JPH09242386A - 制振構造物 - Google Patents

制振構造物

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JPH09242386A
JPH09242386A JP5209896A JP5209896A JPH09242386A JP H09242386 A JPH09242386 A JP H09242386A JP 5209896 A JP5209896 A JP 5209896A JP 5209896 A JP5209896 A JP 5209896A JP H09242386 A JPH09242386 A JP H09242386A
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building
damping
frames
displacement
wire
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JP5209896A
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Nobuyuki Maeda
信之 前田
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外観を損なうことなく、制振効果を効果的に
発揮することができる制振構造物を提供することを課題
とする。 【解決手段】 制振構造物Aを、既設の建屋10と、建
屋10の両側に沿うよう立設した増設フレーム11,1
1と、これら増設フレーム11,11および建屋10に
連続するよう取り回した制振ワイヤー12と、制振ワイ
ヤー12の変位を吸収するためその中間部に配設した減
衰装置13とからなる構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばビル等の構
造物の既設,新設を問わず、その耐震性を高めるに際し
て用いて好適な制振構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ビル等の構造物の耐震性を高める
制振構造の一例として、ワイヤー制振を用いたものがあ
る。例えば図10(a)に示すように、建屋1の上面に
ワイヤー2の両端部が固定され、このワイヤー2が、建
屋1の両側面に沿って例えば建屋1の基礎部に設置され
た減衰機構3に導かれた構成の制振構造物がある。ま
た、他のワイヤー制振構造として、図11に示すよう
に、建屋1の上面にワイヤー4の両端部が固定され、こ
のワイヤー4が各外壁面1aに沿って略X字状に取り回
され、建屋1の例えば基礎部に設置された減衰機構3に
導かれた構成の制振構造物もある。
【0003】図10または図11に示したようなワイヤ
ー2,4を用いた制振構造物では、地震や風等で建屋1
が例えば図中矢印(イ)方向に振動したときに、これに
伴うワイヤー2,4の軸線方向の変位を減衰機構3で減
衰し、ワイヤー2,4に引張力を生じさせることによっ
て建屋1の振動を制振するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来の制振構造物には、以下のような問題が存
在する。まず、図10または図11において、ワイヤー
2,4が取り回されている略鉛直面と直交する方向(図
10(b)中矢印(ロ)方向)に地震や風による外力が
作用した場合には、ワイヤー2,4による制振効果が得
られないばかりか、外力によって変形しようとする建屋
1に、このワイヤー2,4によって過大な圧縮方向の軸
力が作用してしまい、建屋1に悪影響を及ぼす可能性が
ある。また、このような制振構造物の構成を、既設の建
屋1に適用しようとした場合、前記圧縮方向の軸力がこ
の建屋1の端部の柱の強度を上回ってしまうことも考え
られる。
【0005】さらに、図10に示したワイヤー2を用い
た制振構造物では、ワイヤー2が、建屋1の上面〜側面
〜底面と取り回されているため、ワイヤー2の端部から
制振装置3に至るまでの距離が長く、ワイヤー2自体の
伸びが制振効果の低下を招くという問題もある。
【0006】一方、図11に示したワイヤー4を用いた
制振構造物においては、ワイヤー4の取り回し長さが短
いために上記問題は回避できるものの、建屋1の外壁面
1aに沿ってワイヤー4が取り回されているため、建屋
1の外観を損なってしまうという問題がある。
【0007】本発明は、以上のような点を考慮してなさ
れたもので、外観を損なうことなく、制振効果を効果的
に発揮することができる制振構造物を提供することを課
題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
建屋と、該建屋の両側に立設された二基一対の増設フレ
ームと、前記増設フレームと前記建屋とに連続するよう
架設された引張材と、該引張材の軸線方向の変位を吸収
するよう介在された減衰装置とを備えてなることを特徴
としている。
【0009】請求項2に係る発明は、請求項1記載の制
振構造物において、前記増設フレームが、前記建屋に一
体に設けられた支持部材に、水平方向の変位を拘束しか
つ鉛直方向の変位を許容するよう支持されていることを
特徴としている。
【0010】請求項3に係る発明は、請求項1または2
記載の制振構造物において、前記減衰装置に入力される
前記引張材の変位を増幅する増幅機構が備えられている
ことを特徴としている。
【0011】請求項4に係る発明は、請求項1ないし3
のいずれかに記載の制振構造物において、前記引張材
が、前記増設フレーム内で取り回されていることを特徴
としている。
【0012】請求項5に係る発明は、請求項1ないし4
のいずれかに記載の制振構造物において、前記引張材の
両端が前記建屋の上端部の両側にそれぞれ固定されてな
り、かつ前記引張材が、前記建屋の上端部の両側から斜
め上方に延在するよう取り回されていることを特徴とし
ている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る制振構造物の
第一ないし第四の実施の形態の例を、図1ないし図9を
参照して説明する。
【0014】[第一の実施の形態]図1に示すように、
制振構造物Aは、例えば平面視矩形で既設の建屋10
と、建屋10の両側に沿うよう立設された増設フレーム
11,11と、これら増設フレーム11,11および建
屋10に取り回された制振ワイヤー(引張材)12と、
制振ワイヤー12の中間部に配設された減衰装置13と
から概略構成されている。
【0015】各増設フレーム11は、例えば鉄骨製の立
体トラス構造で、その高さが建屋10よりも所定寸法高
く設定され、かつその剛性が建屋10よりも十分高く設
定されている。
【0016】図1(a)に示すように、各増設フレーム
11は、その上端部と中間部の複数箇所において、建屋
10に支持部材14を介して支持されている。図2およ
び図3に示すように、支持部材14は、一端部が建屋1
0の側面10aに固定され、他端部には水平面内に位置
する平面視ロ字状の支持フレーム14aが形成されて、
ここに増設フレーム11が挿通された形態となってい
る。そして、図3に示したように、支持フレーム14a
の内側の四隅には、増設フレーム11の四隅に当接する
ガイド部材15,15,…が設けられている。各ガイド
部材15は、例えばベアリング等からなり、増設フレー
ム11が上下方向に摺動自在となるよう支持する構成と
なっている。これにより、各増設フレーム11は、支持
フレーム14によって水平方向の変位が拘束され、かつ
上下方向の変位が許容されるよう支持された構成となっ
ている。
【0017】図1(a)に示したように、制振ワイヤー
12はその中間部12aが、建屋10の上面10bの中
央部において固定部材16によって固定されており、建
屋10の上面10bの両端部に設けられたワイヤーガイ
ド17,17を介して両側の増設フレーム11,11に
導かれている。各ワイヤーガイド17は、例えばC字状
あるいはリング状をなしており、そこに挿通される制振
ワイヤー12の鉛直方向の変位を拘束し、軸線方向(水
平方向)の変位を許容するようになっている。そして、
この制振ワイヤー12は、増設フレーム11,11の上
端部に設けられた滑車18,18によってその方向が変
換され、増設フレーム11,11の内方を通って略鉛直
下方に導かれ、さらに、増設フレーム11,11の下方
の基礎中に設けられた滑車19,19によってその方向
が水平に変換されている。このようにして建屋10の下
方に導かれた制振ワイヤー12は、その両端部12b,
12bが前記減衰装置13に固定されている。
【0018】減衰装置13には、二個一対のドラム2
0,20が備えられており、これらドラム20,20に
制振ワイヤー12の両端部12b,12bがそれぞれ固
定されている。各ドラム20は、回転軸20aを中心と
して回転自在に支持されており、これが回転することに
よって制振ワイヤー12が巻取・繰出されるようになっ
ている。そして、双方のドラム20,20は、スプリン
グ等の付勢部材21によって接続されており、これによ
って双方のドラム20,20が制振ワイヤー12を巻き
取る方向に回転するよう付勢されている。
【0019】さらに、制振ワイヤー12の途中には、そ
の変位量を増幅するため、図4に示すような増幅機構2
2が備えられている。増幅機構22は、制振ワイヤー1
2の中間部12a側が接続される入力側ロッド23と、
出力側ロッド24と、入力側ロッド23の変位を増速し
て出力側ロッド24を変位させる増速ギヤ25とからな
っている。これにより、制振ワイヤー12の中間部12
aの変位が、入力側ロッド23から入力されて増速ギヤ
25で増幅され、出力側ロッド24から制振ワイヤー1
2の端部12b側に伝達されるようになっている。この
増幅機構22について、さらに詳しくは、特願平6−2
27068号を参照されたい。
【0020】上述した構成からなる制振構造物Aでは、
風や地震等により建屋10が水平方向に振動する場合に
は、これに伴って変位しようとする制振ワイヤー12の
変位が減衰装置13によって減衰され、建屋10の振動
が制振されるようになっている。このときに、増設フレ
ーム11,11は、支持部材14,14,…によって、
水平方向の変位が拘束され、かつ鉛直方向の変位が許容
された構成となっている。したがって、図5(a)に示
すように、建屋10が剪断変形する場合には、増設フレ
ーム11,11の水平方向の変形により、制振ワイヤー
12の全長が伸びる方向に変位するため、この変位を減
衰装置13で減衰するようになっている。また、図5
(b)に示すように、建屋10が曲げ変形する場合に
は、支持部材14,14,…によって、増設フレーム1
1,11は曲げ変形せずに単に水平方向に変形するのみ
であるので、この場合にも制振ワイヤー12が、その全
長が伸びる方向に変位することになり、この変位が減衰
装置13で減衰されるようになっている。しかも、この
場合、建屋10の鉛直方向の変形が制振ワイヤー12を
介して増設フレーム11,11に伝達されるので、鉛直
方向の付加軸力はこれら増設フレーム11,11によっ
て支持されることになる。
【0021】また、制振ワイヤー12には、減衰装置1
3に入力される制振ワイヤー12の変位を増幅する増幅
機構22が備えられた構成となっている。これにより、
建屋10の微少な変位も、増幅機構22で増幅すること
によって減衰装置13で減衰することが可能となるの
で、制振効果をより効果的なものとすることができる。
さらには、建屋10が変形能の低い既存の建物であるの
で、特に好適に適用することが可能である。
【0022】[第二の実施の形態]次に、本発明に係る
制振構造物の第二の実施の形態ついて、図6を参照して
説明する。この図において、前記第一の実施の形態と共
通する構成については同符号を付し、その説明を省略す
る。
【0023】図6に示すように、制振構造物Bは、建屋
10と、その両側に立設された増設フレーム30,30
と、これら建屋10と増設フレーム30,30とに配設
された制振ワイヤー(引張材)31と、制振ワイヤー3
1の変位を減衰する減衰装置13とから概略構成されて
いる。
【0024】増設フレーム30,30は、建屋10に対
して十分高い剛性を有しており、建屋10と略同じ高さ
を有している。各増設フレーム30は、フレームのみと
してもよいし、また、その内部空間を建物として利用す
ることも可能である。
【0025】制振ワイヤー31は、その両端部31a,
31aが建屋10の上部の両端部に固定されており、増
設フレーム30,30の上端部の建屋10側に設けられ
た滑車32,32によってその方向が変換され、増設フ
レーム30,30の下方の建屋10から離間した側に設
けられた滑車33,33に向けて斜め下方に取り回され
ている。そして、滑車33,33によって建屋10の下
方に導かれた制振ワイヤー31の中間部31bに前記減
衰装置13が接続された構成となっている。さらに、こ
の制振ワイヤー31には、図4に示したような増幅機構
22が配設されている。
【0026】上述した制振構造物Bでは、前記第一の実
施の形態で示した制振構造物Aと同様、建屋10に生じ
た振動を、制振ワイヤー31と減衰装置13とによって
制振することができる。しかも、この制振構造物Bで
は、制振ワイヤー31が増設フレーム30内に取り回さ
れており、建屋10自体にはその両端部31a,31a
が固定されているのみであるので、建屋10の外観を損
なうこともなく、また施工中に既設の建屋10の使用を
中止する必要がない。しかも、増設フレーム30を建物
として利用すれば、空間の有効利用を図ったうえでその
制振性能の向上を図ることも可能である。
【0027】[第三の実施の形態]次に、本発明に係る
制振構造物の第三の実施の形態について、図7を参照し
て説明する。この図において、前記第一および第二の実
施の形態と共通する構成については同符号を付し、その
説明を省略する。
【0028】図7に示すように、制振構造物Cは、建屋
10と、その両側に立設された増設フレーム40,40
と、これら建屋10と増設フレーム40,40とに配設
された制振ワイヤー(引張材)41と、制振ワイヤー4
1の変位を減衰する減衰装置13とから概略構成されて
いる。
【0029】増設フレーム40,40は、建屋10に対
して十分高い剛性を有しており、建屋10よりも所定寸
法高く設定されている。各増設フレーム40は、前記第
二の実施の形態における増設フレーム30と同様、フレ
ームのみとしてもよいし、また、その内部空間を建物と
して利用することも可能である。
【0030】制振ワイヤー41は、その両端部41a,
41aが建屋10の上部の両端部に固定され、増設フレ
ーム40,40の上端部の建屋10側に設けられた滑車
42,42によって斜め上方に向けて導かれた後にその
方向が変換され、増設フレーム40,40の下方におい
て建屋10から離間した側に設けられた滑車43,43
に向けて、斜め下方に取り回されている。そして、滑車
43,43によって建屋10の下方に導かれた制振ワイ
ヤー41の中間部41bに前記減衰装置13が接続され
た構成となっている。さらに、この制振ワイヤー41に
は、図4に示したような増幅機構22が配設されてい
る。
【0031】上述した制振構造物Cでは、前記第二の実
施の形態の制振構造物Bと全く同様の効果を奏すること
ができる。さらにこの制振構造物Cでは、建屋10の両
端部に固定された制振ワイヤー41の両端部41a,4
1aが、建屋10よりも高い増設フレーム40,40の
上端部に設けられた滑車42,42によって、斜め上方
に取り回された構成となっている。これにより、建屋1
0が振動したときには、制振ワイヤー41によって建屋
10に伝達される減衰力(軸力)を斜め上方に作用させ
ることができる。
【0032】[第四の実施の形態]次に、本発明に係る
制振構造物の第四の実施の形態について、図8を参照し
て説明する。この図において、前記第一ないし第三の実
施の形態と共通する構成については同符号を付し、その
説明を省略する。
【0033】図8に示すように、制振構造物Dは、建屋
10と、その両側に立設された増設フレーム50,50
と、これら建屋10と増設フレーム50,50とに配設
された制振ワイヤー(引張材)51と、制振ワイヤー5
1の変位を減衰する減衰装置52とから概略構成されて
いる。
【0034】増設フレーム50,50は、建屋10に対
して十分高い剛性を有しており、建屋10よりも所定寸
法高く設定されている。各増設フレーム50は、前記第
二の実施の形態における増設フレーム30と同様、フレ
ームのみとしてもよいし、また、その内部空間を建物と
して利用することも可能である。
【0035】制振ワイヤー51は、その両端部51a,
51aが増設フレーム50,50の上端部の建屋10側
に固定されており、建屋10の上面に沿って配設されて
いる。さらに制振ワイヤー51の中間部51bには、建
屋10の上面に設置された減衰装置52が接続された構
成となっている。さらに、この制振ワイヤー51には、
図4に示したような増幅機構22が配設されている。
【0036】上述した制振構造物Dでは、前記第二の実
施の形態の制振構造物Bと全く同様の効果を奏すること
ができる。さらにこの制振構造物Dでは、制振ワイヤー
51が、建屋10の上面に沿って取り回されてその両端
部51a,51aが増設フレーム50,50の上端部に
固定された構成となっているので、前記第一ないし第三
の実施の形態で示した制振構造物A,B,Cの制振ワイ
ヤー12,41,51に比較して、その全長を短くする
ことができる。したがって、制振ワイヤー51自体の伸
びも抑えることができ、その制振効果をより効果的に発
揮することができる。さらには、制振ワイヤー51の配
設工事が、建屋10の上面のみで行われるため、工事中
の建屋10の使用に差し支えが生じることがない。
【0037】なお、上記第一ないし第四の実施の形態に
おいて、建屋10については、既設、新設を問うもので
はない。
【0038】また、増設フレーム11,30,40,5
0については、その剛性を確保するため、鉄骨トラス構
造以外の、例えば充填コンクリート造等の構造を採用し
てもよい。
【0039】さらに、制振ワイヤー12,31,41,
51の変位を減衰する減衰装置13,52は、上記のも
のに限定するものではない。例えば、図9(a)に示す
ように、ドラム20と、これを支持する支持台55との
間に粘弾性体56を介在させる構成としたり、図9
(b)に示すように、ドラム20の回転をオイルダンパ
ーや引張降伏型の鋼材ダンパー57で付勢するようにし
てもよいし、さらには図9(c)に示すように、ドラム
20の回転を、剪断降伏型の鋼材ダンパーや粘弾性体を
用いたダンパー58で付勢するようにしてもよい。さら
に、制振ワイヤー12,31,41,51については、
その全長をワイヤーで構成する必要はなく、その一部を
鋼製のロッド等で構成するようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る制
振構造物によれば、建屋と、建屋の両側に立設した増設
フレームと、前記増設フレームと前記建屋とに連続する
よう架設した引張材と、該引張材の軸線方向の変位を吸
収する減衰装置とを備えてなる構成となっている。ま
た、請求項2に係る制振構造物によれば、増設フレーム
を、建屋に設けた支持部材によって、水平方向の変位を
拘束しかつ鉛直方向の変位を許容するよう支持する構成
とした。これにより、風や地震等により建屋が水平方向
に振動した場合には、これに伴なう引張材の変位が減衰
装置で減衰されて、建屋の振動を制振することができ
る。このときに、増設フレームが水平方向の変位が拘束
され、かつ鉛直方向の変位が許容された構成となってい
るので、建屋の変位の方向に拘わらず、制振効果を発揮
することができる。しかも、建屋の鉛直方向の変形が引
張材を介して増設フレームに伝達されるので、鉛直方向
の付加軸力はこれら増設フレームによって支持されるこ
とになり、建屋の端部の柱に過度な軸力が作用するのを
防止することができる。
【0041】請求項3に係る制振構造物によれば、減衰
装置に入力される引張材の変位を増幅する増幅機構を備
える構成とした。これにより、建屋の微少な変位も、増
幅機構で増幅することによって減衰装置で減衰すること
が可能となるので、制振効果をより効果的なものとする
ことができ、さらには、変形能の低い既存の建物に適用
するにも好適である。
【0042】請求項4に係る制振構造物によれば、引張
材を増設フレーム内で取り回す構成とした。これによ
り、建屋の外観を損なうこともなく、また、建屋が既設
のものである場合にも、施工中に建屋の使用を中止する
ことなく、円滑に工事を行うことができる。
【0043】請求項5に係る制振構造物によれば、引張
材の両端を、建屋の上端部の両側にそれぞれ固定し、か
つこの引張材を、建屋の上端部の両側から斜め上方に延
在するよう取り回す構成とした。これにより、建屋が振
動したときには、引張材によって建屋に伝達される減衰
力(軸力)を斜め上方に作用させることができる。さら
には、引張材の配設工事が、建屋の上面の両側でのみ行
われるため、建屋が既設のものである場合にも、工事中
の建屋の使用に差し支えが生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制振構造物の第一の実施の形態を
示す図であって、(a)立断面図、(b)平面図であ
る。
【図2】前記制振構造物の一部を示す立断面図である。
【図3】図2の平断面図である。
【図4】前記制振構造物に備えた引張材の変位の増幅機
構の一例を示す斜視図である。
【図5】前記制振構造物の変形モデル図である。
【図6】本発明に係る制振構造物の第二の実施の形態を
示す立断面図である。
【図7】本発明に係る制振構造物の第三の実施の形態を
示す立断面図である。
【図8】本発明に係る制振構造物の第四の実施の形態を
示す立断面図である。
【図9】前記制振構造物に備えた減衰機構の他の例を示
す立断面図である。
【図10】従来の制振構造物の一例を示す立断面図であ
る。
【図11】従来の制振構造物の他の一例を示す立断面図
である。
【符号の説明】
10 建屋 11,30,40,50 増設フレーム 12,31,41,51 制振ワイヤー(引張材) 13,52 減衰装置 14 支持部材 22 増幅機構 A,B,C,D 制振構造物

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建屋と、該建屋の両側に立設された二基
    一対の増設フレームと、前記増設フレームと前記建屋と
    に連続するよう架設された引張材と、該引張材の軸線方
    向の変位を吸収するよう介在された減衰装置とを備えて
    なることを特徴とする制振構造物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の制振構造物において、前
    記増設フレームが、前記建屋に一体に設けられた支持部
    材に、水平方向の変位を拘束しかつ鉛直方向の変位を許
    容するよう支持されていることを特徴とする制振構造
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の制振構造物にお
    いて、前記減衰装置に入力される前記引張材の変位を増
    幅する増幅機構が備えられていることを特徴とする制振
    構造物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の制
    振構造物において、前記引張材が、前記増設フレーム内
    で取り回されていることを特徴とする制振構造物。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載の制
    振構造物において、前記引張材の両端が前記建屋の上端
    部の両側にそれぞれ固定されてなり、かつ前記引張材
    が、前記建屋の上端部の両側から斜め上方に延在するよ
    う取り回されていることを特徴とする制振構造物。
JP5209896A 1996-03-08 1996-03-08 制振構造物 Withdrawn JPH09242386A (ja)

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JP5209896A JPH09242386A (ja) 1996-03-08 1996-03-08 制振構造物

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