ4の上方には、原稿に表示されたものを画像データとして読み取る画像読取装置5が設けられている。画像読取装置5の上方には、画像読取装置5へと原稿を供給する自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder:ADF)等の原稿搬送部6が設けられる。この原稿搬送部6の上面には給紙トレイ7が設けられ、給紙トレイ7の下方には第2排紙トレイ8が設けられている。給紙トレイ7及び第2排紙トレイ8は、画像読取装置5で画像が読み取られる原稿を搬送するために用いられる。なお、画像読取装置5は、原稿搬送部6、給紙トレイ7及び第2排紙トレイ8と一体的に構成されてよい。画像読取装置5の詳細は後述する。
装置本体2の中央部には、中間転写ベルト10が複数のローラー間に架設され、中間転写ベルト10の下方には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光装置11が配置されている。中間転写ベルト10の近傍には、中間転写ベルト10の下部に沿って4個の画像形成部12がトナーの色(例えば、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色)ごとに設けられている。各画像形成部12には、感光体ドラム13が回転可能に設けられていて、感光体ドラム13の周囲には、帯電器14と、現像器15と、一次転写部16と、クリーニング装置17と、除電器18とが、一次転写のプロセス順に配置されている。現像器15の上方には、各画像形成部12と対応する4個のトナー容器としてのトナーコンテナ20が、トナーの色ごとに設けられている。
装置本体2の一側(図面右側)には、用紙の搬送経路21が設けられている。搬送経路21の上流端には給紙部22が設けられ、搬送経路21の中流部には中間転写ベルト10の一端(図面右端)に二次転写部23が設けられ、搬送経路21の下流部には定着装置24が設けられ、搬送経路21の下流端には排紙口25が設けられている。
次に、画像読取装置5について説明する。画像読取装置5は、筐体30の内部に画像読取部31を備えると共に、筐体30の上面にプラテンガラス32と原稿読取スリット33とを備えて構成される。また、画像読取部31は、光学走査ユニット34と、反射ユニット35と、集光レンズ36と、CCD等の撮像部37とを備える。
光学走査ユニット34は、プラテンガラス32や原稿読取スリット33の上方の原稿に向かって光を照射する光源38と、原稿で反射した光を反射ユニット35に向ける反射ミラー40とを有する。反射ユニット35は、複数の反射ミラー41を有する。例えば、光学走査ユニット34は、主走査方向(前後方向)に長形に形成され、副走査方向(左右方向)に移動可能に設けられる。また、反射ユニット35は、原稿から集光レンズ36までの光路長が常に一定となるように、光学走査ユニット34の移動に応じて移動するように設けられる。なお、集光レンズ36及び撮像部37は、筐体30内の右側に固定されている。
画像読取装置5及び原稿搬送部6は、下記の制御装置50の制御部51に電気的に接続されている。原稿搬送部6は、下記の操作表示部53のスタートキーやワンタッチボタン62の操作に応じて、原稿センサー(図示せず)が給紙トレイ7上の原稿を検知すると、この原稿を供給して原稿読取スリット33の上方を通過させる。画像読取装置5は、操作表示部53のスタートキーやワンタッチボタン62の操作に応じて、プラテンガラス32に載置された原稿や、原稿読取スリット33の上方を通過する原稿の画像データを読み取る。
次に、上記した画像読取装置5を備える複合機1の制御装置50について図2を参照しながら説明する。図2は、複合機1の制御装置50を概略的に示すブロック図である。
複合機1は、装置本体2の内部に制御装置50を備えている。制御装置50は、CPU等からなる制御部51と、ROMやRAM等からなる記憶部52とを備える。制御装置50は、上記した露光装置11、画像形成部12、給紙部22、二次転写部23及び定着装置24、並びに操作表示部53(操作部)、モード切換部54、ジョブ実行部55及び通信部56に接続されている。また、制御装置50は、画像読取装置5に接続され、特に、画像読取装置5の原稿搬送部6、画像読取部31、マーク検出部57、ジョブ設定部58、エラー出力部60及び画像処理部61に接続されている。
記憶部52には、画像形成動作の制御に必要なプログラムや、その他、複合機1を統括制御するためのプログラムが記憶されていて、制御部51は、記憶部52に記憶された各プロクラム等に従って演算処理を実行して、制御装置50に接続された各部を制御する。
操作表示部53は、例えば、スタートキー、ストップ/クリアキー、取消キー、電源キー、テンキー等の操作キーやタッチパネル等のディスプレイを備える。なお、ディスプレイのタッチパネルは、操作キーとして兼用されても良い。操作表示部53は、ユーザーが各操作キーやタッチパネルを操作すると、その操作指示を制御部53に出力するように構成される。
また、操作表示部53は、操作キーとして、コピー、ファクシミリ及びスキャン等のジョブボタンを備え、ジョブボタンの操作に応じて、制御装置50は、実行すべきコピージョブ、ファクシミリジョブ及びスキャンジョブ等のジョブ(実行対象ジョブ)を切り換え、実行対象ジョブの基本画面(コピー画面、ファクシミリ画面及びスキャン画面等)をディスプレイに表示する。更に、操作表示部53は、操作キーとして、ワンタッチボタン62を備える。
モード切換部54は、ユーザーによる操作表示部53の操作キーの入力に応じて、ジョブについての動作モードを、通常モードと、原稿に付されるマークに基づくマーク検出モードとの間で切り換えて設定する。例えば、モード切換部54は、通常、動作モードを通常モードに設定していて、操作表示部53のワンタッチボタン62の操作に応じて動作モードをマーク検出モードに切り換える。なお、モード切換部54は、動作モードがマーク検出モードに設定されている場合には、操作表示部53の取消キーの操作に応じて動作モードを通常モードに戻す。
ジョブ実行部55は、画像読取装置5で原稿から読み取ったジョブ対象の画像データに対して、コピージョブ、ファクシミリジョブ及びスキャンジョブ等のジョブ(実行対象ジョブ)を実行する。例えば、ジョブ実行部55は、コピージョブとして下記の画像形成動作を実行する。また、ジョブ実行部55は、ファクシミリジョブを実行する場合には、画像データを通信部56を介してファクシミリ64によって送信し、スキャンジョブを実行する場合には、画像データを所定のフォーマットの画像ファイルとして記憶部52や外部のコンピューター63に保存する。なお、ジョブ実行部55は、マーク検出モードが設定されている場合には、ジョブ設定部58で設定される実行パターンによるジョブ(実行対象ジョブ)を実行する。
通信部56は、外部のコンピューター63と所定のネットワークを介して通信可能に接続され、また、電話回線を介して外部のファクシミリ64と通信可能に接続される。
マーク検出部57は、マーク検出モードが設定されている場合に、画像読取装置5の画像読取部31によって原稿から読み取られて記憶部52に記憶されたジョブ対象の画像データから、原稿に付されたマークを検出する。また、マーク検出部57は、原稿に付されるマークの数、位置、形状、色等の複数の組合せ(パターン)を予め記憶していて、検出したマークが何れの組合せに相当するかを判定する。
例えば、マーク検出部57は、原稿に付されるマークを識別可能な形状や色等のマーク情報を予め記憶していて、画像データに対してマーク情報のパターンマッチング処理やOCR処理等を行うことでマークを検出する。また、マーク検出部57は、画像データからマークを検出したときに、ファクシミリジョブ又はスキャンジョブについての宛先がマークの近傍に付されているかを判定すると共に、当該宛先(後述する第4宛先)を検出する。例えば、マーク検出部57は、画像データのマークの近傍でOCR処理等の文字認識処理を行うことで宛先を検出する。
ジョブ設定部58は、複合機1で実行されるコピージョブ、ファクシミリジョブ及びスキャンジョブ等のジョブについて複数(少なくとも1つ)の実行パターンを予め記憶すると共に、マークの数、位置、形状、色等の組合せと各実行パターンとを関連付けて予め記憶している。例えば、同じジョブであっても、原稿の片面読取と両面読取との違いや、宛先の違いによって、実行パターンが異なる。ジョブの実行パターンとマークの組合せとの対応関係については後述する。そして、ジョブ設定部58は、マーク検出モードが設定されている場合に、マーク検出部57で検出されたマークの組合せに関連付けられた実行パターンを検索し、検索された実行パターンを実行対象ジョブとして設定する。
エラー出力部60は、マーク検出モードが設定されている場合に、マーク検出等に関するエラーを出力するもので、例えば、操作表示部53のディスプレイにエラー画面を表示したり、警報音を鳴らしたりする。例えば、エラー出力部60は、マーク検出モードが設定されている場合に画像読取装置5が1枚目の原稿から画像データを読み取ったときに、マーク検出部57がこの画像データからマークを検出できなかった場合に、又はジョブ設定部58がマークの組合せに関連付けられたジョブの実行パターンを検索できなかった場合に、エラーを出力する。
次に、このような構成を備えた複合機1の画像形成動作について説明する。複合機1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着装置24の温度設定等の初期設定が実行される。そして、画像読取装置5や外部のコンピューター63等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
まず、帯電器14によって感光体ドラム13の表面が帯電された後、露光装置11からのレーザー光(矢印P参照)により感光体ドラム13の表面に静電潜像が形成される。次に、この静電潜像を、トナーコンテナ20から供給されるトナーによって現像器15がトナーにより対応する色のトナー像に現像する。このトナー像は、一次転写部16において中間転写ベルト10の表面に一次転写される。以上の動作を各画像形成部12が順次繰り返すことによって、中間転写ベルト10上にフルカラーのトナー像が形成される。なお、感光体ドラム13上に残留したトナー及び電荷は、クリーニング装置17及び除電器18によって除去される。
一方、給紙部22によって給紙カセット3又は手指しトレイ(図示せず)から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて二次転写部23へと搬送され、二次転写部23において、中間転写ベルト10上のフルカラーのトナー像が用紙に二次転写される。トナー像を二次転写された用紙は、搬送経路21を下流側へと搬送されて定着装置24に進入し、この定着装置24において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、排紙口25から排紙トレイ4上に排出される。
次に、このような構成を備えた画像読取装置5において、プラテンガラス32上に載置された原稿の画像読取動作について説明する。
画像読取装置5では、操作表示部53のスタートキーの操作に応じて制御装置50から画像読取の開始指示を受けたときに、画像読取動作を開始する。そして、画像読取装置5の画像読取部31において、光学走査ユニット34が、筐体30内の左側(副走査方向の一端側)の画像読取位置から右方向(副走査方向)へと移動して、プラテンガラス32上に載置された原稿を走査(スキャン)する。このとき、プラテンガラス32上の原稿に向かって、光学走査ユニット34の光源38によって光を照射し、原稿からの反射光を反射ユニット35及び集光レンズ36を介して撮像部37に入射させる。
そして、撮像部37は、原稿からの反射光に基づく光電変換を行うことで原稿の画像の電気信号(画像データ)を生成する。撮像部37で生成された画像データは、画像処理部61によって所定の画像処理が施され、画像処理後の画像データは、ジョブ対象(コピー、ファクシミリやスキャンの対象)として制御装置50の記憶部52に記憶される。
なお、複合機1では、ジョブ実行部55が、記憶部52に記憶された画像データについて、画像読取前に設定されている上記の実行対象ジョブを実行し、例えば、コピージョブを実行する場合には、画像データに対して上記の画像形成動作を実行する。
次に、このような構成を備えた画像読取装置5において、モード切換部54によって通常モードが設定されている場合の、給紙トレイ7上に載置された原稿の画像読取動作について説明する。
画像読取装置5では、操作表示部53のスタートキーの操作に応じて制御装置50から画像読取の開始指示を受けたときに、画像読取動作を開始する。そして、原稿供給部6において、原稿センサー(図示せず)が給紙トレイ7上の原稿を検知すると、原稿供給部6がこの原稿を供給して原稿読取スリット33の上方を通過させる。このとき、画像読取装置5の画像読取部31において、光学走査ユニット34は、筐体30内の左側の画像読取位置に固定されたままで、原稿読取スリット33の上方を通過する原稿を走査(スキャン)する。
そして、上記と同様にして、光学走査ユニット34によって画像データが生成されると共に、画像処理部61によって所定の画像処理が施されて、画像処理後の画像データが、ジョブ対象として制御装置50の記憶部52に記憶される。上記の原稿読取動作は、原稿センサー(図示せず)が給紙トレイ7上の原稿を検知しなくなるまで繰り返される。
なお、このような通常モードでの給紙トレイ7上の原稿の画像読取動作の場合でも、複合機1では、上記したように、ジョブ実行部55が、記憶部52に記憶された画像データについて、画像読取前に設定されている実行対象ジョブを実行する。
他方、画像読取装置5において、モード切換部54によってマーク検出モードが設定されている場合の、給紙トレイ7上に載置された原稿の画像読取動作の一例について図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、画像読取装置5のマーク検出を伴う画像読取動作を示すフローチャートであり、図4は、画像読取装置5に適用される原稿の例を示す模式図である。
画像読取装置5では、原稿供給部6の給紙トレイ7上に原稿が載置された後(ステップS1)、操作表示部53のワンタッチボタン62の操作に応じて(ステップS2)、制御装置50から画像読取の開始指示を受けたときに、画像読取動作を開始する。
そして、原稿供給部6において、原稿センサー(図示せず)が給紙トレイ7上の原稿を検知すると(ステップS3:Yes)、上記の通常モードの場合と同様にして、原稿供給部6が給紙トレイ7上の原稿を原稿読取スリット33の上方へと供給すると共に、画像読取部31の光学走査ユニット34が、原稿読取スリット33の上方を通過する原稿の画像を読み取って画像データを生成する(ステップS4)。画像データは、画像処理部61によって所定の画像処理が施されて、ジョブ対象の画像データとして制御装置50の記憶部52に記憶される。なお、このジョブ対象の画像データは、画像読取装置5の記憶部(図示せず)にも一時的に記憶されてもよい。
ここで、マーク検出部57は、ジョブ対象の画像データに基づいて、マークの検出を行う(ステップS2)。例えば、マーク検出部57は、画像データに基づいて、白抜き又は塗りつぶしの○、△、□、×等のマークの有無、並びにこれらのマークの数、位置、形状、色等を検出する(ステップS5)。
例えば、図4(a)に示すように、原稿にマークが付されてなく、マーク検出部57がジョブ対象の画像データからマークを検出できなかった場合(ステップS5:No)、エラー出力部60は、画像データの元の原稿が1枚目であれば(ステップS6:Yes)、エラーを出力する(ステップS7)。そして、画像読取装置5では、画像読取動作を停止する。
一方、マーク検出部57は、画像データからマークを検出できた場合(ステップS5:Yes)、検出したマークの組合せを判定する(ステップS8)。そして、ジョブ設定部58は、検出されたマークの組合せに関連付けられたジョブの実行パターンを検索する(ステップS9)。そして、ジョブ設定部58が、検出されたマークの組合せに関連付けられたジョブの実行パターンを検索できなかった場合(ステップS10:No)、エラー出力部60は、上記と同様にして、画像データの元の原稿が1枚目であれば(ステップS6:Yes)、エラーを出力する(ステップS7)。
一方、ジョブ設定部58が、検出されたマークの組合せに関連付けられたジョブの実行パターンを検索できた場合(ステップS10:Yes)、このジョブの実行パターンが実行対象ジョブとして設定される(ステップS11)。そして、ジョブ実行部55は、記憶部52に記憶されたジョブ対象の画像データに対して、ジョブ設定部58で設定された実行対象ジョブを実行する(ステップS12)。
上記の原稿読取動作は、原稿センサー(図示せず)が給紙トレイ7上の原稿を検知しなくなるまで繰り返される。そして、画像読取装置5で原稿から読み取ったジョブ対象の画像データについて、マーク検出やジョブの実行パターンの検索等の動作も繰り返される。
なお、2枚目以降の原稿について、マーク検出部57によって画像データからマークが検出されると共に(ステップS5:Yes)、ジョブ設定部58によってマークの組合せに関連付けられたジョブの実行パターンが検索された場合(ステップS10:Yes)、既に設定されている実行対象ジョブは、新たに検索されたジョブの実行パターンに再設定され(ステップS11)、ジョブ実行部55は、ジョブ対象の画像データに対して、再設定された実行対象ジョブを実行する(ステップS12)。
他方、2枚目以降の原稿について、マーク検出部57によって画像データからマークが検出できなかった場合(ステップS5:No)や、ジョブ設定部58によってマークの組合せに関連付けられたジョブの実行パターンが検索されなかった場合(ステップS10:No)には、エラー出力部60によるエラー出力を行わずに、ジョブ設定部58は、既に設定されている実行対象ジョブを維持し、ジョブ実行部55は、ジョブ対象の画像データに対して、既に設定されている実行対象ジョブを実行する(ステップS12)。
なお、原稿センサー(図示せず)が給紙トレイ7上の原稿を検知しない場合には(ステップS3:No)、上記したような動作は終了する。
次に、本実施形態の複合機1で用いられるジョブの実行パターンとマークの組合せとの対応関係について説明する。
複合機1では、○、△、□及び×等の外形形状や、白抜き及び塗りつぶし等の配色が異なる様々なマークを採用していて、即ち、複数のマークのそれぞれは、外形形状及び配色の違いに基づいて識別される。これに加えて、複合機1では、複数のジョブのそれぞれに対して、異なるマークを対応付ける。
例えば、スキャンジョブに対して図4(b)に示すような白抜きの円形状のマークを対応付け、コピージョブに対して図4(c)に示すような塗りつぶしの三角形状のマークを対応付け、ファクシミリジョブに対して図4(d)及び図4(e)に示すような塗りつぶしの四角形状のマークを対応付ける。
また、複合機1では、マークの数や位置が異なる様々な配置パターンを採用していて、即ち、マークの複数の配置パターンのそれぞれは、マークの数や位置の違いに基づいて識別される。これに加えて、複合機1では、各ジョブの各実行パターンに対して、マークの異なる配置パターンを対応付ける。なお、マークの所定の配置パターンは、複数のジョブに共通する実行パターンに対応付けられてもよく、ジョブ毎に異なる実行パターンに対応付けられてもよい。
例えば、各ジョブに共通する実行パターンとして、片面読取に対して図4(c)及び図4(d)に示すような2つのマークからなる配置パターンを対応付け、両面読取に対して図4(b)及び図4(e)に示すような3つのマークからなる配置パターンを対応付ける。
また、ファクシミリジョブやスキャンジョブの実行パターンとして、初期設定で決められた第1宛先、ユーザーによって予め設定された第2宛先、ジョブ開始後に追加で入力される第3宛先、原稿に付された第4宛先等の様々な宛先設定毎に異なる配置パターンを対応付ける。例えば、ファクシミリジョブの場合、第3宛先の実行パターンに対しては、図4(d)に示すように、特定の配置パターンは対応付けられないが、第4宛先の実行パターンに対しては、図4(e)に示すように、原稿に付されるマークの近傍(下方)に第4宛先(例えば、送り先のFAX番号、名前、メールアドレス等)を付した配置パターンが対応付けられる。
上記のような第1宛先として、例えば、スキャンジョブについて、記憶部52内の共有フォルダ等が初期設定で予め定められる。第2宛先として、例えば、スキャンジョブについて、記憶部52内の初期設定以外のフォルダや外部のコンピューター63内のフォルダ等がユーザーによって予め定められる。また、第1宛先や第2宛先としては、複合機1にログインしたユーザーに固有のフォルダが予め定められてもよい。第1宛先や第2宛先の実行パターンでは、上記のように予め定められた宛先に対してジョブが実行される。
第3宛先の実行パターンでは、例えば、ファクシミリジョブやスキャンジョブについて、記憶部52に記憶された宛先リストを選択可能に表示した宛先選択画面や、テンキー等の操作キーによる宛先の入力を受け付ける宛先入力画面を、ジョブ開始後に操作表示部53のディスプレイに表示する。そして、宛先選択画面で選択された宛先(第3宛先)や、宛先入力画面に入力された宛先(第3宛先)に対してジョブが実行される。
第4宛先の実行パターンでは、マーク検出部57が、原稿の画像データからマークを検出すると共に、このマークの近傍に付された宛先を検出すると、この検出した宛先(第4宛先)に対してジョブが実行される。
次に、複数の原稿に付されたマークの各組合せが、異なるジョブの実行パターンに関連付けられている場合の動作例について説明する。
例えば、10枚の原稿のうち、1枚目の原稿にコピージョブに対応付けられた三角形状マークが付され、5枚目の原稿にスキャンジョブに対応付けられた円形状マークが付され、9枚目の原稿にファクシミリジョブに対応付けられた四角形状マークが付される。なお、この動作例では、マークの配置パターンや、ジョブの実行パターンについては特定しないため、マークの組合せや実行パターンの記載は省略し、マークとジョブとが関連付けられているものとして説明する。また、各原稿の画像読取動作の説明も省略する。
これら10枚の原稿を原稿搬送部6の給紙トレイ7上に載置して、操作表示部53のワンタッチボタン62を操作すると、画像読取装置5が上記のような画像読取動作を開始して、先ず、1枚目の原稿から画像データを読み取る。このとき、マーク検出部57は、1枚目の画像データからコピージョブに対応付けられた三角形状マークを検出し、ジョブ設定部58は、三角形状マークに関連付けられたコピージョブを実行対象ジョブとして設定する。そして、ジョブ実行部55は、1枚目の画像データに対して、設定された実行対象ジョブとしてのコピージョブを実行する。
次に、画像読取装置5が、2枚目の原稿から画像データを読み取る。この2枚目の原稿にはマークが付されていないので、マーク検出部57は、2枚目の画像データからマークを検出することができず、ジョブ設定部58は、既に実行対象ジョブとして設定されているコピージョブを維持する。そして、ジョブ実行部55は、2枚目の画像データに対して、既に設定されている実行対象ジョブとしてのコピージョブを実行する。また、3〜4枚目の原稿についても、マークが付されていないので、2枚目の原稿の場合と同様の動作が行われ、ジョブ実行部55は、3〜4枚目の画像データに対して、既に設定されている実行対象ジョブとしてのコピージョブを実行する。
次に、画像読取装置5が、5枚目の原稿から画像データを読み取る。このとき、マーク検出部57は、5枚目の画像データからスキャンジョブに対応付けられた円形状マークを検出し、ジョブ設定部58は、円形状マークに関連付けられたスキャンジョブを実行対象ジョブとして再設定する。そして、ジョブ実行部55は、5枚目の画像データに対して、再設定された実行対象ジョブとしてのスキャンジョブを実行する。なお、マーク検出モードが設定されている場合のスキャンジョブでは、画像読取装置5によって画像データが読み取られた原稿毎に、画像ファイルを生成してもよいが、スキャンジョブが維持されている間に、画像読取装置5によって画像データが読み取られた全ての原稿について、一括して(全ての画像データを含むように)画像ファイルを生成してもよい。このスキャンジョブの維持は、画像読取装置5で読み取る原稿がなくなるまで(原稿センサー(図示せず)が給紙トレイ7上の原稿を検知しなくなるまで)、あるいは、マーク検出部57が新たに原稿からマークを検出するまで継続する。
次に、画像読取装置5が、6枚目の原稿から画像データを読み取る。この6枚目の原稿にはマークが付されていないので、マーク検出部57は、6枚目の画像データからマークを検出することができず、ジョブ設定部58は、既に実行対象ジョブとして設定されているスキャンジョブを維持する。そして、ジョブ実行部55は、6枚目の画像データに対して、既に設定されている実行対象ジョブとしてのスキャンジョブを実行する。また、7〜8枚目の原稿についても、マークが付されていないので、6枚目の原稿の場合と同様の動作が行われ、ジョブ実行部55は、7〜8枚目の画像データに対して、既に設定されている実行対象ジョブとしてのスキャンジョブを実行する。
次に、画像読取装置5が、9枚目の原稿から画像データを読み取る。このとき、マーク検出部57は、9枚目の画像データからファクシミリジョブに対応付けられた四角形状マークを検出し、ジョブ設定部58は、四角形状マークに関連付けられたファクシミリジョブを実行対象ジョブとして再設定する。そして、ジョブ実行部55は、9枚目の画像データに対して、再設定された実行対象ジョブとしてのファクシミリジョブを実行する。なお、マーク検出モードが設定されている場合のファクシミリジョブでは、画像読取装置5によって画像データが読み取られた原稿毎に、画像データを送信してもよいが、ファクシミリジョブが維持されている間に、画像読取装置5によって画像データが読み取られた全ての原稿について、一括して(全ての画像データを連番にして)画像データを送信してもよい。このファクシミリジョブの維持は、画像読取装置5で読み取る原稿がなくなるまで(原稿センサー(図示せず)が給紙トレイ7上の原稿を検知しなくなるまで)、あるいは、マーク検出部57が新たに原稿からマークを検出するまで継続する。
次に、画像読取装置5が、10枚目の原稿から画像データを読み取る。この10枚目の原稿にはマークが付されていないので、マーク検出部57は、10枚目の画像データからマークを検出することができず、ジョブ設定部58は、既に実行対象ジョブとして設定されているファクシミリジョブを維持する。そして、ジョブ実行部55は、10枚目の画像データに対して、既に設定されている実行対象ジョブとしてのファクシミリジョブを実行する。
本実施形態によれば、上述のように、複合機1の画像読取装置5は、原稿の画像を読み取る画像読取部31と、原稿に付されるマークの複数の組合せを予め記憶していて、画像読取部31で読み取った画像から、原稿に付されたマークを検出すると共に、検出したマークが何れの組合せに相当するかを判定するマーク検出部57と、少なくとも1つのジョブの実行パターンを予め記憶すると共に、マークの組合せと各実行パターンとを関連付けて予め記憶していて、マーク検出部57で検出されたマークの組合せに関連付けられた実行パターンを検索し、検索された実行パターンを実行対象ジョブとして設定するジョブ設定部58と、を備える。
例えば、ジョブ設定部58は、コピージョブ、ファクシミリジョブ及びスキャンジョブのそれぞれについて実行パターンを予め記憶する。
これにより、原稿に所定のマークを付けて画像読取装置5に読み込ませるだけで、マークに対応した実行パターンのコピージョブ、スキャンジョブ、ファクシミリジョブ等を実行対象ジョブとして設定するため、所望の実行パターンのジョブによる出力を自動的に行うことができる。ユーザーは、画像読取装置5や複合機1に対して設定操作を行う必要がなく、原稿にマークを付けて読み込ませるだけで、所望の出力を得ることができる。また、マークの数、位置、形状、色等を様々に組み合わせることにより、様々なジョブの実行パターンを設定することができるため、簡易な手法で所望のジョブの出力を得ることができ、ユーザーの負担を軽減すると共に、作業効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、ジョブ設定部58は、ファクシミリジョブ又はスキャンジョブを、初期設定で決められた第1宛先に対して実行する実行パターンと、ユーザーによって予め設定された第2宛先に対して実行する実行パターンと、ジョブ開始後に追加で入力される第3宛先に対して実行する実行パターンと、原稿に付された第4宛先に対して実行する実行パターンと、を予め記憶する。また、マーク検出部57は、原稿の画像からマークを検出したときに、ファクシミリジョブ又はスキャンジョブについての宛先がマークの近傍に付されているかを判定すると共に、当該宛先を第4宛先として検出する。
これにより、ユーザーは、ファクシミリジョブやスキャンジョブの宛先設定操作を行う必要がなく、原稿にマークを付けて読み込ませるだけで、所望の宛先に対してファクシミリジョブやスキャンジョブを行うことができる。従って、ユーザーの負担を軽減すると共に、作業効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、画像読取装置5は、画像読取部31が1枚目の原稿から画像を読み取った場合に、マーク検出部57によってマークが検出されなかったとき、又はジョブ設定部58によってマークの組合せに関連付けられた実行パターンが検索されなかったときに、エラーを出力するエラー出力部60を更に備える。
これにより、ユーザーは、原稿の載置の誤りをエラーによって気付くことができ、また、意図しないジョブが実行されることを防止することができる。
また、本実施形態によれば、ジョブ設定部58は、画像読取部31が2枚目以降の原稿から画像を読み取った場合に、マーク検出部57によってマークが検出されなかったとき、又はジョブ設定部58によってマークの組合せに関連付けられた実行パターンが検索されなかったときには、既に設定されている実行対象ジョブを維持する一方、マーク検出部57によってマークが検出されると共に、ジョブ設定部58によってマークの組合せに関連付けられた実行パターンが新たに検索されたときには、実行対象ジョブを新たに検索された実行パターンで再設定する。
これにより、先行する原稿にマークの組合せを付するだけで、このマークの組合せに関連付けられたジョブの実行パターンは、後続する原稿にも適用され、簡易な手法で複数の原稿に対して同じ実行パターンのジョブを実行することができる。このとき、マークの組合せを付す原稿は、先頭でもよく、途中でもよい。また、異なる実行パターンのジョブを実行させる場合でも、新たにマークが検出されて新たな実行パターンが検索されれば、実行対象ジョブが再設定されるので、異なる実行パターンや異なるジョブが混在する複数の原稿を一纏めにして画像読取動作を実行させることが可能となる。例えば、複数の原稿を幾つかのグループに分けて、グループ毎に異なる機能の処理を行う場合、各グループで先行する原稿に対して各実行パターンに対応したマークの組合せを付すことにより、複数の原稿において異なる実行パターンや異なるジョブが混在する場合でも複数の原稿を一括して処理することができる。従って、ユーザーの負担を軽減すると共に、作業効率を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、画像読取装置5が適用される複合機1は、ジョブについての動作モードを、通常モードと、原稿に付されるマークに基づくマーク検出モードとの何れかに切り換えて設定するモード切換部54と、ワンタッチボタン62を備える操作表示部53と、を更に備える。モード切換部54は、ワンタッチボタン62が操作されたときに、動作モードをマーク検出モードに切り換える。画像読取部31は、ワンタッチボタン62が操作されたときに、原稿の読取を開始する。
これにより、複合機1のワンタッチボタン62だけを用いる簡易な操作という簡易な手法で、上記したようなマーク検出やジョブの実行パターンの検索等の動作を実行させることができる。従って、ユーザーの負担を軽減すると共に、作業効率を向上させることができる。
なお、上記した実施形態では、マーク検出部57が画像データからマークを検出できなかった場合、1枚目の原稿についてはエラー出力部60がエラーを出力し、2枚目以降の原稿については既に設定されている実行対象ジョブを採用する構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、マーク検出部57が画像データからマークを検出できなかった場合に、ジョブ設定部58は、予め定めた所定の実行対象ジョブを設定するように構成してもよい。この予め定めた所定の実行対象ジョブは、例えば、ユーザーによって予め定められる実行パターンのジョブでよく、あるいは、頻繁に実行されるジョブが設定されてもよい。
また、他の実施形態によれば、ジョブ設定部58は、ジョブの実行パターンに加えて、ジョブ以外の命令についてマークの組合せと関連付けて記憶していてもよい。ジョブ以外の命令としては、例えば、既に設定されている実行対象ジョブを解除する解除命令や、ジョブ実行後に複合機1や画像読取装置5をスリープモードに移行させるスリープ命令、及びその他の様々な命令がある。
本実施形態では、マークの例として、白抜き又は塗りつぶしの○、△、□、×を列挙したが、他の実施形態では、その他の様々な形状のマークを用いることができる。更に、他の実施形態では、本実施形態で例示したパターンのマークの組合せ以外にも、様々なパターンの組合せが可能である。なお、マークは、原稿に直接記入されてもよく、あるいは簡単に剥がせるシールによって原稿に付されてもよい。また、予めマークの組合せが記入されたコマンド設定用のシートを、複合機1又は画像読取装置5に複数パターン備えておいて、ユーザーがこのシートを適宜利用するようにしてもよい。
本実施形態では、マーク検出部57及びジョブ設定部58を画像読取装置5に備える構成を説明したが、この構成に限定されない。例えば、他の実施形態では、マーク検出部57及びジョブ設定部58は、複合機1の制御装置50に備えられてもよい。この場合、制御装置50の記憶部52が、マークの組合せを予め記憶すると共に、マークの組合せと所定のコマンドとを関連付けて予め記憶するとよい。
なお、ジョブ設定部58が設定可能なジョブは、コピージョブ、ファクシミリジョブ、スキャンジョブに限定されず、他のジョブを含んでよい。また、ジョブ設定部58が設定可能な実行パターンは、片面読取/両面読取の設定や、宛先の設定に限定されず、例えば、倍率、濃度、カラー/モノクロ、片面印刷/両面印刷等のジョブの各種設定を含んでよい。
また、他の実施形態では、マーク検出部57は、画像読取部31で読み取った画像データのうち、原稿の余白部分に対応する位置のみからマークを検出してもよい。これにより、コピーやスキャン等の対象とならない画像の範囲にマークが付されるため、マークが残らない画像に基づいてコピーやスキャン等のジョブを実行することが可能となる。
本実施形態では、複合機1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、スキャナー、複写機、ファクシミリ等の様々な画像読取装置に本発明の構成を適用してもよい。