JP4382152B1 - 鉄系合金の半凝固スラリー製造方法、その半凝固スラリー製造方法を用いた鋳鉄鋳物製造方法及び鋳鉄鋳物 - Google Patents

鉄系合金の半凝固スラリー製造方法、その半凝固スラリー製造方法を用いた鋳鉄鋳物製造方法及び鋳鉄鋳物 Download PDF

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Abstract

晶出固相と残留液相とからなる半凝固スラリーを得る鉄系合金の半凝固スラリー製造方法であって、亜共晶鋳鉄組成の材料を用い、溶湯温度が初晶の晶出開始温度以上で且つ晶出開始温度よりも50℃高い温度以下とする規定温度範囲にあるときに、少なくとも前記初晶の晶出開始温度よりも低い沸点を有する添加処理剤を添加処理して、添加処理剤の沸騰による溶湯の攪拌と溶湯の半凝固温度範囲への温度降下とを同時期的に行わせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、鉄系合金の半凝固スラリー製造方法、その半凝固スラリー製造方法を用いた鋳鉄鋳物の製造方法及び鋳鉄鋳物に関する。
金属材料が溶融した状態(融液)から冷却されて固液共存状態となっている場合、これを金属の半凝固スラリーの状態ということができる。
金属の半凝固スラリー製造方法としては、冷却中に機械攪拌を加えるようにした半凝固スラリー製造方法(特許文献1)、傾斜冷却板を用いる半凝固スラリー製造方法(特許文献2)、電磁攪拌を加える半凝固スラリー製造方法(特許文献3)等が従来開示されている。
特開平6−297097号公報 特開平10−34307号公報 特開2005−88083号公報
上記特許文献1に開示するような機械攪拌を加えるものにあっては、鋳鉄のような高融点材料の融液を対象に攪拌する場合、攪拌子がすぐに劣化したり、成分が溶け込んだりする等、使用できる実用的な攪拌子がないというような問題があった。
また上記特許文献2による傾斜冷却板を用いるものでは、これを鋳鉄のような高融点材料の半凝固スラリー製造に用いる場合、傾斜冷却板が劣化し易い問題があった。また傾斜冷却板に接触させる溶融金属が凝固付着を起こし易いことから、傾斜冷却板に対する繊細な温度管理、操業管理を施さねばならないという厄介な問題があった。
また上記特許文献3による電磁攪拌加えるものでは、大がかりな設備な必要となる他、実質的な攪拌を得るには溶湯の粘度を低く抑える必要があるため、固相率20%程度以下の低固相率のスラリーしか得られない。従って、そのような低固相率のスラリーでは、例えダイカスト等の方法で成形しても、鋳巣等の欠陥が多くなるという問題があった。
一方、鉄系合金、特に鋳鉄の半凝固スラリーを用いて、鋳鉄鋳物を製造する場合は、得られる組織が鉄−セメンタイト共晶組織になり易く、このセメンタイトを焼き戻し熱処理によって黒鉛化した場合でも、その焼き戻し黒鉛の形状が塊状となり易く、球状黒鉛を有する組織に比べて強度や伸び等の機械的性質が劣る問題があった。また鋳物が厚肉品の場合には、鋳造組織が完全な鉄−セメンタイト共晶組織にはならず、肉厚中心部に黒鉛が晶出し、しかもその黒鉛が共晶状黒鉛であるため、鋳物の強度が劣る問題があった。
そこで本発明は上記従来の問題を解消し、鉄系合金、特に鋳鉄の半凝固スラリーの製造を、攪拌子による機械攪拌、特別な設備を必要とする電磁攪拌、また傾斜冷却板の如き接触冷却手段を用いることなく、しかも良好な半凝固スラリーを得ることができる鉄系合金の半凝固スラリー製造方法の提供を課題とする。またそのような半凝固スラリー製造方法を用いた鋳鉄鋳物の製造方法及び鋳鉄鋳物の提供を課題とする。
上記課題を解決するため本発明者らは種々の実験と検討を重ねた結果、機械的攪拌手段や電磁攪拌手段を用いなくとも、溶湯から凝固に至る過程の温度をうまく制御することができることを見出し、これによって任意の固相率の半凝固スラリーを製造することを可能とし、本発明の完成に至ったものである。
即ち、本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法は、鉄系合金の溶湯を半凝固スラリー生成容器内で冷却することで、晶出固相と残留液相とからなる半凝固スラリーを得る鉄系合金の半凝固スラリー製造方法であって、亜共晶鋳鉄組成の材料を用い、この材料の溶湯温度を、その組成での初晶の晶出開始温度以上で且つ晶出開始温度よりも50℃高い温度以下とする規定温度範囲になるように制御し、前記規定温度範囲にある溶湯に対して少なくとも前記初晶の晶出開始温度よりも低い沸点を有する添加処理剤を添加処理することにより、該添加処理剤の溶湯内での沸騰による溶湯の攪拌と溶湯の半凝固温度範囲への温度降下とを同時期的に行わせるようにしたことを第1の特徴としている。
また本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法は、上記第1の特徴に加えて、添加処理剤の一部若しくは全部を鋳鉄用の黒鉛球状化剤で構成していることを第2の特徴としている。
また本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法は、上記第2の特徴に加えて、黒鉛球状化剤はMgを含有することを第3の特徴としている。
また本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法は、上記第1〜第3の何れかに記載の特徴に加えて、添加処理剤はNi、Cuの何れか一方若しくは両方を全体で85重量%以上含有することを第4の特徴としている。
また本発明の鋳鉄鋳物の製造方法は、上記第1〜第4の何れかに記載の特徴を有する半凝固スラリー製造方法により得られた半凝固スラリーを用い、この半凝固スラリーを金型空間に加圧充填して成形することを第5の特徴としている。
また本発明の鋳鉄鋳物の製造方法は、上記第5の特徴に加えて、成形後に黒鉛化熱処理を行うことを第6の特徴としている。
また本発明の鋳鉄鋳物は、上記第5の特徴若しくは第6の特徴に記載の鋳鉄鋳物の製造方法により得られることを第7の特徴としている。
また本発明の鋳鉄鋳物は、上記第7の特徴に加えて、組織が粒状結晶と球状若しくは塊状の黒鉛とからなることを第8の特徴としている。
また本発明の鋳鉄鋳物は、上記第8の特徴に加えて、Mgを0.004〜0.1重量%含有していることを第9の特徴としている。
請求項1に記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法によれば、晶出開始温度以上で且つ晶出開始温度よりも50℃高い温度以下とする規定温度範囲に制御された溶湯に対して、前記規定温度範囲よりも低い沸点を有する添加処理剤が添加処理されることにより、該添加処理剤の溶湯中での沸騰による攪拌が行われながら、溶湯が半凝固温度範囲へと温度降下されてゆく。このとき前記溶湯が攪拌されることで、溶湯全体が均温化され、溶湯内での温度勾配が解消される。これにより初晶晶出温度に達して晶出してくる初晶の形状を、デンドライト(樹枝状晶)ではなく粒状とすることが可能となる。
請求項2に記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法によれば、上記請求項1に記載の構成による効果に加えて、添加処理剤の一部若しくは全部を鋳鉄用の黒鉛球状化剤で構成しているので、得られる半凝固スラリーを用いて鋳鉄鋳物を製造する際、その組織中に球状化した黒鉛を有する組織を得ることが可能となり、これによって上記粒状化した鋳鉄組織に加えて、黒鉛が球状化した、機械的性質に優れた鋳鉄鋳物を得ることが可能となる。
請求項3に記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法によれば、上記請求項2に記載の構成による効果に加えて、黒鉛球状化剤はMgを含有するようにしたので、晶出する初晶の粒状化を一層促進することができ、鋳造するのにより好ましい半凝固スラリーを得ることができる。
請求項4に記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法によれば、上記請求項1〜3の何れかに記載の構成による効果に加えて、添加処理剤はNi、Cuの何れか一方若しくは両方を全体で85重量%以上含有するようにしたので、添加処理剤全体としての比重を、溶湯よりも大きくすることが可能となり、添加剤を溶湯の底に沈めて、その状態から沸騰させることが可能となる。よって溶湯全体の攪拌がより安定して確実に行われ、初晶晶出温度付近での溶湯温度の均温化による良好な粒状初晶の晶出が期待される。これによって一層良好な半凝固スラリーを得ることが可能となる。
また添加処理剤に黒鉛球状化剤を含む場合には、その黒鉛球状化剤の溶湯中への歩留まりがよくなるので、得られた半凝固スラリーを用いて製造される鋳鉄鋳物の黒鉛球状化を一層促進することができ、また黒鉛球状化剤の添加処理量を少なくしても効果を得ることができる。
請求項5に記載の鋳鉄鋳物の製造方法によれば、上記請求項1〜4の何れかに記載の特徴を有する半凝固スラリー製造方法により得られた半凝固スラリーを用い、この半凝固スラリーを金型空間に加圧充填して成形するようにしたので、結晶組織が粒状化した半凝固スラリーを出発材料として、金型空間に加圧充填されて鋳物成形がなされるので、得られる鋳鉄鋳物の組織として粒状結晶を多く含み、機械的性質に優れた鋳鉄鋳物を製造することができる。また黒鉛球状化剤を一部若しくは全部とした添加処理剤を用いて得られた半凝固スラリーを出発材料とする場合には、得られる鋳鉄鋳物に粒状結晶の他、球状黒鉛を多く含む組織を得ることが可能となり、十分に良好な機械的性質を有する鋳鉄鋳物を得ることが可能となる。
勿論、半凝固スラリーを金型空間に加圧充填して成形するので、結晶粒が小さく、緻密な機械的性質のよい鋳物を得ることが可能となる。
請求項6に記載の鋳鉄鋳物の製造方法によれば、上記請求項5に記載の構成による効果に加えて、成形後に黒鉛化熱処理を行うようにしたので、黒鉛化熱処理により、鋳放し状態の鋳鉄鋳物に存在する黒鉛やセメンタイトを改質して、良好な黒鉛が析出した鋳鉄鋳物にすることが可能となる。特に黒鉛球状化剤を添加処理した鋳鉄鋳物では、黒鉛の形状を球状化することが可能となり、機械的性質に一層優れた鋳鉄鋳物を得ることができる。
請求項7に記載の鋳鉄鋳物によれば、請求項5若しくは請求項6に記載の鋳鉄鋳物の製造方法により得られる鋳鉄鋳物であるので、結晶組織が粒状化した半凝固スラリーを出発材料として、金型空間に加圧充填されて製造されることから、鋳鉄鋳物として粒状結晶を多く含み、また結晶粒が小さい、緻密で機械的性質に優れた鋳鉄鋳物とすることができる。また黒鉛球状化剤を一部若しくは全部とした添加処理剤を用いて得られた半凝固スラリーを出発材料とする場合には、粒状結晶組織の他、球状黒鉛を多く含む組織とすることが可能となり、一層機械的性質に優れた鋳鉄鋳物とすることができる。
請求項8に記載の鋳鉄鋳物によれば、上記請求項7に記載の構成による効果に加えて、組織が粒状結晶と球状若しくは塊状の黒鉛とからなるので、更に機械的性質に優れた鋳鉄鋳物とすることができる。
請求項9に記載の鋳鉄鋳物によれば、上記請求項8に記載の構成による効果に加えて、Mgを0.004〜0.1重量%含有していることにより、得られる鋳鉄鋳物が鋳放しの状態でも炭素の多くが球状黒鉛として晶出した鋳鉄鋳物とすることができると共に、鋳放し状態のものを熱処理することで、更により多くの炭素が球状黒鉛、塊状黒鉛として組織中に存在する、機械的強度に優れた鋳鉄鋳物とすることができる。
本発明の鋳鉄鋳物製造方法に用いられる鋳造装置の1例であるダイカストマシンの概略を示す断面図である。 本発明の実施例5における半凝固スラリー生成容器内での温度変化を示す図である。 本発明の比較例4における半凝固スラリー生成容器内での温度変化を示す図である。 本発明の比較例2における半凝固スラリー生成容器内での温度変化を示す図である。 粒状化した初晶が晶出した実施例(表3で判定○)の半凝固スラリーを用いた鋳放し鋳物の組織を示す写真である。 デンドライトが晶出した比較例(表3で判定×)の半凝固スラリーを用いた鋳放し鋳物の組織を示す写真である。 比較例の鋳放し鋳物に現れた共晶状黒鉛組織を示す写真である。 実施例において黒鉛形状が球状黒鉛と塊状黒鉛となった(表3で判定◎)鋳放し鋳物の熱処理後の組織を示す写真である。 比較例の鋳放し鋳物に現れた共晶状黒鉛組織の熱処理後の黒鉛形状の状態(共晶状+塊状の黒鉛)を示す写真である。
符号の説明
1 可動金型
2 固定金型
3 ゲート
4 射出スリーブ
5 プランジャ
6 半凝固スラリー
7 金型空間
8 挿入口
9 射出路
先ず本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法についての実施形態を説明する。
本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法では、亜共晶鋳鉄組成の鋳鉄材料を用いる。亜共晶鋳鉄組成の鋳鉄材料の場合、この溶湯を冷却していくと、溶湯温度が降下して液相線に達することで、溶湯の凝固が開始され、固相の晶出、即ちオーステナイトが晶出してくる。これによって晶出固体と残留液相からなる固液混合の半凝固スラリーが生成されることになる。
本発明の半凝固スラリー製造方法では、亜共晶鋳鉄溶湯の冷却中において、溶湯温度が規定温度範囲内にまで冷却されてきた時に、沸点の低い添加処理剤を溶湯に添加処理するようにしている。
前記沸点の低い添加処理剤を溶湯に添加処理することで、その添加処理剤を溶湯内で沸騰させ、これによって溶湯を攪拌するのである。溶湯の攪拌を行うことで、溶湯内各部での温度差をなくし、溶湯の均温化を図ることができる。溶湯の各部が均温化された状態において初晶が晶出する場合は、その初晶はデンドライト(樹枝状晶)にはなることなく、粒状になり易い。
ただし添加処理剤の沸騰による溶湯の攪拌は、長く継続することはない。本発明者による測定では、沸騰による攪拌効果の持続時間は、数秒から長くてもせいぜい十数秒であることを知得している。
このため、添加処理剤の添加処理タイミングは、溶湯温度との関係で非常に重要となってくる。即ち、添加処理剤の沸騰により溶湯が攪拌されて全体が均温化されている状態で、初晶の晶出が行われなければならない。
更に言えば、添加処理剤の沸騰による攪拌の継続時間は、添加処理剤の量にもよるが、何十秒も継続することは難しく、数秒から十数秒ぐらいである。従って、それぐらいの攪拌継続時間の間に溶湯温度が半凝固温度(初晶晶出温度)へと温度降下していくように、添加処理剤の添加処理時の溶湯温度を限定する必要がある。
本発明者は、溶湯温度がどのような状態にあるときに添加処理剤を添加処理して沸騰を起こさせれば、溶湯からの晶出する初晶を、デンドライトではなく粒状化することができるかにつき、種々、実験と研究を重ねた。そして添加処理剤の添加処理タイミングとして、溶湯温度がその鋳鉄組成に対する初晶晶出開始温度(液相線温度)以上で且つ晶出開始温度よりも50℃高い温度以下の範囲にあるときが、最適であることを見出した。この温度範囲を本発明では規定温度範囲と呼ぶ。
前記添加処理剤の添加処理時期が、その鋳鉄組成における初晶晶出開始温度(規定温度範囲の下限温度)未満の場合は、攪拌が開始される際には既に初晶がデンドライト(樹枝状晶)として晶出しており、攪拌が行われても初晶の粒状化が望めない。一方、添加処理剤の添加処理時期が、初晶晶出開始温度よりも50℃高い温度(規定温度範囲の上限温度)を超える場合は、攪拌が行われている間には溶湯温度が初晶晶出温度まで降下せず、初晶晶出開始時には溶湯の均温化が再び崩れた状態となるため、晶出初晶を良好に粒状化させることができない。
本発明では、溶湯が規定温度範囲(その鋳鉄組成に対する初晶晶出開始温度以上で且つ晶出開始温度よりも50℃高い温度以下)にある間に添加処理剤を添加処理する。これにより溶湯が攪拌により均温化している状態で初晶の晶出を行わせることができ、粒状化した結晶をもつ晶出固体と残留溶湯とからなる半凝固スラリーを容易に、且つ確実に得ることができる。このような粒状化した初晶を有する半凝固スラリーを用いて、その後の鋳造、より広い概念における成形、を行う際に、優れた組織、優れた機械的性質をもつ成形品を得ることができる。
前記溶湯に添加処理する添加処理剤は、少なくとも、その溶湯組成における初晶の晶出開始温度(液相線温度)よりも低い沸点を有する添加処理剤とする。好ましくは、その溶湯組成における固相線温度よりも低い沸点を有する添加処理剤がよい。
亜共晶鋳鉄組成の初晶晶出開始温度よりも低い沸点を有する添加処理剤として、例えばMg、Zn、Seを用いることができる。またそれ以外の沸点が前記初晶晶出開始温度よりも低い金属固体、非金属個体を添加処理剤とすることも可能である。
添加処理剤の添加処理方法は、溶湯に対して添加処理剤を投入することで添加処理する方法を採用することができる。
また溶湯を入れる半凝固スラリー生成容器内に予め添加処理剤を配置しておいて、溶湯を前記生成容器内に流入させる方法を採用してもよい。要は、添加処理剤の添加処理による沸騰で、溶湯が攪拌されるようにすればよい。
添加処理剤は、溶湯表面等において攪拌効果を奏することなく沸騰してしまうのを防止するため、金属等の被覆手段で包んだ状態にして溶湯に投入することができる。この場合には、添加処理剤が溶湯の中へ浸漬される前に沸騰してしまうのを防ぐことが可能である。
また添加処理剤は、他の比重の重い金属固体やその他の非金属固体と混合するなどして、一体化した状態で投入することができる。これにより、添加処理剤を確実に溶湯内部に浸漬した状態で沸騰を開始させることが可能となる。
添加処理剤の添加処理に際しては、添加処理剤を溶湯内に押し込むための押込棒等の押込手段を用いてもよい。
前記添加処理剤は、その一部若しくは全部を鋳鉄用の黒鉛球状化剤で構成することができる。添加処理剤の一部若しくは全部を黒鉛球状化剤で構成することで、溶湯の攪拌による粒状化した結晶を有する半凝固スラリーを得ることができる他、その半凝固スラリーを用いて得た鋳造品の組織として、鋳放し状態或いは後熱処理を施した状態において黒鉛が球状化した鋳鉄組織を得ることが可能となる。これにより一層機械的、化学的性質に優れた鋳鉄鋳物を得ることができる。
黒鉛球状化剤としては、Mg系、Ca系、Ce系、その他の公知の黒鉛球状化剤を用いることが可能である。Mg系黒鉛球状化剤としては、例えば純Mg、Cu−Mg合金、Ni−Mg合金、Fe−Si−Mg合金、Ni−Si−Mg合金がある。またCa系黒鉛球状化剤としては、Ca−Si−Mg合金、Fe−Ca−Si合金、Ca−Si合金、Ce系黒鉛球状化合金としては、ミッシュメタル等を用いることができる。
ただし、添加処理剤の全てを黒鉛球状化剤で構成する場合には、黒鉛球状化剤の少なくとも一部に低沸点物質、即ち溶湯組成における初晶の晶出開始温度(液相線温度)よりも低い沸点を有する物質を含む必要がある。このような黒鉛球状化剤に用いられる低沸点物質としては、Mg(沸点1090℃)、Ce(沸点671℃)があるが、コスト等の面を考慮すればMgが好ましいと言える。
前記黒鉛球状化剤としてはMgを含むものが、Mgの沸騰による溶湯攪拌効果を期待できるので好ましい。しかし、同時に比重の大きい金属や非金属を含むものが好ましい。比重の大きい金属を黒鉛球状化剤に含むことで、黒鉛球状化剤を容易に溶湯内へ浸漬させることができる。
黒鉛球状化剤としてのMgの溶湯への添加処理量は、0.1〜0.5重量%が好ましい。0.1重量%未満の場合は、反応時間が数秒未満となるなど短すぎ、よって溶湯の均温化及び均温化を保持できる時間が短すぎる。一方、0.5重量%を超える場合は、反応が激しすぎて好ましくない。上記の0.1〜0.5重量%のMgを添加処理する場合に、後述する鋳鉄鋳物の鋳放し状態での含有量が0.004〜0.1重量%となるのが好ましい。0.004〜0.1重量%含有することで、晶出する黒鉛の球状化、及び黒鉛化熱処理で析出する塊状黒鉛の形状を球状に近づけることができる。
前記Feの比重よりも大きい金属としては、Cu、Niがある。黒鉛球状化剤にCu、Niの何れか1種または両方で85重量%以上を含有させることで、黒鉛球状化剤の比重が鋳鉄溶湯の比重より重くなり、溶湯中に沈む。よって黒鉛球状化剤による溶湯攪拌効果を一層上げることができると共に、黒鉛球状化の効果をも上げることが可能となる。また含有されるMg等の球状化元素の歩留まりがよくなる。
以上のように、黒鉛球状化剤を添加処理剤の一部若しくは全部として用いる場合においては、Mgの他、Cu、Niを含む黒鉛球状化剤が好ましいと言える。
Mg、Cu、Niを含む黒鉛球状化剤は、例えばMg、Cu、NiをCu−Mg合金、Ni−Mg合金、Cu−Ni−Mg合金として含むようにすることができる。なおCu、Niは、黒鉛球状化剤を含めた添加処理剤に、一方または両方で85重量%以上含有させることができる。
添加処理剤による添加処理による溶湯沸騰の程度や持続時間の加減は、例えば添加処理剤の量や半凝固スラリー生成容器内の圧力を加減することで、制御することが可能である。
半凝固スラリー生成容器は、取鍋等から溶湯を流入させ、そこで半凝固スラリーになるまで冷却を行うための容器である。該半凝固スラリー生成容器には、流入された溶湯の冷却速度を制御する冷却速度調節手段を備えるのが好ましい。
前記冷却速度調節手段は、溶湯温度が規定温度範囲の上限温度(初晶晶出開始温度より50℃高い温度)から規定温度範囲の下限温度(初晶晶出開始温度)まで降下するのに要する時間を制御する。これによって、添加処理剤の添加処理による溶湯攪拌により溶湯各部が均温化している間に、確実に、溶湯からの初晶の晶出が開始されるようにすることが可能となる。
例えば、添加処理剤の添加処理により溶湯が攪拌され、溶湯各部が均温状態になる時間が10秒である場合には、添加処理剤を添加処理した温度(例えば規定温度範囲の上限温度)から下限温度までの温度降下(例えば50℃)が10秒以下で行われるように、冷却速度調節手段により冷却速度(温度降下速度)を調節すればよい。
冷却速度調節手段は、具体的には予熱手段と冷却促進手段とを備えたものとすることで、半凝固スラリー生成容器内での溶湯の冷却速度を所望の速度に調節することができる。
なお、半凝固スラリー生成容器からの半凝固スラリーの取り出しの際には、高周波誘導加熱手段等からなる予熱手段を用いて、半凝固スラリー生成容器を素早く加熱し、半凝固スラリーの生成容器接触部分のみを加温することで、取り出しを容易に行うと共に、半凝固スラリーに温度ムラが発生するのを防止して、所望の固相率での取り出しを確保する。
また溶湯を半凝固スラリー生成容器に注湯するタイミングは、溶湯が前記規定温後範囲になった時とする。が、勿論、規定温度範囲を超える温度で半凝固スラリー生成容器に注湯してもよい。この場合は、溶湯が半凝固スラリー生成容器内で冷却され、規定温度範囲内に達した時に添加処理剤の添加処理による攪拌を行わせることになる。
次に上記した鉄系合金の半凝固スラリー製造方法においての作業手順は次のようになる。
半凝固スラリーの製造原料は亜共晶鋳鉄組成の材料を用いる。原料を溶解炉にて溶解し、所定の亜共晶鋳鉄組成となる溶湯を得る。
溶解炉で溶解された溶湯は、適当な量ずつ取鍋やその他の中間容器を経て半凝固スラリー生成容器に注湯される。半凝固スラリー生成容器に注湯された溶湯はそこで冷却され、初晶が晶出した半凝固スラリーとなる。添加処理剤の添加処理は溶湯温度が規定温度範囲になった時に行われるが、規定温度範囲となった溶湯が半凝固スラリー生成容器に注湯される際、或いは半凝固スラリー生成容器に注湯された溶湯が規定温度範囲にまで温度降下した時に行われる。添加処理された添加処理剤の沸騰により溶湯が攪拌されながら冷却され、均温状態となって初晶晶出温度に達する。よって、デンドライトではなく粒状の初晶が晶出され、粒状初晶と残留液相とからなる半凝固スラリーが生成される。半凝固スラリーはその状態のまま半凝固スラリー生成容器から取り出され、鋳造等による成型加工に供される。
次に本発明の鋳鉄鋳物の製造方法を説明する。
本発明の鋳鉄鋳物の製造方法は、以上で説明した本発明の半凝固スラリー製造方法により得られた半凝固スラリーを用い、この半凝固スラリーを金型空間に加圧充填して成形する鋳鉄鋳物の製造方法である。
図1に本発明に係る鋳鉄鋳物の製造方法に用いられる鋳造装置の1例として、ダイカストマシンの概略を示す。該ダイカストマシンにより、金型空間に半凝固スラリーを加圧充填して成形を行う。このダイカストマシンには、可動金型1と固定金型2とによって金型空間7が構成されている。前記固定金型2に対して射出スリーブ4が取り付けられている。射出スリーブ4内には射出路9が構成され、プランジャ5が射出路9を進退できるように構成されている。前記射出スリーブ4の一部に半凝固スラリー6を挿入する挿入口8が設けられている。
半凝固スラリー生成容器によって得られた本発明の半凝固スラリー6は、前記挿入口8から射出スリーブ4内に入れられ、プランジャ5によって射出路9内を通ってゲート3から金型空間7内に加圧充填され、鋳造がなされる。金型空間7内での鋳造が完了すると、可動金型1を固定金型2から離間させて、鋳鉄鋳物を取り出す。
本発明の鋳鉄鋳物の製造方法では、半凝固スラリー6を金型空間7に加圧充填して、加圧下で凝固させる方法を採用するが、その金型への加圧充填の方法については上記ダイカストマシーンによる方法に限定されるものではない。
本発発明の鋳鉄鋳物の製造方法によれば、本発明の半凝固スラリー製造方法により得られる、粒状結晶をもつ初晶と溶湯との半凝固スラリーを、更に金型空間内に加圧充填して成形するので、得られる鋳鉄鋳物の組織が欠陥やデンドライトのない緻密な組織となり、機械的性質、化学的性質に優れた鋳鉄鋳物を得ることができる。
また本発明の鋳鉄鋳物の製造方法において、鋳造による鋳鉄鋳物の成形後に、鋳放し状態のままではなく、後処理として黒鉛化熱処理を行うようにしてもよい。黒鉛化熱処理を施すことにより、鋳放し状態にある鋳鉄鋳物の組織を改善し、晶出乃至析出した炭素の黒鉛化及び黒鉛の形状の改質化を図ることが可能となる。これにより一層、機械的、化学的に優れた鋳鉄鋳物を得ることが可能となる。
また半凝固スラリーを生成する際に、予め黒鉛球状化剤による処理を施してなる鋳鉄鋳物の場合には、後処理として黒鉛化熱処理を施すことにより、組織中の黒鉛を十分に球状にし、また塊状にすることが可能となり、一層機械的、化学的に優れた鋳鉄鋳物とすることができる。
前記黒鉛化熱処理は、例えば800〜900℃で数時間保持し、またはこれを数回繰り返すことで行うことができる。なお、黒鉛化熱処理温度は前記温度に限らず、公知の熱処理温度を用いることができる。
次に本発明の鋳鉄鋳物を説明する。
本発明の鋳鉄鋳物は、上記した本発明の鋳鉄鋳物の製造方法により製造された鋳鉄鋳物である。この鋳鉄鋳物には鋳放し状態の鋳鉄鋳物の他、後処理として黒鉛化熱処理を施した鋳鉄鋳物を含む。
本発発明の鋳鉄鋳物によれば、本発明の半凝固スラリー製造方法により得られる粒状結晶をもつ初晶と溶湯との半凝固スラリーを、本発明の鋳鉄鋳物の製造方法により金型空間内に加圧充填して成形された鋳鉄鋳物であるので、鋳鉄鋳物の組織が欠陥やデンドライトのない緻密な組織となり、良好な機械的性質、化学的性質を発揮することが可能となる。
加えて、本発明の鋳鉄鋳物は、組織が粒状結晶と球状若しくは塊状の黒鉛とからなるので、現に強度、伸び共に優れた鋳鉄鋳物を提供することができる。
また本発明の鋳鉄鋳物は、Mgを0.004〜0.1重量%含有させるようにする。Mgを0.004重量%以上含有するものは、晶出する黒鉛の球状化を促進し、また黒鉛化熱処理で析出する塊状黒鉛の球状化を促進する。鋳鉄鋳物中に含有するMg量は0.1重量%以下で十分である。0.1重量%を超えると組織上好ましくない。
鋳鉄鋳物中のMg含有量は、好ましくは0.01〜0.05重量%とする。
成分組成が、C(炭素)を2.6重量%、Si(珪素)を1.5重量%含む亜共晶鋳鉄組成とした原料を用いた。この原料の液相線温度(晶出開始温度)は1300℃、固相線温度は1150℃である。これを溶解炉で溶解して溶湯とした。そして溶湯を予め1000℃に予熱した半凝固スラリー生成容器(内径70mm)に注湯するようにした。
それぞれ3kgの溶湯を、実施例1〜11、比較例1〜5とした。
表1に半凝固スラリーの製造条件を示す。
一方、沸騰による攪拌効果をもたらす添加処理剤として、A、B、Cの3種類の添加処理剤を用意した。添加処理剤は実施例1〜11、比較例3〜5にのみ添加処理し、比較例1、2には添加処理しなかった。
表2に各添加処理剤の組成を示す。
また各実施例1〜11において、添加処理剤中のMg分の添加処理量(重量%)は、0.1重量%のものと、0.3重量%のものと、0.5重量%のものとした。
添加処理剤の添加処理の方法は、半凝固スラリー生成容器に処理温度の溶湯を注湯しながら添加処理剤を半凝固スラリー生成容器に投入する方法(注湯中)と、予め半凝固スラリー生成容器内(底部)に添加処理剤を入れておき、処理温度の溶湯を注湯する方法(容器)の2方法とした。
注湯した溶湯を半凝固スラリー生成容器内で1200℃まで冷却し、半凝固スラリーを得た。
得られた半凝固スラリーを容器から取り出し、図1に示すようなダイカストマシンを用いて金型空間に加圧充填して、100×50×20mmの鋳鉄鋳物を得た。
鋳放し状態の鋳鉄鋳物での初晶形状を組織観察した。
鋳放し状態の鋳鉄鋳物での黒鉛形状を組織観察した。
前記鋳放し状態の鋳鉄鋳物を900℃で2時間保持する熱処理を施し、該熱処理後の鋳鉄鋳物の黒鉛形状を組織観察した。
結果を表3に示す。
表3において、初晶が粒状に晶出したものは○、デンドライトとして晶出したものは×とした。また初晶が粒状に晶出したもの(○)のうち、鋳放しの鋳鉄鋳物の黒鉛形状が球状となり、熱処理後の鋳鉄鋳物の黒鉛形状が、球状+塊状となったものを◎とした。
Figure 0004382152
Figure 0004382152
Figure 0004382152
図2に実施例5の半凝固スラリー生成容器内での温度変化を示す。
図3に比較例4の半凝固スラリー生成容器内での温度変化を示す。
図4に比較例2の半凝固スラリー生成容器内での温度変化を示す。
なお半凝固スラリー生成容器内での溶湯の温度測定は、容器の長さ方向の中心で且つ径方向の中心でもある中心位置と、長さ方向の中心で且つ径方向には容器の内壁から5mmの位置にある外側位置との2箇所で測定した。
図5に実施例において初晶が粒状化した鋳放し鋳鉄鋳物の顕微鏡組織を示す。
図6に比較例1、2において初晶がデンドライト化した鋳放し鋳鉄鋳物の顕微鏡組織を示す。
図7に比較例1、2において鋳放し状態の鋳鉄鋳物に共晶状黒鉛が晶出した顕微鏡組織を示す。
図8に実施例において熱処理後の鋳鉄鋳物に「球状+塊状」黒鉛が現れた顕微鏡組織を示す。
図9に比較例1、2において熱処理後の鋳鉄鋳物に「共晶状+塊状」の黒鉛が現れた顕微鏡組織を示す。
表3から明らかなように、実施例1〜11は、何れも1300℃(晶出開始温度)〜1350℃の規定温度範囲において添加処理剤を添加処理しており、粒状の初晶を得ることができる。即ち、粒状の初晶をもつ半凝固スラリーを得ることができる。
一方、比較例1、2は添加処理剤を用いないので、沸騰による攪拌効果が得られず、デンドライトの初晶が晶出する。比較例3、4は、添加処理剤を添加処理する溶湯の温度が、規定温度範囲(1300〜1350℃)から外れており、初晶晶出時に溶湯を均温化させることができず、デンドライトの初晶が晶出する。
図2は、実施例5において、添加処理剤の添加処理後における溶湯の温度変化を示す。溶湯を1350℃で半凝固スラリー生成容器へ注湯中に添加処理剤を添加処理する。Mgを含む添加処理剤による沸騰、攪拌が約6秒間継続し、その後の2秒間を含めた約8秒の間に初晶晶出開始温度(凝固開始温度)である1300℃付近まで温度が降下すると共に、沸騰による攪拌で溶湯の中心位置での温度(実線)と外側位置での温度(点線)での温度差がない均温化状態となる。これにより粒状の初晶が晶出する。
図3は、比較例4において、半凝固スラリー生成容器に添加処理剤を予め入れて(添加処理して)おき、1400℃の溶湯を注湯したものである。添加処理剤の沸騰による攪拌が約6秒間継続し、その後の2秒間を含めた約8秒の間は中心位置の温度(実線)と外側位置の温度(点線)との温度差がない(均温化状態)が、注湯温度が高いため、その間に凝固開始温度まで下らず、凝固開始時には中心位置と外側位置で温度差が生じている。これによりデンドライトの初晶が晶出する。
図4は、比較例2の半凝固スラリー生成容器内での温度変化を示す。添加処理剤による攪拌効果が望めず、注湯直後から中心位置での温度(実線)と外側位置での温度(点線)とに大きな温度勾配が生じている。
表3において、実施例1〜11のうち◎判定となった熱処理後の鋳鉄鋳物と、比較例1、2のうち×判定となった熱処理後の鋳鉄鋳物とを、それぞれ900℃で2時間保持後に炉から取り出して放冷する照準熱処理を行い、引張り試験を実施した。比較例1、2のものは引張り強度が400MPa以下、伸びが1%以下であるのに対し、◎判定となった実施例3、5、6、7、8、9、11のものは引張り強度が850MPaで、伸びはおおよそ5%であった。
実施例から明らかなように、本発明により、これまでの半凝固法と比較して非常に簡便に、且つその後の鋳造やその他の成形に適した粒状の初晶を有する半凝固スラリーを得ることが可能となった。
更に厚肉部品での共晶状黒鉛の晶出を防止し、且つ黒鉛化熱処理後の塊状黒鉛を球状に近づけることができ、高強度で靭性に優れる材料の作製が可能となった。
本発明の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法、それを用いた鋳鉄鋳物の製造方法及び鋳鉄鋳物は、鋳鉄鋳物やその他の鋳鉄を用いた成形加工の分野において、産業上の利用性が大きい。

Claims (9)

  1. 鉄系合金の溶湯を半凝固スラリー生成容器内で冷却することで、晶出固相と残留液相とからなる半凝固スラリーを得る鉄系合金の半凝固スラリー製造方法であって、亜共晶鋳鉄組成の材料を用い、この材料の溶湯温度を、その組成での初晶の晶出開始温度以上で且つ晶出開始温度よりも50℃高い温度以下とする規定温度範囲になるように制御し、前記規定温度範囲にある溶湯に対して少なくとも前記初晶の晶出開始温度よりも低い沸点を有する添加処理剤を添加処理することにより、該添加処理剤の溶湯内での沸騰による溶湯の攪拌と溶湯の半凝固温度範囲への温度降下とを同時期的に行わせるようにしたことを特徴とする鉄系合金の半凝固スラリー製造方法。
  2. 添加処理剤の一部若しくは全部を鋳鉄用の黒鉛球状化剤で構成していることを特徴とする請求項1に記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法。
  3. 黒鉛球状化剤はMgを含有することを特徴とする請求項2に記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法。
  4. 添加処理剤はNi、Cuの何れか一方若しくは両方を全体で85重量%以上含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の鉄系合金の半凝固スラリー製造方法。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の特徴を有する半凝固スラリー製造方法により得られた半凝固スラリーを用い、この半凝固スラリーを金型空間に加圧充填して成形することを特徴とする鋳鉄鋳物の製造方法。
  6. 成形後に黒鉛化熱処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の鋳鉄鋳物の製造方法。
  7. 請求項5若しくは6に記載の鋳鉄鋳物の製造方法により得られる鋳鉄鋳物。
  8. 組織が粒状結晶と球状若しくは塊状の黒鉛とからなることを特徴とする請求項7に記載の鋳鉄鋳物。
  9. Mgを0.004〜0.1重量%含有していることを特徴とする請求項8に記載の鋳鉄鋳物。
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