JP4836244B2 - 鋳造方法 - Google Patents

鋳造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4836244B2
JP4836244B2 JP2006036967A JP2006036967A JP4836244B2 JP 4836244 B2 JP4836244 B2 JP 4836244B2 JP 2006036967 A JP2006036967 A JP 2006036967A JP 2006036967 A JP2006036967 A JP 2006036967A JP 4836244 B2 JP4836244 B2 JP 4836244B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten metal
casting method
vibration
mold
ultrasonic vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006036967A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007216239A (ja
Inventor
嘉昭 大澤
晋 高森
隆 木村
和宏 織田
保生 石渡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
National Institute for Materials Science
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
National Institute for Materials Science
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Light Metal Co Ltd, National Institute for Materials Science filed Critical Nippon Light Metal Co Ltd
Priority to JP2006036967A priority Critical patent/JP4836244B2/ja
Publication of JP2007216239A publication Critical patent/JP2007216239A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4836244B2 publication Critical patent/JP4836244B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、鋳造方法に関するものであり、特に不純物等の他の元素を多く含む金属の鋳造に適した鋳造方法に関する。
金属は、結晶が粗大であると機械的特性が低下する原因となる。例えばアルミニウム以外の元素(銅、珪素、鉄など)を含むアルミニウム合金を鋳造すると、凝固する過程でアルミニウムに比して非常に硬度が高い金属間化合物が形成される。これらの金属間化合物は、機械的強度等を向上させる作用もあるが、この金属間化合物が粗大であると、破壊の起点となり、アルミニウム合金の伸びが大きく低下してしまう。金属間化合物は、他の元素量が多いほど粗大化しやすい傾向にあり、金属製品を製造する場合には、不可避的に混入する他の元素量や特性向上のため添加する他の元素量を制限することが行われている。このため、不可避的に他の元素が混入しやすいスクラップ等のリサイクルには制限があった。
アルミニウム合金の凝固時(すなわち、液相線温度から固相線温度の間)に高周波の振動(超音波振動)を付与することで粗大な金属間化合物の生成を抑制する鋳造方法が特許文献1に開示されている。この鋳造方法は、鋳型に注入したアルミニウム合金に超音波振動を付与することで、凝固する過程で生成された金属間化合物(初晶)を微細化し、もって粗大な金属間化合物の生成を抑制するものである。
特開2004−209487号公報
特許文献1の鋳造方法においては、超音波振動を発生する振動発生器(超音波振動ホーン)を鋳型に設ける必要があるが、鋳型の構造が複雑である場合やキャビティ形状が複雑で狭小である場合などには、振動発生器を設置することができない場合もある。また、アルミニウムの連続鋳造(DC鋳造等)のように、多数の鋳型に同時に鋳込む場合には、個々の鋳型ごとに振動発生器を設置しなければならない。なお、振動発生器を鋳型に設置することができない場合には、当然のことながら特許文献1の鋳造方法を実施することができない。
また、特許文献1の鋳造方法では、凝固したアルミニウム合金に振動発生器が埋没しないように、鋳型内のアルミニウム合金に流動性があるうちに振動発生器を取り外す必要があるので、手順が煩雑になるし、キャビティ形状やアルミニウム合金の種類ごとに凝固が完了するまでの時間が異なるので、キャビティ形状等が変わる度に手間と時間とをかけて振動発生器を取り外すタイミングを設定し直さなければならない。
さらに、特許文献1の鋳造方法においては、振動発生器の取り外しを可能とするための機構を鋳型に設ける必要があるが、このような機構を設けると、鋳型の構造が複雑になり、コストの上昇を招来することになる。
また、超音波振動を付与する時間が短いと、金属間化合物の微細化が不十分になる虞があるので、凝固時間の短い金型鋳造法(重力金型鋳造法、ダイカスト法など)において凝固時に超音波振動を付与するのは、至難の業である。
また、凝固時に超音波振動を付与すると、金属間化合物の晶出が促進されて溶湯の流動性が低下するので、キャビティ形状が複雑である場合やキャビティに狭小部分がある場合には、湯回り不良を起こす虞もある。
なお、前記した問題は、アルミニウム合金の場合に限らず、純アルミニウム、鉄(鋳鉄)、銅、亜鉛その他の金属・合金を鋳造する際に共通して当てはまる問題である。
このような観点から、本発明は、金属間化合物やα相結晶粒の粗大化を抑制することが可能な鋳造方法であって、連続鋳造法、重力鋳造法、ダイカスト法、低圧鋳造法、プロペルチ法その他の鋳造法に容易に適用することが可能な鋳造方法を提供することを課題とする。
前記したように、粗大な金属間化合物の生成を抑制するためには、アルミニウム合金の凝固時(すなわち、液相線温度から固相線温度の間)に超音波振動を付与するこが必要であると考えられていたところ、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、溶湯に金属間化合物(初晶)が生成される前に超音波振動を付与することでも、粗大な金属間化合物の生成を抑制できることを見出し、本発明を創案するに至った。すなわち、本発明に係る鋳造方法は、溶湯が液相線温度を下回る前に、前記溶湯に超音波振動を付与し、その後、前記溶湯を凝固させることを特徴とする。
要するに、本発明は、超音波振動を付与した溶湯を凝固させる鋳造方法であって、液相線温度以上に保たれた溶湯に超音波振動を付与する振動付与過程を含むことを特徴とする。すなわち、本発明は、生成した晶出物(金属間化合物やα相結晶粒)を超音波振動で粉砕するのではなく、液相線温度よりも高温の溶湯中においてエンブリオの数を増大させることで、晶出物の微細化を図るものである。溶湯を液相線温度以下に冷却すると、溶湯内に存在するエンブリオが結晶核に成長し、この結晶核を核として金属間化合物の晶出物が生成されることになるので、エンブリオの数が増大すれば、一つ一つの金属間化合物が微細化し、金属間化合物やα相結晶粒の粗大化が抑制されることになる。そして、粗大な金属間化合物の生成が抑制されれば、靭性の高い鋳造品(鋳物)を得ることが可能となる。
従来の鋳造方法においては、溶湯が液相線温度を下回って凝固を開始する時点では超音波振動を付与している必要があったことから、超音波振動を発生する振動発生器(超音波振動ホーンなど)の設置位置が鋳型に限定されていたのに対し、本発明においては、溶湯が液相線温度以上となっている位置で超音波振動を付与すればよいので、振動発生器の設置位置が鋳型に限定されることはなく、溶湯が液相線温度以上となる保持炉、保持炉から鋳型へ至る流路、保温炉、ラドルなどに設置することもできる。したがって、例えば、鋳型の構造が複雑である場合やキャビティ形状が複雑で狭小な場合には、振動発生器を保持炉や保温炉に設置することで、簡単且つ確実に超音波振動を付与することができる。このように、本発明によれば、超音波振動を発生する振動発生器の設置位置を比較的自由に設定することができるので、連続鋳造法、重力鋳造法、ダイカスト法、低圧鋳造法その他の鋳造法において、粗大な金属間化合物の少ない鋳造品を簡単に得ることが可能となる。
溶湯を連続的に鋳込む連続鋳造法などに本発明を適用する場合には、保持炉、保持炉から鋳型に至る流路、保持炉から鋳型に至る流路に設けた貯留槽などにおいて超音波振動を付与することが望ましい。また、重力鋳造法に本発明を適用する場合には、保温炉、ラドルおよび湯溜りの少なくとも一箇所において超音波振動を付与することが望ましいが、重力鋳造法であっても砂型などのように冷却能の低い鋳型を用いる場合には、鋳型に注湯した後に、押湯部にて超音波振動を付与してもよい。また、砂型に比べて冷却能が高い金型を用いる場合(重力金型鋳造法、ダイカスト法など)には、保温炉、ラドルおよび湯溜りの少なくとも一箇所において超音波振動を付与することが望ましい。
本発明に係る鋳造方法によれば、種々の鋳造法において金属間化合物やα相結晶粒の粗大化を抑制することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、以下の各実施形態においては、アルミニウム合金を鋳造する場合を例示するが、アルミニウム合金に限らず、純アルミニウム、鉄(鋳鉄)、銅、亜鉛その他の金属・合金を鋳造する際に応用できることは言うまでもない。
(第一の実施形態)
第一の実施形態では、本発明に係る鋳造方法をDC連続鋳造法に適用した場合を例示する。図1は、第一の実施形態に係る鋳造方法を実施可能なDC連続鋳造装置1を示す模式図である。DC連続鋳造装置1は、アルミニウム合金製の地金を溶解して溶湯10を生成する溶解炉11と、この溶解炉11で生成された溶湯10の成分調整、脱ガス処理、静置などを行う保持炉12と、鋳型13と、保持炉12から鋳型13に至る樋(流路)14と、保持炉12に設けられた振動発生器15と、を備えている。
溶解炉11は、アルミニウムの地金やスクラップを液相線温度以上に熱して溶解させ、溶湯10を生成するものである。溶湯10は、脱滓処理後に保持炉12に移湯される。移湯完了後、保持炉12において、成分調整、脱ガス処理等が行われる。溶湯10は、保持炉12でしばらく静置された後、樋14を通って、鋳型13に注がれる。
振動発生器15は、超音波振動(16KHz以上の弾性振動波)を発生するものであり、高周波の電気信号を生成する発振器、この発振器により生成された電気信号を機械的な振動に変換する振動子、この振動子の振動を増幅するホーンなどを備えて構成されている。なお、ホーンは、溶湯10に浸漬されるためセラミック(サイアロン等)で形成することが望ましい。
次に、本実施形態に係る鋳造方法を詳細に説明する。本実施形態に係る鋳造方法は、アルミニウム合金の溶湯10が液相線温度を下回る前に、溶湯10に超音波振動を付与し、その後、溶湯10を凝固させるものであり、溶解過程と、振動付与過程と、注湯過程と、凝固過程とを含んでいる。
溶解過程は、アルミニウムやスクラップの地金から溶湯10を生成する過程であり、溶解炉11にて実行される。溶解過程で生成された溶湯10は、保持炉12に送られる。
振動付与過程は、液相線温度以上に保たれた溶湯10に超音波振動を付与する過程であり、保持炉12にて実行される。超音波振動を付与するには、保持炉12に貯留された溶湯10に振動発生器15のホーンを浸漬し、かかる状態でホーンを振動させればよい。本実施形態では、溶湯10への超音波振動の付与は、溶湯10が保持炉12に滞留している間中、継続して行われる。液相線温度よりも高温の溶湯10に超音波振動を付与すると、結晶核の素となるエンブリオの生成が促進される。なお、超音波付与過程は、鋳造の際に行っても良い。その場合は、図示は省略するが、樋14への出湯口付近で超音波振動を付与することが好ましい。保持炉12の出湯口付近は、狭くなっているので、超音波振動を効率的に溶湯10に付与することが可能となる。
なお、保持炉12に貯留される溶湯10の温度Tが液相線温度Tよりも100℃を超えて高くなると、溶湯10内に形成されたエンブリオが消滅する虞があるので、保持炉12に貯留される溶湯10の温度Tは、T<T≦T+100℃の範囲に調節することが望ましい。また、保持炉12に貯留される溶湯10の温度Tが液相線温度Tよりも50℃を超えて高くなると、鋳型13における冷却時間が長くなるので、より好適には、T<T≦T+50℃の範囲に調節することが望ましい。また、超音波振動の付与時間は、5秒を下回ると、エンブリオの増加が期待できないので、5秒以上であることが望ましく、また、600秒を上回ると、製造時間が延びる場合があるので、600秒以下であることが望ましい。
注湯過程は、超音波振動が付与された溶湯10を鋳型13に鋳込む過程である。保持炉12から流出した溶湯10(すなわち、超音波振動が付与された溶湯10)は、樋14を通って鋳型13に注湯される。
凝固過程は、超音波振動が付与された溶湯10を凝固させる過程である。本実施形態においては、鋳型13が常に水冷されているので、鋳型13に接触した溶湯10は、急冷されて鋳塊10’となる。鋳塊10’は、引出装置16により下方に引き出される。なお、溶湯10を液相線温度以下に冷却すると、溶湯10に存在するエンブリオが結晶核に成長し、この結晶核を核として金属間化合物やα相結晶粒の晶出物が生成される。
以上説明したように、本実施形態に係る鋳造方法においては、液相線温度以上に保持された溶湯10に超音波振動を付与し、溶湯10中のエンブリオの数を増大させることに特徴がある。すなわち、本実施形態に係る鋳造方法は、生成した晶出物(金属間化合物やα相結晶粒)を超音波振動で粉砕するのではなく、液相線温度よりも高温の溶湯中においてエンブリオの数を増大させることで、金属間化合物やα相結晶粒の晶出物の微細化を図るものである。このようにすると、金属間化合物やα相結晶粒が微細化し、粗大な金属間化合物やα相結晶粒の生成が抑制されるので、靭性の高い鋳造品(鋳物)を得ることが可能となる。
なお、本実施形態に係るDC連続鋳造装置1は、既存の連続鋳造装置に軽微な改造を施すだけで得ることができる。すなわち、既存の連続鋳造装置の保持炉に振動発生器15を設置するだけで本実施形態に係る鋳造方法を実施することができる。
本実施形態においては、保持炉12に振動発生器15を設け、保持炉12にて溶湯10に超音波振動を付与したが、これに限定されることはなく、例えば、図2に示すように、樋14に複数の振動発生器15を設け、樋14にて溶湯10に超音波振動を付与してもよいし、図示は省略するが、保持炉12と樋14とに振動発生器15を設け、保持炉12と樋14にて超音波振動を付与してもよい。なお、樋14にて超音波振動を付与する場合には、樋14を流れる溶湯10が液相線温度以上となるように、保持炉12の温度を管理する。
また、図示は省略するが、樋14に溶湯10を貯留する貯留槽を設け、この貯留槽にて溶湯10に超音波振動を付与してもよい。貯留槽を設ければ、溶湯10の温度を保持炉12と異なる温度に設定することが可能となるので、保持炉12での超音波振動の付与が効果的でないと予測される場合(例えば、保持炉12における溶湯10の滞留時間が短い場合、保持炉12に貯留される溶湯10の温度が液相線温度よりも低い場合、液相線温度よりも100℃を超えて高い場合など)には、貯留槽に貯留される溶湯10の温度を超音波振動の付与に適した温度に調節することで、超音波振動を付与したことによる効果を向上させることが可能となる。
(第二の実施形態)
第二の実施形態では、本発明に係る鋳造方法をダイカスト法に適用した場合を例示する。本発明に係る鋳造方法をダイカスト法に適用する場合には、図3に示すように、保温炉(「手元炉」とも言う)21にて溶湯10に超音波振動を付与するとよい。
保温炉21は、図示せぬ溶解炉等で生成された溶湯10を液相線温度以上に保持するものである。保温炉21の内部は、内壁22によって、貯留室23と振動付与室24とに区分けされている。貯留室23と振動付与室24とは、内壁22に形成された開口22aを介して連通していて、振動付与室24に貯留された溶湯10がラドル25により汲み出されると、貯留室23に貯留された溶湯10が振動付与室24に供給されるようになっている。また、振動発生器15は、振動付与室24に設置されていて、振動付与室24に流入した溶湯10に超音波振動を付与する。保温炉21に内壁22を設けて振動付与室24を形成し、振動付与室24にて超音波振動を限定的に付与すれば、超音波振動が付与された溶湯10(すなわち、エンブリオの濃度が高い溶湯10)が保温炉21の全体に拡散することを防止することができるので、エンブリオの濃度が高い溶湯10を確実に汲み出すことが可能となる。
鋳型26は、可動ダイス26aと、この可動ダイス26aと型合せされる固定ダイス26bと、この固定ダイス26bが固定されるダイス取付板26cと、固定ダイス26bに形成された湯道26dに連通するシリンダ26eと、このシリンダ26eに挿入されたプランジャ26fとを備えて構成されている。
次に、本実施形態に係る鋳造方法を詳細に説明する。本実施形態に係る鋳造方法は、振動付与過程と、注湯過程と、凝固過程とを含んでいる。
振動付与過程は、液相線温度以上に熱せられた溶湯10に超音波振動を付与する過程であり、保温炉21の振動付与室24にて実行される。
なお、振動付与室24に貯留される溶湯10の温度Tは、T<T≦T+100℃の範囲に調節することが望ましいが、より好適には、T<T≦T+50℃の範囲に調節することが望ましい。
注湯過程は、超音波振動が付与された溶湯10を鋳型26に鋳込む過程である。より具体的に、注湯過程は、保温炉21の振動付与室24からラドル25を使用して溶湯10を汲み出す過程と、汲み出した溶湯10をシリンダ26eに形成された湯口26gから注湯する過程と、シリンダ26eに注湯された溶湯10をプランジャ26fで押圧し、キャビティ内に溶湯10を圧入する過程とを含んでいる。なお、超音波振動の付与を終了した時点(すなわち、ラドル25で汲み出した時点)から鋳型26のキャビティへの注湯が完了するまでの時間が長引くと、溶湯10内に生成されたエンブリオが大幅に減少する虞があるので、超音波振動の付与を終了した時点から2分以内に鋳型26への注湯を完了させることが望ましい。
凝固過程は、超音波振動が付与された溶湯10を凝固させる過程である。本実施形態においては、鋳型26が金型であるので、鋳型26に接触した溶湯10は、比較的速やかに液相線温度以下に冷却され、凝固する。なお、溶湯10を液相線温度以下に冷却すると、溶湯10に存在するエンブリオが結晶核に成長し、この結晶核を核として金属間化合物やα相結晶粒の晶出物が生成される。
以上説明した本実施形態に係る鋳造方法においても、金属間化合物等が微細化して粗大な金属間化合物等の生成が抑制されるので、靭性の高い鋳造品(鋳物)を得ることが可能となる。
なお、溶湯10が液相線温度を下回って凝固を開始する時点で超音波振動を付与すると、鋳型26のキャビティ内を充填する以前に晶出物が晶出して流動性が低下するので、キャビティ形状が複雑である場合やキャビティに狭小部分がある場合には、湯回り不良を起こす虞もあるが、本実施形態においては、液相線温度以上に保たれた保温炉21にて超音波振動を付与しているので、液相線温度以上の温度で鋳造が可能となり、鋳型26のキャビティ内において溶湯10の流動性が必要以上に低下することはない。
また、保温炉21にて超音波振動を付与すれば、構造が複雑な鋳型26に振動発生器を設ける必要がなくなるので、鋳型26については、既存のものをそのまま使用することができる。
なお、本実施形態では、保温炉21にて超音波振動を付与する場合を例示したが、これに限定されることはなく、例えば、図示は省略するが、ラドル25に振動発生器15を設け、ラドル25にて溶湯10に超音波振動を付与してもよい。この場合には、ラドル25内の溶湯10が液相線温度以上となるように、保温炉21の温度を管理する。ラドル25にて超音波振動を付与すれば、鋳型26に鋳込む直前まで溶湯10に超音波振動を付与することが可能となるので、エンブリオの減少を最小限に抑えることが可能となる。
なお、図示は省略するが、保温炉21とラドル25の双方に振動発生器15を設け、保温炉21に貯留されている状態から鋳型26に鋳込まれるまで継続して超音波振動を付与してもよい。
(第三の実施形態)
前記した第二の実施形態では、保温炉21にて超音波振動を付与した溶湯10を、ダイカスト用の鋳型26に注湯した場合を例示したが、これに限定されることはなく、図4に示すように、溶湯鍛造用の鋳型31に注湯しても差し支えない。なお、本実施形態に係る鋳型31は、キャビティを形成する上型31aおよび下型31bと、下型31bに形成された湯口31cに接続されるシリンダ31dと、このシリンダ31dに挿入されるプランジャ31eとを備えている。
そして、超音波振動が付与された溶湯10をシリンダ31dに注湯したうえで、シリンダ31dに注湯された溶湯10をプランジャ31eで押圧してキャビティ内に溶湯10を圧入し、凝固させれば、所望の鋳造品を得ることができる。
(第四の実施形態)
第四の実施形態では、本発明に係る鋳造方法を低圧鋳造法に適用した場合を例示する。図5は、第四の実施形態に係る鋳造方法を実施可能な低圧鋳造装置4を示す模式図である。低圧鋳造装置4は、溶湯10を液相線温度以上で貯留する保温炉41と、この保温炉41の開口を塞ぐ蓋体42と、蓋体42に設置された鋳型43と、保温炉41から鋳型43の湯口に至る給湯管(流路)44と、蓋体42に設置された振動発生器15,15と、を備えている。なお、振動発生器15のホーンは、溶湯10に浸漬される。なお、振動発生器15のホーンを給湯管44の給湯口付近に設けると、超音波振動が溶湯10に効率的付与される。
次に、本実施形態に係る鋳造方法を詳細に説明する。本実施形態に係る鋳造方法は、振動付与過程と、注湯過程と、凝固過程とを含んでいる。
振動付与過程は、液相線温度以上に熱せられた溶湯10に超音波振動を付与する過程であり、振動発生器15を利用して保温炉41にて実行される。
注湯過程は、超音波振動が付与された溶湯10を鋳型43に鋳込む過程である。具体的には、保温炉41の内部に供給した空気もしくは不活性ガスで溶湯10の表面を加圧し、その圧力を利用して給湯管44を通じて鋳型43に溶湯10を注湯すればよい。
凝固過程は、超音波振動が付与された溶湯10を凝固させる過程である。本実施形態においては、鋳型43が金型であるので、鋳型43に接触した溶湯10は、比較的速やかに液相線温度以下に冷却され、凝固する。
以上説明した本実施形態に係る鋳造方法においても、金属間化合物等が微細化して粗大な金属間化合物等の生成が抑制されるので、靭性の高い鋳造品(鋳物)を得ることが可能となる。
(第五の実施形態)
第五の実施形態では、本発明に係る鋳造方法を重力金型鋳造法に適用した場合を例示する。本発明に係る鋳造方法を重力金型鋳造法に適用する場合には、図6の(a)に示すように、液相線温度以上に熱せられた溶湯10を湯溜り51aに注湯した後に、湯溜り51aにて振動付与過程を行ってもよい。すなわち、湯溜り51aは、溶湯10に接触する部分が断熱材でコーティングされており、溶湯10が液相線温度以上に保持されるので、湯溜り51aにて超音波振動を付与してもよい。図6の(b)に示すように、超音波振動を付与した後、鋳型51を傾動させ、湯溜り51aの溶湯10を鋳型51に注湯する。
このようにしても、金属間化合物が微細化して粗大な金属間化合物の生成が抑制されるので、靭性の高い鋳造品(鋳物)を得ることが可能となる。
なお、図7に示すように、鋳型52が冷却能の低い砂型などである場合には、鋳型52に注湯した後に、押湯部52aにて超音波振動を付与することも可能である。
また、図示は省略するが、保温炉やラドルの少なくとも一方において液相線温度以上に熱せられた溶湯10に超音波振動を付与したうえで、鋳型51,52に注湯しても勿論差し支えない。
(変形例)
前記した各実施形態においては、液相線温度を上回っている間だけ溶湯10に超音波振動を付与する場合を例示したが、液相線温度を下回った後まで継続して超音波振動を付与しても差し支えない。
また、前記した各実施形態においては、本発明に係る鋳造方法を、連続鋳造法、ダイカスト法、低圧鋳造法および重力鋳造法に適用した場合を例示したが、遠心鋳造法や真空鋳造法など他の鋳造法に適用できることは言うまでもない。
表1に示す組成を有するアルミニウム合金を使用して本発明に係る鋳造方法の効果を確認するための実験を行った。
実験では、坩堝内において表1のアルミニウム合金を液相線温度以上に熱して溶湯を生成し、自然冷却中に超音波振動を付与した後に、銅製の鋳型に注湯して凝固させた。なお、本実施例においては、溶湯が液相線温度以上にあるときに超音波振動を付与するケースAと、溶湯が液相線温度を挟んで超音波振動を付与するケースBと、超音波振動を付与しないケースCとを行った。なお、図8の(a)〜(c)は、溶湯を坩堝内において自然冷却させた際の温度変化を示すグラフである。
ケースAでは、溶湯が780℃になった時点で超音波振動の付与を開始し、740℃になった時点で終了した(約40秒)。なお、初晶は、液相線温度である700℃で晶出している。ケースBでは、溶湯が760℃になった時点で超音波振動の付与を開始し、710℃になった時点で終了した(約90秒)。なお、初晶は、液相線温度である720℃で晶出している。なお、ケースAとケースBとで液相線温度が異なるのは、超音波振動を付加する時間によって液相線温度が変化するからである。
実験の結果得られた鋳物の金属組織写真を図9〜図11に示す。なお、これらの写真において、白色部分がα相結晶粒であり、灰色部分がAl−Fe−Mn系の金属間化合物であり、黒色部分(最も色の濃い部分)がSiの結晶である。これらの図に示すように、超音波振動を付与しないケースC(図11参照)では、α相結晶粒とSiの結晶が粗大化するとともに、Al−Fe−Mn系の金属間化合物が針状に粗大化していることが確認された。これに対し、超音波振動を付与したケースA(図9参照)およびケースB(図10参照)では、Al−Fe−Mn系の金属間化合物、α相結晶粒およびSiの結晶のいずれもが微細化していることが確認された。特に、溶湯が液相線温度以上にあるときだけ超音波振動を付与したケースAが最も微細化していることが確認された。
以上の実験より、液相線温度以上に熱せられた溶湯に超音波振動を付与することで、金属間化合物やα相結晶粒が微細化することが確認された。
第一の実施形態に係る鋳造方法を説明するための模式図である。 第一の実施形態に係る鋳造方法の変形例を説明するための模式図である。 第二の実施形態に係る鋳造方法を説明するための模式図である。 第三の実施形態に係る鋳造方法を説明するための模式図である。 第四の実施形態に係る鋳造方法を説明するための模式図である。 (a)および(b)は第五の実施形態に係る鋳造方法を説明するための模式図である。 第五の実施形態に係る鋳造方法の変形例を説明するための模式図である。 (a)〜(c)は実施例を説明するためのグラフである。 実施例のケースAの鋳造方法により得られた鋳物の金属組織写真である。 実施例のケースBの鋳造方法により得られた鋳物の金属組織写真である。 実施例のケースCの鋳造方法により得られた鋳物の金属組織写真である。
符号の説明
10 溶湯
12 保持炉
13 鋳型
14 樋(流路)
15 振動発生器
21 保温炉
25 ラドル

Claims (8)

  1. 溶湯が液相線温度を下回る前に、前記溶湯に超音波振動を付与し、その後、前記溶湯を凝固させることを特徴とする鋳造方法。
  2. 超音波振動を付与した溶湯を凝固させる鋳造方法であって、液相線温度以上に保たれた溶湯に超音波振動を付与する振動付与過程を含むことを特徴とする鋳造方法。
  3. 鋳型に注湯する前に、前記振動付与過程を行うことを特徴とする請求項2に記載の鋳造方法。
  4. 保持炉にて前記振動付与過程を行うことを特徴とする請求項3に記載の鋳造方法。
  5. 保持炉から前記鋳型に至る流路にて前記振動付与過程を行うことを特徴とする請求項3に記載の鋳造方法。
  6. 保持炉から前記鋳型に至る流路に溶湯を貯留する貯留槽を設け、当該貯留槽にて前記振動付与過程を行うことを特徴とする請求項3に記載の鋳造方法。
  7. 保温炉、ラドルおよび湯溜りの少なくとも一箇所にて前記振動付与過程を行うことを特徴とする請求項3に記載の鋳造方法。
  8. 鋳型に注湯した後に、押湯部にて前記振動付与過程を行うことを特徴とする請求項2に記載の鋳造方法。
JP2006036967A 2006-02-14 2006-02-14 鋳造方法 Expired - Fee Related JP4836244B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006036967A JP4836244B2 (ja) 2006-02-14 2006-02-14 鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006036967A JP4836244B2 (ja) 2006-02-14 2006-02-14 鋳造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007216239A JP2007216239A (ja) 2007-08-30
JP4836244B2 true JP4836244B2 (ja) 2011-12-14

Family

ID=38494040

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006036967A Expired - Fee Related JP4836244B2 (ja) 2006-02-14 2006-02-14 鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4836244B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5168069B2 (ja) * 2008-10-07 2013-03-21 日本軽金属株式会社 アルミニウム合金の製造方法
JP5384976B2 (ja) * 2009-03-09 2014-01-08 本田技研工業株式会社 摺動部材の製造装置及び摺動部材の製造方法
US20100224290A1 (en) 2009-03-09 2010-09-09 Honda Motor Co., Ltd. Aluminum alloy casting and method for producing the same, and apparatus for producing slide member
JP5641761B2 (ja) * 2010-04-01 2014-12-17 新日鐵住金株式会社 連続鋳造装置
JP5565115B2 (ja) * 2010-06-07 2014-08-06 日本軽金属株式会社 アルミニウム合金の製造方法
CN103003458B (zh) * 2010-07-16 2015-11-25 日本轻金属株式会社 高温强度和导热率优良的铝合金及其制造方法
JP5413815B2 (ja) * 2010-08-25 2014-02-12 日本軽金属株式会社 アルミニウム合金の製造方法及び鋳造装置
FR2971793B1 (fr) * 2011-02-18 2017-12-22 Alcan Rhenalu Demi-produit en alliage d'aluminium a microporosite amelioree et procede de fabrication
JP5680244B1 (ja) * 2014-04-23 2015-03-04 株式会社Lafジャパン 合金の析出物微細化方法及びこれに用いる析出物微細化装置
EP3758865A1 (en) * 2018-03-01 2021-01-06 Norsk Hydro ASA Method for casting
CN109604539B (zh) * 2019-01-29 2020-11-13 大连交通大学 适合于处理铸铁熔体的超声波振动装置
KR102197175B1 (ko) * 2019-07-09 2020-12-31 한국생산기술연구원 연속 주조 장치
CN110918940B (zh) * 2019-12-18 2021-12-31 内蒙古工业大学 一种大型有色金属薄壁结构件的铸造装置及铸造方法
US20220097130A1 (en) * 2020-09-25 2022-03-31 GM Global Technology Operations LLC Aluminum castings using ultrasonic technology
WO2023068716A1 (ko) * 2021-10-18 2023-04-27 한국재료연구원 고강도 고연신 고열전도도 알루미늄 주조합금 및 그 제조방법

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05329613A (ja) * 1992-06-01 1993-12-14 Mechatro Joban Internatl:Kk 鋳造法
JPH07278692A (ja) * 1994-04-12 1995-10-24 Mitsubishi Materials Corp 高強度を有する高Si含有Al合金金型鋳造部材の製造法
JP3216685B2 (ja) * 1994-09-30 2001-10-09 宇部興産株式会社 半溶融金属の成形方法
JP3007947B2 (ja) * 1997-09-22 2000-02-14 工業技術院長 金属組織微細化法
JP2002053941A (ja) * 2000-08-07 2002-02-19 Toyota Motor Corp 金属基複合材料の製造方法および製造装置
JP3978492B2 (ja) * 2002-09-06 2007-09-19 独立行政法人産業技術総合研究所 半凝固金属及び微細球状化された組織を有する金属素材の製造方法
JP2004209487A (ja) * 2002-12-27 2004-07-29 National Institute For Materials Science アルミニウム系鋳造合金の凝固結晶組織を制御する方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007216239A (ja) 2007-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4836244B2 (ja) 鋳造方法
JP4382152B1 (ja) 鉄系合金の半凝固スラリー製造方法、その半凝固スラリー製造方法を用いた鋳鉄鋳物製造方法及び鋳鉄鋳物
JP5051636B2 (ja) 鋳造方法とそれに用いる鋳造装置。
JP4984049B2 (ja) 鋳造方法。
JP5565115B2 (ja) アルミニウム合金の製造方法
JP2011045909A (ja) 微細結晶組織を有するAl−Si系合金、その製造方法、その製造装置及びその鋳物の製造方法
JP4154385B2 (ja) 固液共存状態金属材料製造装置
JP4551995B2 (ja) 鋳物用アルミニウム合金
JP3630327B2 (ja) 固液共存状態金属スラリの製造装置
JP2004114153A (ja) 固液共存状態金属材料の製造方法、その装置、半凝固金属スラリの製造方法およびその装置
JP2011200881A (ja) 鋳造装置及び鋳造方法
JP2008173668A (ja) 凝固方法
JP3520994B1 (ja) 固液共存状態金属スラリの製造装置
JP2007046071A (ja) Mg合金及びその鋳造又は鍛造方法
CN1301166C (zh) 一种高速钢坯料的制备方法及设备
JPH09137239A (ja) 半溶融金属の成形方法
JP6132642B2 (ja) 半凝固金属スラリーの作製方法
JP3246358B2 (ja) 半溶融金属の成形方法
JP3491468B2 (ja) 半溶融金属の成形方法
JP7457691B2 (ja) 直接チル鋳造材料の超音波強化
JP2003126950A (ja) 半溶融金属の成形方法
JP2003183756A (ja) 半凝固成形用アルミニウム合金
JP5035508B2 (ja) アルミニウム合金凝固体およびその製造方法
JP3536559B2 (ja) 半溶融金属の成形方法
JP3167854B2 (ja) アルミニウム合金の加圧鋳造方法および加圧鋳造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080919

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080919

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110628

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110920

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110926

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20141007

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4836244

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees