以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態が適宜変更され得ることは勿論である。
図1は、本発明の実施形態に係る複合機1(本発明の電子機器に相当する)の外観構成を示す斜視図である。
複合機1は、図1に示されるように、下部に配設されたインクジェット記録方式のプリンタ部2(画像記録部に相当する)と、その上部に配設されたスキャナ部3とを一体的に備えた多機能装置(MFD;Multi Function Device)である。ここで説明される複合機1には、第1の機種に対応した回路が実装された第1機種用基板150(図10参照)が設置されている。これにより、複合機1は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能、電話通信機能などを有する。この複合機1は、複合機1と無線通信することにより、上記電話通信機能を発揮する子機12(図3参照)を備えている。
本実施形態に係る複合機1の特徴とするところは、機器本体10の前面側及び背面側に形成されたコネクタ用開口140〜142(図4及び図8参照)のレイアウトを変更することなく、それぞれコネクタが実装された複数の機種の回路基板を設置可能な点にある。すなわち、コネクタ用開口140〜142のレイアウトを変更することなく、第1機種用基板150(本発明における第1回路基板の一例)、第2機種用基板160(本発明における第2回路基板の一例)、又は、第3機種用基板170(本発明における第3回路基板の一例)を選択的に設置可能な点にある。
第1機種用基板150は、第1の機種に対応した回路が実装されるものである(図10参照)。第1機種用基板150は、USBコネクタ40,41(共通コネクタの一例)が実装され、さらにLANコネクタ42(選択コネクタの一例)が実装されたものである(図11参照)。
第2機種用基板160は、第2の機種(本発明の第2の機種の一例)に対応した回路が実装されるものである(図12参照)。第2機種用基板160は、USBコネクタ40,41が実装されたものである(図13参照)。
第3機種用基板170は、第3の機種(本発明の第3の機種の一例)に対応した回路が実装されるものである(図14参照)。第3機種用基板170は、USBコネクタ40,41に加えてLANコネクタ42が実装され、さらにUSBコネクタ40が実装された一部領域67が分割可能なものである(図15参照)。
本実施形態においては、第1の機種、第2の機種、第3の機種の3種類の設定があり、各機種に応じて第1機種用基板150、第2機種用基板160、又は、第3機種用基板170の3種類の回路基板が選択的に設置される形態について説明される。ただし、本発明では、機種は少なくとも第1の機種を含む2種類であればよい。すなわち、第1の機種と第2の機種、又は、第1の機種と第3の機種との2種類であってもよい。したがって、第1機種用基板150と第2機種用基板160とが選択的に設置されるものであっても、第1機種用基板150と第3機種用基板170とが選択的に設置されるものであってもよい。
第1機種用基板150、第2機種用基板160、第3機種用基板170、コネクタ40〜42、コネクタ用開口140〜142については、後に詳述される。以下では、まず第1機種用基板150が設置された第1機種の複合機1について説明される。
プリンタ機能においては、複合機1が、主に不図示のコンピュータと接続されて、プリンタ部2が、該コンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、記録用紙(被記録媒体の一例)に画像や文書を記録する。プリンタ部2は、複合機1に接続されたデジタルカメラやUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の外部機器から入力される画像データに基づいて画像を記録用紙に記録する。プリンタ部2は、複合機1に装着されたメモリカード等の各種記憶媒体に記憶された画像データ等に基づいても画像や文書を記録用紙に記録する。
スキャナ機能においては、スキャナ部3により読み取られた原稿の画像データが当該装置と有線或いは無線で接続されたコンピュータへ転送される。また、読み取られた画像データをメモリカード等の各種記憶媒体に転送して記憶させることもできる。コピー機能においては、スキャナ部3により読み取られた画像データがプリンタ部2において記録用紙に記録される。
ファクシミリ機能においては、スキャナ部3により読み取られた画像データがファクシミリ送信可能なデータに変換されて、不図示の電話回線などを通じてファクシミリ送信される。また、上記電話回線を通じて受信されたファクシミリデータは、プリンタ部2に転送されて、該プリンタ部2によって記録用紙に画像として記録される。電話通信機能においては、子機12から取得された音声が上記電話回線を通じて電気信号として送受信される。
複合機1の一方の側面61(本実施形態では左側面)には、電話線が接続される通信接続部62が設けられている。反対側の側面(本実施形態では右側面)には子機12と無線通信するためのアンテナ63が設けられている。なお、複合機1の側面61の内部から外部へ電源コード64が延びている。この電源コード64は、電源ユニット73(図5参照)に接続されており、この電源ユニット73に商用電力を供給するものである。
図2は、複合機1の内部構成を示す断面図である。
図1及び図2に示されるように、プリンタ部2には、機器本体10の前面側に開口4が形成されている。この開口4に、被記録媒体を保持する給紙トレイ20及び排紙トレイ21が設けられている。本実施形態においては、給紙トレイ20及び排紙トレイ21が本発明に係る媒体保持部に相当する。ただし、媒体保持部は、給紙トレイ20と排紙トレイ21とのどちらか一方であってもよい。なお、図1では、排紙トレイ21が開口4の奥部にあるため、外観に表れていない。
給紙トレイ20には、A4サイズやB5サイズ等の所望のサイズの記録用紙(被記録媒体)が収容される。排紙トレイ21は、給紙トレイ20に支持されて、給紙トレイ20の上方に配置される。給紙トレイ20と排紙トレイ21とは、上下二段にされて機器本体10に対して着脱可能に装着される。この給紙トレイ20は、図2において左右方向(図1においては矢印27の方向)に挿抜されるようになっている。給紙トレイ20が装置内部に挿入されると、記録用紙は、給紙ローラ25によって図2において右方向(記録用紙の搬送方向)へ引き出され、用紙搬送路23に沿って画像記録ユニット24側へ送られる。また、ユーザが給紙トレイ20を装置内部から引き抜くことによって、ユーザは、給紙トレイ20に記録用紙を補充することができるようになっている。
給紙トレイ20の奥側に分離傾斜板22が設けられている。この分離傾斜板22は、装置背面側へ倒れるように傾斜している。分離傾斜板22は、給紙トレイ20から給送された記録用紙を分離して上方へ案内する。分離傾斜板22の上方に上記用紙搬送路23が形成されている。この用紙搬送路23は、分離傾斜板22から上方へ向かった後、正面側へ曲がっている。さらに、用紙搬送路23は、機器本体10の背面側から正面側へと延び、画像記録ユニット24を通過して排紙トレイ21へ通じている。給紙トレイ20に収容された記録用紙は、用紙搬送路23によって下方から上方へUターンするように案内されて画像記録ユニット24に至り、この画像記録ユニット24により画像記録が行われた後、排紙トレイ21に排出される。
図1及び図2に示されるように、スキャナ部3は、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿載置台5に対して、原稿カバー7が、背面側の蝶番を介して開閉自在に取り付けられてなる。原稿カバー7は、オート・ドキュメント・フィーダ(Auto Document Feeder、以下「ADF」と称される。)6を備える。ADF6も、原稿カバー7とともに開閉される。
スキャナ部3は、画像読取ユニット32を備えている。画像読取ユニット32は、図示されていないが、コンタクトイメージセンサ(Contact Image Sensor、以下「CIS」と称される。)及びセンサキャリッジを有する。CISは、光源を発光させて原稿に光を照射し、原稿からの反射光をレンズにより光電変換素子に導き、光電変換素子が反射光強度に応じた電気信号を出力するいわゆる密着型のイメージセンサである。CISは、センサキャリッジに搭載されて、プラテンガラス31の下方を往復動される。
プラテンガラス31は、原稿カバー7が閉じられることにより原稿カバー7に覆われる。原稿カバー7の下面には、スポンジ及び白板等からなる押さえ部材(不図示)が配設されている。プラテンガラス31は、スキャンされる原稿が載置されるものであり、例えば透明なガラス板やアクリル板等である。このプラテンガラス31には、A4サイズやリーガルサイズ以下の原稿が載置可能である。A4サイズやリーガルサイズ以下の原稿は、プラテンガラス31上に載置されて原稿カバー7が閉じられることにより、当該原稿がプラテンガラス31上に固定される。この状態で、画像読取ユニット32がプラテンガラス31に沿って走査されることにより、FBSによる原稿の画像読取りが行われる。
図1に示されるように、原稿カバー7には、原稿トレイ70から原稿搬送路(不図示)を経て排紙トレイ72へ原稿を連続搬送するADF6が設けられている。原稿搬送路は、原稿カバー7に一体に形成されたADF本体75と、ADF本体75に対して開閉自在に設けられたADFカバー76とによって構成されている。ADF6による搬送過程において、原稿がプラテンガラス31上に搬送され、プラテンガラス31の下方に待機された画像読取ユニット32により原稿の画像が読み取られる。
図3は、第1機種の複合機1が備える子機12の斜視図である。
子機12は、ホルダ9に着脱自在に保持される。子機12は、図には示されていないが、バッテリー及び無線装置を内蔵している。この無線装置は、所定の通信規格に基づいて機器本体10に内蔵された無線装置と無線通信する。子機12の正面には、各種操作キー106、液晶ディスプレイ107、マイク108、及びスピーカ109が配置されている。ユーザは、操作キー106を操作することによって外部と電話通信を行うことができる。この場合、子機12は、機器本体10との無線通信を介して前述の電話通信機能を発揮させるものである。
図1に示されるように、複合機1の前面上部には、プリンタ部2やスキャナ部3を動作させるための操作部8が設けられている。操作部8は、複合機1の前面上部の外装を形成する操作パネル103と、操作パネル103の内側に適宜配設された各種ボタンスイッチ35や液晶ディスプレイ36を備えて構成されている。操作部8は、複合機1の正面からの操作を容易にするため、複合機1の正面側に傾斜されている。操作パネル103には、ボタンスイッチ35及び液晶ディスプレイ36の形状に対応した複数の開口が形成されており、この開口からボタンスイッチ35の押圧部および液晶ディスプレイ36の表示面が外部に露出されている。
複合機1は、操作部8からの操作入力に基づいて動作される。複合機1が外部のコンピュータに接続されている場合には、該コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても複合機1は動作される。
図4は、コネクタパネル11の部分拡大図である。
図1及び図2に示されるように、複合機1の機器本体10の前面に対応した位置に、各種コネクタを露出させるためのコネクタパネル11が配設されている。このコネクタパネル11は、開口4の上側に配置されている。コネクタパネル11は、図4に詳細に示されるように、装置の幅方向に細く長い帯状に形成されており、開口4の上側に形成された不図示の開口に周知の嵌込機構によって嵌め込まれている。
コネクタパネル11の左端側にはコネクタ用開口140が形成されており、右端部には2つのスロット用開口18,19が形成されている。後述されるが、第1機種用基板150には、USBコネクタ40(共通コネクタの一つ、第1USBコネクタ)、カードスロット96,97が実装されている(図10参照)。USBコネクタ40は、USBホストとして機能する外部装置をUSB接続するためのコネクタである。カードスロット96,97は、カード型メモリが装填されるものである。ここで、カード型メモリとは、記憶媒体としてフラッシュメモリが内蔵されたカード型の記憶装置である。この第1機種用基板150が機器本体10内部の所定の位置に設置されることにより、USBコネクタ40、カードスロット96,97がコネクタパネル11の各開口から露出される。すなわち、USBコネクタ40がコネクタ用開口140から露出され、カードスロット96がスロット用開口18から露出され、カードスロット97がスロット用開口19から露出される。
図5は、プリンタ部2の筐体15の分解斜視図である。図6は、複合機1を構成する各構成要素が保持されたベースフレーム101の構成を示す斜視図である。図7は、ベースフレーム101の分離板111及び第1機種用基板150の位置を示す図であり、(A)はベースフレーム101の斜視図、(B)はベースフレーム101及び第1機種用基板150の斜視図を模式化した図、(C)は(A)及び(B)のD−D切断線の模式断面図である。
以下、プリンタ部2の筐体15について説明する。図5に示されるように、プリンタ部2の筐体15は、主として、ベースフレーム101、外装フレーム102、操作パネル103、コネクタパネル11、プリンタ部2の前面の化粧パネル16及び扉14により構成されている。ベースフレーム101には、画像記録ユニット24、給紙トレイ20、排紙トレイ21、第1機種用基板150、電源ユニット73、通信ユニット83等の構成要素が保持される。
電源ユニット73は、電源コード64から供給された所定電圧の商用電力を複合機1で適用可能な電圧の電力に変換して、その電力を第1機種用基板150(図2及び図10参照)に伝送するためのものである。具体的には、AC100VやAC200Vの高圧交流を低圧交流に変換(変圧)するトランス(変圧器)、該トランスにより変換された二次側の交流を整流して直流に変換する整流器、該整流器の二次側の直流に含まれる交流成分(リップル)を平滑するコンデンサなどの電子部品などにより構成されている。
所定電圧に変換された電力は、電源ユニット73の内部から引き出された電力ケーブル79によって外部に伝送される。電力ケーブル79の先端にはコネクタ80が連結されている。このコネクタ80は、第1機種用基板150の中継コネクタ81(図6参照)に接続される。
通信ユニット83は、電話線の末端に連結されたモジュラージャックを接続するための電話端子84を有する。通信ユニット83は、電話端子84を介して電話線に音声データや画像データを、該電話線と接続された外部装置との間で送受信するものである。また、通信ユニット83からは通信ケーブル86が引き出されている。電話端子84は、ノイズフィルタ等を介して通信ケーブル86と内部で中継接続されている。
電話端子84から送受信されるデータは、通信ケーブル86によって外部に伝送される。通信ケーブル86の先端にはコネクタ87が連結されている。このコネクタ87は、第1機種用基板150の中継コネクタ88(図6参照)に接続される。
べースフレーム101は、図5及び図6に示されるように、概ねトレイ状に形成されている。このベースフレーム101は、左側面をなす側壁110を有する。ベースフレーム101は、プリンタ部2の外形形状に対応して、全体として幅広で薄型の略直方体に形成されている。
ベースフレーム101は、図7に示されるように、ベースフレーム101の高さ方向に空間を分離する分離板111が設けられている。この分離板111によって、ベースフレーム101は、分離板111の上側の上側保持部114と、分離板111の下側の下側保持部115とに分離される。なお、分離板111は、下側保持部115の天板を構成する。分離板111には、段差122が設けられている。この段差122により、分離板111は、高さの異なる2つの平坦部に分けられる。より詳細には、段差122によって、分離板111は、上段平坦部112と、上段平坦部112よりも低い下段平坦部113とに分けられている。分離板111は、例えば、平板状の金属部材や合成樹脂材を屈曲加工して得られる。
上段平坦部112は、ベースフレーム101の前面側に配置され、下段平坦部113は背面側に配置される。したがって、上段平坦部112の保持空間は下段平坦部113の保持空間よりも狭くなっている。そのため、図5〜図7に示されるように、比較的高さ方向に設置スペースを要しない第1機種用基板150は、上段平坦部112上に配設されている。この上段平坦部112のうち、第1機種用基板150を設置可能な一部の領域が、基板設置領域30に相当する(図9参照)。また、比較的大きい画像記録ユニット24は下段平坦部113上に配設されている。なお、上段平坦部112の下側に広い空間が形成されているが、当該空間が給紙トレイ20の配置空間、すなわち、開口4が形成される空間となる。
図6に示されるように、ベースフレーム101は底板116を備える。この底板116は、上記した下側保持部115の底面を構成する。底板116は、開口4に対応する中央部から左側端部にわたって大きく切り抜かれて、開口120が形成されている。したがって、リフィルユニット38を収容する部分を除いて、下側保持部115は実質的に下方に開放されている。この開口120から電源ユニット73及び通信ユニット83がベースフレーム101の下側保持部115内に装着されて、電源ユニット73及び通信ユニット83が下側保持部115に組み付けられる。本実施形態では、底板116に開口120を形成する構成としたが、電源ユニット73及び通信ユニット83をベースフレーム101の底面からベースフレーム101内に装着し得る開口が底板116に形成されていれば足りる。
図6に示されるように、側壁110には、側壁110の下端から上端へ延びる2つの溝123,124が形成されている。溝123,124は、下側保持部115から上側保持部114へわたって側壁110に設けられている。溝123,124の下端側には、溝123,124に連続するようにして切り欠き125,126が形成されている。これら切り欠き125,126は、側壁110の下端側に開放されている。
切り欠き125は、下側保持部115内に入れ込まれた電源ユニット73から引き出された電力ケーブル79を側壁110の外側に挿通させるためのものである。また、溝123は、切り欠き125を挿通された電力ケーブル79を収容するためのものである。この溝123は電力ケーブル79を完全に収容可能な程度の十分な深さに形成されている。
切り欠き126は、下側保持部115内に入れ込まれた通信ユニット83から引き出された通信ケーブル86を側壁110の外側に挿通させるためのものである。また、溝124は、切り欠き126を挿通された通信ケーブル86を収容するためのものである。この溝124は、溝123と同じように、通信ケーブル86を完全に収容可能な程度の十分な深さに形成されている。
筐体15は、図5に示されるように、外装フレーム102を備えている。外装フレーム102は、フレーム本体132と、右側壁133と、左側壁134と、後壁135とを有する。フレーム本体132は、右側壁133、左側壁134および後壁135の上縁部に連続して形成されている。フレーム本体132には、操作パネル103やスキャナ部3(図1参照)が取り付けられる。そのため、フレーム本体132には、操作パネル103やスキャナ部3を取り付けるためのネジ孔やボス、係合爪などの連結手段が適宜設けられている。また、フレーム本体132は、スキャナ部3と画像記録ユニット24とを仕切る間仕切り板の役割を果たすものでもある。このフレーム本体132は、概ね、平板状に形成されている。このようなフレーム本体132と、右側壁133、左側壁134及び後壁135とにより外装フレーム102が形成されることで、外装フレーム102は、前面及び底面が開放され、且つ、左右両側面及び後面を有するカバー形状を呈する。
フレーム本体132には、適宜開口136が形成されている。この開口136を通じて下方に配置される画像記録ユニット24等のメンテナンスが可能となっている。本実施形態では、フレーム本体132、右側壁133、左側壁134及び後壁135が樹脂により一体に成形されている。
外装フレーム102は、図7に示されるように、上方からベースフレーム101に被せられるようになっている。外装フレーム102の右側壁133や左側壁134等には複数の係合爪137が突設されている。ベースフレーム101には、これら係合爪137に対応する箇所に不図示の係合溝が設けられている。外装フレーム102がベースフレーム101に被せられると、係合爪137が上記係合溝に係合される。これにより、右側壁133及び左側壁134がベースフレーム101の両側壁を覆うようにして、外装フレーム102がベースフレーム101に固定される。なお、右側壁133から左側壁134までの幅寸法は、ベースフレーム101の幅に対応して設計されている。そのため、ベースフレーム101に外装フレーム102が被せられると、右側壁133及び左側壁134の内面とベースフレームの側壁110等の表面とが隙間なく合わせられる。
図5に示されるように、ベースフレーム101の正面から見て右側端部に扉14が取り付けられ、左側端部に化粧パネル16が取り付けられる。また、開口4の上側には、前記したコネクタパネル11が取り付けられる。これら扉14、化粧パネル16およびコネクタパネル11によって筐体15の前面が構成されるとともに、プリンタ部2の前面の外装が形成される。
図には表れていないが、扉14の内側には筐体15の内部に通じる開口が形成されている。扉14は、この開口を開閉するためのものであり、開口の下端付近を軸にして前方へ回動可能に取り付けられている。この開口には、リフィルユニット38が内蔵される。リフィルユニット38には、インクカートリッジ39が着脱可能に装填されている。インクカートリッジ39には、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、及び、シアン(C)の各色インクが貯留されている。画像記録ユニット24は、インクカートリッジ39から供給されるインクを微少なインク滴として選択的に吐出することにより、画像記録を行う。
図4に示されるように、コネクタパネル11の左端部にはコネクタ用開口140が形成されている。コネクタ用開口140は、ここでは第1機種用基板150に実装されるUSBコネクタ40(共通コネクタの一つ、第1USBコネクタに相当)を露出させるものである。USBコネクタ40は、第1機種用基板150が基板設置領域30に設置されることにより、コネクタ用開口140に合致する。これにより、USBコネクタ40が機器本体10の前面側に向けて露出されるようになっている。なお、基板設置領域30には、第1機種用基板150に代えて、第2機種用基板160又は第3機種用基板170を設置可能である。これらの場合にも同様に、いずれかの基板160又は170に実装されているUSBコネクタ40がコネクタ用開口140を介して機器本体10の前面側へ露出されるようになっている。
USBコネクタ40は、第1機種用基板150、第2機種用基板160、及び、第3機種用基板170に共通して実装される共通コネクタである。USBコネクタ40は、外部装置(不図示)とデータ通信を行うためのものである。このUSBコネクタ40には、USBホストとして機能する外部装置(例えばデジタルカメラ)が接続される。USBコネクタ40は、ユーザがUSBメモリやUSBケーブルをコネクタパネル11に対して垂直な方向に挿入及び抜き取りが可能なように設けられている。USBコネクタ40を介して接続される外部装置は、複合機1と常時接続されるものではなく、必要に応じて適宜接続されるものである。そのため、ユーザが例えばUSBケーブルの挿入又は抜脱を容易に行えるように、USBコネクタ40は、上記のように機器本体10の前面側に設けられている。
また、機器本体10の前面側のコネクタ用開口140は、給紙トレイ20及び排紙トレイ21より上側であって、給紙トレイ20及び排紙トレイ21の両縁より外側に形成されている。これにより、例えばUSBコネクタ40にUSBケーブルが接続されている場合に、給紙トレイ20や排紙トレイ21に対するユーザの操作がUSBケーブルによって妨げられることが防止される。ここで、ユーザの操作とは、給紙トレイ20へ記録用紙を補充する動作や、排紙トレイ21から画像記録された記録用紙を取り出す動作である。
図8は、第2USBコネクタ41が露出されるコネクタ用開口141、及びLANコネクタ42が露出されるコネクタ用開口142の位置を示す斜視図である。
図8に示されるように、機器本体10の外装フレーム102には、コネクタ用開口141,142が形成されている。コネクタ用開口141,142は、外装フレーム102のフレーム本体132における略中央部分よりも機器本体10の幅方向右側に形成されている。コネクタ用開口141は、基板設置領域30に設置された基板(ここでは、基板150,160,170のいずれか)に実装されているUSBコネクタ41(第2USBコネクタ)を露出させるものである。コネクタ用開口142は、基板設置領域30に設置された基板(ここでは、基板150又は170)に実装されているLANコネクタ42(選択コネクタの一例)を露出させるものである。USBコネクタ41には、コネクタ用開口141を挿通されたUSBケーブルが接続される。LANコネクタ42には、コネクタ用開口142を挿通されたLANケーブルが接続される。このように、機器本体10には、第1機種用基板150、第2機種用基板160、又は第3機種用基板170に実装されるコネクタ40〜42を露出させるコネクタ用開口140〜142が前面側及び背面側にそれぞれ形成されている。
外装フレーム102の上面側には、機器本体10の背面側の右端部からコネクタ用開口141,142にかけて、L字型に曲折された案内部44が形成されている。案内部44には、第2USBコネクタ41に接続されたUSBケーブル、又は、LANコネクタ42に接続されたLANケーブルが収容される。USBケーブル又はLANケーブルは、導入部45からコネクタ用開口141,142へ向けて案内部44に収容され、第2USBコネクタ41又はLANコネクタ42に接続される。なお、案内部44には、USBケーブルとLANケーブルの両方が収容される場合があるため、案内部44は、これら両方のケーブルを収容可能な空間を有するように形成されている。
USBコネクタ41は、第1機種用基板150、第2機種用基板160、及び、第3機種用基板170に共通して実装される共通コネクタである。USBコネクタ41は、外部装置(不図示)とデータ通信を行うためのものである。このUSBコネクタ41は、上記のように機器本体10の背面側に露出されるように機器本体10の内部に配設されており、USBケーブルを介してUSBデバイスとして機能する外部装置(例えばパーソナルコンピュータ)が接続される。USBコネクタ41に接続される外部装置は、主としてパーソナルコンピュータ等の複合機1に常時接続される装置である。そのため、USBコネクタ41は機器本体10の内部に配設されている。LANコネクタ42は、第1機種用基板150及び第3機種用基板170に実装される選択コネクタである。LANコネクタ42は、外部装置とLANを介してデータ通信を行うためのものである。LANコネクタ42に接続される外部装置も主としてパーソナルコンピュータである。USBコネクタ41とLANコネクタ42とは、ユーザの使用形態により任意に選択されて使用される。
図9は、基板設置領域30の位置を示す概略図である。
基板設置領域30は、本実施形態においては、第1機種用基板150、第2機種用基板160、及び第3機種用基板170のいずれかが選択的に設置される領域である。基板設置領域30は、図7及び図9に示されるように、分離板111の上段平坦部112に設けられている。以下、この基板設置領域30に選択的に設置される第1機種用基板150、第2機種用基板160、第3機種用基板170について説明する。
図10は、第1機種用基板150を示す概略図である。図11は、基板設置領域30に設置された第1機種用基板150を示す概略図である。
第1機種用基板150は、第1の機種に対応した回路が実装されるものであり、本発明に係る第1回路基板に相当する。第1機種用基板150は、より少ない面積で可能な限り多くの回路を実装するために、図10に示されるように平面視が略長方形となるように形成されている。この第1機種用基板150には、共通領域と選択領域とが配置されている。
共通領域は、第1の機種及び第2の機種に共通する共通機能を実現する回路が配置される領域である。換言すれば、共通領域は、第1機種用回路150、第2機種用回路160、及び第3機種用回路170に共通して実装される回路が配置される領域である。本実施形態においては、共通領域には、USBコネクタ40,41、USB回路33,34、CPU151、電力供給回路152、通信回路153、パネル回路154、ADF回路155、FBS回路156(画像読取回路に相当する)、プリンタ回路157、カードスロット96,97、スピーカ(SP)158が配置される。
選択領域は、第1の機種のみが有する選択機能を実現する回路が配置される領域である。換言すれば、選択領域は、第1機種用回路150のみに実装される回路が配置される領域である。本実施形態においては、選択領域には、LANコネクタ42、LAN I/F回路47、音声回路48、液晶回路49、コードレス電話回路50が配置される。なお、本実施形態における第1機種用基板150においては、共通領域と選択領域とが入り交じって配置されている。
第1機種用基板150が基板設置領域30に設置されることにより、第1の機種及び第2の機種に共通する共通機能に加えて、第1の機種のみが有する選択機能が実現される。ここでの共通機能は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能である。選択機能は、電話通信機能や、LANを介して外部装置と複合機1とを通信可能に接続するLAN接続機能などである。以下、第1機種用基板150に実装される回路及びコネクタについて説明する。
第1機種用基板150の共通領域には、USBコネクタ40,41、USB回路33,34、CPU151、電力供給回路152、通信回路153、パネル回路154、ADF回路155、FBS回路156、プリンタ回路157、カードスロット96,97、スピーカ158が配置されている。
USBコネクタ40,41は、機器本体10の前面側及び背面側の各コネクタ用開口140,141にそれぞれ合致するように第1機種用基板150に実装されている。USBコネクタ40,41は、具体的には、第1機種用基板150が基板設置領域30に設置された際に、USBコネクタ40がコネクタ用開口140に合致し、USBコネクタ41がコネクタ用開口141に合致するように実装されている。本実施形態においては、USBコネクタ40,41は、機器本体10の前面側及び背面側の各コネクタ用開口140,141にそれぞれ合致するように対角位置に実装されている。すなわち、USBコネクタ40,41は、第1機種用基板150上の離れた位置に実装されている。
USBコネクタ40とUSBコネクタ41とは、同一の通信規格(USB:universal serial bus)によりそれぞれ外部装置とデータ通信を行うためのものである。機器本体10の前面側に設けられるUSBコネクタ40には、複合機1に対してUSBホストとして機能するデジタルカメラ等がUSBケーブルを介して接続される。USB回路33は、USBホストコントローラを内蔵したものであり、USBコネクタ40に接続された外部装置との間でUSBを介してデータの送受信を行う。機器本体10の背面側に設けられるUSBコネクタ41には、複合機1に対してUSBデバイスとして機能するパーソナルコンピュータ等がUSBケーブルを介して接続される。USB回路34は、USBデバイスコントローラを内蔵したものであり、USBコネクタ41に接続された外部装置との間でUSBを介してデータの送受信を行う。
USBコネクタ40を介した複合機1とUSBホストとのデータ通信と、USBコネクタ41を介した複合機1とUSBデバイスとのデータ通信とは、同時に行われる場合がある。これらのデータ通信は、同一の通信規格(ここでは、USB)に基づいて行われるので互いに干渉することが考えられるが、USBコネクタ40,41は対角位置に配置されている。そのため、USBコネクタ40を介したUSBホストとのデータ通信と、USBコネクタ41を介したUSBデバイスとのデータ通信とが、互いに干渉することなく同時に実行可能である。
CPU(Central Processing Unit)151は、複合機1全体の動作を制御するためのものである。図には示されていないが、第1機種用基板150には、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)が設けられている。これらCPU151、ROM、RAM、EEPROMにより複合機1の制御部が構成される。この制御部からの制御命令に基づいて、複合機1を構成する各部が動作する。
電力供給回路152には、上記中継コネクタ81(図6参照)が設けられており、電源ユニット73から延出されている電力ケーブル79が接続される。電力供給回路152は、電力ケーブル79を介して電源ユニット73から伝送された電力を複合機1の各部へ供給する。これにより、複合機1の各部が動作可能となる。通信回路153には、上記中継コネクタ88(図6参照)が設けられており、通信ユニット83から延出されている通信ケーブル86が接続される。通信回路153は、通信ユニット83により送受信される音声データや画像データの変調及び復調を行う。
パネル回路154は、操作部8を介したユーザの操作入力を受け付けるものである。具体的には、操作部8のボタンスイッチ35が操作された場合に、そのボタンスイッチ35に対応するキーコードを生成し、生成したキーコードをCPU151へ転送する。これにより、ユーザの操作入力が受け付けられる。
図8に示されるように、外装フレーム102のフレーム本体132には、収容部28が設けられている。この収容部28には、スキャナ部2から延出されたフラットケーブル(不図示)が導入部29側から収容される。収容部28に収容されたフラットケーブルの端部は、外装フレーム102の下方における基板設置領域30に設置されている第1機種用基板150のADF回路155及びFBS回路156に接続される。ADF回路155は、接続されたフラットケーブルを介してADF6へ制御信号等を伝送し、ADF6を動作させて原稿トレイ70に載置されている原稿を排紙トレイ72へと搬送する。FBS回路156は、接続されたフラットケーブルを介して画像読取ユニット32へ制御信号等を伝送し、FBSによる原稿の画像読み取りや、ADF6によりプラテンガラス31上を搬送される原稿の画像読み取りを行う。
プリンタ回路157は、図には示されていないが、プリンタ部2の画像記録ユニット24等とフラットケーブルを介して接続される。プリンタ回路157は、CPU151等からなる上記制御部からの制御命令に基づいて、用紙搬送路23による記録用紙の搬送や画像記録ユニット24による画像記録を行う。
カードスロット96,97は、機器本体10の前面に対応した位置に実装されたものである。カードスロット96,97は、図4及び図10に示されるように、異なるタイプのカード型メモリが装填される。これらカードスロット96,97は、カード型メモリをコネクタパネル11に対して垂直な方向、即ち、装置の奥行き方向に挿入及び抜き取りが可能なように第1機種用基板150に実装されている。また、カード型メモリの表裏面を水平方向にした状態でカード型メモリの挿入及び抜き取りが可能なように、カードスロット96,97は横向きに配設されている。
複合機1では、カードスロット96,97にカード型メモリが装填されると、複合機1の制御部が該メモリカードにアクセスすることにより、該メモリカードに記憶された画像データが読み出される。画像データが読み出されると、該画像データに関する情報が操作パネル103の液晶ディスプレイ36に表示される。液晶ディスプレイ36に表示された情報に基づいてユーザが任意に画像を選択すると、選択された画像データがプリンタ部2へ転送されて、該画像データが記録用紙に記録される。スピーカ158は、電話通信機能のための呼出音、エラー発生を報知するためのブザー音、所定の音声メッセージ等を出力する。
第1機種用基板150の選択領域には、LANコネクタ42、LAN I/F回路47、音声回路48、液晶回路49、コードレス電話回路50が配置されている。
LANコネクタ42は、コネクタ用開口142に合致するように第1機種用基板150に実装されている。このLANコネクタ42は、第1の機種のみに設けられる選択コネクタである。LAN I/F用回路47は、複合機1のLANインターフェースとして機能するものである。LAN I/F用回路47は、LANコネクタ42に接続されたLANケーブルを介して、複合機1と図外のLAN(Local Area Network)とを通信可能に接続する。
音声回路48は、スピーカ158を介して音声メッセージを出力するものである。液晶回路49は、操作パネル103に配設されている液晶ディスプレイ36に複合機1の動作状態や設定情報などの情報を表示するものである。コードレス電話回路50には、アンテナ63(図1参照)が接続されている。コードレス電話回路50は、アンテナ63を介して子機12との間で無線通信を行うことにより電話通信機能を実現するものである。
図12は、第2機種用基板160を示す概略図である。図13は、基板設置領域30に設置された第2機種用基板160を示す概略図である。以下、第2機種用基板160について説明する。ただし、第1機種用基板150に実装される回路と同様の回路については同一符号を付与してその説明を一部省略する。
第2機種用基板160は、第2の機種に対応した回路が実装されるものであり、本発明に係る第2回路基板に相当する。第2機種用基板160は、より少ない面積で可能な限り多くの回路を実装するために、図12に示されるように平面視が略長方形となるように形成されている。この第2機種用基板160には、共通領域のみが配置されている。換言すれば、第2機種用基板160には、上記選択領域は配置されていない。そのため、第2機種用基板160は、第1機種用基板150と縦方向の長さが略同等で、且つ、幅方向の長さが第1機種用基板150よりも短くなるように作製されている。
第2機種用基板160には、USBコネクタ40,41、USB回路33,34、CPU151、電力供給回路152、通信回路153、パネル回路154、ADF回路155、FBS回路156、プリンタ回路157、カードスロット96,97、スピーカ(SP)158が配置されている。
USBコネクタ40,41は、機器本体10の前面側及び背面側の各コネクタ用開口140,141にそれぞれ合致するように第2機種用基板160に実装されている。USBコネクタ40,41は、具体的には、第2機種用基板160が基板設置領域30に設置された際に、USBコネクタ40がコネクタ用開口140に合致し、USBコネクタ41がコネクタ用開口141に合致するように実装されている。本実施形態においては、USBコネクタ40,41は、機器本体10の前面側及び背面側の各コネクタ用開口140,141にそれぞれ合致するように対角位置に実装されている。すなわち、USBコネクタ40,41は、第2機種用基板160上の離れた位置に実装されている。
第2機種用基板160のカードスロット96,97は、機器本体10の前面に対応した位置に実装されたものである。カードスロット96,97は、図12に示されるように、異なるタイプのカード型メモリが装填される。第2機種用基板160は、選択領域を有していないため、第1機種用基板150よりも幅方向の長さが短くなるように作製されたものである。そのため、第2機種用基板160のカードスロット96,97は、第1機種用基板150に実装されているものよりも若干USBコネクタ40寄りに実装されるようになっている。そのため、コネクタパネル11は、複合機1に第2機種用基板160が設置される場合には、第1機種用基板150が設置される場合とは異なる位置にスロット用開口18,19が形成されたものが使用される。
図14は、第3機種用基板170を示す概略図である。図15は、基板設置領域30に設置された第3機種用基板170を示す概略図であり、分割回路基板37が分割されていない状態を示す図である。図16は、基板設置領域30に設置された第3機種用基板170を示す概略図であり、分割回路基板37が分割された状態を示す図である。
以下、第3機種用基板170について説明するが、第1機種用基板150や第2機種用基板160に実装される回路と同様の回路については同一符号を付与してその説明を一部省略する。第3機種用基板170は、第3の機種に対応した回路が実装されるものであり、本発明に係る第2回路基板に相当する。第3機種用基板170は、第2機種用基板160と同様に本発明における第2回路基板に相当する回路基板であるが、第2機種用基板160には配置されていない選択領域が配置されている点で第2機種用基板160と相違する。
第3機種用基板170は、縦方向の長さ及び横方向の長さが第2機種用基板160と略同じになるように作製されたものであるが、まず、選択領域を有する点で第2機種用基板160とは異なる。図14に示されるように、第3機種用基板170の選択領域には、選択コネクタであるLANコネクタ42及びLAN I/F回路47が実装されている。このLANコネクタ42は、コネクタ用開口142に合致するように実装されたものである。すなわち、第3機種用基板170が基板設置領域30に設置された際に、LANコネクタ42がコネクタ用開口142に合致する。
第3機種用基板170は、第2機種用基板160よりも幅方向の長さが若干短いものであり、LANコネクタ42が追加されたものである。また、第3機種用基板170は、コネクタ用開口140及びコネクタ用開口142間の距離(機器本体10の幅方向の距離)よりも幅が狭くなるように作製されたものである。そのため、図14に示されるように、LANコネクタ42及びLAN I/F回路47を実装するスペースを確保すべく、USBコネクタ41の実装位置が変更されている。そのため、USBコネクタ41をコネクタ用開口141に合致させ、LANコネクタ42をコネクタ用開口142に合致させるように第3機種用基板170をそのまま基板設置領域30に設置すると、USBコネクタ40がコネクタ用開口140に合致しなくなる(図15参照)。
そこで、第3機種用基板170は、基板本体(回路基板本体)66から、機器本体10の前面側のUSBコネクタ40が実装された一部領域67が分割可能となるように作製されている。具体的には、一部領域67と基板本体66との境界のうちの接続保持部68のみを残して残りの部分を切除する。すなわち、一部領域67を僅かな力で基板本体66から分割できるように、一部領域と基板本体との間に切り欠き90,91を入れておく。
第3機種用基板170を設置する場合、基板本体66を支持した状態で一部領域67に力を加えて、接続保持部68を破断させる。これにより、一部領域67を分割して分割回路基板37とする。この分割回路基板37には、USBコネクタ40が実装されている。図16に示されるように、分割回路基板37を機器本体10の幅方向の外側へずらすようにして基板設置領域30に設置する。これにより、USBコネクタ40がコネクタ用開口140に合致される。
次に、基板設置領域30に第3機種用基板170が設置される複合機1の製造方法について詳細に説明する。なお、この複合機1の製造は、以下に説明する第1工程から第4工程の順で所定の作業がなされることによって行われる。また、製造される複合機1は、第3機種用基板170(回路基板)が設置される基板設置領域30を有している。また、機器本体10には、第3機種用基板170に実装される複数のコネクタ40〜42を露出させるコネクタ用開口140〜142が前面側及び背面側にそれぞれ形成されている。
図17は、基板材料92をワークサイズの基板93に分割する作業について説明するための図である。図18は、基板93から作製されたプリント配線板94を示す概略図である。
《第1工程》
基板設置領域30に設置された際に機器本体10の前面側となる一部領域67が分割可能となるように、平面視が略長方形の回路基板94(図18参照)を作製する。最初に、図17に示されるように、例えば長手寸法が48インチ、短手寸法40インチの基板材料92を、所謂ワークサイズと言われる一定の大きさに切断する。例えば、長手寸法(48インチ)を3分割、短手寸法(40インチ)を4分割する場合、ワークサイズは16インチ×10インチとなる。基板材料92をワークサイズに切断することにより、基板93が得られる。ここでの基板93の取り数は、12枚である。なお、ワークサイズは、製品の制約(例えば、基板設置領域30の広さ)や、実装する回路の種類等を考慮して適宜決定される。
続いて、基板93から第3機種用基板170を作製する。具体的には、USBコネクタ41及びLANコネクタ42が実装される部分がコネクタ用開口141,142に合致するように、領域59を基板93から切除する(図18参照)。機器本体10の前面側となる端縁には、捨て板56が設けられているので、捨て板56を基板93から切除する。そして、基板93に対して所定の導体パターンを形成する。この導体パターンを形成する方法としては、例えばアディティブ法やサブトラクティブ法が使用される。ここで、アディティブ法は、絶縁基板上に選択的にめっきなどによって導体パターンを形成する方法である。サブトラクティブ法は、金属張基板上の導体はくの不要部分をエッチングなどにより選択的に除去して、導体パターンを形成する方法である。
続いて、基板設置領域30に固定するためのボルトが挿通される穴57を形成する。さらに、USBコネクタ40が実装される一部領域67と基板本体66との間に切り欠き90,91を入れる。これにより、基板本体66と一部領域67とが接続保持部68のみによって接続された状態となる。接続保持部68には、ドリル等により所定間隔で穴をあけておくことにより、一部領域67が基板本体66から容易に分割可能となる。このような一連の作業を行うことにより、第3の機種に対応した回路が実装される前のプリント配線板である第3機種用基板170が作製される。なお、基板93から回路実装前の第3機種用基板170を作製する順序は、上記説明したものに限定されるものではない。例えば、一部領域67を基板本体66から分割可能に形成した後に穴57をあけるようにしてもよい。
《第2工程》
複数の機種に共通して設けられるUSBコネクタ40,41(一対の共通コネクタの一例)の一方を一部領域67に実装するとともに他方を第3機種用基板170における機器本体10の背面側の縁部77に実装する(図18参照)。具体的には、図18及び図14に示されるように、USBコネクタ40を一部領域67に実装し、USBコネクタ41を縁部77に実装する。この縁部77の位置は、第3機種用基板170が基板設置領域30に設置された際に、実装されているUSBコネクタ41がコネクタ用開口141と合致するように予め設定されている。これにより、前面側のUSBコネクタ40と背面側のUSBコネクタ41とが第3機種用基板170の略対角位置に実装される。
さらに、一部の機種(本実施形態においては、第1の機種及び第2の機種)のみに設けられるLANコネクタ42(選択コネクタの一例)を第3機種用基板170のコネクタ用開口142に合致する位置に実装する。換言すれば、第3機種用基板170が基板設置領域30に設置された際に、LANコネクタ42がコネクタ用開口142(図15参照)に合致するように、LANコネクタ42を実装する。詳述しないが、この第2工程では、コネクタ40〜42に加えて、第3の機種に対応した回路(図14参照)が第3機種用基板170に実装される。
《第3工程》
一部領域67を基板本体66から分割させて分割回路基板37とするとともに、基板本体66と分割回路基板37とをフラットケーブル51(ケーブルの一例)を介して通信可能に接続する。上記第2工程において、分割回路基板37には、USBコネクタ40と接続されたコネクタ53が実装され、基板本体66にはコネクタ54が実装されている(図16参照)。基板本体66を固定した状態で、一部領域67に力を加えて接続保持部68を破断させる。これにより、分割回路基板37が得られる。分割回路基板37のUSBコネクタ40は、基板本体66と電気的に接続されていない。また、USB回路33は、基板本体66に設けられている。分割回路基板37のコネクタ53と、基板本体66のコネクタ54とがフラットケーブル51によって接続されることにより、USBコネクタ40が基板本体66と電気的に接続される。換言すれば、分割回路基板37と基板本体66とが通信可能に接続される。
《第4工程》
基板本体66に実装されたUSBコネクタ41及びLANコネクタ42が各コネクタ用開口141,142に合致するように、基板本体66を基板設置領域30に設置する。すなわち、図16に示されるように、USBコネクタ41がコネクタ用開口141に合致すると共に、LANコネクタ42がコネクタ用開口142に合致するように基板本体66を基板設置領域30に設置する。
さらに、分割回路基板37をそのUSBコネクタ40が機器本体10の前面側のコネクタ用開口140に合致するように基板設置領域30に設置する(図16参照)。このように、USBコネクタ40が実装された一部領域67を基板本体66から分割して分割回路基板37として設置することにより、USBコネクタ40をコネクタ用開口140に合致させることができる。
したがって、複数の機種のうちの一部の機種に設けられるLANコネクタ42が追加された複合機1を製造する場合に、USBコネクタ40,41のレイアウトを変更することなく第3機種の複合機1を製造することができる。また、USBコネクタ40の設置が変更可能であるため、第3機種用基板170のサイズ(ここでは、幅方向の長さ)を大きくすることなくUSBコネクタ40をコネクタ用開口140に合致させることができる。これにより、ワークサイズ(基板93の大きさ)を極力小さくして基板材料92から得られる第3機種用基板170の取り数を多くすることができる。結果として、第3機種の複合機1を製造する際のコストを低減させることが可能である。
基板設置領域30には、第1の機種と第2の機種にそれぞれ対応する第1機種用基板150又は第2機種用基板160が選択的に設置可能である。第1機種用基板150には、USBコネクタ40、USBコネクタ41,及びLANコネクタ42の3つのコネクタが実装されている。基板設置領域30に第1機種用基板150が設置される場合、第1機種用基板150に実装されたコネクタ40〜42は、それぞれコネクタ用開口140〜142を介して前面側及び背面側に露出される。
第2機種用基板160には、USBコネクタ40及びUSBコネクタ41の2つのコネクタが実装されている。基板設置領域30に第2機種用基板160が設置される場合、第2機種用基板160に実装されたコネクタ40,41は、それぞれコネクタ用開口140,141を介して前面側及び背面側に露出される。
このように、第1機種用基板150と第2機種用基板160とのいずれの回路基板が基板設置領域30に設置されたとしても、USBコネクタ40,41は、コネクタ用開口140,141に合致する。したがって、複合機1は、選択コネクタ(ここでは、LANコネクタ42)の有無に関わらず、第1機種と第2機種で共通する共通コネクタ(ここでは、USBコネクタ40,41)のレイアウトを変更することなく、2機種の回路基板を設置可能である。
また、第1機種用基板150と第2機種用基板160とは、カードスロット96,97を除いて、共通領域に設置される回路及びコネクタが、基板設置領域において略同じ位置に配置されるように実装されている。そのため、複合機1を第1の機種として製造すべく第1機種用基板150を設置する場合と、複合機1を第2の機種として製造すべく第2機種用基板160を設置する場合とで、コネクタパネル11を除く大部分の部品を共通化することができる。また、第2機種用基板160の形状を長方形とし、且つ、サイズを小さくすることができ、基板どりが効率化される。
なお、上記作用効果では、本発明における第1回路基板、第2回路基板として、第1機種用基板150又は第2機種用基板160が選択的に設置される場合について説明したが、本発明における第2回路基板が第2機種用基板160ではなく第3機種用基板170である場合にも上記と同様のことがいえる。第3機種用基板170には、USBコネクタ40、USBコネクタ41,及びLANコネクタ42の3つのコネクタが実装されている。第3機種用基板170が設置される場合、USBコネクタ41及びLANコネクタ42が各コネクタ用開口141,142に合致するように、基板本体66が基板設置領域30に設置される。この状態で、USBコネクタ41及びLANコネクタ42は、それぞれコネクタ用開口141,142を介して機器本体10の背面側に露出される。さらに、分割回路基板37が、実装されているUSBコネクタ40がコネクタ用開口140に合致するように基板設置領域30に設置される。この状態で、USBコネクタ40は、コネクタ用開口140を介して機器本体10の前面側に露出される。すなわち、第1機種用基板150と同様に、3つのコネクタ40〜42が機器本体10の前面側及び背面側のコネクタ用開口140〜142を介して露出される。
なお、第1機種用基板150、第2機種用基板160、及び、第3機種用基板170の設置態様は、上記実施形態で説明したものに限定されるものではない。すなわち、本実施形態においては、上記3機種の基板のうちのいずれかの基板が、機器本体10の幅方向を長手方向として基板設置領域30に水平に設置される場合について説明したが、回路実装面が垂直となるように設置される形態でもよい。
図19は、縦置きされた第1機種用基板181(第1回路基板の一例)を示す概略斜視図である。図20は、基板設置領域130に縦置きされた第1機種用基板181を示す概略斜視図である。図21は、基板設置領域130に縦置きされた第2機種用基板182(第2回路基板の一例)を示す概略斜視図である。図22は、基板設置領域130に縦置きされた第3機種用基板183(第2回路基板の一例)を示す概略斜視図である。
図19〜図22に示されるように、例えば分離板111(図7参照)の上段平坦部112及び下段平坦部113の側方に、これらの平坦部に対して垂直となるように基板設置領域130を設けてもよい。この基板設置領域130に、第1機種用基板181、第2機種用基板182、及び、第3機種用基板183のうちのいずれかの回路基板が選択的に設置される。ここで、第1機種用基板181は、実装される回路の位置関係や基板の寸法を除き、上記第1機種用基板150と同様に構成されたものである。第2機種用基板182は、実装される回路の位置関係や基板の寸法を除き、上記第2機種用基板160と同様に構成されたものである。第3機種用基板183は、実装される回路の位置関係や基板の寸法を除き、上記第3機種用基板170と同様に構成されたものである。
図19に示されるように、機器本体10の前面側の右端部には、上から順にコネクタ用開口162、スロット用開口166、スロット用開口167が形成されている。また、機器本体10の背面側の右端部には、上から順にコネクタ用開口163、コネクタ用開口164が形成されている。コネクタ用開口162は、USBコネクタ40を露出させるための開口である。スロット用開口166は、カードスロット96を露出させるための開口である。スロット用開口167は、カードスロット97を露出させるための開口である。コネクタ用開口163は、USBメモリ41を露出させるための開口である。コネクタ用開口164は、LANコネクタ42を露出させるための開口である。これらの開口のうち、スロット用開口166,167の位置は、基板181〜183のうちのいずれの回路基板が基板設置領域130に設置されるかによって適宜変更される。
図19及び図20に示されるように、第1機種用基板181が基板設置領域130に設置されることにより、USBコネクタ40、カードスロット96、カードスロット97が機器本体10の前面側に露出される。その状態で、USBコネクタ41、LANコネクタ42が、機器本体10の背面側に露出される。
図19及び図21に示されるように、第2機種用基板182が基板設置領域130に設置されることにより、USBコネクタ40、カードスロット96、カードスロット97が機器本体10の前面側に露出される。その状態で、USBコネクタ41が、機器本体10の背面側に露出される。
図19及び図22に示されるように、第3機種用基板183の基板本体176(回路基板本体)が基板設置領域130に設置されることにより、カードスロット96,97が機器本体10の前面側に露出される。その状態で、USBコネクタ41、LANコネクタ42が、機器本体10の背面側に露出される。第3機種用基板183の分割回路基板177は、基板本体176に対して若干上方へずらされて基板設置領域130に設置される。これにより、USBコネクタ40が機器本体10の前面側に形成されたコネクタ用開口140から露出される。なお、基板本体176と分割回路基板177とは、フラットケーブル51により通信可能に接続される。
なお、本発明は、上記実施形態や変形例の形態に限定されるものではなく、以下の形態であってもよい。すなわち、本実施形態においては、機器本体10の前面側及び背面側の各コネクタ用開口に合致するように、共通コネクタが対角位置に実装される場合について説明したが、共通コネクタの位置関係は対角位置に限定されるものではない。ただし、共通コネクタが本実施形態のように同一通信規格のUSBコネクタ40,41である場合、互いに干渉することを防止するために対角位置に実装されることが好ましい。
また、本実施形態においては、共通コネクタがUSBコネクタ40,41であり、選択コネクタがLANコネクタ42である形態について説明したが、共通コネクタと選択コネクタはこれらに限定されるものではない。例えば、共通コネクタがLANコネクタであり、選択コネクタがUSBコネクタであってもよい。また、共通コネクタや選択コネクタは、例えばIEEE1394規格のケーブルが接続されるコネクタであってもよい。
また、共通機能及び選択機能は任意に設定されるものであり、本実施形態において説明されたものに限定されるものではない。例えば、本実施形態においては共通機能に設定されているスキャナ機能を選択機能に設定してもよい。また、本実施形態においては、各基板にカードスロット96,97が実装される形態について説明したが、カードスロット96,97を実装しない形態であってもよい。