JP2009043461A - アルカリ電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 長期にわたって良好な放電特性を維持し得るアルカリ電池を提供する。
【解決手段】 正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を、Niメッキ鋼板で形成された外装缶内に有するアルカリ電池であって、外装缶は、その内面のNiメッキ層上に、Coメッキ層またはCo合金メッキ層を有しており、正極は、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを有する正極合剤で構成されていることを特徴とするアルカリ電池により、前記課題を解決する。前記アルカリ電池においては、外装缶のCoメッキ層またはCo合金メッキ層と正極とが直接接していることが好ましく、また、正極合剤中の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの量が、0.5質量%以上であることが好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】 正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を、Niメッキ鋼板で形成された外装缶内に有するアルカリ電池であって、外装缶は、その内面のNiメッキ層上に、Coメッキ層またはCo合金メッキ層を有しており、正極は、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを有する正極合剤で構成されていることを特徴とするアルカリ電池により、前記課題を解決する。前記アルカリ電池においては、外装缶のCoメッキ層またはCo合金メッキ層と正極とが直接接していることが好ましく、また、正極合剤中の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの量が、0.5質量%以上であることが好ましい。
【選択図】 図2
Description
本発明は、貯蔵特性に優れたアルカリ電池に関するものである。
アルカリ電解液を有するアルカリ電池においては、例えば、特許文献1に示されているように、外装缶(正極缶)の内面に炭素質の導電皮膜を形成し、正極活物質などを含有する正極合剤よりなる正極と、前記導電皮膜とを接触させることで、正極と外装缶との電気的接続を良好にして、その放電特性の改善を図っている。
しかしながら、前記の導電皮膜による放電特性改善効果は、アルカリ電池を長期間貯蔵すると、失われたり低下したりすることがある。このようなことから、前記の導電皮膜よりも、長期にわたって正極と外装缶との電気的接続を良好にでき、電池の放電特性を高め得る技術の開発が求められる。
炭素質の導電皮膜を形成する方法以外にも、外装缶内面と正極との電気的接続を良好にする技術が提案されている。例えば特許文献2には、一方の面にニッケルメッキ層とニッケル・コバルトメッキ層とを順次形成してなる冷間圧延鋼板材を用い、ニッケル・コバルトメッキ層側を電池内面となるようにプレス絞り加工して外装缶を形成し、これをアルカリ電池に用いる技術が提案されている。特許文献2には、前記冷間圧延鋼板材をプレス絞り加工して外装缶を形成した際に、ニッケル・コバルトメッキ層にひび割れが発生して凹凸面を形成し、これが正極合剤との接触向上に寄与する旨記載されている。よって、特許文献2の技術によれば、前記の炭素質の導電皮膜における前記問題を解決できる可能性がある。
しかしながら、特許文献2に係る技術だけでは、外装缶と正極との電気的接続の向上が未だ不十分であり、前記の炭素質の導電皮膜を設けた場合の放電特性改善効果に匹敵するだけの効果が得られないことが、本発明者らの検討により明らかとなった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、長期にわたって良好な放電特性を維持し得るアルカリ電池を提供することにある。
前記目的を達成し得た本発明のアルカリ電池は、正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を、Niメッキ鋼板で形成された外装缶内に有するアルカリ電池であって、前記外装缶は、その内面のNiメッキ層上に、Coメッキ層またはCo合金メッキ層を有しており、前記正極は、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを有する正極合剤で構成されていることを特徴とするものである。
本発明のアルカリ電池は、少なくとも一方の面に、Ni(ニッケル)メッキ層とCo(コバルト)メッキ層またはCo合金メッキ層とを順次形成してなるNiメッキ鋼板を用い、Coメッキ層またはCo合金メッキ層側が電池内面側となるように形成した外装缶を用いて構成している。Niメッキ層上に形成されたCoメッキ層またはCo合金メッキ層は、その表面が比較的荒れており、これにより正極との電気的接続が良好となると考えられる。しかも、本発明のアルカリ電池では、正極に酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを含有させており、これにより、正極と外装缶との電気的接続を更に良好にしている。
本発明の電池におけるCoメッキ層またはCo合金メッキ層の形成による外装缶と正極との電気的接続を良好にする作用と、正極に酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを含有させることによる外装缶と正極との電気的接続を良好にする作用は、前記の炭素質からなる導電皮膜の形成による外装缶と正極との電気的接続を良好にする作用よりも長期にわたって維持される。本発明のアルカリ電池では、外装缶と正極との電気的接続を良好にする前記の2つの作用を相乗的に機能させることによって、長期にわたって良好な放電特性を維持している。
本発明によれば、長期にわたって良好な放電特性を維持し得るアルカリ電池を提供することができる。よって、本発明のアルカリ電池は、優れた貯蔵特性を有するものである。
図1に本発明のアルカリ電池の一例の断面図を示す。図1のアルカリ電池は、筒形(円筒形または角筒形)の外装缶1内に、リング状に成形された正極2(正極合剤成形体)が配置されており、その内側にコップ状のセパレータ3が配置され、アルカリ電解液(図示しない)がセパレータ3の内側から注入されている。更にセパレータ3の内側には負極4(負極合剤)が充填されている。外装缶1における1bは正極端子である。
外装缶1の開口端部1aには、金属製(Niメッキを施した鉄、ステンレス鋼など)の負極端子板7が配されており、樹脂製の封口体6の外周縁部62を介して開口端部1aが内側に折り曲げられて封口されている。負極端子板7には、金属製(Snメッキなどを施した真鍮など)の負極集電棒5が、その頭部で溶接されており、負極集電棒5は、封口体6の中央部61に設けられた透孔64を通じて負極4内に挿入されている。また、封口時の負極端子板7の変形を防ぎ、かつ封口体6を内側から支える支持手段として、金属ワッシャ9(円板状の金属板)が配置されている。
そして、樹脂製の封口体6には、防爆用の薄肉部63が形成されている。短絡時に電池内においてガスが発生した場合、封口体6の薄肉部63が優先的に開裂し、生じた裂孔からガスが金属ワッシャ9側に移動する。金属ワッシャ9および負極端子板7にはガス抜き孔が設けられており(図示しない)、電池内のガスは、これらのガス抜き孔を通じて電池外に排出される。
図2に、本発明のアルカリ電池の他の例の断面図を示す。図2中、図1と同じ作用を有する要素は同じ符号を付して、重複説明を避ける。図2中、8は、外装缶1と負極端子板7とを絶縁するための絶縁板であり、20は、発電要素を収納している胴部分である。
図1に示すアルカリ電池では、金属ワッシャ9を使用している関係上、封口部分(図1中、10)の占める体積が大きくなってしまう。これに対し、この図2の電池のように金属ワッシャをなくし、封口体6を内側から支える支持手段として負極端子板7を利用することで、封口部分10の占める体積を減少させて発電要素を収容できる胴部分20の体積を大きくすることができ、正極2および負極4の各合剤の充填量を、図1の電池よりも高めることができる。
本発明のアルカリ電池に係る外装缶は、Niメッキ鋼板で構成されており、その電池内面側は、Niメッキ層の上にCoメッキ層またはCo合金メッキ層が形成されている(前記の図1および図2では、これらのメッキ層について省略している)。前記の通り、Coメッキ層またはCo合金メッキ層は、正極との電気的接続を良好にするための層である。
Coメッキ層またはCo合金メッキ層の厚みは、Coメッキ層またはCo合金メッキ層を形成することによる作用をより有効に発揮させる観点から、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることが好ましい。ただし、Coメッキ層またはCo合金メッキ層が厚すぎると、メッキ層の剥離や割れが発生しやすくなることから、その厚みは、1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
Coメッキ層またはCo合金メッキ層は、合金成分を実質的に含有しないCoメッキ層であってもよく、合金成分としてNi、Snなどの金属元素を含有するCo合金メッキ層であってもよい。なお、前記の「合金成分を実質的に含有しない」とは、不可避的に混入した合金成分(不可避不純物)を除き、Co合金を形成する目的で積極的に添加した合金成分は含有しないことを意味している。Co合金メッキ層の場合には、メッキ層を構成するCo合金100質量%中、Co量が90質量%以上であることが好ましい(残部は、合金成分および不可避不純物である)。
また、外装缶1を構成するNiメッキ鋼板に係るNiメッキは、所謂硬質Niメッキであってもよく、所謂軟質Niメッキ[Niメッキ層中に、P(リン)やS(イオウ)といったNiメッキ層を硬化させる成分が少ないか、または実質的に存在しないNiメッキ]であってもよい。
外装缶1におけるNiメッキ層の厚みは、例えば、1〜4μmであることが好ましい。また、外装缶1における鋼板の厚みは、例えば、150〜300μmであることが好ましい。
本発明のアルカリ電池に係る正極は、例えば、正極活物質および導電助剤、更には成形のための電解液およびバインダを混合して正極合剤とし、この正極合剤をリング状などに加圧成形することにより形成される。
また、本発明に係る正極を構成する正極合剤は、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを含有しており、前記の通り、本発明の電池では、かかる構成の採用によっても正極と外装缶との電気的接続を良好にしている。
正極合剤は、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムのうち、一方のみを含有していてもよく、両方を含有していてもよい。正極合剤中に酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを含有させることによる効果をより確実に確保する観点からは、正極合剤中の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの量(酸化カルシウムと水酸化カルシウムの両方を含有する場合は、これらの合計量)は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。なお、正極合剤中の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの量(酸化カルシウムと水酸化カルシウムの両方を含有する場合は、これらの合計量)は、多すぎると、その効果が飽和するばかりか、電池の放電反応時の抵抗となる場合があり、また、正極合剤中の正極活物質量が減ることにもなるため、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
本発明の電池では、正極活物質としては、例えば、二酸化マンガンまたはオキシ水酸化ニッケルが使用される。正極活物質は、そのBET比表面積が、40m2/g以上100m2/g以下であることが好ましい。正極活物質のBET比表面積が小さすぎると、成形性は良好であるものの、反応面積が小さくなるために反応効率が悪くなり、負荷特性が低下することがある。また、正極活物質のBET比表面積が大きすぎると、反応効率は向上するが、かさ密度が低下するために成形性が悪化することがある。正極活物質の成形性を高めて、正極合剤の成形体の強度をより向上させるには、正極活物質のBET比表面積は60m2/g以下であることがより好ましく、また、45m2/g以上であることがより好ましい。
なお、ここでいう正極活物質のBET比表面積は、多分子層吸着の理論式であるBET式を用いて、表面積を測定、計算したもので、活物質の表面と微細孔の比表面積である。具体的には、窒素吸着法による比表面積測定装置(Mountech社製 Macsorb HM model−1201)を用いて、BET比表面積として得た値である。
また、正極活物質として二酸化マンガンを用いる場合、二酸化マンガンはチタンを0.01〜3.0質量%含有していることが望ましい。この程度の量のチタンを含有する二酸化マンガンでは、比表面積が大きくなって反応効率が向上するため、アルカリ電池の負荷特性を高めることができる。
導電助剤としては、例えば、黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどを用いることができる。正極合剤中の導電助剤量は、例えば、正極活物質100質量部に対して、3〜8.5質量部とすることが好ましい。
バインダとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴムなどを用いることができる。正極合剤中のバインダ量は、例えば、0.1〜1質量%とすることが好ましい。
電解液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物を水に溶解させたアルカリ水溶液や、それに酸化亜鉛などを添加したものなどが用いられる。電解液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度としては、例えば水酸化カリウムの場合、40〜60質量%であることが好ましく、また、酸化亜鉛を使用する場合、その濃度は、1.0〜4.0質量%であることが好ましい。
なお、アルカリ電池では、通常、前記のように、炭素質の導電皮膜を外装缶内面に形成することが通常であるが、本発明のアルカリ電池では、炭素質の導電皮膜を外装缶内面(Coメッキ層またはCo合金メッキ層表面)に設けてもよい(前記の図1および図2では図示していない)。その場合には、アルカリ電池を長期間貯蔵するなどして、炭素質の導電皮膜による放電特性向上効果が損なわれたとしても、外装缶内面におけるCoメッキ層またはCo合金メッキ層の構成と正極合剤中の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの構成とによって、放電特性の低下を抑制できる。
他方、本発明のアルカリ電池では、炭素質の導電皮膜を設けずに、外装缶のCoメッキ層またはCo合金メッキ層と正極とが直接接するようにしてもよい。このような構成の電池とした場合でも、外装缶内面におけるCoメッキ層またはCo合金メッキ層の構成と正極合剤中の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの構成とによって、長期にわたって良好な放電特性を維持することができる。また、この場合、炭素質の導電皮膜形成工程を省略できることで、アルカリ電池の生産性を高めることができる。更に、炭素質の導電皮膜は、有機溶剤を使用したペーストを用いて形成することが一般的であるが、電池製造時において炭素質の導電皮膜形成を回避することで、前記形成に要していた有機溶剤が不要となるため、環境に対する影響も低減できる。
本発明のアルカリ電池に係る負極としては、例えば、亜鉛または亜鉛合金の粒子(以下、両者を纏めて「亜鉛系粒子」という)と、電解液と、ゲル化剤とを有するゲル状の負極合剤が使用される。
亜鉛系粒子は、アルカリ電池の負荷特性を高める観点からは、粒径が10〜75μmの粒子の割合を、20質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上とすることがより好ましい。
なお、亜鉛系粒子は、通常、ガスアトマイズ法により製造され、その粒径や粒度分布は、レーザー散乱式粒度分布測定装置などを用いて測定することもできるが、より簡便に、特定の篩い目をもつ篩を通過する粒子の割合を基に判断することも可能である。例えば、200メッシュの篩い目をもつ篩を用いて負極に用いる亜鉛系粒子を分級することにより、75μm以下の粒径の亜鉛系粒子の割合を求めることができる。このうち、10μm未満の亜鉛系粒子の割合は、ふるいによる分級では求めにくいため、前記粒度分布測定装置による測定を併用して10μm未満の亜鉛系粒子の割合を求め、これを前記の75μm以下の粒径の亜鉛系粒子の割合から差し引くことにより、10〜75μmの亜鉛系粒子の割合を求めることができる。また、200メッシュの篩い目を通過した亜鉛系粒子を、更に細かい目の篩で分級して10μm未満の粒子を取り除き、残った粒子を負極の作製に用いる方法を採用してもよい。
一方、亜鉛系粉末を負極に用いたアルカリ電池では、亜鉛と電解液との反応による水素ガスの発生の問題が生じる場合があるため、負極において、この反応をできるだけ抑制することが好ましい。負極における前記の水素ガス発生を抑制し、また、負極合剤の流動性を良好に保って、電池の生産性を向上させる観点からは、亜鉛系粒子中の粒径が10〜75μmの粒子の割合を、70質量%以下とすることが好ましく、50質量%以下とすることがより好ましい。更に、粒径が10μmより小さい亜鉛系粒子は、ガス発生が多くなって貯蔵特性に悪影響を与える上に、表面にできる酸化物のために電気的な接触がとり難くなって、放電反応に寄与し難くなるため、このような微小粒子はできる限り少なくするのが望ましい。負荷特性と貯蔵特性のバランスを考慮すれば、本発明のアルカリ電池に係る亜鉛系粒子全体の平均粒径(前記の篩を用いた方法により測定される重量平均粒子径)は、80〜200μmとするのが適当である。
また、前述した亜鉛からの水素ガス発生反応を防止するためには、亜鉛系粒子として、In、Bi、Alなどの元素を少なくとも1種含有する亜鉛合金粒子を用いることが効果的である。特に、少なくともInとBiを含有させることが望ましい。亜鉛合金粒子に係る亜鉛合金中のこれら元素の含有量は、Inでは0.01質量%以上、Biでは0.003質量%以上、Alでは0.0001質量%以上とするのがよく、Inでは0.03〜0.07質量%、Biでは0.007〜0.07質量%、Alでは0.001〜0.007質量%とするのが好適である。これらの元素を含有する亜鉛合金の場合、残部は、例えば亜鉛および不可避不純物である。
負極に用いる電解液としても、正極に用いる電解液と同様に、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物を水に溶解させたアルカリ水溶液や、それに酸化亜鉛などを添加したものなどが用いられる。電解液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度としては、例えば水酸化カリウムの場合、28〜38質量%であることが好ましく、また、酸化亜鉛を使用する場合、その濃度は、1.0〜4.0質量%であることが好ましい。
負極に用いるゲル化剤としては、例えば、ポリアクリル酸類(ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸アンモニウムなど)、セルロース類[カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースや、それらのアルカリ塩など]が挙げられる。また、特開2001−307746号公報に開示されているように、架橋ポリアクリル酸またはその塩類型吸水性ポリマー(例えば、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸アンモニウムなど)と、それら以外のゲル化剤とを併用することも好ましい。架橋ポリアクリル酸またはその塩類型吸水性ポリマーと併用するゲル化剤としては、前述のセルロース類や、架橋分枝型ポリアクリル酸またはその塩類(例えば、ソーダ塩、アンモニウム塩など)などが挙げられる。なお、前記の架橋ポリアクリル酸またはその塩類型吸水性ポリマーは、平均粒子径が10〜100μmで、かつその形状が球状であることが望ましい。
負極合剤における亜鉛系粒子の含有量としては、例えば、50〜75質量%であることが好ましい。また、負極合剤における電解液の含有量は、例えば25〜50質量%であることが好ましい。更に、負極合剤におけるゲル化剤の含有量は、例えば、0.01〜1.0質量%であることが好ましい。
また、負極合剤には、酸化インジウムなどのインジウム化合物や、酸化ビスマスなどのビスマス化合物を少量含有させることもできる。これらの化合物を含有させることにより、亜鉛系粒子と電解液との腐食反応によるガス発生をより効果的に防ぐことができる。ただし、これらの化合物は、あまり含有させすぎると電池の負荷特性を低下させる虞があるので、このような問題の生じない範囲で、必要に応じた含有量を決定することが好ましい。例えば、インジウム化合物、ビスマス化合物共に、亜鉛系粒子100質量部に対して、0.003〜0.05質量部程度とすることが推奨される。
正極および負極に使用する以外に電池内に注入するための電解液(アルカリ電解液)としては、前記の正極や負極に係る電解液と同様に、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物の水溶液からなるアルカリ水溶液や、それに酸化亜鉛を添加したものなどを用いることができる。電解液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度としては、例えば水酸化カリウムの場合、28〜38質量%であることが好ましく、また、酸化亜鉛を使用する場合、その濃度は、1.0〜4.0質量%であることが好ましい。
セパレータとしては、例えば、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。
本発明の筒形アルカリ電池は、従来公知の筒形アルカリ電池が用いられている各種用途と同じ用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
水分を1.6質量%含有する二酸化マンガン、黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン粉末、水酸化カルシウムおよび正極合剤調製用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を2.9質量%含有する56質量%水酸化カリウム水溶液)を86.6:6.7:0.2:5.5:1.0の質量比で、50℃の温度下で混合して正極合剤を調製した。なお、この正極合剤中、二酸化マンガン100質量部に対して、黒鉛は7.7質量部で、正極合剤が含有する電解液の水酸化カリウム濃度は、二酸化マンガンの含有水分を考慮すると44.6質量%となった。また、正極合剤中の水酸化カルシウムの量は1質量%であった。
水分を1.6質量%含有する二酸化マンガン、黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン粉末、水酸化カルシウムおよび正極合剤調製用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を2.9質量%含有する56質量%水酸化カリウム水溶液)を86.6:6.7:0.2:5.5:1.0の質量比で、50℃の温度下で混合して正極合剤を調製した。なお、この正極合剤中、二酸化マンガン100質量部に対して、黒鉛は7.7質量部で、正極合剤が含有する電解液の水酸化カリウム濃度は、二酸化マンガンの含有水分を考慮すると44.6質量%となった。また、正極合剤中の水酸化カルシウムの量は1質量%であった。
次に、In、BiおよびAlをそれぞれ0.05質量%、0.05質量%および0.005質量%の割合で含有する亜鉛合金粒子、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸および負極合剤調製用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を2.2質量%含有する33.5質量%水酸化カリウム水溶液)を39:0.2:0.2:18の質量比で混合し、ゲル状の負極合剤を調製した。なお、前記亜鉛合金粒子は、平均粒径が109μmで、80メッシュの篩い目を全て通過し、かつ200メッシュの篩い目を通過する亜鉛合金粒子が、全亜鉛合金粒子量に対して20質量%であって、そのかさ密度は2.63g/cm3であった。
次に、外装缶としてNiメッキ鋼板製の図2に示す形状の単3形アルカリ電池用外装缶1を用意した。この外装缶1は、厚み250μmの鋼板の上に厚み2μmのNiメッキ層を形成したもので、その電池内面側は0.5μmのCoメッキ層を有している。また、封口部分10の厚みが0.25mmで、胴部分20の厚みが0.16mmに加工され、更に、電池を落下させたときに正極端子1bのへこみを防ぐために、正極端子部分の缶厚を胴部分20より多少厚くしている。この外装缶1を用いて、以下のようにしてアルカリ電池を作製した。
前記正極合剤:約11gを、前記外装缶1に挿入してリング状(中空円筒状)に加圧成形し、内径:9.1mm、外径:13.7mm、高さ:13.9mmの3個の正極合剤成形体(密度:3.21g/cm3)が積み重なった状態とした。次に、外装缶1の開口端から高さ方向において3.5mmの位置にグルーブを施し、外装缶1と封口体6との密着性を向上させるために、このグルーブ位置まで外装缶1の内側にピッチを塗布した。
次に、厚みが100μmで目付が30g/m2のアセタール化ビニロンとテンセルからなる不織布を三重に重ねて筒状に巻き、底部になる部分を折り曲げてこの部分を熱融着し、一端が閉じられたコップ状のセパレータ3とした。このセパレータ3を外装缶1内に挿入された正極1の内側に装填し、注入用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を2.2質量%含有する33.5質量%水酸化カリウム水溶液)1.35gをセパレータの内側に注入し、更に、前記負極合剤:5.74gをセパレータ3の内側に充填して負極4とした。このとき、電池系内の水分量の合計は、正極活物質1g当たり0.261gであった。
前記発電要素の充填の後、表面がスズメッキされた真鍮製であり、ナイロン66製の封口体6と組み合わされた負極集電棒5を、負極4の中央部に差し込み、外装缶1の開口端部1aの外側からスピニング方式によりかしめることにより、図2に示す単3形アルカリ電池を作製した。ここで、前記負極集電棒5は、打ち抜き・プレス加工により形成された厚みが0.4mmのニッケルメッキ鋼板製の負極端子板7に、あらかじめ溶接により取り付けられたものを用いた。また、外装缶1の開口端と負極端子板7との間には、短絡防止のために絶縁板8を装着した。以上のようにして実施例1の筒形アルカリ電池を作製した。
比較例1
電池内面側にCoメッキ層を有しない外装缶1を、電池内面側に15μmの炭素質の導電皮膜を形成して用いた以外は、実施例1と同様にして筒形アルカリ電池を作製した。
電池内面側にCoメッキ層を有しない外装缶1を、電池内面側に15μmの炭素質の導電皮膜を形成して用いた以外は、実施例1と同様にして筒形アルカリ電池を作製した。
比較例2
電池内面側にCoメッキ層を有しない外装缶1を用いた以外は、実施例1と同様にして筒形アルカリ電池を作製した。
電池内面側にCoメッキ層を有しない外装缶1を用いた以外は、実施例1と同様にして筒形アルカリ電池を作製した。
比較例3
正極合剤に水酸化カルシウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして筒形アルカリ電池を作製した。
正極合剤に水酸化カルシウムを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして筒形アルカリ電池を作製した。
比較例4
正極合剤に水酸化カルシウムを添加する代わりに二酸化チタンを添加した以外は、実施例1と同様にして筒形アルカリ電池を作製した。
正極合剤に水酸化カルシウムを添加する代わりに二酸化チタンを添加した以外は、実施例1と同様にして筒形アルカリ電池を作製した。
実施例1および比較例1〜4の筒形アルカリ電池について、下記の方法により貯蔵による放電特性の劣化を、貯蔵前後の容量維持率として求めた。これらの結果を外装缶内面および正極合剤の構成と共に表1に示す。
ここで、容量維持率は次の方法により求めた。貯蔵前の実施例1および比較例1〜4の筒形アルカリ電池と、80℃で72時間貯蔵した後の実施例1および比較例1〜4の電池について、20℃で1000mAの連続放電をそれぞれ行い、終止電圧0.9Vとした場合の放電時間を測定した。容量維持率は、前記の各放電時間から次式により求められる「貯蔵後の放電時間に対する貯蔵前の放電時缶の割合」で評価した。なお、80℃72時間の貯蔵は、20℃での3年程度の貯蔵を想定している。
容量維持率(%)=100×(貯蔵後の放電時間)/(貯蔵前の放電時間)
容量維持率(%)=100×(貯蔵後の放電時間)/(貯蔵前の放電時間)
表1から明らかなように、電池内面側にCoメッキ層を有する外装缶を用い、かつ正極合剤中に水酸化カルシウムを含有させた実施例1の筒形アルカリ電池では、貯蔵時の放電特性の低下が少なく、容量維持率が高い。そのため、実施例1の筒形アルカリ電池では、長期にわたって良好な放電特性を維持することができる。これに対し、電池内面側にCoメッキ層を有しない外装缶を用いたか、もしくは正極合剤中に水酸化カルシウムを含有させなかった比較例1〜4の筒形アルカリ電池では、別途、炭素質の導電皮膜を形成したり(比較例1)、正極合剤中に貯蔵性を向上させる添加剤を添加した(比較例4)場合であっても、実施例1の電池よりも容量維持率が低く、長期の使用によって放電特性が低下し得る。
1 外装缶
2 正極
3 セパレータ
4 負極
5 負極集電棒
6 樹脂製の封口体
7 負極端子板
8 絶縁板
9 金属ワッシャ
63 防爆用の薄肉部
2 正極
3 セパレータ
4 負極
5 負極集電棒
6 樹脂製の封口体
7 負極端子板
8 絶縁板
9 金属ワッシャ
63 防爆用の薄肉部
Claims (4)
- 正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を、Niメッキ鋼板で形成された外装缶内に有するアルカリ電池であって、
前記外装缶は、その内面のNiメッキ層上に、Coメッキ層またはCo合金メッキ層を有しており、
前記正極は、酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムを有する正極合剤で構成されていることを特徴とするアルカリ電池。 - 外装缶のCoメッキ層またはCo合金メッキ層と正極とが直接接している請求項1に記載のアルカリ電池。
- 正極合剤中の酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの量が、0.5質量%以上である請求項1または2に記載のアルカリ電池。
- 外装缶の有するCoメッキ層またはCo合金メッキ層の厚みが、0.1〜1μmである請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリ電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007204903A JP2009043461A (ja) | 2007-08-07 | 2007-08-07 | アルカリ電池 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2007204903A JP2009043461A (ja) | 2007-08-07 | 2007-08-07 | アルカリ電池 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009129664A (ja) * | 2007-11-22 | 2009-06-11 | Fdk Energy Co Ltd | アルカリ電池用正極缶、アルカリ電池及びその製造方法 |
WO2010140295A1 (ja) * | 2009-06-02 | 2010-12-09 | パナソニック株式会社 | アルカリ乾電池 |
WO2018131366A1 (ja) * | 2017-01-16 | 2018-07-19 | Fdk株式会社 | アルカリ電池、アルカリ電池の製造方法 |
-
2007
- 2007-08-07 JP JP2007204903A patent/JP2009043461A/ja not_active Withdrawn
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