JP3067548B2 - ポリオレフィン樹脂発泡板及びその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン樹脂発泡板及びその製造方法

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JP3067548B2 JP6247933A JP24793394A JP3067548B2 JP 3067548 B2 JP3067548 B2 JP 3067548B2 JP 6247933 A JP6247933 A JP 6247933A JP 24793394 A JP24793394 A JP 24793394A JP 3067548 B2 JP3067548 B2 JP 3067548B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、厚み方向の剛性が高
く、厚み方向以外では柔軟性に富み、衝撃吸収性、及び
施工性に優れたポリオレフィン樹脂発泡体及びその製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】発泡体の面と垂直な方向での圧縮強度及
び曲げ強度の向上を目的として、特開昭48−4856
2号公報、及び特開昭60−198230号公報に記載
されるような、面と垂直な方向に気泡が縦長の構造をと
る発泡体が知られている。
【0003】また、これら発泡体の製造方法は、ポリオ
レフィン樹脂に発泡剤を加えて押出機にて溶融混練した
後、大気圧下に押出す方法によるものであることが上記
公報に記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開昭48−4856
2号公報によれば、気泡を大きく成長させ、気泡どうし
を隔てる壁を厚くすることによって、耐圧縮強度及び曲
げ強度の大きな発泡体が得られ、さらにこのような発泡
体において、気泡を面と垂直な方向に細長く並んだ構造
とすることで、面と垂直な方向の耐圧縮強度が著しく大
きくなるとある。しかし、このように気泡壁が厚い場合
には、面に垂直な方向以外の方向においても同様に強度
が高くなるため、形状変化に乏しい発泡体となり、用途
的には平板として使用される場合に限定されてしまう。
【0005】また、特開昭60−198230号公報に
記載される発泡板は密度が高いため、剛性は大きくと
も、断熱性、緩衝性及び柔軟性を期待できるものではな
い。
【0006】これらの発泡体は衝撃吸収性の面から優れ
たものとは言えない。発泡体はその形状変化によって衝
撃を吸収するが、これは言い換えれば気泡どうしを隔て
る気泡壁の変形による作用であり、この変形は衝撃が加
わる以前に気泡が占めていた空間分だけ可能である。し
かし、発泡体が高密度である場合には、発泡体の体積に
占める気泡の体積が小さくなるため気泡壁の変形の度合
いも小さくなり、発泡体の衝撃吸収作用は低下する。
【0007】また、気泡壁が厚く強度が高い場合には、
気泡壁の変形が起こり難く、柔軟な衝撃の吸収は行われ
にくくなる。
【0008】一方、低密度であり、球状の気泡構造を有
する柔軟性に優れた発泡体の衝撃吸収性は、形状変化の
容易さにより優れたものであり、従来より緩衝目的で使
用されてきた。しかし、このような発泡体は、比較的小
さな衝撃は有効に吸収するものの、変形の限界を超える
ような大きな衝撃に対しては、その性能が極端に低下す
るという問題があり、そのため、重量物の衝突のような
大きな衝撃を吸収する目的で使用されることは少なく、
この場合ゴム製品を利用することが主である。本発明
は、これらの問題点を解決するため考案されたものであ
り、その目的は次のような発泡板とその製造方法を提供
することにある。
【0009】1)発泡板の面に垂直な方向では圧縮強度
が高く、しかも、発泡板面と垂直な方向以外の方向にお
いては柔軟であることにより形状変化が可能であるよう
な発泡板。
【0010】2)大きな衝撃を有効に吸収する発泡板。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、気泡構
造によって特徴付けられる発泡板及びこの気泡構造を形
成するのに有効な製造方法にあり、詳細には気泡構造が
(a)発泡板の面と平行な方向の大きさに対する発泡板
の面と垂直な方向の大きさの比が2.5〜10.0であ
るものの割合が85%以上、(b)発泡板の面と平行な
方向の大きさが500μm以下であるものの割合が70
%以上の独立気泡であり、発泡板の面と平行の方向の圧
縮強度に対する発泡板の面と垂直な方向の圧縮強度の比
が2以上、発泡倍率が5〜20倍であることを特徴とす
るポリオレフィン樹脂発泡板であり、また、その製造方
法は、ポリオレフィン樹脂、化学発泡剤及び架橋剤から
なる混合物を、対向する一対の互いに内面が平行である
成形型によって加圧し、化学発泡剤の分解温度以上に加
熱し、ついで上記成形型間を0.1〜10mm/秒の速
度で間隔を開いていって、ポリオレフィン樹脂を加圧時
の内面に垂直な方向へのみ膨張させることを特徴とす
る。
【0012】本発明におけるポリオレフィン樹脂とはポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフィ
ン系重合体、またはエチレン−プロピレン共重合体、エ
チレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等のオレフ
ィン系共重合体、またはこれらの重合体と混合可能なゴ
ムあるいはプラスチックを混入した混合物をいう。
【0013】ポリオレフィン樹脂に加えられる化学発泡
剤としては、加熱により分解しガスを発生する有機化合
物であり、アゾジカーボンアミド等のアゾ化合物、N,
N’−ジニトロペンタメチレンテトラミン等のニトロソ
化合物などが挙げられる。
【0014】また、ポリオレフィン樹脂に混合させる架
橋剤としては、例えばベンゾイルパーオキシド、2,5
−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオキシヘキサ
ン、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロキシパ
ーオキサイド等の有機過酸化物、あるいは1,9−ノナ
ンビススルフォンアザイド、1,7−ヘプタンビススル
フォンアザイド等のアジド化合物、またはビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン化
合物がある。また、この場合架橋を促進する架橋助剤、
例えばトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌ
レート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、
1,2−ポリブタジエン等を併用することができる。
【0015】面に垂直な方向に縦長の気泡構造を有する
発泡板を、面に平行な方向から圧縮した場合、発泡板内
の気泡壁は、細長く伸びたその側面より力を受けること
になるため曲がりやすく、発泡板も同方向に変形を起こ
しやすい。
【0016】この発泡板の変形の度合いは、樹脂自体の
剛性を別にすれば、気泡壁の薄さ及び長さに大きく依存
する。つまり、気泡壁がより薄く、長くなれば、発泡板
の面に平行な方向の柔軟性は増し、発泡板の面に垂直な
方向では剛性が低下する。そして、この気泡壁の細長さ
がある限界を超た時点から気泡構造は不安定となり、面
に垂直な方向からの圧縮に対して、発泡板はつぶれ易く
なる。
【0017】本発明の発泡体は、これら気泡構造の変化
による発泡体への影響について研究を重ねた結果得られ
たものである。つまり、発泡板の面と平行な方向の気泡
の大きさに対する発泡板の面と垂直な方向の気泡の大き
さの比によって、気泡壁の細長さを、また、発泡板の面
と平行な方向の気泡の大きさ及び発泡倍率によって気泡
壁の薄さを調整した結果、発泡板の面と平行の方向の圧
縮強度に対する発泡板の面と垂直な方向の圧縮強度の比
が2以上である本発泡板が得られた。このような発泡板
は面に垂直な方向で剛性が高く、面と平行な方向からは
圧縮が容易であるとともに緩衝性が高く、しかもアコー
ディオンのように曲げることも可能である。
【0018】ただし、発泡板の面と平行な方向の気泡の
大きさに対する発泡板の面と垂直な方向の気泡の大きさ
の比が10.0を超える場合には気泡壁が長くなりす
ぎ、また、発泡倍率が20倍を超える場合には気泡壁が
薄くなりすぎるため、前述するような発泡体の強度の著
しい低下が認められる。本発明における発泡板の気泡構
造は、以上のような発泡板の強度にのみ作用するもので
はなく、衝撃の吸収という点においてもその役割は重要
である。
【0019】例えば、ある物体が発泡体に衝突する場合
を考える。まず、球状気泡を有する柔軟な発泡体の衝撃
吸収は、衝撃エネルギ−を発泡体の弾性的な変形に変換
することによってなされるものであり、この時発泡体は
スプリングのように吸収したエネルギ−を反力として発
散するため、衝突物体への反発作用は大きくなる。ま
た、柔軟な発泡体は小さなエネルギ−によって変形の限
界にまで達するため、大きなエネルギ−の吸収に対して
は、厚みを増すことによって対応せざるを得ないが、こ
の場合、発泡体はかさ高いものになり、その用途範囲は
限定される。逆に、密度を上げるか、もしくは特開昭4
8−48562号公報のように、気泡を大きくするとと
もに気泡壁を厚くすることによって、容易に変形し得な
い発泡体とした場合には、前述したように気泡壁の変形
範囲が小さくなったり、気泡壁の柔軟な変形が起こら
ず、衝撃吸収にはマイナスに作用する結果となる。
【0020】つまり、大きな衝撃の吸収には、容易に変
形せず、しかも密度の低く気泡壁の薄い発泡体が要求さ
れる。このような条件を満たすものとして本発明におけ
る発泡板の有用性が見い出された。
【0021】面に垂直な方向に気泡が縦長である発泡板
に、ある物体が衝突する場合の衝撃吸収方法は図1にし
めすように考えられる。つまり、発泡板1は小さな衝撃
のエネルギ−によっては、その高い圧縮強度から容易に
は変形せず、ある限界の衝撃エネルギ−までは弾性体と
してその形態、強度を維持し、限界以上のエネルギ−が
加わった時点より、衝撃エネルギ−を塑性的な変形のエ
ネルギ−に変換して吸収するのである。
【0022】具体的に説明すれば、縦長に成長した気泡
壁は、その成長方向からの圧縮に対して大きな強度をし
めし、竹のようにしなりつつも容易には折れ曲がらない
ため、その折り曲げには多くのエネルギ−が消費され
る。そして、このようなエネルギ−の吸収容量の大きい
気泡壁の層が幾層にも積み重なったものが本発明におけ
る発泡板である。
【0023】しかし、気泡壁が単に発泡体の面に垂直な
方向に縦長であっても、特開昭48−48562号のよ
うな気泡の大きい発泡体では、発泡体の単位体積当たり
に含まれる気泡壁が少なくなるため、衝撃の加わる面積
が小さい場合、あるいは衝撃が加わる方向での発泡体の
厚みが薄い場合においては特に気泡壁が不足し、有効に
衝撃が吸収できないとの問題がある。
【0024】また、このような気泡の形状、大きさに加
え、気泡の均一性も衝撃が加わった際、ある一部分への
応力集中を抑制し、均等に衝撃を分散させる意味で衝撃
吸収には欠かせない要素である。
【0025】本発明における発泡板は、以上のような見
地に基づき検討を行った結果得られたものであり、その
気泡構造において、発泡板の面と平行な方向の大きさに
対する発泡板の面と垂直な方向の大きさの比が2.5〜
10.0であるものの割合が85%以上であり、好まし
くは3〜6の範囲に含まれるものの割合が80%以上で
あるものが、大きな衝撃の吸収体として好ましい。さら
に、発泡板の面と平行な方向の大きさが500μm以下
であるものの割合が70%以上であるとともに、発泡倍
率5〜20倍の発泡板が、大きな衝撃の吸収体として最
も好ましいことを知見した。
【0026】ただし、発泡板の気泡構造において、発泡
板の面に平行な方向の大きさに対する発泡板の面に垂直
な方向の大きさの比が2.5以下の場合及び10.0を
こえる場合には、その気泡壁は小さな衝撃によっても容
易に変形するため、目的とする大きな衝撃の吸収には効
果を発揮しない。
【0027】また、発泡倍率が5倍より小さい場合は、
前述のとうり、気泡壁の変形範囲が小さくなり、さらに
20倍を超える場合には、発泡板の強度が小さくなり、
大きな衝撃が加われば発泡板全体が容易につぶれてしま
う。
【0028】さらに、発泡板の面と平行な方向の大きさ
が500μm以下であるものの割合が70%以上である
本発泡体は、上述するような小さな気泡の均一性を充分
に満足するものである。
【0029】このような発泡板は、ある限界を超えた衝
撃を加えた場合にその衝撃吸収効果を最大限に発揮する
ものであるが、この限界値は発泡倍率、気泡の細長さの
度合い、気泡の大きさを前記範囲のなかで調整すること
により、さまざまな値を設定することができる。また、
球状の気泡を有し、弾性的に変形する柔軟な発泡体を本
発泡板と組み合わせることにより限界値以下の衝撃につ
いても吸収性能を向上させることが可能である。この組
み合わせ方としては本発泡体の上面あるいは下面に3次
元的発泡体を張り合わせることが考えられ、さらにはサ
ンドイッチ構造として幾層にも重ね合わせることもでき
る。
【0030】以上説明したような発泡板を、従来の発泡
体の製造方法である押出発泡法により製造する場合に
は、次のような問題点が生じる。
【0031】まず第一に、樹脂の膨張時に、ロール等に
よる引き取りに起因する余分な張力が発泡板の面に垂直
な方向以外より加わることにより、気泡が張力方向へ引
き延ばされつつ成長することである。
【0032】第二に、押出機内の加圧条件下において発
生したガスは、樹脂中に微小な気泡核として圧縮された
状態で存在しており、この気泡内のガス圧を押出時に瞬
時に開放したのでは、気泡周囲の樹脂は気泡の成長に伴
う急激な延伸に耐えきれずに破壊され、粗大化した不均
一な気泡が形成される。
【0033】第三として、樹脂膨張時において、樹脂中
のガスは気泡を充分に成長させる以前に樹脂中、または
気泡内を透過して樹脂表面より外部へと逃散し、充分な
発泡倍率が得られないことが挙げられる。
【0034】つまり、気泡構造が発泡板の面に垂直な方
向に縦長であり、中〜高倍率に発泡した本発泡板を得る
には、樹脂をある一方向にのみ膨張させ、その膨張速度
をゆるやかに保ち、しかも樹脂膨張時の樹脂表面からの
ガス逃散を抑制しなければならない。
【0035】そこで本発明者は、このようなことを満足
させる発泡体の製造方法として、ポリオレフィン樹脂、
化学発泡剤及び架橋剤からなる混合物を、対向する一対
の互いに内面が平行である成形型によって加圧し、化学
発泡剤の分解温度以上に加熱し、ついで上記成形型間を
0.1〜10mm/秒の速度で間隔を開いていって、ポ
リオレフィン樹脂を加圧時の内面に垂直な方向へのみ膨
張させることとした。この製造方法において、成形型は
樹脂が自然に膨張しようとする速度以下で開放されるた
め、樹脂の膨張は、樹脂表面が成形型に接しながらゆる
やかに行われることになる。また、樹脂表面が成形型に
密着した状態であれば、樹脂膨張時における表面からの
ガス逃散は大幅に軽減される。
【0036】ただし、この成形型の開放速度が0.1m
m/秒以下の場合には発泡体の製造速度が非常に遅くな
り、工業的な実用価値が低くなり、また10mm/秒以
上の場合には、気泡成長速度の増加に伴う気泡壁の破壊
が著しくなる。
【0037】このような成形型の開放速度の制御に加
え、樹脂に架橋を施し、溶融時の気泡周囲の樹脂粘弾性
を高めることは、さらに気泡の成長を緩やかに保ち、気
泡壁を安定に形成させる効果をもたらす。
【0038】しかし、ここで行われる架橋は、成形型の
開放速度の制御による効果を失わせるものであってはな
らない。つまり、過剰な架橋は個々の気泡の成長を樹脂
粘弾性によってのみ規制するため、気泡の成長は3次元
的に行われ、ある一方向への成長は起こり得ない。故
に、本発泡体の製造において添加される架橋剤の量はポ
リオレフィン樹脂の組成、目的とする発泡倍率、気泡形
状、気泡径等により異なるが、通常ポリオレフィン樹脂
100重量部に対し0.05重量部〜0.5重量部の範
囲内にあることが好ましい。
【0039】以上のような製造方法を連続的に行う方法
として、互いに逆方向に回転する一対のエンドレスベル
ト間に発泡剤、架橋剤を配合したポリオレフィン樹脂混
合物を供し、両ベルト間にて狭圧しつつ加熱による架橋
剤及び発泡剤の分解、そしてベルト間隔を広げることに
よる樹脂膨張を行こなわせるダブルベルト成形方法が可
能である。この製造方法によれば、樹脂の搬送速度の調
整、あるいはベルト間隔を広げる工程におけるベルトの
傾斜角度の調整により樹脂膨張をゆるやかに制御するこ
とができる。
【0040】
【実施例】本発明を実施例を用いて説明するが、本発明
はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0041】実施例中のメルトフロ−レ−ト(以下MF
Rと略す)は、プロピレンエチレンランダムコポリマー
では、JIS K 6758、230℃ 荷重2160
gf、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンでは、
JIS K 6760、190℃、荷重2160gfの
条件による。
【0042】発泡倍率は任意の部分より直方体の発泡片
を切り取り、この外寸法をノギスを用いて計測して容積
を計算し、発泡体片の重量を容積にて除し、密度を算出
する。そして、前記した発泡成形に供されるべき未発泡
シ−トの密度を本発泡体の密度にて除した値を発泡倍率
とした。
【0043】発泡板の面と平行な方向の大きさが500
μm以下である気泡数の割合は以下に示す方法で測定し
た。
【0044】発泡板を発泡板の面と平行な方向に切断し
た断面のうち任意の部分を、光学顕微鏡(ニコン(株)
製、製品名SMZ−2T)によって10倍に拡大して観
察し、光学顕微鏡に接続された写真撮影装置(ニコン
(株)製、製品名MICROFLEX HFX−II)
によって写真撮影し、本写真中に観察される全気泡のう
ち径が500μm以下の気泡数の割合を求めた。
【0045】圧縮強度はJIS K 6767によっ
た。
【0046】気泡径比(垂直/平行)が2.5〜10.
0であるものの割合は以下に示す方法で測定した。
【0047】発泡板を発泡板の面と垂直及び平行な方向
に切断した断面のうち任意の部分を光学顕微鏡(ニコン
(株)製、製品名SMZ−2T)によって10倍に拡大
して観察し、光学顕微鏡に接続された写真撮影装置(ニ
コン(株)製、製品名MICROFLEX HFX−I
I)によって写真撮影する。そして、本写真中に観察さ
れる全気泡について発泡板の面と垂直な方向の気泡径と
発泡板の面と平行な方向の気泡径を測定し、垂直方向の
径を平行方向の径で除した値が2.5〜10の範囲に含
まれる気泡の数の割合を示した。 実施例1 プロピレンエチレンランダムコポリマー(MFR 1.
7g/10分)5600g、アゾジカーボンアミド28
0g、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオ
キシヘキサン4g、1,2−ジビニルベンゼン40gを
50mmφ押出機により溶融混練しTダイを通して未発
泡シートとして押し出した後、プレス発泡成形に供し
た。プレス成形型は図2に示すように、圧縮時の気密性
を保持し、面に平行な方向の膨張を抑制する目的で、対
向する一対の円柱状の成形型をそれぞれ凹状型2、及び
凸状型3とし、凸状型にはOリング状のシリコンゴム製
のパッキン5を設け、さらに凹状型内の外周部に冷却水
路4を設け、シート状に圧縮された溶融樹脂の周辺部を
冷却できるものにした。また、本成形型の開放速度は非
常に低速に制御される必要があるため、電動式モータを
成形型移動の動力として使用した。
【0048】前記押出しシートを成形型間に挿入し、2
0kgf/cm2の圧力にて加圧するとともに成形型を
200℃まで加熱し、発泡剤分解によるガスを発生させ
た後、成形型の温度を降下させ140℃に達した時点に
おいて1.0mm/秒の速度で金型を開放し除圧を行っ
た。なお除圧以前より、金型内の外周部には一定量の冷
却水を流しつづけ、樹脂周囲の冷却固化を行うことによ
り厚み方向以外への膨張を抑制した。得られた発泡板は
面と垂直な方向に縦長に配向した均一微細な気泡を有す
るものであった。
【0049】実施例2 使用する発泡剤量を200gとした以外は実施例1と同
様の条件にて発泡成形を行った。得られた発泡板は実施
例1と比較してさらに気泡が細長くなったものであっ
た。
【0050】比較例1 プロピレンエチレンランダムコポリマー(MFR 1.
7g/10分)5600g、アゾジカーボンアミド56
0g、2,5−ジメチル−2,5−ジt−ブチルパーオ
キシヘキサン8g、1,2−ジビニルベンゼン80gを
実施例1と同様に未発泡シートとして押出した後、図2
の成形型間に挿入し、30mm/秒で金型を開放したこ
と以外は実施例1と同一の条件下にて成形を行った。得
られた発泡板は実施例1で得られたものと比較し、気泡
が不均一で大きく、気泡壁が厚いものであった。
【0051】実施例3 低密度ポリエチレン(MFR 1.0g/10分)56
00g、アゾジカーボンアミド280g、ジクミルパー
オキサイド20gを50mmφ押出機により溶融混練し
Tダイを通して未発泡シートとして押し出した。本シー
トを図2の成形型間に挿入し、20kgf/cm2の圧
力にて加圧するとともに成形型を170℃まで加熱し、
発泡剤分解によりガスを発生させた後、成形型の温度を
降下させ120℃に達した時点において、0.7mm/
秒の速度で金型を開放し除圧を行った。なお除圧以前よ
り、金型内の外周部には一定量の冷却水を流しつづけ
た。得られた発泡板は面に垂直な方向に縦長に配向した
均一微細な気泡を有するものであった。
【0052】実施例4 高密度ポリエチレン(MFR 2.0g/10分)56
00g、アゾジカーボンアミド280g、ジクミルパー
オキサイド18gを50mmφ押出機により溶融混練
し、Tダイを通して未発泡シートとして押し出した。本
シートを図2の成形型間に挿入し、20kgf/cm2
の圧力にて加圧するとともに成形型を190℃まで加熱
し、発泡剤によりガスを発生させた後、成形型の温度を
降下させ130℃に達した時点において、1.0mm/
秒の速度で金型を開放し除圧を行った。なお除圧以前よ
り、金型内の外周部には一定量の冷却水を流しつづけ
た。得られた発泡板は面に垂直な方向に縦長に配向した
均一微細な気泡を有するものであった。
【0053】実施例1〜4、及び比較例1にて得られた
発泡体の特徴を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】次に実施例1、2及び比較例1の発泡体の
衝撃吸収効果を知るため、図3に示すような計測手法を
用いて衝撃吸収特性を調べた。
【0056】図3にて、厚み5cmのスチール製板8上
に50mm×50mm×17.5mmの発泡板6を設置
し、この上から重さ480gの円柱体7を落下させ、衝
突後の円柱体7の反発加速度とスチール製板8の下面の
振動加速度をチャージアンプ9、9’を介してFFT
(Fast Fourier Transfor)アナ
ライザ10にて計測した。11はスチール製板8下面に
備え付けた振動ピックアップ、12は円柱体7に接続さ
れた力変換子を指し、円柱体衝突時におけるスチール製
板下面の振動及び円柱体7の反発力をそれぞれ感知する
役割を果たす。円柱体7を落下させる位置はスチール製
板上面より5〜55cmの高さとした。計測に使用する
発泡板は、実施例及び比較例にある発泡板、そして本発
明発泡板と球状気泡を有する発泡体との衝撃吸収特性の
違いについて確認するため、発泡倍率16倍及び50倍
のビーズ状発泡体((株)ジェイ エス ピー製ポリプ
ロピレン樹脂発泡体)とした。
【0057】図4、及び図5は実施例2で得られた発泡
板及びビーズ状発泡体を使用し、落下させる円柱体7の
落下距離と振動加速度及び反発加速度の関係を示したも
のである。ここに示す振動加速度、反発加速度とは、円
柱体衝突時より発生するスチール製板8下面の振動及び
円柱体7の反発の加速度を計測し、振動が終了するまで
の最大値をとったものであり、これらの値が小さい程、
発泡板の衝撃吸収効果は高いと評価できる。また、落下
した円柱体が発泡板に衝突する直前に有するエネルギ−
は落下高さに比例するので、上記計測における落下距離
は衝撃エネルギ−の大きさの基準として考えてよい。
【0058】図4及び図5より本発明の発泡板はある落
下高さ、つまり塑性変形の起こる限界の衝撃値を超えた
時点より衝撃吸収性が向上しており、弾性的な変形限界
を超えた時点より衝撃吸収効果が急激に低下する球状気
泡の発泡体とその特性を異にすることが分かる。
【0059】また、図6は実施例1と比較例1にて得ら
れた発泡板を使用した場合の計測結果であり、気泡を微
細化し、気泡壁を薄くすることによって、衝撃の吸収範
囲が拡大することが確認できる。
【0060】
【発明の効果】本発明は以上のように構成され、発泡板
の面と平行の方向の圧縮強度に対する発泡板の面と垂直
な方向の圧縮強度の比が2以上である本発泡板は、従来
の面に垂直な方向の圧縮強度に優れる発泡体に比較し
て、面に平行な方向の柔軟性に富み、形状変化が容易で
あることにより、施行性の面において有利である。
【0061】例えば図7に示すように、本発泡板は限ら
れたスペースに面と平行な方向を幾分圧縮したうえで挿
入することが可能であり、発泡板側面とその周囲面との
間には接着剤等の媒体を介さずとも優れた密着性が得ら
れ、さらには、面に垂直な方向での圧縮強度の向上につ
いても期待できる。また、本発泡板は気泡壁が薄いこと
から曲げ強度が小さく、反ったり曲げたりすることが比
較的自由であるため、高圧縮強度をその特性として保持
したままコーナー部への設置が可能である。
【0062】また、弾性的な形状変化によってのみ衝撃
を吸収し、その形状変化を超えるような大きな衝撃の吸
収性に乏しい従来の発泡体に対し、本発泡体は、その厚
み、気泡構造、発泡倍率の調整によって大きな衝撃を有
効に吸収するとともに、従来の柔軟な発泡体との組み合
わせにより、小さな衝撃から大きな衝撃の吸収にまで活
用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発泡板の衝撃吸収モデルの断面図
【図2】プレス成形型の断面図
【図3】衝撃吸収特性測定装置図
【図4】円柱体の落下距離と振動加速度の関係図
【図5】円柱体の落下距離と反発加速度の関係図
【図6】円柱体の落下距離と振動加速度の関係図
【図7】本発泡板の利用方法図
【符号の説明】
1:発泡板 2:凹状型成形型 3:凸状型成形型 4:冷却水路 5:パッキン 6:発泡板 7:円柱体 8:スチ−ル製板 9:チャ−ジアンプ 9´:チャ−ジアンプ 10:Fast Fourier Transforア
ナライザ 11:振動ピックアップ 12:力変換子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI B29L 7:00 C08L 23:02 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 44/00 - 44/60 B29C 47/00 - 47/96 B29C 67/20 C08J 9/00 - 9/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン樹脂発泡板において気泡構
    造が(a)発泡板の面と平行な方向の大きさに対する発
    泡板の面と垂直な方向の大きさの比が2.5〜10. 0
    であるものの割合が85%以上、(b)発泡板の面と平
    行な方向の大きさが500μm以下であるものの割合が
    70%以上の独立気泡であり、発泡板の面と平行の方向
    の圧縮強度に対する発泡板の面と垂直な方向の圧縮強度
    の比が2以上、発泡倍率が5〜20倍であることを特徴
    とするポリオレフィン樹脂発泡板。
  2. 【請求項2】ポリオレフィン樹脂、化学発泡剤及び架橋
    剤からなる混合物を対向する一対の互いに内面が平行で
    ある成形型によって加圧し、化学発泡剤の分解温度以上
    に加熱し、ついで上記成形型間を0.1〜10mm/秒
    の速度で間隔を開いていって、ポリオレフィン樹脂を加
    圧時の内面に垂直な方向へのみ膨張させることを特徴と
    する請求項1に記載のポリオレフィン樹脂発泡板の製造
    方法。
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