JP2003095639A - 撥水性層状ケイ酸塩粉体、その製法及び該粉体を含有する化粧料 - Google Patents

撥水性層状ケイ酸塩粉体、その製法及び該粉体を含有する化粧料

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JP2003095639A
JP2003095639A JP2001295215A JP2001295215A JP2003095639A JP 2003095639 A JP2003095639 A JP 2003095639A JP 2001295215 A JP2001295215 A JP 2001295215A JP 2001295215 A JP2001295215 A JP 2001295215A JP 2003095639 A JP2003095639 A JP 2003095639A
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Takahiro Suzuki
高広 鈴木
Akitsugu Ando
彰嗣 安藤
Tomohito Ishikawa
智仁 石川
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Topy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】皮膚への付着性に優れ、透明感のある光沢によ
り肌のきめ細やかさを演出する機能をもつと同時に、汗
や雨、湿気などによる化粧崩れを長時間防ぐ効果をも
つ、従来の化粧料用粉体にはみられない優れた撥水性薄
片化粉体を提供する。 【解決手段】アスペクト比(A)が40以上で、アスペ
クト比(A)と厚み(h)との比率(A/h)が120
[μm-1]以上の薄片化層状ケイ酸塩粉体の水との混合体
に疎水性基をもつ表面処理剤を添加混合することによっ
て、前記層状ケイ酸塩粉体の表面に表面処理剤を化学結
合することにより、粉体形状を破損することなく撥水化
処理することができるので、薄片状粉体の透明性、付着
性及び平滑性等の機能を損なうことなく優れた撥水性を
付与した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微粉末を除去した薄片
状層状ケイ酸塩粉体の特徴を損なうことなく撥水機能を
付与した撥水性層状ケイ酸塩粉体、その製法及び該粉体
を含有する化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】撥水性粉体を含有する化粧料としては、
ファンデーション、白粉、ほほ紅、アイシャドー、アイ
ブロー等のメイクアップ化粧品、ボディーパウダー、ベ
ビーパウダー等のボディ化粧品などが市販されている。
【0003】従来、メイクアップ化粧品においては、肌
の質感を変化させるために光拡散反射の強い粉体を配合
してマット感のある仕上りを目指したり、薄片状の雲母
や板状パール顔料を配合して艶のある仕上りを目指して
いる。また、血行不良や加齢による肌のくすみ(肌色の
明度や彩度が低下し、色相が赤色から黄色の方向に変化
する肌色の状態を「くすみ」という。)をカバーするた
めに、酸化チタン、酸化鉄等の隠蔽力の高い顔料を配合
したり、高彩度の有機顔料やレーキ顔料を配合して赤味
を加えて肌色の色相を変化させることが行なわれてき
た。
【0004】ここで、隠蔽力の高い顔料を用いた場合に
は、肌に厚ぼったく付着し肌の皺、たるみ等の形態トラ
ブルを目立たせると共に透明感が無く、不自然な仕上り
になる問題があった。
【0005】すなわち、従来のファンデーションでは、
シミ、ソバカス等の肌の色むらに対応するために、カバ
ー力、即ち屈折率の高い顔料(酸化チタン、赤色酸化
鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄等。)を配合することによ
り隠蔽力を高め、肌の色むらを隠し、その修正を行って
きた。しかしながら、これ等の高隠蔽性の顔料は色むら
を隠すためには有用であるが、肌に厚く付着し易く、そ
の結果厚化粧になり、逆に皺や毛穴を目立たせるという
欠点を有している。そればかりか、赤色酸化鉄や他の酸
化鉄等の無機顔料は、本来明度や彩度が低く、水分や皮
脂に濡れたとき明度や彩度が更に低下し、化粧膜のくす
み現象が進行し、化粧効果を損なう欠点がある。
【0006】一方、肌に艶を付与するため、化粧料中に
雲母やパール顔料の必要量を配合して、肌の凹凸部分や
毛穴の部分に光沢性粉体(雲母)やパール顔料を塗布し
た場合、肌上の凹凸部分や毛穴の陰影部分と前記光沢性
粉体やパール顔料との間に陰影部分が生じるため、かえ
って毛穴や皺が目立ち本来のメイクアップ効果を損なう
結果になる問題があった。
【0007】毛穴や小皺等の肌の凹凸むらの防止につい
ては、素材及び化粧品メーカーから、粉体表面に微粒子
を付着させたり、粉体表面をポリマーや酸化物等で被覆
処理した様々な種類の粉体が提案されている。これらの
多くは、粉体に対して粉体表面での光の乱反射性を増や
すことで凹凸むらを見え難くする方法が採られてきてい
る。このような方法によれば、肌上に不透明で人工的な
化粧膜を形成するために、色むらや凹凸むらを見え難く
し、質感の変化としてのマット感は得られるものの、白
浮きし、肌との一体感に欠け、肌本来の持つ透明感、素
肌感が失われてしまいがちになる問題があった。
【0008】一方、肌の見た目の美しさには肌のきめ細
やかさが大きく影響する。肌のきめが細やかな場合に
は、肌面で光は均一に反射し、肌に透明感が増す。そし
て肌表面がなめらかでふっくらとやわらかな印象を与え
ることで、皺やくすみの印象を和らげる効果があること
がわかってきた。このような、肌のきめ細やかさを演出
する化粧料としては、光の散乱効果による隠蔽作用を利
用する従来の化粧料とは対照的に、肌面への付着性に優
れた透明感のある薄片状の粉体が適している。すなわ
ち、肌面に密着し、粉体表面の乱反射を抑えることで、
肌本来の持つ透明感、素肌感を損なうことなく、肌を明
るく表現することにより全体としてなめらかでふっくら
とやわらかな印象を与える作用をもつからである。
【0009】これらの化粧用の粉体を含有する化粧料に
おいては、肌上での伸びの良さ、平滑感等の使用感触の
良さ、肌面への付着性、肌面の明るさを感じさせる透明
感のある光沢などの化粧性能が要求されている。
【0010】このような課題に対し、近年、肌に透明感
のある明るさを与えるために高アスペクト比をもち、透
明感に優れ、艶があり、伸展性がある化粧用粉体が提案
されている(特願2000−109457)。
【0011】さらに、化粧用粉体の肌面への付着性や、
使用時の平滑感に対する粉体の物性の影響が明らかとな
り、粉体の形状と粒度を揃え、微粉末を除去した層状ケ
イ酸塩粉体が、肌のきめ細やかさを演出する化粧用粉体
として提案されている(特願2001−27749
4)。
【0012】一方、化粧用粉体の汗や皮脂による化粧崩
れを防ぐために、パーフルオロアルキル基や各種撥水性
基を有するシランカップリング剤で表面処理する方法が
多数提案されている(たとえば、特開平10−1778
5、特開平11−139925、特開平5−28537
3、特開平8−169808)。
【0013】これらの表面処理法は、いずれも粉体と表
面処理剤、および溶剤ないしは溶媒を混合した後、粉体
表面をむらなく均一に処理するために強く混合攪拌する
工程が不可欠である。そのため、高いアスペクト比と平
滑性をもつ薄片状粉体は、表面処理反応の工程で著しく
損壊が進行し、アスペクト比が低下し、微粉末が派生す
ることにより粉体の品質を著しく損なうという問題があ
った。
【0014】さらに、損壊により生じた微粉末は、薄片
状粉体の表面に付着したまま表面処理されるため、カッ
プリング剤等により粉体表面に強固に結合し、これらの
微粉末を除去することは極めて困難となる。その結果、
薄片状粉体の透明性や付着性、平滑性といった特徴が損
なわれるという問題があった。したがって、従来の表面
処理法では、特願2000−109457や特願200
1−277494で提案された高アスペクト比をもち、
透明感に優れ、艶があり、伸展性がある薄片状粉体の特
徴を保持したまま撥水化処理することは極めて困難であ
った。上記の薄片状ケイ酸塩粉体の特徴と、撥水性機能
を合わせもつ粉体、および、その製造法は未だ報告され
ていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決するためになされたものであり、高い粒形係数
(=アスペクト比/厚み)値をもち、粒度を揃えた薄片
化層状ケイ酸塩粉体の特徴を損なうことなく、撥水性を
付加した撥水性薄片化粉体を提供することを目的とす
る。
【0016】また化粧料として利用する場合に、皮膚へ
の付着性に優れ、透明感のある光沢により肌のきめ細や
かさを演出する機能をもつと同時に、汗や雨、湿気など
による化粧崩れを長時間防ぐ効果をもつ、従来の化粧料
用粉体にはみられない優れた撥水性薄片化粉体を提供す
ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】このような課題に鑑み、
本発明者等は、肌のきめ細やかさを演出するための粉体
の物理的特性と、長時間化粧効果を維持するための粉体
特性を解析し、両者を同時に満たすためには、疎水性基
を有する表面処理剤で粉体を処理する工程において、薄
片状粉体を損壊させることなく反応を行う製造法を開発
することが必要であることに想到し、鋭意研究を進め
た。その結果、薄片状ケイ酸塩粉体の製造工程中の微粉
末を除去するための分級洗浄工程において、表面処理を
同時に行うことで、薄片状粉体の各物性条件を満たす従
来にない撥水性粉体を調製することに成功し、上記の課
題を解決する粉体を提供するに至ったものである。
【0018】より具体的には、アスペクト比(A)が4
0以上であり、且つ、アスペクト比と厚み(h)の比率
(A/h)を120[μm-1]以上に調製した層状ケイ酸
塩粉体であって、粒度を揃えることにより付着係数値が
高く、比白色度が低い透明感のある粉体であるととも
に、粉体を破損させたり、微粉末を生成させることなく
撥水化処理した結果、水滴の接触角が90°を超える良
好な撥水性層状ケイ酸塩粉体を製造した。これにより、
化粧料として用いた場合、肌のりと肌上での伸びが良
く、透明感のある光沢を与え、使用感触が良好な薄片状
粉体であり、且つ汗や雨、湿気による剥れや化粧崩れを
防ぐ効果のある撥水性粉体を提供するに至った。
【0019】即ち本発明のうち請求項1に記載の発明
は、アスペクト比(A)が40以上で、アスペクト比
(A)と厚み(h)との比率(A/h)が120[μ
m-1]以上の薄片化層状ケイ酸塩粉体の水との混合体に疎
水性基をもつ表面処理剤を添加混合することによって、
前記層状ケイ酸塩粉体の表面に表面処理剤を化学結合し
てなることを特徴とする。
【0020】薄片化層状ケイ酸塩粉体は、平均粒径
(lm)の4分の1未満の粒径(粒径<0.25×lm)の
微粉末含有率を、粉体全重量の1重量%未満として、粒
度を揃えておくのが良い(請求項2)。
【0021】本発明の撥水性層状ケイ酸塩粉体は、下記
式(1)で与えられる付着係数kの値が、1.0以上と
するのが、従来にない付着度の撥水性層状ケイ酸塩粉体
となることから好ましい(請求項3)。
【0022】 k = D / (0.002 × A/h) (1) D:粉体の付着度 (mg/cm2 )、A:アスペクト比
(粒径/h)、h:厚み(μm) 本発明の撥水性層状ケイ酸塩粉体は、下記式(2)で与
えられる比白色度(ΔL/D)が、30以下の透明感の
ある粉体とするのが良い(請求項4)。
【0023】 比白色度 = 白色度差(ΔL)÷ 粉体の付着度(D) (2) 本発明の撥水性薄片化層状ケイ酸塩粉体としては、撥水
性合成マイカ粉体が好ましい(請求項5)。
【0024】アスペクト比(A)が40以上で、アスペ
クト比(A)と厚み(h)との比率(A/h)が120
[μm-1]以上の薄片化層状ケイ酸塩粉体の水との混合体
とし、該混合体に疎水性基をもつ表面処理剤を該層状ケ
イ酸塩粉体の表面に化学結合してなることにより本発明
の撥水性層状ケイ酸塩粉体を製造することができる(請
求項6)。
【0025】前記薄片化層状ケイ酸塩粉体の水との混合
体としては、薄片化層状ケイ酸塩粉体の水含有量20重
量%以上のスラリーとするのが好ましい(請求項7)。
【0026】薄片化層状ケイ酸塩粉体から微粉末を除去
する分級洗浄工程において、薄片化層状ケイ酸塩粉体の
スラリーに、表面処理剤を添加するのが好ましい(請求
項8)。
【0027】請求項9に記載の発明は、請求項1〜6の
いずれかに記載の撥水性層状ケイ酸塩粉体を含有する化
粧料である。
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明
する。
【0028】本発明において使用される層状ケイ酸塩
は、下記一般式(3)で表される。 (Na,k)1/3〜1.0(Mg,Li)2〜3[(Al,Si,Ge)4O10](F,OH)2 (3) [式中( )内の「,」は「および/または」を表す。] 本発明で用いる層状ケイ酸は、上記一般式(3)で示さ
れる非膨潤または限定膨潤型の層状ケイ酸塩で、水中で
全く膨潤しないかまたは膨潤するが微細粒子となって分
散するまではいかないものである。
【0029】具体例をあげれば、本発明品の層状ケイ酸
塩のうち、合成マイカとして kMg3(AlSi3O10)F2 (フッ素金雲母) kMg3(AlSi3O10)(OH)2 (合成金雲母) kMg5/2(Si4O10) F2 (カリ四ケイ素雲母) kMg2Li(Si4O10) F2 (テニオライト) NaMg2Li(Si4O10) F2 (Naテニオライト) K2/3Mg7/3Li2/3(Si4O10) F2 (フッ素バームキュライト) K1/3Mg8/3Li1/3(Si4O10) F2 (フッ素ヘクトライト) 等があり、天然雲母としては kAl2(AlSi3O10) (OH)2 (白雲母) kMg3(AlSi3O10)(OH)2 (金雲母) kAl2(AlSi3O10) (OH)2 (セリサイト) 等がある。
【0030】本発明において使用される表面処理剤は、
疎水性基を有し、且つ、層状ケイ酸塩粉体の表面におい
て化学結合するものであり、たとえば、エチルトリメト
キシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルト
リメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、オクタ
デシルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラ
ン、オクチルトリエトキシシラン、n−オクタデシルジ
メチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アンモ
ニウムクロライドなどの各種のアルキルシラン、トリフ
ルオロメチルエチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフ
ルオロデシルトリメトキシシランなどの各種のフルオロ
アルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、N-フェニ
ル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなど
のシランカップリング剤に代表される、シラン系・チタ
ン系・アルミ系・アルミナ−ジルコニア系などの各種カ
ップリング剤がある。これらの表面処理剤は、単独ある
いは複数を混合して用いることができる。
【0031】本発明において使用される溶剤は、疎水性
基を有する表面処理剤を希釈する効果をもち、且つ、薄
片化粉体を含むスラリー液中で良好に分散、溶解するも
のであれば特に限定されるものではなく、たとえばメチ
ルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール
等が適する。粉体スラリー液中に添加した表面処理剤が
十分分散する場合には、溶剤は添加しなくてもよい。
【0032】上記、層状ケイ酸塩粉体は、たとえば特公
平7−115858等による公知の製造法で粉砕薄片化
した後、静置分級および洗浄し、粒径の揃った薄片化粉
体を80重量%〜1重量%含むスラリーを得る。さら
に、この薄片化粉体を仕上げ洗浄後、濾過回収し、乾燥
後、製品として仕上げられる。本発明は、この通常の製
造法における薄片化粉体の仕上げ洗浄工程において、撥
水化処理を同時に行うことで、通常の洗浄工程と同じ攪
拌条件下で表面処理を行う。このため、薄片状粉体を損
壊することが全くなく、高い粒形係数を達成するととも
に、従来の撥水化処理法では問題であった表面処理工程
における微粉末の生成を防ぐことができる。
【0033】より具体的には、薄片化粉体の仕上げ洗浄
工程において粒径の揃った薄片化粉体を80重量%〜1
重量%含むスラリー100重量部あたり、表面処理剤
0.1〜50重量部および溶媒0〜500重量部を混合
し、スラリー混合液を攪拌する。スラリー混合液中で
は、分散した疎水性基を有する表面処理剤が、薄片状ケ
イ酸塩粉体表面に優先的に吸着する。これは、薄片状ケ
イ酸塩粉体表面が弱い疎水性をもつため、疎水性基を有
する表面処理剤は、水中に分散しているよりも薄片状ケ
イ酸塩粉体表面に吸着することにより安定化することに
よるものであり、短時間で吸着反応が進行する。
【0034】さらに、表面処理剤を吸着した薄片状ケイ
酸塩粉体は、通常法の濾過脱水工程と同じ工程により回
収し、次工程である加熱乾燥工程において表面処理剤が
薄片状ケイ酸塩粉体表面で脱水結合され、疎水基で表面
処理した撥水性薄片状ケイ酸塩粉体を得る。
【0035】本発明で用いる薄片状ケイ酸塩粉体は、ア
スペクト比(A)が40以上で、アスペクト比と厚み
(h)との比率(A/h)を120[μm-1]以上に調製
した薄片化粉体である。なお、該粉体の厚みは、0.01μ
m〜5μmの範囲内が望ましい。アスペクト比が40未満
またはA/h 値が120[μm-1]未満では、上記した
本発明の効果が十分得られない。また、アスペクト比が
500を超え、A/h値が、2000μm-1を超える薄
片状ケイ酸塩粉体は、充分な効果が得られにくいので望
ましくない。
【0036】本発明で用いる薄片状ケイ酸塩粉体は、粒
度を均一に揃えるのが好ましく、とくに粒径が平均粒径
(lm)の4分の1(0.25×lm)未満の微粉末が、全粉
体重量の1重量%以上混在する場合には、粉体の付着度
および透明感、光沢感が著しく損なわれ、下記式(1)
で与えられる付着係数kの値が1を下回る。
【0037】 k = D / (0.002 × A/h) (1) D:粉体の付着度 (mg/cm2)、A:アスペクト比
(粒径/h)、h:厚み (μm) 尚、現在、化粧料用として通常一般的に生産されている
薄片状ケイ酸塩粉体のk値は、0〜4.0の範囲内にあ
る。
【0038】さらに、付着係数kの値が1を下回る場合
には、付着度が十分得られないばかりでなく、透明感や
光沢感、平滑感も損なわれ、下記式(2)で与えられる
比白色度(ΔL/D)が、30超の値となって、透明感
のある撥水性薄片状ケイ酸塩粉体が得られない。
【0039】 比白色度= 白色度差(ΔL)÷ 粉体の付着度(D) (2) 尚、現在、化粧料用として通常一般的に生産されている
薄片状ケイ酸塩粉体の比白色度は、0〜300の範囲内
にある。天然雲母は、一般に混在する酸化鉄などにより
白色度差が大きいため、合成マイカ粉体と比べ、上記k
値が同じであっても、比白色度は大きくなる。
【0040】したがって、付着度、透明感、光沢感、平
滑感の良い薄片状ケイ酸塩粉体を得るためには、混在す
る微粉末の重量を全粉体重量の1重量%以下となるよう
に、微粉末を除去しなければならない。天然雲母では、
更に、酸化鉄などの混在の少ない白色度差の小さな良質
ものを選択する必要がある。
【0041】
【実施例】次に実施例をあげて本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明はこれら実施例により限定されるもの
ではない。
【0042】粒径、厚み、アスペクト比の測定は、次の
測定方法を用いて測定した。粒径はレーザー回折式粒度
分布計(LMS−30、(株)セイシン企業製)の50
%メジアン径を求め、平均粒径(lm)とした。厚みおよび
アスペクト比は、走査型電子顕微鏡を用いて粉体の厚み
を測定し、平均粒径と厚みからアスペクト比(=平均粒
径÷厚み)を求めた。
【0043】微粉末の含有率の測定は、粒径が平均粒径
の4分の1未満(粒径<0.25×lm)のものを微粉末
と規定し、上記粒度分布計を用いて測定した粒度分布よ
り、微粉末の含有率を求めた。
【0044】光沢の測定は、アート紙に両面テープを貼
り付け、これに製品を塗布し、日本電色工業社製簡易光
沢計VG−2Pにて測定した。
【0045】付着度の測定は、試験用粉体10gを蓋付
サンプル瓶へ分取し、次に、20mm角のポリエチレン
フィルム(PEF)を秤量後、上記サンプル瓶へ投入し、
30秒間振動攪拌した。攪拌終了後PEFを回収し、過
剰に付着した粉を払い落とした後、PEFの両面に付着
残存した粉体を秤量し、PEFの片面分の単位面積あた
りの付着重量を求め、これを粉体の付着度(Dmg/c
2 )とした。
【0046】付着粉の透明度は、上記試験用粉体が両面
に付着したPEFの白色度(L)を色彩色度計(CR−
200、ミノルタ(株)製)を用い黒地紙上で測定し、
黒地紙との白色度差の片面分(ΔL)を求め、これを付
着度(D)で除することにより付着粉の比白色度(ΔL/
D)を計算し、透明度の指標とした。すなわち、比白色
度が高い付着粉体は透明度が低く、逆に比白色度が小さ
いほど、透明度が高いことを示す。
【0047】撥水度の測定は、台紙に両面テープを貼り
付け、これに製品を塗布し、塗布面上の水滴の接触角を
測定し、接触角が90°を超える場合を撥水性と規定し
た。
【0048】実施例1〜8では、粒形係数値が120
(μm-1)以上で、微粉末の含有率が1%未満の透明感の
ある光沢をもつ層状ケイ酸塩粉体のうち、平均粒径の異
なる3種類のフッ素金雲母粉体および1種類のテニオラ
イト粉体を用いて撥水化処理を行った。また、撥水化処
理剤として実施例1〜4では提案された発明の内、パー
フルオロデシルトリメトキシシラン[CF3(CF2) 7CH2CH2S
i(OCH3)3]を用い、実施例5〜8では、疎水基をもつシ
ランカップリング剤を用いて、撥水性薄片状ケイ酸塩粉
体を製造した。
【0049】実施例1 粉砕薄片化したフッ素金雲母粉体を、静置分級および洗
浄を繰り返し、微粉末を十分除去し、平均粒径が36.
5μmの薄片化粉体を200g含むスラリー800gを
得た。このスラリーを各400gに二等分し、片方のス
ラリー400gには、メタノール100gで希釈した1
0gのパーフルオロデシルトリメトキシシラン[CF3(C
F2) 7CH2CH2Si(OCH3)3]を表面処理剤として添加し、残
りのスラリー400gには表面処理剤を添加しなかっ
た。両スラリーとも同条件下で洗浄を行ったのち、濾過
回収、および乾燥を行い、撥水性フッ素金雲母粉体、お
よび未処理のフッ素金雲母粉体を得た。これらの粉体の
粒径、厚み、アスペクト比、粒形係数値、および粒径が
9.1μm未満の微粉末の含有率、液滴法による水滴の
接触角を測定し、結果を表1に記した。撥水化処理後も
粉体の形状および粒度分布は、未処理の粉体と同等であ
り、微粉末の含有率は1%未満となった。水滴の接触角
は未処理粉体が22°であったのに対し、撥水化処理し
た粉体は125°となった。
【0050】実施例2 粉砕薄片化したフッ素金雲母粉体を、静置分級および洗
浄を繰り返し、微粉末を十分除去し、平均粒径が19.
7μmの薄片化粉体を200g含むスラリー800gを
得た。以下、実施例1と同じ方法で、撥水性フッ素金雲
母粉体、および未処理のフッ素金雲母粉体を得た。これ
らの粉体の粒径、厚み、アスペクト比、粒形係数値、お
よび粒径が4.9μm未満の微粉末の含有率、液滴法に
よる水滴の接触角を測定し、結果を表1に記した。撥水
化処理後も粉体の形状および粒度分布は、未処理の粉体
と同等であり、微粉末の含有率は1%未満となった。水
滴の接触角は未処理粉体が24°であったのに対し、撥
水化処理した粉体は125°となった。
【0051】実施例3 粉砕薄片化したフッ素金雲母粉体を、静置分級および洗
浄を繰り返し、微粉末を十分除去し、平均粒径が11.
1μmの薄片化粉体を200g含むスラリー800gを
得た。以下、実施例1と同じ方法で、撥水性フッ素金雲
母粉体、および未処理のフッ素金雲母粉体を得た。これ
らの粉体の粒径、厚み、アスペクト比、粒形係数値、お
よび粒径が2.8μm未満の微粉末の含有率、液滴法に
よる水滴の接触角を測定し、結果を表1に記した。撥水
化処理後も粉体の形状および粒度分布は、未処理の粉体
と同等であり、微粉末の含有率は1%未満となった。水
滴の接触角は未処理粉体が39°であったのに対し、撥
水化処理した粉体は123°となった。
【0052】実施例4 粉砕薄片化したテニオライト粉体を、静置分級および洗
浄を繰り返し、微粉末を十分除去し、平均粒径が10.
5μmの薄片化粉体を200g含むスラリー800gを
得た。以下、実施例1と同じ方法で、撥水性テニオライ
ト粉体、および未処理のテニオライト粉体を得た。これ
らの粉体の粒径、厚み、アスペクト比、粒形係数値、お
よび粒径が2.6μm未満の微粉末の含有率、液滴法に
よる水滴の接触角を測定し、結果を表1に記した。撥水
化処理後も粉体の形状および粒度分布は、未処理の粉体
と同等であり、微粉末の含有率は1%未満となった。水
滴の接触角は未処理粉体が15°であったのに対し、撥
水化処理した粉体は115°となった。
【0053】実施例5 実施例3で調製した平均粒径が11.1μmの薄片化フ
ッ素金雲母粉体を用いて、表面処理剤としてメタノール
100gで希釈した10gのオクチルトリエトキシシラ
ンを用いた以外は実施例1と同じ方法で撥水性層状ケイ
酸塩粉体を得た。撥水化処理後も粉体の形状および粒度
分布は未処理の粉体と同等であり、微粉末の含有率は1
%未満となった。撥水化処理した粉体の水滴の接触角は
96°となった。
【0054】実施例6 実施例3で調製した平均粒径が11.1μmの薄片化フ
ッ素金雲母粉体を用いて、表面処理剤としてメタノール
100gで希釈した10gのビニルトリメトキシシラン
を用いた以外は実施例1と同じ方法で撥水性層状ケイ酸
塩粉体を得た。撥水化処理後も粉体の形状および粒度分
布は未処理の粉体と同等であり、微粉末の含有率は1%
未満となった。撥水化処理した粉体の水滴の接触角は9
7°となった。
【0055】実施例7 実施例3で調製した平均粒径が11.1μmの薄片化フ
ッ素金雲母粉体を用いて、表面処理剤としてメタノール
100gで希釈した10gのN-フェニル-γ-アミノプロ
ピルトリメトキシシランを用いた以外は実施例1と同じ
方法で撥水性層状ケイ酸塩粉体を得た。撥水化処理後も
粉体の形状および粒度分布は未処理の粉体と同等であ
り、微粉末の含有率は1%未満となった。撥水化処理し
た粉体の水滴の接触角は94°となった。
【0056】実施例8 実施例3で調製した平均粒径が11.1μmの薄片化フ
ッ素金雲母粉体を用いて、表面処理剤としてメタノール
100gで希釈した10gのβ-(3,4エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシランを用いた以外は実施
例1と同じ方法で撥水性層状ケイ酸塩粉体を得た。撥水
化処理後も粉体の形状および粒度分布は未処理の粉体と
同等であり、微粉末の含有率は1%未満となった。撥水
化処理した粉体の水滴の接触角は91°となった。
【0057】比較例1〜4では、実施例1〜4で用いた
層状ケイ酸塩粉体を用いて、従来法による撥水化表面処
理を行った。また、比較例5、6では、市販のファンデ
ーション用層状ケイ酸塩粉体と同等のフッ素金雲母粉体
を用いて、実施例1〜4と同様の処理法により撥水化処
理した。
【0058】比較例1 実施例1により得られた平均粒径36.5μmの未処理
の乾燥フッ素金雲母粉体50gと、パーフルオロデシル
トリメトキシシラン5g、メタノール50g、水1gと
をミキサーに入れて混合攪拌し表面処理を行い、撥水性
フッ素金雲母粉体を得た。この粉体の粒径、厚み、アス
ペクト比、粒形係数値、および粒径が0.25×lm未満
となる微粉末の含有率、液滴法による水滴の接触角を測
定し、結果を表1に記した。その結果、水滴の接触角は
124°と良好な撥水性を示したが、平均粒径は31.
7μmに低下し、微粉末の含有率は2.2%となった。
【0059】比較例2 実施例2により得られた平均粒径19.7μmの未処理
の乾燥フッ素金雲母粉体50gと、パーフルオロデシル
トリメトキシシラン5g、メタノール50g、水1gと
をミキサーに入れて混合攪拌し表面処理を行い、撥水性
フッ素金雲母粉体を得た。この粉体の粒径、厚み、アス
ペクト比、粒形係数値、および粒径が0.25×lm未満
となる微粉末の含有率、液滴法による水滴の接触角を測
定し、結果を表1に記した。その結果、水滴の接触角は
120°と良好な撥水性を示したが、平均粒径は19.
4μmに低下し、微粉末の含有率は1.8%となった。
【0060】比較例3 実施例3により得られた平均粒径11.1μmの未処理
の乾燥フッ素金雲母粉体50gとパーフルオロデシルト
リメトキシシラン5g、メタノール50g、水1gとを
ミキサーに入れて混合攪拌し表面処理を行い、撥水性フ
ッ素金雲母粉体を得た。この粉体の粒径、厚み、アスペ
クト比、粒形係数値、および粒径が0.25×lm未満と
なる微粉末の含有率、液滴法による水滴の接触角を測定
し、結果を表1に記した。その結果、水滴の接触角は1
15°と良好な撥水性を示したが、平均粒径は10.7
μmに低下し、微粉末の含有率は1.5%となった。
【0061】比較例4 実施例4により得られた平均粒径10.5μmの未処理
の乾燥テニオライト粉体50gとパーフルオロデシルト
リメトキシシラン5g、メタノール50g、水1gとを
ミキサーに入れて混合攪拌し表面処理を行い、撥水性テ
ニオライト粉体を得た。この粉体の粒径、厚み、アスペ
クト比、および粒径が0.25×lm未満となる微粉末の
含有率、液滴法による水滴の接触角を測定し、結果を表
1に記した。その結果、水滴の接触角は115°と良好
な撥水性を示したが、平均粒径は10.2μmに低下
し、微粉末の含有率は1.6%となった。
【0062】比較例5 粉砕薄片化したフッ素金雲母粉体を、静置分級および洗
浄を繰り返し、平均粒径が12.1μm、厚みが0.4
1μmのフッ素金雲母粉体を含むスラリーを得た。以
下、実施例1と同じ方法で表面処理し、撥水性フッ素金
雲母粉体を得た。この粉体の粒径、厚み、アスペクト
比、粒径係数値、および粒径が0.25×lm未満となる
微粉末の含有率、液滴法による水滴の接触角を測定し、
結果を表1に記した。その結果、撥水化処理した粉体の
水滴の接触角は121°と良好な撥水性を示した。平均
粒径や粒径係数値は未処理の粉体と同等であり、微粉末
の含有率は2.8%であった。
【0063】比較例6 粉砕薄片化したフッ素金雲母粉体を、静置分級および洗
浄を繰り返し、平均粒径が12.4μm、厚みが0.4
8μmのフッ素金雲母粉体を含むスラリーを得た。以
下、実施例1と同じ方法で表面処理し、撥水性フッ素金
雲母粉体を得た。この粉体の粒径、厚み、アスペクト
比、粒径係数値、および粒径が0.25×lm未満となる
微粉末の含有率、液滴法による水滴の接触角を測定し、
結果を表1に記した。その結果、撥水化処理した粉体の
水滴の接触角は115°と良好な撥水性を示した。平均
粒径や粒径係数値は未処理の粉体と同等であり、微粉末
の含有率は2.2%であった。
【0064】
【表1】
【0065】実施例1〜8で製造した層状ケイ酸塩粉体
の光沢、付着度、白色度を測定し、結果を表2に記し
た。また、これらの値と表1の値から付着係数および比
白色度を求め、表2に記した。実施例1〜4の撥水化処
理粉体は、未処理粉体と同等の光沢を保持しており、い
ずれも光沢が4を超えた。また、撥水化処理粉体の付着
度は、実施例1では未処理粉体の約2倍となり、実施例
2〜4の場合も未処理粉体よりも10%〜30%高い付
着度となった。撥水化処理粉体の付着係数は、いずれも
1.3以上となり、未処理粉体と同等以上の良好な付着
性を示した。また、撥水化処理粉体の比白色度は、未処
理粉体と同等であり、いずれも28以下となった。これ
らの結果から、実施例1〜4で製造した撥水化処理粉体
は、高いアスペクト比(40以上)と粒形係数値(12
0μm-1以上)をもつ未処理の層状ケイ酸塩粉体の光
沢、透明感を損なうことがないと同時に、付着度をさら
に向上させる効果があることが分かった。実施例5〜8
で製造した層状ケイ酸塩粉体の光沢、付着度、白色度、
付着係数値および比白色度は、実施例3の結果と同等で
あった。
【0066】比較例1〜4で用いた各層状ケイ酸塩粉体
の光沢、付着度、白色度を測定し、これらの値と表1の
値から付着係数および比白色度を求め、表2に記した。
比較例1〜4は、撥水化処理による粉体の損壊が避けら
れず、未処理の粉体よりも光沢や付着度が著しく低下
し、付着係数はいずれも1.0未満となった。また、比白
色度はいずれも30を超え、透明感が著しく損なわれ
た。
【0067】比較例5と6で用いた各層状ケイ酸塩粉体
の光沢、付着度、白色度を測定し、これらの値と表1の
値から付着係数および比白色度を求め、表2に記した。
比較例5と6は、アスペクト比および粒形係数値が低
く、微粉末の除去も不十分であるため、実施例1〜4の
粉体よりも、光沢および付着度が著しく低いことが分か
った。さらに、比白色度はいずれも44以上であり、透
明感も低いため、撥水化処理粉体は、光沢、透明感およ
び付着度が低いものとなった。
【0068】
【表2】
【0069】図1は、実施例1〜8および比較例1〜6
で用いた層状ケイ酸塩粉体の粒形係数 (A/h)と付
着度(D)との関係を示すグラフである。図中の破線
は、従来の各種化粧用層状ケイ酸塩粉体の粒形係数と付
着度の関係を示し、粉体の付着度は、粒形係数から下記
式によって近似でき、粒形係数が高いほど付着度も高い
(特願2001−277494に記載)。
【0070】 k=D/(0.002 × A/h) (2) D:粉体の付着度 (mg/cm2) A:アスペクト比(粒径
/h) h:厚み (μm) 即ち、実施例1〜8において用いた未処理の層状ケイ酸
塩粉体は、微粉含有率が1%未満であるためk値が1.
0を超えており、従来の化粧料用粉体と同等の粒径、厚
みでありながらも、付着性は高くなることを示してい
る。更に、実施例1〜8で撥水化処理したケイ酸塩粉体
は、微粉含有率が1%未満であるため、未処理のケイ酸
塩粉体と同様にk値が1.0を超えており、高い付着性
の特徴を保持している。
【0071】比較例1〜4で製造した撥水化処理粉体
は、微粉含有率が1%以上であるため、粒形係数が15
0μm-1を超える場合でも、k値が1.0未満となり、
撥水化処理により付着度が損なわれることが分かる。
【0072】比較例5と6で製造した撥水化処理粉体
は、k値は1.0を超えていえるが、アスペクト比や粒
形係数が低いため付着度が低く、上記の条件を満足する
特徴は得られない。
【0073】実施例1〜8および比較例1〜6で用いた
各層状ケイ酸塩粉体を肌へ塗布し、肌への付着性、肌の
明るさ、感触、伸展性、総合的な評価としてのきめ細や
かさ、および化粧もちの良さを官能検査で判定した。結
果を表3に示す。尚、表3でそれぞれの特性の評価は、
以下の5点法により行った。
【0074】5=非常に良い、4=やや良い、3=普
通、2=やや悪い、1=非常に悪い
【0075】
【表3】
【0076】表3に示す結果から、本発明による撥水性
層状ケイ酸塩粉体は、従来のものに比べ、肌への付着性
に優れ、使用感触が良く、透明感のある光沢により肌を
明るく見せ、きめ細やかさを演出する効果を長時間保
ち、化粧崩れを防ぐ効果が高いことが分かる。
【0077】以上のことから本発明による撥水性層状ケ
イ酸塩粉体は、下記〜の粉体特性の各条件を満た
す、従来にない優れた撥水性薄片状粉体である。アスペ
クト比(A)が40以上の薄片状で、アスペクト比と厚
み(h)との比率(A/h)が120[μm-1]以上の薄
片化層状ケイ酸塩粉体の水との混合体に疎水性基をもつ
表面処理剤を添加混合することによって、前記層状ケイ
酸塩粉体の表面に表面処理剤を化学結合してなる撥水性
薄片状ケイ酸塩粉体。上記の条件に加えて、平均粒径
(lm)の4分の1未満の粒径(粒径<0.25×lm)の
微粉末の含有率が、粉体全重量の1重量%未満であるこ
とからなる、微粉末が十分除去された撥水性薄片状ケイ
酸塩粉体。又はの条件に加えて、付着係数kの値が
1.0以上であることからなる撥水性薄片状ケイ酸塩粉
体。〜のいずれかの条件に加えて、比白色度(ΔL
/D)が30以下であることからなる、透明感の高い撥
水性薄片状ケイ酸塩粉体。
【0078】このような粉体特性を満たす本発明品は、
透明感のある光沢を持ち、平滑性が良好であり、付着性
に優れ、且つ使用感触に優れたものである。また、この
ような特徴をもつ撥水性薄片状粉体は、さまざまな用途
に用いられる可能性があるが、特に本発明の化粧用粉体
を含有する化粧料は、肌上での付着性や伸びが良く、使
用感触、特に平滑性が優れ、肌面に密着し透明感のある
良好な光沢を与えることにより、肌のきめ細やかさを強
調する効果をもつものである。また汗や雨、水分による
化粧崩れを防ぐ効果が顕著であり、たとえばファンデー
ションに用いた場合、長時間、肌のきめ細やかさを強調
する効果を保つ、もちの良さが際立つ。
【0079】
【発明の効果】本発明の撥水性層状ケイ酸塩粉体は、高
アスペクト比(A)をもつと同時に、厚み(h)を薄片
化し、A/h値を120[μm-1]以上の層状ケイ酸塩粉
体の水との混合体に表面処理剤を添加混合して、層状ケ
イ酸塩粉体の表面に表面処理剤を化学結合することによ
って、粉体形状を破損することなく撥水化処理すること
ができ、微粉末の混入を少なくすることができるから、
肌のりと肌上での伸びが良く、透明感のある光沢を与
え、使用感触が良好であり、且つ優れた撥水性により汗
などの湿気による化粧崩れを長時間防止し、長時間、肌
のきめ細やかさ等の化粧効果を演出する等、この種従来
の化粧用粉体には全く見られない絶大な効果を発揮す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例のケイ酸塩粉体の粒形係数
(A/h)と付着度(D)との関係を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 智仁 東京都千代田区四番町5番地9 トピー工 業株式会社内 Fターム(参考) 4C083 AB431 AB432 BB25 FF01 4G073 BD21 CA06 CM22 FA02 FD05 FD20 UB31 4J037 AA17 AA26 CA08 CB04 CB05 CB23 CB26 DD05 DD09 DD25 EE02 EE14 EE25 EE28 EE33 EE43 FF09 FF21

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アスペクト比(A)が40以上で、アスペ
    クト比(A)と厚み(h)との比率(A/h)が120
    [μm-1]以上の薄片化層状ケイ酸塩粉体の水との混合体
    に疎水性基をもつ表面処理剤を添加混合することによっ
    て、前記層状ケイ酸塩粉体の表面に表面処理剤を化学結
    合してなることを特徴とする撥水性層状ケイ酸塩粉体。
  2. 【請求項2】前記薄片化層状ケイ酸塩粉体は、平均粒径
    (lm)の4分の1未満の粒径(粒径<0.25×lm)の
    微粉末含有率を、粉体全重量の1重量%未満として粒度
    を揃えてなる請求項1記載の撥水性層状ケイ酸塩粉体。
  3. 【請求項3】前記撥水性層状ケイ酸塩粉体は、下記式
    (1)で与えられる付着係数kの値が、1.0以上であ
    る請求項1又は2に記載の撥水性層状ケイ酸塩粉体。 k = D / (0.002 × A/h) (1) D:粉体の付着度 (mg/cm2 )、A:アスペクト比
    (粒径/h)、h:厚み(μm)
  4. 【請求項4】前記撥水性層状ケイ酸塩粉体は、下記式
    (2)で与えられる比白色度(ΔL/D)が、30以下
    の透明感のある粉体である請求項1〜3のいずれかに記
    載の撥水性層状ケイ酸塩粉体。 比白色度 = 白色度差(ΔL)÷ 粉体の付着度(D) (2)
  5. 【請求項5】前記薄片化層状ケイ酸塩粉体が合成マイカ
    粉体である請求項1〜4のいずれかに記載の撥水性合成
    マイカ粉体。
  6. 【請求項6】アスペクト比(A)が40以上で、アスペ
    クト比(A)と厚み(h)との比率(A/h)が120
    [μm-1]以上の薄片化層状ケイ酸塩粉体の水との混合体
    を形成し、該混合体に疎水性基をもつ表面処理剤を添加
    混合し、該層状ケイ酸塩粉体の表面に表面処理剤を化学
    結合してなることを特徴とする撥水性層状ケイ酸塩粉体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】前記薄片化層状ケイ酸塩粉体の水との混合
    体が、薄片化層状ケイ酸塩粉体の水含有量20重量%以
    上のスラリーである請求項6記載の撥水性層状ケイ酸塩
    粉体の製造方法。
  8. 【請求項8】前記薄片化層状ケイ酸塩粉体から微粉末を
    除去する分級洗浄工程において、前記薄片化層状ケイ酸
    塩粉体のスラリーに、前記表面処理剤を添加する請求項
    6又は7記載の撥水性層状ケイ酸塩粉体の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1〜5のいずれかに記載の撥水性層
    状ケイ酸塩粉体を含有することを特徴とする化粧料。
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