JP4827501B2 - アルカリ電池 - Google Patents

アルカリ電池 Download PDF

Info

Publication number
JP4827501B2
JP4827501B2 JP2005333781A JP2005333781A JP4827501B2 JP 4827501 B2 JP4827501 B2 JP 4827501B2 JP 2005333781 A JP2005333781 A JP 2005333781A JP 2005333781 A JP2005333781 A JP 2005333781A JP 4827501 B2 JP4827501 B2 JP 4827501B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
manganese dioxide
electrolytic manganese
electrolytic
alkaline battery
plane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005333781A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007141643A (ja
Inventor
真一 岩本
敬久 弘瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Maxell Energy Ltd
Original Assignee
Hitachi Maxell Energy Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Maxell Energy Ltd filed Critical Hitachi Maxell Energy Ltd
Priority to JP2005333781A priority Critical patent/JP4827501B2/ja
Publication of JP2007141643A publication Critical patent/JP2007141643A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4827501B2 publication Critical patent/JP4827501B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • Y02E60/12

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、優れた放電特性を有するアルカリ電池に関するものである。
アルカリ電池は各種電子機器の電源として用いられ、その用途に応じて種々の特性が要求されている。特に、近年、デジタルカメラなど、消費電力の大きな機器の普及が著しく、こうした用途でのアルカリ電池の適用が増大している一方で、リモコンやAV機器などの消費電力の小さな機器においても使用されるため、一つのアルカリ電池で、異なる負荷での放電に対応できるような電池設計が検討されている。
例えば、消費電力の大きな機器に対応するために、アルカリ電池の重負荷放電特性を高めるべく、正極活物質について様々な検討がなされている。特許文献1には、正極活物質として用いられる電解二酸化マンガンにTiを含有させることでその比表面積の大きくし、これにより電解二酸化マンガンの反応面積を大きくして、電池の重負荷放電特性の向上を図る技術が提案されている。
特開2003−163003号公報
ところが、一般に二酸化マンガンの比表面積を大きくするなどの手段により、その反応面積を大きくして、アルカリ電池における重負荷での放電特性を向上させた場合、軽負荷における放電特性が低下するという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、重負荷放電特性および軽負荷放電特性の優れたアルカリ電池を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明のアルカリ電池は、正極活物質として少なくとも電解二酸化マンガンを用いたものであって、上記電解二酸化マンガンについて、X線回折法で測定される(110)面のピーク強度I(110)と(021)面のピーク強度I(021)の比率が、0.50<I(110)/I(021)<0.70であり、かつ(221)面のピーク強度I(221)と (021)面のピーク強度I(021)の比率が、I(221)/I(021)<0.70であることを特徴とするものである。
本発明によれば、重負荷放電特性に優れると共に、軽負荷放電特性も良好なアルカリ電池を提供することができる。
通常の電解二酸化マンガンは、主に2種類の異なる結晶構造の相から構成されている。本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、電解二酸化マンガンをX線回折法により分析したときに、上記2種類の相に由来の強度ピーク強度と電解二酸化マンガン中のマンガン相由来のピーク強度とが特定の関係を満足するように、結晶構造を制御した電解二酸化マンガンであれば、重負荷放電、軽負荷放電のいずれにおいてもその放電容量が大きく、優れた放電特性を有するアルカリ電池を構成できることを見出し、本発明を完成させた。
なお、本発明でいう「重負荷放電特性」とは、例えば、フラッシュ付きカメラ用の電源として用いられた場合を想定した放電特性であり、単4形の電池サイズにおいて、500mA以上の大電流での放電特性をいう。また、本発明でいう「軽負荷放電特性」とは、例えば、リモコン用の電源として用いられた場合を想定した放電特性であり、単4形の電池サイズにおいて、50mA程度以下の低電流での放電特性をいう。
すなわち、本発明のアルカリ電池に係る電解二酸化マンガンは、X線回折法で測定される(110)面のピーク強度I(110)と(021)面のピーク強度I(021)の比率が、0.50<I(110)/I(021)<0.70であり、かつ(221)面のピーク強度I(221)と (021)面のピーク強度I(021)の比率が、I(221)/I(021)<0.70である。
本発明に係る電解二酸化マンガンをX線回折法により測定した際に得られるX線回折強度曲線の一例を図1に示す。図1中、「実施例1」と記載している曲線は、後記の実施例1、すなわち、本発明に係る電解二酸化マンガンの強度曲線であり、「比較例1」と記載している曲線は、後記の比較例1に係る電解二酸化マンガンの強度曲線である。
図1に示すように、電解二酸化マンガンのX線回折強度曲線では、(110)面、(021)面および(221)面のピークが観測される。このうち、(110)面および(221)面のピークは、それぞれ異なる結晶構造の相に由来するピークである。また、(021)面のピークは、電解二酸化マンガンのマンガン相に由来するピークであり、電解二酸化マンガンの結晶性が高くなるほど、(021)面のピーク強度が大きくなる。
そして、(110)面のピーク強度I(110)と(021)面のピーク強度I(021)の比率、および(221)面のピーク強度I(221)と (021)面のピーク強度I(021)の比率が、上記のような関係となるように結晶構造を制御した電解二酸化マンガンを用いることで、重負荷、軽負荷のいずれにおいても放電特性の良好なアルカリ電池を構成できる。
すなわち、I(110)/I(021)、またはI(221)/I(021)が大きすぎると、電解二酸化マンガンの結晶性が低くなりすぎて、特に重負荷での放電特性が低下する。また、I(110)/I(021)が小さすぎると、不活性な結晶相が現れ、電池の初期電圧が低下し、重負荷および軽負荷の放電特性が低下する。
(110)/I(021)は、0.51以上で、0.64以下であることがより好ましく、I(221)/I(021)は、0.66以下であることがより好ましい。また、I(221)/I(021)の下限は、通常0.55である。
また、上記の電解二酸化マンガンでは、(110)面の面間隔dが、4.18Åを超え4.28Å未満であることが好ましい。上記dは、電解二酸化マンガンの結晶構造水の量の指標となるものであり、このdが4.18Åを超えるようにすることで、電池の重負荷放電特性を更に向上させ得る程度にまで、電解二酸化マンガン中の結晶構造水を増加させることができる。しかし、上記dが大きすぎると、電解二酸化マンガン中のMnOの純度が低下してしまうため、dは4.28Å未満であることが好ましい。なお、上記dは、4.20Å以上であることがより好ましく、また、4.26Å以下であることがより好ましい。
なお、本発明でいう上記dは、理学電機株式会社製「RINT2500V/PC」により、線源にCuKα線を用いて、2θとして10度から70度の測定を行い、2次微分法によりピークを検出して算出した値である。
(110)/I(021)およびI(221)/I(021)、更には上記dが、上記特定値にある電解二酸化マンガンは、例えば、塩化マンガンを含有する水溶液(例えば、塩化マンガン水溶液と塩酸溶液とで調製される溶液)を電解液として、温度:90〜98℃、および電流密度:7〜12mA/cmの条件で電解することによって得ることができる。
電解時の温度が90℃より低いと、電解二酸化マンガンのI(110)/I(021)およびI(221)/I(021)が大きくなりすぎて、これを用いた電池の軽負荷での放電特性が低下してしまう。他方、電解時の温度を98℃より高くすると、電解処理条件の調整が困難となる。
また、電解時の電流密度を12mA/cmより大きくすると、得られる電解二酸化マンガンの結晶性が低くなるため、これを用いた電池の軽負荷および中負荷での放電特性が低下する。他方、電解時の電流密度を7mA/cmより小さくすると、電解二酸化マンガンを製造するために時間がかかるため、生産性の点で好ましくない。
上記の製法により電解二酸化マンガンを得る際の、電解時の温度および電流密度以外の条件については、従来公知の塩化マンガンを含有する水溶液からなる電解液を電解する方法において用いられている条件を採用すればよい。
ちなみに、電解二酸化マンガンは、一般的には、硫酸マンガンを含有する溶液(例えば、硫酸マンガンの硫酸溶液)からなる電解液を電解する方法により製造されており、このような製法により通常得られる電解二酸化マンガンでは、大凡、I(110)/I(021)が0.65〜1程度、I(221)/I(021)が1を少し超える程度で、dが4〜4.1程度である。
本発明に係る電解二酸化マンガンは、上記の特定条件で塩化マンガンを含有する水溶液からなる電解液を電解する上記の製法によって得られたものであることが好ましいが、この製法によって得られた物に限定される訳ではなく、I(110)/I(021)およびI(221)/I(021)が上記特定値を満たしており、好ましくは上記dが上記特定値を満たしているものであれば、かかる製法以外の製法により得られたものであっても構わない。
本発明に係る電解二酸化マンガンの製法として、上記の特定条件で塩化マンガンを含有する水溶液からなる電解液を電解する製法が好ましい理由は必ずしも明確ではないが、以下のように推測できる。電解液として、塩化マンガンの溶液を用いた場合と硫酸マンガンの溶液を用いた場合とでは、二酸化マンガンの生成機構が異なっており、塩化マンガンの溶液を用いた方が、(110)面の面間隔(上記d)を大きくすることができる。このことが、電解二酸化マンガンの結晶構造を、上記特定のものに制御するのに関係しているものと推測できる。
なお、電解二酸化マンガンの(110)面の面間隔を大きくするための手法としては、上記製法に加えて、電解二酸化マンガンの生成の際に、ビスマス、チタンなどの添加金属を含有させる方法などもある。このような添加金属を含有させることで、二酸化マンガンの結晶構造が大きくなるため、生成する電解二酸化マンガンの結晶構造の制御が可能となるが、かかる添加元素は、電池の放電には寄与しないため、容量低下を生じない範囲で添加することが好ましい。例えば、最終的に得られる電解二酸化マンガンにおいて、ビスマスやチタンが0.1〜1.0質量%程度になるように、添加量を調整することが推奨される。
本発明のアルカリ電池は、上記特定の結晶構造を有する電解二酸化マンガンを正極活物質として使用していればよく、その他の構成については特に制限はなく、電解二酸化マンガンを正極活物質とする従来公知のアルカリ電池で用いられている各種構成が採用可能である。
例えば、本発明に係る正極は、上記特定の結晶構造を有する電解二酸化マンガンを正極活物質とし、これに目的に応じて公知の導電剤やバインダ、アルカリ電解液などを混合して得られる正極合剤を用い、この正極合剤を成形するなどして構成することができる。
正極に係る導電剤としては、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、繊維状炭素などの炭素材料を主として用いることができるが、中でも黒鉛が好ましく用いられる。導電剤の添加量は、正極活物質100質量部に対して、3質量部以上とすることが好ましい。このような量で導電剤を使用することにより、正極合剤中に十分な水分を含有させると共に正極の導電性を向上させることができるため、活物質の反応性が高まり、電池の放電特性の向上が期待できる。一方、正極における活物質充填量の低下は好ましくないため、導電剤の添加量は、正極活物質100質量部に対して、10.0質量部以下にすることが好ましい。
また、正極に係るバインダとしては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンなどを用いることができる。
正極に用いる電解液としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)の水溶液が好ましく、水酸化カリウムの水溶液がより好ましい。電解液の濃度としては、水酸化カリウム水溶液の場合、水酸化カリウム濃度を、例えば、45質量%以上、より好ましくは50質量%以上で、60質量%以下とすることが望ましい。
また、負極は、亜鉛や亜鉛合金の粉末、アルカリ電解液、およびゲル化剤などを含有するゲル状の負極合剤で構成することが好ましい。
負極に係る亜鉛や亜鉛合金の粉末は、その亜鉛や亜鉛合金が負極活物質として作用する。インジウム、ビスマス、アルミニウムなどの合金元素を含有する亜鉛合金の粉末が特に好ましい。亜鉛合金粉末中のこれら合金元素の含有量としては、例えば、インジウム、ビスマス、アルミニウムが、それぞれ0.02 〜0.07質量%、0.007〜0.025質量%、0.001〜0.010質量%であることが好ましい。
負極に用いる電解液としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)の水溶液が好ましく、水酸化カリウムの水溶液がより好ましい。電解液の濃度としては、水酸化カリウム水溶液の場合、水酸化カリウム濃度を、例えば、28質量%以上、より好ましくは30質量%以上であって、38質量%以下、より好ましくは35質量%以下とすることが望ましい。
負極に用いるゲル化剤としては、例えば、ポリアクリル酸類(ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸アンモニウムなど)、セルロース類(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースや、それらのアルカリ塩など)が挙げられる。
上記以外の構成要素として、負極合剤に酸化インジウムなどのインジウム化合物、酸化ビスマスなどのビスマス化合物を少量含有させることもできる。これらの化合物を含有させた場合、亜鉛合金粉末とアルカリ電解液との反応に伴うガス発生を、より効果的に防ぐことができる。ただし、これらの化合物は電池の放電特性を低下させる虞があるので、このような問題の生じない範囲で、必要に応じた含有量を決定することが好ましい。例えば、インジウム化合物、ビスマス化合物共に、亜鉛粉末や亜鉛合金粉末100質量部に対して、0.003〜0.05質量部程度とすることが推奨される。
本発明のアルカリ電池は、例えば、上記の正極および負極を、セパレータと共に外装体内部に封入することにより作製される(詳しくは後述する)。上記の通り、正極を構成する正極合剤、および負極を構成する負極合剤には、それぞれアルカリ電解液が含まれているが、これらのアルカリ電解液のみではその液量が不足することがあるため、更に電解液を電池内に注入して、セパレータや正極に吸収させることが望ましい。
セパレータや正極に吸収させるために電池内に注入する電解液としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)の水溶液が好ましく、水酸化カリウムの水溶液がより好ましい。水酸化カリウム水溶液の場合、水酸化カリウム濃度を、例えば、28質量%以上、より好ましくは30質量%以上であって、33.5質量%以下とすることが望ましい。
また、高温貯蔵時の電池の特性劣化防止の効果を高めるために、正極合剤形成に用いるアルカリ電解液、負極合剤中形成に用いるアルカリ電解液および別途注入されるアルカリ電解液のうちの少なくとも1つに、亜鉛化合物を含有させておくことが好ましい。亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、ケイ酸亜鉛、チタン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などの可溶性化合物を用いることができ、特に、酸化亜鉛が好適に用いられる。上記のいずれの電解液においても、これらの亜鉛化合物の濃度は、例えば、1.0〜4.0質量%とすることが好ましい。
本発明のアルカリ電池では、その形状などは特に限定されない。一例として、円筒形の金属製外装缶を用いる場合を図2に示す。正極合剤をボビン状に成形してなる正極2を外装缶1内部に配置し、その内側にコップ状のセパレータ3を配置し、さらにアルカリ電解液をセパレータ3の内側に注入してから負極合剤4を充填し、これら構成要素を外装缶1内部に封入することにより電池が組み立てられる。なお、円筒形のアルカリ電池においては、図2の封口部分10で示しているように、外装缶1の開口端部1aを内方に折り曲げて封口を行った際に、負極端子板7の変形を防ぎ、かつ封口体6を内側から支える支持手段として金属ワッシャ9(円板状の金属板)を用いることができる。
本発明のアルカリ電池に係るセパレータについては特に制限は無く、例えば、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。また、親水処理された微孔性ポリオレフィンフィルム(微孔性ポリエチレンフィルムや微孔性ポリプロピレンフィルムなど)とセロファンフィルムとビニロン・レーヨン混抄紙のような吸液層とを積み重ねたものをセパレータとしてもよい。
本発明のアルカリ電池は、上記の通り、重負荷、軽負荷のいずれの放電においても、その容量が大きく、優れた放電特性を有しており、従来からアルカリ電池が適用されている軽負荷放電が要求されるリモコン、AV機器などの消費電力の小さな機器の電源としてのみならず、重負荷放電が要求されるデジタルカメラなどの消費電力の大きな機器の電源としても好ましく使用できる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
<電解二酸化マンガンの製造>
電解二酸化マンガンの製造に際しては、内容量1リットルの電解槽に、陽極であるチタン板と、陰極である黒鉛板とを、それぞれが向かい合うように懸垂させたものを使用した。
電解液には、1規定の塩化マンガン溶液と0.5規定の塩酸溶液を混合した溶液を用いた。電解処理は、電解槽の温度を93±2℃に保ちながら、電流密度10.0mA/cmで15時間行った。
電解処理後、電解二酸化マンガンが電着した陽極チタン板を取り出し純水で洗浄した後、陽極チタン板上に析出固着した電解二酸化マンガンを剥離し、得られた塊状物を細かく粉砕し、その後乳鉢により更に粉砕を行った。その後、目開きが200メッシュの篩いで分級し、電解二酸化マンガンを得た。
このようにして得られた電解二酸化マンガンについて、装置に、理学電機株式会社製「RINT2500V/PC」を用いてX線回折分析を行い、その結晶構造を特定した。この分析により得られたX線回折強度曲線を図1に示す。また、分析結果を表1に示す。
<アルカリ電池の作製>
以上のように製造した電解二酸化マンガンと、黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン粉末および正極合剤形成用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を3.0質量%含有する50質量%濃度の水酸化カリウム水溶液)を、質量比で、87.3:8.7:0.2:3.8の割合で混合して正極合剤を調製した。なお、この合剤中、電解二酸化マンガン100質量部に対して、黒鉛は10.0質量部であった。
次に、インジウム、ビスマスおよびアルミニウムを、それぞれ0.025質量%、0.008質量%および0.008質量%の割合で含有する亜鉛合金の粉末、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸および負極合剤形成用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を3.0質量%含有する42質量%濃度の水酸化カリウム水溶液)を、質量比で、39:0.2:0.2:18の割合で混合して、ゲル状の負極合剤を調製した。なお、上記亜鉛合金粉末は、35メッシュの篩い目を全て通過し、かつ200メッシュの篩い目を通過しない亜鉛合金粉末であって、そのかさ密度は2.85g/cmであった。
さらに、外装体として表面に無光沢Niメッキを施したキルド鋼板製の単4形アルカリ乾電池用外装缶を用い、以下のようにして、図2に示す構造のアルカリ電池を作製した。
上記正極合剤約4.2gを上記外装缶1に挿入してボビン状(中空円筒状)に加圧成形し、内径6.5mm、外径9.5mm、高さ9.1mmの4個の正極合剤成形体が積み重なった状態とした。次に、外装缶1の開口端から高さ方向において3.0mmの位置にグルーブを施し、外装缶1と封口体6との密着性を向上させるために、このグルーブ位置まで外装缶1の内側にピッチを塗布した。
次に、厚みが100μmで目付が30g/mのアセタール化ビニロンとテンセルからなる不織布を三重に重ねて筒状に巻き、底部になる部分を折り曲げてこの部分を熱融着し、一端が閉じられたコップ状のセパレータ3とした。このセパレータ3を、外装缶1内に挿入した正極2(上記正極合剤成形体)の内側に装填し、注入用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を2.2質量%含有する34質量%濃度の水酸化カリウム水溶液)0.70gをセパレータ3の内側に注入し、さらに、上記負極合剤2.60gをセパレータ3の内側に充填して負極4とした。
上記発電要素の装填の後、表面がスズメッキされた真鍮製で、ナイロン66製の封口体6と組み合わされた負極集電棒5を、負極4の中央部に差し込み、図2に示す単4形アルカリ電池を作製した。ここで、上記負極集電棒5は、打ち抜き・プレス加工により形成された厚さ0.4mmのニッケルメッキ鋼板製の負極端子板7に、予め溶接により取り付けられたものを用いた。
実施例2
電解二酸化マンガンの製造にあたり、塩化マンガン溶液に塩化ビスマスを5mmol/l加えた以外は、実施例1と同様の方法で電解二酸化マンガンを製造し、この電解二酸化マンガンを用いた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。実施例2で製造した電解二酸化マンガンのX線回折分析の結果を表1に示す。
実施例3
電解二酸化マンガンの製造にあたり、塩化マンガン溶液に塩化チタンTiClを6mmol/l加えた以外は、実施例1と同様の方法で電解二酸化マンガンを製造し、この電解二酸化マンガンを用いた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。実施例3で製造した電解二酸化マンガンのX線回折分析の結果を表1に示す。
比較例1
電解二酸化マンガンの製造にあたり、電解液に、1規定の硫酸マンガン溶液と0.5規定の硫酸溶液を混合したものを使用した以外は、実施例1と同様の方法で電解二酸化マンガンを製造し、この電解二酸化マンガンを用いた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。比較例1で製造した電解二酸化マンガンのX線回折分析の結果を表1に示す。また、比較例1の電解二酸化マンガンのX線回折強度曲線を図1に示す。なお、この比較例1のアルカリ電池は、上記特許文献1に開示のものよりも、更に重負荷放電特性を高めたアルカリ電池(軽負荷放電特性が低下したアルカリ電池)である。
比較例2
電解二酸化マンガンの製造にあたり、電解処理の条件のうち、電海槽の温度を60±2℃に、電流密度を5.0mA/cmに変更した他は、比較例1と同様の方法で電解二酸化マンガンを製造し、この電解二酸化マンガンを用いた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
比較例3
電解二酸化マンガンの製造にあたり、電解処理の条件のうち、電流密度を1.0mA/cmに変更した他は、比較例1と同様の方法で電解二酸化マンガンを製造し、この電解二酸化マンガンを用いた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
実施例1〜3および比較例1〜3の各アルカリ電池について、以下のようにして放電容量の測定を行った。
放電容量の測定は、20±2℃の環境下で実施した。軽負荷放電では、30mAの放電負荷で終止電圧を0.1Vとして、それまでに要する放電時間より放電容量を算出した。同様に重負荷放電では、500mAの放電負荷で終止電圧を0.9Vとして、それまでに要する放電時間より放電容量を算出した。結果を表1に示すが、表1では、上記の重負荷放電および軽負荷放電の結果を、比較例1の電池での結果を100とした場合の相対値で示している。
Figure 0004827501
表1に示すようにI(110)/I(021)およびI(221)/I(021)が適切な値であり、更に(110)面の面間隔dの値も好適な電解二酸化マンガンを用いた実施例1〜3のアルカリ電池は、これらの各値が不適な比較例1のアルカリ電池に比べて、重負荷放電時の容量が同等であり、かつその軽負荷放電時の容量が大きい。従って、実施例1〜3のアルカリ電池は、重負荷放電特性、軽負荷放電特性のいずれもが優れていることが確認できる。なお、I(221)/I(021)が大きすぎる比較例2のアルカリ電池では、重負荷、軽負荷のいずれにおいても、放電特性が劣っており、また、I(110)/I(021)およびI(221)/I(021)が大きすぎる比較例3のアルカリ電池では、重負荷放電特性が劣っている。
実施例1および比較例1で用いた電解二酸化マンガンのX線回折強度曲線である。 本発明のアルカリ電池の一例を模式的に示す縦断面図である。
符号の説明
2 正極
3 セパレータ
4 負極

Claims (3)

  1. 正極活物質として少なくとも電解二酸化マンガンを用いたアルカリ電池であって、
    上記電解二酸化マンガンは、X線回折法で測定される(110)面のピーク強度I(110)と(021)面のピーク強度I(021)の比率が、0.50<I(110)/I(021)<0.70であり、かつ(221)面のピーク強度I(221)と (021)面のピーク強度I(021)の比率が、I(221)/I(021)<0.70であることを特徴とするアルカリ電池。
  2. 上記電解二酸化マンガンは、(110)面の面間隔dが、4.18Å<d<4.28Åである請求項1に記載のアルカリ電池。
  3. 上記電解二酸化マンガンは、塩化マンガンを含有する水溶液を電解液として、温度:85〜98℃、および電流密度:7〜12mA/cmの条件で電解することにより得られたものである請求項1または2に記載のアルカリ電池。
JP2005333781A 2005-11-18 2005-11-18 アルカリ電池 Expired - Fee Related JP4827501B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005333781A JP4827501B2 (ja) 2005-11-18 2005-11-18 アルカリ電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005333781A JP4827501B2 (ja) 2005-11-18 2005-11-18 アルカリ電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007141643A JP2007141643A (ja) 2007-06-07
JP4827501B2 true JP4827501B2 (ja) 2011-11-30

Family

ID=38204268

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005333781A Expired - Fee Related JP4827501B2 (ja) 2005-11-18 2005-11-18 アルカリ電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4827501B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020110951A1 (ja) 2018-11-29 2020-06-04 東ソー株式会社 電解二酸化マンガン及びその製造方法並びにその用途

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5136004B2 (ja) * 2007-11-08 2013-02-06 東ソー株式会社 電解二酸化マンガン及びその製造方法並びにその用途
US8734992B2 (en) 2007-02-14 2014-05-27 Tosoh Corporation Electrolytic manganese dioxide, and method for its production and its application
JP5909845B2 (ja) * 2009-08-24 2016-04-27 東ソー株式会社 電解二酸化マンガン及びその製造方法並びにその用途
EP2471976B1 (en) 2009-08-24 2019-10-02 Tosoh Corporation Electrolytic manganese dioxide, method for producing same, and use of same
CN103718359B (zh) * 2011-10-21 2016-08-17 松下知识产权经营株式会社 碱性电池
JP6115174B2 (ja) 2012-02-21 2017-04-19 東ソー株式会社 電解二酸化マンガン及びその製造方法並びにその用途
WO2013157181A1 (ja) 2012-04-16 2013-10-24 パナソニック株式会社 アルカリ電池
CN108884577B (zh) 2016-03-29 2022-02-11 东曹株式会社 电解二氧化锰和其制造方法以及其用途

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6244586A (ja) * 1985-08-20 1987-02-26 Toshiba Battery Co Ltd 電池用電解二酸化マンガンの製造方法
FR2677636B1 (fr) * 1991-06-17 1995-09-01 Technology Finance Corp Materiau a base de dioxyde de manganese et cellule electrochimique le contenant.
JPH06150914A (ja) * 1992-11-12 1994-05-31 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd リチウム電池用二酸化マンガンおよびその製造方法
JPH06295724A (ja) * 1993-04-02 1994-10-21 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd リチウム二次電池用マンガン酸リチウムの製造方法
JPH07130361A (ja) * 1993-11-04 1995-05-19 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解液電池
JPH08213009A (ja) * 1995-02-09 1996-08-20 Toshiba Battery Co Ltd マンガン乾電池
JP3934777B2 (ja) * 1998-03-02 2007-06-20 三井金属鉱業株式会社 オキシ水酸化ニッケル製造用水酸化ニッケル
JP4234334B2 (ja) * 2001-09-05 2009-03-04 日本電工株式会社 二次電池用リチウムマンガン複合酸化物およびその製造方法、ならびに非水電解液二次電池
JP3712259B2 (ja) * 2002-05-15 2005-11-02 三井金属鉱業株式会社 アルカリマンガン電池用正極活物質及び電池
JP4056322B2 (ja) * 2002-08-09 2008-03-05 松下電器産業株式会社 アルカリ乾電池
JP3767859B2 (ja) * 2002-10-11 2006-04-19 三井金属鉱業株式会社 電池用正極活物質及び電池
JP2004273169A (ja) * 2003-03-05 2004-09-30 Mitsui Mining & Smelting Co Ltd 電解二酸化マンガン

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020110951A1 (ja) 2018-11-29 2020-06-04 東ソー株式会社 電解二酸化マンガン及びその製造方法並びにその用途

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007141643A (ja) 2007-06-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4827501B2 (ja) アルカリ電池
JP5235060B2 (ja) アルカリ電池用正極およびアルカリ電池
JP5240897B2 (ja) アルカリ電池
JP4425100B2 (ja) アルカリ電池
US20210399282A1 (en) Porous zn metal electrode for zn batteries
JP5587438B2 (ja) アルカリ電池
US20210343995A1 (en) Electrochemical plating of additives on metallic electrodes for energy dense batteries
JP2008153097A (ja) アルカリ蓄電池
JP6094902B2 (ja) アルカリ蓄電池用正極およびそれを用いたアルカリ蓄電池
WO2015087519A1 (ja) アルカリ蓄電池用正極およびアルカリ蓄電池
JP2003017077A (ja) 密閉型アルカリ亜鉛一次電池
JP2008108585A (ja) 円筒形アルカリ電池
WO2014049966A1 (ja) アルカリ蓄電池用正極活物質、それを含むアルカリ蓄電池用正極およびアルカリ蓄電池、ならびにニッケル水素蓄電池
JP6734155B2 (ja) アルカリ電池
JP2015130249A (ja) アルカリ蓄電池用正極およびそれを用いたアルカリ蓄電池
JP2009043461A (ja) アルカリ電池
JP3969718B2 (ja) アルカリ電池およびその製造方法
JP5019634B2 (ja) アルカリ電池
JP6461370B2 (ja) 正極活物質及びアルカリ電池
JP2008153196A (ja) アルカリ電池
Gbadamasi et al. Zinc Batteries: Basics, Materials Functions, and Applications
JP6863347B2 (ja) 水溶液系二次電池
JP2004139909A (ja) 密閉型ニッケル亜鉛一次電池
JP2006139973A (ja) アルカリ電池
JP2018181553A (ja) 正極活物質

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080624

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20110518

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20110524

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110913

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110913

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140922

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4827501

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140922

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140922

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140922

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees