JP4825348B2 - 樹脂のプレス成形方法および成形装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレス分野における樹脂のプレス成形方法および成形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、SMCやBMC等の成形材料が、各分野において広く使用されている。これらの成形材料は成形品の均一肉厚を必要とすることから、偏心荷重が生じないように特殊なプレス成形装置が使用されている。
【0003】
本出願人は、スライドをその4隅で平行に精密に支持する油圧平行支持装置を開発し、SMCやBMC等の成形材料を精度よく成形できる複合樹脂材の油圧プレス成形装置を開発して市場に提供してきている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
油圧プレスは、多種多様な成形品に対してスライドの位置制御や速度制御が柔軟的に対応できて成形しやすいという特徴がある反面、作動油に圧縮性があるためにスライドの偏心や同期調整の制御の難しさが常にともない、上記したようにスライドの平行支持装置を設けて精度を維持するという特殊な技術が必要となるものであった。
【0005】
近年、発泡樹脂材についてもプレス成形する方向にあり、均一なセル組織を生成するため発泡樹脂材の大きな膨張、収縮性に対応して応答性よくプレス成形することが課題となっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、スライドを平行に昇降駆動して樹脂の成形材料をプレス成形する樹脂のプレス成形方法であって、上記スライドに軸対称状に昇降用ロッドをその4隅部に配設してこの昇降用ロッドをACサーボモータで同調駆動してスライドをスライド位置検出器を介して昇降駆動自在に形成し、所定比とした変速装置の伝達装置の入力軸に大出力の主サーボモータのACサーボモータで加圧成形に、小出力の副サーボモータのACサーボモータでスライドの高速下降や高速上昇にそれぞれ接続し、それぞれの主サーボモータ、副サーボモータを同調駆動制御してスライドを所定のストローク−速度線図にそって昇降するようにし、成形用金型の内面側に樹脂の成形材料の膨張、収縮の反力を検出可能に圧力センサーを配設し、圧力センサーで検知してACサーボモータの主サーボモータを所定回数逆転したり、正転してスライドを所定量昇降して成形材料を加圧成形することを特徴とする樹脂のプレス成形方法および装置を提供するにある。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂のプレス成形方法および成形装置は、スライドを平行に昇降駆動して樹脂の成形材料をプレス成形する樹脂のプレスであって、上記スライドに軸対称状に昇降用ロッドをその4隅部に配設してこの昇降用ロッドをACサーボモータで同調駆動してスライドをスライド位置検出器を介して介して昇降駆動自在に形成し、所定比とした変速装置の伝達装置の入力軸に大出力の主サーボモータのACサーボモータで加圧成形に、小出力の副サーボモータのACサーボモータでスライドの高速下降や高速上昇にそれぞれ接続し、それぞれの主サーボモータ、副サーボモータを同調駆動制御してスライドを所定のストローク−速度線図にそって昇降するようにし、成形用金型の内面側にポリプロピレン樹脂等の成形材料の膨張、収縮の反力を検出可能に圧力センサーを配設し、圧力センサーで検知してACサーボモータの主サーボモータを所定回数逆転したり、正転してスライドを所定量昇降して成形材料を加圧成形することを特徴とするものである。
【0008】
プレス成形装置1は、図1のようにベッド2に垂設したアップライト3の上端にクラウン4を架設し、アップライト3間にスライド5を昇降用ロッド6を介して昇降駆動自在に配設している。
【0009】
上記スライド5には、図1のようにその4隅部に十分な剛性の昇降用ロッド6を軸対称状にそれぞれ垂設し、この昇降用ロッド6にスクリュウねじ7を設けて所定長さのナット状の昇降駆動軸8を螺合し、この昇降駆動軸8の上部を軸支部9に軸着してその上端を所定の回転数比率とした伝達装置10の出力軸11にそれぞれ連結している。
【0010】
そして、図1〜図3のように伝達装置10の入力軸12にACサーボモータ13を軸着し、スライド5の位置検出器14等を介してACサーボモータ13を所定のプレスモーションカーブに対応してスライド5を平行に高精度で昇降同調駆動制御するようにしている。
【0011】
伝達装置10としては、10〜20倍等の所定の減速比や増速比とした自動無段変速や自動多段変速のものとすることができ、たとえば、図3(a)、(b)のように伝達装置10をいわゆる遊星歯車列の差動歯車減速機を利用し、ACサーボモータ13として大出力の主サーボモータ13Aと小出力の副サーボモータ13Bをそれぞれの入力軸に接続し、それぞれの主サーボモータ13A、副サーボモータ13Bを図4(c)のように同調駆動制御して図4(a)、(b)のようにスライド5を所定のストローク−速度線図で昇降するようにしている。
【0012】
また、金型15に装填するポリプロピレン樹脂やSMC、その他の複合樹脂や発泡樹脂等の成形材料16をスライド5で加圧成形時に発生する成形材料16の膨張、収縮の反力に対応して、応答性よくACサーボモータ13を所要の正転、逆転制御して伝達装置10を介してスライド5を迅速に所定量上昇したり、下降して図5のように成形材料16の膨張、収縮に追従し、成形材料16に過大や過小の負荷がかからずに所定の適正な負荷でプレス成形できるようにしている。
【0013】
上記ACサーボモータ13を駆動制御するには、所定のプログラム設定にもとづいて図4のようにプレスモーションカーブに対応して同調回転制御するとともに、図1のようにたとえば金型15の内面側に圧力センサー17を設けて金型15に装填する成形材料16に負荷する圧力を検出し、この検出圧力にもとづいて所定の設定圧力となるように上記したようにACサーボモータ13を回転制御してスライド5を応答性よく所定量昇降するようにできるものである。
【0014】
なお、スライド5の同調駆動制御としては、図6のようにスライド5の一方側の前部の昇降用ロッド6に対して、後部側と、スライド5の他方側の前部の昇降用ロッド6を同調制御を行い、スライド5の上記後部側または他方側の昇降用ロッド6にもとづいてスライド5の他方側の後部の昇降用ロッド6の同調制御を行ってスライド5を平行に維持するようにできる。
【0015】
上記では、スクリュウ方式のプレスについて説明したが、リンクプレス、その他本発明の趣旨にもとづく金属加工用メカニカルプレスについて適用できるものである。
【0016】
【実施例】
図1〜図6は、本発明の一実施例を示すものである。プレス成形装置1は、図1のようにスクリュウ方式のプレスとし、そのスライド5に軸対称に垂設した昇降用ロッド6にねじ・ナット機構を介してサイクロ減速機のような歯型形式の遊星歯車列の伝達装置10を図3のように接続し、ACサーボモータ13である15KW、2000r.p.mの主サーボモータ13Aと、3KW、1925r.p.mの副サーボモータ13Bを伝達装置10の入力軸12にそれぞれ接続して、図4(a)、(b)、(c)のように所要のプレスモーションカーブに主サーボモータ13A、副サーボモータ13Bを駆動制御するようにしている。
【0017】
上記伝達装置10の遊星歯車列は、たとえば図3(a)、(b)のようにピニオン歯車Aに一体形成の複合歯車B、Cを係合し、腕Gの外周部に左右の歯車D、Eを連結した連結軸Iを軸着し、歯車Dを複合歯車Cに係合し、歯車Eを出力軸の歯車Fに係合して形成してできるものである。Jは、ピニオン歯車Aを停止するためのブレーキである。
【0018】
そして、主サーボモータ13Aの2000r.p.mの回転数に対して昇降駆動軸8の回転数を6.25r.p.mとして加圧成形に、副サーボモータ13Bの1925r.p.mの回転数に対して昇降駆動軸8の回転数を625r.p.mとしてスライド5の下降や上昇するようにし、スライド位置検出器14を介して上記したようにスライド5を500mm/秒の高速での同調昇降や、0〜5mm/秒のゆっくりした同調加圧、1000KN時の出力でプレス成形できるようにしている。
【0019】
そしてまた、加圧時に発生する成形材料16の反力を金型15の内面側に設けた圧力センサー17で検知し、ACサーボモータ13の主サーボモータ13Aを所定回数逆転したり、正転したりして図5のようにスライド5を昇降して金型15の開閉量を所定量にわたって調整したり、プレス加圧力を調整してプレス成形していくようにしている。
【0020】
このようにACサーボモータでスライドを昇降駆動することによって、スライドを高速から低速へ、また低速から高速への速度変換を円滑に行えてプレス成形することができる。
【0021】
そして、スライドの加圧時には小出力の副サーボモータの回転速度を0ないし低速にして差動歯車減速機の出力軸の回転数を所定の低速にして大出力の主サーボモータを制御して加圧し、スライドの非加圧の下降時や上昇時に小出力の副サーボモータの回転速度を高速にして出力軸の回転数を所定の高速にし、所要のプレススライドモーション線図となるようにしてスライドを駆動制御でき、低騒音で、スライドの位置制御、速度制御の迅速化、高精度化をはかることができる。スライド5の同調駆動制御としては、図6のようにスライド5の一方側の前部の昇降用ロッド6に対して、後部側と、スライド5の他方側の前部の昇降用ロッド6を同調制御を行い、スライド5の上記後部側または他方側の昇降用ロッド6にもとづいてスライド5の他方側の後部の昇降用ロッド6の同調制御を行ってスライド5を平行に維持するようにできる。
【0022】
また、スクリュウねじの回動によってスライドを往復駆動するようにしたスクリュウ方式のプレスなので、副サーボモータの停止位置を変更することで容易にスライドのストロークの所望位置で加圧工程に入るようにすることができ、全ストロークのどの位置でも最大出力を負荷することが可能となるものである。
【0023】
またさらに、発泡樹脂材等の成形材料の加圧時での膨張、収縮に対応して、迅速かつ高精度の応答特性を有するACサーボモータでスライドを所定量迅速かつ高精度に同調駆動して昇降できるので、成形材料の均一なセル組織の生成が可能となるものである。
【0024】
なお、伝達装置として、SC型無段変速機やチェーンベルト式無段変速機等の自動無段変速機や、歯車多段列の自動多段変速機を上記したACサーボモータと組み合わせて使用することもできる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明にあっては、スライドに軸対称状に昇降用ロッドをその4隅部に配設してこの昇降用ロッドをACサーボモータで同調駆動してスライドをスライド位置検出器を介してACサーボモータで応答特性よく、かつ精度よくスライドをプレスモーションカーブにしたがって同調駆動していくことができる。そして、所定比とした変速装置の伝達装置の入力軸に大出力の主サーボモータのACサーボモータで加圧成形に、小出力の副サーボモータのACサーボモータでスライドの高速下降や高速上昇に、それぞれの主サーボモータ、副サーボモータを同調駆動制御してスライドを所定のストローク−速度線図にそって昇降することができて、大出力の主サーボモータのACサーボモータと小出力の副サーボモータのACサーボモータで、スライドの位置制御、速度制御の迅速化、高精度化をはかれ、応答特性よく、かつ精度よくスライドを所定量昇降してプレス成形することができる。
【0026】
特に、成形用金型の内面側に樹脂の成形材料の膨張、収縮の反力を検出可能に圧力センサーを配設し、圧力センサーで検知してACサーボモータの主サーボモータを所定回数逆転したり、正転して、成形が難しいSMC等の複合樹脂材や発泡樹脂に対しても、応答特性よく、かつ精度よくスライドを微小量または所定量昇降して成形材料の特性に対応してプレス成形することができる。
【0027】
また、スライドの同調駆動制御としては、スライドの一方側の前部の昇降用ロッドに対して、後部側と、スライドの他方側の前部の昇降用ロッドを同調制御を行い、スライドの上記後部側または他方側の昇降用ロッドにもとづいてスライドの他方側の後部の昇降用ロッドの同調制御を行ってスライドを平行に維持して、スライドをスライド位置検出器を介してACサーボモータで応答特性よく、かつ精度よくプレスモーションカーブにしたがって同調駆動していくことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の一部省略した概要図、
【図2】 同上の平面図、
【図3】 同上のスライド昇降駆動源部の構造説明用側面図(a)と端面図(b)、
【図4】 同上のプレスモーションカーブ(a)、速度線図(b)、主サーボモータ、副 サーボモータの回転制御例図(c)、
【図5】 同上の成形材料の加圧時の成形説明例図、
【図6】 同上のスライド平行制御例図。
【符号の説明】
1…プレス成形装置 5…スライド 6…昇降用ロッド
10…伝達装置 13…ACサーボモータ 14…位置検出器
15…金型 16…成形材料 17…圧力センサー

Claims (4)

  1. スライドを平行に昇降駆動して樹脂の成形材料をプレス成形する樹脂のプレス成形方法であって、
    上記スライドに軸対称状に昇降用ロッドをその4隅部に配設してこの昇降用ロッドをACサーボモータで同調駆動してスライドをスライド位置検出器を介して昇降駆動自在に形成し
    所定比とした変速装置の伝達装置の入力軸に大出力の主サーボモータのACサーボモータで加圧成形に、小出力の副サーボモータのACサーボモータでスライドの高速下降や高速上昇にそれぞれ接続し、それぞれの主サーボモータ、副サーボモータを同調駆動制御してスライドを所定のストローク−速度線図にそって昇降するようにし、
    成形用金型の内面側に樹脂の成形材料の膨張、収縮の反力を検出可能に圧力センサーを配設し、圧力センサーで検知してACサーボモータの主サーボモータを所定回数逆転したり、正転してスライドを所定量昇降して成形材料を加圧成形することを特徴とする樹脂のプレス成形方法。
  2. スライドの同調駆動制御として、スライドの一方側の前部の昇降用ロッドに対して、後部側と、スライドの他方側の前部の昇降用ロッドを同調制御を行い、スライドの上記後部側または他方側の昇降用ロッドにもとづいてスライドの他方側の後部の昇降用ロッドの同調制御を行ってスライドを平行に維持するようにした請求項1に記載の樹脂のプレス成形方法。
  3. スライドを平行に昇降駆動して樹脂の成形材料をプレス成形する樹脂のプレス成形装置であって、
    上記スライドに軸対称状に昇降用ロッドをその4隅部に配設してこの昇降用ロッドをACサーボモータで同調駆動してスライドをスライド位置検出器を介して昇降自在に形成し、
    所定比とした変速装置の伝達装置の入力軸に大出力の主サーボモータのACサーボモータで加圧成形に、小出力の副サーボモータのACサーボモータでスライドの高速下降や高速上昇にそれぞれ接続し、それぞれの主サーボモータ、副サーボモータを同調駆動制御してスライドを所定のストローク−速度線図にそって昇降するようにし、
    成形用金型の内面側に樹脂の成形材料の膨張、収縮の反力を検出可能に圧力センサーを配設し、圧力センサーで検知してACサーボモータの主サーボモータを所定回数逆転したり、正転してスライドを所定量昇降して成形材料を加圧成形自在に形成したことを特徴とする樹脂のプレス成形装置。
  4. スライドの一方側の前部の昇降用ロッドに対して、後部側と、スライドの他方側の前部の昇降用ロッドを同調制御を行い、スライドの上記後部側または他方側の昇降用ロッドにもとづいてスライドの他方側の後部の昇降用ロッドの同調制御を行ってスライドを平行に維持するようにしたスライドを同調駆動制御するように、大出力の主サーボモータのACサーボモータおよび小出力の副サーボモータのACサーボモータを同調駆動制御するようにした請求項に記載の樹脂のプレス成形装置。
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