JP3536559B2 - 半溶融金属の成形方法 - Google Patents

半溶融金属の成形方法

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JP3536559B2 JP31432996A JP31432996A JP3536559B2 JP 3536559 B2 JP3536559 B2 JP 3536559B2 JP 31432996 A JP31432996 A JP 31432996A JP 31432996 A JP31432996 A JP 31432996A JP 3536559 B2 JP3536559 B2 JP 3536559B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半溶融過共晶Al
−Si系合金の成形方法に係り、熱伝導率が1kcal
/mh℃以上の保持容器の中に注湯されたPを0.00
5%〜0.03%含む過共晶Al−Si系合金を、所定
の液相率を示す成形温度まで冷却しながら保持する工程
において、該合金の注湯完了直後の温度から、Al、S
iの二元共晶温度まであるいは該共晶温度より高い成形
温度までの平均冷却速度を0.15℃/s〜2.0℃/
sとすることにより、微細な初晶Siを該合金液中に晶
出させ、必要に応じて引き続き所定の液相率を示すまで
共晶組織を晶出させ、該合金を該保持容器から取り出し
て成形用金型に供給して加圧成形する半溶融金属の成形
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】過共晶合金は、耐摩耗性、耐熱性に優れ
た合金として知られ、低圧鋳造、重力鋳造、高速ダイキ
ャスト法、スクイズ鋳造法などを用いてピストン、エン
ジンブロツクなどに多く使用されている。チクソキャス
ト法(A)は、従来の鋳造法に比べて鋳造欠陥や偏析が
少なく、金属組織が均一で、金型寿命が長いことや成形
サイクルが短いなどの利点があり、最近注目されている
技術である。この成形法において使用されるビレット
は、半溶融温度領域で機械撹拌や電磁撹拌を実施する
か、あるいは加工後の再結晶を利用することによって得
られた球状化組織を特徴とするものである。一方、ビレ
ットを半溶融温度領域まで昇温し成形する方法と異な
り、球状の初晶を含む融液を連続的に生成し、ビレット
として一旦固化することなく、そのままそれを成形する
レオキャスト法(B)が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、過共晶
合金においては、とりわけ、Si量が15%を超えるよ
うな合金においては、湯流れ性は優れているものの粗大
な引け欠陥(ざく巣)が発生しやすい。加えて、初晶S
iの微細化剤として添加されている燐(P)の効果を十
分に発揮させるため、鋳造温度が高くする必要があり、
そのために、凝固時間が長くなり最終凝固部に引け欠陥
が発生しやすい。高速ダイキャストにおいては、冷却速
度が速く、初晶Siは細かいものの金型キャビティに溶
湯を充填する際に空気が巻き込みやすく高品質を要求さ
れる製品には不適である。また、上述した(A)の方法
によれば、金型に充填されてからの冷却速度は速く引け
欠陥の発生は少ないが、半溶融成形用のビレットを製造
するための撹拌法や再結晶を利用する方法はいずれの場
合も煩雑であり、製造コストが高くなる難点がある。し
かも、半溶融成形するためには、一旦液相を固化しその
ビレットを再度半溶融温度領域まで昇温する必要があ
り、従来鋳造法に比べてコスト高になり、また原料とし
てのビレットはリサイクルが難しく、また液相率もビレ
ットのハンドリング上の問題から高くできない。
【0004】また、(B)の方法では、球状の初晶を含
む融液を連続的に生成供給するため、コスト的、エネル
ギ的にもチクソキャストよりも有利であるが、球状組織
と液相からなる金属原料を製造する機械と最終製品を製
造する鋳造機との設備的連動が煩雑である。しかも、半
溶融過共晶Al−Si系合金に関しての報告はほとんど
ない。
【0005】本発明は、上述の従来の各方法の問題点に
着目し、ビレットを使用することなくしかも煩雑な方法
をとることなく、簡便容易に、微細な初晶Siを含む均
一な組織と、均一な温度分布を有する成形に適した半溶
融金属(従来チクソキャスト法より高液相率の半溶融金
属まで対象となる)を得て、加圧成形する方法を提供す
ることを目的とするものである。
【0006】
【問題点を解決するための手段】このような問題点を解
決するために、本発明においては、第1の発明では、熱
伝導率が1kcal/mh℃以上の保持容器の中に注湯
されたPを0.005%〜0.03%含む過共晶Al−
Si系合金を、所定の液相率を示す成形温度まで冷却し
ながら保持し、その後、前記合金を保持容器から取り出
して成形用金型に供給して加圧成形する半溶融金属の成
形方法であって、注がれ蓄えられていく合金溶湯を加振
棒で振動させながら注ぐか、あるいは、液相線温度に対
する過熱度が100℃未満の温度の液体状態の合金溶湯
を治具を使用することなく直接注ぐ給湯工程と、少なく
とも保持容器の上部または下部のいずれかを保温する
か、あるいは、該上部または該下部を該保持容器の中央
部に比べて高温に加熱するか、あるいは、該保持容器の
上部または下部の厚みを該保持容器の中央部よりも薄く
するかのいずれか一つの方法を用いて局部的な温度低下
を防ぎつつ、該保持容器の外部へ空気または水を噴射す
る方法か、あるいは、該保持容器を所定の時間だけ冷却
水に浸漬する方法のうち、少なくともいずれかの方法を
用いて該合金の注湯完了直後の温度からAl、Siの二
元共晶温度に到達するまでの冷却速度を0.15℃/s
〜2.0℃/sとする冷却工程と、保持容器に注湯され
た合金の温度保持を、誘導加熱により該保持容器内の合
金の各部の温度を遅くとも成形する時までには所定の液
相率を示す目標成形温度範囲内に収める温度調整工程
、該合金を該保持容器から取り出して成形用金型に供
給して加圧成形する加圧成形工程と、からなる構成とし
た。
【0007】また、第2の発明では、第1の発明の成形
温度がAl、Siの二元共晶温度より高い場合には、該
合金の注湯完了直後の温度から所定の液相率を示す成形
温度に到達するまでの平均冷却速度を0.15℃/s〜
2.0℃/sとすることにより微細な初晶Siを該合金
液中に晶出させ、あるいは、成形温度がAl、Siの二
元共晶温度以下の場合には、該合金の注湯完了直後の温
度からAl、Siの二元共晶温度に到達するまでの冷却
速度を0.15℃/s〜2.0℃/sとすることにより
微細な初晶Siを該合金液中に晶出させ、さらに該共晶
温度において所定の液相率を示すまで共晶組織を晶出さ
せることとした。
【0008】また、第3の発明では、第1の発明または
第2の発明のPに加え、0.005%〜0.03%Sr
および0.001%〜0.01%Naのうち少なくとも
どちらかを添加した過共晶Al−Si合金とした。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明では、熱伝導率が1kca
l/mh℃以上の保持容器の中に所定の方法で注湯され
たPを0.005%〜0.03%含む過共晶Al−Si
系合金を、所定の液相率を示す成形温度まで冷却しなが
ら保持する工程において、該合金の注湯完了直後の温度
から、Al、Siの二元共晶温度まであるいは該共晶温
度より高い成形温度までの平均冷却速度を0.15℃/
s〜2.0℃/sとすることにより、微細な初晶Siを
該合金液中に晶出させ、必要に応じて引き続き所定の液
相率を示すまで共晶組織を晶出させ、その後、該合金を
該保持容器から取り出して成形用金型に供給して加圧成
形することにより、微細かつ均一な初晶Siを有する優
れた成形体が得られる。
【0010】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例の詳細
について説明する。図1〜図8は本発明の実施例に係
り、図1はP添加過共晶Al−Si系合金の半溶融金属
の製造から成形までを示す工程説明図、図2は極微細な
初晶Siの生成から成形までの工程説明図、図3は図2
に示した各工程の金属組織の模写図、図4はAl−Si
系合金の平衡状態図、図5は本発明例の金属組織を示す
顕微鏡写真の模写図、図6、図7および図8は比較例の
金属組織を示す顕微鏡写真の模写図である。
【0011】本発明においては、図1、図4に示すよう
に、液相線温度よりも高いP添加過共晶合金溶湯を、
(1)冷却治具20に接触させる、(2)液相線温度に
対する過熱度を100℃未満とする、(3)保持容器に
注がれて蓄えられていく溶湯に加振棒40で振動させ
る、のいずれかの方法により、保持容器30に注ぎ液中
に結晶核(微細な結晶)を発生させ、その保持容器30
内において該合金M2 の注湯完了直後の温度から、A
l、Siの二元共晶温度まで、あるいは、該共晶温度よ
り高い成形温度までの平均冷却速度を0.15℃/s〜
2.0℃/sとすることにより、微細な初晶Siを該合
金液中に晶出させる。実用の過共晶Al−Si合金は初
晶の晶出量が少ないために、必要に応じて引き続き、所
定の液相率を示すまで共晶組織を晶出させる。その後、
該合金を該容器から取り出して成形用金型に供給して加
圧成形するようにした。
【0012】ここで、注湯完了直後の温度は、図1に示
すように、液相線温度以下の一部固相を含む温度(点b
2)、あるいは、液相線温度に対する過熱度が10℃以
下(点b2)とする。過熱度が10℃を超えるような場
合、保持容器30内の金属溶湯の冷却が遅くなり、微細
な初晶Siが得られにくくなる。
【0013】本発明でいう「保持容器」とは、注湯され
た金属溶湯を所定の液相率まで冷却し、微細な組織を晶
出させるために用いるものであるが、該保持容器30の
室温における熱伝導率が1.0kcal/hr℃未満の
場合は、断熱性が良いため、該保持容器30に注がれた
合金溶湯が所定の液相率を示す温度まで冷却保持される
時間が長くなり、作業能率が悪く、かつ、生成した初晶
も粗くなり成形性が低下する。このため、保持容器の熱
伝導率は1.0kcal/mhr℃とする。また、材質
は、金属または非金属あるいは非金属を塗布した金属の
いずれでも構わない。また、保持容器30の厚みに関し
ては、注湯された後、保持容器30の壁面に接する合金
溶湯より凝固層が発生しないか、あるいは、発生しても
その後の高周波誘導装置により容易に再溶融する厚みと
することが望ましく、合金の種類および保持容器30内
の合金の重量により適宜決定される。ちなみに、2kg
程度の鋳物の製造に当たっては、たとえば3mm以下の
平均厚みのステンレス容器や鋳鉄容器が使用される。
【0014】また、「所定の液相率」とは、加圧成形に
適する液相の量を意味し、ダイカスト鋳造、スクイズ鋳
造などの高圧鋳造では液相率は30%〜95%、好まし
くは40%〜70%とする。30%未満では保持容器3
0からの取り出しが容易でなく、また素材の成形性が劣
り,95%以上では素材が軟らかいためハンドリングが
難しいばかりでなく、均一な組織が得にくくなる。押出
法や鍛造法では、1.0%〜70%、好ましくは10%
〜65%とする。1.0%未満では変形抵抗が高いの
で、1.0%以上とする。70%を超える場合は、組織
の不均一が生じる怖れがある。
【0015】また、合金を保持容器の中に「注湯する方
法」は、注湯された溶湯中に結晶核(微細結晶)を発生
させることが出来るものであり、異質核として、あるい
は、結晶遊離の促進元素として、働く微細化剤Pの効果
を発現させるために、冷却治具(具体的には傾斜板)と
接触させる、あるいは、注湯され蓄えられる溶湯に加振
棒により振動を付与する。もしくは、液相線温度に対す
る過熱度が100℃未満とする。過熱度が100℃を超
えると粗大なSiが発生しやすい。このため100℃未
満とする。好ましくは溶湯の過熱度を30℃未満とする
ことにより微細な初晶を得ることができる。なお、長時
間の低温での溶湯保持は、Pの凝集をもたらし、微細化
効果を低下させるので、注意が必要である。なお、本発
明の「振動」とは、振動発生装置の種類、振動条件(周
波数、振幅)を限定するものでないが、市販のエア式振
動装置、電動式振動装置でもよく、また使用される振動
条件としては、たとえば、周波数は10Hz〜50kH
z、好ましくは50Hz〜1kHz、片振幅は1mm〜
0.1μm、好ましくは500μm〜10μmが望まし
い。
【0016】また、保持容器30の中に注湯された合金
の共晶温度までの「冷却方法」は、所定の冷却速度で強
制的に冷却させるために行なわれるものであり、保持容
器30の外部へ空気また水を噴射するか、あるいは保持
容器30を所定の時間だけ冷却水に浸漬する。また、保
持容器に注湯された合金の「温度保持」は、急速に冷却
することにより生じた保持容器各部の温度の不均一を誘
導加熱により遅くとも成形する時までに、所定の液相率
を示す目標成形温度範囲内に収めるように温度調整する
ようにするものである。成形温度が共晶温度より高い場
合(点c1)には、保持容器内の代表温度(保持容器内
に入れられた合金の中心温度)が目標成形温度に対して
10℃以上低下しない段階までに、所定量の電流を所定
の時間内に流して目標成形温度に対して−5℃〜+5℃
の温度範囲に収める。成形温度が2元共晶温度である場
合(点c2)には、共晶温度より低下しない段階で所定
量の電流を所定の時間内に流して所定の液相率を示すよ
うにする。
【0017】保持容器30に注湯された合金が成形に適
した液相率を示すまで冷却される際に、保持容器上部お
よび保持容器下部は、「加熱もしくは保温」が必要であ
る。それがなされない場合、該保持容器の上部および/
あるいは保持容器の下部の合金の表皮部に粗大な初晶が
発生したり、凝固層が成長し保持容器内の金属の温度分
布も不均一になるため、高周波誘導により加熱しても保
持容器から合金を反転して取り出す場合、保持容器から
所定の液相率の合金を排出出来なかったり、保持容器内
部に凝固層が残り連続成形が困難になったり、温度分布
が完全に改善されなかったりする。このため、注湯後成
形温度までの保持時間が短い場合、冷却過程では保持容
器上部および/あるいは保持容器下部を保持容器中央部
より加熱したりあるいは保温し、必要に応じて、注湯後
の冷却過程だけでなく、注湯前にあらかじめ該保持容器
の上部、下部を加熱する。また、保持容器の上部、下部
の厚みを薄くすることは、中央部に比べて凝固層の生成
を抑制することに効果的である。
【0018】具体的には、以下のとおりの手順により作
業を進める。図2および図3の工程[1]においてラド
ル10内に入れられた完全液体である金属M1 を工程
[2]において、傾斜冷却用治具20に溶湯を接触させ
て、あるいは保持容器(セラミック塗布金属製容器)3
0内に注湯され蓄えられていく溶湯に加振棒40により
振動を付与して(注湯完了後は振動棒は引き上げる)、
あるいは、溶湯の液相線温度に対する過熱度を100℃
未満、好ましくは50℃未満、さらに好ましくは30℃
未満に保持して、保持容器内に注ぐことにより結晶核
(あるいは微細結晶)を含む液相線直上、直下の合金を
得る。
【0019】次に、工程[3]において、保持容器30
の外部から空気50または水60を噴射するか、あるい
は、保持容器30を所定の時間ほど冷却水に浸漬する
か、もしくは、これらの方法を併用するかして、合金溶
湯の注湯完了直後の温度から、Al、Siの二元共晶温
度まで、あるいは、該共晶温度より高い成形温度までを
0.15℃/s〜2.0℃/sの平均冷却速度で冷却し
ながら、加圧成形直前まで保持容器30内に保持し、微
細な初晶を該合金M2 中に晶出させる。この間、保持容
器30回りの加熱コイル90に通電することにより誘導
加熱を行ない、また、保持容器30の上部、下部に保温
用のセラミック(熱伝導率が1kcal/mhr℃未
満)80により、成形する時点までに所定の液相率を示
す目標温度範囲内に保持容器内各部の温度を収める。こ
れにより、導入された結晶核から微細な初晶Siが生成
し(工程[3]−a)、固相率の増加に伴ない初晶Si
が周囲に初晶αを伴なって成長する。このようにして得
られた所定の液相率を有する合金M2 を、たとえば、工
程[3]−bのように、ダイキャストの射出スリーブ7
0に挿入した後、ダイキャストマシンの金型キャビティ
100a内で加圧成形して成形品を得る。
【0020】図1、図2、図3に示す本発明の方法と、
従来のチクソキャスト法、レオキャスト法の違いは図よ
り明らかである。すなわち、本発明では従来法のよう
に、半溶融温領域で晶出した初晶を機械撹拌や電磁撹拌
で強制的に破砕球状化することはなく、半溶融温度領域
での温度低下とともに液中に導入された結晶核を起点と
して晶出、成長する多数の初晶が合金自身が持っている
熱量により(必要に応じて外部から加熱保持されること
もありうる)連続的に粒状化されるものであり、また、
チクソキャスト法におけるビレットの再昇温による半溶
融化の工程が省かれているため極めて簡便な方法であ
る。
【0021】上述した各工程、すなわち、図2に示す保
持容器への注湯工程、粒状化工程、のそれぞれにおいて
設定された条件や本発明で示した数値限定理由について
以下に説明する。亜共晶Al−Si系合金では、傾斜冷
却板を通過した合金を冷却しながら半溶融温度領域に保
持することにより微細な球状の初晶が得られるが、過共
晶Al−Si系合金では40μm未満の初晶Siは容易
には得られない。そこで、多数の結晶核を発生させるた
めにPを添加するが、0.005%未満では微細化効果
は小さく、0.03%を超えて添加してもそれ以上の効
果は期待出来ないので、Pは0.005%〜0.03%
とする。保持容器30の中に注湯されたPを0.005
%〜0.03%含む過共晶Al−Si系合金を、所定の
液相率を示す成形温度まで冷却しながら保持する工程に
おいて、該合金の注湯完了直後の温度から、Al、Si
の二元共晶温度まで、あるいは、該共晶温度より高い成
形温度までの平均冷却速度を、0.15℃/s〜2.0
℃/sとする。0.15℃/s未満では、たとえPが含
まれていても、いずれの注湯法(冷却板接触法、低温溶
湯注湯法、振動法)を使用しても、40μm未満の初晶
Siは容易には得られず、粗大なSiが混在する。ま
た、2.0℃/sを越えると、微細な初晶Si以外に粗
大な針状Siが発生し組織が不均一になる。このため、
平均冷却速度を0.15℃/s〜2.0℃/sとする。
【0022】共晶温度域での保持時間が長い場合、共晶
組織が粗くなる。このため、共晶組織を細かくし機械的
性質を改善するために、SrあるいはNaを添加する。
Srが0.005%未満であれば、共晶Siの微細化効
果は小さく、0.03%を超えて添加すると、初晶Si
の微細化を損なうことがあることから、0.005%〜
0.03%とする。Naは0.001%未満であれば、
共晶Siの微細化効果は小さく、0.01%を超えて添
加すると、初晶Siの微細化を損なうことがあることか
ら、0.001%〜0.01%とする。
【0023】
【表1】
【0024】表1に、半溶融金属の製造条件および成形
体の組織観察の結果を示す。成形は、図2に示すよう
に、半溶融金属を射出スリーブ70に挿入し、その後、
スクイズ鋳造機を用いて行なった。成形条件は、加圧力
950kgf/cm2、射出速度0.5m/s、鋳造品
重量(ビスケット含む)1.5kg、金型温度230℃
とした。比較例1では、Pを含んでいないため、冷却板
を使用しても微細な初晶Siは得られず、図6に示すよ
うな粗大な初晶Siしか得られない。比較例2、比較例
3では、冷却速度が遅いために微細な初晶Siの他に、
図7に示すような粗大な初晶Siが混在する。比較例
4、比較例5、比較例6では、保持容器内メタルの温度
調整のための高周波誘導炉の使用あるいは保持容器の上
部、下部の保温のいずれかが無いため、保持容器からメ
タルを排出することが出来なかったり、成形時に不均一
な組織が発生する。比較例7では、冷却速度が速いため
に、図8に示すように微細な組織以外に、粗大な針状S
iが発生する。
【0025】一方、本発明例8〜14では、図5に示す
ような微細な初晶Siが得られる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明に係る半溶融金属の成形方法では、従来の機械撹
拌法、電磁撹拌法によらず、簡便容易に、かつ、低コス
トで微細かつ粒状の組織を有する成形体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に実施例に係るP添加過共晶Al−Si
系合金の半溶融金属の製造から成形までを示す工程説明
図である。
【図2】本発明の実施例に係る極微細な初晶Siの生成
から成形までの工程説明図である。
【図3】図2に示した各工程の金属組織の模式図であ
る。
【図4】本発明の実施例に係る代表的なAl−Si系合
金の平衡状態図である。
【図5】本発明例の金属組織を示す顕微鏡写真の模写図
である。
【図6】比較例の金属組織を示す顕微鏡写真の模写図で
ある。
【図7】比較例の金属組織を示す顕微鏡写真の模写図で
ある。
【図8】比較例の金属組織を示す顕微鏡写真の模写図で
ある。
【符号の説明】 10 ラドル 20 冷却治具 30 保持容器(金属製容器) 40 加振棒 50 空気 60 水 70 射出スリーブ 80 セラミック 90 コイル 100 金型 100a 金型キャビティ M1 金属溶湯 M2 金属溶湯 T 保持時間 t 容器内メタル温度
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−164108(JP,A) 特開 平8−187547(JP,A) 特開 平7−32113(JP,A) 特開 平8−257722(JP,A) 特開 平9−87768(JP,A) 特開 昭64−96341(JP,A) 特公 昭54−8325(JP,B1) 特許3211754(JP,B2) 特許3246363(JP,B2) 特許3246296(JP,B2) 特許3246358(JP,B2) 欧州特許392998(EP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 1/02 B22D 17/00 - 17/32 B22D 27/00 - 27/20

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱伝導率が1kcal/mh℃以上の
    保持容器の中に注湯されたPを0.005%〜0.03
    %含む過共晶Al−Si系合金を、所定の液相率を示す
    成形温度まで冷却しながら保持し、その後、前記合金を
    保持容器から取り出して成形用金型に供給して加圧成形
    する半溶融金属の成形方法であって、 注がれ蓄えられていく合金溶湯を加振棒で振動させなが
    ら注ぐか、あるいは、液相線温度に対する過熱度が10
    0℃未満の温度の液体状態の合金溶湯を治具を使用する
    ことなく直接注ぐ給湯工程と、 少なくとも保持容器の上部または下部のいずれかを保温
    するか、あるいは、該上部または該下部を該保持容器の
    中央部に比べて高温に加熱するか、あるいは、該保持容
    器の上部または下部の厚みを該保持容器の中央部よりも
    薄くするかのいずれか一つの方法を用いて局部的な温度
    低下を防ぎつつ、該保持容器の外部へ空気または水を噴
    射する方法か、あるいは、該保持容器を所定の時間だけ
    冷却水に浸漬する方法のうち、少なくともいずれかの方
    法を用いて該合金の注湯完了直後の温度からAl、Si
    の二元共晶温度に到達するまでの冷却速度を0.15℃
    /s〜2.0℃/sとする冷却工程と、 保持容器に注湯された合金の温度保持を、誘導加熱によ
    り該保持容器内の合金の各部の温度を遅くとも成形する
    時までには所定の液相率を示す目標成形温度範囲内に収
    める温度調整工程と、 該合金を該保持容器から取り出して成形用金型に供給し
    て加圧成形する加圧成形工程と、からなることを 特徴と
    する半溶融金属の成形方法。
  2. 【請求項2】 成形温度がAl、Siの二元共晶温度
    より高い場合には、該合金の注湯完了直後の温度から所
    定の液相率を示す成形温度に到達するまでの平均冷却速
    度を0.15℃/s〜2.0℃/sとすることにより微
    細な初晶Siを該合金液中に晶出させ、あるいは、成形
    温度がAl、Siの二元共晶温度以下の場合には、該合
    金の注湯完了直後の温度からAl、Siの二元共晶温度
    に到達するまでの冷却速度を0.15℃/s〜2.0℃
    /sとすることにより微細な初晶Siを該合金液中に晶
    出させ、さらに該共晶温度において所定の液相率を示す
    まで共晶組織を晶出させる請求項1記載の半溶融金属の
    成形方法。
  3. 【請求項3】 過共晶Al−Si合金を、0.005
    %〜0.03%Srおよび0.001%〜0.01%N
    aのうち、少なくともどちらかを含む過共晶Al−Si
    合金とした請求項1または請求項2に記載の半溶融金属
    の成形方法。
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