JPH10128516A - 半溶融金属の成形方法 - Google Patents

半溶融金属の成形方法

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JPH10128516A
JPH10128516A JP28394796A JP28394796A JPH10128516A JP H10128516 A JPH10128516 A JP H10128516A JP 28394796 A JP28394796 A JP 28394796A JP 28394796 A JP28394796 A JP 28394796A JP H10128516 A JPH10128516 A JP H10128516A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡便かつ確実に、非樹枝状晶の微細な初晶を
該合金中に晶出させ、かつ該容器内の合金の温度分布を
均一に保持して急速に冷却した後、該合金を成形用金型
に供給して加圧成形する半溶融金属の成形方法を提供す
るものである。 【構成】 保持容器内に注湯する合金に、注湯中加振棒
を浸漬して直接接触させながら該加振棒を加振して該合
金に振動を与えることにより、液相線温度以上で結晶核
を有する液体状態の合金または液相線以下で成形温度以
上の結晶核を有する固液共存状態の合金にし、引き続き
所定の液相率を示す成形温度まで該合金を前記保持容器
内で冷却しつつ30秒〜60分間保持することにより、
該合金中に微細な初晶を晶出させた後、該保持容器から
該合金を取り出して成形用金型に供給して加圧成形す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半溶融金属の成形方
法に係り、特に保持容器内に注湯され蓄えられていく合
金に振動を与え、引き続き所定の液相率を示す成形温度
まで該合金を前記保持容器内で冷却しつつ一定時間保持
することにより、該合金液中に微細な初晶を晶出させた
うえ、成形用金型に供給して加圧成形する半溶融金属の
成形方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】チクソキャスト法は、従来の鋳造法に比
べて鋳造欠陥や偏析が少なく、金属組織が均一で、金型
寿命が長いことや成形サイクルが短いなどの利点があ
り、最近注目されている技術である。この成形法(A)
において使用されるビレットは、半溶融温度領域で機械
撹拌や電磁撹拌を実施するか、あるいは加工後の再結晶
を利用することによって得られた球状化組織を特徴とす
るものである。これに対して、従来鋳造法による素材を
用いて半溶融成形する方法も知られている。これは、た
とえば、等軸晶組織を発生しやすいマグネシウム合金に
おいてさらに微細な結晶を生じさせるためにZrを添加
する方法(B)や炭素系微細化剤を使用する方法(C)
であり、またアルミニウム合金において微細化剤として
Al−5%Ti−1%B母合金を従来の2倍〜10倍程
度添加する方法(D)であり、これら方法により得られ
た素材を半溶融温度域に加熱し初晶を球状化させ成形す
る方法である。また、固溶限以内の合金に対して、固相
線近くの温度まで比較的急速に加熱した後、素材全体の
温度を均一にし局部的な溶融を防ぐために、固相線を超
えて材料が柔らかくなる適当な温度まで緩やかに加熱し
て成形する方法(E)が知られている。一方、ビレット
を半溶融温度領域まで昇温し成形する方法と異なり、球
状の初晶を含む融液を連続的に生成し、ビレットとして
一旦固化することなく、そのままそれを成形するレオキ
ャスト法(F)が知られている。また、冷却体および傾
斜冷却体に溶融金属を接触させて得られた少なくとも一
部が固液共存状態である金属を半溶融温度域に保持する
ことによりレオキャスト用スラリを得る方法(G)が知
られている。さらに、ビレットケースに収容された溶湯
に容器外部から、あるいは、容器の中に直接、超音波振
動を付与しながら冷却し、半凝固ビレットを製造し、引
き続き成形する鋳造(H)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た(A)の方法は撹拌法や再結晶を利用する方法のいず
れの場合も煩雑であり、製造コストが高くなる難点があ
る。また、マグネシウム合金においては(B)の方法の
場合には、Zrが高く、コスト的に問題であり、(C)
の方法では、炭化物系微細化剤を使用してその微細化効
果を十分に発揮させるためには、酸化防止元素であるB
eを、たとえば、7ppm程度に低く管理する必要があ
り、成形直前の加熱処理時に酸化燃焼しやすく、作業上
不都合である。
【0004】一方、アルミニウム合金においては、単に
微細化剤を添加するだけでは500μm程度であり、1
00μm以下の微細な結晶粒の組織を得ることは容易で
はない。このため、多量に微細化剤を添加する方法
(D)があるが、微細化剤が炉底に沈降しやすく工業的
には難しく、かつコストも高い。さらに(E)の方法で
は、固相線を超えてから緩やかに加熱して素材の均一加
熱と球状化を図ることを特徴とするチクソ成形法が提案
されているが、通常のデンドライト組織を加熱してもチ
クソ組織(初晶デンドライトが球状化されている)には
変化しない。
【0005】しかも(A)〜(E)のいずれのチクソ成
形法においても半溶融成形するために、一旦液相を固化
しそのビレットを再度半溶融温度領域まで昇温する必要
があり、従来鋳造法に比べてコスト高になる。また、
(F)の方法では、球状の初晶を含む融液を連続的に生
成供給するため、コスト的、エネルギ的にもチクソキャ
ストよりも有利であるが、球状組織と液相からなる金属
原料を製造する機械と最終製品を製造する鋳造機との設
備的連動が煩雑である。(G)の方法では、次のような
問題点がある。傾斜冷却体を用いた場合、傾斜冷却体上
に発生した結晶核を含む金属が後から流れてくる金属に
より逐次流されるため、半溶融温度域に該金属を保持す
ることにより微細な結晶を含むスラリが得られるが、傾
斜冷却体に金属が付着したり、付着しない場合でも傾斜
冷却体上に金属が残存したりして、そのため傾斜冷却体
通過時の金属の温度を低くすることができないという問
題がある(冷却体通過時の温度が液相線温度よりも低く
なるほど、微細な結晶の金属が得られるため、冷却体通
過時の金属の温度を低くしたい)。また、冷却体を液体
状態の金属に単に接触させた場合、凝固層が冷却体周囲
に出来たり、凝固層を生成しないうちに液体状態の金属
から冷却体を非接触状態にすると微細な結晶が得られな
い。(H)の方法では、ビレットケースに溶湯を入れた
後に、その溶湯に直接あるいは間接に超音波振動を付与
しながら冷却し、具体的には振動により攪拌し溶湯を微
細化すること、攪拌が終了すると発振装置を引き上げる
ことが記載されているが、下記のような問題点がある。 溶湯攪拌による微細化が期待できるのは、凝固の初
期であり、一旦、ケース内面、湯面に安定な凝固殻が形
成されたり、湯温低下に伴ない粘性が上がれば、攪拌が
難しく、微細化しにくい。このため、短い時間で半凝固
金属を得ようとする場合、振動付与時間が短くなり、半
溶融成形に適した微細な球状の組織は得にくく、デンド
ライト状の組織が多く認められる。 大容量の半凝固金属を製造する場合、均一で微細な
組織が得にくい。 注湯後、容器上部を保温せずに加振装置を溶湯内に
入れているために、加振棒を囲むように低液相率の相や
凝固殻が出来やすく、また、加振棒を引き上げても湯面
の温度低下は大きく、そのままダイカスト機で成形すれ
ば、不均一な組織となりやすい。
【0006】本発明は、上述の従来の各方法の問題点に
着目し、ビレットを使用することなく、しかも煩雑な方
法を採ることなく、簡便容易に、球状化した初晶を含む
均一な組織を有する半溶融金属を得て、加圧成形する方
法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような問題を解決す
るために、本発明においては、第1の発明では、保持容
器内に注湯され蓄えられていく合金に、注湯中加振棒を
浸漬して直接接触させながら該加振棒を加振して該合金
に振動を与えることにより、液相線温度以上で結晶核を
有する液体状態の合金または液相線以下で成形温度以上
の結晶核を有する固液共存状態の合金にし、引き続き所
定の液相率を示す成形温度まで該合金を前記保持容器内
で冷却しつつ30秒〜60分間保持することにより、該
合金中に微細な初晶を晶出させた後、該保持容器から該
合金を取り出して成形用金型に供給して加圧成形するよ
うにした。
【0008】また、第2の発明では、第1の発明におけ
る保持容器に注湯中、加振棒を加振するとともに該保持
容器に振動を与えるようにした。また、第3の発明で
は、加振棒は、金属製、非金属製、非金属をコーティン
グした金属製のいずれかとし、かつ、該加振棒の内部あ
るいは外部から該加振棒を冷却することができるように
した。さらに第4の発明では、注湯される合金の温度
は、液相線温度に対して過熱度が50℃未満に保持し
た。また、第5の発明では、成形用金型に供給される合
金の液相率が1.0%以上で、かつ、75%未満とし
た。さらに、第6の発明では、合金を最大固溶限内組成
のアルミニウム合金、または、最大固溶限以上の組成の
亜共晶アルミニウム合金とした。そして、第7の発明で
は、合金を最大固溶限内組成のマグネシウム合金とし
た。
【0009】また、第8の発明では、アルミニウム合金
を、Bを0.0001%〜0.01%、Tiを0.00
5%〜0.3%を添加したアルミニウム合金とした。さ
らに、第9の発明では、マグネシウム合金を、Srを
0.005%〜0.1%添加したマグネシウム合金、S
iを0.01%〜1.5%およびSrを0.005%〜
0.1%添加したマグネシウム合金、またはCaを0.
05%〜0.30%添加したマグネシウム合金のいずれ
かとした。そして、第10の発明では、少なくとも保持
容器の上部、下部のいずれかを保温または該保持容器中
央部に比べて高温に加熱した。
【0010】
【発明の実施の形態】保持容器内に注湯され蓄えられて
いく合金に加振棒を浸漬して直接接触させながら加振棒
を加振して該合金を振動させ、注湯完了後に加振棒を合
金より離脱し、得られた結晶核を有する液相線温度以上
で結晶核を有する液体状態の合金または液相線以下で成
形温度以上の結晶核を有する固液共存状態の合金にし、
引き続き所定の液相率を示す成形温度まで該合金を前記
保持容器内で冷却しつつ30秒〜60分間保持すること
により、該合金中に微細な初晶を晶出させた後、該保持
容器から該合金を取り出して成形用金型に供給して加圧
成形することにより、均質な組織を有する優れた成形体
が得られる。
【0011】
【実施例】以下図面に基づいて本発明の実施例の詳細に
ついて説明する。図1〜図9は本発明の実施例に係り、
図1は最大固溶限以上の組成の亜共晶アルミニウム合金
の半溶融金属の成形方法を示す工程説明図、図2は最大
固溶限内組成のマグネシウム合金あるいはアルミニウム
合金の半溶融金属の成形方法を示す工程説明図、図3は
球状初晶の生成から成形までの工程説明図、図4は図3
に示した各工程の金属組織の模写図、図5は代表的なア
ルミニウム合金であるAl−Si系合金の平衡状態図、
図6は代表的なマグネシウム合金であるMg−Al系合
金の平衡状態図、図7は本発明例の成形体の金属組織を
示す顕微鏡写真の模写図、図8および図9は比較例の成
形品の金属組織を示す顕微鏡写真の模写図である。
【0012】本発明においては、図1、図2、図3、図
5、図6に示すように、まず、液相線温度に対して過熱
度が50℃未満に保持された最大固溶限以上の組成の亜
共晶アルミニウム合金あるいは最大固溶限内組成のマグ
ネシウム合金、アルミニウム合金の溶湯を、保持容器に
注湯しつつ加振棒を保持容器内の合金中へ浸漬して合金
と直接接触させながら加振棒を加振することにより合金
に振動を与え、注湯完了後直ちに加振棒を引き上げるこ
とにより合金より離脱させる。この注湯中に、加振棒ば
かりでなく保持容器にも振動を与えることが望ましい。
【0013】このようにして、液相線温度以上で結晶核
を有する液体状態の合金または液相線以下で成形温度以
上の結晶核を有する固液共存状態の合金にし、引き続き
所定の液相率を示す成形温度まで該合金を前記保持容器
内で冷却しつつ30秒〜60分間保持することにより、
該合金中に微細な初晶を晶出させた後、該保持容器を天
地反転するなどして該保持容器から該合金を取り出して
成形用金型に供給して加圧成形するようにした。ここ
で、「所定の液相率」とは、加圧成形に適する液相の量
比を意味し、ダイカスト鋳造、スクイズ鋳造などの高圧
鋳造では、液相率は75%未満、好ましくは40%〜6
5%とする。40%未満では保持容器30からの取り出
しが容易でなく、また取り出された素材の成形性が劣
る。一方、75%を超える場合は素材が軟らかいためハ
ンドリングが難しいばかりでなく、ダイカスト機の金型
内溶融金属を射出するための射出スリーブへの挿入時に
周辺空気を巻き込み、あるいは成形された鋳造品の金属
組織に偏析が発生して均一な組織が得にくいなどの問題
がある。このため、75%以下、好ましくは65%以下
とする。押出法や鍛造法では、1.0%〜70%、好ま
しくは10%〜65%とする。70%を超える場合は、
組織の不均一が生じる惧れがある。このため、70%以
下、好ましくは65%以下とする。また、1.0%未満
では変形抵抗が高いので、1.0%以上とする。なお、
40%未満の液相率の合金を用いて押出法や鍛造法を行
なう場合、40%以上の液相率で該合金を容器から取り
出し、その後、40%未満に液相率を下げる。
【0014】本発明でいう「保持容器」とは、金属製容
器または非金属製容器(セラミック容器も含む)とする
か、あるいは、非金属材料を表面に塗布またはコーティ
ングした金属製容器、もしくは非金属材料を複合させた
金属製容器とする。非金属材料を金属製容器の表面に塗
布するのは、メタルの付着防止に効果的である。また、
保持容器を加熱する手段として、保持容器の内部あるい
は外部をヒータで加熱する方法以外に、導電性の容器を
用いた場合は高周波誘導加熱の方法によって加熱しても
よい。また、本発明の「保持容器内に注湯され蓄えられ
ていく合金に加振棒を合金中へ浸漬して直接接触させな
がら加振棒へ振動を与える」とは、たとえば、ラドルか
ら保持容器へ注湯され、保持容器内へ蓄えられていく合
金の中に加振棒を浸し、かつ、加振棒を加振してその振
動を蓄えられていく合金に与えることを意味し、保持容
器内へ入れられた加振棒に注湯するということではな
い。本発明では、保持容器内へ入れられた後にたまりつ
つある液体合金中に加振棒を入れて振動を合金へ伝える
ものである(なお、注湯作業が完了すると同時に加振棒
は、合金から直ちに離脱させる)。なお、本発明の「振
動」とは、振動発生装置の種類、振動条件(周波数、振
幅)を限定するものでないが、市販のエア式振動装置、
電動式振動装置でもよく、また使用される振動条件とし
ては、たとえば、周波数は10ヘルツ〜50kヘルツ、
好ましくは50ヘルツ〜1kヘルツ、片振幅は1mm〜
0.1μm、好ましくは500μm〜10μmが望まし
い。
【0015】具体的には以下のとおりの手順により作業
を進める。図3および図4の工程[1]においてラドル
10内に入れられた完全液体である合金M1 を、工程
[2]において保持容器(セラミック容器もしくはセラ
ミックコーティング金属容器)30に注湯しつつ、合金
1 中に加振棒20を浸漬し合金M1 に直接接触させな
がら加振棒20を加振して該合金M1 に振動を与え、ま
た、注湯中、必要に応じて保持容器30にも振動装置4
0により振動を与え、注湯完了後加振棒20を合金M2
より引き上げることにより、液相線近傍の液体状態の合
金M2 、あるいは、固液共存状態の合金M2 に結晶核を
発生させる。次に、工程[3]において該合金M2 を、
必要に応じて少なくとも上部、下部のいずれかを保温も
しくは該保持容器中央部に比べて高温に加熱した保持容
器30において半溶融状態で保持し、導入された結晶核
から微細な球状(非デンドライト状)の初晶を生成させ
る。このようにして得られた所定の液相率を有する合金
3 を、例えば[3]−dのように保持容器30を反転
し、ダイキャストの射出スリーブ50に所定の液相率で
挿入した後、ダイカストマシンの金型キャビティ60a
内で加圧成形して成形品を得る。
【0016】図1、図2、図3、図4に示す本発明と、
従来のチクソキャスト法やレオキャスト法の違いは図よ
り明らかである。すなわち、本発明では、従来法のよう
に半溶融温領域で晶出したデンドライト状の初晶を機械
撹拌や電磁撹拌で強制的に破砕球状化することはなく、
半溶融温度領域における温度低下とともに液中に導入さ
れた結晶核を起点として晶出、成長する多数の初晶が合
金自身が持っている熱量により(必要に応じて外部から
加熱保持されることも有り得る)、連続的に球状化され
るものであり、また、チクソキャスト法におけるビレッ
トの再昇温による半溶融化の工程が省かれているため極
めて簡便な方法である。上述した各工程、すなわち、図
3に示す保持容器30への注湯工程、初晶の生成、球状
工程、成形工程のそれぞれにおいて設定された振動条
件、球状化条件および成形条件や本発明で示した数値限
定理由について以下に説明する。
【0017】保持容器30に注湯される溶湯の温度が、
液相線温度に対して50℃以上高ければ、(1)結晶の
核発生が少なく、しかも、(2)容器に注がれた時の合
金の温度が液相線よりも高いために残存する結晶核の割
合も少なく、初晶のサイズが大きく、不定形のデンドラ
イトが発生する。このため、注湯温度は液相線に対する
過熱度を50℃未満とし、また液相線温度に対する過熱
度を30℃未満とすることにより、より微細な初晶サイ
ズとすることができる。保持容器30に注湯された合金
1 が、成形に適した液相率を示すまで冷却される際
に、容器上部および容器下部が加熱もしくは保温されな
い場合、該容器30の上部および/あるいは下部の合金
1 の表皮部にデンドライト状の初晶が発生したり、凝
固層が成長し容器内の金属の温度分布も不均一になるた
め、保持容器から合金を反転してとり出す場合、保持容
器から所定の液相率の合金を排出出来なかったり、保持
容器30内部に凝固層が残り連続成形が困難になりやす
い。このため、注湯後成形温度までの保持時間が短い場
合、冷却過程では容器上部および容器下部を容器中央部
より加熱したり、あるいは、保温し、必要に応じて注湯
後の冷却過程だけでなく、注湯前にあらかじめ該容器の
上部、下部を加熱しておく。
【0018】保持容器30は、注湯された合金を所定の
液相率を示す成形温度まで冷却しながら所定の時間保持
できるものであれば、保持容器の材質を限定する必要は
ないが、容器内の合金を5分以内の短時間に冷却する場
合は、熱伝導率が1.0kcal/mhr℃以上の材質
のものが好ましい。金属性の保持容器を使用する場合
は、該容器の表面に非金属性物質(例えばBN、黒鉛な
ど)を塗布することが好ましい。塗布する方法は機械
的、化学的、物理的方法のいずれでも構わない。また、
通気性のある容器を容器30として使用する場合、ある
いは、長時間保持される場合、マグネシウム合金および
アルミニウム合金は酸化しやすいため、容器外部を所定
の雰囲気(不活性雰囲気、減圧雰囲気など)にすること
が好ましい。また金属性容器を使用する場合において
も、マグネシウム合金は酸化しやすいので不活性雰囲気
やCO2雰囲気にすることが望ましい。また、酸化防止
を図るためにあらかじめ金属溶湯にマグネシウム合金で
はBe、Caを、アルミニウム合金ではBeを添加する
ことが出来る。なお、容器30の形状は筒状に限定され
るものではなく、その後の成形法に適した形状が可能で
ある。その保持容器30における保持時間が30秒未満
であれば、希望する液相率を示す温度にすることが容易
でなく、また球状の初晶を生成することが困難である。
一方、保持時間が60分を超えると、生成した球状初晶
や共晶組織が粗くなり、機械的性質が低下する。このた
め、保持時間は30秒〜60分とする。
【0019】容器内合金に対して加振棒20、振動装置
40により振動を与えることにより、結晶核を多数含む
液相線温度以下の半溶融合金および液相線温度以上の合
金を得ることは可能であるが、より均一で微細な球状組
織を得るためにアルミニウム合金においてはTi、Bを
添加し、マグネシウム合金においてはSr、Si、Ca
を添加する。Tiが0.005%〜0.30%を超えれ
ば粗大なTi化合物が発生し延性が低下するので、Ti
は0.005%〜0.30%とする。BはTiと相まっ
て微細化を促進するが、0.001%未満であれば微細
化効果は小さく、0.01%を超えて添加してもそれ以
上の効果を期待できないのでBは0.001%〜0.0
1%とする。Srが0.005%未満であれば微細化効
果は小さく、0.1%を超えて添加してもそれ以上の効
果を期待できないので、Srは0.005%〜0.1%
とする。0.005%〜0.1%のSrに0.01%〜
1.5%のSiを複合添加することにより、Sr単独添
加よりもさらに微細な結晶粒が得られる。Caが0.0
5%未満では微細化効果は小さく、0.30%を超えて
添加してもそれ以上の効果を期待できないのでCaは
0.05%〜0.30%とする。
【0020】注湯される合金に結晶核を与えるために加
振棒20を使用するが、連続的に加振棒20を使用し、
かつ結晶を多数発生させるために内部あるいは外部から
冷却できるものであること、加振棒20の表面に非金属
性物質を塗布することが好ましい。なお、振動をさせな
いで内部から冷却できる冷却棒を単に使用した場合は、
たとえ非金属性物質を塗布していても、注湯された合金
から冷却棒を引き上げた時、冷却棒表面に凝固層が多量
に付着したり、樹枝状晶が保持容器内の合金中に多数認
められたりする。このため、冷却棒を溶湯に接触させる
場合には、この冷却棒を振動するようにして加振棒とす
る。加振棒20を使用すれば、保持容器内部の合金に微
細な初晶を晶出させることは出来る。しかし、保持容器
30に接触する部分に樹枝状晶が発生することがある。
このため、注湯中、保持容器30に振動を与えることが
望ましい。なお、注湯した後に、加振棒20を用いて、
あるいは保持容器30を振動して保持容器30内の合金
を振動しても、半溶融成形に適する微細な結晶は得られ
ないので、注湯中に加振する。
【0021】
【表1】
【0022】表1に成形前の半溶融金属の条件および成
形材の品質を示す。成形は図3に示すように、半溶融金
属を射出スリーブ50に挿入し、その後スクイズ鋳造機
を用いて行なった。成形条件は、加圧力950kgf/
cm2 、射出速度0.5m/s、鋳造品重量(ビスケッ
ト含む)1.5kg、金型温度230℃とした。ただ
し、表1中、no.11、no.18は押出機を用いて
成形したときの成形材の品質およびそれを成形したとき
に使用した半溶融金属の条件を示している。成形は、所
定の液相率の半溶融金属をコンテナに挿入し、その後、
押出成形を行なった。成形条件は、以下のとおりであ
る。 押出機仕様;800t、押出速度(製品速度);8
0m/min 押出ビレット直径;75mm、押出比;20
【0023】比較例12では、鋳造温度が高すぎるため
に保持容器内において残存する結晶核がほとんどないた
めに、微細な球状の初晶が得られず不定形の初晶しか得
られない。比較例13および比較例19では、加振棒の
振動がないため、図9に示すように不定形の樹枝状晶が
多数発生する。比較例14では、保持時間が長いために
球状の初晶サイズが大きくなる。比較例15では加振棒
がないため、図8に示すように不定形の樹枝状晶が発生
したり、粗大な球状の初晶が発生する。比較例16では
成形前の液相率が高いために、スリーブに半溶融合金を
挿入する時に空気が巻き込んだり、鋳造品内部に偏析が
多く発生する。比較例17では注湯完了後加振棒の取り
出し時間が遅かったために、加振棒20の回りに凝固層
ができることから樹枝状晶が発生したり、鋳造品内部に
不均一な組織が生成されたりする。比較例20では保持
容器の上部、下部に全く保温しないで急速に冷却したた
めに、不定形の樹枝状晶は少ないが保持容器の上部、下
部に凝固層が出来たりして、保持容器からの半溶融合金
の排出が困難である。比較例18では、押出成形時の液
相率が0.5%(表1中には記載されていないが、容器
30から取り出す半溶融合金の液相率は55%である)
であるために、固体状態の合金を成形する場合とほとん
ど同じ加圧力が必要である。
【0024】一方、本発明例1〜本発明例11では、図
7に示すように、不定形の樹枝状晶は認められず、微細
な球状の初晶を有する均質な組織の成形体が得られる。
【0025】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明に係る半溶融金属の成形方法では、保持容器内に
注湯され蓄えられていく合金に、注湯中加振棒を浸漬し
て直接接触させながら該加振棒を加振して該合金に振動
を与えることにより、液相線温度以上で結晶核を有する
液体状態の合金または液相線以下で成形温度以上の結晶
核を有する固液共存状態の合金にし、引き続き所定の液
相率を示す成形温度まで該合金を前記保持容器内で冷却
しつつ30秒〜60分間保持することにより、該合金中
に微細な初晶を晶出させた後、該保持容器から該合金を
取り出して成形用金型に供給して加圧成形することとし
たので、従来の機械撹拌法や電磁撹拌法によらず、簡便
容易に、かつ、低コストで微細かつ球状の組織を有する
成形体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る最大固溶限以上の組成の亜共晶ア
ルミニウム合金の半溶融金属の成形方法を示す工程説明
図である。
【図2】本発明に係る最大固溶限内組成のマグネシウム
合金あるいはアルミニウム合金の半溶融金属の成形方法
を示す工程説明図である。
【図3】本発明に係る球状初晶の生成から成形までの工
程説明図である。
【図4】図3に示した各工程の金属組織の模写図であ
る。
【図5】本発明に係る代表的なアルミ合金であるAl−
Si系合金平衡状態図である。
【図6】本発明に係る代表的なマグネ合金であるMg−
Al系合金平衡状態図である。
【図7】本発明例の成形品(AC4CH合金)の金属組
織を示す顕微鏡写真の模写図である。
【図8】比較例の成形品(AC4CH合金、加振棒な
し)の金属組織を示す顕微鏡写真の模写図である。
【図9】比較例の成形品(AC4CH合金、冷却棒あ
り、振動なし)の金属組織を示す顕微鏡写真の模写図で
ある。
【符号の説明】
10 ラドル 20 加振棒 30 保持容器(金属容器もしくは非金属容器) 40 加振装置 50 射出スリーブ 60 金型 60a 金型キャビティ 70 保温材 M 溶湯金属 T 保持時間 t 容器内メタル温度
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 康則 山口県宇部市大字小串字沖の山1980番地 宇部興産株式会社機械・エンジニアリング 事業本部内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 保持容器内に注湯され蓄えられていく合
    金に、注湯中加振棒を浸漬して直接接触させながら該加
    振棒を加振して該合金に振動を与えることにより、液相
    線温度以上で結晶核を有する液体状態の合金または液相
    線以下で成形温度以上の結晶核を有する固液共存状態の
    合金にし、 引き続き所定の液相率を示す成形温度まで該合金を前記
    保持容器内で冷却しつつ30秒〜60分間保持すること
    により、該合金中に微細な初晶を晶出させた後、該保持
    容器から該合金を取り出して成形用金型に供給して加圧
    成形することを特徴とする半溶融金属の成形方法。
  2. 【請求項2】 保持容器に注湯中、加振棒を加振すると
    ともに該保持容器に振動を与える請求項1記載の半溶融
    金属の成形方法。
  3. 【請求項3】 加振棒は、金属製、非金属製、非金属を
    コーティングした金属製のいずれかとし、かつ、該加振
    棒の内部あるいは外部から該加振棒を冷却することがで
    きるようにした請求項1または請求項2記載の半溶融金
    属の成形方法。
  4. 【請求項4】 注湯される合金の温度は、液相線温度に
    対して過熱度が50℃未満に保持した請求項1ないし請
    求項3記載の半溶融金属の成形方法。
  5. 【請求項5】 成形用金型に供給される合金の液相率が
    1.0%以上で、かつ、75%未満とした請求項1ない
    し請求項4記載の半溶融金属の成形方法。
  6. 【請求項6】 合金を最大固溶限内組成のアルミニウム
    合金、または、最大固溶限以上の組成の亜共晶アルミニ
    ウム合金とした請求項1または請求項2記載の半溶融金
    属の成形方法。
  7. 【請求項7】 合金を最大固溶限内組成のマグネシウム
    合金とした請求項1または請求項2記載の半溶融金属の
    成形方法。
  8. 【請求項8】 アルミニウム合金を、Bを0.0001
    %〜0.01%、Tiを0.005%〜0.3%を添加
    したアルミニウム合金とした請求項6記載の半溶融金属
    の成形方法。
  9. 【請求項9】 マグネシウム合金を、Srを0.005
    %〜0.1%添加したマグネシウム合金、Siを0.0
    1%〜1.5%およびSrを0.005%〜0.1%添
    加したマグネシウム合金、またはCaを0.05%〜
    0.30%添加したマグネシウム合金のいずれかとした
    請求項7記載の半溶融金属の成形方法。
  10. 【請求項10】 少なくとも保持容器の上部、下部のい
    ずれかを保温または該保持容器中央部に比べて高温に加
    熱した請求項1ないし請求項9記載の半溶融金属の成形
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6866316B1 (en) 2003-05-15 2005-03-15 Durakon Acquisition Corp. Frame to vehicle cargo area mounting
US6938672B2 (en) 2003-04-24 2005-09-06 Chun Pyo Hong Rheoforming apparatus
US6942009B2 (en) 2003-04-24 2005-09-13 Chun Pyo Hong Apparatus for manufacturing billet for thixocasting
JP2006519704A (ja) * 2003-03-04 2006-08-31 イドラプリンス インコーポレイテッド 金属合金を調製するための方法及び装置
CN102000784A (zh) * 2010-11-17 2011-04-06 昆明理工大学 一种大型球墨铸铁件凝固组织的控制方法
JP2019022897A (ja) * 2017-07-24 2019-02-14 東芝機械株式会社 半凝固金属製造装置

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