JP4836665B2 - 複合粉体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は複合粉体、特に高い紫外線防御性と良好な仕上り感とを有する複合粉体及びその製造方法に関する。
酸化チタンや酸化亜鉛などからなる無機微粒子紫外線防御剤は、有機紫外線吸収剤に比べて安定性、安全性において優れることから、紫外線防御効果が要求される各種用途、例えば、医薬用皮膚外用剤、塗料、インキ、コーティング剤、プラスチック、フィルム、繊維、あるいは化粧料などの分野において広く使用されている。
しかしながら、これらの微粒子粉体は凝集しやすく、配合してもその紫外線防御能が十分発揮されないという問題があった。また、微粒子粉体であるために滑り性が悪く、塗料、インキ、コーティング剤等に使用した際に流麗な仕上り感を発現し難い問題が生じたり、あるいは化粧料に配合した場合には満足な使用感を得られないといった欠点があった。
特許文献1には、微粒子酸化チタンなどを紫外線散乱剤として薄片状粉体であるセリサイトに吸着させた複合粉体が記載されている。この複合粉体は、両者を乾式で混合粉砕することにより吸着させて得られるが、その紫外線防御能は十分満足できるものではなかった。
特許文献2には、薄片状基質表面に無機化合物微粒子が担持され、動摩擦係数が1.0以下である薄片状微粉末が記載されている。この複合粉体は、微粒子と薄片状基質とを分散媒中で混合後、この分散液を濾過、洗浄、乾燥することにより得られるが、分散液媒を特定の誘電率とイオン濃度とする必要があるなど煩雑で、また分散媒として有機溶剤を使用するので、経済面や環境面での問題があった。また、その紫外線防御能においても十分とは言えなかった。
特許文献3には、母体となる無機顔料粉体に微粒子粉体を有機高分子化合物を媒体として包含被覆させた化粧料用複合顔料が記載されている。
しかしながら、このような複合顔料では微粒子粉体を有機高分子により母体顔料表面に固着しているため、滑り性や伸展性に劣ることがあった。また、有機高分子を溶解するために有機溶媒を使用する必要があった。
特開平6−9337号公報 特開平9−132514号公報 特開2000−72622号公報
本発明は前記背景技術に鑑みなされたものであり、その目的は、紫外線防御能と仕上り感に優れ、簡便に製造可能な複合粉体を提供することにある。
前記目的を達成するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、合成マイカ粉体と疎水化処理された無機微粒子紫外線防御剤とを乾式で攪拌混合することにより、優れた紫外線防御能と仕上り感とを有する複合粉体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる複合粉体は、
合成マイカ粉体表面に疎水化処理された無機微粒子紫外線防御剤が吸着してその表面を被覆しており、複合粉体の動摩擦係数が0.8未満であることを特徴とする。
本発明の複合粉体において、疎水化処理がシリコーン処理あるいは脂肪酸処理であることが好適である
本発明にかかる複合粉体の製造方法は、合成マイカ粉体と、疎水化処理された無機微粒子紫外線防御剤とを、ヘンシェルミキサーを用いて周速度20〜90m/secで乾式で攪拌混合することを特徴とする。
本発明の方法において、疎水化処理がシリコーン処理あるいは脂肪酸処理であることが好適である。
本発明によれば、合成マイカ粉体と疎水化処理された無機微粒子紫外線防御剤とを乾式で攪拌混合することにより、優れた紫外線防御能と仕上り感とを有する複合粉体を簡便に得ることができる。
本発明の複合粉体は、合成マイカ粉体と、疎水化処理された無機微粒子紫外線防御剤とを、液分散媒を使用することなく乾式で攪拌混合することにより得られ、微粒子紫外線防御剤が凝集することなく該合成マイカ表面に均一に付着し、その表面を被覆しているものである。このような複合粉体では、微粒子紫外線防御剤の持つ機能が十分に発揮されて、高い紫外線防御効果が得られる。
本発明の複合粉体においては、微粒子紫外線防御剤は合成マイカ表面に析出(沈着)、焼結、あるいは媒体などにより固着しておらず、両者の間の相互作用により吸着している。このため、微粒子紫外線防御剤が摩擦等により合成マイカ表面を移動し、滑りや伸びに優れ、流麗な仕上り感を発揮する。
従って、本発明の複合粉体は化粧料に好適に使用でき、特にフェイスパウダー、プレストパウダー、パウダリーファンデーション、頬紅、ブラッシャー、アイシャドーなどの粉末化粧料においてはこのような特性が最大限に発揮される。
また、本発明の複合粉体を配合することにより、合成マイカと微粒子紫外線防御剤とを別々に配合して得られた化粧料よりも、紫外線防御能の高い化粧料を得ることができる。
また、滑りや伸びに優れているために、塗料やインキ、プラスチックフィルムなどに使用した場合には、凝集物等を生じることなく滑らかな仕上りとすることができる。
前記のように、本発明においては、複合化に液媒体を必要とせず、乾式で簡便に複合粉体を製造することができる。
合成マイカと疎水化処理微粒子紫外線防御剤との混合による複合化は、例えば、ヘンシェルミキサーなどの高速攪拌可能な混合機を用いて行うことが好ましい。なお、低速混合では微粒子を均一且つ効率的に付着・被覆することが困難な場合がある。また、著しく高速で混合しても均一な付着が困難となる傾向があり、また、基板となる合成マイカを破壊してしまう場合があるので注意する。ヘンシェルミキサーを用いる場合には、周速20〜90m/sec、さらには30〜80m/secで攪拌混合することが好適である。
複合粉体における合成マイカ粉体と疎水化処理微粒子紫外線防御剤との比率は、紫外線防御剤が少なすぎると紫外線防御能や仕上り感が十分でなく、多すぎると紫外線防御剤が凝集しやすくなる。よって、複合粉体中の疎水化処理微粒子紫外線防御剤は1〜80質量%、さらには10〜70質量%であることが好ましい。
また、仕上り感の点から、複合粉体の動摩擦係数は0.8未満、さらには0.75以下であることが好適である。
また、本発明において2種以上の疎水化処理微粒子紫外線防御剤を用いる場合には、別々に複合化するよりも一度に複合化する方が効果の点から好ましい。
本発明において用いる合成マイカ粉体としては公知のものを用いることができ、溶融法、水熱法、固体間反応法など何れの製法で得られたものでも使用できる。通常、良質の結晶の合成マイカ粉体は、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、フッ素等を含有する化合物を一定の割合で混合し、これを溶融、晶出、冷却後、機械的粉砕を行うことにより得られる。
合成マイカは下記一般式で示すことができる。
1/3〜12〜3(Z10)F
(式中XはNa、K、Li、Ca2+、Rb2+、Sr2+からなる群より選ばれる1種以上のイオンを表わし、YはMg2+、Fe2+、Ni2+、Mn2+、Al3+、Fe3+、Li、からなる群より選ばれる1種以上のイオンを表し、ZはAl3+、Si4+、Ge4+、Fe3+、B3+からなる群より選ばれる1種以上のイオンを表す。)
このようなものとして例えば、次のようなものが挙げられる。
KMg(AlSi10)F カリウム金雲母
KMg2 1/2(Si10)F カリ四ケイ素雲母
KMgLi(Si10)F カリウムテニオライト
NaMg(AlSi10)F ナトリウム金雲母
NaMgLi(Si10)F ナトリウムテニオライト
NaMg2 1/2(Si10)F ナトリウム四ケイ素雲母
Na1/3Mg2 2/3Li1/3(Si10)F ナトリウムヘクトライト
合成マイカ粉体の一般的製造方法は、溶融合成法によって得られる数mm〜数cmの層状結晶体を乾式の粉砕機、例えばジョークラッシャー、ハンマークラッシャーで粗粉砕後、さらに微粉砕機で粉砕したものである。例えば合成フッ素金雲母の場合、無水ケイ酸約40部、酸化マグネシウム約30部、酸化アルミニウム約13部及びケイフッ化カリウム約17部を混合した後1,400〜1,500℃で溶融し、更に1,300〜1,400℃で晶出して合成フッ素金雲母を得る。得られた合成フッ素金雲母の鉱塊を粉砕し、要すれば分級して合成フッ素金雲母粉体を得る。
本発明において用いる合成マイカ粉体の粒径は特に制限されず適宜選択可能であるが、一般的には平均粒子径が5〜50μm、アスペクト比2〜300のものが好適に用いられる。
無機微粒子紫外線防御剤としては、例えば、TiO、ZnO、CeO、BaTiO、CaTiO、SrTiO、SiCなどが挙げられる。TiO、ZnOは特に好適に使用される無機微粒子紫外線防御剤である。TiOはUV−B領域の遮蔽に特に有効であり、ZnOはUV−A領域の遮蔽に特に有効である。
なお、紫外線防御能などを調節するために他の金属元素(例えば、Zn、Al、Mg、Ca、W、P、Ta、Nb、Sb、Moなど)をドープした微粒子紫外線防御剤も使用可能である。
無機微粒子紫外線防御剤の一次粒子径は、紫外線防御能や使用感の点から0.005〜0.3μm、さらには0.01〜0.1μmであることが好適である。無機微粒子紫外線防御剤粒子形状は、球状、針状、板状など特に制限されない。板状や針状などの場合には、その長径を一次粒子径とする。
本発明においては、予め疎水化処理された無機微粒子紫外線防御剤を用いる。疎水化処理としては、例えば、高級脂肪酸、界面活性剤(アニオン性、カチオン性、あるいはノニオン性界面活性剤)、金属石鹸、油脂、ロウ、シリコーン化合物、フッ素化合物、炭化水素、デキストリン脂肪酸エステル等の物質の1種または2種以上による処理が挙げられるが、シリコーン化合物あるいは脂肪酸により疎水化処理された無機微粒子紫外線防御剤が特に好適である。
シリコーン化合物としては、例えば、各種鎖状シリコーン、環状シリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性シリコーン(例えば、カルボキシ変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルなど)等が挙げられる。
脂肪酸としては、例えば、炭素数8〜24の高級脂肪酸が挙げられる。
疎水化剤の処理量は、微粒子粉体1質量部に対して0.001〜0.5質量部が好ましい。
疎水化処理は公知の方法により行うことができる。例えば、疎水化剤と粉体とを混合する乾式法、疎水化剤及び/又は粉体を媒体に溶解及び/又は分散して粉体を処理する湿式法など、通常の表面処理法を用いることができ、必要に応じて攪拌、温度調整、圧力調整、濾過、沈降、洗浄、乾燥などの操作を適宜組み合わせて行うことができるが、市販の疎水化処理無機微粒子紫外線防御剤を利用することもできる。
次に、具体例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合量は特に指定のない限り質量%で示す。なお、以下の試験で用いた測定方法、使用材料は次の通りである。
(付着性)
SEM観察により、次のように評価した。
○:マイカ表面での微粒子の凝集がなく均一に付着・被覆している。
△:マイカ表面での微粒子の凝集がわずかに認められるが、ほぼ均一に付着・被覆している。
×:マイカ表面での微粒子の凝集が認められ、均一に付着・被覆していない。
(紫外線透過率)
粉体試料1gとひまし油4gとを3本ロールで混練し、これを石英ガラス板上にアプリケータで12.5μm厚に塗布して、日立分光光度計U−3210型にて250〜450nmの透過率を測定した。300nm及び360nmの透過率をそれぞれUV−B、UV−A透過率として読み取った。透過率が小さいほど紫外線防御能が高いことを示す。
(動摩擦係数)
ガラスプレートに両面テープを貼り付け、その接着面に粉体試料を塗布し、トリニティーラボ社製動摩擦測定機ハンディートライボマスターTL201にて動摩擦係数を測定した。
(使用材料)
合成マイカ
合成フッ素金雲母(平均粒子径12μm)
微粒子酸化チタン
T1:疎水化処理微粒子TiO(Al(OH)・シリコーン処理)
(石原産業(株)TTO−55(S)、平均粒子径0.04μm)
T2:疎水化処理微粒子TiO(Al(OH)・ステアリン酸処理)
(石原産業(株)TTO−V−4、平均粒子径0.06μm)
T3:親水化処理微粒子TiO(SiO・Al(OH)・アルギン酸処理)
(テイカ(株)MT−100AQ、平均粒子径0.04μm)
微粒子酸化亜鉛
Z1:疎水化処理ZnO(SiO・シリコーン処理)
(昭和電工(株)マックスライトTZS−032−D、平均粒子径0.03μm)
Z2:疎水化処理ZnO(ステアリン酸処理)
(石原産業(株)FZO−50に疎水化処理したもの、平均粒子径0.03μm)
Z3:親水化処理ZnO(SiO処理)
(堺化学工業(株)FINEX−K2、平均粒子径0.02μm)
試験例1 微粒子酸化チタンの表面処理
ヘンシェルミキサーを用いて、合成マイカ40質量部、微粒子酸化チタン60質量部を周速60m/secで高速攪拌混合し、複合粉体を得た。
表1のように、親水化処理された微粒子酸化チタンを複合化した場合(試験例1−3)には、微粒子酸化チタンが合成マイカ表面で凝集して均一に付着・被覆しておらず、マイカ表面の露出が認められた。また、この複合粉体は紫外線防御能に劣るものであった。
これに対して、疎水化処理された微粒子酸化チタンを複合化した場合(試験例1−1、1−2)には、合成マイカ表面における凝集は認められず均一に付着・被覆しており、マイカ表面の露出もなかった。そして、この複合粉体は高い紫外線防御能を示した。
(表1)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験例 微粒子酸化チタン 付着性 紫外線透過率 動摩擦係数
(300nm)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1−1 疎水化処理TiO(T1) ○ 0.777% 0.74
1−2 疎水化処理TiO(T2) ○ 0.829% 0.74
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
1−3 親水化処理TiO(T3) × 3.079% −
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験例2 微粒子酸化亜鉛の表面処理
微粒子酸化チタンの代わりに微粒子酸化亜鉛を用いて、試験例1と同様に複合化処理した。
表2からわかるように、微粒子酸化亜鉛においても微粒子酸化チタンの場合と同様の傾向が認められ、疎水化処理された微粒子酸化亜鉛を複合化した場合(試験例2−1、2−2)に優れた付着性、紫外線防御能、滑り性が得られた。
(表2)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験例 酸化亜鉛 付着性 紫外線透過率 動摩擦係数
(360nm)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2−1 疎水化処理ZnO(Z1) ○ 9.784% 0.72
2−2 疎水化処理ZnO(Z2) ○ 9.776% 0.75
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
2−3 親水化処理ZnO(Z3) × 14.361% −
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験例3 攪拌力
ヘンシェルミキサーの周速を変えた以外は試験例1と同様にして検討を行った。
表3に合成マイカ:疎水化処理微粒子酸化チタン(T1)=40:60(質量比)、表4に合成マイカ:親水化処理微粒子酸化チタン(T3)=40:60の結果をそれぞれ示す。
表3のように、攪拌速度が小さすぎても大きすぎても疎水化処理微粒子酸化チタンが均一に付着せず、複合粉体の紫外線防御能が不十分となった。周速約20〜90m/secで攪拌混合した場合には付着性がよく、紫外線防御能が高い複合粉体を得ることができ、好ましくは30〜80m/secであった。
なお、表4のように、親水化処理微粒子酸化チタンでは、周速を変えても付着性、紫外線防御能は改善されなかった。
また、これらの傾向は、微粒子酸化亜鉛を用いた場合も同様であった。
(表3)
疎水化処理TiO(T1)−合成マイカ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験例 周速 付着性 紫外線透過率 動摩擦係数
(m/sec) (300nm)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
3−1 10 × 2.699% 0.75
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
3−2 30 ○ 0.987% 0.74
3−3 40 ○ 0.768% 0.73
3−4 60 ○ 0.777% 0.74
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
3−5 100 △ 0.974% 0.74
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
(表4)
親水化処理TiO(T3)−合成マイカ
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験例 周速 付着性 紫外線透過率
(m/sec) (300nm)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
3−6 30 × 2.911%
3−7 40 × 3.228%
3−8 60 × 3.079%
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験例4 付着状態
合成マイカ40質量部、疎水化処理微粒子酸化チタン(T2)45質量部、及び疎水化処理微粒子酸化亜鉛(Z1)15質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて周速60m/secで高速攪拌混合し、複合粉体を得た(試験例4−1)。
比較例として、合成マイカ40質量部、疎水化処理微粒子酸化チタン(T2)45質量部、及び疎水化処理微粒子酸化亜鉛(Z1)15質量部、及びシリコーン化合物(メチルハイドロジェンポリシロキサン)4質量部を、ヘンシェルミキサーを用いて周速60m/secで高速攪拌混合し、複合粉体を得た(試験例4−2)。
試験例4−2の複合粉体は、試験例4−1の複合粉体に比べて動摩擦係数が高く、滑りや伸びなどの使用感に劣っていた。これは、試験例4−2の複合粉体では有機高分子化合物(シリコーン化合物)によって微粒子が合成マイカ上に包含固着されているためであると考えられる。また、試験例4−2の複合粉体は、紫外線防御能にも劣る傾向があり、これは有機高分子化合物の使用によって微粒子の均一な付着が阻害されやすくなるためであると考えられる。
(表5)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験例 紫外線透過率 動摩擦係数
300nm 360nm
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
4−1 1.005% 12.480% 0.73
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
4−2 1.204% 13.224% 0.81
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験例5 化粧料への配合
被験粉体として上記試験例で調製した複合粉体を用い、下記組成でフェイスパウダーを調製した。
試験例5−1では、複合粉体として、ステアリン酸処理TiO(T2)複合化合成マイカ(試験例1−2)とシリコーン処理ZnO(Z1)複合化合成マイカ(試験例2−1)を質量比2:1で用いた。
試験例5−2では、複合粉体として、合成マイカと、ステアリン酸処理TiO(T2)と、シリコーン処理ZnO(Z1)とを質量比2:2:1で同時に複合化したものを用いた。
試験例5−1及び5−2で用いた複合粉体の合成マイカ:T2:Z1の比率は約2:2:1である。よって、比較例として、複合粉体の代わりに合成マイカ:T2:Z1=2:2:1の割合で合成マイカと各微粒子とを複合化せずにそのまま使用し、同様にフェイスパウダーを調製した(試験例5−3)。
(組成)
粉体部A:
シリコーン処理タルク 49.0
PMMA粉末 14.0
シリコーン処理シリカ 3.5
硫酸バリウム 3.3
エチルパラベン 0.2
被験粉体(表参照) 20.0
オイル部B:
スクワラン 6.5
ジメチルポリシロキサン(6cs) 3.0
セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
合計 100 質量%
表6からわかるように、試験例5−1〜5−3の合成マイカ:疎水化処理TiO:疎水化処理ZnOの組成はほとんど同じであるにもかかわらず、その効果には顕著な差異が認められ、予め複合化した複合粉体を使用した場合(試験例5−1、5−2)には、複合化せずに各粉体を使用した場合(試験例5−3)に比べて、紫外線防御効果の高い化粧料が得られた。
また、2種以上の微粒子を配合する場合において、それぞれの微粒子紫外線防御剤を別々に複合化した複合粉体を配合した場合(試験例5−1)よりも、それらを一度に複合化した複合粉体を配合した場合(試験例5−2)の方が、より高い効果を得ることができた。
(表6)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
試験例 被験粉体* 紫外線透過率(%)
300nm 360nm
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
5−1 複合粉体 5.014 36.109
(T2複合マイカ+Z1複合マイカ)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
5−2 複合粉体 3.451 30.214
(T2・Z1複合マイカ)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
5−3 非複合化粉体 7.610 42.951
(マイカ+T2+Z1)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
*被験粉体中の合成マイカ:T2:Z1の質量比は何れも約2:2:1
試験例6 プラスチックシートへの配合
上記試験例5−2、5−3で使用した被験粉体4質量部を、塩化ビニル樹脂約100質量部、ジオクチルフタレート40質量部およびステアリン酸亜鉛3質量部と混合して150℃に加熱した混練り2本ロールで3分間処理し、厚さ0.5mmのシートに成型した。
その結果、5−2の被験粉体を配合したものは分散が良く流麗なシートが形成されたが、5−3の被験粉体を配合したものは、シート内部および表面に凝集物が認められ、ざらついたシートになった。
試験例7 インキへの配合
上記試験例5−2,5−3で使用した被験粉体15質量部をグラビアインキメジウム100質量部に加え、十分混合してグラビアインキを調合した。
その結果、試験例5−2の被験粉体を配合したインキを用いて印刷した印刷紙は滑らかな表面を示したが、試験例5−3の被験粉体を配合したインキを用いて印刷した印刷紙は、印刷物表面に凝集物が認められ、ざらついた印刷紙になった。

Claims (4)

  1. 合成マイカ粉体表面に疎水化処理された無機微粒子紫外線防御剤が吸着してその表面を被覆しており、複合粉体の動摩擦係数が0.8未満であることを特徴とする複合粉体。
  2. 請求項1記載の複合粉体において、疎水化処理がシリコーン処理あるいは脂肪酸処理であることを特徴とする複合粉体。
  3. 合成マイカ粉体と、疎水化処理された無機微粒子紫外線防御剤とを、ヘンシェルミキサーを用いて周速度20〜90m/secで乾式で攪拌混合することを特徴とする複合粉体の製造方法。
  4. 請求項記載の方法において、疎水化処理がシリコーン処理あるいは脂肪酸処理であることを特徴とする複合粉体の製造方法。
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