JP2008108585A - 円筒形アルカリ電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 負荷特性と信頼性に優れた円筒形アルカリ電池を提供する。
【解決手段】 二酸化マンガン、銀−ニッケル複合酸化物、導電助剤およびバインダを含有し、中空円筒状の成形体からなる正極と、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子を含有する負極と、不織布からなるセパレータとを有しており、上記正極は、銀−ニッケル複合酸化物を、二酸化マンガン100質量部に対して0.05〜2質量部含有しており、上記負極の含有する亜鉛粒子または亜鉛合金粒子のうち、200メッシュの篩い目を通過し得るものが10質量%以上であることを特徴とする円筒形アルカリ電池により、上記課題を解決する。
【選択図】 図2
【解決手段】 二酸化マンガン、銀−ニッケル複合酸化物、導電助剤およびバインダを含有し、中空円筒状の成形体からなる正極と、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子を含有する負極と、不織布からなるセパレータとを有しており、上記正極は、銀−ニッケル複合酸化物を、二酸化マンガン100質量部に対して0.05〜2質量部含有しており、上記負極の含有する亜鉛粒子または亜鉛合金粒子のうち、200メッシュの篩い目を通過し得るものが10質量%以上であることを特徴とする円筒形アルカリ電池により、上記課題を解決する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、負荷特性と信頼性に優れた円筒形アルカリ電池に関するものである。
亜鉛を負極活物質とするアルカリ電池は、各種電子機器の電源として用いられており、その用途に応じて種々の特性が要求されている。特に、近年普及が著しいデジタルカメラにおいては、撮影可能枚数をできるだけ多くするために、電池の高容量化と大電流放電特性などの負荷特性の更なる向上が必要であり、その要求を満たすことのできる電池設計が検討されている。
このようなアルカリ電池の負荷特性を向上させる試みとしては、正極の改良が種々検討されている。例えば、正極に導電性の高い銀−ニッケル複合酸化物を含有させる方法が提案されている(特許文献1)。
ところが、正極に銀−ニッケル複合酸化物を含有させると、電池の負荷特性は向上するものの、銀−ニッケル複合酸化物がアルカリ電解液に溶解して銀イオンとなり、負極の亜鉛粒子と反応して自己放電を生じて、電池の放電容量の低下を招いてしまうという問題がある。上記の放電容量低下を防止するには、セパレータにセロハンを用いて銀イオンの生成を抑制することなどが有効であるが、このような手法を採用すると、却って電池の負荷特性が損なわれてしまい、銀−ニッケル複合酸化物の添加に見合うだけの負荷特性向上が見込めない。
他方、正極に銀−ニッケル複合酸化物を含有させつつ、セパレータに不織布を用いた例もある(特許文献2)。
しかしながら、この場合には、正極中の銀−ニッケル複合酸化物量を多くすると、銀−ニッケル複合酸化物がアルカリ電解液に溶解して生成した銀イオンによって、セパレータである不織布の空隙内で銀が析出し、これが正極−負極間の導電パスを形成してしまい、短絡が生じる虞があるなど、電池の信頼性が損なわれてしまう。
特許文献2に開示の技術では、正極中の銀−ニッケル複合酸化物量を低く抑えることで、上記の導電パスの形成による短絡の発生を抑制しているものと考えられるが、このような少量の添加では、電池の負荷特性の向上も僅かであり、やはり十分な負荷特性向上は見込めない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、負荷特性と信頼性に優れた円筒形アルカリ電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成し得た本発明の円筒形アルカリ電池は、二酸化マンガン、銀−ニッケル複合酸化物、導電助剤およびバインダを含有し、中空円筒状の成形体からなる正極と、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子を含有する負極と、不織布からなるセパレータとを有しており、上記正極は、銀−ニッケル複合酸化物を、二酸化マンガン100質量部に対して0.05〜2質量部含有しており、上記負極の含有する亜鉛粒子または亜鉛合金粒子のうち、200メッシュの篩い目を通過し得るものが10質量%以上であることを特徴とするものである。
本発明では、正極活物質として機能し且つ電池の負荷特性を高める作用を有する銀−ニッケル複合酸化物について、その存在部位を、中空円筒状の正極(正極合剤成形体)に特定し、更に正極活物質中の含有量を特定値に制限することで、電池の負荷特性を低下させない不織布セパレータを使用しつつ、導電パスの形成による短絡の発生を防止している。
また、負極活物質として機能する亜鉛粒子または亜鉛合金粒子にも着目し、その粒度を特定値とすることによっても電池の負荷特性を高め、銀−ニッケル複合酸化物の使用量の制限による負荷特性向上の不十分さを補っている。すなわち、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子(以下、両者を纏めて「亜鉛系粒子」ということがある)を上記の如き特定の粒度を有する形態のものとすることで、電池の放電時における負極の反応性を制御しており、電池が正常に放電できる状況下においては、優れた負荷特性を発揮できるようにしている。
なお、負極に用いる亜鉛系粒子を、本発明の電池のように微細にすると、負極における亜鉛の反応面積が増大するため、電池の負荷特性を向上させ得る一方で、電池の貯蔵時において、アルカリ電解液により亜鉛が腐食されてガス(水素ガス)が発生し易くなり、そのようなガス発生によって電池の漏液が引き起される可能性がある。しかし、本発明の電池においては、正極の含有する銀−ニッケル複合酸化物により、電池内部で発生した水素ガスを酸化して水にすることができるため、反応性の高い微細な亜鉛系粒子を用いた場合に生じ易い水素ガスの発生を抑制し、その貯蔵特性を高めている。
以上のように、本発明の円筒形アルカリ電池では、正極における銀−ニッケル複合酸化物の機能、不織布セパレータの機能、および負極における特定の形態を有する亜鉛系粒子の機能を相乗的に作用させることで、その負荷特性を高めており、また、不織布セパレータ内での銀の析出を抑える作用と、銀−ニッケル複合酸化物による水素ガス発生の抑制作用とによって、短絡の発生や長期貯蔵時の漏液の発生を抑えており、その信頼性を高めている。
本発明によれば、負荷特性と信頼性に優れた円筒形アルカリ電池を提供することができる。
以下、本発明のアルカリ電池の構成を詳細に説明する。
<正極>
本発明に係る正極は、二酸化マンガン、銀−ニッケル複合酸化物、導電助剤およびバインダに、更には成形のための電解液を混合して正極合剤とし、この正極合剤を中空円筒状に加圧成形することにより形成される。
本発明に係る正極は、二酸化マンガン、銀−ニッケル複合酸化物、導電助剤およびバインダに、更には成形のための電解液を混合して正極合剤とし、この正極合剤を中空円筒状に加圧成形することにより形成される。
正極は、その中空円筒状に加圧成形された合剤中に、活物質である二酸化マンガンに加えて、銀−ニッケル複合酸化物を含有している。正極合剤中の銀−ニッケル複合酸化物は、放電反応に伴って導電性の高い銀(Ag)を生成し、それが正極合剤中の導電助剤として働くことで、電池の負荷特性を向上させる機能を有している。また、正極合剤中に銀−ニッケル複合酸化物を含有させることによって、貯蔵時に亜鉛の腐食により生じる水素ガスを酸化して水にすることが可能となり、負極に反応性の高い微細な亜鉛系粒子を用いることによる水素ガス発生による問題を回避することができる。
ここで、正極における銀−ニッケル複合酸化物の含有量は、二酸化マンガン100質量部に対して、0.05質量部以上である。正極における銀−ニッケル複合酸化物の含有量が少なすぎると、銀の生成量が少なくなるため、電池の負荷特性を十分に高めることができない。なお、水素ガスを酸化して水にする反応をより効率よく行わせるには、銀−ニッケル複合酸化物の含有量は、二酸化マンガン100質量部に対して、0.5質量部以上であることが好ましい。
また、正極における銀−ニッケル複合酸化物の含有量は、二酸化マンガン100質量部に対して、2質量部以下である。正極における銀−ニッケル複合酸化物の含有量が多すぎると、アルカリ電解液に溶解する銀−ニッケル複合酸化物の量が増加し、これにより生じた銀イオンが負極の亜鉛粒子と反応して自己放電を生じて、電池の放電容量の低下を招いたり、不織布セパレータの空隙内で銀が析出し、正極−負極間に導電パスを形成して、短絡を引き起こす虞が生じてしまう。銀−ニッケル複合酸化物の含有量は、二酸化マンガン100質量部に対して、1.5質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることがより好ましい。
正極に用いる二酸化マンガンは、そのBET比表面積が、40m2/g以上であることが好ましい。正極活物質のBET比表面積が小さすぎると、成形性は良好であるものの、反応面積が小さくなるために反応効率が悪くなり、負荷特性向上効果が小さくなることがある。他方、正極活物質のBET比表面積が大きすぎると、反応効率は向上するが、かさ密度が低下するために成形性が悪化することがあるため、二酸化マンガンのBET比表面積は、100m2/g以下であることが好ましい。なお、正極活物質の成形性を高めて、正極合剤の成形体の強度をより向上させるには、正極活物質のBET比表面積は、60m2/g以下であることがより好ましく、また、45m2/g以上であることがより好ましい。
本明細書でいう正極活物質のBET比表面積は、多分子層吸着の理論式であるBET式を用いて、表面積を測定、計算したもので、活物質の表面と微細孔の比表面積である。具体的には、窒素吸着法による比表面積測定装置(Mountech社製「Macsorb HM modele−1201」)を用いて、BET比表面積として得た値である。
なお、上記のBET比表面積を有する二酸化マンガンは、通常のアルカリ電池の正極に使用されているものよりも、その比表面積が大きく、電池の負荷特性向上に寄与する一方で、正極合剤の成形性を低下させたり、正極合剤成形体の強度を低下させてしまうため、正極合剤の成形には厳密な管理が必要となり、正極の生産性、延いては、電池の生産性が損なわれる場合もある。しかし、銀−ニッケル複合酸化物を正極合剤中に含有させることによって、正極合剤の成形性や正極合剤成形体の強度を向上させることができるため、本発明の電池では、正極に係る二酸化マンガンとしてBET比表面積が40m2/g以上のものを用いた場合にも、良好な正極合剤の成形性と正極合剤成形体強度を確保して、正極の生産性(更には電池の生産性)を維持しつつ、その負荷特性を更に向上させることができる。
なお、正極に係る二酸化マンガンとして、高比表面積のものと低比表面積のものとを併用して、例えば上記の好適なBET比表面積を有するようにしたものを用いてもよい。この場合には、反応性に富む高比表面積の二酸化マンガンの使用による正極合剤の成形性の低下や正極合剤成形体の強度低下を、銀−ニッケル複合酸化物の使用に加えて成形性に富む低比表面積の二酸化マンガンを併用することで補って、正極の生産性、延いては電池の生産性をより高めつつ、電池の負荷特性を更に高めることができる。
高比表面積の二酸化マンガンと低比表面積の二酸化マンガンとを併用する場合、高比表面積の二酸化マンガンとしては、そのBET比表面積が40〜100m2/gであることが好ましい。また、低比表面積の二酸化マンガンとしては、そのBET比表面積が、好ましくは20m2/g以上、より好ましくは30m2/g以上であって、好ましくは40m2/g以下であり、このようなBET比表面積を有する二酸化マンガンの中から、高比表面積のものとして使用する二酸化マンガンよりも低いBET比表面積を有するものを選択すればよい。
また、高比表面積の二酸化マンガンと低比表面積の二酸化マンガンとの使用比率は、最終的に正極に使用される二酸化マンガン全体のBET比表面積が、上記の好適値(例えば、40〜100m2/g)を満足するように調整すればよいが、高比表面積の二酸化マンガンを使用することによる電池の負荷特性向上作用をより有効に発揮させるには、正極における二酸化マンガン全量中における高比表面積の二酸化マンガンの比率を、20〜95質量%とすることが好ましい。
正極に含有させる銀−ニッケル複合酸化物としては、一般式AgXNiYO2で表され、X/Yが1より大きく1.9以下であるものが好ましい。上記特定の銀−ニッケル複合酸化物は、銀−ニッケル複合酸化物として汎用されているAgNiO2よりもAgが結晶中に過剰に取り込まれている。そのため、AgNiO2を用いる場合よりも、正極の導電性および成形性を向上させることができる。
一般式AgXNiYO2で表され、X/Yが1より大きく1.9以下である銀−ニッケル複合酸化物は、例えば、無機酸のAg塩と無機酸のNi塩とを、酸化性のアルカリ水溶液中で反応させることにより製造することができる。
具体的には、例えば、無機酸のAg塩および無機酸のNi塩を、アルカリ金属の水酸化物と水中で中和反応させ、該中和反応前、該中和反応途中、または該中和反応後に、反応液中に酸化剤を添加して酸化処理を行う。酸化剤の添加は、上記の中和反応前、中和反応途中または中和反応後において、複数回行うことが好ましい。
無機酸のAg塩としては、塩酸銀、硝酸銀、硫酸銀、リン酸銀などが挙げられる。また、無機酸のNi塩としては、塩酸ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、リン酸ニッケルなどが挙げられる。更に、アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどが挙げられる。また、酸化剤としては、KMnO4、K2S2O8、NaOCl、Na2S2O8、H2O2、オゾンなどが挙げられる。
上記の中和反応においては、反応液中のアルカリ度をより高くすることが好ましく、例えば、無機酸のAg塩中のAgのモル量と、無機酸のNi塩中のNiのモル量との合計量に対して、アルカリ金属の水酸化物のモル量を5倍程度とすることが望ましい。また、酸化剤の使用量は、酸化、すなわち金属イオンの価数変化に対して、等量以上とすることが好ましく、2倍等量程度とすることがより好ましい。
中和反応および酸化処理時の温度は、例えば、室温から100℃の間(より好ましくは30〜50℃)とすることが好ましい。また、中和反応および酸化処理は、反応液を攪拌しながら行うことが好ましい。
酸化処理後は、生成した反応沈殿物を反応液から分離し、回収した反応沈殿物を水洗、乾燥して、必要に応じて解砕するなどし、上記特定の銀−ニッケル複合酸化物を得る。
正極に用いる導電助剤としては、黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、繊維状炭素などの炭素材料を主として用いることができるが、中でも黒鉛が好ましく用いられる。導電助剤の添加量は、正極活物質(例えば、二酸化マンガンと銀−ニッケル複合酸化物との合計)100質量部に対して、3質量部以上とすることが好ましい。導電助剤を上記下限値以上に使用することで、正極の導電性を向上させ得ることから、活物質の反応性が高まり、負荷特性の一層の向上が期待できるためである。一方、活物質充填量の低下は好ましくないため、導電助剤の添加量は、正極活物質100質量部に対して8.5質量部以下にすることが望ましい。
正極に用いるバインダとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロースなどのセルロース類;ポリアクリル酸塩(ソーダ塩、アンモニウム塩など);ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂;ポリエチレンなどのポリオレフィン類;などを用いることができる。なお、バインダは、その添加量が多いと導電性が低下するなどの弊害が生じるが、少量であれば導電助剤と活物質との接触を良好にするので、電池の負荷特性を向上させることができる。具体的には、正極合剤におけるバインダの含有量を、0.1〜1質量%とすることが好ましい。
正極に用いる電解液としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)の水溶液が好ましく、水酸化カリウムの水溶液がより好ましい。電解液の濃度としては、水酸化カリウム水溶液の場合、水酸化カリウム濃度を、45質量%以上、より好ましくは50質量%以上とすることが望ましい。このような濃度のアルカリ電解液を用いることで、均質な正極合剤を調製でき、正極合剤成形体の高密度化が可能となるため、該成形体全体の導電性を向上させることができ、電池の負荷特性を高め得るからである。なお、正極に用いる電解液が水酸化カリウム水溶液の場合における水酸化カリウム濃度の上限は、60質量%であることが望ましい。
<負極>
本発明のアルカリ電池に係る負極は、亜鉛系粒子(亜鉛粒子または亜鉛合金粒子)と、アルカリ電解液と、ゲル化剤とを含有するゲル状の負極合剤で構成される。亜鉛系粒子中の亜鉛成分が負極活物質として作用する。
本発明のアルカリ電池に係る負極は、亜鉛系粒子(亜鉛粒子または亜鉛合金粒子)と、アルカリ電解液と、ゲル化剤とを含有するゲル状の負極合剤で構成される。亜鉛系粒子中の亜鉛成分が負極活物質として作用する。
なお、負極活物質と電解液との反応によるガス発生を抑制する観点からは、亜鉛系粒子が、インジウム、ビスマスまたはアルミニウムなどの元素を合金成分として含有する亜鉛合金粒子であることが好ましい。亜鉛合金粒子におけるこれら元素の含有量としては、例えば、インジウムは0.02〜0.07質量%であることが好ましく、ビスマスは0.007〜0.025質量%であることが好ましく、アルミニウムは0.001〜0.004質量%であることが好ましい。亜鉛合金粒子は、これらの合金成分を1種のみ含有してもよく、2種以上を含有していても構わない(その他の成分は、例えば、亜鉛および不可避不純物である)。
負極に係る亜鉛系粒子は、その10質量%以上が200メッシュの篩い目を通過し得るものである。負極の有する亜鉛系粒子が、このように微細な形態である場合には、負極活物質全体の比表面積を大きくできることから、負極での反応を効率よく進めることができるため、電池の負荷特性が良好となる。
なお、上記の微細な形態を有する亜鉛系粒子は、電池の負荷特性を向上させ得る一方で、電池の貯蔵時に電解液との反応により亜鉛が腐食し易くなり、上記反応により電池内部において水素ガスが発生して、それが電池内圧を上昇させて漏液を引き起こす場合がある。しかし、本発明では、正極合剤に含有する銀−ニッケル複合酸化物によって、電池内で生じる水素ガスを酸化して水にすることで、電池内圧の上昇を抑えて漏液を抑制することができる。
ここで、電池の負荷特性をより向上させるためには、上記亜鉛系粒子のうち、200メッシュの篩い目を通過し得るものの割合は、30質量%以上であることが好ましい。また、亜鉛の腐食による水素ガス発生を抑制する観点からは、亜鉛系粒子のうち、200メッシュの篩い目を通過し得るものの割合は、70質量%以下であることが好ましい。
負極に用いる電解液としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)の水溶液が好ましく、水酸化カリウムの水溶液がより好ましい。電解液の濃度としては、水酸化カリウム水溶液の場合、水酸化カリウム濃度を、38質量%以下とすることが好ましい。更に、電解液のイオン伝導度を向上させて負極の反応性を高め、電池の負荷特性の向上や短絡時の発熱抑制効果をより得やすくするためには、水酸化カリウム濃度を35質量%以下とすることがより好ましく、33.5質量%以下とすることが更に好ましい。
一方、負極に用いる電解液が水酸化カリウム水溶液の場合、水酸化カリウム濃度が高いほど、電池を貯蔵したときの特性劣化が小さくなるため、水酸化カリウム濃度を、28質量%以上とすることが好ましく、30質量%以上とすることがより好ましい。
負極に用いるゲル化剤としては、例えば、ポリアクリル酸類(ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸アンモニウムなど)、セルロース類(CMC、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースや、それらのアルカリ塩など)が挙げられる。また、特開2001−307746号公報に開示されているように、架橋ポリアクリル酸またはその塩類型吸水性ポリマー(例えば、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸アンモニウムなど)と、それら以外のゲル化剤とを併用することも好ましい。架橋ポリアクリル酸またはその塩類型吸水性ポリマーと併用するゲル化剤としては、上述のセルロース類や、架橋分枝型ポリアクリル酸またはその塩類(例えば、ソーダ塩、アンモニウム塩など)などが挙げられる。なお、上記の架橋ポリアクリル酸またはその塩類型吸水性ポリマーは、平均粒子径が10〜100μmで、且つその形状が球状であることが望ましい。
負極合剤における亜鉛系粒子の含有量としては、例えば、50〜75質量%であることが好ましい。また、負極合剤における電解液の含有量は、例えば25〜50質量%であることが好ましい。更に、負極合剤におけるゲル化剤の含有量は、例えば、0.01〜1.0質量%であることが好ましい。
また、負極合剤には、酸化インジウムなどのインジウム化合物や、酸化ビスマスなどのビスマス化合物を少量含有させることもできる。これらの化合物を含有させることにより、亜鉛系粒子と電解液との腐食反応によるガス発生をより効果的に防ぐことができる。ただし、これらの化合物は、あまり含有させすぎると電池の負荷特性を低下させる虞があるので、このような問題の生じない範囲で、必要に応じた含有量を決定することが好ましい。例えば、インジウム化合物、ビスマス化合物共に、亜鉛系粒子100質量部に対して、0.003〜0.05質量部程度とすることが推奨される。
<セパレータ>
本発明の電池では、セパレータとして不織布を使用する。セパレータに用いる不織布としては、例えば、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布などを用いることができる。また、不織布に、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを混合して用いることもできる。
本発明の電池では、セパレータとして不織布を使用する。セパレータに用いる不織布としては、例えば、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布などを用いることができる。また、不織布に、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを混合して用いることもできる。
セパレータは、電解液を保持すると共に、正極と負極との接触を防止するために極間距離を確保する機能を有しているが、正極に係る銀−ニッケル複合酸化物の溶解により生じた銀イオンが、負極で還元されて銀となり、これが不織布の空隙内で析出して正極と負極とを繋ぐ導電パスとなると、短絡を生じてしまう。このような短絡の発生をより確実に防止するためには、正極−負極間の距離(すなわち、セパレータの厚み)は、0.25mm以上であることが好ましく、0.3mm以上であることがより好ましい。他方、正極−負極間の距離が大きすぎる場合には、電池内のスペースに無駄が生じると共に、電池の負荷特性が低下することもあるため、正極−負極間の距離(すなわち、セパレータの厚み)は0.6mm以下であることが好ましい。
正極−負極間の距離を確保するためには、セパレータとして1枚の不織布を用い、その厚みを調節することで対応可能であるが、薄い不織布を2枚以上(2枚、3枚、4枚など)重ねてセパレータを構成し、上記好適厚みとしてもよい。
また、正極の銀−ニッケル複合酸化物により生じる銀に起因して発生し得る短絡を、より確実に防止するために、セパレータの遮蔽性を向上させるには、不織布を構成する繊維をフィブリル化することも好ましい。
<電解液>
本発明の円筒形アルカリ電池は、上記の正極および負極を、セパレータと共に円筒状の外装体内部に封入することにより作製される(詳しくは後述する)。上記の通り、正極を構成する正極合剤、および負極を構成する負極合剤には、それぞれアルカリ電解液が含まれているが、これらのアルカリ電解液のみではその液量が不足することがあるため、更に電解液を電池内に注入して、セパレータや正極に吸収させることが望ましい。
本発明の円筒形アルカリ電池は、上記の正極および負極を、セパレータと共に円筒状の外装体内部に封入することにより作製される(詳しくは後述する)。上記の通り、正極を構成する正極合剤、および負極を構成する負極合剤には、それぞれアルカリ電解液が含まれているが、これらのアルカリ電解液のみではその液量が不足することがあるため、更に電解液を電池内に注入して、セパレータや正極に吸収させることが望ましい。
セパレータや正極に吸収させるために電池内に注入する電解液としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなど)の水溶液が好ましく、水酸化カリウムの水溶液がより好ましい。水酸化カリウム水溶液の場合、電池の負荷特性を更に向上させたり、短絡時における発熱を抑制したりする観点からは、水酸化カリウム濃度を、33.5質量%以下とすることが好ましい。他方、水酸化カリウム水溶液の濃度が大きいほど、電池を高温下で貯蔵したときの特性劣化が小さくなるため、水酸化カリウム濃度を、28質量%以上、より好ましくは30質量%以上とすることが推奨される。
また、亜鉛系粒子の腐食(酸化)を防止して貯蔵時の特性劣化を抑制する作用を向上させるために、正極合剤形成に用いる電解液、負極合剤形成に用いる電解液および別途電池内に注入するための電解液のうちの少なくとも1つに、亜鉛化合物を含有させておくことが望ましい。亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、ケイ酸亜鉛、チタン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などの可溶性化合物を用いることができ、特に、酸化亜鉛が好適に用いられる。上記のいずれの電解液においても、これらの亜鉛化合物の濃度は、例えば、1.0〜4.0質量%とすることが好ましい。
<アルカリ電池の構造、およびその他の構成要素>
本発明のアルカリ電池では、その形状などについては、特に制限は無いが、例えば、筒形(円筒形や角筒形など)の形状のものが挙げられる。以下、図面を用いて、本発明の電池の構造を説明する。図1は、本発明のアルカリ電池の一例を示す断面図である。図1のアルカリ電池は、金属製(Niメッキを施した鉄、ステンレス鋼など)の外装缶1内に、中空円筒状に成形された正極2(正極合剤成形体)が配置されており、その内側にコップ状のセパレータ3が配置され、アルカリ電解液(図示しない)がセパレータ3の内側から注入されている。更にセパレータ3の内側には亜鉛系粒子を含む負極4(ゲル状の負極合剤)が充填されている。外装缶1における1bは正極端子である。外装缶1の開口端部1aには、金属製(Niメッキを施した鉄、ステンレス鋼など)の負極端子板7が配されており、樹脂製の封口体6の外周縁部62を介して該開口端部1aが内側に折り曲げられて封口されている。負極端子板7には、金属製(Snメッキなどを施した真鍮など)の負極集電棒5が、その頭部で溶接されており、負極集電棒5は、封口体6の中央部61に設けられた透孔64を通じて負極4内に挿入されている。また、封口時の負極端子板7の変形を防ぎ、かつ封口体6を内側から支える支持手段として、金属ワッシャ9(円板状の金属板)が配置されている。そして、樹脂製の封口体6には、防爆用の薄肉部63が形成されている。短絡時に電池内においてガスが発生した場合、封口体6の薄肉部63が優先的に開裂し、生じた裂孔からガスが金属ワッシャ9側に移動する。金属ワッシャ9および負極端子版7にはガス抜き孔が設けられており(図示しない)、電池内のガスは、これらのガス抜き孔を通じて電池外に排出される。なお、本発明の電池では、負極に、上記特定の形態を有する亜鉛系粒子を用いており、これにより放電時のみならず短絡時における負極の反応性も制御して、短絡時における温度上昇も抑制している。そのため、電池の短絡時における封口体6の軟化が防止されることから、薄肉部63の開裂が良好に生じるため、電池の破裂が高度に抑制される。
本発明のアルカリ電池では、その形状などについては、特に制限は無いが、例えば、筒形(円筒形や角筒形など)の形状のものが挙げられる。以下、図面を用いて、本発明の電池の構造を説明する。図1は、本発明のアルカリ電池の一例を示す断面図である。図1のアルカリ電池は、金属製(Niメッキを施した鉄、ステンレス鋼など)の外装缶1内に、中空円筒状に成形された正極2(正極合剤成形体)が配置されており、その内側にコップ状のセパレータ3が配置され、アルカリ電解液(図示しない)がセパレータ3の内側から注入されている。更にセパレータ3の内側には亜鉛系粒子を含む負極4(ゲル状の負極合剤)が充填されている。外装缶1における1bは正極端子である。外装缶1の開口端部1aには、金属製(Niメッキを施した鉄、ステンレス鋼など)の負極端子板7が配されており、樹脂製の封口体6の外周縁部62を介して該開口端部1aが内側に折り曲げられて封口されている。負極端子板7には、金属製(Snメッキなどを施した真鍮など)の負極集電棒5が、その頭部で溶接されており、負極集電棒5は、封口体6の中央部61に設けられた透孔64を通じて負極4内に挿入されている。また、封口時の負極端子板7の変形を防ぎ、かつ封口体6を内側から支える支持手段として、金属ワッシャ9(円板状の金属板)が配置されている。そして、樹脂製の封口体6には、防爆用の薄肉部63が形成されている。短絡時に電池内においてガスが発生した場合、封口体6の薄肉部63が優先的に開裂し、生じた裂孔からガスが金属ワッシャ9側に移動する。金属ワッシャ9および負極端子版7にはガス抜き孔が設けられており(図示しない)、電池内のガスは、これらのガス抜き孔を通じて電池外に排出される。なお、本発明の電池では、負極に、上記特定の形態を有する亜鉛系粒子を用いており、これにより放電時のみならず短絡時における負極の反応性も制御して、短絡時における温度上昇も抑制している。そのため、電池の短絡時における封口体6の軟化が防止されることから、薄肉部63の開裂が良好に生じるため、電池の破裂が高度に抑制される。
図2に、本発明のアルカリ電池の他の例の断面図を示す。図2中、図1と同じ作用を有する要素は同じ符号を付して、重複説明を避ける。図2中、8は、外装缶1と負極端子板とを絶縁するための絶縁板であり、20は、発電要素を収納している胴部分である。
図1に示すアルカリ電池では、金属ワッシャ9を使用している関係上、封口部分(図1中、10)の占める体積が大きくなってしまう。これに対し、この図2の電池のように金属ワッシャをなくし、封口体6を内側から支える支持手段として負極端子板7を利用することで、封口部分10の占める体積を減少させて発電要素を収容できる胴部分20の体積を大きくすることができ、正極2および負極4の各合剤の充填量を、図1の電池よりも高めることができる。
本発明の円筒形アルカリ電池は、優れた負荷特性と信頼性とを兼ね備えており、特に高い負荷特性が要求される用途(デジタルカメラの電源用途など)を始めとして、従来公知の円筒形アルカリ電池が適用されている各種用途に好適に用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
正極活物質(二酸化マンガンおよび銀−ニッケル複合酸化物)、黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン粉末および正極合剤調製用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を2.9質量%含有する56質量%水酸化カリウム水溶液)を、87.6:6.7:0.2:5.5の質量比で、50℃の温度下で混合して正極合剤を調製した。
正極活物質(二酸化マンガンおよび銀−ニッケル複合酸化物)、黒鉛、ポリテトラフルオロエチレン粉末および正極合剤調製用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を2.9質量%含有する56質量%水酸化カリウム水溶液)を、87.6:6.7:0.2:5.5の質量比で、50℃の温度下で混合して正極合剤を調製した。
なお、二酸化マンガンには、BET比表面積が50m2/gのものを用い、銀−ニッケル複合酸化物には、一般式AgXNiYO2で表され、X/Yが1.2のものを用いた。そして、銀−ニッケル複合酸化物は、二酸化マンガン100質量部に対して、0.8質量部含有させて用いた。
次に、インジウム、ビスマスおよびアルミニウムをそれぞれ0.05質量%、0.05質量%および0.005質量%の割合で含有する亜鉛合金粒子、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸および負極合剤調製用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を2.2質量%含有する33.5質量%水酸化カリウム水溶液)を、39:0.2:0.2:18の質量比で混合して、ゲル状の負極合剤を調製した。
なお、上記亜鉛合金粒子は、平均粒径が102μmで、80メッシュの篩い目を全て通過し、かつ200メッシュの篩い目を通過する亜鉛合金粒子が、全亜鉛合金粒子量に対して30質量%であって、そのかさ密度は2.63g/cm3であった。
外装缶として、表面に無光沢Niメッキを施したキルド鋼板製で、図2に示す形状の単3形アルカリ電池用外装缶1を用意した。この外装缶1は、封口部分10の厚みが0.25mmで、胴部分20の厚みが0.16mmに加工され、また、電池を落下させたときに正極端子1bのへこみを防ぐために、正極端子部分の缶厚を胴部分20より多少厚くしている。この外装缶1を用いて、以下のようにしてアルカリ電池を作製した。
上記正極合剤:約11gを、内径:9.1mm、外径:13.7mm、高さ:13.9mmの中空円筒形状に加圧成形(密度:3.21g/cm3)し、それらを3個積み重ねた状態で外装缶1に挿入した。次に、外装缶1の開口端から高さ方向において3.5mmの位置にグルーブを施し、外装缶1と封口体6との密着性を向上させるために、このグルーブ位置まで外装缶1の内側にピッチを塗布した。
次に、厚みが100μmで目付が30g/m2のアセタール化ビニロンとテンセルからなる不織布を三重に重ねて筒状に巻き、底部になる部分を折り曲げてこの部分を熱融着し、一端が閉じられたコップ状のセパレータ3とした。従って、セパレータ3の厚み(すなわち、正極2と負極4との距離)は0.3mmである。このセパレータ3を、外装缶1内に挿入された正極2の内側に装填し、注入用のアルカリ電解液(酸化亜鉛を2.2質量%含有する33.5質量%水酸化カリウム水溶液):1.35gをセパレータの内側に注入し、さらに、上記負極合剤:5.74gをセパレータ3の内側に充填して負極4とした。
上記発電要素の充填の後、表面がスズメッキされた真鍮製であり、ナイロン66製の封口体6と組み合わされた負極集電棒5を、負極4の中央部に差し込み、外装缶1の開口端部1aの外側からスピニング方式によりかしめることにより、図2に示す構造の単3形アルカリ電池を作製した。ここで、上記負極集電棒5は、打ち抜き・プレス加工により形成された厚みが0.4mmのニッケルメッキ鋼板製の負極端子板7に、あらかじめ溶接により取り付けられたものを用いた。また、外装缶1の開口端と負極端子板7との間には、短絡防止のために絶縁板8を装着した。以上のようにして実施例1の円筒形アルカリ電池を作製した。
実施例2
正極活物質として、銀−ニッケル複合酸化物を二酸化マンガン100質量部に対して、0.3質量部含有させたものを用いた他は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
正極活物質として、銀−ニッケル複合酸化物を二酸化マンガン100質量部に対して、0.3質量部含有させたものを用いた他は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
比較例1
正極活物質として、銀−ニッケル複合酸化物を二酸化マンガン100質量部に対して、0.02質量部含有させたものを用いた他は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
正極活物質として、銀−ニッケル複合酸化物を二酸化マンガン100質量部に対して、0.02質量部含有させたものを用いた他は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
比較例2
正極活物質として、銀−ニッケル複合酸化物を二酸化マンガン100質量部に対して、5.0質量部含有させたものを用いた他は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
正極活物質として、銀−ニッケル複合酸化物を二酸化マンガン100質量部に対して、5.0質量部含有させたものを用いた他は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
比較例3
銀−ニッケル複合酸化物を正極合剤に含有させなかった他は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
銀−ニッケル複合酸化物を正極合剤に含有させなかった他は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
比較例4
負極に用いる亜鉛合金粉末の形態を、平均粒径が122μmで、80メッシュの篩い目を全て通過し、且つ200メッシュの篩い目を全てが通過しないもの(かさ密度は2.65g/cm3)に変更した他は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
負極に用いる亜鉛合金粉末の形態を、平均粒径が122μmで、80メッシュの篩い目を全て通過し、且つ200メッシュの篩い目を全てが通過しないもの(かさ密度は2.65g/cm3)に変更した他は、実施例1と同様にしてアルカリ電池を作製した。
実施例1、2および比較例1〜4の各電池について、下記の負荷特性評価を行った。また、実施例1、2および比較例1〜4の電池に係る正極(正極合剤成形体)について、下記の成形性評価を行った。結果を表1に示す。
<電池の負荷特性評価>
電池の負荷特性は、ベース放電電流を0.5Aとし、30秒間隔で2Aのパルス電流を2秒間流すパルス放電試験を行い、2Aのパルス電流が流れた時点の電圧が1.0V以下に低下するまでに要するパルス放電の回数により評価した。
電池の負荷特性は、ベース放電電流を0.5Aとし、30秒間隔で2Aのパルス電流を2秒間流すパルス放電試験を行い、2Aのパルス電流が流れた時点の電圧が1.0V以下に低下するまでに要するパルス放電の回数により評価した。
<正極合剤成形体の成形性評価>
正極合剤成形体の成形性は、上記成形条件にて作製した中空円筒状の成形体を円筒部分に、横方向から荷重をかけた時の破壊する強度をプッシュプルゲージにより測定した。測定点数は各3個とし、その平均値を各正極合剤成形体の強度とした。このように測定される成形体強度が500g未満のときには、正極合剤成形体の生産性に低下が見られるため、生産性を考慮した場合、強度が500g以上であれば、正極合剤成形体の成形性が良好であるといえる。
正極合剤成形体の成形性は、上記成形条件にて作製した中空円筒状の成形体を円筒部分に、横方向から荷重をかけた時の破壊する強度をプッシュプルゲージにより測定した。測定点数は各3個とし、その平均値を各正極合剤成形体の強度とした。このように測定される成形体強度が500g未満のときには、正極合剤成形体の生産性に低下が見られるため、生産性を考慮した場合、強度が500g以上であれば、正極合剤成形体の成形性が良好であるといえる。
表1から明らかなように、実施例1、2の電池は、2Aのパルス電流が流れた時点の電圧が1.0V以下に低下するまでに要するパルス放電回数が多く、良好な負荷特性を有している。また、実施例1、2に係る正極合剤成形体は、高比表面積の二酸化マンガンを用いた場合においても、非常に高い成形体強度を確保できており、優れた成形性を有している。
これに対し、比較例の電池は、上記のパルス放電回数が少なく、負荷特性が劣っている。また、比較例に係る正極合剤成形体のうち、銀−ニッケル複合酸化物の含有量が少ない比較例3に係る正極合剤成形体では、成形体強度が低く、成形性が劣っている。なお、比較例2の電池は、正極における銀−ニッケル複合酸化物の含有量が多すぎるため、電池作製直後に短絡して電池として機能しなかった。
次に、実施例1、2および比較例1、3の電池について、貯蔵時の漏液発生のポテンシャルを確認するために、60℃において40日間貯蔵した場合の電池内部におけるガス量を測定した。また、貯蔵試験に供してない電池について、内部のガス量を測定し、貯蔵前の電池内部のガス量とした。そして、貯蔵後の電池内部のガス量から貯蔵前のガス量を引いて、60℃・40日間貯蔵による電池内部におけるガス増加量を求めた。すなわち、電池内部におけるガス増加量が多い場合には、漏液に到る可能性が高いことを意味している。なお、貯蔵試験は、加速のために60℃の高温環境とした。また、電池内部におけるガス量は、貯蔵前、貯蔵後のいずれにおいても、電池を分解して測定した。結果を表2に示す。
表2から明らかなように、実施例1、2の電池では貯蔵によるガス量の増加が少ないのに対して、比較例1、3の電池では貯蔵によるガス量増加が大きく、実施例の電池よりも貯蔵時の漏液発生のポテンシャルが高いことが分かる。
以上の通り、本発明は、優れた負荷特性を有し、また、長期貯蔵時の漏液や短絡の発生などを抑制した信頼性の高い円筒形アルカリ電池を提供できるものである。
1 外装缶
2 正極
3 セパレータ
4 負極
5 負極集電棒
6 樹脂製の封口体
7 負極端子板
8 絶縁板
9 金属ワッシャ
63 防爆用の薄肉部
2 正極
3 セパレータ
4 負極
5 負極集電棒
6 樹脂製の封口体
7 負極端子板
8 絶縁板
9 金属ワッシャ
63 防爆用の薄肉部
Claims (3)
- 二酸化マンガン、銀−ニッケル複合酸化物、導電助剤およびバインダを含有し、中空円筒状の成形体からなる正極と、亜鉛粒子または亜鉛合金粒子を含有する負極と、不織布からなるセパレータとを有しており、
上記正極は、銀−ニッケル複合酸化物を、二酸化マンガン100質量部に対して0.05〜2質量部含有しており、
上記負極の含有する亜鉛粒子または亜鉛合金粒子のうち、200メッシュの篩い目を通過し得るものが10質量%以上であることを特徴とする円筒形アルカリ電池。 - 銀−ニッケル複合酸化物は、一般式AgXNiYO2で表され、X/Yが1より大きく1.9以下である請求項1に記載の円筒形アルカリ電池。
- 二酸化マンガンのBET比表面積が、40〜100m2/gである請求項1または2に記載の円筒形アルカリ電池。
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-
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- 2006-10-26 JP JP2006290636A patent/JP2008108585A/ja not_active Withdrawn
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