JP4825088B2 - 既存建物の耐震補強構造 - Google Patents
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このような補強手段の一例として、既存建築物に対して制震装置を組み込んだ制震架構を付加し、あるいは既存建築物に制震装置を介して耐震架構を付加することにより既存建築物を制震補強する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この補強手段を採用することによって、既存建築物に対する補強工事を要さずに、建物を使用状態においたまま既存建築物に制震補強を施すことが可能となっている。
しかしながら、騒音や振動を軽減するためにあと施工アンカーを利用しなかった場合、補強用の架構と既存建築物とを連結できないため、既存建築物の耐震補強を行うことができない場合があった。
そこで、補強用の架構(以下、補強フレーム)と既存建築物(以下、既存建物)とを連結するあと施工アンカーを用いなくても確実に耐震補強を行うことができるような技術の開発が望まれていた。
この補強フレーム2(12)は、複数の柱3,4(13,14)と、これら複数の柱3,4(13,14)間に架設される梁5(15)と、これら複数の柱3,4(13,14)と梁5(15)とで囲まれた構面内に斜めに架設される斜材6(16)とを備えており、
前記補強フレーム2(12)は、前記斜材6(16)を弾性変形させることによって、前記既存建物1を押圧する方向に変形していることを特徴とする。
一方、前記既存建物に揺れが発生した際、前記補強フレームは、前記既存建物の揺動による傾きに追従するようにして傾斜するが、前記既存建物も反復して直立状態に戻ろうとするので、前記既存建物および補強フレーム間には押圧力がかかった状態となっており、地震時においても、あと施工アンカーを用いずに前記既存建物と補強フレームとを一体化することができる。
これによって、従来とは異なり、あと施工アンカーを用いなくても、前記既存建物と補強フレームとを一体化することができるので、前記既存建物の耐震補強を確実に行うことができ、さらに、耐震補強工事の際の騒音や振動をより軽減することが可能となる。
また、前記既存建物側に位置する柱および外部側に位置する柱の傾斜に合わせて前記上方の梁と下方の梁とを平行離間することができるので、前記補強フレームを、前記既存建物を押圧する方向に安定的に変形させることができる。
また、前記既存建物側に位置する柱および外部側に位置する柱の傾斜に合わせて前記上方の梁と下方の梁とを平行離間することができるので、前記補強フレームを、前記既存建物を押圧する方向に安定的に変形させることができる。
また、既存建物と補強フレームとの間に設けられる摩擦材によって、地震時おいて既存建物および補強フレーム間に生じる振動を減衰することができ、既存建物の耐震性の向上を図ることができる。
本実施の形態における既存建物1の耐震補強構造は、図1および図2に示すように、既存建物1の外部に、この既存建物1とは独立した補強フレーム2が構築されており、この補強フレーム2は、複数の柱3,4と、これら複数の柱3,4間に架設される梁5と、これら複数の柱3,4と梁5とで囲まれた構面内に斜めに架設される斜材6とを備えており、前記補強フレーム2は、前記斜材6を弾性変形させることによって、前記既存建物1を押圧する方向に変形している。
なお、本実施の形態では、前記斜材6に引張力を作用させている。
本実施の形態の補強フレーム2は、立体の塔状架構であり、地中に埋設された基礎(図示せず)上に立設される複数の柱3,4と、これら複数の柱3,4間に架設される複数の梁5と、これら複数の柱3,4と梁5とで囲まれた構面内に斜めに架設される斜材6とを備えている。
また、前記複数の梁5は、前記既存建物1側に立設される柱3と外部側に立設される柱4との間や、既存建物1側に立設される柱3どうし、外部側に立設される柱4どうしに架設されるとともに、前記柱3,4の上下方向に沿って等間隔に配置されている。
これによって、前記既存建物1側の柱3および外部側の柱4を前記既存建物1側に傾斜させることができるので、前記補強フレーム2を、前記既存建物1を押圧する方向に確実に変形させることができる。
このような制振ダンパー8は、平面視略逆Y字状のブレース8aと、このブレース8aの頭部に固定されるシリンダ8bと、受け部8dを介して前記既存建物1に固定されるロッド8cとを備えた高減衰オイルダンパーであり、前記シリンダ8b内に設けた調圧弁(図示せず)を通過する作動油(図示せず)の流体抵抗によって必要な減衰力を発生させるものである。
このような制振ダンパー8を前記斜材6と平行して設けることによって、前記補強フレーム2に作用する地震等による振動を確実に減衰できる。すなわち、この補強フレーム2と前記既存建物1が一体化されていた場合に、既存建物1に作用する地震等による振動等も確実に減衰できるようになっている。
一方、前記既存建物1に揺れが発生した際、前記補強フレーム2は、前記既存建物1の揺動による傾きに追従するようにして傾斜するが、前記既存建物1も反復して直立状態に戻ろうとするので、前記既存建物1および補強フレーム2間には押圧力がかかった状態となっており、地震時においても、あと施工アンカーを用いずに前記既存建物1と補強フレーム2とを一体化することができる。
これによって、従来とは異なり、あと施工アンカーを用いなくても、前記既存建物1と補強フレーム2とを一体化することができるので、前記既存建物1の耐震補強を確実に行うことができ、さらに、耐震補強工事の際の騒音や振動をより軽減することが可能となっている。
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
なお、本実施の形態では、前記斜材6に圧縮力を作用させている。
これによって、前記既存建物1側の柱13および外部側の柱14を前記既存建物1側に傾斜させることができるので、前記補強フレーム12を、前記既存建物1を押圧する方向に確実に変形させることができる。
一方、前記既存建物1に揺れが発生した際、前記補強フレーム12は、前記既存建物1の揺動による傾きに追従するようにして傾斜するが、前記既存建物1も反復して直立状態に戻ろうとするので、前記既存建物1および補強フレーム12間には押圧力がかかった状態となっており、地震時においても、あと施工アンカーを用いずに前記既存建物1と補強フレーム12とを一体化することができる。
これによって、従来とは異なり、あと施工アンカーを用いなくても、前記既存建物1と補強フレーム12とを一体化することができるので、前記既存建物1の耐震補強を確実に行うことができ、さらに、耐震補強工事の際の騒音や振動をより軽減することが可能となる。
次に、図面を参照して本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1および第2の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
次に、図面を参照して本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1〜第3の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
さらに、前記補強フレーム2には、前記既存建物1と補強フレームとの間の押圧力を測定検出するためのセンサー60Bが設けられている。なお、このセンサー60Bの設置位置は、前記既存建物1と補強フレームとの間の押圧力を正確に測定検出することができるのであれば、特に限定されるものではない。
これによって、常に、補強フレーム2の変形による既存建物1と補強フレーム2との間の押圧力データを瞬時に制御装置61Bへと伝達できるとともに、駆動部6Baを駆動させてロッド材6Bb,6Bb間のストロークを所定量だけ伸縮させることができる。
2 補強フレーム
3 柱
4 柱
5 梁
6 斜材
12 補強フレーム
13 柱
14 柱
15 梁
16 斜材
Claims (5)
- 既存建物の外部に、この既存建物とは独立した補強フレームが構築されており、
この補強フレームは、複数の柱と、これら複数の柱間に架設される梁と、これら複数の柱と梁とで囲まれた構面内に斜めに架設される斜材とを備えており、
前記補強フレームは、前記斜材を弾性変形させることによって、前記既存建物を押圧する方向に変形していることを特徴とする既存建物の耐震補強構造。 - 前記斜材は、既存建物側に位置する柱と上方の梁との交点から、外部側に位置する柱と下方の梁との交点にわたって斜めに架設されており、前記斜材に引張力を作用させていることを特徴とする請求項1に記載の既存建物の耐震補強構造。
- 前記斜材は、既存建物側に位置する柱と下方の梁との交点から、外部側に位置する柱と上方の梁との交点にわたって斜めに架設されており、前記斜材に圧縮力を作用させていることを特徴とする請求項1に記載の既存建物の耐震補強構造。
- 前記斜材として、前記複数の柱と梁とで囲まれた構面内に板ばねが斜めに架設されていることを特徴とする請求項1に記載の既存建物の耐震補強構造。
- 前記既存建物と補強フレームとの間には、これら既存建物および補強フレーム間の振動を減衰する摩擦材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の既存建物の耐震補強構造。
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