JP2007046071A - Mg合金及びその鋳造又は鍛造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 Fe含有量を0.002wt%よりも低い値まで低下させたMg合金鋳造品又は鍛造品を得る。
【解決手段】 溶解炉3内に投入したMg合金原料を溶解させて調整した後に約630℃まで降温した後に少なくとも30分間静置した後に出湯される。溶湯炉3から出た溶湯は傾斜冷却体8を伝って流下しながら冷やされて結晶の核(初晶)が生成されると共に結晶を成長させながら流下し、タンディシュ9の中で粒状に成長してセミソリッドスラリーになる。タンディシュ9内のセミソリッドスラリーは水冷鋳型11に供給され、この水冷鋳型11によってMg合金ビレット13が連続的に製造される。
【選択図】 図1
【解決手段】 溶解炉3内に投入したMg合金原料を溶解させて調整した後に約630℃まで降温した後に少なくとも30分間静置した後に出湯される。溶湯炉3から出た溶湯は傾斜冷却体8を伝って流下しながら冷やされて結晶の核(初晶)が生成されると共に結晶を成長させながら流下し、タンディシュ9の中で粒状に成長してセミソリッドスラリーになる。タンディシュ9内のセミソリッドスラリーは水冷鋳型11に供給され、この水冷鋳型11によってMg合金ビレット13が連続的に製造される。
【選択図】 図1
Description
本発明はMg合金及びその鋳造又は鍛造方法に関するものである。
軽量で比強度が大きいMg合金は各種の構造体の材料として注目されている。現在、Mg合金の鋳造品は、完全に溶解したMg合金を鋳造するダイキャスト法、砂型鋳造法、低圧鋳造法などを用いて生産されている。
Mg合金鋳造又は鍛造方法に関し、特許文献1は、溶融Mg合金を流動させながら冷却体に接触させることにより固液共存状態(セミソリッド状態)にし、このセミソリッドスラリーを鋳造することを提案している。この提案によれば、溶融Mg合金を冷却体に接触させてセミソリッド状態にすることで非樹枝状(粒状)の初晶を安定的に作ることができ、これによりセミソリッドスラリーに含まれる固相を粒状結晶化することができる。これによる利点は、溶融Mg合金を鋳造するのに比べて低温で鋳造できる。また固相率が高くても固相が粒状結晶であるため流動性に優れていることから、鋳造品の凝固組織が均一に分散した粒状結晶で構成されるため機械的性質が向上するなどの利点がある。
特許文献2は、上記特許文献1と同様に溶融Mg合金を流動させながら冷却体に接触させることによりセミソリッド状態にし、更にこのセミソリッドスラリーからビレットを連続的に鋳造することを提案している。このビレットは鋳造用Mg合金として利用され、所定長さに切断したビレットがチクソキャスティング法に従って半溶融状態のスラリーとなるまで再加熱され、このスラリーを金型に充填することで成型品が作られる。
ところで、現在、成型品を生産するのに最も多く使われているMg合金はAZ系であり、この系への添加元素はアルミニウム、亜鉛、マンガン(Mn)である。マンガン(Mn)を添加する目的は、不純物である鉄(Fe)による耐食性の低下を防止することにある。すなわち、アルミニウムを添加すると、アルミニウムはFeと親和力が強く、FeAl3化合物になる。そして、マンガンが添加されるとMnAl6が生成され、このMnAl6とFeAl3とが結合して、(FeMn)Al6化合物となり、MnAl6中にFeが固溶した状態となる。したがって、マンガン(Mn)を添加することでMg合金中に析出するFeの量を低下させることができる。このことから、鋳造用Mg合金を生産しているメーカーは添加剤としてMnを添加してMg合金を作っている。AZ系のMg合金として、JIS規格によればMD1Dの成分は次のように規定されている。
MD1DのJIS規格: Al: 8.5〜9.5wt% ;Zn: 0.45〜0.9wt% ;Mn: 0.17〜0.40wt% ;Si:0.05wt%以下 ;Cu: 0.025wt%以下 ;Ni:0.001wt%以下 ;Fe:0.004wt%以下 ;その他不純物:0.01wt%以下 ;Mg:残部
特開平10−34307号公報
特開2001−252759号公報
上述したMD1DのJIS規格にFeの含有量として0.004wt%以下と規定されているように、Mg合金の耐食性を低下させる主要な要因となるFeの含有量はできるだけ少ないのが好ましい。このことから、鋳造用Mg合金を鋳造するメーカーではマンガンを添加してFeの含有量を低下させる努力を払っているが0.002wt%が限界と認識されており、化成処理及び塗装またはメッキ等に多大なコストがかかっている。
従来のMg合金のインゴッド(ビレット)を製造するプロセスは、680〜700℃で精錬及び成分調整を行った後に放冷して約650℃まで降温し、その後静置して沈静させる工程を経て出湯してインゴッドを作る工程からなる。
また、特許文献1などに開示の冷却体を使ってセミソリッドスラリーから鋳造する手法では、その後の研究により「結晶粒の微細化」には液相線温度(約595℃)に近い温度が有効であることが分かっており、このため610℃を基準に各種の試験が行われているのが実状である。なお、特許文献1には、冷却体に接触する際の溶融金属の温度として液相線温度〜プラス60℃の間の温度を設定するのが好ましい旨の開示があるが、その意図は、冷却体での流動性の確保及び固液共存状態の確保にある。
本発明の目的は、耐食性に優れたMg合金を提供することにある。
本発明の他の目的は、不純物の少ないMg合金鋳造品又は鍛造品を得ることのできるMg合金鋳造又は鍛造方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、耐食性を劣化させるFeの含有量を0.002wt%よりも低い値まで低下させたMg合金鋳造品又は鍛造品を得ることのできるMg合金鋳造又は鍛造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、Fe成分の含有量を低下させるために添加するマンガンの量を低減することのできるMg合金鋳造又は鍛造方法を提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明の第1の発明によれば、
Fe、Mnを含むMg合金であって、
発光分析したときにFeの含有量が0.001wt%以下であることを特徴とするMg合金を提供することにある。
Fe、Mnを含むMg合金であって、
発光分析したときにFeの含有量が0.001wt%以下であることを特徴とするMg合金を提供することにある。
このFe含有量が0.001wt%以下という値は、これまで難しいとされていた数値であり、これによりMg合金の耐食性を大幅に改善することができる。
上記の技術的課題は、本発明の第2の発明によれば、
溶解炉でMg合金原料を溶解させて溶湯を作り、前記溶解炉から出湯した溶湯を使ってMg合金を鋳造又は鍛造することによりMg合金の製品を作るMg合金鋳造又は鍛造方法であって、
前記溶解炉でMg合金原料を完全に溶解させた後、約630℃まで降温し、次いで一定時間以上約630℃で静置した後に前記溶解炉内の溶湯の上澄み湯を出湯させることを特徴とするMg合金鋳造又は鍛造方法を提供することにより達成される。
溶解炉でMg合金原料を溶解させて溶湯を作り、前記溶解炉から出湯した溶湯を使ってMg合金を鋳造又は鍛造することによりMg合金の製品を作るMg合金鋳造又は鍛造方法であって、
前記溶解炉でMg合金原料を完全に溶解させた後、約630℃まで降温し、次いで一定時間以上約630℃で静置した後に前記溶解炉内の溶湯の上澄み湯を出湯させることを特徴とするMg合金鋳造又は鍛造方法を提供することにより達成される。
耐食性を劣化させるFeの含有量を0.002wt%よりも少なくすることが難しいと考えられていたが、上記の構成を採用することにより実現可能であることが実証された。実験によれば、溶湯を降温して静置させるときの温度を従来の650℃よりも低い温度である約630℃に設定して、一定時間以上静置した後に上澄み湯を使うことで不純物の少ない成型品を得ることができることが分かった。具体的には、例えばFe含有量を0.0002wt%よりも低い値にすることができることが分かった。したがって、本発明によれば、不純物の少ない、特にFe含有量を0.002wt%よりも低い値まで低下させたMg合金鋳造品又は鍛造品を得ることができ、また、Feを除去するために添加しているマンガンの量を低減することができる。
上記の技術的課題は、本発明の第3の発明によれば、
溶解炉でMg合金原料を溶解させて溶湯を作り、前記溶解炉から出湯した溶湯を冷却体の上で流動させながら接触させて結晶の核を生成すると共に結晶を成長させてセミソリッドスラリーを作り、該セミソリッドスラリーを鋳造又は鍛造することによりMg合金の製品を作るMg合金鋳造又は鍛造方法であって、
前記溶解炉でMg合金原料を完全に溶解させた後、約630℃まで降温し、次いで一定時間以上約630℃で静置した後に前記溶解炉内の溶湯の上澄み湯を出湯させることを特徴とするMg合金鋳造又は鍛造方法を提供することにより達成される。
溶解炉でMg合金原料を溶解させて溶湯を作り、前記溶解炉から出湯した溶湯を冷却体の上で流動させながら接触させて結晶の核を生成すると共に結晶を成長させてセミソリッドスラリーを作り、該セミソリッドスラリーを鋳造又は鍛造することによりMg合金の製品を作るMg合金鋳造又は鍛造方法であって、
前記溶解炉でMg合金原料を完全に溶解させた後、約630℃まで降温し、次いで一定時間以上約630℃で静置した後に前記溶解炉内の溶湯の上澄み湯を出湯させることを特徴とするMg合金鋳造又は鍛造方法を提供することにより達成される。
この第3の発明にあっては、上記第2発明で説明したように不純物の低減した溶融Mg合金からセミソリッドスラリーを作って鋳造するため、溶融Mg合金を直接成形するのに比べて低温で鋳造できるだけでなく、このセミソリッドスラリーは固相率が高くても固相が粒状結晶であるため流動性に優れていることから、凝固組織が均一に分散した粒状結晶で構成されるMg合金の鋳造品又は鍛造品を生産することができる。この第2、3の発明は、最終製品である鋳造品又は鍛造品を生産するのに用いられるMg合金ビレットを作るのに好適に適用される。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は、連続的にMg合金ビレットを生産するのに好都合なMg合金鋳造システムの概要を示す。Mg合金鋳造システム1は、ヒータ2を備えた溶解炉3を有し、この溶解炉3内に投入したMg合金原料が溶解した後に静置した状態が維持され、また、マンガンなどの添加剤が投入される。溶解炉3の上部には横方向又は水平方向に延びる出湯管4が設けられ、出湯管4の周囲にヒータ5が配設されている。溶解炉3は、その底部から下方に延びるドロス抜き管6を有し、バルブ7を開くことにより溶解炉3の底部に沈降した不純物、つまりドロスをドロス抜き管6を通じて取り出すことができる。
溶解炉3内で完全に溶融されたMg合金は、溶解炉3内の上澄み湯が出湯管4を通じて排出され、傾斜した板、樋又はパイプを含む冷却体8を介してタンディシュ9に貯留される。冷却体8は水冷パイプ10を有し、この水冷パイプ10に水を通すことにより冷却体8は一定温度に維持される。
溶解炉3の溶湯は出湯管4から出た後、傾斜冷却体8を伝って流下しながら傾斜冷却体8と接触することにより冷やされて結晶核(初晶)が生成されると共に結晶を成長させながら流下する。微細結晶は、溶湯と一緒にタンディシュ9に流入し、断熱容器であるタンディシュ9の中で数十ミクロン径の粒状に成長してセミソリッドスラリーになる。
タンディシュ9は水冷鋳型11に連結されている。水冷鋳型11にはポート11aを通じて冷却水が供給される。タンディシュ9から水冷鋳型11に供給されたスラリーは水冷鋳型11で凝固し、水平方向にダミーバー12を引き出すことにより連続的にMg合金ビレット13が製造される。
溶解炉3から出湯する溶湯は、溶解炉3の内部に進入可能な出湯制御棒14によって制御される。すなわち、出湯制御棒14は炉外の駆動機構15によって下降駆動され、制御棒14の下降を制御することにより溶解炉3から排出される溶湯の量が制御される。Mg合金鋳造システム1は、好ましくは、傾斜冷却体8を振動させる加振源16を備えているのがよい。加振源16は、例えば偏心軸とモータなどで構成することができ、この加振源16を設けて傾斜冷却体8を振動させることで、傾斜冷却体8に沿って流下する過程で溶湯の一部が傾斜冷却体8の上で凝固するのを防止することができる。すなわち、傾斜冷却体8を振動させることで、溶湯が傾斜冷却体8と接触することで生成される結晶の核を傾斜冷却体8から強制的に遊離させることができる。
上述したMg合金ビレット13は次のプロセスで製造した。
(1)溶解炉3で680℃〜700℃で精錬及び成分調整を行い;(2)次に、630℃±5℃まで降温し;(3)630℃±5℃で少なくとも約30分静置して出湯した。また、Feを除去するために添加するMnの量を従来よりも若干少な目に設定した。
(1)溶解炉3で680℃〜700℃で精錬及び成分調整を行い;(2)次に、630℃±5℃まで降温し;(3)630℃±5℃で少なくとも約30分静置して出湯した。また、Feを除去するために添加するMnの量を従来よりも若干少な目に設定した。
上記第1実施例は、例えば自動車用部品やコンピュータの筐体を鋳造又は鋳造する業者に手渡すための、不純物の少ない中間素材としてのMg合金ビレット13を生産するのに好都合のMg合金鋳造システムを例示したが、本発明は、Mg合金ビレットを介在することなく直接的に最終製品を生産する場合にも好適に適用することができる。下記の第2、第3実施例(図2、図3)はその一例を示すものであり、上述した第1実施例と同一の要素には同一の参照符号を付すことにより、その説明を省略し、第2、第3実施例の特徴部分を中心に説明する。
図2を参照して、第2実施例のMg合金鋳造システム20は、溶解炉3や傾斜冷却体8等を含むが、溶解炉3から溶湯を取り出す出湯管4は溶解炉3の中で垂直に延びて、出湯管4の上端が溶解炉3の上部に位置するように設計されており、出湯管4の上端から上澄み湯を取り込んで出湯管4の下端から排出させるようになっている。勿論のことであるが、第1実施例と同様に出湯管4を横方向又は水平方向に延びる状態で配置してもよい。したがって、出湯制御棒14を管理した状態で下降動作させることで溶解炉3の溶湯の液面を上昇させることで出湯管4を通じて溶湯を取り出すことができる。すなわち、出湯管4から排出される溶融Mg合金の量は出湯制御棒14の下降量によって制御することができる。出湯管4の下端は傾斜冷却板8の上端部に臨んで配置され、出湯管4から出た溶湯は傾斜冷却板8と接触しながら流下することで上述した結晶の核が生成及び結晶の成長を伴いながら傾斜冷却板8の下端に至る。なお、図2では傾斜冷却板8を振動させる加振源16の図示を省いてあるが、傾斜冷却板8に加振源16を設置するのが好ましい。
第2実施例のMg合金鋳造システム20はコールドチャンバーダイキャスト21を有し、傾斜冷却板8の下端は、コールドチャンバーダイキャスト21の湯口22に臨んで配置されている。傾斜冷却板8の下端から流下するセミソリッドスラリーはコールドチャンバーダイキャスト21の湯口22に供給され、このセミソリッドスラリーは、ピストン23で駆動されるプランジャー24によって金型25のキャビティ25aに充填される。
この第2実施例のMg合金鋳造システム20にあっても、上記第1実施例と同じプロセスでMg成形品を得れば、直接的に且つ連続的に、不純物の少ない最終製品、特に、耐食性を低下させるFeが従来に比べて大幅に少ない製品を生産することがことができる。
図3は第3実施例のMg合金鍛造システム30の概要を示す。このMg合金鍛造システム30は、上記第2実施例と同様に、溶解炉3から溶湯を取り出す出湯管4は溶解炉3の中で垂直に延びて、出湯管4の上端が溶解炉3の上部に位置するように設計されており、出湯管4の上端から上澄み湯を取り込んで出湯管4の下端から排出させるようになっている。この第3実施例にあっても、第1実施例と同様に出湯管4を横方向又は水平方向に延びる状態で配置してもよいことは言うまでもない。
傾斜冷却体8の下端は保持炉31に臨んで配置されている。保持炉31は、周囲にヒータ32を備えて一定温度に維持されると共に、取り鍋33を収容するための空間31aを有している。
溶解炉3の溶湯は、出湯管4から出た後、直ちに傾斜冷却体8を伝って流下しながら傾斜冷却体8と接触することにより冷やされて結晶の核が生成されると共に結晶を成長させながら保持炉31内の取り鍋33に収容され、この保持炉31(取り鍋33)内で微細結晶が粒状に成長したセミソリッドスラリーの状態で保持される。
第3実施例のMg合金鍛造システム30は鍛造プレス34を含み、取り鍋33を介してセミソリッドスラリーを鍛造プレス34の金型に充填した後、図外の駆動機構によって上型を上下動することで鍛造品を作ることができる。
この第3実施例にあっても、上記第1実施例と同じプロセスでMg鍛造品を得れば、直接的に且つ連続的に、不純物の少ない最終製品、特に、耐食性を低下させるFeが従来に比べて大幅に少ない鍛造品を生産することがことができる。
図4は第4実施例のMg合金鋳造システム40を示し、このMg合金鋳造システム40は第1実施例と同様にMg合金ビレット13を製造するのに好適であり、上述した第1〜第3実施例の要素と同一の要素には同一の参照符号を付すことにより、その説明を省略する。
図4を参照して、Mg合金鋳造システム40では所定長さのMg合金ビレット13が成形される。図4を参照して、溶解炉3で調整した溶融Mg合金は取り鍋33を使って上澄み湯が取り出され、取り鍋33から傾斜冷却体8に移される。傾斜冷却体8の下端には水冷鋳型41が用意されており、水冷鋳型型41は円筒状の成形型42を備えている。なお、図4では傾斜冷却板8を振動させる加振源16の図示を省いてあるが、傾斜冷却板8に加振源16を設置してもよい。
上記のMg合金鋳造システム40により所定長さのMg合金ビレット13が成形されるが、そのプロセスは、第1実施例と同様に、(1)溶解炉3で680℃〜700℃で精錬及び成分調整を行い;(2)次に、630℃±5℃まで降温し;(3)630℃±5℃で少なくとも約30分静置して出湯した。また、Feを除去するために添加するMnの量を従来よりも若干少な目に設定した。
MD1DのJIS規格に適合するように、上記Mg合金鋳造システム40を使ってMg合金ビレット13を鋳造したところ、次の組成のビレットを得ることができた。
ビレット13の組成(発光分析器による。): Al: 8.96wt% ;Zn: 0.72wt% ;Mn: 0.16wt%以下 ;Si:0.02wt% ;Cu: 0.004wt% ;Ni:0.0006wt% ;Fe:0.001wt%以下 ;Mg:残部
如上の結果から、溶解炉3内でMg合金が完全に溶解した後、約630℃まで降温した後に少なくとも30分間静置して不純物を沈降させることで、Fe含有量を0.001wt%の数値まで低下でき、また、投入するMnの量を低下できることが分かった。このことは、溶解炉3内の溶湯を約630℃まで降温し且つその後少なくとも30分間静置させることで(FeMn)Al6化合物などの不純物を沈降を促進し、その上澄み湯を使って鋳造することで、従来難しいとされたFeを大幅に低減できることが分かる。
更に、前述したように冷却体を使ってセミソリッドスラリーから鋳造する手法で「結晶粒の微細化」に液相線温度(約595℃)に近い温度が有効であり、このことから610℃を基準に各種の試験が行われていたが、この試験の結果、得られた成形品は気泡によって表面に凹凸ができるという問題を有していたが、これを約630℃に設定することで解消することができただけでなく、上述したように不純物を大幅に低減した成形品を得ることができた。
なお、Mg合金ビレット13はチクソキャスティング法に従って半溶融状態のスラリーとなるまで再加熱され、そして、スラリーを金型に充填することで所望の鋳造品を作ることができ、また、鍛造機で所望の鍛造品を作ることができる。この鋳造品や鋳造品は、言うまでもないことであるが、Feなどの不純物が少ない製品となる。
以上、セミソリッドスラリーを使ってFe含有量やMn含有量の少ない鋳造品又は鍛造品を作る例を説明したが、傾斜冷却体8を省いて溶融Mg合金を使って鋳造品又は鍛造品を作ってもよいことは言うまでもない。
1 第1実施例のMg合金鋳造システム
2 溶解炉用ヒータ
3 溶解炉
4 出湯管
8 冷却体
9 タンディシュ
10 冷却体の水冷パイプ
11 水冷鋳型
13 Mg合金ビレット
14 出湯制御棒
16 加振源
2 溶解炉用ヒータ
3 溶解炉
4 出湯管
8 冷却体
9 タンディシュ
10 冷却体の水冷パイプ
11 水冷鋳型
13 Mg合金ビレット
14 出湯制御棒
16 加振源
Claims (7)
- Fe、Mnを含むMg合金であって、
発光分析したときにFeの含有量が0.001wt%以下であることを特徴とするMg合金。 - 前記Mg合金がAZ系のMg合金である、請求項1に記載のMg合金。
- 溶解炉でMg合金原料を溶解させて溶湯を作り、前記溶解炉から出湯した溶湯を使ってMg合金を鋳造又は鍛造することによりMg合金の製品を作るMg合金鋳造又は鍛造方法であって、
前記溶解炉でMg合金原料を完全に溶解させた後、約630℃まで降温し、次いで一定時間以上約630℃で静置した後に前記溶解炉内の溶湯の上澄み湯を出湯させることを特徴とするMg合金鋳造又は鍛造方法。 - 溶解炉でMg合金原料を溶解させて溶湯を作り、前記溶解炉から出湯した溶湯を冷却体の上で流動させながら接触させて結晶の核を生成すると共に結晶を成長させてセミソリッドスラリーを作り、該セミソリッドスラリーを鋳造又は鍛造することによりMg合金の製品を作るMg合金鋳造又は鍛造方法であって、
前記溶解炉でMg合金原料を完全に溶解させた後、約630℃まで降温し、次いで一定時間以上約630℃で静置した後に前記溶解炉内の溶湯の上澄み湯を出湯させることを特徴とするMg合金鋳造又は鍛造方法。 - 前記上澄み湯を水冷鋳型に注湯してMg合金ビレットを作る、請求項4に記載のMg合金鋳造又は鍛造方法。
- 前記冷却体が傾斜して配置され、該傾斜冷却体を振動させながら前記溶解炉から受け取った溶湯を流下させる、請求項3〜5のいずれか一項に記載のMg合金鋳造又は鍛造方法。
- 前記Mg合金がAZ系のMg合金である、請求項3〜6のいずれか一項に記載のMg合金鋳造又は鍛造方法。
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