JP3920378B2 - レオキャスト鋳造法及びレオキャスト鋳造装置 - Google Patents

レオキャスト鋳造法及びレオキャスト鋳造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイカスト機を用いた鋳造のうち、金属の半溶融加工法の1つであるレオキャスト鋳造法、及びレオキャスト鋳造法を実施するための鋳造装置に関するものである。
【0002】
金属の半溶融加工法としては、レオキャスト鋳造法とチクソキャスト鋳造法が知られており、どちらも溶融状態の金属(液相)と固体状態の金属(固相)とが混在する固液共存状態の金属スラリーを用いて鋳造する点で共通するが、両者は次の点で相違する。
即ち、レオキャスト鋳造法では、溶融金属を固液共存域まで冷却して半凝固状態となった金属をダイカスト機の加圧スリーブに装填して鋳造するのに対して、チクソキャスト鋳造法では、金属ビレットと称される固体の金属塊を固液共存域まで加熱して半溶融状態となした金属をダイカスト機の加圧スリーブに装填して鋳造するものである。そのため、レオキャスト鋳造法は半凝固鋳造法とも称され、またチクソキャスト鋳造法は半溶融鋳造法とも称されている。
【0003】
【技術的背景】
レオキャスト鋳造に用いる半凝固金属は、1次粒子(初晶)が液状マトリックスにより互いに分離した状態に維持し、その結晶粒子ができるだけ微細で且つ均一な非樹枝状(好ましくは球状)であることが望ましい。そうすれば、高固相率で低粘度の半凝固金属となった状態で鋳造成形することが可能となり、鋳造された製品の収縮巣の発生を抑制し得ると共に鋳造製品の機械的強度を向上させることができることが知られている。
【0004】
【従来の技術】
そこで従来では、例えば特開平7−32113号公報に開示された如く、レオメーカーを用い、レオメーカー中で溶融金属を撹拌しながら冷却して半凝固金属を製造していた。しかし乍ら、レオメーカー中で撹拌されている溶融金属には温度分布にばらつきが生じやすく、そのために安定した固相率でしかも1次粒子(初晶)を良好な粒径に球形状化することが非常に難しく、従って性状が安定した半凝固金属を連続して得ることが出来ない不具合があった。
【0005】
加えて、上記レオメーカーを用いたレオキャスト鋳造法では、レオメーカー中でもって所定固相率の半凝固金属を作製しているので、レオメーカーで作製された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに装填するまでの温度コントロールが非常に難しくなるだけでなく、作製された半凝固金属の粘性が高いのでレオメーカーの金属排出口に半凝固金属が付着・堆積しやすく、そのために金属排出口の開閉弁の動きがすぐに悪くなったり、金属供給量がばらつき易く、このばらつきによって鋳造条件が変化するなどの理由により製品の品質が安定しないと言った不具合があり、未だ工業的に量産化実施されていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの様な現状に鑑みてなされたものであり、微細で且つほぼ均一な非樹枝状(球状)に粒状化した1次粒子(初晶)が安定して得られ、その結果、高品質の鋳造品を安定して鋳造することが出来、工業的に量産化実施が容易に可能なレオキャスト鋳造法及びその鋳造装置を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
斯る目的を達成する本発明のレオキャスト鋳造法は、溶融金属を冷却体に接触させることにより当該溶融金属の少なくとも一部を固液共存状態に冷却し、この少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を保持容器中で半溶融温度域に保持しつつ冷却して半凝固金属となし、然る後該半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに装填して鋳造するレオキャスト鋳造法であって、前記保持容器は前記溶融金属を直接収容する缶と該缶を保持するホルダーとからなり、前記保持容器に供給する際の溶融金属を1鋳造(1ショット)に必要な量だけを定量供給し、前記保持容器内で生成された半凝固金属を前記ホルダーから分離された前記缶ごと前記ダイカスト機の加圧スリーブに装填するようにした事を特徴としたものである。
この時、前記冷却体に接触させる際の溶融金属の温度を、液相線温度(T)からT+60℃の間に調整することが好ましい。
また、前記冷却体を傾斜した通路となし、該冷却体上に溶融金属を注ぎ流下させることにより当該溶融金属の少なくとも一部を固液共存状態に冷却するようにすることが好ましい。
そして、前記保持容器に供給する際の溶融金属の固相率は、0.3以下に調整することが好ましい。
【0008】
また、前記保持容器に溶融金属を供給する際に、その保持容器を、収容する溶融金属の温度近くに予め加熱しておくようにすると共に、定量(例えば、1鋳造(1ショット)に必要なだけの量)供給することが好ましい。その時、溶融金属を前記冷却体上に注ぎ流下させてその少なくとも一部を固液共存状態に冷却し、この少なくとも一部が固液共存状態になった定量の溶融金属を前記冷却体から直接前記保持容器に供給するか、或いは冷却体に接触させることにより少なくとも一部が固液共存状態となった溶融金属を湯溜り槽に貯留させ、該湯溜り槽から前記保持容器に溶融金属を定量供給するようにする。
【0010】
また、前記保持容器を前記冷却体と兼用させて、溶融金属を上記保持容器内に供給することにより該溶融金属の少なくとも一部を固液共存状態に冷却し、この少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を当該保持容器中で半溶融温度域に保持しつつ冷却するようにしても良い。
この際、前記保持容器の内部温度を、溶融金属の供給時は固相線温度(TS )−200℃以下とし、溶融金属を供給した後は固相線温度(TS )以上に加熱されるようにすることが好ましい。
【0011】
また、本発明に係るレオキャスト鋳造装置は、製品を鋳造するダイカスト機と、所用量の溶融金属を保持しておくための保持炉と、該保持炉から供給された溶融金属を少なくとも一部を固液共存状態に冷却するための冷却体と、上記少なくとも一部が固液共存状態に冷却された溶融金属を収容するための保持容器と、上記保持容器内で生成された半凝固金属を前記ダイカスト機の加圧スリーブに装填するための装填手段とを備えてなり、前記保持容器が、少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を直接収容する缶と該缶を保持するホルダーとで構成され、前記保持容器を複数個用い、これら保持容器内で生成される半凝固金属が所定の固相率になるタイミングに合わせて各保持容器を順次前記ダイカスト機の加圧スリーブへ移送し当該半凝固金属を前記ホルダーから分離された前記缶ごと前記加圧スリーブに装填するように構成されている事を特徴としたものである。
【0012】
前記冷却体は、前記保持炉から供給された溶融金属を流下させることができるように下向きに傾斜した通路となし、板形状または樋形状または管形状に形成することが好ましい。この時、前記保持炉から供給された溶融金属が接触する上記傾斜通路の温度を適性にコントロールするために、前記冷却体に冷却機構を具備させても良い。
また、前記冷却体を複数個用い、前記保持炉から1つの冷却体に溶融金属を注ぎ流下させた後、当該冷却体を移動させて次の冷却体を使用することが好ましい。この時、複数個の冷却体を、水平方向に設置した回転軸の周囲に放射状に配置すると共に該回転軸に対して軸芯方へ向け傾斜状に設置し、各冷却体を上記回転軸を中心にして回転自在に構成する。
【0013】
また、前記冷却体でもって少なくとも一部が固液共存状態に冷却された溶融金属を貯留させるための湯溜り槽を備えるようにしても良い。この際、湯溜り槽の底部に、貯留させた少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を前記保持容器に供給するための給湯口を形成すると共に、該湯溜り槽に、前記冷却体から供給される少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属が流入する部分と上記給湯口との間位置に当該湯溜り槽の湯面上から湯面下にわたって酸化物除去ゲートを設置することが好ましい。
【0014】
そして、前記保持容器は、略筒形状に形成し、該保持容器内で生成された半凝固金属を放出しやすいように、その一端開口部に開閉蓋を開閉自在に設けたり、軸方向に2つ以上に分割して開閉可能に構成したり、或いは固液共存状態の溶融金属を直接収容する缶と該缶を保持するホルダーとで構成しても良い。
保持容器を分割して開閉可能に構成する場合、その保持容器を構成している分割構成部材同士を蝶番で同時に開閉動作するように開閉可能に連結することが好ましい。
また、保持容器を缶とホルダーとで構成する場合には、上記缶を、収容する溶融金属よりも高い融点を有する金属材で形成するか、または収容する溶融金属と同基質の金属材で形成することが好ましく、更に上記缶の外周部と上記ホルダーの内周部との間に隙間がないように形成することが好ましい。
【0015】
また、前記保持容器内に収容せしめた少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を、半溶融温度域に保持しつつ所定の固相率に冷却するための保温手段を備えることが好ましい。この保温手段としては、前記保持容器の外周部に一体的に具備せしめたり、前記保持容器を1個宛て収容しえる大きさの上部を開放し又は開放していない略容器様に構成したり、或いはその内部を前記保持容器が通過しえる略トンネル様に構成する。
【0016】
そして、前記保持容器内で生成された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに装填するための前記装填手段としては、ハンドロボットや、前記保持容器内に摺動自在に嵌挿された押出ピストン、或いは複数個の前記保持容器を傾転可能に設備してなる無端コンベア等を使用する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るレオキャスト鋳造法及び鋳造装置の実施例を、図1ないし図13に示した図面に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0018】
図1及び図2は本発明の第1実施例を示し、図中、1は所用量の溶融金属M1 を保持しておくための保持炉、2は上記保持炉1から供給された溶融金属M1 をその少なくとも一部を固液共存状態に冷却するための冷却体、3は少なくとも一部が固液共存状態に冷却された溶融金属M2 を一時貯留しておくための湯溜り槽、4は少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属M2 を収容するための保持容器、5は上記保持容器4内に収容せしめた溶融金属M2 を半溶融温度域に保持しつつ所定の固相率に冷却するための保温手段、6は上記保持容器4内で生成された半凝固金属M3 をダイカスト機の加圧スリーブaに装填するための装填手段、そしてbは加圧スリーブaに摺動自在に嵌挿された加圧ピストン、cはダイカスト機の金型、をそれぞれ示す。
【0019】
本発明を適用し得る溶融金属(鋳造用金属)としては、アルミニウムやその合金、またはマグネシウム合金,亜鉛合金,銅またはその合金,鉄系の合金,等の金属を挙げることができる。
【0020】
溶融金属保持炉1は、例えば周知の電気炉11内に黒鉛ルツボ12を収容設置すると共に側壁にヒーター13を備えた出湯給湯管14を連通接続して構成され、その中の溶融金属の温度すなわち冷却体2に接触させる際の溶融金属M1 の温度を、液相線温度(TL )からTL +60℃、好ましくは液相線温度(TL )からTL +40℃の間の所定の温度で保持する。溶融金属M1 の温度が液相線温度(TL )以下では、冷却板2の傾斜通路21上で溶融金属M1 が流動しなくならないように傾斜通路21表面の温度をコントロールするのが難しくなり、かと言ってTL +60℃より高くなると、冷却体2の傾斜通路21表面に接触させた溶融金属の一部に固液共存状態を残すことが難しくなる。
尚、図中15は、溶融金属保持炉1の溶融金属M1 内に浸入させその没入量により溶融金属M1 の供給量をコントロールするための制御棒である。
【0021】
冷却体2は、溶融金属保持炉1の出湯給湯管14から注がれた溶融金属M1 を接触させることによりその少なくとも一部を固液共存状態に冷却するためのものであり、例えば銅板に耐溶損性のあるコーティングを施してなる材料を用いて、表面が平滑な平板形状または樋形状(軸方向に半割りした筒形状)または管形状(円形や角形をした筒形状)等に形成し、溶融金属保持炉1の出湯給湯管14の注下口14’の直下位置に、溶融金属M1 を自然流下させることができるように下向き傾斜状に配設し、その表面(溶融金属M1 を注ぎ流下させる面)を傾斜通路21とする。
【0022】
この時、図示実施例の如く、保持炉1から供給された溶融金属M1 が接触する傾斜通路21の表面温度を所定の温度に適性にコントロールするべく内部に例えば冷却水を循環させるための冷却パイプ(冷却機構)2’を冷却体2に具備させても良いが、冷却体2の構造によっては必ずしも必要としない。
【0023】
冷却体2の表面温度、すなわち傾斜通路21の表面温度は、その上に注下された溶融金属M1 が全く固液共存状態の部分を作成することなく湯溜り槽3又は保持容器4まで流下してしまったり逆に凝固がすすみ過ぎて流動しなくなってしまうことがないように、溶融金属M1 の初期温度や流量等に応じてコントロールされる。
【0024】
具体的には、冷却体2の傾斜通路21表面に接触して少なくとも一部が固液共存状態に冷却された溶融金属M2 の温度が(TL −TS )×4/5+TS (但し、TS は固相線温度を表わす。)からTL +40℃の間になるようにコントロールするものである。この際、溶融金属M2 の温度が上記(TL −TS )×4/5+TS よりも低くなると、溶融金属M1 が冷却体2上で流動しなくなり、かと言って、TL +40℃より高くなると、湯溜り槽3又は保持容器4内に収容された溶融金属M2 の組織がデンドライト状に発達してしまうため好ましくない。
【0025】
ちなみに、溶融金属M1 を、冷却体2でもって(TL −TS )×4/5+TS からTL +40℃の間にコントロールし保持容器4内で冷却したのち氷水に浸漬して冷却した金属組織を観察したところ、TL +α(αは40℃以下)であっても微細で粒状の組織となるが、冷却体2と接触しない溶融金属はたとえTL +α(αは40℃以下)の温度にコントロールして保持容器4で保持したとしてもその金属組織は粒状にはならず、デンドライト状になってしまうことが実験で確認されている。
【0026】
また冷却体2は、湯溜り槽3を使用する場合には1つだけでも良いが、湯溜り槽3を使用しない場合には特に複数個を用い、1つの冷却体に溶融金属を所用定量、例えば1鋳造(1ショット)に必要なだけの量を注ぎ流下させた後、当該冷却体を移動させて次の冷却体を使用するようにすることが好ましい。
【0027】
複数個の冷却体2,2…を用いる場合、例えば図3に示す如く、1本の回転軸22を軸受23でもって水平方向に設置し、その回転軸22の先端部に、平板形状または樋形状または管形状に形成した複数個の冷却体2,2…をフレーム24を介して放射状に配置すると共に各冷却体2,2…を回転軸22に対して軸芯方へ向け傾斜状に設置し、各冷却体2,2…を上記回転軸22を中心にして回転自在に構成する。この様に構成することにより、複数個の冷却体2,2…を、狭いスペースに設置することができると共に、溶融金属M1 を所用定量(例えば1鋳造(1ショット)に必要なだけの量)を注ぎ流下させた後、冷却体2が下方へ移動する間にその表面に付着・残留した溶融金属は凝固収縮して薄い金属片m’となり、最下部に移動するあたりで冷却体2から自然に剥がれ落ちてしまうので、その金属片m’を回収カゴ25で回収できるようになる。
【0028】
湯溜り槽3は、冷却体2でもって少なくとも一部が固液共存状態に冷却された溶融金属M2 を一時貯留しておくためのものであり、冷却体2から直接保持容器4に溶融金属M2 を供給する場合には必要としない。
また、湯溜り槽3にはその底部に、溶融金属M2 を保持容器4に供給するための給湯口31を形成し、給湯口31を開閉栓32で開閉自在とすると共に、冷却体2から供給される少なくとも一部が固液共存状態に冷却された溶融金属が流入する部分と上記給湯口31との間位置に、当該湯溜り槽の湯面M2 ’上から湯面下にわたって酸化物除去ゲート33を設置し、冷却体2を通過する間に生成して湯面M2 ’上に浮遊した金属酸化物等が給湯口31から保持容器4に流入しないようにする。
【0029】
保持容器4には、冷却体2又は湯溜り槽3から供給された少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属M2 を収容するが、その際に定量宛て供給するようにする。即ち、溶融金属保持炉1から所用定量の溶融金属M1 を冷却体1上に注ぎ流下させてその少なくとも一部を固液共存状態に冷却し、少なくとも一部が固液共存状態になった定量の溶融金属M2 を冷却体2から直接保持容器4に供給するか、または湯溜り槽3に貯留させた少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属M2 を給湯口31から保持容器4に所用定量供給するようにする。
この時、1鋳造(1ショット)に必要な量だけを定量供給するようにすれば、1鋳造(1ショット)に必要な溶融金属の供給量のばらつきを少なくすることが出来る。
【0030】
また、冷却体2又は湯溜り槽3から保持容器4に溶融金属M2 を供給する際に、溶融金属M2 の固相率を0.3以下、好ましくは0.2以下に調整することが望ましい。固相率が0.3以上になると、粘性が高くなり流動性に乏しくなるため冷却体2又は湯溜り槽3の給湯口31における溶融金属M2 の切れが悪くなって、供給量がばらつきやすくなる。その為に湯溜り槽3は、液相線温度(TL )からTL +40℃の間に保温することが好ましい。
【0031】
保持容器4は、収容する溶融金属M2 と反応しない材料、具体的には窒化ケイ素やサイアロン,アルミナ,マグネシア等のファインセラミックスなどの材料を用いて形成することが好ましい。そうすれば、収容した溶融金属M2 が保持容器4と反応して汚染されるようなことがなく、しかも保持容器4が損傷(溶損)せずに長持ちし、メンテナスが容易となる。
【0032】
また保持容器4は、その内部を収容する溶融金属M2 の温度近くに予め加熱しておくことが好ましい。即ち、室温程度に冷えた状態の保持容器4内に溶融金属M2 を収容させた場合、溶融金属M2 から保持容器4への急激な熱移動により、溶融金属M2 の中に温度勾配が生じて温度分布が不均一になると同時に、固液共存温度(半溶融温度)以下まで急速に冷却されてしまうため、固液共存状態において温度が均一な溶融金属M2 を得ることが難しくなる。そこで、保持容器4を溶融金属M2 の温度近くに予め加熱することにより、溶融金属M2 から保持容器4への熱移動をなくし、固液共存状態における温度の均一化を図りつつ、溶融金属M2 を半溶融温度域で冷却することが好ましい訳である。
【0033】
保持容器4の予熱温度は、保持容器4の材質や厚さ及び用いる溶融金属M1 の種類や量により異なるが、例えばアルミニウム合金(AC4C)を900g収容させる場合には、厚さ10mmの炭素鋼製保持容器を用いた場合では、固相線温度(TS )温度程度で良く、厚さ5mmの炭素鋼製保持容器を用いた場合では、TS −100℃温度程度が適切であることが実験で確認されている。
【0034】
この時、保持容器4の内部に溶融金属M2 を直接収容する場合には特に、その溶融金属M2 と接触する内周面に、黒鉛等の固体潤滑剤を塗布するか、或いは粉状断熱剤を乾燥した粉末のまま塗布することが好ましい。
ちなみに、本発明に用いられる粉状断熱剤としては、溶融金属と非反応性の粉体、詳しくは例えばボロンや滑石等帯電性を有する粉体、或いは金属酸化物や金属硫化物,金属チッ化物等の粉体、またはこれら粉体に樹脂粉を混合させた粉体などを挙げることができる。
【0035】
尚、保持容器4と冷却体2とを兼用させても良い。即ち、保持炉1から供給された溶融金属M1 を固液共存状態に冷却するための冷却体2と、少なくとも一部が固液共存状態に冷却された溶融金属M2 を収容するための保持容器4とを兼用同一体に形成せしめて、保持炉1から溶融金属M1 を上記保持容器4内に供給することによりその溶融金属M1 の少なくとも一部を固液共存状態に冷却し、この少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属M2 をそのまま当該保持容器4中で半溶融温度域に保持しつつ冷却させるようにするものである。
【0036】
この際、上記保持容器4の内部温度は、保持炉1から溶融金属M1 を供給する時は固相線温度(TS )−200℃以下とし、溶融金属M1 を供給した後は固相線温度(TS )以上に加熱されるようにコントロールする。即ち、保持容器4の内部温度は溶融金属M1 から熱を奪うことにより加熱されるので、保持容器4の内部温度が固相線温度(TS )以上に加熱されるように、上記保持容器4の材質や厚み・構造・初期温度等をコントロールするものである。
【0037】
保持容器4の形状並びに大きさは、1鋳造(1ショット)に必要な溶融金属量を収容し得る程度の容積があれば、何等限定されるものではないが、その内部で生成された半凝固金属M3 をダイカスト機の加圧スリーブa内にその注湯口a1から容易に装填し得るような構造に構成することが好ましい。
【0038】
即ち、保持容器4は、ダイカスト機の加圧スリーブaの内径より少し小さい内径を有する略円筒形状に形成すると共に、その内部で生成された半凝固金属M3 を放出しやすいように、図9に示すように底部開口を開閉蓋44で開閉自在に構成するか、または図4及び図5に示すように軸方向に2つ以上に分割して開閉可能に構成するか、或いは図6に示すように少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属M2 を直接収容する缶41とその缶41を保持するホルダー42とで構成する。
【0039】
保持容器4を軸方向に2つ以上に分割して開閉可能に構成する場合、図4に示す如く、分割構成部材43,43を垂直方向に配置して左右方向に分割開閉するように形成するか、または図5に示す如く、分割構成部材43,43を水平方向に配置して左右方向に分割開閉するように形成する。前者の保持容器4は、加圧スリーブaが鉛直方向に設置されているダイカスト機に対応しやすく、後者の保持容器4は、加圧スリーブaが水平方向に設置されているダイカスト機に対応しやすくなる。いずれにしても、保持容器4を構成している各分割構成部材43,43同士は、蝶番45で分割開閉可能に連結する。そうすれば、保持容器4の内部で生成された半凝固金属M3 を加圧スリーブaの注湯口a1に向けて正確に放出しやすくなる。
【0040】
また、保持容器4を図6に示す如く、溶融金属M2 を直接収容する缶41と、その缶41を保持するホルダー42とで構成する場合には、上記缶41を、収容する溶融金属M2 よりも高い融点を有する金属材で形成する(即ち、例えば溶融金属M2 がアルミニウム合金系である場合には、スチール材等で形成する)か、或いは収容する溶融金属M2 と同基質の金属材で形成する(即ち、例えば溶融金属M2 がアルミニウム合金系である場合にはアルミニウム合金系の金属材で形成する)。
そして缶41は、上記した金属材からなる薄い平板を用いて深絞り加工して所用の大きさ(容積)を有する上部を開放した有底筒形状に形成し、上記ホルダー42内に出し入れ自在に設置し、その内部で生成された半凝固金属M3 と一緒にダイカスト機の加圧スリーブaに装填する。尚、半凝固金属M3 を缶41から取出して、凝固金属M3 だけをダイカスト機の加圧スリーブaに装填するも自由である。
【0041】
また、上記缶41の外周部とホルダー42の内周部との間には、隙間がないように形成する。即ち、上記缶41の外底面及び外周面と上記ホルダー42の内底面及び内周面のとの間に、隙間がないように形成するものである。
尚、上記缶41内で生成された半凝固金属M3 を該缶41ごと容易に放出できるように、ホルダー42の底部を開閉蓋で開閉自在に構成したり、軸方向に2つ以上に分割して開閉可能に構成することは自由である。
ちなみに、図6に示した実施例では、ホルダー42の筒部42’が軸方向に2つに分割して開閉可能に形成されていると共に、その底板42”を筒部42’に対して分離開閉可能に構成されている。
【0042】
そして、保持容器4内に収容せしめた少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属M2 は、保温手段5でもって保温しながら所定固相率の半凝固金属M3 にすることが好ましい。即ち、保持容器4内に収容せしめた溶融金属M2 を、適当な保温手段5でもって半溶融温度域(TS 〜TL )に保持しつつ所定の固相率に冷却することにより、1次粒子(初晶)を晶出・成長させ且つ球状化させるものである。
【0043】
この時、半凝固金属M3 の固相率は、0.3〜0.8に設定することが好ましい。固相率が0.3以下では、粘性が低く金型キャビティに加圧供給する時に流れが乱れて空気を巻き込みやすくなり、そのため凝固収縮量が多くなって、鋳造された製品に収縮巣が発生しやすくなる。かと言って、半凝固金属M3 の固相率が0.8以上では、粘性が高くなりすぎて流動性が著しく低下し、金型キャビティ内に半凝固金属M3 が隅々まで完全に充満され難くなり、好ましくない。
【0044】
保持容器4内に収容せしめた溶融金属M2 を保温手段5でもって半溶融温度域(TS 〜TL )に所定時間保持する場合に、保持容器4内の全ての部分の温度が半溶融温度域(TS 〜TL )である必要はなく、その一部が半溶融温度域であればその目的を達成することが可能であり、また保持容器4内での保持時間は、実験の結果では15秒以上が好ましく、長いほど球状化された状態が安定したところの半凝固金属M3 が得られた。
【0045】
保温手段5としては、各種の機構・構造のものが考えられるが、図1及び図2に示した第1実施例にあっては、保持容器4を1個宛て収容しえる程度の大きさに形成し上部を開放した略容器様に形成すると共に、熱源としてその周壁や底壁に加熱ヒータを内蔵させて構成したものである。
尚、この場合、保温手段5(保温容器)の上部を開放しっぱなしではなく開閉自在に構成しても良いし、また保持容器4の周囲に保温手段5として断熱材を設けるようにしても良い。
【0046】
また、上記保持容器4内で生成された半凝固金属M3 をダイカスト機の加圧スリーブaに装填するための装填手段6としては、各種の機構・構造のものが考えられるが、図1及び図2に示した第1実施例にあっては、周知のハンドロボットを用いて構成したものである。
【0047】
而して、製品の鋳造に際しては、保持容器4を1つだけ用いるようにしても良いが、効率的な生産を図るためにも、複数個の保持容器4を用いて、保持容器4内で生成される半凝固金属M3 が所定の固相率になるタイミングに合わせて保持容器4がダイカスト機の加圧スリーブaに到達するように、各保持容器4,4…を順次ダイカスト機の加圧スリーブaへ移送することが好ましい。
【0048】
具体的には、冷却体2又は湯溜り槽3(この第1実施例では、湯溜り槽3)と装填手段6としてのハンドロボットとの間に、水平方向に回転する回転テーブル7を設置し、その回転テーブル7上に複数個の保温手段(保温容器)5を同心円状に配置する。そして、保持容器4に溶融金属M2 を供給する前に、保持容器4を保温手段(保温容器)5内に収容せしめて、保持容器4の内部を溶融金属M2 の温度近くに予め加熱しておき、その後その保持容器4内に溶融金属M2 を所用定量(例えば1鋳造(1ショット)に必要なだけの量)収容せしめる。
かくして、回転テーブル7が水平方向に回転して保持容器4が所定の位置まで移動する間に、保持容器4内に収容せしめた溶融金属M2 が、保温手段(保温容器)5のはたらきにより半溶融温度域に保持されつつ冷却されて、保持容器4内に所定の固相率の半凝固金属M3 が生成されるので、そのタイミングに合わせて順次保持容器4を装填手段(ハンドロボット)6で保温手段(保温容器)5から取出して、ダイカスト機の加圧スリーブaへ移送し、半凝固金属M3 を加圧スリーブaの注湯口a1に装填するようにする。
ちなみに、加圧スリーブa内に装填された半凝固金属M3 は、従来と同様に加圧ピストンbでもって金型cのキャビティd内に射出供給され、製品となる。
【0049】
次に、図7に示した第2実施例に係る鋳造装置について説明するが、既に説明した第1実施例と同じ構成部材には同じ符号を付して重複する説明は省略する。この第2実施例では、保温手段5が、その内部を複数個の保持容器4,4…が通過しえるように適当な長さを有する略トンネル様に構成されている点と、湯溜り槽3と装填手段(ハンドロボット)6との間に、回転テーブル7に替えて搬送コンベア8を設置した点、及び上記保温手段(保温トンネル)5の手前位置に、保持容器4を溶融金属M2 の温度近くに予め加熱するための予熱トンネル9を設けた点が、第1実施例と異なる。
【0050】
而して、製品の鋳造に際しては、上記搬送コンベア8上に複数個の保持容器4,4…を着脱自在に載置すると共に、搬送コンベア8上の一部に上記保温手段(保温トンネル)5を設置せしめ、予熱トンネル9内で溶融金属M2 の温度近くに予め加熱された各保持容器4,4…内に溶融金属M2 を、湯溜り槽31の給湯口31から所用定量(例えば、1鋳造(1ショット)に必要なだけの量)を供給する。そして、搬送コンベア8の上に乗って移動する各保持容器4,4…が保温手段(保温トンネル)5内を通過する間に、上記保持容器4内に収容せしめた溶融金属M2 が、保温手段(保温トンネル)5のはたらきにより半溶融温度域に保持されつつ冷却されて、保持容器4内に所定の固相率の半凝固金属M3 が生成されるので、そのタイミングに合わせて順次当該保持容器4を装填手段(ハンドロボット)6でもって取出してダイカスト機の加圧スリーブaへ移送するようにしたものである。
尚、図中6’は、空の保持容器4を搬送コンベア8上に載置させるためのハンドロボットを示す。
【0051】
次に、図8に示した第3実施例に係る鋳造装置について説明する。第1実施例及び第2実施例と同じ構成部材には同じ符号を付して重複する説明は省略する。この第3実施例では、保温手段5を第2実施例と同様に略トンネル様に構成すると共に保温手段(保温トンネル)5の手前位置に、保持容器4を溶融金属M2 の温度近くに予め加熱するための予熱トンネル9を設けた点、そして回転テーブル7並びに装填手段6としてのハンドロボットを使用せずに、装填手段6として複数個の保持容器4,4…をそれぞれ傾転可能に設備してなる無端コンベアを用いた点が、第1実施例と異なる。
【0052】
即ち、装填手段6としての無端コンベア上に複数個の保持容器4,4…を、それぞれアーム61を介して傾転可能に設置すると共に、この装填手段(無端コンベア)6上の一部に上記保温手段(保温トンネル)5を設置し、予熱トンネル9内で溶融金属M2 の温度近くに予め加熱された各保持容器4,4…内に溶融金属M2 を、湯溜り槽31の給湯口31から所用定量(例えば、1鋳造(1ショット)に必要なだけの量)を供給せしめ、装填手段(無端コンベア)6が動作して各保持容器4,4…が保温手段(保温トンネル)5内を通過する間に、保持容器4内に収容せしめた溶融金属M2 が、保温手段(保温トンネル)5のはたらきにより半溶融温度域に保持されつつ冷却されて、保持容器4内に所定の固相率の半凝固金属M3 が生成されるので、そのタイミングに合わせて保持容器4が装填手段(無端コンベア)6の折返し部分で傾転を開始するようになし、傾転した保持容器4内の半凝固金属M3 を加圧スリーブaの注湯口a1に直接投入し装填するようにしたものである。
尚、図中10は、保持容器4の内部に付着残留した小さな凝固金属を取り除くためのブラシを示す。
【0053】
次に、図9に示した第4実施例に係る鋳造装置について説明する。(a)は本装置を側面から見た状態を示し、(b)は本装置を正面から見た状態を示し、第1実施例ないし第3実施例と同じ構成部材には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。
この第4実施例では、冷却体2から供給される少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属M2 を貯留させるための湯溜り槽3を備え、湯溜り槽3の底部に複数個(この実施例では、3個)の給湯口31を開口形成すると共に、各給湯口31に略円筒形状に形成した保持容器4を吊下げ状に連通接続させ、そして保持容器4の底部開口を加圧スリーブaの注湯口a1直上に臨ませると共に、保持容器4内で生成された半凝固金属M3 をダイカスト機の加圧スリーブaに装填するための装填手段6として栓棒様に構成された栓兼用押出ピストンを使用し、この装填手段(栓兼用押出ピストン)6を各給湯口31に保持容器4内にわたって進退自在なるように設置したものである。
【0054】
またこの第4実施例では、湯溜り槽3の底部に車輪34を設けてレール35上を左右方向に移動自在ならしめると共に、保持容器4の外周に保温手段5としての加熱ヒータを一体的に具備せしめ、保持容器4の底部開口には開閉蓋44を備えてなる。
【0055】
而して、製品の鋳造に際しては、保持容器4の底部開口を開閉蓋44で閉塞しておき、その状態で装填手段6としての栓兼用押出ピストンを上昇させて湯溜り槽3の給湯口31を開けると、湯溜り槽3内の溶融金属M2 が保持容器4内に供給されるので、保持容器4内に所用量(例えば、1鋳造(1ショット)に必要なだけの量)の溶融金属M2 が供給されたら、装填手段(栓兼用押出ピストン)6を少し降下させて湯溜り槽3の給湯口31を閉める。そして、保持容器4内の半凝固金属M3 が所定の固相率になるタイミングに合わせて、保持容器4の底部開口を閉塞していた開閉蓋44を開くと共に、装填手段(栓兼用押出ピストン)6を降下させて半凝固金属M3 を加圧スリーブaの注湯口a1に直接押出し装填する。以上の動作を、他の保持容器4にも所用量の溶融金属M2 を供給せしめて、湯溜り槽3をレール34上で左右方向に移動させながら繰り返す。
【0056】
次に、図10に示した第5実施例に係る鋳造装置について説明する。第1実施例ないし第4実施例と同じ構成部材には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
この第5実施例では、湯溜り槽3の下部に、略円筒形状に形成した複数本の保持容器4をそれぞれ水平状態に配設し、各保持容器4の溶湯入口部46を湯溜り槽3の各給湯口31の直下位置に臨ませ配置すると共に、各保持容器4の一端開口部45に開閉蓋44を設けて加圧スリーブaの注湯口a1直上に臨ませて配置した点が、上記第4実施例と相違する。
【0057】
而して、製品の鋳造に際しては、保持容器4の一端開口部45を開閉蓋44で閉塞しておき、その状態で湯溜り槽3の開閉栓32を抜いて給湯口31を開き、湯溜り槽3内の溶融金属M2 を保持容器4内に溶湯入口部46から供給する。そして、保持容器4内の半凝固金属M3 が所定の固相率になるタイミングに合わせて、保持容器4の一端開口部45を閉塞していた開閉蓋44を開くと共に、保持容器4内に摺動自在に具備せしめた装填手段6としての押出ピストンを動作させて、保持容器4内の半凝固金属M3 を加圧スリーブaの注湯口a1に直接押出し装填させる。以上の動作を、他の保持容器4内にも所用量の溶融金属M2 を供給して、各保持容器4ごとに順に行なう。
【0058】
次に、図11及び図12に示した第6実施例に係る鋳造装置について説明するが、第1実施例ないし第5実施例と同じ構成部材には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
この第6実施例では、保持容器4を、上部を開放した略筒形状に形成し、その内底部に、生成された半凝固金属M3 をダイカスト機の加圧スリーブaに装填するための装填手段6として押出ピストンを昇降摺動自在に具備せしめ、この保持容器4を、ダイカスト機の加圧スリーブaの注湯口a1に直接接続させて、保持容器4の内で生成された半凝固金属M3 を上記装填手段(押出ピストン)6で押出し装填するようにした点、並びに湯溜り槽3を上下昇降動作させて、湯溜り槽3内の溶融金属M2 を保持容器4内にできるだけ静かに(空気を巻き込まないように)供給できるように構成した点が他の実施例と異なる。
【0059】
而して、製品の鋳造に際しては、保持容器4を保温手段(保温トンネル)5内に通過させて溶融金属M2 の温度近くに予め加熱し、各保持容器4,4…内に湯溜り槽3から溶融金属M2 を所用量(例えば、1鋳造(1ショット)に必要なだけの量)供給する。そして、保持容器4内に収容せしめた溶融金属M2 が、保温手段(保温トンネル)5のはたらきにより半溶融温度域に保持されつつ冷却されて、保持容器4内に所定の固相率の半凝固金属M3 が生成されるので、そのタイミングに合わせて保持容器4が保温手段(保温トンネル)5から出現するようになす。そして、保温手段(保温トンネル)5から出現した保持容器4をダイカスト機の加圧スリーブa方へ上昇させて、図12に示した如く(a)保持容器4の上部開口を加圧スリーブaの注湯口a1に接続させると共に、(b)保持容器4内に具備せしめた装填手段(押出ピストン)6を動作させて、保持容器4内の半凝固金属M3 を加圧スリーブa内に押出し装填させる。然る後、(c)加圧スリーブaの加圧ピストンbを動作させて、半凝固金属M3 を金型cのキャビティd内に射出供給し、(d)加圧スリーブaの注湯口a1に残留した凝固金属m”は、保持容器4を分離させ加圧ピストンcを後退させ後、押出し棒eでもって加圧スリーブaの外へ落下させる。以上の動作を、各保持容器4ごとに順に行なうようにする。
【0060】
最後に、図13に示した第7実施例に係る鋳造装置について説明する。第1実施例ないし第6実施例と同じ構成部材には同じ符号を付して重複する説明は省略する。
この第7実施例では、保持容器4を搬送コンベア8上に載置した状態でその底部を開閉蓋44で開閉自在となした点、及び装填手段6として、保持容器4の上部に臨ませた押出ピストンを使用した点が他の実施例と異なる。
【0061】
而して、製品の鋳造に際しては、保持容器4の底部を開閉蓋44で閉塞すると共に、保持容器4を予熱トンネル9内で溶融金属M2 の温度近くに予め加熱しておき、その状態で湯溜り槽3の給湯口31から溶融金属M2 を供給する。そして、搬送コンベア8の上に乗って移動する各保持容器4,4…が保温手段(保温トンネル)5内を順次通過する間に、保持容器4内に収容せしめた溶融金属M2 が、保温手段(保温トンネル)5のはたらきにより半溶融温度域に保持されつつ冷却されて、保持容器4内に所定の固相率の半凝固金属M3 が生成されるので、そのタイミングに合わせて、保持容器4の底部を閉塞していた開閉蓋44を開く。すると、保持容器4内の半凝固金属M3 が加圧スリーブaの注湯口1内に直接投入されるので、その後、装填手段(押出ピストン)6を加圧スリーブa内に挿入して半凝固金属M3 を金型cに装填し、保持容器4の内部をブラシ10でもって掃除するようにしたものである。
【0062】
次に、本発明の具体的実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0063】
好ましい粒状組織が生成される作製条件を、アルミニウム合金(AC4C)の場合の例で検証してみた。
▲1▼ 溶融金属M1 の温度;620℃以下では、溶融金属M1 が冷却体2の傾斜通路21表面に大量に残留してほとんど流れず、719℃以上になると、ガス及び酸化物の発生量が増大した。
▲2▼ 溶融金属M1 の流下速度;10g/s以下では、溶融金属M1 が冷却体2の傾斜通路21表面に大量に残留してほとんど流れず、500g/s以上になるとコントロールが困難になった。
▲3▼ 冷却体(冷却板)の長さ;50mm以下では、冷却の効果が現れず、デントライトが出てしまい、450mm以上では、溶融金属M1 が大量に残留してほとんど流れなかった。
▲4▼ 冷却体(冷却板)の傾斜角度;20°以下では、溶融金属M1 がほとんど流れず傾斜通路の表面に大量に残留し、70°以上では、溶融金属M2 の落下位置が不安定となり、不均一化を招いてしまった。
▲5▼ 保持容器の予熱温度;300以下では、溶融金属M2 の温度分布が不均一になってしまった。
▲6▼ 保持容器の大きさ;炭素鋼を用いて保持容器を形成したところ、容器の肉厚を含めて、保持容器の大きさに伴う影響はさほどなかった。
▲7▼ 保持容器に収容せしめた溶融金属M2 の冷却条件;半溶融温度域で冷却した場合には、微細で且つほぼ均一に粒状化した1次粒子(初晶)が得られると共に、保持容器中の半凝固金属の温度がレオキャスト鋳造最適温度±5℃の範囲である時間(鋳造最適時間)を30秒以上に長くすることが出来たが、冷却した場合には1次粒子(初晶)が粗大で不均一となり、鋳造最適時間も短かくなってしまった。
▲8▼ 保持容器に収容せしめた溶融金属M2 の保持時間;1分以下では、粒状化した1次粒子(初晶)が得られなかった。
【0064】
[実施例]
図1及び図2に示した鋳造装置を用い、溶融金属としてJIS規格のAC4Cアルミニウム合金を使用し、冷却体2の傾斜通路21表面に接触させる際の溶湯温度を654℃(液相線温度+40℃)とし、少なくとも一部が固液共存状態に冷却された溶融金属M2 を保持容器4に入れ、保温手段(保温容器)5内でもって550℃に3分間保持させて冷却し、固相率0.5の半凝固金属M3 を得た。そして、この半凝固金属M3 をダイカスト機の加圧スリーブaに装填し、製品を鋳造した。鋳造した製品の金属組織(顕微鏡写真)を図14に示す。
この顕微鏡写真から、1次粒子(初晶)が良好な球形状の結晶からなっておりしかも均一に分散していることが観察される。
【0065】
[比較例]
前記実施例と同様の溶融金属を使用し、冷却体2の傾斜通路21表面に接触させる際の溶湯温度を724℃(液相線温度+110℃)とし、一部が固液共存状態に冷却された溶融金属M2 を保持容器4に入れ、保温手段(保温容器)5内でもって615℃に3分間保持させて冷却し、固相率0.5の半凝固金属M3 を得た。この半凝固金属M3 をダイカスト機の加圧スリーブaに装填し、製品を鋳造した。鋳造した製品の金属組織(顕微鏡写真)を図15に示す。
この顕微鏡写真から、1次粒子(初晶)がデンドライト状に晶出し、不均一であることが分かる。
【0066】
【発明の効果】
本発明に係るレオキャスト鋳造法及びレオキャスト鋳造装置によれば、微細で且つほぼ均一な非樹枝状(球状)に粒状化した1次粒子(初晶)が安定して得られ、その結果、高品質の鋳造品を安定して鋳造することが出来、工業的に量産化実施が容易に可能となる。
【0067】
しかも、固相率が高い半凝固金属は、保持容器内で生成されてそのまま保持容器から別の容器に移し替えることなくダイカスト機の加圧スリーブに装填されるので、従来のレオメーカーを用いて鋳造していた場合の不具合、すなわち半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに装填するまでの温度コントロールが非常に難しい、半凝固金属がレオメーカーの金属排出口に付着堆積して開閉弁の動きがすぐに悪くなったり金属供給量のばらつきに基づく鋳造条件の変化などにより製品の品質が安定しないと言った不具合、をほぼ完全に解消することが出来ると共に、レオメーカーのような特殊な装置を必要としないので、比較的簡単で安価な構成でもって装置を設備することが出来る。
【0068】
また、冷却体に接触させる際の溶融金属の温度を、液相線温度(TL )からTL +60℃の間に調整することにより、1次粒子(初晶)が互いに分離して粒状化した金属スラリーが得られ、よって保持容器内で生成された半凝固金属が均一でチクソトロピー性に優れた金属組織となり、品質の優れた鋳造品を鋳造することが出来る。
【0069】
また、冷却体を傾斜した通路となし、該冷却体上に溶融金属を注ぎ流下させることによりその少なくとも一部を固液共存状態に冷却することにより、保持炉から吐出される溶融金属を冷却体に容易且つ確実に接触させることが可能となり、よって1次粒子(初晶)が互いに分離して粒状化した金属スラリーを容易に得ることが出来る。
【0070】
また、保持容器に供給する際の溶融金属の固相率を0.3以下に調整することにより、溶融金属が流動性に優れたものとなり、よってその溶融金属を冷却体または湯溜り槽の給湯口から保持容器に供給する際の溶融金属の切れが良好なものとなるため、保持容器に供給する際の金属供給量のばらつきを抑制することが出来ると共に、溶融金属の出湯口に溶融金属が付着・堆積して開閉弁の動きが悪くなるようなトラブルの発生がなくなる。
【0071】
また、保持容器に溶融金属を定量供給することにより、保持容器に供給する金属供給量のばらつきをもとより少なくすることが可能となり、よって、粘性が高い状態で分配した時に発生する不具合を解消し、且つ金属供給量のばらつきに基づく鋳造条件の変化などを来たすことがなく、その結果、安定した品質の製品を安定して鋳造することが出来る。
【0072】
また、保持容器を、収容する溶融金属の温度近くに予め加熱しておくことにより、保持容器に収容された溶融金属の冷却速度が遅くなって溶融金属内での温度分布の均一化を図りやすくなり、一層良好な金属組織を持った半凝固金属を得ることが出来る。
【0073】
また、収容する溶融金属と接触する保持容器の内周面に、黒鉛等の固体潤滑剤を塗布することにより、保持容器内に収容された溶融金属が内周面に付着しなくなり、よって保持容器の内部で生成された半凝固金属を容易に分離して放出することが出来るようになる。
【0074】
また、収容する溶融金属と接触する保持容器の内周面に、粉状断熱剤を乾燥した粉末のまま塗布することにより、収容した溶融金属の冷却速度を遅くして温度の均一化を図りやすくなると共に、その溶融金属が内周面に付着しなくなり、保持容器の内部で生成された半凝固金属を容易に分離して放出することが出来るようになる。しかも、保持容器内周面の温度が高くても粉状断熱剤を確実に塗布することが出来る。
【0076】
また、特に請求項記載のレオキャスト鋳造法によれば、これら保持容器内で生成される半凝固金属が所定の固相率になるタイミングに合わせて当該保持容器がダイカスト機の加圧スリーブに到達するように各保持容器を順次ダイカスト機の加圧スリーブへ移送するようにしたので、鋳造サイクルを早め、量産化効果を高めることが出来る。
【0077】
また、特に請求項記載のレオキャスト鋳造によれば、保持容器と冷却体を兼用させて、溶融金属を保持容器内に供給することにより該溶融金属の少なくとも一部を固液共存状態に冷却し、この少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を当該保持容器中で半溶融温度域に保持しつつ冷却するようにしたので、格別に冷却体を必要としなくなり、よってその分構造が簡素化すると共に、設備のトラブル要因がなくなり、尚且つ冷却体の傾斜通路上で溶融金属を固液共存状態に冷却する場合と比較して酸化物や異物の混入等の問題がなくなり、鋳造製品の品質を向上させることが出来る。
【0078】
また、冷却体を下向きに傾斜した板形状または樋形状または管形状に形成することにより、保持炉から吐出される溶融金属を冷却体の表面(傾斜通路表面)に容易に接触させることが出来ると共に、安価に構成することが出来る。
【0079】
また、冷却体を複数個用い、保持炉から1つの冷却体に溶融金属を注ぎ流下させた後、当該冷却体を移動させて次の冷却体を使用することにより、冷却体を冷却するための格別な機構を必要としないと共に、鋳造サイクルを早めることが出来る。
【0080】
しかも、複数個の冷却体を、水平方向に設置した回転軸の周囲に放射状に配置すると共に該回転軸に対して軸芯方へ向け傾斜状に配設せしめ、各冷却体を上記回転軸を中心にして回転自在とすることにより、複数個の冷却体を狭いスペースに設置することが出来ると共に、所用定量の溶融金属を注ぎ流下させた後、冷却体が下方へ移動する間にその表面に付着・残留した溶融金属は凝固収縮して薄い金属片となって最下部あたりで冷却体から自然に剥がれ落ちてしまうので、冷却体に上記付着・残留物が増加するような問題発生がなくなると同時に、付着・残留した金属片が次の鋳造(ショット)時に溶融金属中に再溶解して溶融金属の品質を低下させてしまうような問題もなくなり、溶融金属の品質保持並びに冷却体の保守が容易となる。
【0081】
また、冷却体に接触させることにより少なくとも一部が固液共存状態となった溶融金属を湯溜り槽に貯留させ、湯溜り槽から保持容器に少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を供給することにより、冷却体の傾斜通路を通過する間に溶融金属中に生成・混入した不純物や酸化物を、保持容器に供給する前に除去することが可能となり、よって保持容器に供給する溶融金属の品質を向上させることが出来る。
【0082】
この際、冷却体から供給される溶融金属が流入する部分と給湯口との間位置に当該湯溜り槽の湯面上から湯面下にわたって酸化物除去ゲートを設置することにより、冷却体から供給される溶融金属中に混入した不純物や酸化物並びに湯溜り槽の湯面上に浮遊した酸化物を、保持容器に供給する前に除去することが可能となり、保持容器に供給する溶融金属の品質を一層のこと向上させることが出来る。
【0083】
また、保持容器を略筒形状に形成し、その一端開口部に、生成された半凝固金属を放出するための開閉蓋を開閉自在に設けることにより、半凝固金属を保持容器から放出しやすいと共に、ダイカスト機の加圧スリーブへ直接装填することが出来るようになる。
【0084】
また、保持容器を、略筒形状に形成すると共に軸方向に2つ以上に分割して開閉可能に構成することにより、半凝固金属を保持容器から放出しやすくなる。
この際、保持容器を構成している分割構成部材同士を蝶番で開閉可能に連結することにより、保持容器内で生成された半凝固金属を容易且つスムースに取出すことが出来ると同時に、ダイカスト機の加圧スリーブの注湯口にめがけて確実に放出しえるようになる。
【0085】
また、保持容器が、溶融金属を直接収容する缶と該缶を保持するホルダーとで構成することにより、溶融金属がホルダーの内周面に付着することがなく、缶内で生成された半凝固金属をホルダーから容易且つスムースに取出すことが出来る。
【0086】
この時、特に請求項記載のレオキャスト鋳造装置のように、上記缶を、収容する溶融金属よりも高い融点を有する金属材で形成すれば、缶を肉厚の薄い板材で形成しても、缶が固液共存状態の溶融金属に接触して溶融するようなことがなくなる。
【0087】
更に、特に請求項記載のレオキャスト鋳造装置のように、上記缶を、収容する溶融金属と同基質の金属材で形成すれば、缶内で生成された半凝固金属を缶ごとダイカスト機の加圧スリーブに装填した場合に、鋳造品の鋳込み口と一体化した缶をそのまま再溶解することが出来ると共に、再溶解した溶融金属の成分変動を少なくすることが出来るので、再溶解した溶融金属の再利用が容易となる。
【0088】
また、上記缶の外周部と上記ホルダーの内周部との間に隙間がないように形成することにより、缶を肉厚の薄い板材で形成しても、使用中に破損するような恐れが少なくなる。
【0089】
また、特に請求項記載のレオキャスト鋳造装置によれば、保持容器内に収容せしめた溶融金属を半溶融温度域に保持しつつ所定の固相率に冷却するための保温手段を備えてなるので、ほぼ均一に粒状化した1次粒子(初晶)が安定して得られると同時に、保持容器中で生成された半凝固金属の温度がレオキャスト鋳造に最適な温度±5℃の範囲である時間(これを、鋳造最適時間と称する。)を、30秒以上に長くすることが出来る。従って、保持容器中で生成された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに供給するタイミングをダイカスト機の鋳造サイクルに合わせることが容易となると共に、ダイカスト機の鋳造サイクルが多少乱れた場合でも、ほぼ一定の固相率の半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに供給することが出来る。
【0090】
この時、保持容器の外周部に、保温手段を一体的に具備せしめることにより、保持容器内に収容せしめた溶融金属を、保持容器1個1個を独立して搬送しても温度変化少なく保持することが出来るようになると共に、特別な保温装置が不要となる。
【0091】
また、冷却体と装填手段との間に、水平方向に回転する回転テーブルを設置し、該回転テーブルに複数個の保温手段(保温容器)を同心円状に配置し、上記保温手段(保温容器)内に収容せしめた保持容器を、その内で生成される半凝固金属が所定の固相率になるタイミングに合わせて順次前記装填手段で取出してダイカスト機の加圧スリーブへ移送することにより、保持容器内に供給した少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属の温度コントロールを容易且つシビアに行なえ、従って保持容器内で安定した固相率の半凝固金属を生成することが出来ると共に、鋳造サイクルに合わせて半凝固金属を作成してダイカスト機の加圧スリーブに装填することが出来る。しかも、複数台のダイカスト機にも対応することが出来る。
【0092】
そして、保持容器内に収容せしめた溶融金属を、保持容器1個1個を独立して搬送しても温度変化少なく保持することが出来るようになると共に、特別な保温装置が不要となる。
【0093】
また、冷却体と装填手段との間に搬送コンベアを設置し、該搬送コンベア上の一部に保温手段(保温トンネル)を設置すると共に、該搬送コンベアに乗って移動する複数個の保持容器が保温手段(保温トンネル)内を通過する間にこれら保持容器内に収容された溶融金属が所定の固相率の半凝固金属になるタイミングに合わせてその保持容器を順次装填手段で取出してダイカスト機の加圧スリーブへ移送することにより、保持容器内に収容した溶融金属の温度コントロールを容易に行なうことが出来ると共に、鋳造サイクルに合わせて半凝固金属を作成してダイカスト機の加圧スリーブに装填することが出来、複数台のダイカスト機にも容易に対応することが出来る。
【0094】
また、複数個の保持容器を傾転自在に設置した装填手段(無端コンベア)上の一部に保温手段(保温トンネル)を設置し、保持容器が保温手段(保温トンネル)内を通過する間にこれら保持容器内に収容された溶融金属が所定の固相率の半凝固金属になるタイミングに合わせてその保持容器が順次装填手段(無端コンベア)の折返し部で傾転を開始し、傾転した保持容器内の半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに直接装填することにより、保持容器内に収容した溶融金属の温度コントロールを容易に行なうことが出来ると共に、鋳造サイクルに合わせて半凝固金属を作成してダイカスト機の加圧スリーブに装填することが出来る。
しかも、保持容器内で生成された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに搬送するためのハンドロボット等の搬送手段を必要としない。
【0095】
また、保温手段(加熱ヒータ)を備えた保持容器を湯溜り槽の給湯口に連通接続すると共に、該保持容器の底部開口をダイカスト機の加圧スリーブの注湯口直上に臨ませて配置し、保持容器内で生成される半凝固金属が所定の固相率になるタイミングに合わせて保持容器の開閉蓋を開いて保持容器内の半凝固金属を装填手段(栓兼用押出ピストン)でダイカスト機の加圧スリーブに押出し装填することにより、保持容器の内部で生成された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに確実に且つ直接的に装填することが出来ると共に、保持容器に供給する溶融金属中に酸化物(酸化被膜)が混入するのを抑制することが出来る。
しかも、保持容器内で生成された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに搬送するためのハンドロボット等を必要とせず、比較的狭い設置スペースにも設備可能であると共に、保持容器内部の清掃を必要としなくなる。
【0096】
また、保持容器を湯溜り槽の下部に水平状態に配設すると共に、保持容器の一端開口部をダイカスト機の加圧スリーブの注湯口直上に臨ませて配置し、保持容器内で生成される半凝固金属が所定の固相率になるタイミングに合わせて保持容器の開閉蓋を開いて保持容器内の半凝固金属を装填手段(押出ピストン)でダイカスト機の加圧スリーブに押出し装填することにより、保持容器の内部で生成された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに確実に且つ直接的に装填することが出来ると共に、保持容器に供給する溶融金属中に酸化物(酸化被膜)が混入するのを抑制することが出来る。
しかも、保持容器内で生成された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに搬送するためのハンドロボット等を必要とせず、比較的狭い設置スペースにも設備可能であり、且つ保持容器内部の清掃を必要とせず、メンテナンスが容易となる。
【0097】
また、保持容器が保温手段(保温トンネル)内を通過する間にこれら保持容器内に収容された溶融金属が所定の固相率の半凝固金属になるタイミングに合わせてその保持容器の上部開口をダイカスト機の加圧スリーブの注湯口に接続させ、保持容器内の半凝固金属を装填手段(押出ピストン)でダイカスト機の加圧スリーブに押出し装填することにより、保持容器の内部で生成された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに確実に且つ直接的に装填することが出来ると共に、保持容器内に収容した溶融金属の温度コントロールを容易に行なうことが出来る。
しかも、鋳造サイクルに合わせて半凝固金属を作成してダイカスト機の加圧スリーブに装填することが出来ると共に、保持容器内で生成された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに搬送するためのハンドロボット等を必要とせず、比較的狭い設置スペースにも設備可能となる。
【0098】
また、保持容器が保温手段(保温トンネル)内を通過する間にこれら保持容器内に収容された溶融金属が所定の固相率の半凝固金属になるタイミングに合わせてその保持容器の開閉蓋を開いて保持容器内の半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに直接投入し、装填手段(押出ピストン)で金型に圧入することにより、保持容器内に収容した溶融金属の温度コントロールを容易に行なうことが出来る。
しかも、鋳造サイクルに合わせて半凝固金属を作成してダイカスト機の加圧スリーブに装填することが出来ると共に、保持容器内で生成された半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに搬送するためのハンドロボット等を必要とせず、比較的狭い設置スペースにも設備可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る製造装置の第1実施例を示す模式正面図。
【図2】 図1の模式平面図。
【図3】 本発明に係る冷却体の実施例を示す模式側面図。
【図4】 本発明に係る保持容器の実施例を示す模式断面図。
【図5】 本発明に係る保持容器の他の実施例を示す斜視図。
【図6】 本発明に係る保持容器の更に他の実施例を示す模式断面図。
【図7】 本発明に係る製造装置の第2実施例を示す模式正面図。
【図8】 本発明に係る製造装置の第3実施例を示す模式正面図。
【図9】 本発明に係る製造装置の第4実施例を示し、(a)は模式側面図、(b)は模式正面図。
【図10】 本発明に係る製造装置の第5実施例を示す模式正面図。
【図11】 本発明に係る製造装置の第6実施例を示す模式正面図。
【図12】 第6実施例における工程を説明する模式正面図。
【図13】 本発明に係る製造装置の第7実施例を示す模式正面図。
【図14】 本発明の実施例に係る鋳造製品の金属組織の顕微鏡写真。
【図15】 比較例を示す鋳造製品の金属組織の顕微鏡写真。
【符号の説明】
1……溶融金属保持炉 2……冷却体
21…傾斜通路 22…回転軸
23…軸受 24…フレーム
3……湯溜り槽 31…給湯口
4……保持容器 41…缶
42…ホルダー 43…分割構成部材
44…開閉蓋 45…蝶番
5……保温手段 6……装填手段
7……回転テーブル 8……コンベア
9……無端コンベア 10…清掃ブラシ
M1 …溶融金属 M3 …半凝固金属
M2 …少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属
a……加圧スリーブ a1…注湯口
b……加圧ピストン c……金型
d……キャビティ

Claims (8)

  1. 溶融金属を冷却体に接触させることにより当該溶融金属の少なくとも一部を固液共存状態に冷却し、この少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を保持容器中で半溶融温度域に保持しつつ冷却して半凝固金属となし、然る後該半凝固金属をダイカスト機の加圧スリーブに装填して鋳造するレオキャスト鋳造法であって、前記保持容器は前記溶融金属を直接収容する缶と該缶を保持するホルダーとからなり、前記保持容器に溶融金属を1鋳造(1ショット)に必要な量を定量供給し、前記保持容器内で生成された半凝固金属を前記ホルダーから分離された前記缶ごと前記ダイカスト機の加圧スリーブに装填するようにした事を特徴とするレオキャスト鋳造法。
  2. 前記保持容器を複数個用い、これら保持容器内で生成される半凝固金属が所定の固相率になるタイミングに合わせて当該保持容器が前記ダイカスト機の加圧スリーブに到達するように各保持容器を順次前記ダイカスト機の加圧スリーブへ移送するようにした請求項1記載のレオキャスト鋳造法。
  3. 前記保持容器が前記冷却体を兼ねており、溶融金属を上記保持容器内に供給することにより該溶融金属の少なくとも一部を固液共存状態に冷却し、この少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を当該保持容器中で半溶融温度域に保持しつつ冷却するようにした請求項1記載のレオキャスト鋳造法。
  4. 前記保持容器の内部温度を、溶融金属の供給時は固相線温度(TS)−200℃以下とし、溶融金属を供給した後は固相線温度(TS)以上に加熱されるようにした請求項3記載のレオキャスト鋳造法。
  5. 製品を鋳造するダイカスト機と、所用量の溶融金属を保持しておくための保持炉と、該保持炉から供給された溶融金属を少なくとも一部を固液共存状態に冷却するための冷却体と、上記少なくとも一部が固液共存状態に冷却された溶融金属を収容するための保持容器と、上記保持容器内で生成された半凝固金属を前記ダイカスト機の加圧スリーブに装填するための装填手段とを備えてなり、前記保持容器が、少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を直接収容する缶と該缶を保持するホルダーとで構成され、前記保持容器を複数個用い、これら保持容器内で生成される半凝固金属が所定の固相率になるタイミングに合わせて各保持容器を順次前記ダイカスト機の加圧スリーブへ移送し当該半凝固金属を前記ホルダーから分離された前記缶ごと前記加圧スリーブに装填するように構成されている事を特徴とするレオキャスト鋳造装置。
  6. 前記缶が、収容する溶融金属よりも高い融点を有する金属材で形成されている請求項5記載のレオキャスト鋳造装置。
  7. 前記缶が、収容する溶融金属と同基質の金属材で形成されている請求項5記載のレオキャスト鋳造装置。
  8. 請求項5記載の鋳造装置において、前記保持容器内に収容せしめた少なくとも一部が固液共存状態になった溶融金属を半溶融温度域に保持しつつ所定の固相率に冷却するための保温手段を備え、該保温手段が、前記保持容器を1個宛て収容しえる大きさの略容器様に構成されている事を特徴とするレオキャスト鋳造装置。
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