JP5035508B2 - アルミニウム合金凝固体およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、微細な結晶粒子(固相)と溶融金属(液相)とが混在する半凝固金属スラリーを用い、レオキャストや鍛造やチクソキャストなどで作られるアルミニウム合金凝固体およびその製造方法に関する。
この種のアルミニウム合金からなる金属スラリーは、結晶粒子が液相マトリックス中に互いに分離した状態で存在し、その結晶粒子ができるだけ微細で且つ均一な非樹枝状、好ましくは球状であることが必要である。
この様な半凝固状態の金属スラリーそのものや、それを一旦連鋳で急冷して得たビレットを再加熱したものは、高固相率で低粘度の半溶融金属となり、これを金型内で凝固させることで作られる凝固体製品の収縮巣の発生を抑制できると共に強度を向上させることができる。そのため、従来から、各種の半凝固金属スラリーの製造方法が提案されている(例えば特許文献1)。
この特許文献1に記載の方法は、アルミニウム合金からなる溶融金属を、当該アルミニウム合金の液相線温度TL(℃)からTL+60(℃)の間の温度で傾斜冷却体に注ぎ流すことで冷却し、当該溶融金属の少なくとも一部を固液共存状態とすると共に、傾斜冷却体に接触後の溶融金属中に細粒で粒状の1次粒子を晶出させることを特徴としている。その後、例えば図5(a)に示すように、保温カップ3内で、晶出させた1次粒子を含む溶融金属を半溶融温度域に所定の時間保持することにより、1次粒子を成長させて半凝固金属スラリーを得るようにしている。図5(a)中、1は溶融金属保持炉、1Aは給湯管、2は傾斜冷却体を示す。この傾斜冷却体2には、図5(b)に示したような、溶融金属と接触する通路2Bを冷やす冷却用パイプ2Aが設けられている。傾斜冷却体2としては、銅板を樋形状(半割り円筒形状)または管形状(円筒形状)に形成した後、耐溶損性のあるコーティングを通路2Bに施し、その表面を平滑に仕上げてなるものが好適に用いられる。
しかし、本発明者らの実験によれば、傾斜冷却体を用い、JIS 7075アルミニウム合金からなる溶融金属を、当該アルミニウム合金の液相線温度TL(℃)からTL+60(℃)の間の温度で銅製の傾斜冷却体に注ぎ流すことで冷却した場合、傾斜冷却体2の通路2B上で溶融金属が膜状に凝固してしまうことを防止するのが難しくなる。そこで、それを回避するため、傾斜冷却体2に接触させる直前の溶融金属の温度(℃)をTL+60を超える温度域に調整した結果、TL+60超え、TL+90以下の温度範囲においても、平均結晶粒径が70μm未満の半凝固金属スラリーが安定して得られることがわかった。
すなわち、傾斜冷却体を用い、結晶粒が細かい半凝固金属スラリーを製造する際には、傾斜冷却体2による溶融金属の冷却条件が重要であることが判明したのである。
一方、特許文献2には、従来の機械攪拌法や電磁攪拌法によらず、簡便容易に、低コストで微細かつ球状のチクソ組織を有する成形体が得られる溶融金属の成形方法が提案されている。この特許文献2に記載の溶融金属の成形方法は、液相線温度に対する過熱度が50℃未満に保持された結晶微細化剤を含むアルミニウム合金の溶湯、またはマグネシウム合金の溶湯を直接保持容器内に注湯し、所定の液相率を示す成形温度にまで冷却しつつ30秒〜30分間保持する工程で、微細な初晶を該合金液中に晶出させ、該保持容器から取り出し、成形用金型に供給して加圧成形する方法である。
特開平8−187547号公報 特開平10−158756号公報
ところで、傾斜冷却体2による溶融金属の冷却速度は、傾斜冷却体2と接触している溶融金属の接触時間(=傾斜冷却体の通路と溶融金属との接触長を、溶融金属の流速で除した値)と、その間の溶融金属の温度降下量とに基づいて求めることができる。
すなわち、傾斜冷却体の通路と溶融金属との接触長と、傾斜冷却体の通路と水平面のなす角度θとから、傾斜冷却体2と接触している溶融金属の接触時間がほぼ決まる。一方、その間における溶融金属の温度降下量は、当該アルミニウム合金の液相線温度TL(℃)に対して、傾斜冷却体2に接触させる直前の溶融金属の温度(傾斜冷却板直上の箇所P2で測定した溶湯温度)を決め、それに応じた冷却用パイプ2A内の冷却水流量および傾斜冷却板に流下させる溶融金属の流量などからほぼ決まる。
ここで、傾斜冷却体を用い、結晶粒が細かい半凝固金属スラリーを製造するには、傾斜冷却体2と接触している溶融金属の接触時間が大きい影響を与えているが、それを最適化したとき以上に平均的に結晶粒が細かいアルミニウム合金の固体を作りたいという、課題があった。
なお、特許文献2に記載の溶融金属の成形方法は、結晶微細化剤を含むアルミニウム合金の溶湯を直接保持容器内に注湯しているため、傾斜冷却体を用いておらず、傾斜冷却体を用いた場合、結晶微細化効果が維持できるのか、どうか不明であり、またJIS 7075アルミニウム合金からなる溶融金属に適用できるものかも不明であった。
本発明は、傾斜冷却体を用い、傾斜冷却体と溶融金属とが接触するときの冷却条件を最適化して得られる結晶粒よりも、平均的に細かい粒状組織を有するアルミニウム合金の凝固体およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、以下のとおりである。
1.JIS 7075アルミニウム合金の原料組成に対し、TiまたはZr0.20質量%以上0.40質量%以下添加され、前記TiまたはZrの化合物が初晶の核となって形成される結晶粒によって平均結晶粒径が51μm以下である粒状組織となっていることを特徴とするアルミニウム合金凝固体。
.アルミニウム合金の原料を溶解した溶融金属中に、TiまたはZr0.20質量%以上0.40質量%以下添加した後、前記TiまたはZrの化合物が生成された溶融金属を攪拌する工程と、前記TiまたはZrの化合物が分散された溶融金属を、当該アルミニウム合金の液相線温度TL(℃)を超える温度で傾斜冷却体に注ぎ流すことで冷却し、前記傾斜冷却体から流下するまでの間に、前記TiまたはZrの化合物を核として初晶を晶出させつつ、当該溶融金属の少なくとも一部を固液共存状態とする工程と、該固液共存状態の半凝固金属スラリーを金型内で凝固させる工程とを経て、前記TiまたはZrの化合物が初晶の核となって形成される結晶粒によって平均結晶粒径が51μm以下である粒状組織を有するアルミニウム合金凝固体を得ることを特徴とするアルミニウム合金凝固体の製造方法。
.前記TiまたはZrの化合物が分散された溶融金属を、傾斜冷却体と溶融金属とが接触している接触時間を最適化した傾斜冷却体に注ぎ流すことを特徴とする上記.に記載のアルミニウム合金凝固体の製造方法。
本発明によれば、JIS 7075アルミニウム合金の原料組成に対し、結晶微細化効果を有する元素が添加され、前記結晶微細化効果を有する元素の化合物が初晶の核となって形成される結晶粒によって平均的に細かい粒状組織となっているアルミニウム合金凝固体としたので、傾斜冷却体を用い、傾斜冷却体と溶融金属とが接触するときの冷却条件を最適化して得られる結晶粒よりも、平均的に細かい粒状組織を有するアルミニウム合金固体とすることができる。
まず、本発明者らが、図3に示すような傾斜冷却体2を有する製造装置を用い、溶融金属中に結晶微細化剤を添加せずに行った実験結果について説明する。
この半凝固金属スラリーの製造実験は、傾斜冷却体2と溶融金属Mとが接触している接触時間(=a/溶融金属の流速)を最適化するため、傾斜冷却体の通路と水平面のなす角度θと、傾斜冷却体2の通路2Bと溶融金属との接触長aを変化させ、金型鋳造し、得られた半凝固金属スラリーの組織を調べたものである。
図3(a)に示した製造装置は、傾斜冷却体2を有し、黒鉛坩堝6内で溶解したアルミニウム合金の原料を傾斜冷却体2上に流下できるようになっている。図3(a)中、4は鋳鉄製の鋳型、5は断熱材を示し、着脱可能に鋳鉄製の鋳型4の周囲を囲んでいる。
溶解したJIS 7075アルミニウム合金の原料組成を表1に示した。
Figure 0005035508
半凝固金属スラリーの組織観察は、以下の手順で作成した試料を用いて行った。
(1)黒鉛坩堝6内で、JIS 7075アルミニウム合金の原料を溶解する。
(2)黒鉛坩堝6内で、溶解した溶融金属(以下、溶湯ともいう)を所定の保持温度で保持する。
(3)黒鉛坩堝6を傾け、溶湯を傾斜冷却板上に流下させ、断熱材5で囲んだ鋳鉄製の鋳型4内に、傾斜冷却板で冷却した後の溶湯を流し込む。
(4)断熱材5で囲んだ鋳鉄製の鋳型4内で、傾斜冷却板で冷却した後の溶湯を所定の温度で所定の時間保持し、初晶αアルミニウムを成長させる。
(5)断熱材5を取り外した後、冷却槽7の冷却水7A中に鋳鉄製の鋳型4ごと、半凝固状態の金属スラリーを浸漬する。このようにして半凝固金属スラリーの金属組織を固定した。
半凝固金属スラリーの製造条件:
銅製の傾斜冷却板の上部に流下させる溶湯の温度=642℃(=TL+10、TL(℃):結晶微細化剤を溶湯に添加しない場合の当該アルミニウム合金の液相線温度=632℃、
鋳造温度ともいう)、鋳鉄製の鋳型4内へ供給する溶湯の流量=1.8リットル/分、
鋳鉄製の鋳型4の予熱温度=630℃、断熱材5で囲んだ鋳鉄製の鋳型4内での溶湯の保持温度×溶湯の保持時間=630℃×10秒。なお、溶湯の保持温度=630℃、溶湯の保持時間=10秒としたのは、初晶αアルミニウムを成長させる条件として、初晶αアルミニウムが晶出した溶湯を、半凝固温度域でかつ10秒程度保持することが推奨されているからである。
図4(a)には、得られた半凝固金属スラリーのうち、平均結晶粒径が最も小さい粒状組織を示した。この平均結晶粒径が最も小さい粒状組織は、傾斜冷却体2の通路と水平面のなす角度θ=60度かつ傾斜冷却体2の通路と溶融金属との接触長a=180mmとした傾斜冷却体2に溶湯を流下して得られ組織である。この条件では、傾斜冷却体2と溶融金属Mとが接触している接触時間が最適化されており、平均結晶粒径は、60μmであった。
これに対して、傾斜冷却体2の通路と水平面のなす角度θ=50度かつ傾斜冷却体2の通路と溶融金属との接触長a=220mmとした傾斜冷却体2を用いた場合の平均結晶粒径は、82μmであった。また傾斜冷却体2の通路と水平面のなす角度θ=70度かつ傾斜冷却体2の通路と溶融金属との接触長a=140mmとした傾斜冷却体2を用いた場合の平均結晶粒径は、80μmであった。
傾斜冷却体2と溶融金属Mとが接触している接触時間が最適値よりも長い場合には、傾斜冷却体2の通路と溶融金属との接触箇所に凝固シェルが生成するため、初晶の遊離が妨げられる。この結果、鋳鉄製の鋳型4内に流下する初晶αアルミニウムの数が、接触時間を最適としたときに比べて少なくなる。これによって、初晶が晶出した溶湯を推奨保持条件で保持すると、初晶の数が少ない分、初晶の成長割合が高くなり、金型鋳造し、得られるアルミニウム合金凝固体の結晶粒が平均的に粗大化する。
一方、傾斜冷却体2と溶融金属Mとが接触している接触時間が最適値よりも短い場合には、傾斜冷却体2と接触して冷却される溶融金属から生成する初晶αアルミニウムの数が、前記接触時間を最適としたときに比べて少なくなるから、前記接触時間が最適値よりも長い場合と同様なことが起こり、金型鋳造し、得られるアルミに生む合金凝固体の結晶粒が平均的に粗大化する。
以上説明したように、傾斜冷却体2を有する半凝固金属スラリーの製造装置を用い、溶融金属中に結晶微細化剤を添加せずに行った金型鋳造実験結果により、結晶粒が細かいアルミニウム凝固体得るには、傾斜冷却体2と溶融金属Mとが接触している接触時間を最適とすることが重要であることが判明したのである。
なお、図4(b)には、傾斜冷却体2をなしとした従来の金型鋳造法で得られる樹枝状組織を示した。この樹枝状組織は、傾斜冷却体2を用いず、上記(1)〜(5)の手順のうち、(3)に代え、黒鉛坩堝6を傾け、溶湯を直接、断熱材5で囲んだ鋳鉄製の鋳型4内に流し込んで得られた組織である。
ここで、図1には、上記した傾斜冷却体2を有する製造装置で作られた半凝固金属スラリーの金属組織を示した。結晶微細化剤が添加されていない溶湯を傾斜冷却体2に流下した場合に得られる粒状組織:図1(a)と、結晶微細化剤が添加されている溶湯を傾斜冷却体2に流下した場合に得られる粒状組織:図1(b)、(c)を比較して示した。
本発明にかかるアルミニウム合金凝固体は、金型鋳造実験に用いたJIS 7075アルミニウム合金の原料組成に対し、結晶微細化効果を有するTiまたはZrなどの元素が結晶微細化剤として添加され、結晶微細化効果を有する元素の化合物が初晶の核となって形成される結晶粒によって、それが添加されていない場合に比べて平均的に細かい粒状組織となっている。
図1(b)、(c)に示した粒状組織の平均結晶粒径は、それぞれ51μm、50μmである。一方、図1(a)に示した粒状組織の平均結晶粒径は60μmであり、傾斜冷却体2と接触して冷却される溶融金属の冷却条件を最適化したときに得られたものである。
結晶微細化剤としては、Al−Ti系として、その組成がAl−5質量%Ti−1質量%B、Al−5質量%Ti、TiBなどが公知であり、またAl−Zr系として、その組成が(ZrAl)であるものが公知である。
なお、図1(b)、(c)には、組成がAl−5質量%Tiの母合金を、溶湯に対し、結晶微細化効果を有するTi量がそれぞれ0.20、0.40質量%となるように秤量して、溶湯中に添加した。また、図2(a)、(b)には、組成がAl−5質量%ZrであるAl−Zr系の結晶微細化剤を、溶湯に対し、結晶微細化効果を有するZr量がそれぞれ0.20、0.40質量%となるように秤量して、溶湯中に添加した。結晶微細化剤として、Al−Ti系を用いた方が、Al−Zr系を用いた場合より、結晶微細化効果が大きくなっていることがわかる。
この結晶微細化剤の効果を十分発揮させるには、晶出する結晶の核となるTiAl、TiBなどの化合物が溶湯中に多数個分散して存在している状態で、溶湯を傾斜冷却体2に流下する。結晶微細化剤の添加は、たとえば、組成がAl−5質量%Tiの母合金の場合、温度が750〜800℃の溶湯中に添加し、結晶微細化剤を添加してからの溶湯の保持時間を30分とし、その後、溶湯を攪拌する。このようにして、結晶微細化剤中のTi元素をAlと反応させ、TiAlなどのTi化合物が溶湯中に多数個分散して存在している状態とする。
このようにした場合、結晶微細化効果を有する元素の化合物が分散された溶融金属を、当該アルミニウム合金の液相線温度TL(℃)を超える温度で傾斜冷却体2に注ぎ流すことで冷却し、傾斜冷却体2から流下するまでの間に、結晶微細化効果を有する元素の化合物を核として初晶を晶出させつつ、当該溶融金属の少なくとも一部を固液共存状態とする工程と、該固液共存状態の半凝固金属スラリーを金型内で凝固させる工程とを経て、結晶微細化効果を有する元素の化合物が初晶の核となって形成される結晶粒によって、結晶微細化剤を添加していない場合よりも、平均的に細かい粒状組織を有するアルミニウム合金凝固体を得ることができる。
この理由は、結晶微細化効果を有する元素の化合物が分散された溶融金属と傾斜冷却体2とが接触するが、溶湯中に多数個分散して存在している結晶の核となる化合物の多くが傾斜冷却体2の通路に付着してしまうことなく、鋳鉄製の鋳型4内に流下する結果、鋳鉄製の鋳型4内の初晶の数が増えるからである。
なお、JIS 7075アルミニウム合金の原料組成に対して、結晶微細化効果を有するTiまたはZrを、結晶微細化剤としてその効果を十分発揮するように、0.40質量%以下溶湯中に添加してなるアルミニウム合金の凝固体とすることが好ましい。この理由は、結晶微細化効果を有するTiまたはZrを、結晶微細化剤として、0.40質量%を超えて溶湯中に添加した場合、TiAl、(ZrAl)などの化合物が増え過ぎてしまい、得られるアルミニウム合金の凝固体に鋳造割れ、応力腐食割れが生じやすくなるからである。
以下で説明するように、結晶微細化剤が溶湯中に添加されてない場合と、溶湯中に添加されている場合について、各溶湯を傾斜冷却体2に流下し、得られた半凝固金属スラリーを溶湯鍛造して、アルミニウム合金凝固体の機械的性質を調べた。機械的性質は、溶湯鍛造して得たアルミニウム合金凝固体から試料を採取し、T6熱処理を施した後、ビッカース硬さ試験機を用い、試験力1kgfで硬さ試験を行い、その値で評価した。アルミニウム合金凝固体の形状は、厚みが35mmで、底面が矩形:縦×横=34mm×139mm、頂面が矩形:縦×横=20mm×125mmの角錐台とした。
溶解したJIS 7075アルミニウム合金の組成:表1参照
熱処理条件:表2参照
溶湯鍛造条件:表3参照
Figure 0005035508
Figure 0005035508
半凝固金属スラリーの製造条件:
銅製の傾斜冷却板の水平面に対する傾斜角度θ=60度、
傾斜冷却体の通路と溶融金属との接触長a=180mm、
下金型内への半凝固金属スラリーの目標充填量:0.3kg、
銅製の傾斜冷却板の上部に流下させる溶湯の温度=642℃(鋳造温度ともいう)。
なお、鋳造温度は、結晶微細化剤を溶湯に添加しない場合の当該アルミニウム合金の液相線温度TL(℃)=632℃に対して、結晶微細化剤として結晶微細化効果のある元素TiまたはZrを、溶湯中にそれぞれ0.20、0.40質量%添加した場合にも、銅製の傾斜冷却板の上部に流下させる溶湯の温度=642℃で一定とした。
溶湯中にTiをそれぞれ、0.20、0.40質量%添加する際に用いた結晶微細化剤:Al−5質量%Tiの母合金、
溶湯中にZrをそれぞれ、0.20、0.40質量%添加する際に用いた結晶微細化剤:Al−5質量%Zrの母合金、それ以外は、前記した金型鋳造実験のときと同じ条件とした。
ビッカース硬さ試験結果を表4、5に示した。
Figure 0005035508
Figure 0005035508
表4、5に示したビッカース硬さHVの値から、溶湯中に結晶微細化効果を有するTiまたはZrを0.40質量%以下添加し、かつ結晶微細化効果を有する元素の化合物が生成された溶湯を傾斜冷却体2に流下し、得られた半凝固金属スラリーを溶湯鍛造した場合には、結晶微細化剤を添加していない溶湯を用いた場合に比べて、ビッカース硬さの値が高く、アルミニウム合金凝固体の機械的性質が向上していることがわかる。
結晶微細化剤が添加されていない溶湯を用いた場合に得られる粒状組織(a)と、結晶微細化剤が添加されている溶湯を用いた場合に得られる粒状組織(b)、(c)の金属組織を示す写真である。 結晶微細化剤が添加されている溶湯を用いた場合に得られる粒状組織(a)、(b)の金属組織を示す写真である。 本発明の方法を実施するための装置の一例を示す断面図である。 図3の装置により傾斜冷却体有りとして得た粒状組織(a)と、傾斜冷却体なしとして得られる樹枝状組織(b)を比較して示した金属組織写真である。 特許文献1に記載の鋳造用金属スラリーの製造装置の構成図である。
符号の説明
1 溶融金属保持炉
1A 給湯管
1B 制御棒
2 傾斜冷却体
2A 冷却用パイプ
2B 通路
3 保温カップ
4 鋳型
5 断熱材
6 黒鉛坩堝
7 冷却槽
7A 冷却水
P1 保持炉内の箇所
P2 傾斜冷却板直上の箇所
P3 保温カップ内の箇所
θ 傾斜冷却体の通路と水平面のなす角度
a 傾斜冷却体の通路と溶融金属との接触長
M 傾斜冷却体直上の溶融金属

Claims (3)

  1. JIS 7075アルミニウム合金の原料組成に対し、TiまたはZr0.20質量%以上0.40質量%以下添加され、前記TiまたはZrの化合物が初晶の核となって形成される結晶粒によって平均結晶粒径が51μm以下である粒状組織となっていることを特徴とするアルミニウム合金凝固体。
  2. アルミニウム合金の原料を溶解した溶融金属中に、TiまたはZr0.20質量%以上0.40質量%以下添加した後、前記TiまたはZrの化合物が生成された溶融金属を攪拌する工程と、
    前記TiまたはZrの化合物が分散された溶融金属を、当該アルミニウム合金の液相線温度TL(℃)を超える温度で傾斜冷却体に注ぎ流すことで冷却し、前記傾斜冷却体から流下するまでの間に、前記TiまたはZrの化合物を核として初晶を晶出させつつ、当該溶融金属の少なくとも一部を固液共存状態とする工程と、
    該固液共存状態の半凝固金属スラリーを金型内で凝固させる工程とを経て、
    前記TiまたはZrの化合物が初晶の核となって形成される結晶粒によって平均結晶粒径が51μm以下である粒状組織を有するアルミニウム合金凝固体を得ることを特徴とするアルミニウム合金凝固体の製造方法。
  3. 前記TiまたはZrの化合物が分散された溶融金属を、傾斜冷却体と溶融金属とが接触している接触時間を最適化した傾斜冷却体に注ぎ流すことを特徴とする請求項に記載のアルミニウム合金凝固体の製造方法。
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