JP5384976B2 - 摺動部材の製造装置及び摺動部材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、金属溶湯を用いて摺動部材を製造する製造装置及び製造方法に関する。
摺動部材は、耐摩耗性等の機械的特性が優れている必要があり、例えば自動車のシリンダブロックのスリーブとして使用されている。一般的に、スリーブは鉄系材料で構成されており、スピンキャスト法を利用して製造される。この場合、鉄自体が比較的重いので製造装置が大型化することがある。また、スピンキャスト法で成形された成形品を必要長さに切断する必要があるため、加工時の刃具選定や製造工程の最適化等に手間がかかる。なお、アルミニウム系材料で構成されたスリーブを採用する場合があるが、スプレーフォーミング法等で製造されるため、スリーブ素材とするためには最終押し出し工程が必要になる(特許文献1参照)。
また、従来では機械的特性が優れた鋳造品を鋳造する方法が知られている。例えば、遠心力を利用することにより、硬質金属化合物粒を鋳造品の外側に配置させる方法が知られている(特許文献2参照)。その他、アルミニウム合金の溶湯に振動を付与することにより、鋳造品の金属組織を微細化する方法が知られている(特許文献3及び4参照)。
特開2000−109944号公報 特開昭58−116968号公報 特開2007−216239号公報 特開2008−155271号公報
特許文献1の方法でアルミニウム系材料のスリーブを製造する場合、最終押し出し工程が必要なので、コストや手間がかかることがある。また、特許文献2の方法では、鋳造品の外周面に優れた耐摩耗性を付与することを目的としているので、摺動部材としての用途が限定される。そのため、例えば、シリンダブロックのスリーブ等には適用することができない。また、例えば特許文献3及び4の方法は、鋳造品の機械的性質を向上させることができる。しかし、その鋳造品を摺動部材として利用する場合には、摺動部材の摺動面に優れた耐摩耗性を付与することが好ましい。
そこで、本発明は、従来とは異なる方法で耐摩耗性等の機械的特性が優れた摺動部材を製造する製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
第1の発明に係る摺動部材の製造装置は、少なくともベース金属と前記ベース金属よりも硬質な硬質金属とを有する金属溶湯を収容するための容器と、前記容器内の前記金属溶湯に1000[Hz]以下の周波数の振動を付与する振動付与手段と、前記振動付与手段にて振動が付与された前記金属溶湯内に挿入された状態で前記金属溶湯を冷却する中子と、を備えることにより上述した課題を解決する。
第1の発明の製造装置によれば、1000[Hz]以下の周波数(低周波数)の振動が金属溶湯に付与されると、高温領域から発現する晶出相の核生成が生じる。また、金属溶湯を中子にて冷却するので、金属溶湯のうち中子表面に接触する部位の冷却速度が早くなる。これにより、前記部位に微細な硬質金属の結晶粒を晶出させることができる。つまり、金属溶湯のうち中子表面に接触する部位は、晶出相及び結晶粒が共に微細な金属組織(微細な硬質相)となる。よって、摺動部材の摺動面に相当する部位が急冷されるように中子の形状や金属溶湯への挿入位置を調整することで、摺動面に微細な硬質相を晶出させることができる。従って、簡便な構成で摺動面に優れた耐摩耗性が付与された摺動部材を製造することができる。
金属溶湯は、様々な種類を選定することができる。例えば、前記ベース金属はアルミニウムであり、前記硬質金属は鉄を含んでいてもよい。これにより、シリンダブロックのスリーブに対応することもできる。
第1の発明に係る製造装置の一形態において、前記振動付与手段は、回転部材と前記回転部材の回転軸と偏心した状態で前記回転部材と一体回転可能に設けられた偏心部材とを有する振動発生部と、前記振動発生部と接触した状態で前記回転部材の回転軸線方向に延び、かつ前記金属溶湯に挿入される振動子と、を備えてもよい。この形態によれば、回転部材及び偏心部材が一体回転することにより、振動発生部には振動が生じる。また、振動発生部で生じた振動は振動子に伝達される。この時、振動子が回転部材の回転軸線方向に延びているので、振動子は短手方向に振動する。これにより、比較的大きな振幅の振動を金属溶湯全域に均一に伝達することができる。よって、効率的に晶出相の核生成を行うことができる。
上記形態においては、前記容器が配置されるステージと、前記ステージに配置された前記容器を第1の位置と第2の位置とに搬送する搬送手段と、前記ステージを昇降する昇降手段と、をさらに備え、前記振動子は、前記第1の位置のステージと対向する位置に設けられ、前記中子は、前記第2の位置のステージと対向する位置に設けられてもよい。
この形態によれば、ステージを昇降することにより金属溶湯に対する振動子及び中子の挿入を行うことができる。また、第1の位置と第2の位置とに容器が搬送されるので、搬送手段を設けない製造装置と比較して容器を移動させる手間がかからない。また、第1の位置と第2の位置とを隣接して設けた場合には、第1の位置と第2の位置とを離れて(隣接しないで)設けた場合と比較して製造装置全体がコンパクトになり、搬送時間も短縮される。よって、サイクルタイムを短縮することができる。
第1の発明に係る製造装置の一形態において、前記容器は、断熱部材で形成されてもよい。この形態によれば、金属溶湯のうち容器に接触する部位の冷却速度が遅くなる。そのため、摺動部材をダイカストにより鋳込んだ場合、前記部位とダイカスト鋳造品との組織を略同一にすることができる。これにより、摺動部材とダイカスト鋳造品との密着性を良好に保つことができる。
第2の発明に係る摺動部材の製造方法において、少なくともベース金属と前記ベース金属よりも硬質な硬質金属とを有する金属溶湯を容器に収容した状態で、前記金属溶湯に1000[Hz]以下の周波数の振動を付与する振動付与工程と、前記振動付与手段にて振動が付与された前記金属溶湯内に中子を挿入することで前記金属溶湯を冷却する中子挿入工程と、を備えてもよい。
以上説明したように、本発明の摺動部材の製造装置及び製造方法によれば、低周波数の振動を金属溶湯に付与させた後にその金属溶湯を中子で冷却しているので、金属溶湯のうち中子表面に接触する部位に微細な硬質相を晶出させることができる。よって、摺動部材の摺動面に相当する部位が急冷されるように中子の形状や金属溶湯への挿入位置を調整することで、簡便な構成で摺動面に優れた耐摩耗性が付与された摺動部材を製造することができる。
本発明に係る摺動部材の製造装置の要部を示す図である。 本発明に係る製造装置の制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 金属溶湯に振動を与えている状態を示す図である。 第1の位置から第2の位置にステージを搬送している状態を示す図である。 金属溶湯に中子を挿入している状態を示す図である。 容器から鋳物を取り外した状態を示す図である。 中子から鋳物を取り外した状態を示す図である。 金属溶湯に中子を挿入したときの金属溶湯の流れを説明するための説明図である。
以下、第1の発明に係る製造装置の実施の形態例を図1〜図8を参照しながら説明する。
先ず、本実施の形態に係る製造装置10は、自動車のシリンダブロックのスリーブとして用いられる摺動部材を製造するための装置である。
そして、製造装置10は、図1に示すように、装置本体12と、振動付与部14と、中子挿入部16と、制御部18とを有する。
装置本体12は、製造装置10の基台となるべき部分であり、工場等の床面等に載置される。装置本体12は、容器20と、ステージ22と、昇降機構24と、昇降用モータ26と、搬送機構28と、搬送用モータ30と、秤量部32とを有する。
容器20内には、ベース金属と硬質金属とを有する金属溶湯(以下、溶湯と記す。)が収容される。ベース金属としてはアルミニウムが用いられる。硬質金属は、ベース金属よりも硬質な材料が用いられる。硬質金属は、鉄を含んでいる。つまり、溶湯は、少なくとも鉄を含んだアルミニウム合金(Al合金)として構成されている。この種のAl合金としては、例えば、2.0〜4.0%(数字は重量%、以下同じ)のCu、9.0〜11.0%のSi、0.3〜0.8%のMg、1.0%以下のZn、4.0%以下のFe、2.0%以下のMn、0.1%以下のNi、0.5%以下のTi、0.1%以下のCrを含み残部がAlであるAl合金が挙げられ、Al合金の好適な例としては、2.58%Cu−11.0%Si−0.55%Mg−0.014%Zn−2.02%Fe−1.10%Mn−0.003%Ni−0.007%Ti−0.002%Cr−AlであるAl合金が挙げられる。また、容器20は断熱部材で形成されている。断熱部材としては、ルミボード、砂、セラミックファイバー(IBIWOOL:登録商標)等を用いることができる。但し、本形態の製造装置10で製造される摺動部材をダイカストにより鋳込む場合には、溶湯のうち断熱部材と接触する部位の冷却速度が摺動部材を鋳込む時の溶湯の冷却速度と略同一になるような断熱部材が選定される。容器20は、ステージ22に脱着自在に配置される。
昇降機構24は、昇降用モータ26によってステージ22を昇降(図1の矢印Aの方向に移動)する。搬送機構28は、搬送用モータ30によってステージ22を水平移動(図1の矢印B方向に移動)する。搬送用モータ30は、ステージ22を第1の位置(図4において、二点鎖線で示されたステージ22の位置)から第2の位置(図4において、実線で示されたステージ22の位置)に搬送する。昇降機構24及び搬送機構28は、例えば送りねじ機構を用いることができる。なお、第1の位置と第2の位置とは隣接している。
秤量部32は、ステージ22に配置された容器20内の溶湯の重量に応じた信号を出力する。
振動付与部14は、容器20内の溶湯に振動を付与することができる。振動付与部14は、振動発生部34と、振動子36と、温度検出部38とを備えている。
振動発生部34は、1000[Hz]以下の周波数(低周波数)の振動を発生する。但し、前記周波数は、20〜1000[Hz]の範囲に設定されるのが好ましい。振動発生部34は、回転部材40と、回転用モータ42と、偏心部材44とを有する。回転部材40は、回転用モータ42により回転駆動する。回転用モータ42としては、電動モータ又はエアモータを用いればよい。偏心部材44は、回転部材40の回転軸と偏心した状態で回転部材40と一体回転可能に設けられている。
振動子36は、第1の位置のステージ22と対向する位置に設けられている。また、振動子36は、振動発生部34と接触した状態で設けられた支持部46と、支持部46に取り付けられて溶湯に挿入される複数の振動針48とを有する。複数の振動針48は、回転部材40の回転軸線の方向にストレートに延びており、横断面が円状に形成されている。各振動針48の間には、幾らかの隙間が形成されている。この隙間は、振動針48が振動した時に振動針48同士が接触しないような大きさに設定されている。また、振動針48は、セラミックス又は耐熱性金属素材で構成されている。これにより、溶湯に対して充分な耐熱性が確保される。振動針48の径及び本数は、振動針48の溶湯中での占有率(占有率=振動針の浸漬体積/溶湯体積)が15〜30%の範囲になるように予め設定される。
振動針48の溶湯中での占有率(15〜30%)は、核生成が多量化するような範囲が用いられる。核生成の多量化の評価は、凝固後の鋳物において、任意の面積(例えば、5mm×5mm)における規定の結晶粒径範囲内にある結晶粒(微細化結晶粒)の面積の割合(面積比)に基づいて行われる。具体的には、微細化結晶粒の面積比が70%以上である場合に核生成が多量化していると評価し、微細化結晶粒の面積比が70%未満である場合に核生成が多量化していないと評価する。この場合、振動針48の溶湯中での占有率が15%以上の時に、微細化結晶粒の面積比が70%以上となる。そのため、振動針48の溶湯中での占有率の下限値が15%に設定される。但し、この下限値は、鋳造時の合金組成のバラツキも考慮されている。なお、微細化結晶粒の面積比は、鋳物の金属組織を光学顕微鏡で観察して結晶粒径を測定することにより微細化結晶粒とそれ以外の結晶粒とを識別し、画像処理で数値化することにより求めることができる。また、振動針48は、溶湯中に振動を付与する際に表面にアルミニウム等が付着する。そのため、振動針48の表面に付着したアルミニウム等をクリーニングする必要がある。振動針48のクリーニングでは、振動針48間に幾らかの隙間が形成されていることが好ましい。つまり、振動針48間の隙間が狭すぎると、クリーニング作業が効率的に行われずサイクルタイムが増加することがある。よって、振動針48間に幾らかの隙間を確保するために、振動針48の溶湯中での占有率の上限が30%に設定される。
中子挿入部16は、第2の位置のステージ22と対向する位置に設けられ、かつ容器20内の溶湯を冷却する。中子挿入部16は、溶湯に挿入される中子50と、固化した鋳物を中子から取り外す鋳抜リング52とを有する。
中子50は、自動車のシリンダブロックのスリーブに対応した形状(略円柱状)に形成され、かつ熱伝導率の良好な材料で構成されている。熱伝導率の良好な材料としては、例えば銅系材料や銅−クロム系材料が用いられる。また、中子50は、容器20内の溶湯に挿入した時に、中子50の外周面と容器の内周面との間に幾らかの隙間が形成されるような大きさに設定されている。
鋳抜リング52は、中子50の外周側に位置して中子50の長手方向に移動可能に設けられている。
制御部18は、昇降用モータ26、搬送用モータ30、回転用モータ42、及び中子挿入部16を制御する。制御部18は、記憶部54と、昇降制御部56と、搬送制御部58と、振動制御部60と、鋳抜制御部62とを有する。
記憶部54は、必要溶湯量マップデータと、振動付与温度区間マップデータとが記憶されている。必要溶湯量マップデータは、摺動部材の重量と必要溶湯量との関係を記述したマップデータが利用される。振動付与温度区間マップデータは、溶湯の種類(材質)と振動付与温度区間との関係を記述したマップデータが利用される。
昇降制御部56は、昇降用モータ26を駆動してステージ22を昇降する。
搬送制御部58は、搬送用モータ30を駆動してステージ22を水平移動する。
振動制御部60は、回転用モータ42を駆動して溶湯に振動を付与する。回転用モータ42の回転数は、溶湯に伝達される振動の周波数が20〜1000[Hz]の範囲になるように調節される。また、溶湯に振動を与える期間は、温度検出部38からの出力信号を参照して取得される温度(検出温度)と振動付与温度区間とに基づいて定められる。振動付与温度区間は、記憶部54の振動付与温度区間マップデータを参照して取得される。
鋳抜制御部62は、固化した鋳物から中子50が取り外されるように鋳抜リング52を移動させる。
次に、本形態の製造装置10の動作について図2の制御ルーチンのフローチャートも参照しながら説明する。
先ず、第1の位置にあるステージ22に容器20が配置される。そして、その容器20に溶湯が注入される。このとき、容器20内の溶湯は、秤量部32にて秤量される。溶湯の秤量は、秤量部32からの出力信号を参照して取得される溶湯の重量(検出重量)に基づいて行われる。また、秤量部32は、ステージ22に配置された容器20への溶湯の注入に基づいて信号を出力する。そして、検出重量が必要溶湯量に達した時(容器20への溶湯の注入が終了した時)に溶湯の秤量が終了する。必要溶湯量は、記憶部54を参照して取得される。
その後、昇降制御部56は、ステージ22を上昇させて溶湯内に振動針48を挿入する(図3参照、ステップS1)。
また、振動制御部60は、回転用モータ42を回転させて所定の振動付与期間だけ溶湯に振動を付与する(ステップS2)。このとき、温度検出部38は、溶湯の温度を検出する。そして、制御部18は、検出温度が振動付与温度区間にあるか否かを判定する。振動制御部60は、検出温度が振動付与温度区間にある場合に、溶湯に振動が付与されるように回転用モータ42を駆動し、検出温度が振動付与温度区間にない場合に、溶湯に振動が付与されないように回転用モータ42の駆動を停止する。
その後、昇降制御部56は、ステージ22を下降させて容器20を第1の位置に戻す(ステップS3)。
その後、搬送制御部58は、ステージ22を水平移動させて容器20を第1の位置から第2の位置に搬送する(図4参照、ステップS4)。
その後、昇降制御部56は、ステージ22を上昇させて溶湯内に中子50を挿入する(図5参照、ステップS5)。
その後、昇降制御部56は、鋳造の終了に基づいてステージ22を下降させて容器20を第2の位置に配置する(図6参照、ステップS6)。鋳造の終了とは、中子50が溶湯に挿入された状態で溶湯が固化する時間が経過した時を指す。なお、溶湯の固化に要する時間は、溶湯の材料によって異なり任意に設定してよい。
また、鋳抜制御部62は、中子挿入部16を制御して鋳物を中子50から取り外す(図7参照、ステップS7)。詳しくは、鋳抜制御部62は、鋳抜リング52を搬送機構28に向かう方向に移動させる。
その後、搬送制御部58は、鋳物を加工工程に搬送する(ステップS8)。加工工程では、鋳物がシリンダブロックのスリーブの寸法に加工される。詳しくは、鋳物の内周面と外周面を切削することで摺動部材が製造される。ステップS8の処理後、今回の制御ルーチンは終了する。
以上の構成の製造装置10においては、昇降機構24及び昇降用モータ26が昇降手段に、搬送機構28及び搬送用モータ30が搬送手段にそれぞれ相当する。また、本形態の制御ルーチンでは、ステップS2の処理が振動付与工程に、ステップS5の処理が中子挿入工程にそれぞれ相当する。
本形態の摺動部材の製造装置10では、第1の位置のステージ22に配置された容器20内に溶湯が注入された後、ステージ22が上昇して溶湯内に振動針48が挿入される。このとき、振動発生部34にて発生した振動が支持部46を介して振動針48に伝達されるので、溶湯内に低周波数の振動が付与される。これにより、溶湯内には高温領域から発現する晶出相の核生成が生じる。そして、所定の振動付与期間が経過した後、ステージ22が第1の位置に戻る。その後、ステージ22は第1の位置から第2の位置に搬送される。その後、ステージ22が上昇して溶湯内に中子50が挿入される。このとき、中子50に押された溶湯が中子50の外周面と容器の内周面との隙間に急速に流れ込み、中子50の外周面が溶湯に覆われた状態になる(図8参照)。これにより、スリーブとしたときに湯境が発生することを抑制することができる。また、この状態で、溶湯のうち中子50の外周面に接触する部位の冷却速度が速くなる。これにより、溶湯のうち中子50にて急冷された部位に微細な硬質金属の結晶粒を晶出させることができる。つまり、スリーブの摺動面(内周面)は、晶出相及び結晶粒が共に微細な金属組織(10[μm]以下の硬質相)となる。よって、簡便な構成で摺動面に優れた耐摩耗性が付与された摺動部材を製造することができる。
また、本形態の製造装置では、回転部材40及び偏心部材44が一体回転することにより、振動発生部34に振動が生じる。また、振動発生部34で生じた振動は支持部46を介して振動針48に伝達される。この時、振動針48が回転部材40の回転軸線方向に延びているので、振動針48は短手方向に振動する。これにより、比較的大きな振幅の振動を溶湯全域に均一に伝達することができる。よって、効率的に晶出相の核生成を行うことができる。
さらに、本形態の製造装置10では、ステージ22を昇降することにより溶湯に対する振動針48及び中子50の挿入を行うことができる。また、第1の位置と第2の位置とに容器20を搬送させているので、容器20を搬送させない場合と比較して容器20を移動させる手間がかからない。さらに、第1の位置と第2の位置とが隣接しているので、第1の位置と第2の位置とを離れて(隣接しないで)設けた場合と比較して製造装置10全体がコンパクトになり、搬送時間も短縮される。よって、サイクルタイムを短縮することができる。
自動車のシリンダブロックは、スリーブをダイカスト(ハイプレッシャーダイカスト)により鋳込むことにより、スリーブとシリンダブロック本体とを一体に製造することがある。このような場合、スリーブとシリンダブロック本体との金属組織が異なっていると、鋳込む際の熱膨張特性が異なりスリーブとシリンダブロック本体との密着性が悪化することがある。本形態では、容器20が断熱部材で形成されているので、溶湯のうち容器20と接触する部位の冷却速度が遅くなる。これにより、スリーブの外周面の金属組織が、シリンダブロック本体の金属組織と略同一になる。よって、スリーブをダイカストにより鋳込むことでシリンダブロックを製造する場合でも、スリーブとシリンダブロック本体との密着性を良好に保つことができる。
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。本発明は、シリンダブロックのスリーブ以外の摺動部材に対しても適用することができる。従って、摺動部材は円筒形状でなくてもよく、四角筒形状に構成されてもよい。この場合、中子は四角柱状に形成される。
中子は、銅系材料で構成される例に限らず、溶湯を冷却することができる限り適宜の変更が可能である。中子の内部に冷媒を封入することで溶湯を冷却してもよい。この時の中子の材質は銅系材料であってもよい。この場合、溶湯の冷却度合いを高めることができる。
振動針は上述した構成に限らない。例えば、振動針は、下記に示す表1中の材質と形状とを任意に組み合わせた構成でも構わない。
Figure 0005384976
10…製造装置
14…振動付与部(振動付与手段)
16…中子挿入部
18…制御部
20…容器
22…ステージ
24…昇降機構
26…昇降用モータ
28…搬送機構
30…搬送用モータ
34…振動発生部
36…振動子
40…回転部材
44…偏心部材
46…支持部
48…振動針
50…中子

Claims (5)

  1. 少なくともベース金属と前記ベース金属よりも硬質な硬質金属とを有する金属溶湯を収容するための容器と、
    前記容器内の前記金属溶湯に1000[Hz]以下の周波数の振動を付与する振動付与手段と、
    前記振動付与手段にて振動が付与された前記金属溶湯内に挿入された状態で前記金属溶湯を冷却する中子と、を備え
    前記振動付与手段は、回転部材を含む振動発生部と、
    前記振動発生部に接触した状態で設けられ、かつ前記回転部材の回転軸線方向に延びて前記金属溶湯に挿入される複数の振動針を含む振動子と、を有し、
    隣接する前記振動針の間には隙間が形成されている、
    ことを特徴とする摺動部材の製造装置。
  2. 請求項1記載の摺動部材の製造装置において、
    前記ベース金属はアルミニウムであり、前記硬質金属は鉄を含んでいることを特徴とする摺動部材の製造装置。
  3. 請求項1又は2に記載の摺動部材の製造装置において、
    前記容器が配置されるステージと、
    前記ステージに配置された前記容器を第1の位置と第2の位置とに搬送する搬送手段と、
    前記ステージを昇降する昇降手段と、をさらに備え、
    前記振動子は、前記第1の位置のステージと対向する位置に設けられ、
    前記中子は、前記第2の位置のステージと対向する位置に設けられていることを特徴とする摺動部材の製造装置。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の摺動部材の製造装置において、
    前記容器は、断熱部材で形成されていることを特徴とする摺動部材の製造装置。
  5. 少なくともベース金属と前記ベース金属よりも硬質な硬質金属とを有する金属溶湯を容器に収容した状態で、振動付与手段にて前記金属溶湯に1000[Hz]以下の周波数の振動を付与する振動付与工程と、
    前記振動付与工程で振動が付与された前記金属溶湯内に中子を挿入することで前記金属溶湯を冷却する中子挿入工程と、を備え
    前記振動付与手段は、回転部材を含む振動発生部と、
    前記振動発生部に接触した状態で設けられ、かつ前記回転部材の回転軸線方向に延びた複数の振動針を含む振動子と、を有し、
    隣接する前記振動針の間には隙間が形成され、
    前記振動付与工程では、複数の前記振動針を前記金属溶湯に挿入した状態で前記回転部材を回転させることにより、当該金属溶湯に振動を付与する、
    ことを特徴とする摺動部材の製造方法。
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