JP3053063B2 - 半溶融成形に適したアルミニウム合金鋳造素材の製造方法 - Google Patents

半溶融成形に適したアルミニウム合金鋳造素材の製造方法

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JP3053063B2 JP7011768A JP1176895A JP3053063B2 JP 3053063 B2 JP3053063 B2 JP 3053063B2 JP 7011768 A JP7011768 A JP 7011768A JP 1176895 A JP1176895 A JP 1176895A JP 3053063 B2 JP3053063 B2 JP 3053063B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は半溶融成形に適した微細
等軸晶組織を有するアルミニウム合金鋳造素材の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】チクソキャスト法は、従来の鋳造法に比
べて鋳造欠陥や偏析が少なく、金属組織が均一で、金型
寿命が長いことや成形サイクルが短いなどの利点があ
り、最近注目されている技術である。この成形法(以下
成形法Aと称する)において使用されるビレットは、半
溶融温度領域で機械攪拌や電磁攪拌を実施するか、ある
いは加工後の再結晶を利用することによって得られたも
のである。これに対して、従来鋳造法による素材を用い
て半溶融成形する方法も知られている。これは、たとえ
ば、微細な等軸晶組織を得、その後の半溶融温度域まで
昇温して鋳造時のデンドライト状の初晶を球状化させて
成形法Aと同等の組織を得るために、従来添加される量
よりも多量の(たとえば、2〜10倍)Al−Ti−B
母合金を添加する方法(以下方法Bと称する)が知られ
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た成形法Aの方法は攪拌法や再結晶を利用する方法のい
ずれの場合も作業が繁雑であり、製造コストが高くなる
難点がある。また、方法Bでは、TiやBがTiB2
して炉底に沈降しやすいために、安定した品質の素材が
得られにくいという難点がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明に係る半溶融成形に適したアルミニウ
ム合金鋳造素材の製造方法では、液相線温度に対して過
熱度を30℃未満に保持されたアルミニウム合金溶湯を
1.0℃/s以上の凝固区間冷却速度で凝固させて、微
細な等軸晶組織を有したアルミニウム合金鋳造素材を得
るようにした。また、第2の発明では、Bを0.001
〜0.01%、Tiを0.005〜0.30%添加した
アルミ合金とした。また、第3の発明では、Bを0.0
01〜0.01%、Tiを0.005〜0.30%添加
し、かつ、Siを4〜6%含むアルミ合金とした。ま
た、第4の発明では、以上のアルミ合金を注湯するビレ
ット用金型を給湯方向に対して略直角方向に微小振動さ
せながら、給湯するようにした。
【0005】
【作用】液相線温度に対して過熱度を30℃以下にする
ことにより、注湯時に生成された結晶核の再溶解を防止
できるため、200μm以下の微細な等軸晶を有するア
ルミニウム合金の鋳造素材を得ることができる。
【0006】
【実施例】以下図面に基づいて本発明に係る半溶融成形
に適したアルミニウム合金鋳造素材の製造方法について
詳細に説明する。図1〜図6は本発明の実施例に係り、
図1はAC4CH合金鋳造素材の結晶粒径と鋳造温度の
相関を示す特性曲線図、図2はAC4CH合金を鋳造す
る金型の縦断面図、図3は7075合金鋳造素材の結晶
粒径と鋳造温度との相関を示す特性曲線図、図4は70
75合金を鋳造する金型の縦断面図、図5はAC4CH
合金の半溶融成形品の金属組織の模写図、図6は707
5合金の半溶融成形品の金属組織の模写図である。
【0007】本発明に係る実施例として、AC4CH合
金の場合について述べる。図1は、図2に示す金型でA
C4CH合金を鋳造した場合において、冷却速度が6℃
/sの場合と0.4℃/sの場合のAC4CH合金の結
晶粒径に及ぼす鋳造温度の影響を示したものであり、鋳
造温度が660℃から640℃になる場合や冷却速度が
速い場合に鋳造品の結晶粒径が著しく微細化することが
わかる。特に、Al−5%Ti−1%BをAC4CH合
金にB量で0.005%添加した場合、100μm以下
の微細な等軸晶組織が得られる。図3は、図4に示した
冷水槽に浸漬された金型を用いて7075合金を冷却速
度が10℃/sで鋳造した場合の結晶粒径と鋳造温度の
相関を示したもので、図1に示すAC4CH合金と比べ
て結晶粒径はかなり細かいが、結晶粒径に及ぼす鋳造温
度の影響はAC4CH合金と同様に顕著である。融点
(628℃)に対する過熱度が30℃未満の鋳造温度で
は720℃の場合に比べて、結晶粒は著しく微細化され
る。また、TiBを添加した場合においても、融点に対
する過熱度が30℃未満になると結晶粒は著しく細かく
なり、640℃では50μm程度にまで微細化される。
【0008】次に、上述したアルミニウム合金鋳造素材
の鋳造条件および第2の発明、第3の発明の含有元素の
数値限定理由について述べる。鋳造温度の過熱度が30
℃以上では、結晶が粗大化し、凝固区間冷却速度が1℃
/s未満では鋳造温度が低くても、TiやBを添加して
も、結晶粒が粗大化する。したがって、本発明において
は、鋳造温度は液相線に対して過熱度を30℃未満と
し、凝固区間冷却速度は1℃/s以上とすることとし
た。
【0009】鋳造温度を低く抑えることにより結晶は微
細化するが、さらに微細化させるためにTi、Bを添加
する。Tiが0.005%未満では微細化効果は小さ
く、0.30%を超えれば粗大なTi化合物が発生し延
性が低下するので、Tiは0.005〜0.30%とす
る。BはTiと相俟って微細化を促進するが0.001
%未満であれば結晶粒が微細化せず、0.01%を超え
て添加してもそれ以上の効果を期待できないので、Bは
0.001〜0.01%とする。Siが6%未満では初
晶の形態は花びら状であるため、半溶融温度域に保持す
ることにより容易に球状化する。また、4%未満では強
度が不足する。このためSiは4〜6%とする。
【0010】次に、第4の発明では、ビレット用金型に
溶湯を給湯する時、給湯方向とほぼ直角方向に、たとえ
ば1〜200G、振幅1μm〜10mm程度の微小振動
をビレット用金型に与える。加振方法はエアバイブレー
ションなどどのようなものでもよい。このような微小振
動を給湯時に溶湯に与えると、より微細な結晶粒の素材
が得られ好ましい。なお、ここでいう鋳造温度(溶湯温
度)は金型に注湯する直前の溶湯の温度を意味し、ま
た、鋳造方法はバッチ式に金型に鋳造する実施例につい
て記載したが鋳造方法はバッチ式に限定されるものでは
なく、連続鋳造法にも適用される。
【0011】図5は、本発明の実施例に係るAC4CH
半溶融成形品の金属組織を示すが、図7の従来法による
半溶融成形品の金属組織が等軸晶を形成しておらず、不
定形になっているのに対して、図5の場合には、微細な
球状組織が均一に生成していることが観察される。
【0012】一方、図6は7075半溶融成形品の金属
組織を示したものであり、これに対して図8は従来法の
半溶融成形品の金属組織を示したものである。両者を比
較すると、図6の金属組織は、図8の金属組織に比べて
非常に微細な均一な組織となっていることがわかる。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る半溶
融成形に適したアルミニウム合金鋳造素材の製造方法で
は、液相線温度に対して過熱度を30℃未満に保持され
たアルミニウム合金溶湯を1.0℃/s以上の凝固区間
冷却速度で凝固させて微細な等軸晶組織を有するアルミ
ニウム合金鋳造素材を得るようにしたことにより、従来
の微細化処理による方法よりも一層細かい等軸晶組織を
有し、しかも、半溶融状態で攪拌した後に凝固させる方
法で得られる粒状組織に近い金属組織を得ることができ
るので、半溶融成形に適した素材が簡便容易に、かつ、
確実に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係るAC4CH合金鋳造素材
の結晶粒径と鋳造温度の相関を示す特性曲線図である。
【図2】本発明の実施例に係るAC4CH合金を鋳造す
る金型の縦断面図である。
【図3】本発明の実施例に係る7075合金鋳造素材の
結晶粒径と鋳造温度との相関を示す特性曲線図である。
【図4】本発明の実施例に係る7075合金を鋳造する
金型の縦断面図である。
【図5】本発明の実施例に係るAC4CH合金の半溶融
成形品の金属組織の模写図である。
【図6】本発明の実施例に係る7075合金の半溶融成
形品の金属組織の模写図である。
【図7】従来のAC4CH合金の半溶融成形品の金属組
織の模写図である。
【図8】従来の7075合金の半溶融成形品の金属組織
の模写図である。
【符号の説明】
1 金型 1a 冷却フィン 2 アルミニウム溶湯 3 柄杓 10 水槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−103859(JP,A) 特開 平4−52059(JP,A) 特開 平5−228602(JP,A) 特開 平5−23815(JP,A) 特開 平7−216488(JP,A) 特開 平2−141543(JP,A) 特開 昭51−49125(JP,A) 特開 平1−309776(JP,A) 特開 平6−25773(JP,A) 特開 平8−90152(JP,A) 特開 平8−71695(JP,A) 特開 平7−164108(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 27/04 C22C 1/02 501 C22C 21/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液相線温度に対して過熱度を30℃未満
    に保持されたアルミニウム合金溶湯を1.0℃/s以上
    の凝固区間冷却速度で凝固させて、微細な等軸晶組織を
    有したアルミニウム合金鋳造素材を得るようにしたこと
    を特徴とする半溶融成形に適したアルミニウム合金鋳造
    素材の製造方法。
  2. 【請求項2】 アルミ合金は、Bを0.001〜0.0
    1%、Tiを0.005〜0.30%添加したアルミ合
    金とした請求項1記載の半溶融成形に適したアルミニウ
    ム合金鋳造素材の製造方法。
  3. 【請求項3】 アルミ合金は、Bを0.001〜0.0
    1%、Tiを0.005〜0.30%添加し、かつ、S
    iを4〜6%含むアルミ合金とした請求項1記載の半溶
    融成形に適したアルミニウム合金鋳造素材の製造方法。
  4. 【請求項4】 ビレット用金型を給湯方向に対して略直
    角方向に微小振動させながら給湯する請求項1、請求項
    2、または請求項3記載の半溶融成形に適したアルミニ
    ウム合金鋳造素材の製造方法。
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