JP2004255422A - 固液金属スラリーの製造装置および製造方法 - Google Patents
固液金属スラリーの製造装置および製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004255422A JP2004255422A JP2003049495A JP2003049495A JP2004255422A JP 2004255422 A JP2004255422 A JP 2004255422A JP 2003049495 A JP2003049495 A JP 2003049495A JP 2003049495 A JP2003049495 A JP 2003049495A JP 2004255422 A JP2004255422 A JP 2004255422A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- solid
- slurry
- cylinder
- molten metal
- liquid metal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)
Abstract
【課題】本発明の課題は、固液金属スラリーの組織を高精度で制御できるの製造装置と製造方法とを提供することである。
【解決手段】本発明の固液金属スラリーの製造装置は、溶融金属を保持する保持容器と、保持容器に保持されて溶融金属を冷却攪拌し、溶融金属中に固体結晶を生成する回転冷却筒と、を有する固液金属スラリーの製造装置において、回転冷却筒はその外表面に固体結晶核を生成する生成手段を有することを特徴とする。
本発明の固液金属スラリーの製造方法は、溶融金属からなる溶湯を保持容器へ供給する供給工程と、この溶湯を冷却して固体結晶核を生成して溶湯をスラリーとする結晶核生成工程と、スラリーの固相率を調整する固相率調整工程と、スラリーの組成と固相の分布を均質化するスラリー均質化工程と、均質化されたスラリーを保持容器から排出する排出工程と、からなることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の固液金属スラリーの製造装置は、溶融金属を保持する保持容器と、保持容器に保持されて溶融金属を冷却攪拌し、溶融金属中に固体結晶を生成する回転冷却筒と、を有する固液金属スラリーの製造装置において、回転冷却筒はその外表面に固体結晶核を生成する生成手段を有することを特徴とする。
本発明の固液金属スラリーの製造方法は、溶融金属からなる溶湯を保持容器へ供給する供給工程と、この溶湯を冷却して固体結晶核を生成して溶湯をスラリーとする結晶核生成工程と、スラリーの固相率を調整する固相率調整工程と、スラリーの組成と固相の分布を均質化するスラリー均質化工程と、均質化されたスラリーを保持容器から排出する排出工程と、からなることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非樹枝状初晶が金属(一般には合金)液相中に分散したスラリー状の固体−液体金属混合物(以下、固液金属スラリーという)の製造装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウムやマグネシウム、又はそれらの合金の固液金属スラリーは、鋳造、圧延、鍛造、押出等の加工素材として多く用いられている。
例えば、セミソリッド鋳造では通常の鋳造方法に比べて、得られた部材の鋳造欠陥や鋳造ひずみ、あるいは残留応力などが少ない、寸法精度が高い、さらに、強度や靭性、延性といった機械的性質が向上する、など多くの優れた特性の得られることが知られている。
【0003】
セミソリッドスラリーを製造するために、例えば、チクソキャスト法やレオキャスト法が広く採用されている。しかし、チクソキャスト法では、専用のビレットと再加熱装置が必要であり、製造作業が繁雑であると共に、エネルギー的にもロスが多い。また、水冷された冷却部に溶湯を接触させながら連続的にスラリーを排出するレオキャスト法ではスラリーの温度管理が精密に行われないために、固液金属スラリーの品質が安定しないといった問題があった。
【0004】
セミソリッドスラリーを連続的に得る方法は、生産性を向上する上で極めて有用であり、多くの研究がなされている。
【0005】
例えば、攪拌子に設けた冷却手段によって保持容器中の溶融金属を冷却攪拌してスラリーとし、攪拌子の回転に伴うスラリーの回転流動による遠心力を利用してスラリーを排出する方法(特許文献1参照)、また、溶湯保持容器を外周から冷却しながら溶湯を電磁誘導攪拌してスラリーとなし、溶湯中に没入した耐火物中子のストッパーを調節して保持容器の底部ノズルからスラリーを流出させる方法(特許文献2参照)、あるいは、溶湯保持容器を外周から冷却して容器内面に形成した凝固層を攪拌回転子に設けたスクレーパチップで削り取り、攪拌子の回転によりスラリーとなし、保持容器底部のノズルから排出する方法(特許文献3参照)等が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−274841号公報
【特許文献2】
特開平4−305336号公報
【特許文献3】
特開平7−100589号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法はいずれも初晶の生成を水冷による急冷凝固としているために、溶湯と接する攪拌回転子の表面、あるいは保持容器の内壁に凝固殻が形成されやすい。このため結晶核生成のコントロールが困難である、また、固相をデンドライトに成長させてから高速で剪断するため、固相同士の接触が促進され合体・成長することにより、微細な初晶粒子を得ることができず、組織の微細化が困難となる、などの問題がある。特に、特許文献3の凝固殻をスクレーパで削り取る方法では、固相が粗大で不均一なために均質なスラリーを得ることができない。また、特許文献2のストッパーによるスラリー流出状況の調節方法では、ノズル周辺の温度制御が不十分なために、スラリーの凝固により一旦ノズルが閉塞されると、再度スラリーを流出するように回復することができないといった問題がある。
【0008】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、本発明の課題は、固液金属スラリーの組織を高精度で制御できるの製造装置と製造方法とを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは溶湯を冷却し固体結晶核を生成するに際して、従来の水冷による急冷凝固に代えてエアによる溶湯の徐冷に着目した。さらに、結晶核の晶出しやすい表面形状を回転冷却筒の表面に形成することに思い到った。
【0010】
本発明の固液金属スラリーの製造装置は、溶融金属を保持する保持容器と、保持容器に保持されて溶融金属を冷却攪拌し、溶融金属中に固体結晶を生成する回転冷却筒と、を有する固液金属スラリーの製造装置において、回転冷却筒はその外表面に固体結晶核を生成する生成手段を有することを特徴とする。回転冷却筒は底付中空円筒である外筒と、この外筒と同軸的に配設された中空の内筒とからなる中空二重筒構造を有しており、エアまたは水などの冷媒を内筒から外筒へ環流させる構造であることができる。固体結晶核の生成手段は、回転冷却筒の外筒の外表面に形成された凸部であり、その高さは5〜20μmであることが望ましい。
【0011】
また、保持容器は、断熱保持ゾーン、結晶核生成ゾーン、急冷ゾーン、スラリー調整ゾーンおよびノズル部から構成されており、各ゾーンの温度を個別に調整する温度調整補助手段を有することができる。
【0012】
回転冷却筒の外周面には螺旋翼が形成されており、さらに、回転冷却筒の先端には固液金属スラリーを均質化する攪拌手段が固設されていることが望ましい。
攪拌手段はセラミックス製の断熱攪拌フィンとすることができる。回転冷却筒は保持容器の軸芯周りに、20〜200rpmの回転数で回転することが好ましい。
【0013】
固液金属スラリーを排出するノズル部の開口を封止する封止材は固液金属スラリーと同一の材料を凝固して封止材とすることが好ましく、ノズル部を急熱・急冷することにより封止材を溶融又は凝固して固液金属スラリーの排出を調節することができる。
【0014】
また、回転冷却筒に超音波を付与することも好ましい。
【0015】
本発明の固液金属スラリーの製造方法は、溶融金属からなる溶湯を保持容器へ供給する供給工程と、この溶湯を冷却して固体結晶核を生成して溶湯をスラリーとする結晶核生成工程と、スラリーの固相率を調整する固相率調整工程と、スラリーの組成と固相の分布を均質化するスラリー均質化工程と、均質化されたスラリーを保持容器から排出する排出工程と、からなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係わる固液金属スラリーの製造装置の一実施例を図1に断面概略図で示す。
【0017】
製造装置10は、Al及びその合金、あるいは、Mg及びその合金などの溶融金属からなる溶湯11を断熱保持する外周部を断熱材12で形成された保持容器13と、溶湯11中に没入して溶湯11を冷却攪拌する回転冷却筒14とからなる。
【0018】
保持容器13は、溶湯を断熱保持する断熱保持ゾーン16、溶湯を半溶融温度にまで冷却して溶湯中に微細な結晶を晶出する冷却ゾーン17、スラリー中の固相率を調整する急冷ゾーン18、スラリー中の組成と固相の分布を均質化するスラリー調整ゾーン19、及びスラリーの排出を調節するノズル部20とに区画されている。各ゾーンは、保持容器13の外周部に設けられた温度調整補助手段15によって各々独立して加熱・冷却できるように構成されている。
【0019】
回転冷却筒14は底付中空円筒の外筒23と、外筒23と同軸的に配設された内筒24との中空二重筒構造を有しており、冷媒イは内筒24中空部30を経由して内筒24とそと筒23との空隙31へ環流することができる。
【0020】
また、保持容器13の冷却ゾーン17および急冷ゾーン18に対応する回転冷却筒14の外表面には、溶湯を攪拌し下方へ押し出す螺旋翼33と、結晶核生成手段としての微小な凸部34が形成されている。回転冷却筒14のこの部分の詳細を図2によって説明する。図2は、回転冷却筒14の部分側面図であり、左側は軸心を通って半径方向に切断したA−A断面を示している。33は螺旋翼である。外表面34は結晶核生成手段であり、結晶核が優先的に生成するように微細な凸形状に形成されている。
【0021】
図2の(a)は外表面34の拡大側面図であり、(b)は拡大断面図である。外表面34は螺旋翼33と平行に螺旋状の微細な凹凸が機械加工してある。ここで凹凸の形状は(b)のように山谷の頂角αはほぼ60度であり、さらに凸部である山の高さhはピッチpとほぼ同等であることが好ましい。
【0022】
また、回転冷却筒14の先端にはスラリー溜まり28に滞留したスラリーを均質化して排出ノズル21方向へ送出する断熱攪拌フィン25が固設されている。26は高周波振動子であり所望により回転冷却筒14に高周波振動を付与することができる。
【0023】
このように構成される固液金属スラリーの製造装置10を用いて以下の方法で所望の固液金属スラリーを得ることができる。
【0024】
まず、保持容器13の内面に窒化ホウ素などからなる離型剤を塗布し、回転冷却筒14を溶湯保持容器13のセンター軸にセットして溶融金属の温度付近に予熱する。このとき、溶湯と同種の合金製の封止材22でノズル部20の排出口21を封止してノズル部20を水冷しておく。
【0025】
次に、溶融金属の溶湯を保持容器13に供給し(供給工程)、回転冷却筒14を20〜200rpmで回転しながら回転冷却筒14の内筒24から外筒23に向けて冷却エアを注入する。保持容器13の冷却ゾーン17では、回転冷却筒14のエア流量を調整することにより、この領域の溶湯の冷却速度を所定の冷却速度となし、回転冷却筒外表面への結晶核の生成を促進する(結晶核生成工程)。
生成された微細結晶は回転冷却筒の表面から離脱して液相中に遊離し、溶湯はスラリーとなる。また、このとき所望に応じて、冷却回転筒に超音波振動を付与することにより、微細結晶の離脱をさらに促進することができる。
【0026】
急冷ゾーン18では、微細結晶を有するスラリーを急冷して所望の固相率を有するスラリーとなす(固相率調整工程)。得られたスラリーは、さらにスラリー調整ゾーン19のスラリー溜まり28に滞留し、攪拌フィン25で攪拌されて組成と固相の分布とが均質な固液金属スラリーとなる(スラリー均質化工程)。
【0027】
なお、その間に下部ノズル20の温度調整手段27を加熱に切り替えて封止材22を溶解し、回転冷却筒を回転させることによりスラリー溜まり28で調整された固液金属スラリーを連続的にノズル21から排出することができる(排出工程)。
【0028】
このようにして得られた固液金属スラリーを、例えば、ダイカストマシンのプランジャに移し、直ちに射出成形することにより所望の部材を得ることができる。
【0029】
本発明で保持容器とは、注湯された金属溶湯を所定の固相率まで冷却して多数の微細な固体結晶を晶出させるために用いる容器であり、温度制御を容易にするためにセラミックスやガラス繊維等の断熱材で外気温と断熱されていることが望ましい。また、保持容器の材質は、特に制限はなく、ステンレスや鋳鉄などの金属、またはアルミナ等のセラミックスやグラファイトなどの非金属、さらには、ステンレスなどの金属容器の内面にZrO2等の非金属を塗布したものでもよい。
【0030】
ここで、保持容器内の溶湯又はスラリーを回転冷却筒で内部から冷却するのは、固体結晶核生成の温度域での溶湯の均熱化と精度の高い温度制御を容易にするためである。
【0031】
例えば、保持容器の外周部からの冷却では、溶湯を急冷した場合に結晶核は容器の内壁面に生成し、そのまま安定化して剥離しないで固体層を形成してしまう。このため、スクレーパで掻き取るとか、又は溶湯を激しく攪拌して中心部の未冷却溶湯によって固体層を再溶融させながら溶湯全体を均熱化する方法を採る。
しかし、固体層をスクレーパで掻き取ったり、溶湯を激しく攪拌するなどの方法では、いずれ場合にも固相が粗大化してしまい好ましくない。
【0032】
本発明では、底付中空円筒形状の回転冷却筒を溶湯内に没入し、中空二重筒構造の内筒から外筒へ温度や流量などを制御したエアを環流させると共に、回転冷却筒を緩やかに回転させて、溶湯またはスラリーを徐冷するので所定の温度に精度よく制御することができる。すなわち、本発明では、従来法のように半溶融温度領域で晶出した初晶を機械攪拌や電磁攪拌で強制的に破砕し球状化することなく、半溶融温度領域での温度低下と緩やかな攪拌によって結晶核生成手段を起点として生成した微細結晶を、液相中に遊離させスラリーとする方法であるので、形成された固相は微細であり、さらに固相同士が合体して粗大化することが極めて少ない。
【0033】
さて、本発明では保持容器の冷却ゾーンで回転冷却筒の外表面に固体結晶核を生成する結晶核生成手段を有する構成とした。従って、回転冷却筒の溶湯と接する表面は、多数の固体結晶核が生成しやすく、かつ離脱しやすい形状を有することが望ましい。つまり、回転冷却筒の溶湯と接する表面は、平滑面ではなく、例えば、V字溝やクロスハッチを有する凹凸面や、所望の粒径の耐火物などをコーティングして微細凸部を形成した面などであることが有効である。
【0034】
固体核生成手段の形状と固相粒子の平均粒径との関係を、冷却攪拌のみ場合とと、さらに超音波振動を付与した場合とで調査した。結晶核生成手段としては、ステンレス製の回転冷却筒に、表面溝深さを100μmと10μmとに加工した表面、及びRzで1.5μm以下に研磨した表面の3水準の表面を形成した。また、超音波振動は20KHzの超音波を作業中常時付与した。結果を図5に示す。
【0035】
図5で、○は冷却攪拌のみの場合であり、●は超音波振動を付与した場合である。表面溝深さが10μmの表面では、冷却攪拌のみの場合に固相粒子径が90μmとなり、また、さらに超音波を付与した場合には50μm常磐目手微細な固相を得ることができた。すなわち、表面溝深さが10μmの場合が超音波付与の有無に係わらず最も固相粒子径の微細化に効果のあることが分かった。これは、この表面形状が多数の固体結晶核を均一に安定して生成しやすかったためと考えられる。一方、表面溝深さが100μmや、表面をRzで1.5μm以下に研磨した場合には、固体結晶核が安定して生成しにくく、また、生成した結晶核同士が合体しやすい環境条件になるために固相粒子径が大きくなったものと推定される。
【0036】
また、超音波の付与はいずれの表面形状の場合にも微細化の効果が顕著に見られ、主として、生成した固体結晶核を回転冷却筒表面から離脱分散させる作用が有効に働いたものと考えられる。
【0037】
なお、表面溝や超音波が固相粒径に及ぼす影響は、関連する多くの要因の複合作用として現れると考えられ、例えば、回転冷却筒の材質や溝の形状、回転速度、合金組成などによって効果も変動するものと考えられる。しかし、図5から、螺旋翼と平行な表面溝を設ける場合の溝深さは5〜20μmが好ましく、超音波付与の効果は、本発明のような冷却回転子の表面からの多量微細核生成条件のもとでは極めて有効であることが分かった。
【0038】
以上のようにして、溶湯からの微細かつ多量の固体結晶核を回転冷却筒の外表面上に優先的に生成させ、回転冷却筒の表面に安定な結晶としての固体層を形成する前に、回転冷却筒の回転による遠心力と剪断力とによって固体結晶を回転冷却筒の表面から液相中へ離脱させることができる。
【0039】
なお、この時の回転冷却筒の回転数は20〜200rpmの低速回転が好ましい。20rpm以下では、固体結晶核の離脱と分散及び温度の均一化が不十分となり、また、200rpm以上では結晶の合体による粗大化が進行するので好ましくない。
【0040】
固液金属スラリーの固相率は成形加工方法によって異なるが、概ね20〜60体積%であることが望ましい。固相率が20%未満では素材が軟らかいためにハンドリングが困難であり、また、ダイカスト成形では空気の巻き込みや成形部材の組織に偏析を生じることがあるので望ましくない。また、60%を越えると見かけ粘性が非常に大きくなり、スラリーの流動性が低下するため保持容器からの連続排出が困難となる。より好ましくは25〜50体積%である。
【0041】
このようなスラリーの固相率は本発明の保持容器の急冷ゾーンで調整することができる。急冷ゾーンは、所定の固相率に対応する温度まで、すでに存在する微細な固体結晶の合体成長を抑制しながら、回転冷却筒の表面から新たな固体結晶核の生成を促進する領域である。このため所望の固相率となる固液共存温度まで急冷することが望ましい。
【0042】
また、スラリー調整ゾーンは、もっぱらスラリー中の組成と生成した固相の分布を均質化する領域である。ここでは、スラリー溜まりに滞留する固液金属スラリーを、回転冷却筒の下部に取り付けた断熱フィンによって緩やかに攪拌して均質化すると共に、均質化された固液金属スラリーをノズル部の排出口に向かって送出する。なお、断熱攪拌フィンはSi3N4等のセラミックスやステンレスなどの金属で形成されていることが好ましい。
【0043】
なお、各ゾーンにおける溶湯やスラリーを温度制御する補助手段として、保持容器外周部をヒータや高周波誘導コイルで加熱、あるいは攪拌することも好ましく、また、保持容器外周部に冷却用の空冷あるいは水冷パイプを部分的に設置するなど、必要に応じて適宜追加することができる。
【0044】
前記のように固液金属スラリーは高固相率になるほど見かけ粘性が高くなり、固相率が60%を越えるとほとんど流動性がなくなることが知られている。
本発明の回転冷却筒は、その外周部に螺旋形状の螺旋翼を有しているので高固相率の固液金属スラリーを押し出す推進力を発揮することができる。また、この回転冷却筒の先端に固設された断熱攪拌フィンも、スラリー調整ゾーンのスラリー溜まりに滞留しているスラリーを排出口に向かって押し出すことができる。
【0045】
組成および固相の分布を均質化された固液金属スラリーは、保持容器の底部に設けたノズル部の排出口から排出されて所望の加工に供される。スラリーを保持容器から下方へ押し出すに際して、本発明のノズル部は、急熱・急冷機能を有しているので、急冷することによりスラリーが凝固してノズルの封止材となって固液金属スラリーの排出を停止し、また、急加熱することにより凝固した封止材を溶解して固液金属スラリーを排出することができる。
【0046】
以上の本発明になる固液金属スラリーの製造装置と方法によれば、平衡状態図が共晶タイプのAl合金又はMg合金であって、初晶の液相線と共晶の温度範囲が20K以上を有する亜共晶又は過共晶の組成範囲で、固相体積率が20〜60%、固相の平均粒径が100μm以下、固相の球状化率が75%以上である固液金属スラリーを連続的に得ることができる。
【0047】
なお、例えば、Al合金の場合には、Ti、B、Srあるいはそれらの複合化合物などを含有する各種リファイナーを、また、Mg合金の場合には、Ca、Si、Sr等の各種リファイナーを添加することができる。
【0048】
固液金属スラリーを用いて鋳造した鋳造組織の模式図を図3及び図4に示す。
図3は従来のチクソキャスト法になる固相率40%の固液金属スラリーをダイカスト鋳造して得られた部材の鋳造組織である。Aは初晶(固液金属スラリーでは固相に相当する)、Bは共晶組織(固液金属スラリーでは液層に相当する)、Cは鋳巣などの鋳造欠陥である。また、図4は本発明になる固相率40%の固液金属スラリー(超音波付与)を図3と同様にダイカスト鋳造して得られた部材の鋳造組織である。図3と同様にAは初晶であり、Bは共晶組織である。図4では図3の鋳造組織に比べて初晶が細かくかつ粒径が揃って均一に分散しており、さらに図3のような鋳造欠陥が見当たらないことが分かる。ここで、従来法における初晶の平均粒径は約130μmであり、球状化率は65%であるが、本発明の図4では、初晶の平均粒径は約40μmで球状化率は95%であった。
【0049】
なお、平均粒径は画像解析装置で求め、球状化率は、各初晶がその外接円に対して持つ面積率として求めた。
【0050】
【実施例】
以下実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例)
図1の固液金属スラリーの製造装置を用いてダイカスト鋳造素材であるスラリーを製造した。すなわち、周囲を断熱材で覆われ、窒化ホウ素からなる離型材を表面コートして、700℃に予熱したステンレス製の溶湯保持容器(内径:200mm、高さ:250mm、厚さ:10mm)に、表面に10μmピッチの線状溝を加工したステンレス製の中空二重筒構造の回転冷却筒(外径:50mm、高さ:300mm、厚さ:5mm、先端200mmに高さ5mm×幅5mmの螺旋突起付き)を溶湯保持容器のセンタ軸にセットして700℃に予熱した。溶湯保持容器の下部ノズル内に溶湯と同種のAl合金製封止材をノズルを水冷した状態で封止し、700℃で熔解したAl合金(JIS AC4C)を15kg注湯した。
【0051】
次に、回転冷却筒を60rpmで回転させるとともに、回転冷却筒の二重筒の内筒部から外筒部に向けて室温の冷却エアを注入した。その間、熱電対温度計で溶湯各部(各ゾーン)の温度をモニタして、冷却ゾーン(結晶核生成ゾーン)の溶湯の冷却速度が約1℃/secになるようにエアの流量を制御した。
【0052】
冷却ゾーンの溶湯温度が625℃、すなわち、液相線温度(615℃)の直上(+10℃)に到達した後、エアの流量を制御して冷却速度を0.1℃/secとした。この状態で徐冷して(120秒後に)610℃、すなわち、液相線温度直下(−5℃)となったところで約1分間保持した後、回転冷却筒に超音波振動子を接触させて20KHzの振動を作業中常時付与した。
【0053】
次の急冷ゾーンでは固相率30%となる605℃まで急冷し、次のスラリー調整均質化ゾーンで、回転冷却筒の先端に固設したセラミックス製断熱攪拌フィンで約1分間攪拌した。その間、下部ノズルの温度調節を加熱に切り替えて封止材を溶解させ、スラリーを徐々に連続的に押し出した。なお、この間に、回転冷却筒へのエア導入量と溶湯保持容器の外周部のヒータ加熱によって、各ゾーンの温度を±2℃以下の精度でコントロールした。すなわち、冷却ゾーンは610±2℃、急冷ゾーンは605±2℃、スラリー調整ゾーンは605±2℃である。
【0054】
ノズルから押し出したスラリー5kgを605℃に予熱したダイカストマシンのプランジャーに移し直ちに射出成形した。
【0055】
得られた鋳造部材の顕微鏡組織は、初晶のα相が平均粒径50μm、球状化率が約90%で、初晶は均一に分散していた。
(比較例1)
実施例1と同様にAl合金溶湯を溶湯保持容器に注湯した。その後、ガラスウールからなる周囲の断熱材を取り去り、溶湯保持容器の外周部にエアを吹き付けて溶湯を外周部から冷却した。この時、回転冷却筒によるエア冷却は行わないで、回転冷却筒を60rpmで回転する溶湯攪拌のみとした。溶湯の冷却速度を1℃/secとして、溶湯を610℃まで冷却した。610℃に冷却した溶湯5kgを取り出して、610℃に予熱したダイカストマシンのプランジャーに移し直ちに射出成形した。
【0056】
得られた鋳造部材の顕微鏡組織は、初晶のα相が平均粒径130μm、球状化率約60%で鋳造組織内で不均一分散していた。
(比較例2)
実施例1と同様にAl合金溶湯を溶湯保持容器に注湯した。その後、ガラスウールからなる周囲の断熱材を取り去り、溶湯保持容器の外周部にエアを吹き付けて溶湯を外周部から冷却した。この時、回転冷却筒による冷却は行わなかった。
しかし、エア冷却なしの回転冷却筒を300rpmで高速回転して溶湯を攪拌し、610℃まで急速冷却した。610℃に冷却した溶湯5kgを取り出して、610℃に予熱したダイカストマシンのプランジャーに移し直ちに射出成形した。
【0057】
得られた鋳造部材の顕微鏡組織は、初晶のα相が平均粒径120μm、球状化率約70%で鋳造組織内で均一分散していた。
【0058】
以上のように、実施例では初晶のα相が平均粒径50μmと極めて微細な鋳造組織が得られたが、比較例ではいずれの場合も平均粒径が100μm以上であり、球状化率も70%以下と低いものであった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の製造方法によるスラリーは、従来法によるスラリー比べて、固相が平均粒径100μm以下に微細化されているだけでなく、より球状化度が高く、液相中に均一分散しているため、流動性が高い。よって、従来より低温での鋳造が可能となる。その結果、鋳造欠陥の低減、鋳造ひずみ(凝固収縮)や残留応力の低減、寸法精度の向上、鋳造組織の微細化による強度・靭性・延性などの向上、さらには、サイクルタイムの短縮による生産性の向上などの多くの優れた特性を得ることができる。このことにより、鋳造部品の薄肉化、軽量化あるいは高強度化を実現することができ、さらに低コスト化にも寄与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固液金属スラリーの製造装置の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の結晶核生成手段である回転冷却筒の表面形状の詳細例を示す模式図である。
【図3】従来法により製造された固液金属スラリーのダイカスト鋳造組織の模式図である。
【図4】本発明の方法により製造された固液金属スラリーのダイカスト鋳造組織の模式図である。
【図5】回転冷却筒の表面溝深さと生成される固相粒子の大きさとの関係を示す図である。(○:超音波なし、●:超音波付与)
【符号の説明】
13:保持容器 14:回転冷却筒 15:温度調整補助手段 16:断熱保持ゾーン 17:冷却ゾーン 18:急冷ゾーン 19:スラリー調整ゾーン 20:ノズル部 22:封止材 23:外筒 24:内筒 25:断熱攪拌フィン26:超音波発振子 27:急冷・急熱手段 28:スラリー溜まり 33:螺旋翼 34:結晶核生成手段(外表面)
A:初晶 B:共晶組織 C:鋳造欠陥 イ:冷媒(エア)
【発明の属する技術分野】
本発明は、非樹枝状初晶が金属(一般には合金)液相中に分散したスラリー状の固体−液体金属混合物(以下、固液金属スラリーという)の製造装置とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウムやマグネシウム、又はそれらの合金の固液金属スラリーは、鋳造、圧延、鍛造、押出等の加工素材として多く用いられている。
例えば、セミソリッド鋳造では通常の鋳造方法に比べて、得られた部材の鋳造欠陥や鋳造ひずみ、あるいは残留応力などが少ない、寸法精度が高い、さらに、強度や靭性、延性といった機械的性質が向上する、など多くの優れた特性の得られることが知られている。
【0003】
セミソリッドスラリーを製造するために、例えば、チクソキャスト法やレオキャスト法が広く採用されている。しかし、チクソキャスト法では、専用のビレットと再加熱装置が必要であり、製造作業が繁雑であると共に、エネルギー的にもロスが多い。また、水冷された冷却部に溶湯を接触させながら連続的にスラリーを排出するレオキャスト法ではスラリーの温度管理が精密に行われないために、固液金属スラリーの品質が安定しないといった問題があった。
【0004】
セミソリッドスラリーを連続的に得る方法は、生産性を向上する上で極めて有用であり、多くの研究がなされている。
【0005】
例えば、攪拌子に設けた冷却手段によって保持容器中の溶融金属を冷却攪拌してスラリーとし、攪拌子の回転に伴うスラリーの回転流動による遠心力を利用してスラリーを排出する方法(特許文献1参照)、また、溶湯保持容器を外周から冷却しながら溶湯を電磁誘導攪拌してスラリーとなし、溶湯中に没入した耐火物中子のストッパーを調節して保持容器の底部ノズルからスラリーを流出させる方法(特許文献2参照)、あるいは、溶湯保持容器を外周から冷却して容器内面に形成した凝固層を攪拌回転子に設けたスクレーパチップで削り取り、攪拌子の回転によりスラリーとなし、保持容器底部のノズルから排出する方法(特許文献3参照)等が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−274841号公報
【特許文献2】
特開平4−305336号公報
【特許文献3】
特開平7−100589号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法はいずれも初晶の生成を水冷による急冷凝固としているために、溶湯と接する攪拌回転子の表面、あるいは保持容器の内壁に凝固殻が形成されやすい。このため結晶核生成のコントロールが困難である、また、固相をデンドライトに成長させてから高速で剪断するため、固相同士の接触が促進され合体・成長することにより、微細な初晶粒子を得ることができず、組織の微細化が困難となる、などの問題がある。特に、特許文献3の凝固殻をスクレーパで削り取る方法では、固相が粗大で不均一なために均質なスラリーを得ることができない。また、特許文献2のストッパーによるスラリー流出状況の調節方法では、ノズル周辺の温度制御が不十分なために、スラリーの凝固により一旦ノズルが閉塞されると、再度スラリーを流出するように回復することができないといった問題がある。
【0008】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、本発明の課題は、固液金属スラリーの組織を高精度で制御できるの製造装置と製造方法とを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは溶湯を冷却し固体結晶核を生成するに際して、従来の水冷による急冷凝固に代えてエアによる溶湯の徐冷に着目した。さらに、結晶核の晶出しやすい表面形状を回転冷却筒の表面に形成することに思い到った。
【0010】
本発明の固液金属スラリーの製造装置は、溶融金属を保持する保持容器と、保持容器に保持されて溶融金属を冷却攪拌し、溶融金属中に固体結晶を生成する回転冷却筒と、を有する固液金属スラリーの製造装置において、回転冷却筒はその外表面に固体結晶核を生成する生成手段を有することを特徴とする。回転冷却筒は底付中空円筒である外筒と、この外筒と同軸的に配設された中空の内筒とからなる中空二重筒構造を有しており、エアまたは水などの冷媒を内筒から外筒へ環流させる構造であることができる。固体結晶核の生成手段は、回転冷却筒の外筒の外表面に形成された凸部であり、その高さは5〜20μmであることが望ましい。
【0011】
また、保持容器は、断熱保持ゾーン、結晶核生成ゾーン、急冷ゾーン、スラリー調整ゾーンおよびノズル部から構成されており、各ゾーンの温度を個別に調整する温度調整補助手段を有することができる。
【0012】
回転冷却筒の外周面には螺旋翼が形成されており、さらに、回転冷却筒の先端には固液金属スラリーを均質化する攪拌手段が固設されていることが望ましい。
攪拌手段はセラミックス製の断熱攪拌フィンとすることができる。回転冷却筒は保持容器の軸芯周りに、20〜200rpmの回転数で回転することが好ましい。
【0013】
固液金属スラリーを排出するノズル部の開口を封止する封止材は固液金属スラリーと同一の材料を凝固して封止材とすることが好ましく、ノズル部を急熱・急冷することにより封止材を溶融又は凝固して固液金属スラリーの排出を調節することができる。
【0014】
また、回転冷却筒に超音波を付与することも好ましい。
【0015】
本発明の固液金属スラリーの製造方法は、溶融金属からなる溶湯を保持容器へ供給する供給工程と、この溶湯を冷却して固体結晶核を生成して溶湯をスラリーとする結晶核生成工程と、スラリーの固相率を調整する固相率調整工程と、スラリーの組成と固相の分布を均質化するスラリー均質化工程と、均質化されたスラリーを保持容器から排出する排出工程と、からなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係わる固液金属スラリーの製造装置の一実施例を図1に断面概略図で示す。
【0017】
製造装置10は、Al及びその合金、あるいは、Mg及びその合金などの溶融金属からなる溶湯11を断熱保持する外周部を断熱材12で形成された保持容器13と、溶湯11中に没入して溶湯11を冷却攪拌する回転冷却筒14とからなる。
【0018】
保持容器13は、溶湯を断熱保持する断熱保持ゾーン16、溶湯を半溶融温度にまで冷却して溶湯中に微細な結晶を晶出する冷却ゾーン17、スラリー中の固相率を調整する急冷ゾーン18、スラリー中の組成と固相の分布を均質化するスラリー調整ゾーン19、及びスラリーの排出を調節するノズル部20とに区画されている。各ゾーンは、保持容器13の外周部に設けられた温度調整補助手段15によって各々独立して加熱・冷却できるように構成されている。
【0019】
回転冷却筒14は底付中空円筒の外筒23と、外筒23と同軸的に配設された内筒24との中空二重筒構造を有しており、冷媒イは内筒24中空部30を経由して内筒24とそと筒23との空隙31へ環流することができる。
【0020】
また、保持容器13の冷却ゾーン17および急冷ゾーン18に対応する回転冷却筒14の外表面には、溶湯を攪拌し下方へ押し出す螺旋翼33と、結晶核生成手段としての微小な凸部34が形成されている。回転冷却筒14のこの部分の詳細を図2によって説明する。図2は、回転冷却筒14の部分側面図であり、左側は軸心を通って半径方向に切断したA−A断面を示している。33は螺旋翼である。外表面34は結晶核生成手段であり、結晶核が優先的に生成するように微細な凸形状に形成されている。
【0021】
図2の(a)は外表面34の拡大側面図であり、(b)は拡大断面図である。外表面34は螺旋翼33と平行に螺旋状の微細な凹凸が機械加工してある。ここで凹凸の形状は(b)のように山谷の頂角αはほぼ60度であり、さらに凸部である山の高さhはピッチpとほぼ同等であることが好ましい。
【0022】
また、回転冷却筒14の先端にはスラリー溜まり28に滞留したスラリーを均質化して排出ノズル21方向へ送出する断熱攪拌フィン25が固設されている。26は高周波振動子であり所望により回転冷却筒14に高周波振動を付与することができる。
【0023】
このように構成される固液金属スラリーの製造装置10を用いて以下の方法で所望の固液金属スラリーを得ることができる。
【0024】
まず、保持容器13の内面に窒化ホウ素などからなる離型剤を塗布し、回転冷却筒14を溶湯保持容器13のセンター軸にセットして溶融金属の温度付近に予熱する。このとき、溶湯と同種の合金製の封止材22でノズル部20の排出口21を封止してノズル部20を水冷しておく。
【0025】
次に、溶融金属の溶湯を保持容器13に供給し(供給工程)、回転冷却筒14を20〜200rpmで回転しながら回転冷却筒14の内筒24から外筒23に向けて冷却エアを注入する。保持容器13の冷却ゾーン17では、回転冷却筒14のエア流量を調整することにより、この領域の溶湯の冷却速度を所定の冷却速度となし、回転冷却筒外表面への結晶核の生成を促進する(結晶核生成工程)。
生成された微細結晶は回転冷却筒の表面から離脱して液相中に遊離し、溶湯はスラリーとなる。また、このとき所望に応じて、冷却回転筒に超音波振動を付与することにより、微細結晶の離脱をさらに促進することができる。
【0026】
急冷ゾーン18では、微細結晶を有するスラリーを急冷して所望の固相率を有するスラリーとなす(固相率調整工程)。得られたスラリーは、さらにスラリー調整ゾーン19のスラリー溜まり28に滞留し、攪拌フィン25で攪拌されて組成と固相の分布とが均質な固液金属スラリーとなる(スラリー均質化工程)。
【0027】
なお、その間に下部ノズル20の温度調整手段27を加熱に切り替えて封止材22を溶解し、回転冷却筒を回転させることによりスラリー溜まり28で調整された固液金属スラリーを連続的にノズル21から排出することができる(排出工程)。
【0028】
このようにして得られた固液金属スラリーを、例えば、ダイカストマシンのプランジャに移し、直ちに射出成形することにより所望の部材を得ることができる。
【0029】
本発明で保持容器とは、注湯された金属溶湯を所定の固相率まで冷却して多数の微細な固体結晶を晶出させるために用いる容器であり、温度制御を容易にするためにセラミックスやガラス繊維等の断熱材で外気温と断熱されていることが望ましい。また、保持容器の材質は、特に制限はなく、ステンレスや鋳鉄などの金属、またはアルミナ等のセラミックスやグラファイトなどの非金属、さらには、ステンレスなどの金属容器の内面にZrO2等の非金属を塗布したものでもよい。
【0030】
ここで、保持容器内の溶湯又はスラリーを回転冷却筒で内部から冷却するのは、固体結晶核生成の温度域での溶湯の均熱化と精度の高い温度制御を容易にするためである。
【0031】
例えば、保持容器の外周部からの冷却では、溶湯を急冷した場合に結晶核は容器の内壁面に生成し、そのまま安定化して剥離しないで固体層を形成してしまう。このため、スクレーパで掻き取るとか、又は溶湯を激しく攪拌して中心部の未冷却溶湯によって固体層を再溶融させながら溶湯全体を均熱化する方法を採る。
しかし、固体層をスクレーパで掻き取ったり、溶湯を激しく攪拌するなどの方法では、いずれ場合にも固相が粗大化してしまい好ましくない。
【0032】
本発明では、底付中空円筒形状の回転冷却筒を溶湯内に没入し、中空二重筒構造の内筒から外筒へ温度や流量などを制御したエアを環流させると共に、回転冷却筒を緩やかに回転させて、溶湯またはスラリーを徐冷するので所定の温度に精度よく制御することができる。すなわち、本発明では、従来法のように半溶融温度領域で晶出した初晶を機械攪拌や電磁攪拌で強制的に破砕し球状化することなく、半溶融温度領域での温度低下と緩やかな攪拌によって結晶核生成手段を起点として生成した微細結晶を、液相中に遊離させスラリーとする方法であるので、形成された固相は微細であり、さらに固相同士が合体して粗大化することが極めて少ない。
【0033】
さて、本発明では保持容器の冷却ゾーンで回転冷却筒の外表面に固体結晶核を生成する結晶核生成手段を有する構成とした。従って、回転冷却筒の溶湯と接する表面は、多数の固体結晶核が生成しやすく、かつ離脱しやすい形状を有することが望ましい。つまり、回転冷却筒の溶湯と接する表面は、平滑面ではなく、例えば、V字溝やクロスハッチを有する凹凸面や、所望の粒径の耐火物などをコーティングして微細凸部を形成した面などであることが有効である。
【0034】
固体核生成手段の形状と固相粒子の平均粒径との関係を、冷却攪拌のみ場合とと、さらに超音波振動を付与した場合とで調査した。結晶核生成手段としては、ステンレス製の回転冷却筒に、表面溝深さを100μmと10μmとに加工した表面、及びRzで1.5μm以下に研磨した表面の3水準の表面を形成した。また、超音波振動は20KHzの超音波を作業中常時付与した。結果を図5に示す。
【0035】
図5で、○は冷却攪拌のみの場合であり、●は超音波振動を付与した場合である。表面溝深さが10μmの表面では、冷却攪拌のみの場合に固相粒子径が90μmとなり、また、さらに超音波を付与した場合には50μm常磐目手微細な固相を得ることができた。すなわち、表面溝深さが10μmの場合が超音波付与の有無に係わらず最も固相粒子径の微細化に効果のあることが分かった。これは、この表面形状が多数の固体結晶核を均一に安定して生成しやすかったためと考えられる。一方、表面溝深さが100μmや、表面をRzで1.5μm以下に研磨した場合には、固体結晶核が安定して生成しにくく、また、生成した結晶核同士が合体しやすい環境条件になるために固相粒子径が大きくなったものと推定される。
【0036】
また、超音波の付与はいずれの表面形状の場合にも微細化の効果が顕著に見られ、主として、生成した固体結晶核を回転冷却筒表面から離脱分散させる作用が有効に働いたものと考えられる。
【0037】
なお、表面溝や超音波が固相粒径に及ぼす影響は、関連する多くの要因の複合作用として現れると考えられ、例えば、回転冷却筒の材質や溝の形状、回転速度、合金組成などによって効果も変動するものと考えられる。しかし、図5から、螺旋翼と平行な表面溝を設ける場合の溝深さは5〜20μmが好ましく、超音波付与の効果は、本発明のような冷却回転子の表面からの多量微細核生成条件のもとでは極めて有効であることが分かった。
【0038】
以上のようにして、溶湯からの微細かつ多量の固体結晶核を回転冷却筒の外表面上に優先的に生成させ、回転冷却筒の表面に安定な結晶としての固体層を形成する前に、回転冷却筒の回転による遠心力と剪断力とによって固体結晶を回転冷却筒の表面から液相中へ離脱させることができる。
【0039】
なお、この時の回転冷却筒の回転数は20〜200rpmの低速回転が好ましい。20rpm以下では、固体結晶核の離脱と分散及び温度の均一化が不十分となり、また、200rpm以上では結晶の合体による粗大化が進行するので好ましくない。
【0040】
固液金属スラリーの固相率は成形加工方法によって異なるが、概ね20〜60体積%であることが望ましい。固相率が20%未満では素材が軟らかいためにハンドリングが困難であり、また、ダイカスト成形では空気の巻き込みや成形部材の組織に偏析を生じることがあるので望ましくない。また、60%を越えると見かけ粘性が非常に大きくなり、スラリーの流動性が低下するため保持容器からの連続排出が困難となる。より好ましくは25〜50体積%である。
【0041】
このようなスラリーの固相率は本発明の保持容器の急冷ゾーンで調整することができる。急冷ゾーンは、所定の固相率に対応する温度まで、すでに存在する微細な固体結晶の合体成長を抑制しながら、回転冷却筒の表面から新たな固体結晶核の生成を促進する領域である。このため所望の固相率となる固液共存温度まで急冷することが望ましい。
【0042】
また、スラリー調整ゾーンは、もっぱらスラリー中の組成と生成した固相の分布を均質化する領域である。ここでは、スラリー溜まりに滞留する固液金属スラリーを、回転冷却筒の下部に取り付けた断熱フィンによって緩やかに攪拌して均質化すると共に、均質化された固液金属スラリーをノズル部の排出口に向かって送出する。なお、断熱攪拌フィンはSi3N4等のセラミックスやステンレスなどの金属で形成されていることが好ましい。
【0043】
なお、各ゾーンにおける溶湯やスラリーを温度制御する補助手段として、保持容器外周部をヒータや高周波誘導コイルで加熱、あるいは攪拌することも好ましく、また、保持容器外周部に冷却用の空冷あるいは水冷パイプを部分的に設置するなど、必要に応じて適宜追加することができる。
【0044】
前記のように固液金属スラリーは高固相率になるほど見かけ粘性が高くなり、固相率が60%を越えるとほとんど流動性がなくなることが知られている。
本発明の回転冷却筒は、その外周部に螺旋形状の螺旋翼を有しているので高固相率の固液金属スラリーを押し出す推進力を発揮することができる。また、この回転冷却筒の先端に固設された断熱攪拌フィンも、スラリー調整ゾーンのスラリー溜まりに滞留しているスラリーを排出口に向かって押し出すことができる。
【0045】
組成および固相の分布を均質化された固液金属スラリーは、保持容器の底部に設けたノズル部の排出口から排出されて所望の加工に供される。スラリーを保持容器から下方へ押し出すに際して、本発明のノズル部は、急熱・急冷機能を有しているので、急冷することによりスラリーが凝固してノズルの封止材となって固液金属スラリーの排出を停止し、また、急加熱することにより凝固した封止材を溶解して固液金属スラリーを排出することができる。
【0046】
以上の本発明になる固液金属スラリーの製造装置と方法によれば、平衡状態図が共晶タイプのAl合金又はMg合金であって、初晶の液相線と共晶の温度範囲が20K以上を有する亜共晶又は過共晶の組成範囲で、固相体積率が20〜60%、固相の平均粒径が100μm以下、固相の球状化率が75%以上である固液金属スラリーを連続的に得ることができる。
【0047】
なお、例えば、Al合金の場合には、Ti、B、Srあるいはそれらの複合化合物などを含有する各種リファイナーを、また、Mg合金の場合には、Ca、Si、Sr等の各種リファイナーを添加することができる。
【0048】
固液金属スラリーを用いて鋳造した鋳造組織の模式図を図3及び図4に示す。
図3は従来のチクソキャスト法になる固相率40%の固液金属スラリーをダイカスト鋳造して得られた部材の鋳造組織である。Aは初晶(固液金属スラリーでは固相に相当する)、Bは共晶組織(固液金属スラリーでは液層に相当する)、Cは鋳巣などの鋳造欠陥である。また、図4は本発明になる固相率40%の固液金属スラリー(超音波付与)を図3と同様にダイカスト鋳造して得られた部材の鋳造組織である。図3と同様にAは初晶であり、Bは共晶組織である。図4では図3の鋳造組織に比べて初晶が細かくかつ粒径が揃って均一に分散しており、さらに図3のような鋳造欠陥が見当たらないことが分かる。ここで、従来法における初晶の平均粒径は約130μmであり、球状化率は65%であるが、本発明の図4では、初晶の平均粒径は約40μmで球状化率は95%であった。
【0049】
なお、平均粒径は画像解析装置で求め、球状化率は、各初晶がその外接円に対して持つ面積率として求めた。
【0050】
【実施例】
以下実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例)
図1の固液金属スラリーの製造装置を用いてダイカスト鋳造素材であるスラリーを製造した。すなわち、周囲を断熱材で覆われ、窒化ホウ素からなる離型材を表面コートして、700℃に予熱したステンレス製の溶湯保持容器(内径:200mm、高さ:250mm、厚さ:10mm)に、表面に10μmピッチの線状溝を加工したステンレス製の中空二重筒構造の回転冷却筒(外径:50mm、高さ:300mm、厚さ:5mm、先端200mmに高さ5mm×幅5mmの螺旋突起付き)を溶湯保持容器のセンタ軸にセットして700℃に予熱した。溶湯保持容器の下部ノズル内に溶湯と同種のAl合金製封止材をノズルを水冷した状態で封止し、700℃で熔解したAl合金(JIS AC4C)を15kg注湯した。
【0051】
次に、回転冷却筒を60rpmで回転させるとともに、回転冷却筒の二重筒の内筒部から外筒部に向けて室温の冷却エアを注入した。その間、熱電対温度計で溶湯各部(各ゾーン)の温度をモニタして、冷却ゾーン(結晶核生成ゾーン)の溶湯の冷却速度が約1℃/secになるようにエアの流量を制御した。
【0052】
冷却ゾーンの溶湯温度が625℃、すなわち、液相線温度(615℃)の直上(+10℃)に到達した後、エアの流量を制御して冷却速度を0.1℃/secとした。この状態で徐冷して(120秒後に)610℃、すなわち、液相線温度直下(−5℃)となったところで約1分間保持した後、回転冷却筒に超音波振動子を接触させて20KHzの振動を作業中常時付与した。
【0053】
次の急冷ゾーンでは固相率30%となる605℃まで急冷し、次のスラリー調整均質化ゾーンで、回転冷却筒の先端に固設したセラミックス製断熱攪拌フィンで約1分間攪拌した。その間、下部ノズルの温度調節を加熱に切り替えて封止材を溶解させ、スラリーを徐々に連続的に押し出した。なお、この間に、回転冷却筒へのエア導入量と溶湯保持容器の外周部のヒータ加熱によって、各ゾーンの温度を±2℃以下の精度でコントロールした。すなわち、冷却ゾーンは610±2℃、急冷ゾーンは605±2℃、スラリー調整ゾーンは605±2℃である。
【0054】
ノズルから押し出したスラリー5kgを605℃に予熱したダイカストマシンのプランジャーに移し直ちに射出成形した。
【0055】
得られた鋳造部材の顕微鏡組織は、初晶のα相が平均粒径50μm、球状化率が約90%で、初晶は均一に分散していた。
(比較例1)
実施例1と同様にAl合金溶湯を溶湯保持容器に注湯した。その後、ガラスウールからなる周囲の断熱材を取り去り、溶湯保持容器の外周部にエアを吹き付けて溶湯を外周部から冷却した。この時、回転冷却筒によるエア冷却は行わないで、回転冷却筒を60rpmで回転する溶湯攪拌のみとした。溶湯の冷却速度を1℃/secとして、溶湯を610℃まで冷却した。610℃に冷却した溶湯5kgを取り出して、610℃に予熱したダイカストマシンのプランジャーに移し直ちに射出成形した。
【0056】
得られた鋳造部材の顕微鏡組織は、初晶のα相が平均粒径130μm、球状化率約60%で鋳造組織内で不均一分散していた。
(比較例2)
実施例1と同様にAl合金溶湯を溶湯保持容器に注湯した。その後、ガラスウールからなる周囲の断熱材を取り去り、溶湯保持容器の外周部にエアを吹き付けて溶湯を外周部から冷却した。この時、回転冷却筒による冷却は行わなかった。
しかし、エア冷却なしの回転冷却筒を300rpmで高速回転して溶湯を攪拌し、610℃まで急速冷却した。610℃に冷却した溶湯5kgを取り出して、610℃に予熱したダイカストマシンのプランジャーに移し直ちに射出成形した。
【0057】
得られた鋳造部材の顕微鏡組織は、初晶のα相が平均粒径120μm、球状化率約70%で鋳造組織内で均一分散していた。
【0058】
以上のように、実施例では初晶のα相が平均粒径50μmと極めて微細な鋳造組織が得られたが、比較例ではいずれの場合も平均粒径が100μm以上であり、球状化率も70%以下と低いものであった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の製造方法によるスラリーは、従来法によるスラリー比べて、固相が平均粒径100μm以下に微細化されているだけでなく、より球状化度が高く、液相中に均一分散しているため、流動性が高い。よって、従来より低温での鋳造が可能となる。その結果、鋳造欠陥の低減、鋳造ひずみ(凝固収縮)や残留応力の低減、寸法精度の向上、鋳造組織の微細化による強度・靭性・延性などの向上、さらには、サイクルタイムの短縮による生産性の向上などの多くの優れた特性を得ることができる。このことにより、鋳造部品の薄肉化、軽量化あるいは高強度化を実現することができ、さらに低コスト化にも寄与すること大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固液金属スラリーの製造装置の一例を示す断面模式図である。
【図2】本発明の結晶核生成手段である回転冷却筒の表面形状の詳細例を示す模式図である。
【図3】従来法により製造された固液金属スラリーのダイカスト鋳造組織の模式図である。
【図4】本発明の方法により製造された固液金属スラリーのダイカスト鋳造組織の模式図である。
【図5】回転冷却筒の表面溝深さと生成される固相粒子の大きさとの関係を示す図である。(○:超音波なし、●:超音波付与)
【符号の説明】
13:保持容器 14:回転冷却筒 15:温度調整補助手段 16:断熱保持ゾーン 17:冷却ゾーン 18:急冷ゾーン 19:スラリー調整ゾーン 20:ノズル部 22:封止材 23:外筒 24:内筒 25:断熱攪拌フィン26:超音波発振子 27:急冷・急熱手段 28:スラリー溜まり 33:螺旋翼 34:結晶核生成手段(外表面)
A:初晶 B:共晶組織 C:鋳造欠陥 イ:冷媒(エア)
Claims (15)
- 溶融金属を保持する保持容器と、該保持容器に保持されて該溶融金属を冷却攪拌して該溶融金属中に固体結晶核を生成する回転冷却筒と、を有する固液金属スラリーの製造装置において、
前記回転冷却筒は該回転冷却筒の外表面に前記固体結晶核を生成する生成手段を有することを特徴とする固液金属スラリーの製造装置。 - 前記回転冷却筒は底付中空円筒の外筒と該外筒と同軸的に配設された中空の内筒とからなる中空二重筒構造である請求1に記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記中空二重筒構造は前記溶融金属を冷却する冷媒を前記内筒から前記外筒へ環流させる構造である請求項2に記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記固体結晶核の生成手段は前記回転冷却筒の前記外筒の外表面に形成した凸部である請求項1に記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記凸部は高さが5〜20μmであり、ピッチが10〜100μmである請求項4に記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記保持容器は断熱保持ゾーン、結晶核生成ゾーン、急冷ゾーン、スラリー調整ゾーンおよびノズル部から構成されている請求項1に記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記保持容器は前記各ゾーンの温度を個別に調整する温度調整補助手段を有する請求項6に記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記冷却回転筒の回転数は20〜200rpmである請求項1〜7のいずれかに記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記回転冷却筒は該回転冷却筒の外周に螺旋翼を設けた請求項1〜8のいずれかに記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記冷却回転筒の先端にはスラリーを均質化する攪拌手段が固設されている請求項1〜9のいずれかに記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記攪拌手段はセラミックス製の断熱攪拌フィンである請求項10に記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記ノズル部の開口を封止する封止材は前記溶融金属を凝固して形成した封止材である請求項6に記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記ノズル部は急熱・急冷手段により前記封止材を溶融又は凝固してスラリーの前記保持容器からの排出を調節する請求項12に記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 前記冷却回転筒に超音波を付与する請求項1〜13のいずれかに記載の固液金属スラリーの製造装置。
- 溶融金属からなる溶湯を保持容器へ供給する供給工程と、該溶湯を冷却して固体結晶核を生成して前記溶湯をスラリーとする結晶核生成工程と、該スラリーの固相率を調整する固相率調整工程と、該スラリーの組成と固相の分布を均質化するスラリー均質化工程と、該均質化されたスラリーを前記保持容器から排出する排出工程と、からなることを特徴とする固液金属スラリーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003049495A JP2004255422A (ja) | 2003-02-26 | 2003-02-26 | 固液金属スラリーの製造装置および製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003049495A JP2004255422A (ja) | 2003-02-26 | 2003-02-26 | 固液金属スラリーの製造装置および製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004255422A true JP2004255422A (ja) | 2004-09-16 |
Family
ID=33115202
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003049495A Pending JP2004255422A (ja) | 2003-02-26 | 2003-02-26 | 固液金属スラリーの製造装置および製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004255422A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008155271A (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-10 | Honda Motor Co Ltd | 鋳造品の製造方法 |
JP2010528187A (ja) * | 2007-05-31 | 2010-08-19 | アルカン・インターナショナル・リミテッド | 熱間割れ感受性を減じるためのアルミニウム合金配合物 |
EP2407259A1 (en) * | 2009-03-12 | 2012-01-18 | Kogi Corporation | Process for production of semisolidified slurry of iron-base alloy; process for production of cast iron castings by using the process, and cast iron castings |
CN107020355A (zh) * | 2017-04-25 | 2017-08-08 | 昆明理工大学 | 一种制备半固态浆料的装置 |
CN114309493A (zh) * | 2021-11-23 | 2022-04-12 | 福建省瑞奥麦特轻金属有限责任公司 | 一种铝合金半固态快速制浆方法 |
-
2003
- 2003-02-26 JP JP2003049495A patent/JP2004255422A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008155271A (ja) * | 2006-12-26 | 2008-07-10 | Honda Motor Co Ltd | 鋳造品の製造方法 |
JP2010528187A (ja) * | 2007-05-31 | 2010-08-19 | アルカン・インターナショナル・リミテッド | 熱間割れ感受性を減じるためのアルミニウム合金配合物 |
EP2407259A1 (en) * | 2009-03-12 | 2012-01-18 | Kogi Corporation | Process for production of semisolidified slurry of iron-base alloy; process for production of cast iron castings by using the process, and cast iron castings |
EP2407259A4 (en) * | 2009-03-12 | 2014-04-23 | Kogi Corp | PROCESS FOR PRODUCING A SEMI-SOLIDIFIED SUSPENSION OF IRON ALLOY; PROCESS FOR PRODUCING CAST CASTS USING THE PROCESS AND CASTING CAST IRON |
CN107020355A (zh) * | 2017-04-25 | 2017-08-08 | 昆明理工大学 | 一种制备半固态浆料的装置 |
CN114309493A (zh) * | 2021-11-23 | 2022-04-12 | 福建省瑞奥麦特轻金属有限责任公司 | 一种铝合金半固态快速制浆方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Nafisi et al. | Semi-solid processing of aluminum alloys | |
CN107008873B (zh) | 多模式电磁场均质化金属连铸坯的制备方法及其装置 | |
US8992705B2 (en) | Microcrystalline alloy, method for production of the same, apparatus for production of the same, and method for production of casting of the same | |
US4434839A (en) | Process for producing metallic slurries | |
US4960163A (en) | Fine grain casting by mechanical stirring | |
EP0841406A1 (en) | Method of shaping semisolid metals | |
JP2007216239A (ja) | 鋳造方法 | |
JP2004114153A (ja) | 固液共存状態金属材料の製造方法、その装置、半凝固金属スラリの製造方法およびその装置 | |
JP2005034905A (ja) | 固液共存状態金属スラリの製造装置 | |
JP3496833B1 (ja) | 固液共存状態金属材料の製造方法 | |
JP2004255422A (ja) | 固液金属スラリーの製造装置および製造方法 | |
CN1301166C (zh) | 一种高速钢坯料的制备方法及设备 | |
CN108543921A (zh) | 强剪切与电磁场协同制备大规格均质铸锭的装置及方法 | |
JP2004114156A (ja) | 固液共存状態金属材料の製造方法 | |
JPH10140260A (ja) | 半溶融金属の成形方法 | |
EP1900455A1 (en) | Semi-solid casting method and charge | |
CN215998698U (zh) | 一种制备颗粒增强铝基复合材料的底部浇铸装置 | |
JP2005297003A (ja) | 軽金属または軽合金の半凝固スラリー製造方法および鋳造方法。 | |
JP2003136190A (ja) | 微細な結晶粒を有するインゴットを製造するための振動鋳造用鋳型 | |
JP7406073B2 (ja) | チタン鋳塊の製造方法 | |
Nafisi et al. | Semi-Solid Metal (SSM) Technologies | |
CN113547114A (zh) | 一种制备颗粒增强铝基复合材料的底部浇铸装置及方法 | |
CN107983921B (zh) | 一种半固态浆料的制备方法 | |
JP3062339B2 (ja) | 半凝固金属の製造方法 | |
Borisov | Process for production of aluminum-alloy ingots with non-dendritic thixotropic structure. |