JP4128517B2 - 緊張材を用いた耐震補強架構 - Google Patents

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Description

この発明は既存建物の耐震性能を向上させる目的で既存建物に付加される、緊張材を用いた耐震補強架構に関するものである。
既存建物の耐震性能を向上させる目的で建物を耐震補強する場合、通常は既存の柱と梁からなるフレームが負担すべき地震力が軽減されるよう、フレームの構面内や構面外にブレース、またはブレースを含む補強架構を新たに架設することが行われる(非特許文献1、特許文献1、特許文献2参照)。
一方、既存建物内での生活や執務の継続性を確保する上では、建物の使用状態を維持しながら既存建物を耐震補強することが必要であり、それには補強架構をフレームの構面外に付加せざるを得ないが、フレームの構面外に付加される補強架構はブレースを組み込む形が一般的である(特許文献3、特許文献4参照)。
「日経アーキテクチュア」、1979年6月11日号、日経BP社、p.42−48 特許第3124515号公報 特許第3369387号公報 特許3367011号公報 特開2000-145162号公報
ブレースやブレースを有する補強架構を付加する方法ではフレーム構面内のいずれの向きの変形時にも抵抗できるよう、ブレースには引張力と圧縮力に抵抗し得る、断面の大きい部材が用いられるが、非特許文献1、特許文献1、特許文献2のように既存建物の構面外(外周)に、構面に沿って付加する方法によれば、ブレースがフレームの開口を横切る形になるため、既存建物の美観、採光性、通風性、使い勝手等の建築的な機能を阻害することが避けられない。
この発明は上記背景より、建物内での使用状態を継続しながら、上記建築的な機能を最大限に確保することが可能な耐震補強架構を提案するものである。
本発明では既存建物の柱・梁からなるフレームの構面外に、フレームの柱に沿って構築され、フレームに接合される補強柱と、既存建物の基礎の回りに構築され、補強柱を支持する補強基礎と、補強柱と補強基礎との間に、鉛直に対し、傾斜して張架される1本、もしくは複数本の緊張材から耐震補強架構を構成し、補強柱と補強基礎において既存建物に一体化させると共に、緊張材に緊張力を導入し、既存建物に入力する地震力の一部を緊張材と補強基礎に負担させることにより、既存建物内での使用状態を継続しながら、建築的な機能を最大限に確保することを可能にする。
緊張材にはPC鋼材の他、ガラスやグラファイト、アラミド、金属の繊維を用いた繊維強化材料が使用されるが、緊張材はフレームに強度(耐力)を付加する働きをすることに加え、ブレースとして用いられるH形鋼等の鋼材に比べると緊張力を与えられた状態で高い弾性復元性を有することから、緊張された状態で補強柱を介してフレームの柱に連結されることで、フレームの層間変位を抑制しながら、変位後のフレームを原位置に復帰させる機能を発揮する。
変位後のフレームを原位置に復帰させる機能を有する点で、本発明の耐震補強架構は従来のブレースやブレースを有する補強架構の付加により単純に既存建物の剛性と耐力を高める形式とは異なる耐震性能を既存建物に付与することになる。
特に緊張材は使用状態で緊張力を与えられていることで、地震時に緊張材に圧縮力が作用したときには与えられた引張力の大きさの範囲で圧縮力を負担することができ、座屈することもないため、耐震補強架構は全体で平常時と地震時のいずれも力の釣合いを保つことが可能で、不釣合が生ずることはない。また弾性範囲で使用されることで、緊張状態から更に地震時の引張力を負担することができ、そのときにも降伏に至ることはなく、残留変形を生ずることなく元の状態に復帰することができる。
平常時に緊張材に緊張力が与えられていることで、緊張材の上端部が定着される補強柱には緊張力の鉛直成分である鉛直下向きの力と水平成分である水平力が作用するが、鉛直下向きの力は補強柱が圧縮力として負担し、水平力は請求項2において補強基礎と緊張材が補強柱に関して対称に配置される場合には補強柱において相殺され、請求項6に記載のように対称に配置されない場合には補強柱が接合されたフレームの梁が圧縮力として、または引張力として負担する。
緊張材の下端部が定着される補強基礎にも緊張力の鉛直成分である鉛直上向きの力(引き抜き力)と水平成分である水平力が作用するが、鉛直上向きの力は補強基礎の下に構築される杭、またはアースアンカーが負担し、水平力は地盤、または杭が負担する。
フレームに接合された補強柱と補強基礎間に緊張材が緊張状態で架設されていることで、既存建物に入力し、耐震補強架構に伝達される地震力に対しては上記のように引張側となる緊張材が更なる引張力を負担し、圧縮側となる緊張材が圧縮力を負担することができるため、引張側と圧縮側の両緊張材を通じて地震力が補強基礎に伝達され、補強基礎で負担される。補強基礎に伝達された地震力は最終的には地盤で負担される。
従来形式の耐震補強架構は建物の地上部分にのみ構築され、地中の基礎部分まで新たに構築されないことが多く、その場合、耐震補強架構付加後の基礎と地上の架構との整合性が取れないが、本発明では補強基礎が既存建物の基礎の回りに新たに構築され、補強柱と緊張材から伝達される地震力を負担し、あるいは地盤に伝達するのに十分な耐力を備えているため、地上の耐震補強架構と補強基礎との整合性が取れ、地上の架構が負担する地震力を確実に地盤に伝達することができる。
緊張材が地震力に抵抗することに伴い、補強柱には緊張材の抵抗力の鉛直成分である鉛直方向下向きの圧縮力が作用するが、平常時と同様に鉛直下向きの力は補強柱が圧縮力として負担し、水平力は補強柱において相殺されるか、補強柱が接合されたフレームの梁が圧縮力として、または引張力として負担する。
一方、補強基礎の、緊張材の連結部分には緊張材から鉛直方向上向きの力(引き抜き力)と、地震力の作用の向きと同一向きの水平力が作用し、補強基礎には補強基礎を転倒させようとするモーメントと滑動させようとする水平力が作用するが、ここでも平常時と同様に鉛直上向きの力は補強基礎の下に構築される杭、またはアースアンカーで負担され、水平力は地盤、または杭で負担される。
請求項2に記載のように補強基礎と緊張材が補強柱の両側に配置される場合と、請求項6に記載のように緊張材が補強柱の片側に張架され、補強柱に関して対称に配置されない場合のいずれも、既存建物に入力する地震力は補強柱及び緊張材から補強基礎へ伝達され、補強基礎から地盤に伝達され、補強基礎自体が十分な耐力を備えているため、既存建物の損傷や既存建物の基礎の損傷を回避することが可能である。
このように既存建物に入力する地震力が補強柱と緊張材を通じて補強基礎に伝達され、最終的に地盤で負担されることで、既存建物のフレームが負担すべき地震力が軽減されるため、既存フレームの地震力に対する安全性、すなわち耐震性能が向上する。
また耐震補強架構を構成する補強柱がフレームの柱に沿って構築されることで、補強柱がフレームの開口を閉塞する形にはならず、地震力に対する抵抗要素として引張力と圧縮力に抵抗する、予め緊張力が与えられた断面の小さいPC鋼材等の緊張材が用いられることで、緊張材がフレームの開口を横切る形になる場合でも、緊張材が既存建物の美観、採光性、通風性等の建築的な機能に影響を与えることが少なく、建築的な機能が最大限に確保される。
加えて耐震補強架構は既存建物のフレームの構面外に構築されることで、建物内での使用状態を阻害することがないため、使用状態を継続しながら、既存建物を耐震補強することが可能である。
請求項2では補強基礎と緊張材が補強柱の両側に、例えば補強柱に関して対称に配置されることで、補強柱が負担する鉛直下向きの力は補強柱の片側にのみ配置される場合の2倍になるものの、補強柱に圧縮力として作用するため、補強柱内で処理され、水平力は補強柱において相殺されるため、フレームには負担が生じない上、補強基礎においては水平力が補強基礎に圧縮力として作用するため、補強基礎内で処理される利点がある。
また例えば補強柱に関して対称に配置される場合には補強基礎における鉛直上向きの力は補強柱に関して対称に作用することから、補強基礎に転倒モーメントが生ずることがないため、転倒モーメントに対する対策は必要なく、補強基礎には部分的に浮き上がりに対する抵抗力のみを持たせればよいことになる。
請求項2において特に補強柱の片側に関して複数本の緊張材が分散して張架され、その複数本の緊張材の補強基礎側の端部が1箇所に集中して定着される請求項3では、同じく複数本の緊張材が分散して張架され、補強基礎に分散して定着される場合との対比で、最上部より下に位置する緊張材に与えられる緊張力の水平成分が大きくなるため、既存建物に入力する地震力に対する緊張材の抵抗力が大きくなる。また平常時と地震時における緊張力の鉛直成分が小さくなるため、平常時と地震時における補強柱の負担が軽減される利点がある。
この請求項3では地震時に補強基礎の1箇所に、緊張材の定着箇所に作用する緊張材からの引き抜き力が集中するため、補強基礎の浮き上がりを防止するためのアースアンカーを設置するか、その1箇所の引き抜き抵抗力を増大させることが必要になる場合がある。
これに対し、請求項2において特に補強柱の片側に関して複数本の緊張材が分散し、平行に張架される請求項4では緊張材が補強基礎に分散して定着されることで、緊張材からの引き抜き力が補強基礎に分散して作用し、一定着箇所当たりの引き抜き力が、集中して定着される場合の請求項3より低減されるため、緊張材の定着部において浮き上がりに抵抗するためのアースアンカーを設置する必要性がなくなるか、低減される。
請求項4では補強柱の片側に関して緊張材が平行に張架されることで、請求項5に記載のように緊張材を補強柱の片側において2方向に張架することもできる。その場合、緊張材の張架本数を多くすることができるため、既存建物の耐震性能を一層向上させることが可能となる。
請求項2において補強基礎と緊張材が補強柱に関して対称に配置される場合には前記の通り、補強基礎には転倒モーメントが作用しないが、請求項6に記載のように緊張材が補強柱の片側に張架される場合のように補強基礎と緊張材が補強柱に関して対称に配置されない場合には補強基礎の、緊張材の下端部が連結される側に偏って引き抜き力が作用し、補強基礎に転倒モーメントが作用するため、転倒モーメントに抵抗するためのアースアンカーを設置することが必要になる場合がある。
請求項6において特に緊張材が補強柱からフレームの構面の外側へ向けて張架される請求項7では平常時において緊張材の緊張力の水平成分がフレームの梁に引張力として作用するため、フレームが鉄骨造の場合には必要ないが、鉄筋コンクリート造の場合には引張力に対する抵抗要素としての鋼材等の補強材をフレームの梁に沿って付加することが必要になる場合がある。
請求項7では緊張材が補強柱からフレームの構面の外側へ向けて張架されることで、緊張材がフレームの開口を横切る形にならないため、緊張材が既存建物の美観、採光性、通風性等の建築的な機能に影響を与えることが全くない。
請求項6において特に緊張材が補強柱からフレームの構面の内側へ向けて張架される請求項8では平常時において緊張材の緊張力の水平成分がフレームの梁に圧縮力として作用するため、フレームが鉄筋コンクリート造の場合には必要ないが、鉄骨造の場合には圧縮力に対する抵抗要素や座屈止めをフレームの梁に沿って付加することが必要になる場合がある。
請求項9では既存建物の柱・梁からなるフレームの構面外に、フレームの柱に沿って構築され、フレームに接合される補強柱、及び補強柱に平行に構築され、補強柱と対になる補助柱と、補強柱と補助柱との間に架設される補強梁と、補強柱と補助柱の脚部に構築され、補強柱と補助柱を支持する補強基礎と、補強柱と補助柱との間に、鉛直に対して傾斜し、且つ交差して張架される複数本の緊張材からなり、補強柱とそれを支持する補強基礎において既存建物に一体化させると共に、緊張材に緊張力を導入し、既存建物に入力する地震力の一部を緊張材と補強基礎に負担させることにより、既存建物内での使用状態を継続しながら、建築的な機能を最大限に確保することを可能にする。
この場合も緊張材にはPC鋼材の他、ガラスやグラファイト、アラミド、金属の繊維を用いた繊維強化材料が使用される。緊張材は前記の通り、フレームに強度(耐力)を付加する働きをすることに加え、緊張力を与えられた状態で高い弾性復元性を有するため、緊張された状態で補強柱を介してフレームの柱に連結されることで、フレームの層間変位を抑制しながら、変位後のフレームを原位置に復帰させる機能を発揮する。
変位後のフレームを原位置に復帰させる機能を有する点で、請求項9に記載の発明の耐震補強架構も従来のブレースやブレースを有する補強架構の付加により単純に既存建物の剛性と耐力を高める形式とは異なる耐震性能を既存建物に付与することになる。
緊張材は使用状態で緊張力を与えられていることで、地震時に緊張材に圧縮力が作用したときには与えられた引張力の大きさの範囲で圧縮力を負担することができ、座屈も生じないため、耐震補強架構は全体で平常時と地震時のいずれも力の釣合いを保つことが可能で、不釣合は生じない。また弾性範囲で使用されることで、緊張状態から更に地震時の引張力を負担することができ、そのときにも降伏に至ることはなく、残留変形を生ずることなく元の状態に復帰することができる。
平常時には緊張材が補強柱と補助柱との間に交差して張架されていることと、緊張材に緊張力が与えられていることで、緊張材の両端部が定着される補強柱と補助柱には緊張力の鉛直成分が圧縮力として、補強梁にも緊張力の水平成分が圧縮力としてそれぞれ作用するが、耐震補強架構全体では常に力の釣合いが保たれるため、補強基礎は主に耐震補強架構の自重を負担すればよいことになる。
地震時には引張側となる緊張材が更なる引張力を負担し、圧縮側となる緊張材が圧縮力を負担することができることと、緊張材に生ずる引張力と圧縮力は補強柱と補助柱及び補強梁において負担されることから、耐震補強架構全体で力の釣合いが保たれるため、補強基礎に引き抜き力が作用することはない。
請求項9においても既存建物に入力する地震力が補強柱と緊張材を通じて補強基礎に伝達され、最終的に地盤で負担されることで、既存建物のフレームが負担すべき地震力が軽減されるため、既存フレームの地震力に対する安全性、すなわち耐震性能が向上する。
また耐震補強架構を構成する補強柱がフレームの柱に沿って構築されることで、補強柱がフレームの開口を閉塞する形にはならず、地震力に対する抵抗要素として引張力と圧縮力に抵抗する、予め緊張力が与えられた断面の小さいPC鋼材等の緊張材が用いられることで、緊張材がフレームの開口を横切る形になる場合でも、緊張材が既存建物の美観、採光性、通風性等の建築的な機能に影響を与えることが少なく、建築的な機能が最大限に確保される。
加えて耐震補強架構は既存建物のフレームの構面外に構築されることで、建物内での使用状態を阻害することがないため、使用状態を継続しながら、既存建物を耐震補強することが可能である。
既存建物のフレームの柱に沿って構築される補強柱と、既存建物の基礎の回りに構築される補強基礎と、補強柱と補強基礎との間に張架される緊張材から耐震補強架構を構成し、補強柱を既存建物のフレームに接合し、緊張材を緊張した状態で張架することで、既存建物に入力する地震力の一部を補強柱及び緊張材から補強基礎へ伝達させ、補強基礎から地盤に伝達させることができるため、既存建物の地震力に対する負担を軽減し、地震力に対する安全性を向上させることができる。また補強基礎自体が十分な耐力を備えているため、既存建物自体の損傷や基礎の損傷を回避することができる。
耐震補強架構を構成する補強柱はフレームの柱に沿って構築されるため、補強柱がフレームの開口を閉塞する形にはならない上、地震力に対する抵抗要素として引張力と圧縮力に抵抗する、予め緊張力が与えられた断面の小さい緊張材を用いるため、緊張材がフレームの開口を横切る形になる場合でも、緊張材が既存建物の美観、採光性、通風性等の建築的な機能に影響を与えることが少なく、建築的な機能を最大限に確保することが可能である。
また耐震補強架構は既存建物のフレームの構面外に構築されることで、建物内での使用状態を阻害することがないため、使用状態を継続しながら、既存建物を耐震補強することができる。
更に耐震補強架構は地中部分の補強基礎と、地上部分の補強柱と緊張材から成り立つため、地中部分と地上部分を必ずしも同時期に施工する必要はなく、期間をおいて段階的に施工することができ、工事計画上の自由度が高い。
請求項2では補強基礎と緊張材を補強柱の両側に配置することで、補強柱に関して対称に補強基礎と緊張材を配置することができ、その場合、平常時と地震時の補強柱に生ずる水平力の釣り合いが保たれるため、フレームに負担を生じさせることがない他、補強基礎に転倒モーメントが生じないため、補強基礎における転倒モーメントに対する対策を不要にすることができる。
請求項3では補強柱の片側に関して複数本の緊張材を分散させて張架し、その複数本の緊張材の補強基礎側の端部を1箇所に集中させて定着することで、複数本の緊張材を分散させて補強基礎に定着する場合より、最上部より下に位置する緊張材に与えられる緊張力の水平成分が大きくなるため、既存建物に入力する地震力に対する緊張材の抵抗力が大きくなる。また平常時と地震時における緊張力の鉛直成分が小さくなるため、平常時と地震時における補強柱の負担が軽減される。
請求項4では補強柱の片側に関して複数本の緊張材を分散させ、平行に張架することで、緊張材からの引き抜き力が補強基礎に分散して作用し、一定着箇所当たりの引き抜き力が低減されるため、緊張材の定着部において浮き上がりに抵抗するためのアースアンカーを設置する必要性がなくなるか、低減される。
請求項5では補強柱の片側に関して緊張材を平行に張架する請求項4において緊張材を補強柱の片側において2方向に張架するため、緊張材の張架本数を多くすることができ、既存建物の耐震性能を一層向上させることが可能である。
請求項7では緊張材が補強柱の片側に、補強柱からフレームの構面の外側へ向けて張架されることで、緊張材がフレームの開口を横切る形にならないため、緊張材が既存建物の美観、採光性、通風性等の建築的な機能に影響を与えることが全くない。
請求項9では既存建物フレームの柱に沿って構築される補強柱、及び補強柱に平行に構築され、補強柱と対になる補助柱と、補強柱と補助柱との間に架設される補強梁と、補強柱と補助柱の脚部に構築され、補強柱と補助柱を支持する補強基礎と、補強柱と補助柱との間に交差して張架される複数本の緊張材から耐震補強架構を構成し、補強柱とその下の補強基礎において既存建物に一体化させると共に、緊張材に緊張力を導入することで、既存建物に入力する地震力の一部を補強柱及び緊張材から補強基礎へ伝達させ、補強基礎から地盤に伝達させることができるため、既存建物の地震力に対する負担を軽減し、地震力に対する安全性を向上させることができる。また補強基礎自体が十分な耐力を備えているため、既存建物自体の損傷や基礎の損傷を回避することができる。
耐震補強架構を構成する補強柱はフレームの柱に沿って構築されるため、補強柱がフレームの開口を閉塞する形にはならない上、地震力に対する抵抗要素として引張力と圧縮力に抵抗する、予め緊張力が与えられた断面の小さい緊張材を用いるため、緊張材がフレームの開口を横切る形になる場合でも、緊張材が既存建物の美観、採光性、通風性等の建築的な機能に影響を与えることが少なく、建築的な機能を最大限に確保することが可能である。
また耐震補強架構は既存建物のフレームの構面外に構築されることで、建物内での使用状態を阻害することがないため、使用状態を継続しながら、既存建物を耐震補強することができる。
更に耐震補強架構は地中部分の補強基礎と、地上部分の補強柱と緊張材から成り立つため、地中部分と地上部分を必ずしも同時期に施工する必要はなく、期間をおいて段階的に施工することができ、工事計画上の自由度が高い。
請求項1に記載の発明は図1−(a)〜(d)に示すように既存建物の柱5と梁6からなるフレームの構面外に、フレームの柱5に沿って構築され、フレームに接合される補強柱2と、既存建物の基礎7の回りに構築され、補強柱2を支持する補強基礎3と、補強柱2と補強基礎3との間に、鉛直に対し、傾斜して張架される1本、もしくは複数本の緊張材4からなり、補強柱2と補強基礎3において既存建物に一体化すると共に、緊張材4に緊張力が導入される耐震補強架構1である。フレームを構成する柱5と梁6には袖壁や腰壁、垂れ壁が付くこともある。
図1−(a)は請求項3に記載の発明の耐震補強架構1、(b)は請求項4に記載の発明の耐震補強架構1であり、共に請求項2に記載の発明の耐震補強架構1に含まれる。図1−(c)は請求項7に記載の発明の耐震補強架構1、(d)は請求項8に記載の発明の耐震補強架構1であり、共に請求項6に記載の発明の耐震補強架構1に含まれる。
請求項2に記載の発明の耐震補強架構1は図1−(a)、(b)に示すように補強基礎3と緊張材4が補強柱2の両側に、例えば補強柱2に関して対称に配置された場合であり、請求項6に記載の発明の耐震補強架構1は図1−(c)、(d)に示すように緊張材4が補強柱2の片側に張架された場合である。前者の場合、補強柱2と補強基礎3は主にフレームの構面内方向の中間部位置に構築され、後者の場合は主にフレームの構面内方向の端部位置に構築されるが、必ずしもそれには限られない。
また図1−(a)、(b)に示す耐震補強架構1は基本的には例えば既存建物を梁間方向に挟み、各桁行方向の構面毎に、梁間方向に対になって構築される。(c)、(d)に示す耐震補強架構1は基本的には例えば既存建物の各桁行方向の構面毎にその両側に構築され、且つ桁行方向両側毎に既存建物を梁間方向に挟み、梁間方向に対になって構築され、既存建物に対しては少なくとも平面上の各隅角部の4箇所に構築されるが、必ずしもそれには限られない。
図1では耐震補強架構1を既存建物の桁行方向の構面に沿って構築した様子を示しているが、既存建物の梁間方向の構面に沿って構築する場合もある。また本発明の耐震補強架構1は既存建物の形態を問わずに適用されるが、整形な学校建築や病院建築、庁舎建築等への適用が適する。
既存建物のフレームは鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造、あるいは鋼管コンクリート造の別を問わない。補強柱2と補強基礎3は鉄骨造、または鉄筋コンクリート造、あるいは鉄骨鉄筋コンクリート造、もしくは鋼管コンクリート造で構築され、コンクリート造の場合は現場打ちコンクリート造とプレキャストコンクリート製の場合がある。緊張材4には前記の通り、PC鋼材や繊維強化材料が使用される。
請求項3に記載の発明の耐震補強架構1は請求項2において特に図1−(a)、図2、図3に示すように補強柱2の片側に関して複数本の緊張材4が分散して張架され、その複数本の緊張材4の補強基礎3側の端部が1箇所に集中して定着された場合である。
補強柱2は図2、図3−(a)に示すように柱5の外側に沿って立設され、各層において柱5、もしくは梁6に、または柱5と梁6に、フレームに入力する地震力が補強柱2に伝達されるよう、剛に接合され、一体化される。補強柱2はフレームには柱5と梁6との接合部において接合される他、図示するように各層の柱5に連続的に接合される。
補強柱2のフレームへの接合方法は両者の一体化が図られればよく、補強柱2が鉄骨造か鉄筋コンクリート造であるかにより異なるが、図2、図3では補強柱2を鉄骨造で構築し、全長に亘って柱5と梁6に接合している。ここでは補強柱2を構成する補強柱構成材2aにH形鋼を用い、複数本の補強柱構成材2aを、緊張材4が定着される連結金物8を介して一本化している。図2、図3中、破線が既存建物のフレームを、実線が補強柱2と補強基礎3を示す。
柱5の梁6との接合部位置には緊張材4の上端部を定着するための、鋼管を輪切りにした形の連結金物8が配置され、補強柱構成材2aは連結金物8の上下に溶接されて複数層に亘る補強柱2を構成する。図面では連結金物8に緊張材4の緊張力に抵抗し得る強度と剛性を持たせるために、緊張材4が直接定着される円筒8aの内周に複数枚の円板8bを溶接した形に連結金物8を形成している。
図2、図3では補強柱2を梁6に対し、連結金物8の両側に一体化した接合金物9,9において梁6との間に充填されるモルタルやコンクリート等の充填材10と、梁6と充填材10、及び接合金物9を貫通するボルト11により圧着接合し、柱5に対しては補強柱構成材2aにおいて両者間に連続的に充填されるモルタルやコンクリート等の充填材12とあと施工アンカー13、及び補強柱構成材2aの柱5側に溶接されたスタッドボルト14により接合している。柱5と補強柱構成材2a間の充填材12中には付着力を高めるためのスパイラル筋15が配置される。
補強基礎3は基本的に鉄筋コンクリート造で構築されるが、図2、図3では補強柱2に鉄骨柱を用いていることに対応し、最下部の補強柱構成材2aの下端位置に鉄骨梁3aを配置し、この鉄骨梁3aに最下部の補強柱構成材2aを接合し、鉄骨梁3aを補強柱構成材2aの脚部と共に鉄筋コンクリートの、補強基礎3の本体3b中に埋設している。
補強柱2の下方位置の、補強基礎3の本体3bの下には補強柱2からの鉛直方向下向きの力を地盤に伝達するための杭16が構築され、本体3bの、緊張材4の下端が定着される部分の下には緊張材4からの鉛直方向上向きの力(引き抜き力)と水平力に抵抗するための杭17が構築される。杭17の位置には引き抜き力に抵抗するためにアースアンカー18を設置することもある。
緊張材4の上端は前記の通り、緊張力が導入された状態で連結金物8の円筒8aに定着され、下端は補強基礎3の本体3bに定着される。緊張材4への緊張力導入は基本的に補強柱2のフレームへの接合が完了した後に行われるが、接合完了前に行われる場合もある。
耐震補強架構1のフレームへの一体化の手順は例えば杭16、17の構築後、鉄骨梁3aの設置と鉄骨梁3aへの最下部の補強柱構成材2aの接合、補強基礎3の本体3bの構築に続き、最下部の補強柱構成材2aへの、接合金物9が一体化した連結金物8の接合と接合金物9の梁6への接合、連結金物8への上層部の補強柱構成材2aの接合、補強基礎3の本体3bと連結金物8間への緊張材4の架設、緊張という要領で行われるが、複数層分の補強柱構成材2aを予め連結しておくこともある。
請求項4に記載の発明の耐震補強架構1は請求項2において特に図1−(b)、図4、図5に示すように補強柱2の片側に関して複数本の緊張材4が分散し、平行に張架された場合である。
請求項4でも補強柱2のフレームへの接合方法は両者の一体化が図られればよく、補強柱2が鉄骨造か鉄筋コンクリート造であるかにより異なるが、図4、図5では補強柱2を全長に亘って鉄筋コンクリート造で構築、もしくはプレキャストコンクリートで製作し、梁6の位置に梁6に接合されるための接合部2bを突設し、接合部2bを梁6に対して両者間に充填材10を充填した上で、両者を貫通するボルト11により圧着接合している。補強柱2と柱5との間には両者間の空隙を埋める無収縮モルタル等の充填材12が充填される。
補強基礎3は補強柱2がコンクリート造であることに対応し、現場打ちコンクリートで構築される。この場合も補強基礎3の下の必要箇所には杭16が構築されるが、図4、図5では図2、図3における浮き上がりに抵抗する杭17に代え、補強基礎3の端部に立上り部3cを形成し、この立上り部3cを柱5にボルト11を用いて圧着接合することにより、補強基礎3を既存建物のフレームに一体化している。緊張材4は図示するように補強柱2の梁6の位置と補強基礎3との間に架設され、緊張された状態でそれぞれに両端が定着される。
図6は図4、図5の変形例として補強柱2の片側に関して緊張材4を2方向に張架し、各2方向の緊張材4、4が交差する位置にも補強柱2を配置した請求項5に記載の発明の耐震補強架構1の例を示す。この場合、補強柱2は図4、図5における中央の補強柱2の両側にも配置され、隣接する補強柱2、2はつなぎ梁2cによってつながれ、つなぎ梁2cがフレームの梁6に接合される。
請求項7に記載の発明の耐震補強架構1は請求項6において特に図1−(c)、図7、図8に示すように緊張材4が補強柱2からフレームの構面の外側へ向けて張架された場合である。
請求項7でも補強柱2のフレームへの接合方法は問われないが、図7、図8では図2、図3と同様に補強柱2をH形鋼の補強柱構成材2aと、接合金物9が一体化した連結金物8から構成し、接合金物9において充填材10とボルト11を用いて梁6に接合し、補強柱構成材2aにおいて充填材12とあと施工アンカー13、及びスタッドボルト14とスパイラル筋15を用いて柱5に接合している。
補強基礎3も図2、図3と同様に最下部の補強柱構成材2aが接合される鉄骨梁3aと鉄筋コンクリート造の本体3bから構成し、補強柱2の下方位置の、補強基礎3の本体3bの下に補強柱2からの鉛直方向下向きの力に抵抗するための杭16を構築しているが、請求項7(請求項6)では補強柱2に関して片側にのみ緊張材4が張架されることから、補強基礎3は補強柱2の下方位置から緊張材4が張架される側に延長して構築される。図7、図8では既存の基礎7を避けるために鉄骨梁3aを構面内方向に対して振っているが、補強基礎3は基礎7の状況に応じて自由に構築される。
補強基礎3が緊張材4の張架側に延長して構築されることに伴い、緊張材4からの鉛直方向上向きの引き抜き力が補強基礎3に偏って作用し、転倒モーメントを生じさせるため、緊張材4の下端が定着される部分の下には引き抜き力に抵抗するための杭17、またはアースアンカー18が設置される。
図1−(c) 、図7では複数本の緊張材4の下端部を図1−(a)、図2と同様に1箇所に集中させて補強基礎3に定着しているが、必ずしもその必要はなく、図1−(b)、図4と同様に補強基礎3に分散させて定着する場合もある。
請求項7では図1−(c)に示すように耐震補強架構1が既存建物の桁行方向の両側に対になって構築され、緊張材4が補強柱2からフレームの構面の外側へ向けて張架されることで、平常時と地震時にフレームの構面内方向両側に位置する耐震補強架構1,1の緊張材4,4に生じている緊張力の反力に対する抵抗要素としての鉄筋や鉄骨等の補強材19が架設される場合がある。
請求項8に記載の発明の耐震補強架構1は請求項6において特に図1−(d)、図9、図10に示すように緊張材4が補強柱2からフレームの構面の内側へ向けて張架された場合である。この場合、補強柱2に関して緊張材4の架設位置が請求項7とは逆になる。
請求項8でも補強柱2のフレームへの接合方法は問われないが、図9、図10では図2、図3と同様に補強柱2をH形鋼の補強柱構成材2aと、接合金物9が一体化した連結金物8から構成し、接合金物9において充填材10とボルト11を用いて梁6に接合し、補強柱構成材2aにおいて充填材12とあと施工アンカー13、及びスタッドボルト14とスパイラル筋15を用いて柱5に接合している。
補強基礎3も図2、図3と同様に最下部の補強柱構成材2aが接合される鉄骨梁3aと鉄筋コンクリート造の本体3bから構成し、補強柱2の下方位置の、補強基礎3の本体3bの下には補強柱2からの鉛直方向下向きの力に抵抗するための杭16を構築しているが、請求項8でも補強柱2に関して片側にのみ緊張材4が張架されることから、補強基礎3は補強柱2の下方位置から緊張材4が張架される側に延長して構築される。ここでも既存の基礎7を避けるために鉄骨梁3aを構面内方向に対して振っている。
補強基礎3が緊張材4の張架側に延長して構築されることに伴い、請求項7と同様に緊張材4からの鉛直方向上向きの引き抜き力が補強基礎3に偏って作用し、転倒モーメントを生じさせるため、緊張材4の下端が定着される部分の下には引き抜き力に抵抗するための杭17、またはアースアンカー18が設置される。
図1−(d) 、図9でも複数本の緊張材4の下端部を図1−(a)、図2と同様に1箇所に集中させて補強基礎3に定着しているが、必ずしもその必要はなく、図1−(b)、図4と同様に補強基礎3に分散させて定着する場合もある。
請求項9に記載の発明1は図11−(a)に示すように既存建物の柱5と梁6からなるフレームの構面外にフレームの柱5に沿って構築され、フレームに接合される補強柱20、及び補強柱20に平行に構築され、補強柱20と対になる補助柱21と、補強柱20と補助柱21との間に架設される補強梁22と、補強柱20と補助柱21の脚部に構築され、補強柱20と補助柱21を支持する補強基礎23、23と、補強柱20と補助柱21との間に、鉛直に対して傾斜し、且つ交差して張架される複数本の緊張材24からなり、補強柱20とそれを支持する補強基礎23において既存建物に一体化すると共に、緊張材24に緊張力が導入されている耐震補強架構1である。
対になる補強柱20と補助柱21、及び補強梁22からなる単位架構1Aは例えばフレームの構面内方向に平行に構築され、補強柱20において柱5に接合される。この単位架構1Aは平面架構でも成立するが、図11ではフレームの構面外方向の安定性を確保するために、フレームの構面外方向に単位架構1A、1Aを並列させ、両単位架構1A、1Aをつなぎ梁25で連結している。
この場合も補強柱20と柱5との接合方法等は問われないが、図11では補強柱20と補助柱21、及び補強梁22を鉄筋コンクリート造、もしくはプレキャストコンクリートで構築していることから、(a)のx−x線断面図である(b)に示すように柱5の補強柱20側の側面にあと施工アンカー26を突設する一方、補強柱20にせん断補強筋27を突設し、両者間にモルタルやコンクリート等の充填材28を充填して接合し、(c)〜(e)に示すように補強梁22を補強柱20と補助柱21に、つなぎ梁25を補助柱21、21にそれぞれPC鋼材等の緊張材29を用いて圧着接合している。(c)は(a)の破線円部分の拡大図、(d)は(c)の水平断面図、(e)は(c)の側面図である。
補強基礎23は(a)に示すように補強柱20と補助柱21の各脚部に独立して構築される他、連続して構築される。
(a)〜(d)は本発明の耐震補強架構の例を示した立面図である。 請求項3に記載の発明の耐震補強架構の構築例を示した立面図である。 (a)は図2のx−x線断面図、(b)は図2のy−y線断面図、(c)は図2のz−z線断面図である。 請求項4に記載の発明の耐震補強架構の構築例を示した立面図である。 (a)は図4のx−x線断面図、(b)は図4のy−y線断面図である。 請求項5に記載の発明の耐震補強架構の構築例を示した透視図である。 請求項7に記載の発明の耐震補強架構の構築例を示した立面図である。 (a)は図7のx−x線断面図、(b)は図7のy−y線断面図、(c)は図7のz−z線断面図である。 請求項8に記載の発明の耐震補強架構の構築例を示した立面図である。 (a)は図9のx−x線断面図、(b)は図9のy−y線断面図、(c)は図9のz−z線断面図である。 (a)は請求項9に記載の発明の耐震補強架構の構築例を示した立面図、(b)は(a)のx−x線断面図、(c)は(a)の破線円部分の拡大図、(d)は(c)の水平断面図、(e)は(c)の側面図である。
符号の説明
1……耐震補強架構、2……補強柱、2a……補強柱構成材、2b……接合部、2c……つなぎ梁、
3……補強基礎、3a……鉄骨梁、3b……本体、3c……立上り部、4……緊張材、
5……柱、6……梁、7……基礎、
8……連結金物、8a……円筒、8b……円板、
9……接合金物、10……充填材、11……ボルト、12……充填材、13……あと施工アンカー、14……スタッドボルト、15……スパイラル筋、16……杭、17……杭、18……アースアンカー、19……補強材、
1A……単位架構、20……補強柱、21……補助柱、22……補強梁、
23……補強基礎、24……緊張材、25……つなぎ梁、
26……あと施工アンカー、27……せん断補強筋、28……充填材、29……緊張材。

Claims (9)

  1. 既存建物の柱・梁からなるフレームの構面外に前記フレームの柱に沿って構築され、フレームに接合される補強柱と、既存建物の基礎の回りに構築され、前記補強柱を支持する補強基礎と、前記補強柱と補強基礎との間に、鉛直に対し、傾斜して張架される1本、もしくは複数本の緊張材からなり、前記補強柱と補強基礎において既存建物に一体化すると共に、前記緊張材に緊張力が導入されている緊張材を用いた耐震補強架構。
  2. 補強基礎と緊張材は補強柱の両側に配置されている請求項1記載の緊張材を用いた耐震補強架構。
  3. 補強柱の片側に関して複数本の緊張材が分散して張架され、その複数本の緊張材の補強基礎側の端部が1箇所に集中している請求項2記載の緊張材を用いた耐震補強架構。
  4. 補強柱の片側に関して複数本の緊張材が分散し、平行に張架されている請求項2記載の緊張材を用いた耐震補強架構。
  5. 緊張材は補強柱の片側において2方向に張架されている請求項4記載の緊張材を用いた耐震補強架構。
  6. 緊張材は補強柱の片側に張架されている請求項1記載の緊張材を用いた耐震補強架構。
  7. 緊張材は補強柱からフレームの構面の外側へ向けて張架されている請求項6記載の緊張材を用いた耐震補強架構。
  8. 緊張材は補強柱からフレームの構面の内側へ向けて張架されている請求項6記載の緊張材を用いた耐震補強架構。
  9. 既存建物の柱・梁からなるフレームの構面外に前記フレームの柱に沿って構築され、フレームに接合される補強柱、及び補強柱に平行に構築され、補強柱と対になる補助柱と、補強柱と補助柱との間に架設される補強梁と、前記補強柱と補助柱の脚部に構築され、補強柱と補助柱を支持する補強基礎と、補強柱と補助柱との間に、鉛直に対して傾斜し、且つ交差して張架される複数本の緊張材からなり、前記補強柱とそれを支持する補強基礎において既存建物に一体化すると共に、前記緊張材に緊張力が導入されている緊張材を用いた耐震補強架構。


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